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『東海道中膝栗毛』で一世を風靡(ふうび)するのはまだ先のこと。若き日の十返舎一九(じっぺんしゃいっく)、与七郎は平穏な暮らしに満たされず、憑(つ)かれたように旅を繰り返す。駿府から大坂、そして江戸へ。稀代のユーモア作家が心に抱いた暗闇とは何だったのか。意外な結末が深い感動を呼ぶ、直木賞作家渾身の長編小説。
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Posted by ブクログ
奥付は2011年3月15日第1刷。この頃読んだ本(何かは失念!)に触発されて江戸の紀行に関連する本を数冊購入したうちの一冊。変な先入観が無かった分、十返舎一九の伝記的小説ということも意識になかったため、読む驚きがあった。山東京伝、馬琴、写楽、豊国、北斎等々、教科書に出てくる有名人が同時代にいた凄さ。...続きを読む臣従する太吉という不思議なキャラクター。一九という戯作者の生涯を通して、江戸の生活が伝わってきて良かった。
「十返舎一九」といえば「東海道中膝栗毛」。 恥ずかしながら、これまで単なる知識としての名前しか知らなかった。 「弥次さん」「喜多さん」に至るまでの、人として、男として、 そして、作家としての苦悩が、ていねいに描かれていて、 読後、ずっしりとした感動に満たされる・・・。 当時の歴史についても、くわしく...続きを読む描かれていて、 そうした背景を知ることも楽しみを増幅させてくれた。 主人公・一九さんが、 どうしても旅に出たくなってしまう心・・・ ひとところにとどまっていられない心・・・ 強く共感して、一層、読後哀しみが深くなり、 感動も心の奥底に沈み、読後まだまだ、ひろがり続けている・・・。
台風のお陰で ぽっかり できた 家に居つく休みの一日 朝から 不穏な空の様子 そのうち ぱらぱらと落ちてきたなと 思ったら そのうち ものすごい風が… さて どうしよう と 思ったた時に ふと目に留まった一冊 ページをめくって ものの十分もせぬうちに すっかり江戸期の大阪の町に 連れていか...続きを読むれていた さすがに 松井今朝子さん 江戸期の浄瑠璃事情、読み本事情を ベースに、 その時代のスーパースターたち 十返舎一九を筆頭に戯作者たちが 綺羅星の如く登場する 物語の面白さは言うまでもなく その時代に生きた 人たちの相互関係、互助関係が なんとも興味深く語られていく ふと 気が付くと いつのまにやら 大雨と大風を もたらした台風もいつのまにやら 過ぎ去って 夕方の草叢の中から コオロギたちの声が 届いておりました
円朝の女の感想書いてて、これ読んでた事思い出した!だいたい面白いけど最後に分かる2人の関係がちょっと後味悪くて…自分はなるべく脳天気な話が好き。
「東海道中膝栗毛」の十返舎一九の若いころを描いたもの。前半はなかなか読み進めないなーとちょっと思っていたりしたけれど、真ん中くらいから、一九が江戸に出て戯作者となっていくあたりから、なぜだか急にすごくおもしろくなった! 当時の江戸の出版界?の話とか、蔦屋重三郎とか馬琴とか式亭三馬とか出てくるあたりと...続きを読むか。いきいきとしていて。やっぱり「吉原手引書」も読まなきゃ、と思った。
文庫化を待っておりました。嬉しい‼ 本書の前半は大阪が舞台で、「プリンセス・トヨトミ」を読み終わったばかりの自分は「大阪」らしさとはなんぞやとか思いつつ読んだりしました。 本作もさまざまな情報がてんこもりで、しかもそれが香道だったり江戸時代の出版界だったり旅であったりといちいちツボにはまるので楽し...続きを読むく嬉しく。 ただ、一九のことをあまりにも自分が知らなかったせいか、仕掛けがどうもピンときません。たぶん感の良い読者だったら文庫本裏表紙の紹介や書評を読んでから手に取ると、半分すぎたあたりでハハアと思うはず。ただ、それがうまく生きているのかどうか判らないんです。 人生再生の物語と読んじゃうと単純すぎるでしょうし。書き込まれたアレコレ、当時の出版界オールスターの描写を楽しめばよいのかな。
『東海道中膝栗毛』の著者、十返舎一九の若かりし頃の話。大坂と江戸の町人の生活が活き活きと描かれていた。やはり全く異なるものですね。戯作の世界だけでなく江戸文化の香遊びや人形浄瑠璃といったのも出てきて楽しめた。一九は素直で思いやりがあるんだけど、反面、この男はひとつの場所にじっとはしておられず、つなぎ...続きを読む止めて置くのは無理だろうと思うと薄情のような憎たらしく見えてしまった。でもそこから傑作が生まれた訳だが。あとは、弥次喜多道中のような話を勝手に思い込んでいただけにちょっと残念だったかなあ。
それなりの地位につきながらも違和感を感じていた男が本願を果たすまでの物語。日常から離れてみたいという願望は誰でも持つと思います。「こことは違うどこかに行こう。」と呼びかけているような題名に思わず本書を手にしました。最後、夢をかなえたはずの主人公に寂しさが漂っているのが現実的です。
十返舎一九もの。駿府の侍だった男が、大阪に流れて商家の入り婿となり、浄瑠璃台本を書くようになり、江戸に渡って山東京伝に出会い、作家となり、また旅に出て「膝栗毛」を執筆するまでの話。 この前に読んでいたのが「花伝書」シリーズだったので比べるとすらすらっと読める感じ。
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松井今朝子
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