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Posted by ブクログ
槍一つで四国を平らげた長宗我部元親の実子であり、土佐二十二万石の領主・長宗我部盛親は、関ヶ原の戦いで西軍に加担したがために、一介の浪人の身に落ちてしまう。京にて蟄居する盛親は、再起の野望を胸中に育み、大阪の陣にその身を賭けて奮起するが…
出来事を淡々と説明する描写に乏しい反面、物語性が非常に強く、特に中盤以降、鬱屈した盛親が野望を抱くに至る展開には、久しぶりに胸の高ぶりを抑えることができませんでした。
なかでも、盛親の監視役である板倉勝重が、盛親の野心を計るべくした牽制と、盛親の見事な切り返しには、その「格好良さ」に舌を巻く思い。
そのやり取りは、末尾にて抜粋。
やはり武士の生き様は、心を揺さぶるものがあります。
それは、その身を賭けて信念を貫く気概に感動するからでしょうし、司馬遼太郎は、その気概を語るのに長けた作家です。
また、本書はこういった「熱い描写」に優れた一冊ですが、盛親とお里の愛慕の描写も見逃せません。
ところで、読後に気づいたのですが、本書は1961年に刊行されており、その翌年に「竜馬がゆく」や「燃えよ剣」が連載を開始しています。つまり、本書が著者として油の乗り始めた頃合の作品と考えると、その面白さに得心のひとこと。
▽以下抜粋
「しかし」
「しかし?」
「伊賀守どのの申されざま、武士に対するお言葉ではない。貴殿が日ごろあつかわれている公卿衆にはそのおどしは利き目がござろう。が、武士には逆の利き目になる。なるほど、拙者は日ごろ身をつつしんでいるが、他の者がそれをみれば、拙者が伊賀守どのにおどされて身をちぢめていると思う。そうなれば、拙者の一分をみせるためにも、不本意ながら、いまの境涯を捨て、再び武を立てて徳川どのに弓をひかねばならぬことになる。まるで、伊賀守どののお言葉では、暗に、拙者をして大坂に走れとでも申されているかのようじゃ」
「いや、これはあやまったり。勝重の不覚でござった」
Posted by ブクログ
長宗我部盛親が主人公です。
物語は秀吉の死から、大阪夏の陣まで。
盛親は、家康の勝利を読んでいましたが、
元親の死や家督相続により、どうにもならず流れるまま西軍につきます。
天運に任せて生きますが、京都での謹慎生活の中で、
一念発起し大坂の陣に臨みます。
盛親の人物像がとても良かったです。
盛親はその立場から、孤独を感じていたのかな、と思いました。
しかしながら、盛親は色々な人物にいとおしく想われています。
桑名弥次兵衛、林豪、雲兵衛、田鶴、お里、等々。
大名としては、野望のある人物が適格かもしれませんが、
盛親は欲がなく自然体でした。
どこか儚げな雰囲気を帯びているように感じます。
桑名弥次兵衛との関係の描かれかたが好きでした。
京都の蟄居先に、人目を忍んで訪問したシーン、
盛親と刃を交えることになった時の弥次兵衛の反応など。
好きな作品でした。
Posted by ブクログ
男としてどう生きるべきかの長曾我部盛親の苦悶、葛藤を描いていましたが、現代の「サラリーマン」の日々の葛藤や苦悶に通じるところ、男として、「人生の中で何ごとかを成さねば」という思いは良く分かります(理解出来ます)。
そして盛親自身が「自分の運を愛さない者に運は微笑しない。」云々とのくだりは他者への責任転嫁ではなく「自分自身の態度や言動からくる、いわば自己責任の大切さ」を思い知るくだりですが盛親はそれに気付きます。そこから盛親は成長を遂げていきます。
この事は自分自身と向かい合う事の重要性を記したものであり、私も常々、自分に言い聞かせて、日々の生活を送らなければならない事だと感じました。
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