Posted by ブクログ
2015年10月20日
前回読んだ『風の軍師・黒田官兵衛』とは違い、登場人物たちに血の通いも感じられて、視点の面白さを十分に堪能することができた。
「本能寺の変」や松永久秀の謀反の影にあの人物がいた、というのは、なんというか、言いえて妙だ。
うがった見方なのは重々承知だが、案外、官兵衛やキリシタンたちも、結局彼の掌の上にい...続きを読むたのかもしれない。
黒田官兵衛は天下人から恐れられたほどの人物だけれど、早世でありながら彼と並べられる「今張良」、もう一人の「兵衛」、よほどすごい人物だったのだろう。
しかし、今回の話、黒田官兵衛が主人公のような文句だが、読んだ印象としてはむしろ日本人修道士であるジョアンの方がそう呼ぶにふさわしい気がした。
歴史上ではほとんど語られていない彼にこれほどまでの色彩を与えたストーリーテラーぶり、流石の葉室先生だ。
それにしても、好きな歴史的人物はより好きに、それほどでもない人物は好きに、嫌いな人物さえ愛おしくしてしまうのが葉室先生、という気がしていたのだけれど、今回もまさにその通りだった。