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海を望む街に建つ児童養護施設・七海学園に勤めて三年目となる保育士の北沢春菜は、毎日多忙な仕事に追われつつも、学園の日常に起きるささやかながら不可思議な事件の解明に励んでいた。そんな慌ただしくも幸せな日々に、学園の少年少女が通う高校の文化祭の日に起きた、校舎屋上からの転落事件が影を落とす。警察の見解通り、これは単なる不慮の事故なのか? だが、この件に先立つ春から晩秋にかけて春菜が奔走した、学園の子どもたちに関わる四つの事件に、意外な真相に繋がる重要な手がかりが隠されていた――鮎川哲也賞受賞作『七つの海を照らす星』に続く清新な本格ミステリ。/解説=千街晶之
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Posted by ブクログ
保育士の春菜が勤める児童養護施設「七海学園」を舞台とするシリーズ第2弾。
前作中時間から一年後。春菜はふたたびいくつかの謎に直面しながら、自分の仕事、子どもたちの抱える傷に向き合っていく。冬、学園の生徒も通う高校の文化祭で転落事故が起こり─
冬(現在)・春・冬(現在)・夏、と一年で起こった謎をあいだに挟みながら現在進行形である「転落事故」の謎に迫っていく連鎖短編構成。
各謎解きの華麗さももちろんだが、児童保護関連の制度の仕組み、社会・家庭問題、傷つきながらも力強く生きる子どもたちを幻想的な文章で描き出す表現に感嘆する。
なんといっても子どもたちそれぞれの描きかたがいい。子どもを舐めてる大人が書いたり撮ったりした子どもメインの話ってそれが透けて見えて嫌いなんだけどそういうのがない。子どもたちは境遇ゆえに連帯もするし、共同生活ゆえに喧嘩したり孤立したりもする。だけどそれぞれがそれぞれの経験や性格をもとにいまを生きようとしている。そんな子どもたちを見守って支える仕事のやりがいや苦労も春菜を通して描かれる。
本作はいわゆる「驚愕の事実」ミステリなのだが、伏線描写が本当に繊細なのでその部分にきたときちゃんと「え?」と思ったしなんならすぐに再読したい!と興奮している。でもそれより、物語そのもの、文章そのものが素晴らしい。
Posted by ブクログ
七海学園シリーズ二作目。死に魅せられ惹かれる少女は、自ら身を投げたのか。謎めいた少女・瞭のことを春菜は気にかけていた。しかし心配なのは彼女についてだけでなく、日常の中で次々と事件は起こる。子供たちと向き合いながら事態の解決に奔走する春菜だが、やがて起こった転落事件が彼女の生活を一転させる。
不穏な事件から幕を開ける本作。再読なので、さすがにメインの謎はしっかりと覚えていました(初読時は完全に騙されたし、驚きました)。でも日常の謎的な部分は案外忘れていたこともあって、もう一度しっかりと楽しめました。連作ミステリとしても見事。
「晩秋の章」が実に楽しいです。子供に会わせろと要求し半ば立てこもる父親と春菜の攻防、はらはらするのに少し笑えてしまったりも。そして春菜の魅力が一段と感じられた物語でもありました。
もちろん楽しいだけでなく、つらい面も多くあります。子供たちの苦しみはそれぞれで比較できるものじゃないけれど、やはり瞭の孤独感が突き刺さるような気がしました。ある意味わかりやすい不幸ではない苦しみは、かえってつらい気がします。そして物語がここで終わってしまうことに前回は不安を覚えたのだけれど、ついに続編が……!
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