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土佐22万石の領主・長曾我部盛親は、関ケ原の戦いで西軍にくみしたため一介の牢人の身に落ちた。謫居の地を京都に定められた盛親は、再起への野望を密かに育み、旧臣5千人とともに大坂夏ノ陣に立ち上がったが……。大きな器量を持ちながら、乱世の流れに乗れなかった悲運の武将を鮮やかに描く傑作!
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Posted by ブクログ
槍一つで四国を平らげた長宗我部元親の実子であり、土佐二十二万石の領主・長宗我部盛親は、関ヶ原の戦いで西軍に加担したがために、一介の浪人の身に落ちてしまう。京にて蟄居する盛親は、再起の野望を胸中に育み、大阪の陣にその身を賭けて奮起するが… 出来事を淡々と説明する描写に乏しい反面、物語性が非常に強く、...続きを読む特に中盤以降、鬱屈した盛親が野望を抱くに至る展開には、久しぶりに胸の高ぶりを抑えることができませんでした。 なかでも、盛親の監視役である板倉勝重が、盛親の野心を計るべくした牽制と、盛親の見事な切り返しには、その「格好良さ」に舌を巻く思い。 そのやり取りは、末尾にて抜粋。 やはり武士の生き様は、心を揺さぶるものがあります。 それは、その身を賭けて信念を貫く気概に感動するからでしょうし、司馬遼太郎は、その気概を語るのに長けた作家です。 また、本書はこういった「熱い描写」に優れた一冊ですが、盛親とお里の愛慕の描写も見逃せません。 ところで、読後に気づいたのですが、本書は1961年に刊行されており、その翌年に「竜馬がゆく」や「燃えよ剣」が連載を開始しています。つまり、本書が著者として油の乗り始めた頃合の作品と考えると、その面白さに得心のひとこと。 ▽以下抜粋 「しかし」 「しかし?」 「伊賀守どのの申されざま、武士に対するお言葉ではない。貴殿が日ごろあつかわれている公卿衆にはそのおどしは利き目がござろう。が、武士には逆の利き目になる。なるほど、拙者は日ごろ身をつつしんでいるが、他の者がそれをみれば、拙者が伊賀守どのにおどされて身をちぢめていると思う。そうなれば、拙者の一分をみせるためにも、不本意ながら、いまの境涯を捨て、再び武を立てて徳川どのに弓をひかねばならぬことになる。まるで、伊賀守どののお言葉では、暗に、拙者をして大坂に走れとでも申されているかのようじゃ」 「いや、これはあやまったり。勝重の不覚でござった」
長曾我部盛親の物語です。平凡な気質の好人物が、長曾我部の世子としてのあるべき姿に逡巡し、ついには天に己のうつわを賭けようと決意する過程が描かれます。大阪夏の陣で見せる藤堂高虎戦での采配は、今や敵味方となった旧臣下の見守る中で輝きを見せていきます。盛親の高笑いとともに清々しい余韻を残すすばらしい作品で...続きを読むすね。
長宗我部盛親が主人公です。 物語は秀吉の死から、大阪夏の陣まで。 盛親は、家康の勝利を読んでいましたが、 元親の死や家督相続により、どうにもならず流れるまま西軍につきます。 天運に任せて生きますが、京都での謹慎生活の中で、 一念発起し大坂の陣に臨みます。 盛親の人物像がとても良かったです。 ...続きを読む盛親はその立場から、孤独を感じていたのかな、と思いました。 しかしながら、盛親は色々な人物にいとおしく想われています。 桑名弥次兵衛、林豪、雲兵衛、田鶴、お里、等々。 大名としては、野望のある人物が適格かもしれませんが、 盛親は欲がなく自然体でした。 どこか儚げな雰囲気を帯びているように感じます。 桑名弥次兵衛との関係の描かれかたが好きでした。 京都の蟄居先に、人目を忍んで訪問したシーン、 盛親と刃を交えることになった時の弥次兵衛の反応など。 好きな作品でした。
この作品も司馬遼作品MYtop3の一つ。 司馬遼の大好きな維新の原動力、長宗我部侍のルーツが書かれています。
司馬遼太郎自分ランキング1位!(2011/12/1現在) 気楽に生きてきた。 急に大役がまわってきた!運でもあり準備不足でもあり、全てを失った。 でも、これでもいいのかもしれないな。。・・いや?違うかも? ・・違う。 自分はこれをやった!というものを作りたい。無理とわかっていても、それに全力でぶ...続きを読むつかりたい。 ぶつかった。成功もあった。 でもやっぱり負けた。 だけど、やってよかった^^ ふと考えてみたら、この人周りに愛されてるなぁ というか愛されすぎでしょうw 幸せな人だ
男としてどう生きるべきかの長曾我部盛親の苦悶、葛藤を描いていましたが、現代の「サラリーマン」の日々の葛藤や苦悶に通じるところ、男として、「人生の中で何ごとかを成さねば」という思いは良く分かります(理解出来ます)。 そして盛親自身が「自分の運を愛さない者に運は微笑しない。」云々とのくだりは他者への責任...続きを読む転嫁ではなく「自分自身の態度や言動からくる、いわば自己責任の大切さ」を思い知るくだりですが盛親はそれに気付きます。そこから盛親は成長を遂げていきます。 この事は自分自身と向かい合う事の重要性を記したものであり、私も常々、自分に言い聞かせて、日々の生活を送らなければならない事だと感じました。
泣けちゃう。戦国のゆとり世代はこんなこと考えて生きてました。夏草の賦・関ヶ原と合わせて読むと諸行無常感がとても耐えられない。
Remember Sekigahara!(関ヶ原を忘れるな) 長曾我部国親も元親も信親もいいけど盛親を忘れないでほしいんです。
長宗我部家第三弾です。 素晴らしかった…!!長宗我部盛親の生き方も私が今まで読んできあ武将達とはまた全然異なっているのもそうですが、、一冊の小説としても素晴らしい作品でしたっ!! 何度も読み返したくなる作品ですね!
元親の四男、長宗我部盛親の人生。関ヶ原で西軍に組みしたせいで大名から寺子屋の先生に。その後大阪の夏の陣にて散るまで。八尾の戦が盛親にとっては戦雲の夢、だったのかな。盛親と弥次兵衛の主従がせつない。でも読後感は爽やかでした。
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