野家啓一のレビュー一覧

  • 科学哲学への招待
    アリストテレス、プトレマイオス、コペルニクス、ガリレオにニュートン、あるいはフレーゲ、ポパー、クワインにクーンといった人達が何を主張したのか。
    個別にはよく知られていると思いますが、それらを繋げて整理することができる本です。

    本書は3部立てです。

    第1部は科学史です。
    まず、古代ギリシアにおける...続きを読む
  • 科学哲学への招待
    ・「科学」って何なの? っていう疑問に、歴史・哲学・社会学の三方向から攻める本。
    ・それぞれの章が単独でも学びになるのに、組み合わせると「科学」が多面的に浮かび上がってくる構成、おもしろすぎ。
    ・特に哲学の章、「こういう背景があってこの考え方が出てきて、そのカウンターとしてこの考え方が出てきて......続きを読む
  • 科学哲学への招待
    無茶苦茶おもしろい。高校生から10代のうちに読んでおくべき本。
    哲学→科学の歴史から、科学哲学と科学者、社会との関わりまで、時代を追いながら論者と理論の変遷がわかる。
    純粋に真理に至る道を探る素朴な科学像は今はもうないと思った。
  • 科学哲学への招待
     科学とは何か。その問いに答えるため、科学史、科学哲学、科学社会学の三つの観点から論じた本。理路整然とした文章で、取り扱っている内容も質、量ともにバランスが良く頭に入れやすい。

     印象に残ったことは、古代理論が長い間支配していたのは、理論が日常の知覚的経験と合致していたから、また、理論の中核的な規...続きを読む
  • 科学哲学への招待
    科学のはじまりから現代まで、パラダイムの変遷を中心に纏められた完成度の高い入門書。
    簡潔に淡々と科学の歴史を説明しながらも、没入感を感じさせる文章の上手さがある。
    西洋のサイエンスと日本の科学の違いと違いが生まれた理由についての記述は興味深い。
  • 科学の解釈学
    20世紀の科学哲学の基礎を少しだけ学んだ後に、もう少し踏み込んだ議論を眺めてみたいと思って手に取りました。野家先生の80-90年代の論文をいくつか纏めた内容となっていますが、クーンのパラダイム論、クワインのホーリズムからネオ・プラグマティズム、はたまたサイエンス・ウォーズの話まで、入門的な本より少し...続きを読む
  • 科学哲学への招待
    新書なのに科学史・科学哲学・科学社会学の三部構成で多角的に論じられている良質な入門書。放送大学の教科書がもとになっているだけあって、よくまとまっていて日本語も読みやすい。科学哲学の入門書はたくさんあるが科学史や科学社会学の入門書はあまりないので、その点でも貴重。
  • 科学哲学への招待
    科学者の端くれとして,科学哲学での考える科学と科学者の考える科学は違っているのではないかという動機で読んでみて,やはり違っているという思いが強くなった.

    多くの科学者は,10章ポパーの反証主義に基づいていると考える.幽霊とか反証できないものは科学の対象ではなく,また反証されるまでの永遠の仮説で,絶...続きを読む
  • 科学哲学への招待
    【星:4.5】
    「科学」とは何か、哲学と何が違うのか、そんな疑問を抱いていたところで見つけた。そしてこの私の疑問に十分答えてくれた1冊であった。

    科学史・科学哲学・科学社会学と3部構成で、お堅い内容ではあるものの、非常に丁寧な説明で分かりやすく書いてくれている。
    正直分からない部分もあるが、文章・...続きを読む
  • 新視覚新論
     1982(昭和57)年著。
     以前読んだ大森荘蔵さんの著作は結構面白く読めて共感する部分も多かったのだが、本書の前半、「視覚」現象を巡って常識を覆すような論が展開される部分は、どうも首肯できずに苦しかった。文章は哲学書としては恐ろしく平易・明解な方で、言っていることは理解できるのだが、どうしても「...続きを読む
  • 科学哲学への招待
    とてもおもしろい。何よりも既出事項を何度も反復して振り返ってくださるので、折返し内容理解を深め、事実確認しながら読み進めていくことができる。正直、どのように自分が、科学に取り組んでいくかその立ち位置を確認するにはもっと学ばなくては、と思うものの、大きなヒントを与えてくれることは間違いない。
    近年にお...続きを読む
  • 科学哲学への招待
    天動説が間違っていて、地動説があっているという考えは、まだ学校で教えられているのかもしれないが、どちらがあっているか?という考えそのものが、社会のパースペクティブによって経験科学である自然科学が成立していくという、学問の歴史性を示している。
    また、地動説が正しいとしたとしても、それはより、「何が中心...続きを読む
  • 科学哲学への招待
    科学とは何か?を広く紹介した本。科学技術という言葉があるが、本来科学は裕福な趣味のようにやるもので、奴隷のやるような労働の技術は別ものだった。それらがいかに結びついていくかのあたりが面白かった。
  • パラダイムとは何か  クーンの科学史革命
    科学哲学者である著者が、クーンの考え方や生涯を「“科学”殺人事件」に見立てて紹介しながら、彼の登場による科学哲学の展開や今後について焦点をあて評じた本である。

    ここでいう「”科学”殺人事件」とは、クーンの「パラダイム概念」が科学の合理的進歩を否定し、科学的知見や成果が相対的なものにすぎないとして科...続きを読む
  • 科学哲学への招待
    学者としての面目躍如な論考である。これまでの歴史の中で行われてきた学説を解説する手際は一流である。つまり、精彩を放つ学説のその有様を再現することにかけて、著者に知の閃きが十分に看取できる。一方で、学説史のみならず、現代社会の問題にも言及があるが、その点に関しては、マスコミが口にするような、常識的な言...続きを読む
  • パラダイムとは何か  クーンの科学史革命
    前半は、明快でわかりやすく、クーンが痛撃した「科学」(産業化、社会化された科学コミュニティが進める活動のことか)についての説明もよくわかった。しかし後半は少しもたついている印象で読みやすいとは言えなかった。
  • 科学哲学への招待
    ギリシア的コスモロジー(アリストテレス的自然観)
    =天動説

    アリストテレスの運動(実体も量も質も)
    可能態dynamisから現実態エネルゲイア

    2000年信じられてきたアリストテレス的自然観が「科学革命」によって崩れる
    =「十二世紀ルネサンス」
    アラビア科学をヨーロッパ世界にもたらした
    ・アラビ...続きを読む
  • 科学哲学への招待
    放送大学のテキストとして刊行された『科学の哲学』に、福島原発が科学技術に対してどのような問いを投げかけているのかという問題を考察した補章を加えた本です。

    全体は三部に分かれており、第一部では古代から近代に至るまでの科学史の概略が説明されています。第二部では、ウィーン学団による論理実証主義の運動から...続きを読む
  • パラダイムとは何か  クーンの科学史革命
    クーンの「科学革命の構造」からくる、パラダイムについて論じた書。

    クーンは、科学の歴史においての変化を論じたにもかかわらず拡大解釈されて、その中で論争に巻き込まれたことがわかる。

    パラダイム論をとなえたクーンが、社会にどのように位置づけられたかを考える意味では良い本だと思う。