作品一覧 2024/03/10更新 科学哲学への招待 試し読み フォロー 科学の解釈学 試し読み フォロー 現代社会を拓く教養知の探求 試し読み フォロー 新視覚新論 試し読み フォロー パラダイムとは何か クーンの科学史革命 試し読み フォロー 1~5件目 / 5件<<<1・・・・・・・・・>>> 野家啓一の作品をすべて見る
ユーザーレビュー 科学哲学への招待 野家啓一 アリストテレス、プトレマイオス、コペルニクス、ガリレオにニュートン、あるいはフレーゲ、ポパー、クワインにクーンといった人達が何を主張したのか。 個別にはよく知られていると思いますが、それらを繋げて整理することができる本です。 本書は3部立てです。 第1部は科学史です。 まず、古代ギリシアにおける...続きを読む自然観=アリストテレス的自然観が出発点です。 このアリストテレス的自然観は、現代の知識を持っていなければ、「そうかも」と思ってしまいそうなもので、次のように整理されます。 1 古代天文学のセントラル・ドグマ (1) 天上と地上の根本的区別 (2) 天体の動力としての天球の存在 (3) 天体の自然運動としての一様な円運動 2 古代運動論のセントラル・ドグマ (1) 自然運動の原因としての自然的傾向の存在 (2) 強制運動の原因としての接触による近接作用 (3) 物体の速度は動力に比例し媒質の抵抗に反比例する このアリストテレス的自然観をひっくり返したのが科学革命です。 天文学では、コペルニクスの地動説が(1)天上と地上の根本的区別を覆し、ケプラーが(2)天球の存在と(3)一様な円運動を否定する。 物理学では、ガリレオは実験によって(3)物体の速度は動力に比例を反証し、慣性の法則として(1)自然的傾向とは異なる説明を与えました。 そしてニュートンが、天上の運動と地上の運動を同じ法則によって説明し、万有引力という(2)接触による近接作用以外の原因による運動の原理を示しました。 第2部は科学哲学です。 アリストテレスが論理学をまとめた際、演繹法と帰納法という方法論が整理されていました。 19世紀、科学者達はこの2つをまとめた仮説演繹法を方法論としていました。 しかし、こうして組み立てられた科学に対して、非ユークリッド幾何学、集合論の矛盾、量子力学が疑問を投げかけます。 何が正しい科学なのか。 検証可能性のないものは科学ではないとする論理実証主義。 論理実証主義を否定して反証可能性を試金石とするポパー。 ホーリズム(全体論)を主張するクワイン。 第3部は科学社会学です。 今でこそ、科学は国家や産業と結びつき、多額の資金を投入されて推進されるというイメージですが、そうなったのはつい最近のことです。 知識人の余暇として研究される時代、大学で研究され研究者仲間だけで評価し合っていた時代がありました。 また、産業革命の担い手は科学者ではなく、技術者・起業家でした。 しかし、現代では科学と技術は結びつき、大きな影響を社会に及ぼします。 かなり多彩なトピックスを一本にまとめて、流れるように説明する本です。 すごく洗練されていると感じました。 最後、文庫版で付けられた補章は、少し説教くさいですが、それを加味しても充分名著と呼ばれてしかるべきだと思います。 Posted by ブクログ 科学哲学への招待 野家啓一 ・「科学」って何なの? っていう疑問に、歴史・哲学・社会学の三方向から攻める本。 ・それぞれの章が単独でも学びになるのに、組み合わせると「科学」が多面的に浮かび上がってくる構成、おもしろすぎ。 ・特に哲学の章、「こういう背景があってこの考え方が出てきて、そのカウンターとしてこの考え方が出てきて......続きを読む」って流れで書かれてるので、ストーリー性があって楽しい。 ・タイトルから想像する以上に読みやすいよ。 Posted by ブクログ 科学哲学への招待 野家啓一 無茶苦茶おもしろい。高校生から10代のうちに読んでおくべき本。 哲学→科学の歴史から、科学哲学と科学者、社会との関わりまで、時代を追いながら論者と理論の変遷がわかる。 純粋に真理に至る道を探る素朴な科学像は今はもうないと思った。 Posted by ブクログ 科学哲学への招待 野家啓一 科学とは何か。その問いに答えるため、科学史、科学哲学、科学社会学の三つの観点から論じた本。理路整然とした文章で、取り扱っている内容も質、量ともにバランスが良く頭に入れやすい。 印象に残ったことは、古代理論が長い間支配していたのは、理論が日常の知覚的経験と合致していたから、また、理論の中核的な規...続きを読む則が、当時の信仰的背景と親和性を持っており、そのため、革新的な考えは発案者すら葛藤を生じさせるものであったからである。 このことは、科学の発展を考える上で重要な事例である。なぜなら、科学とは仮説であることを如実に表している事実だからである。 仮説ではあるが、悲しいことではない。科学とはそういうもので、それゆえに発展を遂げているからである。 Posted by ブクログ 科学哲学への招待 野家啓一 科学のはじまりから現代まで、パラダイムの変遷を中心に纏められた完成度の高い入門書。 簡潔に淡々と科学の歴史を説明しながらも、没入感を感じさせる文章の上手さがある。 西洋のサイエンスと日本の科学の違いと違いが生まれた理由についての記述は興味深い。 Posted by ブクログ 野家啓一のレビューをもっと見る