野家啓一の作品一覧
「野家啓一」の「科学哲学への招待」「科学の解釈学」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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ビジネス・実用
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Posted by ブクログ
アリストテレス、プトレマイオス、コペルニクス、ガリレオにニュートン、あるいはフレーゲ、ポパー、クワインにクーンといった人達が何を主張したのか。
個別にはよく知られていると思いますが、それらを繋げて整理することができる本です。
本書は3部立てです。
第1部は科学史です。
まず、古代ギリシアにおける自然観=アリストテレス的自然観が出発点です。
このアリストテレス的自然観は、現代の知識を持っていなければ、「そうかも」と思ってしまいそうなもので、次のように整理されます。
1 古代天文学のセントラル・ドグマ
(1) 天上と地上の根本的区別
(2) 天体の動力としての天球の存在
(3) 天体の自然運動としての一様な円運動
2 古代運動論のセントラル・ドグマ
(1) 自然運動の原因としての自然的傾向の存在
(2) 強制運動の原因としての接触による近接作用
(3) 物体の速度は動力に比例し媒質の抵抗に反比例する
このアリストテレス的自然観をひっくり返したのが科学革命です。
天文学では、コペルニクスの地動説が(1)天上と地上の根本的区別を覆し、ケプラーが(2)天球の存在と(3)一様な円運動を否定する。
物理学では、ガリレオは実験によって(3)物体の速度は動力に比例を反証し、慣性の法則として(1)自然的傾向とは異なる説明を与えました。
そしてニュートンが、天上の運動と地上の運動を同じ法則によって説明し、万有引力という(2)接触による近接作用以外の原因による運動の原理を示しました。
第2部は科学哲学です。
アリストテレスが論理学をまとめた際、演繹法と帰納法という方法論が整理されていました。
19世紀、科学者達はこの2つをまとめた仮説演繹法を方法論としていました。
しかし、こうして組み立てられた科学に対して、非ユークリッド幾何学、集合論の矛盾、量子力学が疑問を投げかけます。
何が正しい科学なのか。
検証可能性のないものは科学ではないとする論理実証主義。
論理実証主義を否定して反証可能性を試金石とするポパー。
ホーリズム(全体論)を主張するクワイン。
第3部は科学社会学です。
今でこそ、科学は国家や産業と結びつき、多額の資金を投入されて推進されるというイメージですが、そうなったのはつい最近のことです。
知識人の余暇として研究される時代、大学で研究され研究者仲間だけで評価し合っていた時代がありました。
また、産業革命の担い手は科学者ではなく、技術者・起業家でした。
しかし、現代では科学と技術は結びつき、大きな影響を社会に及ぼします。
かなり多彩なトピックスを一本にまとめて、流れるように説明する本です。
すごく洗練されていると感じました。
最後、文庫版で付けられた補章は、少し説教くさいですが、それを加味しても充分名著と呼ばれてしかるべきだと思います。
Posted by ブクログ
「歴史は過ぎ去った過去の出来事の記述である以上、その出来事を直接に知覚することはできず、言葉による『語り(narrative)』を媒介にせざるをえない」(p.183)
これがどういうことなのかを、かなり丁寧に解説してくれます。
ただ、解説が平易でも、色々な学説を広く引っぱってきているので、読者への要求水準は高めかもしれません。
著者が分析哲学(科学哲学)の人だから科学哲学だけ押さえておけばいいというわけではなくて、解釈学、現象学、心理学…も知っている必要があります。
ただ、同じことについて別の視点から語っていることが多く(それこそ複数の射映を提示して志向的統一に至るということを読者に体験させようとしているようにも思われます)、一部が分からなくても要旨は分かるような本になっています。
真理の対応説があまりに素朴であるが故に、整合説に立って論を展開する本書はどうしても直感に反するようなところがあるのですが、複数の射映によって分からせてくれようとするのはありがたいです。