国内ミステリー - 東京創元社作品一覧
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3.8平安の都は盗賊やつけ火が横行し、乱れはじめていた。だが、そんな世情をよそに、藤原道長は「この世をばわが世とぞ思う……」と歌に詠むほど、栄華を極めていた。紫式部はといえば『源氏物語』の人気に困惑気味の日々。そんななか、式部が訪れたあるお屋敷に、道長が瑠璃という謎の姫君を密かに住まわせていることを知る。式部はこの瑠璃姫と道長になぞらえて物語を書きはじめたものの、次第に現実と物語が重なってきて……。瑠璃姫とはいったい何者なのか? 式部が時の権力者に対して仕掛けた雅な意趣返しとは? 『源氏物語』をめぐる謎を解き明かす、平安王朝推理絵巻第3弾!/解説=荻原規子
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4.0名探偵や怪人が登場する推理小説に夢中の小学生・森江春策。彼はある日黄昏の車窓から見つけた《電氣世界館》の看板に惹かれたのをきっかけに、謎の館と老紳士を巡る一夜の大冒険を体験した。やがて中学生となった彼は『黒死館殺人事件』に心酔する作家志望の青年と“存在しない13号室”の謎に挑む。その後も大学の級友の依頼で安楽椅子探偵となって下宿館の密室殺人の真相を見抜き、新聞記事の取材で訪れた廃ホテルの生首の謎を解く――心優しい少年が大人になる間に遭遇し解決してきた数々の不可能犯罪を年代順に収めた、ある名探偵のクロニクル。多彩なシチュエーションとトリックの限りを尽くしたマニア必読の一冊!/解説=太田忠司
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3.7
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3.5色覚障害者のサイト〈ランボー・クラブ〉。仲間を探す不登校の中学生・菊巳が偶然見つけた、そのサイトのトップに掲げられたアルチュール・ランボーの詩。フランス語など習ったこともないのに、なぜ僕はこの原語の詩を読めるのだろう? 「Aは黒、Eは白、Iは赤、Uは緑、Oは青……」。その時、僕にあるはずのない、鮮やかな血の色を見た記憶が蘇った。そして後日、何者かによってサイトの詩が書き換えられ、詩になぞらえた死体が発見された! 色覚障害の少年をめぐる事件の、驚くべき真相とは? 鮎川哲也賞受賞作家が贈る、傑作本格ミステリ。/解説=大矢博子
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4.0科学知識を駆使した奇想天外なミステリを描き、日本SFの先駆者と称される海野十三。鬼才が産み出した名探偵・帆村荘六が活躍する推理譚から、精選した傑作を贈る。麻雀倶楽部での競技の最中、はからずも帆村の面前で仕掛けられた毒殺トリックに挑む「麻雀殺人事件」。身元不明の美女の轢死事件に端を発した、神出鬼没の怪人“赤外線男”との対決を描く「赤外線男」。異様な研究に没頭する夫の殺害を企てた、妻とその愛人に降りかかる悲劇を綴る怪作「俘囚」。密書の断片に記された暗号と、金満家の財産を巡って発生した殺人事件の謎を解く「獏鸚」など、10編を収録した決定版。
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3.9【第13回鮎川哲也賞受賞作】帝ご寵愛の猫はどこへ消えた? 出産のため宮中を退出する中宮定子に同行した猫は、清少納言が牛車につないでおいたにもかかわらず、いつの間にか消え失せていた。帝を慮り左大臣藤原道長は大捜索の指令を出すが――。闇夜に襲われた中納言、消え失せた文箱の中身。縺れ合う謎に挑む紫式部を描いた第一部「上にさぶらふ御猫」。『源氏物語』が千年もの間抱え続ける謎のひとつ、幻の巻「かかやく日の宮」――この巻はなぜ消え去ったのか? 式部を通して著者が壮大な謎に挑む第二部「かかやく日の宮」。紫式部を探偵役に据え、平安の世に生きる女性たち、そして彼女たちを取り巻く謎とその解決を鮮やかに描き上げた華麗な王朝推理絵巻。
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3.0雪の舞う大晦日、山荘村である清沢郷へそれぞれの思惑を胸に人々がやってきた。矢吹駆の痕跡を追うナディア・モガール。山荘村の管理人として出稼ぎに来ていた刈谷正雄。休暇を過ごすために訪れたブッキーこと《私》と、若竹七海。原稿執筆のためにカンヅメを計画している法月綸太郎。幽霊山荘のリサーチに来た、大学生・有栖川有栖。やがて新年へと日付が変わるころ、幽霊山荘を探索していたメンバーは首なし死体を発見する! 次々に不気味な事件が起こる中、彼らは真相を暴けるのか? 豪華キャラクター6人の競演で贈る、本格リレーミステリ!
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5.0何らかの賞を獲ったら恋人の可能キリコへ求婚すると、心に決めていたミステリ作家の牧薩次。文英社の「ざ・みすてり」大賞に、薩次の作品が選ばれたと、新宿ゴールデン街の行きつけのスナック『蟻巣』に連絡が入る。店の面々がお祭り騒ぎの中、当の薩次は嬉しいはずなのにどこか煮え切らない態度……。一方、選考委員の三人が、一人は北海道のホテルのコテージで殺害され、一人は箱根橿の木坂近くで事故に、一人は行方不明に、と次々と不幸に見舞われる。ミステリ新人賞の選考会をテーマに、薩次とキリコの結婚のエピソードを描いた、〈ポテトとスーパー〉シリーズ幻の長編。/解説=西日暮里佐保
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3.7「本の探偵――何でも見つけます」という奇妙な広告を掲げる神保町の古書店主・須藤康平。半世紀近く誰も見たことがないという稀覯本を手に入れたと豪語するコレクター――果たして入手した本は本物なのか。幻の本を巡る騒動を描く「殺意の収集」、幼少期の愛読書を捜す女、古書店に戦前の本を売りに来る若い男、憑かれたように書物を集める老人の三者を結ぶ線から意外な犯罪が浮かび上がる「書鬼」、須藤が不倶戴天の同業者とオークションで競った花柳文献に隠された驚くべき秘密「無用の人」の全3編を収録する。(『古本屋探偵の事件簿』分冊版)/【目次】『古本屋探偵の事件簿』まえがき/殺意の収集/書鬼/無用の人/『古本屋探偵の事件簿』あとがき/解説対談 紀田順一郎・瀬戸川猛資
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3.0新内節を語れる友禅差しの模様師・脇田は、旅先で三味線弾きの芸者・彩子と出会う。脇田は彼女に惹かれるが、彩子と、酒と女で身を持ちくずした彼女の師匠の名新内語りが、以前ある殺人事件に巻き込まれたことを知る、「忍火山恋唄」。縫箔の職人・田毎は、自分の名前を騙る人物が温泉宿に宿泊し、デパートの館内放送で呼び出されるという奇妙な出来事に見舞われていた。そんな折、パーティで元恋人の鶴子と再会した時の出来事を思い出し……。ふたりの再会が悲劇に繋がる「折鶴」など全4編。ミステリの技巧を凝らした第16回泉鏡花文学賞受賞作。/【目次】忍火山恋唄/駈落/角館にて/折鶴/解説=末國善己
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4.0かつて戸根市に存在した暴力団・北浦組と大門組は、事あるごとにいがみ合っていた。そんなある日、北浦組の組長が殺害される。鑑識の結果、殺害後の現場で犯人が電話を使った痕跡が見つかった。犯人はなぜすぐに立ち去らなかったのか、どこに電話を掛けたのか? 正統派犯人当て「ダイヤル7」。船上で起きた殺人事件。犯人はなぜ死体の身体中にトランプの札を仕込んだのか? トランプの名品〈ピーコック〉をめぐる謎を描く「芍薬に孔雀」など7編。貴方は必ず騙される! 奇術師としても名高い著者が贈る、ミステリの楽しみに満ちた傑作短編集。/【目次】ダイヤル7/芍薬に孔雀/飛んでくる声/可愛い動機/金津の切符/広重好み/青泉さん/解説=櫻田智也
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-半七、銭形平次、顎十郎ら捕物帖でおなじみの“名捜査官”が江戸を騒がす奇怪な謎を追う「黎明篇」。軍靴の足音響く東京で、ナチスが探す“輝くトラペゾヘドロン”を巡る国家的謀略に巻き込まれた法水麟太郎・帆村荘六らの活躍を描く「戦前篇」。空襲の傷が癒えぬ東京で、神津恭介が“あべこべ死体”に遭遇し、明智探偵事務所宛の依頼を受けた小林少年が奇禍に見舞われ、帝都を覆う巨大な陰謀に、警視庁捜査一課の名警部集団のほか、大阪など各都市からも強力な援軍が駆けつけ総力戦を挑む「戦後篇」。五十人の名探偵たちの活躍を描く空前絶後のパスティーシュ三編に、「黒い密室――続・薔薇荘殺人事件」を特別収録する。
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-仕事に行き詰まっていたホラー作家の津久田舞々は、担当編集者の勧めで、駅前に自販機すらない過疎の町・古賀音を訪れた。そして町長直々に、この町のことを書き残してほしいと依頼を受ける。なぜわざわざホラー作家に頼むのか訊ねたところ、町長はこう答えた――ホラーを書いていらっしゃる方でしたら、そういう方面の耐性がおありだと思いまして。到着したその日から立て続く怪奇現象、次々姿を現す妖との共同生活、かつて古賀音に財をもたらした奇人の遺した謎。気弱な怪奇小説家が目にする、田舎町に秘められた想像を絶する「真実」とは? 稀代の物語作家が贈る、世にも不思議なジェントル・ゴースト・ストーリー!/解説=似鳥鶏 ※単行本『優しい幽霊たちの遁走曲』の改題・文庫版を底本としました。
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4.2団地に住む小学生が失踪しては数日で戻ってくる出来事が立て続けに発生している。ついては事件解明に力を借りたい。そんな匿名の情報提供を受けたゴシップ誌『月刊ウラガワ』の新人編集者・猿渡は、フリー記者の佐々木とともに現場となった城野原団地での取材を開始した。状況から家出かいたずらであることは明らかだったが、猿渡らが失踪方法を調査する最中に、別の子供が教師に見張られた授業中の学校から忽然と姿を消してしまう。彼らはどのように失踪しているのか、そしてその目的とは――。子供たちの切実なる闘いを描いた傑作ミステリ。/【目次】プロローグ/第一章 失踪する子供たち/第二章 光の密室/第三章 春は戻らない/第四章 秋分の決戦/第五章 夏を取り戻す/第六章 冬が終わるまで/エピローグ/単行本版あとがき/解説=辻真先
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3.3昭和12年(1937年)5月、銀座で似顔絵描きをしながら漫画家になる夢を追いかける那珂一兵のもとを、帝国新報(のちの夕刊サン)の女性記者が訪ねてくる。開催中の名古屋汎太平洋平和博覧会の取材に同行して挿絵を描いてほしいというのだ。超特急燕号で名古屋へ向かい、華やかな博覧会を楽しむ最中、一報がもたらされた殺人事件。名古屋にいた女性の足だけが東京で発見された!? 同時に被害者の妹も何者かに誘拐され――。名古屋と東京にまたがる不可解な謎を、一兵はどんな推理を巡らせて解くのか? 空襲で失われてしまった戦前の名古屋の町並みを、総天然色風に描く長編ミステリ。/解説=大矢博子
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3.7金塊を祭る金延村に怪盗マゼランを名乗る人物から届いた『祭の夜 金塊を頂く』という予告状。実際は金色に塗っただけの石なのだが、それが知れると観光客が来なくなると危惧した村の有力者の娘は名探偵音野順と推理作家の白瀬白夜に監視を依頼する。しかし、警戒する二人の前で起こったのは密室殺人で……空飛ぶ舟や湖の巨大生物が目撃されるこの村で何が起こっているのか? 大胆なトリックと切実な動機が胸を打つ表題作のほか、事件の影響で祭が廃止された村で観光客の遺体が発見される「マッシー再び」など4編を収録。引きこもりがちな名探偵が活躍する人気シリーズ第3の事件簿。/【目次】人形の村/天の川の舟乗り/怪人対音野要/マッシー再び/解説=青柳碧人
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4.5猫丸という風変わりな名前の“先輩”は、妙な愛嬌のよさと人柄をもち、愉快なことには猫のごとき目聡さで首をつっこむ。そして、どうにも理屈の通らない謎も彼にかかれば、ああだこうだと話すうちにあっという間に解き明かされていくから不思議だ。悪気なさそうな闖入者たちをめぐって温かな読後感を残す表題作や、電光看板の底に貼り付けられた不規則な文字列が謎を呼ぶ「ねこちゃんパズル」、一見変哲のない写真を巡って恐るべき推理が提示される「恐怖の一枚」など全五編を収録。日常に潜む不可思議な謎を、軽妙な会話と推理で解き明かす連作集。/【目次】ねこちゃんパズル/恐怖の一枚/ついているきみへ/海の勇者/月下美人を待つ庭で/解説=三橋曉
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3.5遺品博物館は、その名のとおり遺品を収蔵する博物館です。古今東西、さまざまな遺品を蒐集しております。選定基準については諸事情によりお話しできません。ただ、その方の人生において重要な物語に関わるものを選ぶことになっております……生前に約束した遺品の寄贈を受けるため、契約者の遺族の元を訪れる遺品博物館の学芸員、吉田・T・吉夫。この男が収蔵品として選ぶのは、死者自身の人生のみならず、遺された人々の人生にとっても重要な意味を持つ品々だった。彼が遺品と引き換えにもたらすのは、救済か、破局か――。熟練の技巧がえぐり出す、死者と生者を繋ぐ八つの謎物語。/【目次】川の様子を見に行く/ふたりの秘密のために/燃やしても過去は消えない/不器用なダンスを踊ろう/何かを集めずにはいられない/空に金魚を泳がせる/時を戻す魔法/大切なものは人それぞれ/解説=三島政幸
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4.32001年、新聞社を辞めたばかりの太刀洗万智は、知人の雑誌編集者から海外旅行特集の仕事を受け、事前取材のためネパールに向かった。現地で知り合った少年にガイドを頼み、穏やかな時間を過ごそうとしていた矢先、王宮で国王をはじめとする王族殺害事件が勃発する。太刀洗はジャーナリストとして早速取材を開始したが、そんな彼女を嘲笑うかのように、彼女の前にはひとつの死体が転がり……。「この男は、わたしのために殺されたのか? あるいは――」疑問と苦悩の果てに太刀洗が辿り着いた痛切な真実とは? 『さよなら妖精』の出来事から十年の時を経て、太刀洗万智は異邦でふたたび、自らの人生を左右する大事件に遭遇する。/解説=末國善己
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4.2海を望む街に建つ児童養護施設・七海学園に勤めて三年目となる保育士の北沢春菜は、毎日多忙な仕事に追われつつも、学園の日常に起きるささやかながら不可思議な事件の解明に励んでいた。そんな慌ただしくも幸せな日々に、学園の少年少女が通う高校の文化祭の日に起きた、校舎屋上からの転落事件が影を落とす。警察の見解通り、これは単なる不慮の事故なのか? だが、この件に先立つ春から晩秋にかけて春菜が奔走した、学園の子どもたちに関わる四つの事件に、意外な真相に繋がる重要な手がかりが隠されていた――鮎川哲也賞受賞作『七つの海を照らす星』に続く清新な本格ミステリ。/解説=千街晶之
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4.0ラルース家事件の傷心を癒しきれないナディアは、炎暑のパリで見えざる敵の銃弾を受けたカケルに同行し南仏地方を訪れる。風光を愛でる暇もなく、心惹かれる青年と過ごす夏期休暇は、ヨハネ黙示録を主題とした連続殺人の真相究明行へと一変する。二度殺された死体、見立て、古城の密室殺人、秘宝伝説、いわくある過去……絢爛に鏤められたモチーフの数々が異端カタリ派の聖地というカンヴァスに描き出されるとき、本格探偵小説の饗応は、時空を超えて読む者を陶酔の彼岸へ誘わずにはいない。口笛が〈大地の歌〉を奏で、二重底に隠された最後のからくりを闡明する瞬間まで、探偵の座を明け渡す矢吹駆。その真意はいずこに?/解説=奥泉 光
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4.0書簡体形式などを用いた独自の文体で読者を幻惑する、唯一無二の怪奇探偵小説の巨匠・夢野久作。その入門書にふさわしい四編を収録した傑作集を贈る。ロシア革命直後に語られる数奇な話「死後の恋」。南の島に流された幼い兄妹の悲劇を綴る「瓶詰の地獄」。満州を舞台に、日本兵と異国の少女の逃避行を描く「氷の涯」。虚言癖の少女、命懸けの恋に落ちた少女、復讐に身を焦がす少女の三人を主人公にしたオムニバス「少女地獄」。『黒死館殺人事件』『虚無への供物』と並ぶ、不朽の大作『ドグラ・マグラ』の著者の真骨頂を示すベスト・オブ・ベスト。/解説=戸川安宣
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5.0十四年前に発生した連続放火事件。その中で能勢幸春と竹島千鶴はそれぞれの母を失った。後に再会した二人は交際を始め、千鶴が妊娠、幸春は結婚の承諾を得るため千鶴の父・久信に会いに行くが、久信は交通事故で記憶障害──前向性健忘に陥り、事故以来六年もの間毎日同じ日を繰り返していた。対面の数日後、幸春の知人で放火事件の関係者でもあった木村泰典が、公園で頭から血を流して倒れているのを発見される。当初は強盗事件と思われたものの、悲劇はこれだけでは終わらなかった……。次第に疑心暗鬼に駆られてゆく幸春と千鶴の未来の行方は? 鬼才が放つ驚愕と感動のミステリ。
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-一一八三年、源氏の木曾義仲軍が平家を破って都入りした。しかし、平清盛の異母弟・平頼盛は都落ちした一門と決別し、都に留まっていた。そんな頼盛は、彼を知恵者と聞いた義仲に「首がない五つの屍から恩人の屍を特定してほしい」と依頼され……。第15回ミステリーズ!新人賞受賞作「屍実盛」ほか全5編。清盛が都に放った童子は、なぜ惨殺されたのか? 遠く離れた場所にいたはずの大姫が、父・源頼朝の話の内容を言い当てられた秘密とは? 平清盛や源頼朝などの権力者たちと対峙しながら、推理力を武器に生き抜いた頼盛の生涯を描く連作集。/【目次】禿髪(かぶろ)殺し/葵前(あおいのまえ)哀れ/屍実盛(かばねさねもり)/弔千手(とむらいせんじゅ)/六代(ろくだい)秘話/あとがき/参考文献/解説=細谷正充
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4.3平穏な家庭に育ち、26年間大きな恐怖に襲われたことがなかった会社員・友安小輪の生活は、ある日を境に一変した。恋人と同棲するアパートに突然謎の老人が現われ、執拗ないやがらせを始めたのだ。恋人は不自然に萎縮し、交番の警官はまともに取り合おうとしない。一方、都内に住む若夫婦が老人に襲撃され、夫は過剰殺傷の末に死亡、妻が攫われるという事件が起きる。幼い頃に姉を殺害されたことがきっかけで刑事になった“事件マニア”の佐坂湘は、くせ者ながら優秀な警視庁捜査一課の捜査官・北野谷輝巳と組み、妻の行方を追うが……。老人による不可解な犯罪、その先に待つ衝撃の結末とは。戦慄のサイコサスペンス。/解説=古山裕樹
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3.9マイスター・ホラを名乗る者の声に導かれ、2018年から1960年にタイムトラベルした加茂。瀕死の妻を救うためには、彼女の祖先である竜泉家の人々が殺害され、さらにその後土砂崩れにより一族のほとんどが亡くなった『死野の惨劇』の真相を解明し、阻止しなくてはならないのだという。惨劇が幕を開けた竜泉家の別荘で加茂に立ちはだかるのは、飾られていた絵画『キマイラ』に見立てたかのような不可能殺人の数々だった。果たして彼は、竜泉家の一族を呪いから解き放つことができるのか。今最も注目される本格ミステリの書き手が放つ、鮮烈なデビュー作! 第29回鮎川哲也賞受賞作。/解説=辻真先
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4.2パスタを一本つまみ上げ、噛んでみる。まだ少し早い。水洗いしてボウルに入れておいたレタスに手を伸ばそうとしたとき、金属音と、それに続いて重いものが屋根を転がり落ちていく音が聞こえた。誠が屋根から落ちたのだ。もう少し待ってくれてもいいじゃないの、パスタが無駄になっちゃうわ。いつも間が悪いんだから――夫の“事故死”をめぐり、一見おっとりした妻の中本さゆりと福家警部補が熾烈な心理戦を繰り広げる「上品な魔女」ほか三編を収録。類稀な洞察力を駆使して容疑者たちと対峙する警察官名探偵の活躍を描き、現代の倒叙ミステリを代表するシリーズに成長した〈福家警部補の事件簿〉第五集。/【目次】是枝哲の敗北/上品な魔女/安息の場所/東京駅発6時00分 のぞみ1号博多行き/解説=小出和代
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4.0埼玉県警の何森稔(いずもりみのる)は、昔気質の一匹狼の刑事である。有能だが、組織に迎合しない態度を疎まれ、所轄署をたらいまわしにされていた。久喜署に所属していたある日、何森は殺人事件の捜査に加わる。車椅子の娘と暮らす母親が、二階の部屋で何者かに殺害された事件だ。階段を上がれない娘は大きな物音を聞いて怖くなり、ケースワーカーを呼んで通報してもらったのだという。県内で多発している窃盗事件との関連を疑う捜査本部の見立てに疑問を持った何森は、ひとり独自の捜査を始めていく――。〈デフ・ヴォイス〉シリーズ随一の人気キャラクター・何森刑事が活躍する連作ミステリ第1弾。/【目次】二階の死体/灰色でなく/ロスト/あとがき/解説=杉江松恋
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-首都圏を震撼させた地下遺構連続殺人事件。その犯人も被害者の共通点も不明のまま、捜査は暗礁に乗り上げていた──。そんななか、地下遺構探索サークルを主宰する大学生・藤間秀秋、名探偵・七ツ森神子都とその助手・風野颯平らは、令嬢・御坂摩耶の依頼で、彼女の祖父である有名政治家が遺した別荘を訪れる。そこに隣接する地下遺構を調査中に山崩れが発生、身元不明の屍蝋化死体、摩耶の祖父が金塊を残したと信じるグループとともに、内部に閉じ込められてしまった。脱出方法を探して地下遺構を彷徨うなか、何者かに一人また一人と殺されていく。七ツ森と風野たちは連続殺人犯を突きとめ、閉鎖空間から無事生還できるのか。
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3.8運行しているはずのない深夜バスに乗り、彼は摩訶不思議な光景に遭遇した――奇妙な謎とその鮮やかな解決を描く表題作、中学生の淡い恋と不安の日々が意外な展開を辿る「猫矢来」、〈読者への挑戦〉を付したストレートなフーダニット「ミッシング・リング」、怪奇小説と謎解きを融合させた圧巻の一編「九人病」、アリバイ・トリックを用意して殺人を実行したミステリ作家の涙ぐましい奮闘劇「特急富士」。あの手この手で謎解きの面白さを提供する、著者会心の〈ミステリ・ショーケース〉。いいミステリ、あります。/【目次】Y駅発深夜バス/猫矢来/ミッシング・リング/九人病/特急富士
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3.3鎌倉在住の女性薬膳研究家・藤野真彩と知り合った柚木草平。10年前、高校二年生の時に失踪した同級生の目撃情報がこのところ増えているので調べてほしいと彼女はいう。早速、柚木は鎌倉に〈探す会〉事務局を訪ねるが、これといった話は聞けなかった。しかしその晩、事務局で詳細を尋ねた女性が何者かに殺害された――。急遽、殺人事件に調査を切り替えた柚木が見つけた真実とは? 娘の加奈子や、月刊EYESの小高直海らおなじみのキャラクターに加え、神奈川県警の女性刑事など今回も美女づくし。円熟の筆致で贈る〈柚木草平シリーズ〉最終巻。/解説=杉江松恋
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3.8「ちょっと待ってほしいのだが」私はトムという名の猫に話しかけた。猫に喋りかけていること自体、眩暈を覚える思いだったが致し方ない。前には猫がおり、自分は身動きが取れず、しかもその猫が私に理解できる言葉を発しているのは事実なのだ。目を覚ましたら見覚えのない土地の草叢で、蔓で縛られ、身動きが取れなくなっていた。仰向けの胸には灰色の猫が座っていて、「ちょっと話を聞いてほしいんだけど」と声を出すから、驚きが頭を突き抜けた。「僕の住む国では、ばたばたといろんなことが起きた。戦争が終わったんだ」――伊坂幸太郎、十冊目の書き下ろし長編は、世界の秘密についてのおはなし。野心的傑作。/解説=松浦正人
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4.0悲願の完全犯罪を成し遂げるべく、ホテルでの密室殺人を目論む犯人。目の前の扉を閉めれば完全犯罪が完成するというまさにその瞬間、一匹の黒猫が部屋に入り込んでしまった! 予想外の闖入者に焦る犯人だったが、さらに名探偵音野順と推理作家の白瀬白夜がホテルを訪れ……。猫一匹に翻弄される犯人を描いた表題作をはじめ、蝋燭だらけの密室殺人事件をめぐって(自称)名探偵琴宮と三千万円を賭けて推理対決をする羽目になってしまう「クローズド・キャンドル」など五つの短編を収録。気弱で引きこもりがちな名探偵音野順、第二の事件簿。/【収録作】密室から黒猫を取り出す方法/人喰いテレビ/音楽は凶器じゃない/停電から夜明けまで/クローズド・キャンドル/解説=青崎有吾
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4.3弁護士事務所へ出向勤務を命じられた探偵社員の「私」は、製薬会社の会計課員がアパートで殺され、保管していた三千万円余りが奪われた半年前の事件を担当する。弁護すべきは、当時被害者の部屋に居候していた倒産寸前の工場主。絶対的に不利な条件下で雲を摑むような証人探しを拝命した私は――表題作『雲の中の証人』のほか、三幕の法廷コント『公平について』や、物真似殺人を企てた男の物語『赤い鴉』、恋に燃える女子大生と助教授の悲喜劇『あたしと真夏とスパイ』など、短編集成四巻目となる本書には、六二年~七二年発表の九編を収める。【収録作】「逢う時は死人」/「公平について」/「雲の中の証人」/「赤い鴉」/「私が殺した私」/「あたしと真夏とスパイ」/「或る殺人」/「鉄段」/「めだかの還る日」
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-江戸時代末期、北町奉行所定町廻り同心の戸田惣左衛門は、若かりし日より悪人の捕縛や吟味に辣腕を振るい、『八丁堀の鷹』と謳われてきた。妻に先立たれ、園芸と囲碁を趣味にする惣左衛門と、やり手の父親を持ちながらどうにも気弱な息子清之介。対照的な同心親子が、時代に翻弄されながらも、遭遇した謎に真摯に対峙する。大老井伊直弼が暗殺された桜田門外の変を題材にした「逃げ水」、雪に閉ざされた旅籠での殺人事件の謎を描く表題作「雪旅籠」など全八編。惣左衛門親子に加え、惣左衛門の後添えとなる花魁お糸の推理もますます冴え渡る。時代ミステリ『恋牡丹』姉妹編、登場。【収録作】「埋み火」/「逃げ水」/「神隠し」/「島抜け」/「出養生」/「雪旅籠」/「天狗松」/「夕間暮」/後書き
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3.8“善良な”犯人たちの完全犯罪に隠された綻びを、福家警部補はひとり具に拾いあげながら真相を手繰り寄せていく――。未踏峰への夢を息子に託す初老の登山家・狩義之は、後援の中止を提言してきた不動産会社の相談役を撲殺、登り慣れた山で偽装工作を図る(「未完の頂上」)。動物をこよなく愛するペットショップ経営者・佐々千尋は、悪徳ブリーダーとして名を馳せる血の繋がらない弟が許せず、遂には殺害を決意する(「幸福の代償」)。――ふたりの犯人を追い詰める、福家警部補の決めの一手は。「刑事コロンボ」の系譜に連なる倒叙形式の本格ミステリ、シリーズ初の中編二編からなる第四集。/解説=西上心太
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3.3月夜の晩に 火事がいて/水もってこーい 木兵衛さん/金玉おとして どろもぶれ/ひろいにいくのは 日曜日――わらべ歌の歌詞どおりに、木兵衛屋敷が火事になり、屋敷の当主は顔を潰され、金玉をとられて死んでいた! 被害者の許には事前に事件を予告するかの如く、この歌の歌詞が届けられていた。調査に当たるのは、東京に出て私立探偵事務所を開いているぼく、山浦歩。旧友からの依頼を受けて久しぶりの故郷、善音寺市に帰ってくるや、待ち受けていたように事件が相次いで起こり、おかげでぼくはすっかり容疑者扱いだ。『ミミズクとオリーブ』『嫁洗い池』の主婦探偵シリーズでお馴染みの著者、初の本格長編推理。
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3.9娘を連れ戻してほしいのです――山間の過疎地で孤立する芸術家のコミュニティ、木更村に入ったまま戻らないマリアを案じる有馬氏。要請に応えて英都大学推理小説研究会の面々は四国へ渡る。かたくなに干渉を拒む木更村住民の態度に業を煮やし、大雨を衝いて潜入を決行。接触に成功して目的を半ば達成したかに思えた矢先、架橋が落ちて木更村は陸の孤島と化す。芸術家たちと共に進退きわまった江神・マリア、夏森村に足止めされたアリスたち――双方が殺人事件に巻き込まれ、川の両側で真相究明が始まる。読者への挑戦が三度添えられた、犯人当て(フーダニット)の限界に挑む大作。妙なる本格ミステリの香気、有栖川有栖の真髄ここにあり。
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3.0ある時は幻の珍獣アカマダラタガマモドキの捜索隊員、ある時は松茸狩りの案内人、ある時は新薬実験モニター、そしてある時は戦隊ショーの怪人役と、いっぷう変わったアルバイトに明け暮れる神出鬼没の名探偵・猫丸先輩が遭遇した五つの事件。猫コンテスト会場での指輪盗難事件と壮絶なドタバタを描いた「猫の日の事件」、幻の珍獣の存在を示す報告書焼失の裏に隠された真相に呆然とさせられる「幻獣遁走曲」、意外な真実が爽やかな余韻を呼ぶ「たたかえ、よりきり仮面」ほか2編を収録。著者の真骨頂である優しさとユーモア、そして謎解きの楽しさが遺憾なく発揮された愉快な連作集。/解説=光原百合/新版刊行によせて=倉知淳
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3.8「だいたいお前さん達は想像力ってもんが足りなさすぎるよ、新聞や雑誌にひょいひょい乗せられて、やれ空飛ぶ人だ空中散歩者だってはしゃいでるんだから。もう少し頭使って自分の考えで物を云いなさいよ」そう言い放ったこの、仔猫みたいなまん丸い目をした童顔の小男こそ名探偵猫丸先輩その人である。いろんなところにひょっこり出没しては、おかしな謎を鮮やかに解き明かして去ってゆく、憎めない名探偵の最初の事件簿。コミカルな筆致とロジカルな推理で読者を魅了し続ける正統派の本格推理作家、倉知淳が本格的なデビューを飾った連作集であり、最後には驚愕も待ち受けています。/解説=小野不由美/新版刊行によせて=倉知淳
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3.5優等生だがほかに取り立てて特徴のない高校生・開沢恭平は、日曜日に幼なじみの青柳菜加に呼びつけられ、一方的に相談された。昨日渋谷の雑踏で母親から置き去りにされた幼児を保護し、家まで送り届けたが、荒れ果てた無人の室内に危機感を覚え自宅に連れてきたという。これまでにも猫や犬、果てはアルマジロと様々な生き物を拾っては周囲を奔走させてきた前科を持つ菜加は、事の重大さをまったく認識していなかった。「誘拐罪。おまえがやったのは、れっきとした犯罪だ」――警察を含めた大人たちを頼らず、幼児を然るべき場所に送り届けるため、恭平たちの波瀾の一週間が幕を開ける!/解説=光原百合
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4.0暑く長い夏休み、2年ぶりに小笠原へ帰省した大学生の木村洋介。難病を抱え、次第に弱っていく初恋の女性・丸山翔子に会うに忍びなく、帰りにくかったのだ。竹芝からフェリーでおよそ26時間、平和で退屈なだけが取り柄だったはずの島では、前村長の娘で中高の同級生・一宮和希がストーキングされていると噂が立ち、島一番の秀才と謳われ、医学部を目指していた藤井智之は不可思議な言葉を呟く。どこか不穏な空気が漂うなかで、二つの事件が続けざまに起こる――。常夏の島を舞台に、名手が伸びやかに描いた青春ミステリが、大幅改稿、決定版で登場。/解説=千街晶之
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4.1様々な事情を抱えた子どもたちが暮らす児童養護施設・七海学園では、少女にまつわる七つの怪異が言い伝えられ、今でも学園で起きる新たな事件に不可思議な謎を投げかけていた。孤独な少女の心を支える“死から蘇った先輩”。行き止まりの階段から、夏の幻のように消えた新入生。女の子が六人揃うと“七人目”が囁く暗闇のトンネル……勤めて二年目の保育士・北沢春菜は、児童福祉司の海王の力を借り、謎解きを通して子どもたちが直面する悩みを解決すべく奮闘する。過去と現在を繋ぐ六つの謎、そして七番目の謎が解かれる時明らかになるもう一つの真実とは。第18回鮎川哲也賞受賞作。/解説=宇田川拓也
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4.2
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4.0愛知県警捜査一課に君臨する京堂景子警部補は、絶対零度の視線と容赦ない舌鋒の鋭さで“氷の女王”と恐れられている。そんな彼女が気を許せるのは、わが家で帰りを待つ夫の新太郎ただひとり。日々難事件を追ってくたくたになって帰ってくる彼女を、主夫として家事もこなす彼が料理とお酒でもてなしてくれる。そうして夕食を終えて一日の疲れもすっかり癒された頃、景子が事件の悩みを話すと、新太郎が鮮やかに解き明かしていき――。旦那さまお手製の美味しい料理と名推理が、今夜も京堂家の食卓を彩る。デザートまで取り揃えた安楽椅子探偵譚9編。/解説=大矢博子
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4.0夏休みの最中の8月4日、向坂香織たち風ヶ丘高校新聞部の面々は、取材で横浜市内の穴場スポットである、丸美水族館に繰り出した。館内を館長の案内で取材していると、B棟の巨大水槽の前で驚愕のシーンを目撃。な、なんとサメが飼育員と思われる男性に食らいついている! 駆けつけた警察が関係者に事情聴取していくと、容疑者は11人にもおよぶことに。しかも、それぞれに強固なアリバイが……。袴田刑事は、しかたなく妹の柚乃へと連絡を取った。あのアニメオタクの駄目人間・裏染天馬を呼び出してもらうために。“若き平成のエラリー・クイーン”が、今度はアリバイ崩しに挑戦。/解説=飯城勇三
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3.5ここ蝦蟇倉(がまくら)市では、不可能犯罪がよく起こる。少女は親友の犯罪を隠すために死体を処理し、レストランでは男女がワイングラスを傾けつつ友人の死を推理する。密室の謎を捜査する大学サークルの面々、互いに秘密を抱えて無人の球場で会話する高校生、常連客と推理談義を交わす中国茶房の女主人、少年が引き起こしたとされる陰惨な事件を追うルポライター。この街で起こる事件には、いつも出会いと別れが待っている。架空の都市を舞台に同世代の人気作家が競演する、「街」の物語。〈がまくら市事件〉その2。
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3.5不可能犯罪ばかりが起こる街、蝦蟇倉(がまくら)市。商店街や高校があり、市内電車も走っているこの街は、どこにでもありそうで、どこかおかしい。自殺の名所といわくつきの崖では殺人事件が起き、ふらりと街を訪れた青年は怪しい相談屋の仕事を手伝う羽目に。蝦蟇倉警察署捜査一課に存在する不可能犯罪係、何の変哲もない置物を要求する脅迫者、10トンの銅像に圧し潰された彫刻家。この街に住む人々の日常は、いつも謎に彩られている。第一線で活躍する作家たちが贈る、不思議な街の道案内。〈がまくら市事件〉その1。
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4.3新宿駅の九番線ホームで電車を待っていた牧薩次のうしろで鈍い爆音とともに売店から黒煙が上がった。パニック状態に陥った群衆は階段に殺到し、折り重なって転落した。死者9名、重軽傷者61名の大惨事であった。病院に担ぎ込まれた薩次は同室の若い被害者2人と意気投合し、その中の1人、三原恭助の実家、鬼鍬温泉に、退院後それぞれカップルで出かけることになった。だが、そこで密室殺人事件に巻き込まれる……! 『仮題・中学殺人事件』に引き続き、今度は「作者は 被害者です/作者は 犯人です/作者は 探偵です」と、作者が仕掛ける超ミステリ。ポテトとスーパーの名推理が冴える第2弾、ファン待望の新装版。/解説=はやみねかおる
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4.7世界情勢の変化と電子書籍の普及により、紙の本が貴重な文化財となった近未来。そんな時代に、本を利用者に無料で貸し出す私立図書館があった。“特別保護司書官”のワルツさんが代表を務める、さえずり町のサエズリ図書館。今日もまた、本に特別な想いを抱く人々がサエズリ図書館を訪れる――。本と無縁の生活を送っていた会社員、娘との距離を感じる図書館常連の小学校教師、本を愛した祖父との思い出に縛られる青年など、彼らがワルツさんと交流し、本を手にした時に訪れる奇跡とは。書籍初収録短編を含む、伝説のシリーズ第1弾、待望の文庫化。/【目次】第一話 サエズリ図書館のカミオさん/第二話 サエズリ図書館のコトウさん/第三話 サエズリ図書館のモリヤさん/第四話 サエズリ図書館のワルツさん/番外編 ナイト・ライブラリ・ナイト/真夜中の図書館のこどもたち/単行本版あとがき/文庫版あとがき それでもこの手に本を抱いて
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3.9僕の姉は怪談作家だ。本名にちなんだ呻木叫子というふざけた筆名で、専攻していた民俗学でのフィールドワークの経験を生かしたルポルタージュ形式の作品を発表している。ある日姉の自宅を訪ねた僕は、密室の中で両瞼を己の髪で縫い合わされて昏睡する姉を発見する。この常識を超えた怪事件は、彼女が取材中だった旅館〈影踏亭〉に出没する霊と関連しているのか? 姉を救う手掛かりを求めて宿へ調査に出向くことにした僕は、宿泊当夜に密室で起きた殺人事件の容疑者となってしまい……第17回ミステリーズ!新人賞受賞作ほか、全4編を収録。/【目次】影踏亭の怪談/朧トンネルの怪談/ドロドロ坂の怪談/冷凍メロンの怪談/解説=朝宮運河
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3.6神田神保町――江戸時代に旗本の屋敷地としてその歴史は始まり、明治期は多くの学校がひしめく文化的な学生街に、そして大正十二年の関東大震災を契機に古書の街として発展してきたこの地は、終戦から一年を経て復興を遂げつつあった。その街の一隅で、ひとりの古書店主が人知れずこの世を去る。男は崩落した古書の山に圧し潰され、あたかも商売道具に殺されたかのような皮肉な最期を迎えた。古くから付き合いがあった男を悼み、同じく古書店主である琴岡庄治は事後処理を引き受けるが――直木賞作家である著者の真骨頂とも言うべき長編ミステリ。/対談=門井慶喜×岡崎武志
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3.3シャーロック・ホームズとアルセーヌ・ルパン――ミステリ史に名を刻む両巨頭の知られざる冒険譚「「スマトラの大ネズミ」事件」と「mとd」。大石内蔵助が率いる赤穂浪士の討ちいりのさなか、雪の降り積もる吉良邸で起きた密室殺人「忠臣蔵の密室」。実はシャーロキアンだったアドルフ・ヒトラーがナチス・ドイツの戦局を左右しかねない事件に挑む「名探偵ヒトラー」。日本を訪れたラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が“怪談”の数々を解き明かす「八雲が来た理由」――在非在の著名人たちが名探偵となって競演する全五編。異才が虚実を織り交ぜ纏めあげた、奇想天外な本格ミステリ短編集。/解説=北原尚彦
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3.6カンボジアの地を彷徨う日本人少年は、現地のストリートチルドレンに拾われた。「迷惑はな、かけるものなんだよ」過酷な環境下でも、そこには仲間がいて、笑いがあり、信頼があった。しかし、あまりにもささやかな安息の日々は、ある朝突然破られる――。彼らを襲う、動機不明の連続殺人。少年が苦悩の果てに辿り着いた、胸を抉る真相とは? 激賞を浴びた第5回ミステリーズ!新人賞受賞作「砂漠を走る船の道」を巻頭に据え、連作化した『叫びと祈り』で2011年本屋大賞にノミネートされた俊英が放った、渾身の第一長編。第16回大藪春彦賞受賞作。/解説=吉田伸子
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3.0高校の同窓会に出席する予定の小説家・日能は、幹事から衝撃の事実を聞く。ずっと亡くなったと思っていたクラスメイトが、実は生きていたのだ。何をどう勘違いしてそう捉えていたのか、訝しみながら同窓会当日を迎えると、さらに謎は深まるばかり……「蓮華の花」。数年ぶりに訪れた書店で購入した文庫本に、謎のメッセージが挟まれており、そこから小学生時代のある出来事に結びつく「時計じかけの小鳥」。師と仰ぐ、都筑道夫の代表作〈退職刑事〉シリーズのパスティーシュ、「贋作『退職刑事』」など、論理的な謎解きにこだわった、六編を収録。/【収録作】蓮華の花/卵が割れた後で/時計じかけの小鳥/贋作「退職刑事」/チープ・トリック/アリバイ・ジ・アンビバレンス/集英社文庫版解説=巽昌章/創元推理文庫版解説=阿津川辰海
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4.2高校最後の文化祭当日、菜月は屋上でクラスメイトの拓未に告白された直後、人生3度目のタイムリープに巻き込まれた。この状態になった菜月は同じ1時間を5回繰り返し、最後の出来事が確定事項となるのだ。その1回目、菜月が告白されるより前に拓未は転落死してしまう。同じことが操り返されるはずだったのに、いったい何が起きたのか? 菜月は残り4回のタイムリープのなかで、拓未が死なない方法を探して奔走するが……。他人に心を開けない女子高生がクラスメイトを救うために校舎を駆けめぐる、鮮やかな学園タイムリープ・ミステリ登場。/【目次】プロローグ/第一章 繰り返しの時間/第二章 文化祭の幕開け/第三章 起こるはずのない事件/第四章 深まる謎/第五章 彼女の時間/解説=村上貴史
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3.7H大に通う中辻恵麻が、学生部の女性職員から無理矢理に紹介された、大型複合商業施設の忘れ物センター──届けられる忘れ物を整理し、引き取りに来る人に対応する──でのアルバイト。引っ込み思案で目立たない、透明なセロファンのような存在の私に、この仕事を紹介したのはどうして? キーホルダーや手袋など、なぜこんな他愛のない物を引き取りに来るの? 忘れ物の品々とその持ち主との出会い、センターのスタッフとの交流の中で、強張っていた心がゆっくりとほどけていく恵麻だが──。六つの忘れ物を巡って描かれる、心に染みる連作集。/【目次】妻の忘れ物/兄の忘れ物/家族の忘れ物/友の忘れ物/彼女の忘れ物/私の忘れ物/エピローグ/解説=若林踏
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4.1マリアと漣は大規模な希少動植物密売ルートの捜査中、得意取引先に不動産王ヒューがいることを摑む。彼には所有高層ビル最上階の邸宅で、秘蔵の硝子鳥や希少動物を飼っているという噂があった。ビルを訪れた二人だったが、そこで爆破テロに巻き込まれてしまう! 同じ頃、ヒューの所有するガラス製造会社の関係者四人は、知らぬ間に拘束され、窓のない迷宮に軟禁されたことに気づく。「答えはお前たちが知っているはずだ」というヒューの伝言に怯えて過ごしていると、突然壁が透明に変わり、血溜まりに横たわる男の姿が!? 好評シリーズ第3弾!/解説=宇田川拓也
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4.0終戦から間もない降誕祭(クリスマス)前夜、焼け跡の残る横浜・中華街の片隅で、隻腕の男が他殺体となって見つかる。犯人と思しき女性は更に娼婦を殺したのち自らも崖に身を投げて、事件は終結したかに見えた。しかし、二十年以上の時を経て、奇妙な縁からひとりの小説家は、殺された隻腕の男が陸軍大尉で、才能あるピアニストでもあった事実を知る。戦争に音楽の道を断たれた男は、如何にして右腕を失い、名前を捨て、哀しき末路を辿ったのか。そして、遺された楽譜に仕組まれたメッセージとは──美しき暗号が戦時下の壮大な犯罪を浮かびあがらせる推理長編。/解説=米澤穂信
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3.3九重高校で黒マスク姿の男による合宿費強奪事件が起きた。犯人のあまりの足の速さに、誰も追いつけない。できたばかりの探偵部に所属する浩介たち三人は解決のため独自に調査を開始するが、二度目の強奪の後に、事態は殺人事件へと発展してしまう――。夏の避暑地での不可解な連続殺人、ミステリ小説として書かれた殺人事件が実際の事件と重なっていることに気づいた作家の推理、大学病院での転落死の真相と、夜空に煌めく星のごとき全四編。学園ミステリにクローズド・サークル、二転三転するフーダニットとハウダニット。鮎川哲也賞作家が贈る、純度百パーセントのミステリ短編集。【収録作】黒いアキレス/夏の北斗七星/谷間のカシオペア/病院の人魚姫/あとがき
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4.2手話通訳士の荒井尚人は、ろう者の親から生まれた聴こえる子――コーダで、ろう者の日常生活のためのコミュニティ通訳のほか、法廷や警察で事件の被疑者となったろう者の通訳などを行っている。そんなある日、荒井が手話を教えている場面緘黙症の少年が、殺人事件を目撃したと伝えてきた。NPO職員が殺害された事件の現場が、少年の自宅から目と鼻の先だったのだ。話せない少年の手話は、果たして証言として認められるのか!? ろう者と聴者の間で葛藤しながらも、架け橋になろうとする手話通訳士の奮闘を描いた、『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』に連なる感涙のシリーズ第2弾。/解説=頭木弘樹
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4.3愛知県警捜査一課内で広く敬われながらも同時に恐れられている、通称“氷の女王”こと京堂景子警部補。ずば抜けた捜査能力と体術で犯人を追い詰めるクールビューティーな姿は、新人刑事・築山瞳にとって密かな憧れであり目標だ。そんな京堂警部補は、自宅に着いた途端に叫んだ――「ただいまあ。ねえ新太郎君、お腹空いたあ」「お帰り。今ご飯作るから」職場では鋼鉄の刑事、だが家では年下のダーリンにデレデレの景子さんと、イラストレーター兼主夫として妻を支えながら安楽椅子探偵の才能も発揮する新太郎君の名コンビによる謎解き7編!/解説=熊崎俊太郎(紅茶鑑定士)
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3.7月刊EYESの小高直海経由で、ある未解決事件を調べ始めた刑事事件専門のフリーライター・柚木草平。2年前、東南アジアからの留学生支援のボランティアをしていた女子高校生が殺害され、都内の神社で発見された事件だ。しかし、話を聞き始めた翌日に、ボランティア施設と同じビルにある雑貨店の店員が急死してしまう。事故か殺人か、2年前の事件との関連を疑う柚木だが……。当時から女子高校生殺害事件を追う所轄の女性刑事、ビルオーナーの母と娘など、調査で出会う女性は美女ばかり。二つの事件に隠された真実にたどりつけるのか――。“永遠の38歳”柚木草平の軽やかな推理。/解説=大矢博子
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-失踪から2カ月、トランク詰めにされた高見沢妙子の遺体が西伊豆で見つかった。愛人関係にあったカメラマンの浅倉が容疑者とされたが、人となりを知る田辺は浅倉の無実を信じて調査を始める。一方、鳴子温泉近くの林で不審な死を遂げた塾講師、坂口三郎。新妻の陽子は夫を殺した男を捜そうと手始めに遺品を整理する。二人のアマチュア探偵の行動はやがて重なり合い、事件の不可分な関係が浮かび上がった。更なる究明を委ねられた捜査一課の相沢と菊地は、墓標に託されたメッセージを通じて真相に至る。藤雪夫との共著『獅子座』『黒水仙』に続くシリーズ第3作にして桂子単独名義の処女作。
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3.2【倉知淳ノンシリーズ作品集成第一弾】死神を思わせる風貌の警部が、完璧だったはずの殺人計画を徐々に崩壊へと導いてゆく――倒叙ミステリ「運命の銀輪」をはじめ、残虐な場面が映し出されているにもかかわらず観客席の闇の中で微笑を浮かべる女性の謎を追いかける「闇ニ笑フ」、米大統領選挙の熱狂の最中に発見されたひとつの死体の謎をファンタスティックな筆致で描く力作本格推理「幻の銃弾」など7編収録。たくらみに満ちたミステリ・ワールドを二分冊で刊行!【収録作】「運命の銀輪」「見られていたもの」「眠り猫、眠れ」「ナイフの三」「猫と死の街」「闇ニ笑フ」「幻の銃弾」/単行本版あとがき
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4.0埼玉県警の元事務職員だった荒井尚人は再就職先が決まらず、アルバイトで深夜帯の警備員をする日々を送っていた。実は子供の頃からろうの家族と聴者との間で通訳を担ってきた荒井は、やむをえずその特技を活かして資格を取り、手話通訳士の仕事を始めることにする。荒井にとって手話とは、苦い思い出がつきまとうものだったのだが。そんなある日、警察時代に起きた殺人事件の被害者の息子が殺害される。かつて荒井が手話通訳をした犯人のろう者が、再び被疑者として浮かび上がってくるが……。手話通訳士・荒井尚人の活躍を描く〈デフ・ヴォイス〉シリーズ第一弾を改訂版で贈る。/解説=中江有里
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4.3死神から与えられた余命十五秒をどう使えば、「私」は自分を撃った犯人を告発し、かつ反撃できるのか? 被害者と犯人の一風変わった攻防を描く、第12回ミステリーズ!新人賞佳作「十五秒」。犯人当てドラマの最終回、エンディング間際で登場人物が前触れもなく急死した。テレビの前を離れていた十五秒間に、一体何が起こったのか? 過去のエピソードを手掛かりに当ててみろと、姉から挑まれた弟の推理を描く「このあと衝撃の結末が」。トリッキーな状況設定で起きる四つの事件の真相を、あなたは見破れるか? 衝撃のデビュー作品集。/【目次】十五秒/このあと衝撃の結末が/不眠症/首が取れても死なない僕らの首無殺人事件/あとがき/解説=千街晶之
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4.1夢の中では間抜けな“蜥蜴のビル”になってしまう大学院生・井森建。彼は郷里に帰省して小学校時代の同窓会に参加する予定だったが、駅前の食堂で気絶してしまう。そして失神中に見た夢の中で、活発な少年ピーター・パンと心優しい少女ウェンディ、妖精ティンカー・ベルらに遭遇し、ネヴァーランドと呼ばれる島へ行くことになる。だが、ピーターは持ち前の残酷さで、敵である海賊のみならず、己の仲間である幼い“迷子たち”ですらカジュアル感覚で殺害する、根っからの殺人鬼であった。そんなピーターの魔手は、彼を慕うティンカー・ベルにまで迫り……『アリス殺し』シリーズ第4弾。
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3.0推理小説の名探偵に憧れて開設した〈天野春近探偵事務所〉。主な依頼は浮気調査ばかりと理想どおりにはいかないが、ときにいかにも探偵らしい仕事が舞い込むこともある。しかしその大半は、春近の“霊の記憶が視える”という特異な能力を当てにした無茶なものだった。制約の多いその力に振り回されながらも、春近は霊と人を救うため調査を開始する。事件性なしと判断されたはずの資産家の死、二年前に借金を残して行方をくらましていた生死不明の失踪人の「死体」捜索――霊視探偵・天野春近が解き明かす二つの事件を描いた霊能力×ミステリ!/解説=大山誠一郎