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応仁ノ乱で荒れる京都、室町幕府の官吏、伊勢氏一門の末席に、伊勢新九郎、後の北条早雲がいた。家伝の鞍作りに明け暮れる、毒にも薬にもならぬ人間で生涯をことなく送るのが望み、と考えていた。だが、妹分の美しい娘、千萱(ちがや)の出現が、彼の今までの生き方を激変させる契機となり覇者への道を歩み出した。
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Posted by ブクログ
戦国武将の先駆けとして名高い北条早雲の若い頃は、名門伊勢氏と言っても枝葉の方で、京で家伝の鞍を作っていたという。どう運命が変わっていくか。 上巻では、応仁の乱で荒れた京の様子がよく分かる。
北条早雲が大好きになりました。 戦国初期は、後期とは全く違う面白さがあるのですが、この本は本当に面白い!! 早雲が「実は一介の素浪人じゃない」と知ってからちょっと残念な気持ちになっていたのですが、司馬先生は本当に上手い見解をして下さいました。 将軍の弟の申次衆だけど…という設定は、悔しいが納得してし...続きを読むまいますね。実際はもっとバリバリの申次衆で馬の鞍作りなんてしなかったかもしれませんが、それでもまあ何もなければ相模の太主にはならないと思われるので。。。 という設定云々よりも、本当に面白い作品ですっ!!(説得力無…)(いや本当に面白いんですって!)
北条早雲の生涯を描いた歴史小説。上巻では早雲が京にて伊勢新九郎と名乗っていた頃が時代背景。 早雲は、小田原を拠点に民意を汲む稀有な戦国大名としては有名であるが、その若い頃の生き様を理解しないと後世の偉業を語ることはできない。おそらく当時の記録は限られているのだろうが、そこに十分に紙面を割くところが司...続きを読む馬遼太郎らしさであり、歴史をより身近に感じさせるのだろう。 室町後期、応仁の乱など幕府、朝廷、武士の関係が分かり難いところが多々あるが、当時の権力構造、力関係なども本著を通じて理解することができる。 以下引用~ ・足利三代将軍義満のとき、この小笠原のもとに、礼式の再編がおこなわれた。その義に加わったのが小笠原氏、今川氏、伊勢氏で、とくに伊勢氏は殿中の作法をうけもって整備した。のち、日本人の行儀作法や冠婚葬祭の仕方などは、このとき確立したといっていいい。 ・日本史の奇跡は、宦官が一度も存在しなかったことである。その理由は、よくわからない。ひとつは、日本においては、平安朝も武家の時代も、後宮は女官によって運営されていた。ことさらに去勢した男子を用いなくても、女子に物事の運営能力があったということだろうか。 ・歴代の足利将軍家は、ほとんど領地をもたず、従って民から搾る租税で食っているわけではなかった。古今東西の歴史のなかえ異例なことに、将軍家の私経済のほとんどは対明貿易の現金収入でまかなわれてきた。従って狭隘な議論を立てるとすれば(足利)義政には民の面倒を見る義務はないとすらいえる。 ・応仁から文明につづいた京都の市街戦は、京の貴族の第館は社寺を焼き、公家たちは衣食に窮して地方の豪族を頼った。公家だけでなく、文芸、工芸の徒から料理人にいたるまでは地方に散った。このことが、京都文化の普及という意外な現象を生んだ。 ・今川氏は塩を戦略物資のようにあつかい、領域のそとに流れ出ることをきらって、厳重に禁止していた。 ・・・甲斐の山国で海をもたず、塩を駿河などから高い値で買わざるを得なかった。
いつ始まったのかもわからない、なぜ始まったのかもわからない応仁の乱に翻弄される京の人々。 天皇の側近、伊勢氏の屋敷の片隅に小屋を建て、鞍作りで細々と暮らしを立てている新九郎。 彼の立身出世物語のはずなのだが、10年ほどの歳が流れて、今のところまだ出世はしておらず、箱根にもたどりついていない。 上巻...続きを読むの主役は応仁の乱だったかもしれない。 今川家の嫡子を生んだ妹の千萱に呼ばれ、駿府へと向かうところで次巻に続く。 頭が切れ、肝が据わっているけれども、所詮本家本流にはなれない身分。 欲を持たず、目立つことなく、ひょうひょうと生きる新九郎の内心の思いは、本人にもわからない。 そんな彼がどうやって歴史の表舞台に躍り出てくるのか。 続きが楽しみ。
北条早雲のお話。 司馬先生らしさがとっても出ていて、ワクワクしながらも、 「おぉっ」と言いながら読める。 45歳で世に出始めて、北条家を作り、 後の北条家の基盤を作った手腕は本当に素晴らしいと思う。 また、室町時代から戦国時代への移り変わりがよく読み取れ、 歴史が楽しめる。
北条早雲の若き日の物語。京の鞍作りから、駿河に出立するまで。その時代の宗教、ものの考え方に言及し、当時の時代背景がよくわかり、思わず作品の中に没入してしまう。11.3.10
全巻通読後のレビューです。 代表的な下克上の大名である、北条早雲が主人公。 室町時代(応仁の乱以降)の様子が、政治的状況以外のこともよく書かれていて、非常に参考になる。 それに和歌も登場して、日本史や古典文学に興味のある人には、なかなか楽しめる作品になっている。 早雲の前半生は史料がないため...続きを読む、筆者の創作となっているが、これもなかなか楽しめる。 また、当時にあって、早雲の思想の新しさも、この作品を一際輝かせているし、早雲が駿河に入って以降の合戦の様子も生き生きと描かれており、いかにもその状況が目に浮かんでくるようであった。 小田原北条氏五代の礎を築いた早雲の領国統治の方針は、現代にも通ずるものがあるのではないか、と思った。
とある友人が司馬遼太郎の本を読んでいると聞いて影響を受けて司馬遼太郎の世界に飛び込んでみました。戦国武将、小田原の北条氏政の先祖、北条早雲の物語。
北条早雲その誕生たるや・・・。 鞍作りを生業とする伊勢新九郎、8代将軍足利義政の弟義視の申次衆を勤めてはいるが、義視の存在は無力そのもの、申次衆と言ったって秋の蚊ほどの力もない。 早雲以前の伊勢新九郎長氏時代が描かれている巻である。 40半ばまで世間に知られることもなく過ごした早雲、司馬さんは、早...続きを読む雲以前の新九郎時代に感心がつよく、さらに新九郎の思想形成に大きく影響した―というよりも早雲を生みあげたというべき―室町期の世情と応仁・文明の乱につよく心をひかれたと書いている。 時は応仁の乱の糸のような原因のうちのひとすじ、将軍継嗣問題が起こっているそのとき、司馬史観も光り、言うまでもなく興味深い。 個人的には当時でいう遠州出身の私としては、土地柄のわかる舞台、興味のある連歌師の登場と一層くいついて読んでしまった。まだ中が楽しみってことで★は4つ。
早雲という人の、静かな強かさがじわっとくる話です。舞台が駿河〜箱根〜関東なので、見知った地が出てくるのも親近感がわく。東海道線にゆられてのんびりと旅をしながらこの本を読む、というのがちょっとした夢です。
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司馬遼太郎
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