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古代・中世のアリストテレス的自然観を克服し、信仰や迷信から独立することで17世紀に近代「科学」は誕生した。しかしパラダイム転換はくり返され、20世紀には科学技術に伴うリスクも叫ばれるようになる。科学哲学の第一人者がこうした決定的な転換点に光をあてながら、知の歴史のダイナミズムへと誘う。科学神話が揺らぐ今だからこそもう一度深く掘り下げる、入門書の決定版。
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Posted by ブクログ
非常に分かりやすく面白かったです。 著者は科学史、科学哲学、科学社会学という3つの観点による科学の捉え方を提示していらっしゃるようでしたが、それぞれ独立させて読んでも中身の濃い非常に面白い内容ばかりでした。 スコラが余暇であったことやピアレビューの原型、技術と科学の区別と日本への普及あたりの話が...続きを読む、ナラティブとして私は特に好きです。 あとがきの最後にあるように、「なんのための科学か」を改めて問う必要があるのが現代なんですかね。
科学は単なる知識の積み重ねではなく、歴史や社会の中で育ってきたことがよく分かった。科学は時代ごとの考え方や価値観に左右されるという説明はとても分かりやすく、入門書として学ぶには良かった。 ただ、この本は2000年代の放送大学の教材がもとになっていて、東日本大震災の事例は追加されているものの、それ以...続きを読む降の新しい科学の動きには触れられていない。遺伝子編集やAI研究など、最新の科学が社会に大きな影響や問題をもたらすことが増えている。本書だけではそうした課題を考える材料が足りないと感じた。 そのため、この本は科学哲学の基本を知る入り口としては役立つが、現代の社会問題を考えるには、新しい本もあわせて読むと良いかもしれません。
アリストテレス、プトレマイオス、コペルニクス、ガリレオにニュートン、あるいはフレーゲ、ポパー、クワインにクーンといった人達が何を主張したのか。 個別にはよく知られていると思いますが、それらを繋げて整理することができる本です。 本書は3部立てです。 第1部は科学史です。 まず、古代ギリシアにおける...続きを読む自然観=アリストテレス的自然観が出発点です。 このアリストテレス的自然観は、現代の知識を持っていなければ、「そうかも」と思ってしまいそうなもので、次のように整理されます。 1 古代天文学のセントラル・ドグマ (1) 天上と地上の根本的区別 (2) 天体の動力としての天球の存在 (3) 天体の自然運動としての一様な円運動 2 古代運動論のセントラル・ドグマ (1) 自然運動の原因としての自然的傾向の存在 (2) 強制運動の原因としての接触による近接作用 (3) 物体の速度は動力に比例し媒質の抵抗に反比例する このアリストテレス的自然観をひっくり返したのが科学革命です。 天文学では、コペルニクスの地動説が(1)天上と地上の根本的区別を覆し、ケプラーが(2)天球の存在と(3)一様な円運動を否定する。 物理学では、ガリレオは実験によって(3)物体の速度は動力に比例を反証し、慣性の法則として(1)自然的傾向とは異なる説明を与えました。 そしてニュートンが、天上の運動と地上の運動を同じ法則によって説明し、万有引力という(2)接触による近接作用以外の原因による運動の原理を示しました。 第2部は科学哲学です。 アリストテレスが論理学をまとめた際、演繹法と帰納法という方法論が整理されていました。 19世紀、科学者達はこの2つをまとめた仮説演繹法を方法論としていました。 しかし、こうして組み立てられた科学に対して、非ユークリッド幾何学、集合論の矛盾、量子力学が疑問を投げかけます。 何が正しい科学なのか。 検証可能性のないものは科学ではないとする論理実証主義。 論理実証主義を否定して反証可能性を試金石とするポパー。 ホーリズム(全体論)を主張するクワイン。 第3部は科学社会学です。 今でこそ、科学は国家や産業と結びつき、多額の資金を投入されて推進されるというイメージですが、そうなったのはつい最近のことです。 知識人の余暇として研究される時代、大学で研究され研究者仲間だけで評価し合っていた時代がありました。 また、産業革命の担い手は科学者ではなく、技術者・起業家でした。 しかし、現代では科学と技術は結びつき、大きな影響を社会に及ぼします。 かなり多彩なトピックスを一本にまとめて、流れるように説明する本です。 すごく洗練されていると感じました。 最後、文庫版で付けられた補章は、少し説教くさいですが、それを加味しても充分名著と呼ばれてしかるべきだと思います。
・「科学」って何なの? っていう疑問に、歴史・哲学・社会学の三方向から攻める本。 ・それぞれの章が単独でも学びになるのに、組み合わせると「科学」が多面的に浮かび上がってくる構成、おもしろすぎ。 ・特に哲学の章、「こういう背景があってこの考え方が出てきて、そのカウンターとしてこの考え方が出てきて......続きを読む」って流れで書かれてるので、ストーリー性があって楽しい。 ・タイトルから想像する以上に読みやすいよ。
無茶苦茶おもしろい。高校生から10代のうちに読んでおくべき本。 哲学→科学の歴史から、科学哲学と科学者、社会との関わりまで、時代を追いながら論者と理論の変遷がわかる。 純粋に真理に至る道を探る素朴な科学像は今はもうないと思った。
科学とは何か。その問いに答えるため、科学史、科学哲学、科学社会学の三つの観点から論じた本。理路整然とした文章で、取り扱っている内容も質、量ともにバランスが良く頭に入れやすい。 印象に残ったことは、古代理論が長い間支配していたのは、理論が日常の知覚的経験と合致していたから、また、理論の中核的な規...続きを読む則が、当時の信仰的背景と親和性を持っており、そのため、革新的な考えは発案者すら葛藤を生じさせるものであったからである。 このことは、科学の発展を考える上で重要な事例である。なぜなら、科学とは仮説であることを如実に表している事実だからである。 仮説ではあるが、悲しいことではない。科学とはそういうもので、それゆえに発展を遂げているからである。
科学のはじまりから現代まで、パラダイムの変遷を中心に纏められた完成度の高い入門書。 簡潔に淡々と科学の歴史を説明しながらも、没入感を感じさせる文章の上手さがある。 西洋のサイエンスと日本の科学の違いと違いが生まれた理由についての記述は興味深い。
新書なのに科学史・科学哲学・科学社会学の三部構成で多角的に論じられている良質な入門書。放送大学の教科書がもとになっているだけあって、よくまとまっていて日本語も読みやすい。科学哲学の入門書はたくさんあるが科学史や科学社会学の入門書はあまりないので、その点でも貴重。
科学史の概要を知れたのが良かった。それに伴う科学哲学の概略も。科学哲学は興味のある分野だが、やはりもとの科学そのものについて理解をしておかないといけないと感じた。それこそ何も知らんくせに、となるだろう。 科学社会学は科学技術として開かれた科学がどう現実と接して行くか。プラクシス(実際行為)の問題。 ...続きを読む紹介されていた七世代後のことまで考えるということは、組織においても同様と感じ、まだ見ぬ新人のことを考えながら仕事をしていきたい。
『〇〇は科学的に証明されているから大丈夫』といった周囲の声に対して、どこか盲目的ではないかと感じていたが、その違和感は間違っていなかったと気づかされる一冊だった。
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