歴史・時代小説 - 講談社 - 講談社文庫作品一覧

  • 嶽神伝 血路
    4.3
    武田晴信(後の武田信玄)は芦田氏の龍神岳城を武田の陣営としようと画策していた。甲斐から諏訪に出るには龍神岳城を通らなければならないのであった。山の者「七ツ家」と武田の最凶暗殺殺人集団「かまきり」との死闘をが始まった。
  • 決戦!本能寺
    3.8
    天正十年六月二日(1958年6月21日)──戦国時代でいちばん長い夜だった。すなわち本能寺の変。天下人目前の信長を、討った男と守った男。野心と業にまみれた男たちのそれぞれの生きざまとは……。歴史の流れを変えた「瞬間」に、名手7人が集結。累計18万部突破の大好評「決戦!」シリーズ第3弾!
  • 悪道 五右衛門の復讐
    4.0
    名君の道を歩む影将軍を護衛する、伊賀忍者の末裔・流英次郎とその一統には、安寧は許されない。将軍の城外微行の途上、大道芸人の「叩かれ屋」が客に首を斬り落とされる。大店が襲われ、大川に骸が浮かび、凄腕の剣客が跳梁する。そして浮かび上がる石川五右衛門の影。徳川の世になって百年、豊臣一派の大名の多くは改易され、遺臣らは浪々の身を余儀なくされている。怨嗟の矛先は影将軍に向かうのか。英次郎たちの死闘が始まる。【解説入り】
  • あやめ横丁の人々
    4.5
    婿入りの祝言(じゅうげん)の席上、妻に思い人のあることを知った大身旗本の三男坊、紀藤慎之介。逆上して間夫(まぶ)を斬り捨て、妻女を自害に至らしめた彼は、婚家のつけ狙うところとなり本所「あやめ横丁」に匿(かくま)われる。だが堀に囲まれたこの町ときたら、場所も住人もみな何やら訳ありで……。練達の筆がさえる長編時代小説。(講談社文庫)
  • 嶽神(上) 白銀渡り
    4.0
    山の者の集団から追放されて<ひとり渡り>をする多十に、滅亡目前の武田唯一の嫡流・若千代の幼い命が託された。莫大な武田の御遺金(ごいきん)のありかを探るべく遣わされた真田、伊賀の忍者集団と、圧倒的な劣勢の中で血みどろの死闘を繰り広げる多十たち。知る人ぞ知る戦国忍者活劇のあの大傑作が、待望の文庫化!
  • 新装版 王城の護衛者
    3.9
    薩長両藩が暗躍し、攘夷派の浪士たちが横行する、無政府状態に近い幕末の京。新たに京都守護職を命じられた会津の青年藩主・松平容保は、藩兵千人を率い、王城の護衛者として治安回復に乗り出すが、複雑怪奇な政治の術数に翻弄され……。表題作の他に、「加茂の水」「鬼謀の人」「英雄児」「人斬り以蔵」を収録。
  • 漱石の妻
    3.5
    悪妻として知られる夏目漱石の妻・鏡子。潔癖症の漱石と、おおらかだが大雑把な鏡子の夫婦生活は、船出から食い違い、英国留学を経て重度の神経症を得た漱石との暮らしは大波に揺れる。鏡子はなぜ悪妻と呼ばれたのか? 二人はどうして別れなかったのか? 余人には窺い知れない夫婦の絆を妻の視点で描く。(講談社文庫)
  • 直江山城守兼続(上)
    -
    毘沙門天の旗の下、戦場において無類の強さを誇った軍神・上杉謙信。その謙信は、1人の若者の才に目をつけていた。直江山城守兼続――秀吉が惚れ込み、家康が恐れた男。謙信の薫陶を受け、生涯を上杉家に支えた兼続の波瀾に満ちた生涯。その知られざるエピソードを通して丁寧な筆致で描く。
  • 三国志 曹操伝(上) 落暉の洛陽
    4.4
    幼い皇帝を巡り、宦官(かんがん)と外戚が熾烈(しれつ)な権力争いを繰り広げていた後漢末の中国。後宮では巫蠱(ふこ)という呪術が流行し、民衆の間では新興宗教・太平道がのさばり始めていた。混乱の都・洛陽を掌握したのは、冷酷な将軍・董卓(とうたく)。青年・曹操(そうそう)は、この乱世を虎視眈々と見つめながら、「姦雄」として歩み出そうとしていた。
  • そろそろ旅に
    4.1
    『東海道中膝栗毛』で一世を風靡(ふうび)するのはまだ先のこと。若き日の十返舎一九(じっぺんしゃいっく)、与七郎は平穏な暮らしに満たされず、憑(つ)かれたように旅を繰り返す。駿府から大坂、そして江戸へ。稀代のユーモア作家が心に抱いた暗闇とは何だったのか。意外な結末が深い感動を呼ぶ、直木賞作家渾身の長編小説。
  • 南海の首領クニマツ
    -
    大坂夏の陣後に首を刎(は)ねられたはずの秀頼の遺児・国松は、天草の大矢野島に逃れ、鎖国へと向かう徳川幕府を尻目に、交易の盛んな南海を縦横無尽に駆けめぐっていた。たまたま山田長政の子息を海賊船団から救い、高山右近が豊家再興のために秘かに持ち出した財宝の存在を知ってアユタヤへ。(講談社文庫)
  • 骨董屋征次郎手控
    3.5
    幕末動乱の京都で小さな骨董屋を営む征次郎には2つの裏の顔があった。世間に出せないいわくつきの品物を取引する“六道(ろくどう)闇ノ市”の一員であること。長尾流体術、鞍馬楊心流(ようしんりゅう)剣術を修めた武士の身分を捨てたこと。闇の骨董鑑定人・征次郎が、魔道に巣くう贋作(がんさく)師に立ち向かい、時代を揺るがす難事件に挑む!(講談社文庫)
  • 道祖土家の猿嫁
    3.7
    失われた故郷への鎮魂歌! 明治の中ごろ、土佐・火振(ひぶり)村の名家、道祖土(さいど)家に嫁いできた蕗。その容貌から“猿嫁”と揶揄されながらも、蕗は天真爛漫な性格で名家に溶け込んでいった。やがて日露戦争や太平洋戦争の戦渦は、道祖土家を巻き込み、各々の人生も翻弄していく。百年の時を通じ、日本人が来た道、行く先を描く壮大な歴史ロマン。
  • カスティリオーネの庭
    3.0
    清朝最盛期の乾隆帝に宮廷画家として仕えたイタリア人宣教師ジュゼッペ・カスティリオーネ。現地名「郎世寧」として中国絵画史にも大きな足跡を残した彼は、離宮の狭い一画に十二支をかたどった噴水と西洋式の宮殿を造るよう命じられ、仲間の宣教師と心血を注ぐ……。西洋の目が見た皇帝一族の光と影。(講談社文庫)
  • 雑賀のいくさ姫
    3.8
    イスパニアのイダルゴ(騎士)の家系に生まれたジョアンは、乗り込んだ船での内紛と難破のはてに、紀伊雑賀のいくさ姫、鶴に拾われる。鶴はカラベル船を修復した「戦姫丸」に乗って商いのためにジョアンらと南洋に向かうが、海賊や大名の思惑、そして過去の因縁に巻き込まれていく。雑賀、村上、毛利、大友、島津―戦国の西国大名オールスター水軍が、日本を狙う大海賊と雌雄を決する。戦国の海洋を縦横無尽に駆け巡る、傑作歴史ロマン!
  • 海賊とよばれた男(上)
    4.4
    すべてのビジネスマンに捧ぐ。 本屋大賞の話題作、早くも文庫化! ページをめくるごとに、溢れる涙。これはただの経済歴史小説ではない。 一九四五年八月十五日、敗戦で全てを失った日本で一人の男が立ち上がる。男の名は国岡鐡造。出勤簿もなく、定年もない、異端の石油会社「国岡商店」の店主だ。一代かけて築き上げた会社資産の殆どを失い、借金を負いつつも、店員の一人も馘首せず、再起を図る。石油を武器に世界との新たな戦いが始まる。 石油は庶民の暮らしに明かりを灯し、国すらも動かす。 「第二の敗戦」を目前に、日本人の強さと誇りを示した男。
  • 小説 蜂須賀重喜 阿波藩財政改革
    -
    江戸時代は宝暦年間、9代将軍・家重の世。阿波藩の峰須賀家に入った重喜は、火の車であった藩財政の改革に着手し、画期的な提案を行う。ところが、ことごとく陋習に縛られた重臣たちの反対にあう。さらに、江戸幕府・田沼意次の陰謀も進み、平島公方の騒動も無視できない。阿波藩の経営改革を追う、長篇歴史小説。
  • 三国志 英雄ここにあり(上)
    4.0
    後漢・霊帝の皇基衰えて天下は乱れ、劉備玄徳は、関羽、張飛と義を結んで、黄巾賊討滅に起き上がった。都の洛陽で大将軍何進の後を襲うは、曹操か、袁紹か? 河南では大軍を擁する菫卓が、はるか洛陽の空を望んでいた。治乱興亡――国造りの戦国絵巻を雄大なスケールで描く、興趣横溢の長編小説。吉川英治文学賞受賞作品。<全3巻>
  • ミイラ志願
    5.0
    即身仏を志す盗賊の心情、信長の影武者をめぐる謀略、蹴鞠(けまり)に入れあげ乞食に身を落とす今川氏真の運命、討入りを脱落した高田郡兵衛の苦衷、首斬り浅右衛門家に養子に入った男の巧妙な計算……。「志願」というユニークな視点から歴史の謎を切りとった、9編の意欲連作。多年、本格推理界をリードしてきた著者が、卓抜な着想と絶妙の語り口で、我意と妄執に憑(つ)かれた人間のすさまじい情念の世界を抉り出す!
  • 天狗藤吉郎 上
    -
    藤吉郎は5歳にして、木曾山中に隠れ住む天狗党に預けられた。2年間、忍者と同じ修行を積み、読み書きも習った。その後、各地を放浪し、裏切りに会い、苦労を重ねた末に、ついに織田信長と出会う。藤吉郎は要領のよさと才覚で出世していくが、その陰には、天狗党時代から彼を見守ってきた山の民・三郎太の援助があった。
  • 城盗り秀吉
    -
    大大名出世の陰に風魔忍者! 「天下をとる」と予言した藤吉郎の出世、幸運の裏にある意外な謎とは……? 三郎太ら山の民の陰の援助と、自らの才覚で出世した藤吉郎は、風魔の雷太やお桂も味方につけ、情報戦を勝ち抜く。信長の上洛、姉川の合戦で功をたて、墨俣城と横山城を得る。さらに浅井長政を自刃に追い込み、小谷城の城主となる。秀吉の「城盗り」の未知の部分を、斬新な解釈で、「本能寺」前夜までを描く時代小説!
  • 隋唐演義(上)
    -
    隋を建国した楊堅(ようけん)、晩年には酒色に溺れ、なんと息子の楊広(ようこう)に謀殺されるという憂目にあう。ところが楊広もまた、即位し煬帝(ようだい)となるや、全国から1000人を超す美女を集め、遊びにふける始末だ。当然、その隙をついて、在野の英雄たちが動きだす。皇帝と盗賊、英雄と悪女たちが入り乱れ、隋末唐初への歴史ドラマが幕を開ける! 『封神演義』に匹敵する面白さ。中国史上もっとも華やかな、隋唐の乱世を描き切る、歴史スペクタクル。
  • 春秋戦国志(上)
    4.0
    中国故事名言の9割以上を産んだとされる春秋戦国時代は、また、国家形態の原型が造られ、諸子百家などすぐれた思想家を輩出させた、世界的に稀有な時代でもあった。その550年を軽妙につづる、出色の歴史物語。本巻は東周王朝成立から、管仲、鮑叔が大活躍する斉桓公の「覇王時代」までを描く。(全3冊)
  • 独眼竜政宗(上)
    4.0
    時は戦国たけなわ。奥羽の名流・伊達輝宗の嫡男を病魔がおそった。疱瘡! 危く一命はとりとめたが、悪疫は彼の右眼を無残に奪った――独眼竜政宗の誕生である。だが、多難の前途を暗示するかのようなこの不幸に政宗はくじけなかった。国盗りに明け暮れる激動の荒海に、彼はさっそうと乗り出した!〈全二冊〉
  • 朝焼けの賦 小説・村田新八
    3.0
    明治政府に、村田新八という男がいた。外国視察から帰ると、政府の重鎮の西郷隆盛と大久保利通が、意見の対立から袂を分けていた。西郷を師と仰ぐ新八だが、大久保も知らぬ仲ではない。2人の間で驚き、戸惑い、心は揺れる。国に戻った西郷のもとを新八は尋ねるが……。動乱の時代を生きた傑物を描く、長編歴史小説。西郷隆盛と大久保利通に翻弄された男の生涯。
  • 沖田総司(上)
    3.8
    幕末……それは現体制の打倒、徳川幕府の覆滅のとき。しだいに血の旋風で彩られてゆく京の治安を維持すべく、浪士徴募に応じて結成された新選組。その新選組の内部では、近藤勇を初めとする、土方歳三、沖田総司ら誠衛館の一統と、水戸浪人・芹沢鴨を首領とする一派の対立が日ましに激化し、一方、急進公卿と長州藩の企図する、京洛騒乱の陰謀が、着々と進められていた……。はかない夢と知りながら大義に生きた天才剣士・沖田総司の短い生涯を描く傑作長編小説。
  • 源 頼朝(上)
    4.0
    父・義朝の野望が破れて後に固める頼朝の志とは? 新興武士団の力を背景に、権力の座をめざした父の行く末を、よくよく観た頼朝は、「武力だけでは、天下は取れない!」と悟る。乱世を舞台に、権謀術数が渦巻く闘いに身を投じた、熾烈な人間像を描く。伊豆の地から天下を窺う、頼朝の胸中には何が去来したか?
  • 池田屋乱刃
    3.6
    維新とは、志士とは何だったのか。池田屋事件で死んでいった志士たちを注目の歴史作家が熱く描く。「乃美さん、わたしは卑怯な男だ」――明治十年、死の床についた明治の元勲・木戸孝允こと桂小五郎は、かつての同僚に、事件の真実を語り始めた。池田屋で新選組に斬られ、志半ばにして散っていった各藩の志士たち。福岡祐次郎、北添佶摩、宮部鼎蔵、吉田稔麿。松陰や龍馬の周囲で懸命に生き、日本を変えようとした男たちの志とは。
  • ヨイ豊
    4.0
    元治2年(1865)、清太郎の師匠・三代豊国の法要が営まれる。広重、国芳と並んで「歌川の三羽烏」と呼ばれた花形絵師だった。歌川の大看板・豊国が亡くなったいま、誰が歌川を率いるのか。弔問客たちの関心はそのことに集中した。清太郎には八十八という弟弟子がいる。粗野で童のような男だが、才能にあふれている。己が三代に褒められたのは、生真面目さしか覚えがないのに。──時代のうねりに、絵師たちはどう抗ったのか!
  • 藪医 ふらここ堂
    3.8
    江戸は神田三河町の小児医・天野三哲は、「面倒臭ぇ」が口癖。朝寝坊はする、患者は待たせる、面倒になると逃げ出す、ついたあだ名が「藪のふらここ堂」だ。ところがこの先生、見えないところで凄腕を発揮するらしい。三哲に振り回されながらも診療を手伝う娘のおゆん、弟子たち、ふらここ堂の面々の日常と騒動を描く!
  • 梟の系譜 宇喜多四代
    3.9
    備前・砥石城の宇喜多能家は浦上宗景の重臣であったが、一方の重臣島村宗政に攻められ、中風を患い籠城もかなわず、息子興家と孫の八郎を逃す。食うにも事欠く放浪の旅を経て、祖父能家の仇討ちと家名再興の期待をかけられた八郎あらため直家は、浦上宗景の配下としてその名を上げていく。毛利、尼子、織田と周囲を囲まれる中、織田の配下の秀吉と誼を通じるなど、謀略を駆使して戦乱を生き抜こうとする直家とその一族の命運は!?
  • 悪道 御三家の刺客
    5.0
    江戸で頻発する神隠し。その正体に迫った伊賀の末裔、流英次郎は、阿芙蓉に侵された幕府高官や吉原の花魁たちの実態を知る。麻薬と人身売買の恐るべき網を編み上げ、鎖国令を破るのは何者か。進めば抹殺、退けば暗殺。将軍の意を受けてとはいえ、巨大な組織を前に、英次郎一統はなすすべなし。海外からの最強の刺客が英次郎に迫る! シリーズ第三弾!
  • 覇帝フビライ 世界支配の野望
    3.0
    「欠点よりも長所を、失敗よりも功績を見よ」。この信条に基づきフビライは漢族、ウイグル人、ムスリムまで異なる民族を能力重視で登用、史上最大の帝国を築く。歴代皇帝が制圧できなかった南宋を慎重かつ果断に攻める戦略は圧巻! ユーラシアの陸と海の道を統合、世界を支配した覇帝の生涯を壮快に描く歴史長編。
  • 新装版 軍師二人
    3.7
    戦国の英雄たちの中で群を抜いて輝く二人の武将――天稟(てんぴん)の智将・真田幸村と、千軍万馬の勇将・後藤又兵衛。名将なるが故の葛藤と互いの深い洞察を語る〈軍師二人〉。徳川家康の女性観を描く〈嬖女(めかけ)守り〉。他、争乱の時代を生きた、戦にも、女にも強い、生き物の典型としての男たちを描く、興趣尽きない短編集。
  • 精姫様一条 お狂言師歌吉うきよ暦
    4.0
    いまをときめくお狂言師の歌吉は、幕府隠密をひそかに助ける「手駒」も務める。将軍家の姫の嫁ぎ先をめぐり下される密命。お吉でなければ聞き出せないことがある。「どの大名家でも将軍家のご息女を迎えるのを災厄のように恐れておる。迎えれば家格は上がるが、莫大な費(つい)えがのしかかってくるからだ」。町娘お吉の活躍が冴える直木賞作家の人気時代小説シリーズ。
  • 朱元璋 皇帝の貌
    3.8
    内乱が続いた元朝末期、困窮する民を救うために孤児から身をたてた朱元璋は、叛乱軍のなかで頭角を現していく。武勇の誉れ高き功臣や智謀に長けた軍師らも惹きつける魅力をいかにして伸ばしたのか。悪相といわれた男が、皇帝としての風貌を備えるに至った、史上最大の“成り上がり”半生を描く中国歴史長編。
  • 東京影同心
    3.0
    金子弥一郎は慶応3年に異例の若さで定町回(じょうまちまわ)り同心となったものの、幕府は瓦解して町奉行も消滅。新政府に仕官した同僚の誘いにも気が進まず、元岡っ引の始めた料理茶屋に居候を決め込んだが、ひょんな縁で佐幕派の「中外新聞」で種取り記者として探索にあたることに。元「八丁堀」同心の矜持を描く傑作長編。(講談社文庫)
  • 珍妃の井戸
    3.8
    列強諸国に蹂躙(じゅうりん)され荒廃した清朝最末期の北京。その混乱のさなか、紫禁城の奥深くでひとりの妃が無残に命を奪われた。皇帝の寵愛を一身に受けた美しい妃は、何故、誰に殺されたのか? 犯人探しに乗り出した日英独露の高官が知った、あまりにも切ない真相とは――。『蒼穹の昴』に続く感動の中国宮廷ロマン。(講談社文庫)
  • 光武帝(上)
    3.3
    紀元九年、安漢公・王莽が前漢を乗っ取り新帝国を建てる。だが儒教原理主義的な政策は民衆の反発を呼び、「赤眉の乱」が発生。漢帝室の血を引く豪族・南陽劉氏の御曹司劉秀も武張った兄劉演たちとともに否応無く反乱に巻き込まれてゆく。後漢帝国の創始者、光武帝劉秀の活躍を描く、新感覚の中国歴史巨編。
  • 天を測る
    4.1
    安政7(1860)年、咸臨丸が浦賀港からサンフランシスコを目指して出航した。太平洋の長い航海では船室から一向に出てこようとしない艦長・勝海舟を尻目に、アメリカ人相手に互角の算術・測量術を披露。さらに、着港後、逗留中のアメリカでは、放埒な福沢諭吉を窘めながら、日本の行く末を静かに見据える男の名は、小野友五郎。男は帰国後の動乱の中で公儀、そして日本の取るべき正しい針路を測り、奔走することになる―。知られざる幕末の英雄の物語!
  • 雲を斬る
    -
    父の仇を江戸の町に追う由比三四郎は、ある日、女郎屋に売られる娘おさとを助けた。しかし人買いの恨みを買い、首に五十両の賞金をかけられてしまう。次々と挑んでくる刺客、盟友の僧・快延、鳥舟で空を飛ぼうとする若者、妙に人なつっこい人買い―-。多彩な人間模様の中から、やがて仇討ち相手が見え隠れし始める。(講談社文庫)
  • 士魂商才 五代友厚
    4.0
    薩摩藩士の気概と商人の精神で、近代日本の礎を築いた風雲児、大阪商工会議所初代会頭・五代友厚。勝海舟、高杉晋作、グラバー、モンブラン伯爵……。人との出会いで彼はどう変わるのか。渡欧し大国と渡り合う小国ベルギーを見て、何を学び、何を日本に取り入れようとしたのか。痛快無比の活躍を描く歴史小説!
  • アウト オブ チャンバラ
    4.0
    湯女(ゆな)風呂大好きな、江戸版ダメフリーターの平六。ひょんなことから刀を拾い、侍気取りで町に繰り出すが……という「拾い刀、錆び刀」。昇進して罪人を拷問することを夢見る同心の山園は、夜鷹連続殺人事件の囮捜査で女に扮するよう命じられ……という「夜鷹同心」。など、カオス・シティー江戸を舞台に描く、奇想天外の新感覚時代劇、全6編。カオス・シティー江戸には変な奴が溢れている!
  • 逆ろうて候
    3.0
    「信長に仕えるくらいなら、浪人したほうがましや」。美濃にその人ありと知られた武将・日根野弘就(ひねのひろなり)は「信長を討つ」という決意のもと、新たな主を求め東国に向かった。が、苦労して仕官した今川家での待遇は、美濃の五千貫文に対してわずか百貫文。弘就の波乱と忍耐の人生が始まった。〈『浪々を選びて候』改題〉(講談社文庫)
  • 貧乏同心御用帳
    5.0
    剣は強いが情けに弱い。江戸町奉行所の町方同心・大和川喜八郎は32歳、独身なのに6歳から14歳までの孤児を9人同居させているかわりもの。黒羽二重の着流しに博多の帯を小粋に締めて、今日も悪を追って町を行く! 人情の機微と喜八郎の活躍をたくみに描く、連作短編4本を収録した柴錬の痛快捕物帳。(講談社文庫)
  • 東福門院和子の涙
    3.6
    徳川2代将軍の娘和子(まさこ)は、史上初めて、武家から朝廷に嫁ぎ、「稀なる福運の姫君」と称えられた。戦国を毅然として生きた女性・お市の方の血を引いて、自らの苦悩は決して語らない女性であったが、宮廷の冷たい仕打ちは、中宮の紅絹(もみ)の布が知っていた……。涙を秘めた慈愛の国母を描いて、深い感動をよぶ長編小説(講談社文庫)。
  • 天子蒙塵 1
    3.8
    さまよう溥儀。 紫禁城を追われた最後の皇帝(ラストエンペラー)は、日本の庇護下に。 混沌の中国で天命を、龍玉を抱く者は誰か。 累計590万部! 「蒼穹の昴」シリーズ第五部、堂々開幕!!(全4巻) 1933年春。 父の築いた国と軍を失った張学良は、欧州へ向かった。 清朝最後の皇帝・溥儀は「満洲国」の執政となっていた。 北京では前の大総管太監・李春雲が、一人の女性の許を訪れる。 紫禁城を去ってからの溥儀がいかにして生きたか、 その証言者は史上はじめて皇帝を離婚をした、元皇妃であった。
  • 劉裕 豪剣の皇帝
    3.5
    “史上最強”皇帝を生んだ下剋上! 1000人をこえる叛乱軍をたった一人で殲滅した稀代の剛勇の一代記。 貴族政治が民衆を苦しめた四世紀末の中国・東晋に歴史を激変させる男が出現。 その名は劉裕、貧しい家の出で食うために軍へ入った博徒だ。 戦地では先頭に立ち強敵を次々撃破。 出世すれども学はなく、政治に無関心。 規格外の男が剣の腕だけで切り拓いた道とは。 町の無頼漢から頂点へ。史上最強皇帝の一代記。
  • 福袋
    4.1
    今、いちばん勢いのある時代小説作家・朝井まかてが、こよなく愛する江戸の町を舞台に、歌舞伎役者や職人、商売人など様々な生業の人々の姿を、中身の詰まった8編の人情話に仕立てた傑作短編集。 1編目の「ぞっこん」では、「筆」が語り手になる。看板書きだったあるじと「筆」との出会いや情の深まりを、緩急をつけた落語調の文体で読ませる。2編目の「千両役者」は、ぱっとしない歌舞伎役者に千載一遇のチャンスが巡ってくる。もう後がない役者の焦りと、破滅と背中合わせの功名心が生々しく伝わる。3編目の「晴れ湯」は、湯屋(銭湯)を営む家に生まれた少女が主人公。客の戯作者や長屋のおかみさんたちのふるまい、子どもなりの家業への意気込み、江戸で恐れられた火事……。少女は大小のドラマに遭遇しながら、道楽者の父と働きづめの母という夫婦を、一つの男女の形として受け入れていく。続いて、自分のやりたいことを見つけた古着屋の少女が巻き込まれた揉め事に、愉快なオチを付けた4編目「莫連あやめ」。離縁された大喰らいの姉と、彼女を馬鹿にしながら利用する弟の、それぞれの顛末を活写した5編目「福袋」。さらに、女絵師が描いた枕絵が、昔の恋を照らす6編目「暮れ花火」。堅物の家主が、神田祭のお祭掛になってしまった7編目「後の祭」。その日暮らしの遊び人、卯吉と寅次の二人が助けた男からお礼にもらった品で商売を始める8編目「ひってん」。と、まさに福袋のように、何が入っているかわからないワクワク感とお得感。直木賞作家・朝井まかて初の短編集にして、第11回舟橋聖一文学賞を受賞した傑作!
  • 天下一統 始皇帝の永遠
    -
    主従の野心が「王国」を築く!いま話題の始皇帝、激動の生涯――質子(ちし)として生まれながら天下統一を成し遂げた初代皇帝を取り巻く圧巻の人間ドラマ! 「戦国七雄」がひしめく中国戦国時代。趙正(ちょうせい・後の始皇帝)は質子として趙の都・邯鄲(かんたん)で生まれた。父・子楚(しそ)が大商人・呂不韋(りょふい)の工作により秦王となるが急死したため、趙正が十三歳で即位する。呂不韋から権力を奪った趙正は韓を攻略。天下一統までの苦難と闘いに満ちた始皇帝の生涯をダイナミックに描く歴史巨編!
  • 神遊の城
    3.0
    応仁の乱末期、若き甲賀忍・三郎兵衛は細川京兆家当主暗殺のため京の今出川屋敷に潜入するが、返り討ちに遭い独りで生還する。10年後、足利第九代将軍義尚が、六角家征伐のため大軍を率いて湖南に陣を敷いた。三郎兵衛改め新蔵人は復仇のため、異父妹のお喬らと夜襲をかけるが、将軍に深手を負わせるにとどまる。手練れの武士に強烈な反撃を受けたためだ。新蔵人はお喬の目の前で爆死。お喬はその死を受け入れられず復讐を誓う!
  • 決戦!川中島
    4.0
    永禄四年九月十日(1561年10月18日)──史上最強同士の激突の瞬間に、武田信玄は、上杉謙信は、何を思ったのか。霧立ちこめる北信濃の要衝で、竜虎が激突する。稀に見る上級の駆け引き。従った武将たちの本心は!……戦国最強対決の「瞬間」に、7人の作家が参戦。累計19万部突破の大好評「決戦!シリーズ」第4弾!
  • 忍者烈伝
    4.0
    捨て子だった段蔵は、命の恩人である伊賀の天才忍者・上野ノ左から忍びの教えを授かる。恩師との離別後、幻術も会得した彼は、「鳶(飛び)加藤」の評判と腕を買われ、利害が交錯する風魔小太郎、上杉謙信、武田信玄らの元を渡り歩く。戦国時代に生きた忍者の、活躍と苦悩を描いた衝撃のデビュー作!
  • 唐玄宗紀
    4.0
    則天武后以来の女禍の時代を終わらせ、唐全盛期をもたらした玄宗には影の如き名臣があった。唐6代皇帝、玄宗。彼が「将軍」と呼んだ宦官にして名臣に高力士(こうりきし)があった。二人は女禍の時代に幕を引き、開元の治と呼ばれる繁栄を実現する。しかしやがて、楊貴妃の出現、安禄山の大乱によって国は止め処なく乱れゆく。唐帝国最盛期をもたらした皇帝の一生とその影となり支えた忠臣を見事に描く歴史大河小説。
  • レジェンド歴史時代小説 庖丁ざむらい 十時半睡事件帖
    4.0
    黒田藩の要職を歴任して、いまは隠居の身の十時半睡(とときはんすい)だが、藩の生き字引として尊敬を集め、藩士がらみのさまざまなトラブルの相談がしばしば持ち込まれる。刀剣マニア同士の悲喜劇、ノミの夫婦にまつわる騒動など、泰平の武士の人間的な側面に対して、半睡が経験にもとづくさばけた"十時さばき"をしてみせる。現代でも大いなる共感を呼ぶ時代小説の傑作。
  • 真田を云て、毛利を云わず(上) 大坂将星伝
    3.3
    豊臣秀吉最古参の家臣を父に持つ毛利勝永は若くして、九州豊前一万石の大名となる。天下統一を成した秀吉は高邁な理想の下、朝鮮に出兵するが……。石田三成の薫陶を受け、豊臣政権の次代を担う器と目された勝永の眼前に、徳川家康が立ちはだかる。戦国の世、志を貫いた男を爽快に描く歴史小説。(『大坂将星伝』改題)
  • 深川澪通り燈ともし頃
    3.8
    江戸で5指に入る狂歌師となった政吉は、野心のあまり落ちこぼれて行くが、唯一救いの燈がともっていて・・・。幼い頃親を失ったお若は、腕のよい仕立屋になれたが、1人の心細さがつのる時は、まっすぐに深川澪通りに向って・・・。辛い者、淋しい者に、無条件に手をさしのべる木戸番夫婦を描く、傑作時代長編。(講談社文庫)
  • 小説 琉球処分(上)
    3.8
    清国と薩摩藩に両属していた琉球――日本が明治の世となったため、薩摩藩の圧制から逃れられる希望を抱いていた。ところが、明治政府の大久保利通卿が断行した台湾出兵など数々の施策は、琉球を完全に清から切り離し日本に組み入れるための布石であった。琉球と日本との不可思議な交渉が始まったのである。
  • 新装版 戦雲の夢
    4.0
    土佐22万石の領主・長曾我部盛親は、関ケ原の戦いで西軍にくみしたため一介の牢人の身に落ちた。謫居の地を京都に定められた盛親は、再起への野望を密かに育み、旧臣5千人とともに大坂夏ノ陣に立ち上がったが……。大きな器量を持ちながら、乱世の流れに乗れなかった悲運の武将を鮮やかに描く傑作!
  • ぬけまいる
    3.9
    一膳飯屋の娘・お以乃。御家人の妻・お志花。小間物屋の女主人・お蝶。若い頃は「馬喰町の猪鹿蝶」と呼ばれ、界隈で知らぬ者の無かった江戸娘三人組も早や三十路前。それぞれに事情と鬱屈を抱えた三人は、突如、仕事も家庭も放り出し、お伊勢詣りに繰り出した。てんやわんやの、まかて版東海道中膝栗毛!
  • 股旅探偵 上州呪い村
    3.1
    ねじれたシダしか生えぬ土地、滝壺に吊された女の死体、底なしの井戸、棺から消えた死体がモウリョウとなり村人を襲う・・・渡世人三次郎が足を踏み入れた上州の山奥、火嘗村は、名状しがたいものに彩られていた。そもそも倉賀野宿で看取った病人が、村の災厄と名主屋敷の三姉妹の死を予言して果てたのだった。三度笠の三次郎は「あっしには関わりのねえ」事件に次々巻き込まれてゆく。本格ミステリと痛快股旅小説、奇跡の出会い!
  • ちゃんちゃら
    4.0
    江戸・千駄木町の庭師一家「植辰」で修行中の元浮浪児・ちゃら。酒好きだが腕も気風もいい親方の辰蔵に仕込まれて、山猫のようだったちゃらも、一人前の職人に育ちつつあった。しかし、ある日を境に、一心に作庭に励んでいた一家に、とんでもない厄介事が降りかかる。青空の下、緑の風に吹かれるような、爽快時代小説! (講談社文庫)
  • 長宗我部元親
    3.0
    弟や従兄弟と違い、色白で細身だったその姿から「姫若子」と揶揄(やゆ)されていた幼少期。父の心配もあり、22歳という遅すぎる年齢での初陣となった。だがそこで冷静な判断に裏付けされた、大胆な行動を披露する。始皇帝の血を引くとも言われる長宗我部家、その当主となり、元親は天下を目指す。
  • 隅田川浮世桜
    -
    文化の花咲く明治の世。興隆を極める歌舞伎界の御曹司・人気役者の羽村市之助が、大事な舞台に穴を空け、失踪した。市之助と馴染みの芸妓・志津香が苦衷の日を過ごす一方、志津香を育てた向島芸者・お良(りょう)の身辺には陰謀の影が迫っていた。梨園と花柳界を舞台に描く、芸と愛と人情の物語。(『花の堤』改題)
  • 皇妃エリザベート
    4.1
    「バイエルンの薔薇」と呼ばれ、ハプスブルク家六百有余年の歴史上最も美しいといわれた皇妃エリザベート。激動の時代、彼女は嫉妬と羨望のなか、皇室の因習に抗い自由奔放に生きた。没後百年を経てもオーストリアの人々の心を捉えてはなさない"シシィ"エリザベートの波瀾万丈の人生をいきいきと描いた決定版!
  • 一葉
    4.0
    15歳で戸主になり、貧しさゆえ作家になる決意をした樋口一葉。小説の師・半井桃水(なからいとうすい)への恋情、歌塾・萩の舎での屈託を抱え、極度の借金に追われながらも、わずか十数ヵ月で鴎外、露伴らから絶讃され近代文学の頂点に立つ。24年の生涯を全力で生ききった、稀有な天才作家の儚(はかな)くも美しい足跡を綴る、感動の長編小説。(講談社文庫)
  • 虹の刺客(上) 小説・伊達騒動
    -
    若き藩主を巡る策謀。権勢の行方はいずこに。仙台藩六十二万石。伊達政宗を超える大器と期待された3代藩主綱宗は、幕閣大老酒井忠清と共謀した有力家臣伊達兵部に陥れられ、二十歳にして隠居の身となった。幼い亀千代を擁立し、大藩を壟断する兵部。伊達家の重臣原田甲斐は、密かに起死回生を図っていたが!?史上有名な伊達騒動の真実に迫る圧巻! ※本書は1999年11月に朝日文庫より刊行されたものです。(講談社文庫)
  • 凱歌の後
    3.3
    宿敵・項羽を滅ぼし、戦国の乱世を征して、漢王朝を開いた男、劉邦。天下をとった彼が、真っ先に考えたのは、漢建国に力を尽くした功臣たちを抹殺することだった。謀反を恐れ、血の粛清を行ったのである。劉邦が子を産ませた姫妾たちは、寵愛を得るためしのぎを削る。劉邦と、彼を取り巻く9人の運命を描く(講談社文庫)。
  • 武田勝頼(一) 陽の巻
    4.0
    戦国の雄・武田信玄を継いだ青年武将勝頼は、しばしば猪突猛進、思慮分別の浅い武将だとの評価を受ける。だが、史料、史蹟を徹底的に調べると、全く別の人物像が浮かび上がる。戦国武将団の統領の懊悩と悲劇。激動の時代を生きた波乱の人生。ここにその実相が展開する。新田次郎の記念碑的歴史大作。(全三冊)
  • 追跡
    4.0
    仇を取る。そのために生きてきた――。 大人気シリーズ「おれは一万石」「下り酒一番」の著者による、心揺さぶる涙の名作! 板前になる夢が破れた若者・磯市は身を持ち崩し、 高利貸しの手先となって厳しい取り立てを行う毎日を過ごす。 そんな時、幼馴染みのおしなと再会し、荒んだ思いを抱く。 おしなの父・菊右衛門は、深川の名店の主人。 彼には、板前仲間だった磯市の父を殺したとの噂が……。 復讐劇の結末が心を打つ、涙の名作!
  • 酔象の流儀 朝倉盛衰記
    3.0
    越前の名門、朝倉家。五代当主・景孝のころ、軍奉行を務める朝倉宗滴は生涯初めての敗北を喫する。能登深くに攻め入るも味方の裏切りに遭い、総崩れとなった。その撤退戦の中で宗滴は15歳の若者と出会う。のちの山崎吉家だ。吉家は敗戦の惨劇を目の当たりにして心が壊れ、言葉を失っていた。責任を感じた宗滴は吉家を手元に置き、親子のように接する。その後、仏門修行を経て周りの民とも打ち解け、吉家はついに言葉を取り戻す。だが、吉家24歳のとき、思わぬ災難が降りかかる。実父・祖桂が謀反を企てて露見し、打ち首となったのだ。宗滴は所領半分と引き換えに吉家を救う。時が経ち、朝倉家当主は父・孝景の後を継いだ義景の代になる。軍事は宗滴に、政務は従兄の朝倉景鏡に委ねられた。宗滴は加賀に攻め入り、一揆勢を次々に討ち果たしていった。だがついに陣中に倒れ、後事を吉家に託した。また、育成していた吉家以外の四将にも加賀侵攻の継続を指示したうえで病没する。命の恩人であり父親代わりであった宗滴の遺命に従い、吉家は朝倉家を守ることを固く誓う。が、のちに将軍となる足利義秋の保護、織田信長の畿内進出、宗滴門下・五将内の対立、そして当主・義景の気紛れと、時代の波に翻弄された名門朝倉家の土台は根底から揺らぎ始めていた。そこで吉家が打った秘策とは!
  • 決戦!桶狭間
    3.8
    永禄三年五月十九日(1560年6月12日)。「海道一の弓取り」こと今川義元が、天下に号令せんと東進を開始。織田信長の所領・尾張に大軍が侵入したところでそれは起こった。丘陵地帯の地勢と豪雨を味方につけた、乾坤一擲の奇襲。三国の太守が寡兵による一撃で落命したしたのだ。「群雄割拠」から「天下布武」へ。戦国時代の流れを変えたこの変事は、本当に奇跡だったのか、それとも必然か!……戦国最大の逆転劇を、七つの視点で描く。累計21万部突破の大好評「決戦!シリーズ」第5弾!冲方丁(織田信長)砂原浩太朗(前田利家)矢野隆(毛利新介)富樫林太郎(徳川家康)宮本昌孝(今川氏真)木下昌輝(岡部元信)花村萬月(今川義元)
  • 決戦!大坂城
    3.6
    慶長二十年五月(1615年6月)。豊臣秀吉が築いた天下の名城・大坂城を舞台に、戦国時代最後の大合戦がはじまろうとしていた。乱世に終止符は打たれるのか、敗北は即ち滅亡……。7人の人気作家が、戦国最終決戦「大坂の陣」に参陣。累計16万部突破の大好評「決戦!」シリーズ第2弾!
  • 賢帝と逆臣と 康熙帝と三藩の乱
    4.0
    史上最高の名君にして政(まつりごと)の俊才の英知と決断! 北京に都して二十年足らず、後の大清帝国も未だ国定まらずであった時代。聡明な康熙帝は巧みに宮廷を掌握した後、国土南方に独立国家の如く存在する三つの藩廃止を決める。その最大の実力者、呉三桂は叛き大乱が始まる。若き皇帝と年老いた梟雄の心中に去来するものは? 清朝繁栄初期を見事に描く中国歴史小説。
  • 紫匂う
    4.1
    心極流の達人ながら、凡庸な勤めに留まる蔵太。二人の子供とともに穏やかに暮らす、その妻・澪。すれちがいの暮らしを送る澪の前に、一度だけ契りをかわした男・笙平があらわれる。側用人にまで出世したかつての想い人との再会に、澪の心は揺れる。今、ここで、心のままに生きられたなら――。直木賞作家が描く、人妻の恋。日本人の心が紡ぐ、美しく、哀しき恋。全国17紙に掲載された大人気連載!
  • 陽炎の門
    3.7
    下士上がりで執政に昇り詰めた桐谷主水。執政となり初登城した日から、忌まわしい事件が蒸し返され、人生は暗転する。己は友を見捨て出世した卑怯者なのか。三十半ばにして娶った妻・由布は、己の手で介錯した親友の娘だった。自らの手で介錯した親友の息子・喬之助が仇討ちに現れて窮地に至る主水。事件の鍵となる不可解な落書の真相とは――武士の挫折と再生を切々と訴える傑作。
  • レジェンド歴史時代小説 見知らぬ海へ
    4.5
    戦国末期、武田水軍の海将・向井正綱は、留守中に城が徳川軍の攻撃を受け、父と義兄を失う。彼は父の遺志を継ぎ、北条水軍との駿河湾決戦で奮戦、水軍の長として汚名を返上する。そんな正綱の元に父の仇、徳川軍への誘いが来た。家康からも一目置かれた海の侍の活躍を描く隆慶一郎、未完の海洋時代小説!
  • 恋歌
    4.4
    樋口一葉の師・中島歌子は、知られざる過去を抱えていた。幕末の江戸で商家の娘として育った歌子は、一途な恋を成就させ水戸の藩士に嫁ぐ。しかし、夫は尊王攘夷の急先鋒・天狗党の志士。やがて内乱が勃発すると、歌子ら妻子も逆賊として投獄される。幕末から明治へと駆け抜けた歌人を描く直木賞受賞作。
  • 新装版 箱根の坂(上)
    3.7
    応仁ノ乱で荒れる京都、室町幕府の官吏、伊勢氏一門の末席に、伊勢新九郎、後の北条早雲がいた。家伝の鞍作りに明け暮れる、毒にも薬にもならぬ人間で生涯をことなく送るのが望み、と考えていた。だが、妹分の美しい娘、千萱(ちがや)の出現が、彼の今までの生き方を激変させる契機となり覇者への道を歩み出した。
  • 新装版 アームストロング砲
    4.0
    幕末随一の文明藩、佐賀藩の鍋島閑叟(かんそう)は、若い秀才たちに極端な勉学を強いた。近習・秀島藤之助は、世界最新の高性能大砲の製造を命じられ、頭脳の限り努力する。酷使された才能は斃(たお)れたが、完成したアームストロング砲は、彰義隊を壊滅させ、新時代を開いた。風雲の中に躍動する男達を描く、傑作9編を収録。
  • 風渡る
    3.6
    秀吉の懐刀・黒田官兵衛と、日本人修道士・ジョアン。2人は、未曾有の変革の時を、時代の風を受けて生き抜いた。居場所を求めて駆け抜けた2人。信長から、キリシタン禁止令の時期を、折々にかかわりあいながら生きてきた2人。お互いの心にあるものを察しながら、時代を体現した黒田官兵衛とジョアンの交歓を、さわやかに描く。(講談社文庫)
  • 信長殺すべし
    3.5
    天正十年六月二日、明智光秀は本能寺に信長を討つ。果して黒幕は存在したのか、したならばそれは誰なのか。幾多の仮説を生んだ日本史史上最大の謎がいま明らかに。誰も気付かなかった歴史の真実、そして新事実の発見により導き出された驚愕の真相とは!? ミステリー界の気鋭がものにする超本格歴史推理。
  • 傾く滝
    4.4
    大名題の家に生れ、類いまれな美貌で“江戸の華”と謳われた八代目団十郎。しかし彼は、肉親との葛藤に悩み、芝居町を弾圧するご政道に不安をつのらせ、ついに仇持ちの浪人宮永直樹への破滅的な愛にのめり込む。謎の死に至る団十郎の伝説的な生涯を、江戸歌舞伎を背景に描いた、初期の代表的長編小説。
  • 新装版 北天の星(上)
    5.0
    鎖国令下、ロシア艦が蝦夷地に来襲。五郎治と左兵衛は、オホーツクへ連れ去られた。極寒の地で待ち受けていたのは、貧困と差別、そして言葉と文化の大きな壁であった。日本へ帰るため逃亡をくわだてるが、いまや故郷は遠い。容赦ない寒気と苦難の旅路が始まった 。大スケールの傑作歴史長編。
  • 王莽
    3.0
    「漢」滅び、「新」建つも!? 賢人皇帝の理想と破滅。漢帝国十代・成帝の時代。皇帝の従弟ながらも、苦学の日々を強いられる王莽(おうもう)。しかし彼は頭角を現し、十三代・平帝の摂政にまで上り詰める。そしてついには自ら皇帝となり新帝国を開くのだが!? 「簒奪者」としかみなされなかった王莽を、新たな視点で描いた中国歴史長編(講談社文庫)。
  • 仲蔵狂乱
    4.0
    〈存分に舞い狂うてみせてやる……〉江戸は安永――天明期、下積みの苦労を重ね、実力で歌舞伎界の頂点へ駆けのぼった中村仲蔵。浪人の子としかわからぬ身で、梨園に引きとられ、芸や恋に悩み、舞いの美を究めていく。不世出の名優が辿る波乱の生涯を、熱い共感の筆致で描く。第8回時代小説大賞受賞作。
  • 反三国志 上
    4.0
    蜀の劉備、魏・呉を滅ぼして三国を統一す! 巷間、流布されている「三国志」の叙述は誤りであるとし、全体をひっくりかえす、幻の書の完訳。悲劇の人物として描かれた劉備を、漢の中興をなした英雄として活写する。各陣営の勇将の活躍も生き生きと甦える。厳密な時代考証と人間描写で綴る一大歴史ドラマ。<上下巻>
  • 天風の彩王(上)藤原不比等
    4.0
    不遇から甦った男の知謀と野望! 天皇に疎(うと)まれながらも不屈に生きる、中臣鎌足の子・不比等の凄烈な生涯――天智天皇と中臣鎌足(なかとみのかまたり)が築いた近江朝は、壬申の乱により大海人皇子(おおあまのみこ、後の天武天皇)に倒される。鎌足の子・不比等(ふひと)は山科で戦乱を逃れたが、中臣氏を疎む天武天皇は、不比等に出世の機会を与えなかった。だが彼は、知謀と強運を武器に昇進をとげ、律令国家の基礎を作っていく。古代史小説の第一人者が描く、凄烈な男の実像。<上下巻>
  • 蘭と狗 長英破牢
    -
    蘭学者・高野長英が、火を放ち牢を破って、逃亡した! 岡っ引の瓢六は、「地獄まで追ってやる」と獰猛に吼えた。密偵役の女房が、巻き添えをくって焼死したからだ。世直しの信念に燃える長英は、瓢六の執念の深さが掴めぬまま、必死に逃亡する。逃げる長英、追う瓢六。サスペンス溢れる12年の闘いを描く、時代小説大賞受賞作。
  • 鷲の歌(上)
    -
    安政年間、琉球王国は日中両国に従属させられ、苦渋の中にあった。王朝高官は二派に分裂し、将来への確たる展望も見出せない。折しも、対外国貿易拠点としての利用を目論む薩摩藩主・島津斉彬(なりあきら)の圧力が、この島国を襲う。王朝の苦しみは、民衆の上にもさまざまな形で暗い影を落としはじめていた……。該博な知識と卓越した史観で、強大国の利害に翻弄される小国の悲哀と知識人の悩みを綴る歴史巨編。<上下巻>
  • 八股と馬虎 中華思想の精髄
    4.0
    中華思想とは何か? 始皇帝やいにしえの聖賢から毛沢東に至るまで、中国のなかに連綿と脈打ってきた思想──。じつは中華思想という言葉はあっても、その実態が精査されたことはかつてない。いや、できなかった。それはなぜか? 中国3000年の歴史を通じての謎であるこの命題に、いま筆者は渾身の力で迫る。中国史完結編。
  • 長崎犯科帳・青苔記 ほか五篇
    -
    肥後国の仏師・卯助が、銀札の版木を偽造し、贋札を作った事件の謎を追う「長崎犯科帳」。明智光秀の娘・秀姫が、織田信長の養女として、筒井順慶の養子・定次に嫁いだことによって起る波風をえがいた「青苔記」。大内裏の応天門が焼失した事件をめぐる、伴大納言、左大臣・源信、藤原基経の権謀の渦を書いた「応天門始末」……など、永井路子の傑作短篇時代小説7篇を収録。
  • 汚名
    3.0
    徳川家康に信頼され重用されて、幕府草創期に辣腕を振った能吏・本多上野介正純(こうずけのすけまさずみ)。二代秀忠の世になり、「宇都宮釣り天井事件」の嫌疑で失脚、奥州に無惨な幽閉の身となる。権力の非情と冷酷、汚名に甘んじる自己犠牲。一切を黙して配所に赴く正純の潔い人間像を、陰密の目を通して骨太に描き出す、傑作歴史長編。権力の冷酷非情に甘んじる、自己犠牲の武士道!
  • 千姫微笑
    -
    東西の楔(くさび)として、豊臣秀頼に入輿した徳川家康の孫娘・千姫。乳歯のはえかわりを気にする花嫁は、時にわずか6歳。人質同然の生い立ち、愛されぬ妻の哀しみ。身籠ることすら拒否された嫁の境涯に、またしても大坂落城の悲劇が――。男たちの戦国の論理に心で抗した千姫の波乱の生涯と、その周辺の女人像を鮮烈にして艶麗に描く、傑作長編時代小説。
  • 田沼意次(上)
    -
    旗本の長男として生れた田沼意次は、大胆卒直な、器量すぐれた若者に育ち、将軍世子・家重の側小姓に登用される。19歳で家督を継ぎ、美しい妻を得、出世を重ねて、やり手の上司・大岡忠光にとり込まれてゆく。有能だが、特に強い後楯を持たない意次は、進歩的な能吏として、どのようにして幕閣の迷路を生き抜いてゆくのか。田沼意次の生涯を描いた大作、全3巻。
  • 超高速! 参勤交代
    4.1
    ときは享保20年(1735)初夏、改革の嵐吹き荒ぶ8代将軍吉宗の時代。わずか1万5000石の磐城湯長谷藩に隠し金山の嫌疑がかかり、幕府老中から「5日以内に参勤せねば、藩を取り潰す」と難題をふっかけられた。若殿様以下7名は東国一の忍びの力を借りつつ、陸前浜街道、水戸街道、さらには山野を踏み越え江戸城本丸へ急ぐ。軽量化のため竹光しか持たない一行を阻む公儀御庭番と百人番所の精鋭。湯長谷藩の運命や如何!?
  • 新装版 捨て童子・松平忠輝(上)
    4.5
    捨て童子とは、この世ならぬ途方もないエネルギーを持ち、人を戦慄せしめる人物! 徳川家康の第六子でありながら、容貌怪異なため、生まれ落ちてすぐ家康に「捨てよ」と言われた"鬼っ子"松平忠輝の異形の生涯を描く、傑作伝奇ロマン小説。新鮮な発想や史観、壮大なスケールで完結をみた、著者最後の長編。
  • 花篝 御探し物請負屋
    -
    手習い師匠の息子藤井文平は齢十六。小柄で元服前の前髪立ちのためよく子供扱いされるが、二年ほど前から「御探し物請負い屋」の看板をかかげている。知り合った二枚目の哲哉とごつい岩五郎が、暇つぶしの助っ人を買って出てくれている。二人とも旗本家の部屋住みだが剣の腕はあり、秀才でもある。蒔絵の文箱、消えた盆栽……請負い屋の本領は、失せ物が見つかってからにある。江戸に生きる人々の機微を切なく描く連作時代小説。
  • 小倫敦の幽霊 居留地同心・凌之介秘帖
    -
    幕末、四方を海に囲まれた出島のような横浜外国人居留地。同心・草間凌之助のもとに厄介な事件が持ち込まれる。イギリス人の居住地区、リトル・ロンドンの屋敷で女の悲鳴が聞こえるという。その悲鳴は原因不明で死んだ前の持ち主のメイドの幽霊なのか!? それから程なくして日本人がピストルで撃たれて殺される。死体の脇に転がっていたのが羊羹のように甘い固形物。異国情緒漂う幕末横浜で謎が謎をよび、事件は拡大していく!
  • 天を衝く 秀吉に喧嘩を売った男九戸政実(1)
    4.1
    織田信長が天下布武(てんかふぶ)を掲げた頃、陸奥(みちのく)の南部家では内紛が続いていた。新たな時代を予見する九戸党の棟梁・政実(まさざね)は、ついに宗家を見切った。戦の天才「北の鬼」九戸政実が、武者揃いの一族郎党を束ねて東北の地を駆け巡る。著者が故郷を舞台に熱き思いを込めた歴史巨編「陸奥3部作」の最終章、待望の文庫化。(講談社文庫)

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