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台所のおと 新装版
台所からきこえてくる音に病床から耳を澄ますうち、料理人の佐吉は妻のたてる音が変わったことに気付く。日々の暮らしを充たす音を介して通じ合う夫婦の様を描く「台所のおと」のほか、「濃紺」「草履」「雪もち」「食欲」「祝辞」「呼ばれる」「おきみやげ」「ひとり暮し」「あとでの話」を収録。鋭く繊細な感性が紡ぐ名作集。 なにげない日々の暮しに 耳を澄ませ、目を配り、 心を傾ける。 透徹した感性が紡ぐ珠玉の短編集。 女はそれぞれ 音をもっている とかくあやふやに流しがちな薄曇りの感情に 端然とした言葉をあてがい、作中人物に息を吹き込む。 幸田文による人間観察の手つきについて考えていると、 江戸川乱歩とのある対話が脳裏に浮かんできた。 ――平松洋子(解説より) 新装版に寄せて、青木奈緒によるエッセイも収録 -
さくらさくら
彼は青い月光を含んだ冷たい夜の空気で胸を満たしたかった。けだるい足を運んで、彼がその開けはなった高窓の鉄枠に身をもたせかけた、その時だった。青い桜の下に、ふいに白い影が浮かび上がった。ぎくりと身を起こして凝らした目に淡く儚げな少年の姿が一瞬映り、瞬きする間もなく青い闇の中に溶け入って消えた。(本文より) 精神科医である安達実彦は、赴任先である郊外の病院を訪れた。中庭の中央には、明らかに古木と知れる、なんともいえない妖しい息づかいを感じさせるような桜があった。やがてその桜にまつわる不吉な伝説を聞かされて……。本格耽美サスペンス。 ●榊原史保美(さかきばら・しほみ) 東京都出身。立教女学院を経て中央大学文学部哲学科卒。1982年『小説JUNE』創刊号の最優秀投稿作に選ばれ、「螢ケ池」でデビュー。1985年、初の単行本、『龍神沼綺譚』を上梓。以降、民俗学、宗教学の素養を生かし、形而上学的テーマを昇華させた作品『鬼神の血脈』『荊の冠』等、多数発表。美意識に貫かれた作風により、「耽美小説の草分け的存在」と称されることも多い。1995年発表の『蛇神 ジュナ』より、ペンネームを「榊原姿保美」から現在のものに改めている。趣味は、陶芸、写真、近代建築・ギャラリー巡り。 -
若様とロマン
明治二十三年、ミナこと皆川真次郎は西洋菓子店を開いた。店には、旧幕臣の「若様組」の面々や、女学校に通うお嬢様・沙羅が甘い菓子と安らぎを求めてやってくる。しかし平和そうに見える世の中に、不穏な空気が漂いはじめていた。数年以内に“戦争”が始まるかもしれない――。 明治になって現れた「成金」のひとり、小泉琢磨は、戦へと突き進む一派の意向を押さえるべく動いていた。が、このままでは開戦派のやりたいようになってしまうという懸念から、今いる仲間以上に人を集めようと考える。 その秘策がなんと、「若様たちのお見合い」だったのだ! はたしてその成り行きは――? -
ニッポニアニッポン
21世紀の始まりを告げる、戦慄のテロ文学!地元を追い出され東京でひとり暮らしする17歳の少年・鴇谷春生(とうやはるお)は、日夜インターネットを渉猟し、トキに関する情報を集めていた。種の保存のために管理されるトキを解放することが自分の使命だと信じるようになった彼は、スタンガンと催涙スプレーを購入し、佐渡島を訪れることを決意するのだった。中学時代の同級生・本木桜への春生の思いと、地元を追い出される原因となった罪、明かされていく「ニッポニア・ニッポン問題の最終解決」の全貌……すべての妄執に囚われたまま、運命の時は近づいていく。 著者は、渋谷を舞台としたプルトニウムをめぐる攻防を刺激的に描いた『インディヴィジュアル・プロジェクション』で注目を集めた「J文学」の旗手。第125回芥川賞候補作となった本書は、国の天然記念物「トキ」をテーマに、日本という「国家」の抱える矛盾をあぶりだした中編小説だ。 17歳の鴇谷(とうや)春生は、自らの名に「鴇(とき)」の文字があることからトキへのシンパシーを感じている引きこもり少年。日本産のトキの絶滅が決定的であるにもかかわらず、中国産のトキによる保護増殖計画に嬉々とする「欺瞞」に違和感を抱いていた春生は、故郷を追われたことをきっかけに「トキの解放」を夢想しはじめる。その選択肢は「飼育、解放、密殺」のいずれか。「ニッポニア・ニッポン問題の最終解決」という自らが描いたシナリオを手に、スタンガン、手錠、催涙スプレーで武装した春生は、やがて佐渡トキ保護センターを目指す…。 「俺を一人にしたことを、この国の連中すべてに後悔させてやる」と決意する春生は、拠るべき場所もなく孤独にさいなまれながら生きる現代人の「いらだち」を増幅させた人物。現実と虚構との境界が崩れてしまった若者だ。本書がきわめてスリリングなのは、その虚構への扉が読み手にも開かれている点だ。春生が情報収集するサイトは、ほとんどが現実に存在する。「虚構」の象徴とされるインターネットが、本書では読み手と春生をリアルにつなぐ重要な接点となっている。読み手をたえず挑発し、いつしか作品世界へと巻き込んでしまう快作だ。(中島正敏) -
IP/NN 阿部和重傑作集
時代を小気味良く射抜いた峻烈なマスターピース、『インディヴィジュアル・プロジェクション』と『ニッポニアニッポン』。過激で真摯な言葉が吼えるように奏でるストーリーは、今なお新しく、その奇妙で暗示的な読後感は、当代無二のものがある。代表作2編を同時収録した贅沢な一冊。<解説・古泉智浩><収録作品>●『インディヴィジュアル・プロジェクション』最後の一文字に驚愕する、知的スリルに満ちた現代文学の金字塔渋谷で映写技師として働くオヌマは、かつてスパイ養成塾に在籍していた。オヌマの日記から伝えられる、プルトニウム爆弾を巡るヤクザとの攻防や、その撮影フィルムの存在……次第に気味悪く変調する日記は、一体何を明かすのか?●『ニッポニアニッポン』滑稽にすら映る少年の孤独が、テロルの可能性に変わるとき――引きこもりの童貞・鴇谷春生(とうやはるお)は、世間に対する嫌悪と怨念を一身に漲らせた17歳。「俺を一人にしたことを、この国の連中すべてに後悔させてやる……」そう誓った春生はネットを渉猟し、情報で武装。そして、ある復讐計画を企てる。文句なしに面白い! ストーリー至上主義のマンガ家であるオレが言うから間違いない!――古泉智浩氏(漫画家)なにもしないでいられない。けどなにしたいかわかんない。それならこれ読むっきゃない!――やついいちろう氏(エレキコミック)※本書は、2000年6月に新潮文庫より刊行された『インディヴィジュアル・プロジェクション』と2004年7月に新潮文庫より刊行された『ニッポニアニッポン』の合本です。 -
枕草子
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 『源氏物語』が「あはれ」の世界なら、『枕草子』は「をかし」の世界という。才たけた美貌の中宮・定子の豊かな文芸サロン。その自由で対等な、エスプリに溢れ、遊び感覚の男と女の交歓を、とりわけ中宮への深い敬慕をこめ、清少納言が、鋭い感性と知的批評的精神で活写した。平安の華麗な中宮生活の実態をつづった、唯一の記録文学。原文の巧みな表現を生かした、川瀬一馬の全訳付き。 -
サクラクエスト エピソードゼロ
短大に入学し、憧れの東京生活をスタートさせた由乃。胸に抱いた思いは「特別な“何者か”になりたい」。由乃には小学生の頃から、コンプレックスがあった。それは、自分があまりにも「普通」であること。いたって普通の両親の間に生まれ、金持ちでも貧乏でもない家庭に育ち、他人と比べて特に秀でたところも、目立つこともない。そういう自分が嫌だ。「普通」は嫌。「みんなと同じ」は嫌。具体的な夢やビジョンはまだない。でも、田舎を飛び出して、キラキラした東京で暮せば、普通でない何かにきっと出会えるはず……。だが、短大では「普通」に友達ができ、カフェやハンバーガーショップにも「普通」に通い、合コンにも「普通」に参加する。東京の女子大生として、ごく当たり前の日々が過ぎていく――そんな矢先、由乃はティッシュ配りのアルバイトを通じて、「有名になりたい」と夢を語る可愛い女の子・櫻子と仲良くなり、二人揃って芸能事務所のスカウトマンから声をかけられる。“何者か”になれるチャンス到来!? ただし、仕事は露出度かなり高め。櫻子は乗り気。由乃はどうする……? -
銀輪に花束を
ライディングはいくつもの対話で成り立っている……フリーホイールの金属音、コントロールレバーの操作感、景色や風切り音との対話。何よりも、自分との対話。そして自転車で出会う景色は、いつもどこか懐かしい。故郷の町で、旅先の自然の中で、巡り合う風景と小さな物語。人間に最も近い乗り物である自転車の上では、出会いも別れも、呼吸や鼓動と同じテンポで通り過ぎていく。早足で通り過ぎる時間の中から切り出された、いくつかの対話や物語を集めた、ショート・ストーリーの花束。その静かな片隅には、つねに一台の自転車がある。 ●斎藤純(さいとう・じゅん) 小説家。1957年、盛岡市生まれ。FM岩手在職中の1988年『テニス、そして殺人者のタンゴ』でデビュー。1994年『ル・ジタン』で第47回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。2005年『銀輪の覇者』(早川ミステリ文庫)が「このミステリーがすごい!」のベスト5に選出される。岩手町立石神の丘美術館芸術監督、岩手県立図書館運営協議委員などをつとめている。 -
探偵見習と化け猫
この世に 山田 海という男がいるが、身体の中には守護霊の男がいる。その守護霊は、生前の時の仲間である、天猫という千年以上も生きている化け猫に助けを求めるのだった。海という男は、生前に父から渡された遺言書というタイトルが書かれた本の内容の通りにしか生きられない人だった。それだけではなく、人から命令をされなければ行動することも食事を摂ることも出来なかった。乳を与えるにも、母親が手元まで抱きしめ口元まで導かないと飲めない。いや、プログラムが設定されていないロボットのような状態のために、口の開き具合から、含み加減まで言ってから、さあ吸って飲みなさい。そう言う命令をしなければ乳も飲めない赤子だった。二親は、歳を取れば普通の子になる。そう思いながら七歳が過ぎても治らなかった。父は、悲しみ、息子のことが心配になり。遺言書という本を書くのだ。それは、ロボットを動かす計算式のような内容であり。全ての事柄を思案しなくても良い。辞書のような物であり。父は生涯で十万冊以上も書き残した。そして、海と同じ?・・奇病であるロボット病が蔓延し・・・守護霊の鏡・・・化け猫の天猫・・・幼馴染の田中 沙那子・・・静・・・猫の天国・・・宇宙を航行できる都市型の船・・・箱舟・・・人類の誕生地・・・気付くのだ。全ての原因は竜なのだと・・・いや、違う。全ては・・・月人・・左手の小指の赤い感覚器官が導く世界・・・恋・・・誰の運命の導きの時の流れなのか・・・皆の幸せとは・・ -
true tears 小説版
それは「真実の涙」の物語――。 富山県の門前町で代々続く酒蔵の一人息子・仲上眞一郎は、絵本作家になることを夢見る高校生。仕事熱心で寡黙な父、家族思いだが過干渉気味の母、そして幼なじみの湯浅比呂美と共に暮らしている。 突然の不幸で両親を失ってしまった比呂美が、親の縁で仲上家に引き取られたのは1年ほど前のこと。学業成績優秀、バスケット部では1年生ながら主力選手を務め、校内では抜群の人気を集めて笑顔を絶やさない比呂美が、家に戻ると息を詰めるように過ごしていることに、眞一郎は心を痛めている。眞一郎の母・しをりは、身寄りのない比呂美を家に迎えながらも、なぜか彼女に冷たい目を向けているのだった。 小学生のころから比呂美の笑顔に惹かれている眞一郎は、母の態度に反発し、母をいまひとつ強く咎めようとしない父の姿勢にも不審を抱く。彼女を守りたい、あの笑顔を取り戻せるのは自分だけだと思うが、しかしながら彼女との心の距離にも気づいて、眞一郎はもう一歩を踏み出せずにいた。 そんな矢先、眞一郎は学校の裏庭で、木に登って降りられなくなっていた別のクラスの女子生徒・石動乃絵と出会う。ある出来事から「涙を流せなくなった」と語る乃絵の不可解な言動に戸惑いつつも、眞一郎は、比呂美とは異なる魅力を放つ乃絵と急速に親密になっていった――すると、眞一郎に久しぶりの笑顔を向けた比呂美が、どういうわけか「石動乃絵を紹介してほしい」と言い出して……。 -
小田切しん平 劇作集(1)2012~2017
歌舞伎台本、オペラ台本、映画台本、そして小説。コンテンツの面白さを満喫する多彩な台本を集めて 歌舞伎台本で、東日本大震災に取材した「陸奥下絡繰白波」、同じく未解決の東電女子社員殺人事件に取材した「紅地蔵夜鷹絵暦」。シャカ族殲滅という釈尊晩年の悲劇をオペラ化した「ビルーダカ〜シャカ国を滅ぼした哀しみの王」。防衛大学校に落語部を、と奮闘する防衛大女子学生を描く映画台本「武人娘あすか〜噺版・防衛大学校物語」。国際法を無視した中国の海洋最前線基地へ果敢に殴り込むアニメキャラの水着美少女たちを描く短編小説「南シナ海マリン・エンジェル作戦」。以上、ギリギリのテーマ設定で上演が危ぶまれる5篇を収録。 【目次】 劇作集刊行にあたって 陸奥下絡繰白浪 ビルーダカ〜シャカ国を滅ぼした 哀しみの王 武人娘あすか〜噺版・防衛大学校物語〜 紅地蔵夜鷹絵暦 怪談・東電女子社員殺人事件 南シナ海マリン・エンジェル作戦 【著者】 小田切しん平 1955年愛知県生。私大の文学部仏文科卒。卒論は後にノーベル賞受賞のル・クレジオ。広告会社、テレビ番組制作会社、クラシック音楽事務所を経て、21世紀からライター業。著書「東京パルチザン」「世界街頭広告図鑑」「老犬コロが教えてくれた幸福」、翻訳各種(英、仏、伊)。 -
まずはめでたや
思想犯の夫を刑務所にさらわれ敬遠されている私。しかしたった一人私に声をかけてくれたのが茂やんだった。 詩人生田春月の詩碑は私の生れた村の墓地のある小さな丘の、海の見渡せる景勝の地にあった。そこには私の祖父の墓もある。それへの思いと同じつながりでいつも春月碑をたずねていた。思想犯の夫を刑務所にさらわれていた私は、詩碑への道すがら幾人かとすれ違うが、むこうはだまってゆきすぎ、ぜったいに話しかけてこない。詩碑から立ち去ろうとしたとき、足音を聞き立ち止まった。薪を背負った男が近づいてくるのをみて碑のうしろにかくれようとすると「おしまい」と突然の仕事じまいのあいさつをされた。それは笑顔の茂やんだった。 【著者】 壺井栄 小説家 1899年 - 1967年 香川県小豆郡坂手村(現内海町坂手)生まれ。 坂手郵便局や役場勤務後、同郷の壺井繁治を頼り1925年に上京。以後東京。 1941(昭和16年)『暦』が第4回新潮社文芸賞を受賞。 1955(昭和30年)『風』で第7回女流文学者賞を受賞。 『母のない子と子のない母と』で第2回芸術選奨文部大臣賞を受賞。 1954(昭和29年)映画「二十四の瞳」(木下恵介監督、高峰秀子主演)が公開され、全国的ヒットとなり、小豆島と壺井栄の名が一躍クローズアップされる。 -
屋根裏の記錄
島の南端S港の村にある飲食店「おきん」。コウの記憶に消しがたい印象を残した数々の女たち。 黒々とそびえ立つ山の麓にひそやかに眠っている島の南端S港の村。三百戸足らずの家々がかたまっていて、この真夜中に起きているのは宿屋と料理屋と駐在の赤い灯と、そして汽船宿だけである。それからもう一軒、飲食店「おきん」があった。コウはおきんの裏に立てましした四畳半の屋根裏の部屋で思春期をおくる。おきんと屋根裏部屋に出入りをする人たち。コウの記憶に消しがたい印象を残した数々の女たち。その一人にすま子も入っていた。 【著者】 壺井栄 小説家 1899年 - 1967年 香川県小豆郡坂手村(現内海町坂手)生まれ。 坂手郵便局や役場勤務後、同郷の壺井繁治を頼り1925年に上京。 以後東京。 1941(昭和16年)『暦』が第4回新潮社文芸賞を受賞。 1955(昭和30年)『風』で第7回女流文学者賞を受賞。 『母のない子と子のない母と』で第2回芸術選奨文部大臣賞を受賞。 1954(昭和29年)映画「二十四の瞳」(木下恵介監督、高峰秀子主演)が公開され、全国的ヒットとなり、小豆島と壺井栄の名が一躍クローズアップされる。 -
桟橋
皆から仲間はずれにされていた千代だったが手をとって笑い、走るきっかけを作ってくれたのがミユキだった。 ものごころついて以来の千代は、夕方になると桟橋に出ている父親を呼びにやらされていた。十歳の時はもう母親の役目をしょわされていた。赤ん坊のころにはった「てっぺごうやく」でできてしまった禿のせいで、付いたあだ名は二銭銅貨。しがない境遇のせいで学校では何となく仲間はずれになっていた。 千代は小さくなってうしろの席に甘んじ、自分を主張することを忘れていった。勉強ができても彼女は手をあげなかった。そんな千代の手をとって、みんなが笑うときには笑い、走るときには走るきっかけを作ってくれたのがミユキだった。 【著者】 壺井栄 小説家 1899年 - 1967年 香川県小豆郡坂手村(現内海町坂手)生まれ。 坂手郵便局や役場勤務後、同郷の壺井繁治を頼り1925年に上京。 以後東京。 1941(昭和16年)『暦』が第4回新潮社文芸賞を受賞。 1955(昭和30年)『風』で第7回女流文学者賞を受賞。 『母のない子と子のない母と』で第2回芸術選奨文部大臣賞を受賞。 1954(昭和29年)映画「二十四の瞳」(木下恵介監督、高峰秀子主演)が公開され、全国的ヒットとなり、小豆島と壺井栄の名が一躍クローズアップされる。 -
35歳からの女道
30代は、女性が一番悩み、試行錯誤して、成長する時期なのではないだろうか。私も30代は、「ここまでやるか!」ってくらいいろいろ試した。そして今、思う。幸せになるのは、案外シンプルなことなんではないだろうかと。(本文より) 30代の過ごし方ひとつで、この後がもっと楽に、自分らしく生きられるとしたら…。35歳で結婚、子宮筋腫、流産、不妊を乗り越え、39歳で無事子供を出産。山あり谷ありの30代を過ごした著者が贈る、30代をもっと楽しく、もっと幸せに過ごすコツ。 ●横森理香(よこもり・りか) 作家、エッセイスト。現代女性をリアルに描いた小説と、女性を応援するエッセイに定評があり、『40代大人女子のための“お年頃”読本』がベストセラーとなる。代表作『ぼぎちん バブル純愛物語』はアメリカ、イギリス、ドイツ、アラブで翻訳出版されている。東京渋谷でコミュニティサロン「シークレットロータス」を持ち、「ベリーダンス健康法」の講師としても活躍。 -
小説 仮面ライダードライブ マッハサーガ
クリスマスイブの夜、再び悪が目を覚ます。過去にロイミュードに操られ、犯罪を犯したものたちが次々と刑務所から脱獄。アメリカから帰国した詩島剛は、元特状課に合流し、事件解決に協力する。捜査を進めるなかで、明らかになる驚愕の真実。そして、剛が仮面ライダーマッハに変身することになったきっかけとは!? -
艪
壺井栄はダメ男をいい男に描くのが巧い 小学校を普通は6年のところを8年皆勤したボンヤリ茂一は卒業すると、漁師の父親と海へ出て行った。 嫁は二度きたが交わり無くいなくなる。身体は大きいが、人と交わるのも争うのも下手な引き蘢りな茂一。 母親キシは40を超した茂一にどうぞ嫁をと願うのだが。 【著者】 壺井栄 香川県小豆郡坂手村(現内海町坂手)生まれ。 坂手郵便局や役場勤務後、同郷の壺井繁治を頼り1925年に上京。以後東京。 1941(昭和16年)『暦』が第4回新潮社文芸賞を受賞。 1955(昭和30年)『風』で第7回女流文学者賞を受賞。 『母のない子と子のない母と』で第2回芸術選奨文部大臣賞を受賞。 1954(昭和29年)映画「二十四の瞳」(木下恵介監督、高峰秀子主演)が公開され、全国的ヒットとなり、小豆島と壺井栄の名が一躍クローズアップされる。 -
同い年
登場する男たちは現在の島の男にも通じる これは戦争前、1940-41年頃の物語ではないだろうか。 壺井栄本人と思われる作家となったミネが島へ帰ると、 小学校同級会が急遽開かれる。8人の同い年が集まると40年の歳月が一挙に巻き戻される。 島の同級生たちの暮らしぶりが、現在の島のありようにも繋がっている。 【著者】 壺井栄 香川県小豆郡坂手村(現内海町坂手)生まれ。 坂手郵便局や役場勤務後、同郷の壺井繁治を頼り1925年に上京。以後東京。 1941(昭和16年)『暦』が第4回新潮社文芸賞を受賞。 1955(昭和30年)『風』で第7回女流文学者賞を受賞。 『母のない子と子のない母と』で第2回芸術選奨文部大臣賞を受賞。 1954(昭和29年)映画「二十四の瞳」(木下恵介監督、高峰秀子主演)が公開され、全国的ヒットとなり、小豆島と壺井栄の名が一躍クローズアップされる。 -
女委
鵜飼見習いの太助は偶然立ち寄った村が兵士達に襲われているのを見つけ、村の小作人・おりんを助け小さな洞穴に逃げ込む。おりんは三十路を過ぎても子供ができず、亭主に「石女≪うまずめ≫」と罵られ捨てられたばかりだった。 真っ暗で狭い穴の中、女性に触れたことのなかった太助は、おりんと密着せざるを得ず…… -
まちあい
31歳、独身女のハルは、自分の現状に迷いを抱いていた。仕事は楽しいがキャリアアップの見込みは無し。三年間不倫交際している間山修との将来は望めず、気持ちは冷めつつある状態。人前で弱音を吐くのを嫌うハルが、素の顔を晒せる相手は、幼なじみの美容師・アキだけ。 ある日、地元雑誌にアキの紹介記事が載っていることを知ったハルは、同じ立ち位置にいたはずのアキに差をつけられたような焦りを覚える。 そんな中、修から「会いたい」という連絡が入る。今の気持ちを確かめるために、ハルは修との待ち合わせ場所に向かう。 -
小説 仮面ライダー鎧武
鎧武とバロンの最終決戦が行われたのち、終末思想を信奉する秘密結社「黒の菩提樹」が暗躍を始める。そして、異空間をさまよう謎の男・狗道供界。謎のロックシードが沢芽市にばらまかれ、ふたたび混乱が訪れる。狗道供界と「黒の菩提樹」を倒すため、呉島貴虎、光実たちが立ち上がる! -
夕焼けとにょろり
突然、舌がしゃべりはじめた。 「にょろり」が彼の舌に寄生したのだった。 それは、どんなダサイ男も魅力的でモテモテにしてしまう性の魔物。 初体験 の苦い傷を心に抱える主人公「省吾」は、そのトラウマによる吃音にくわえデブで剛毛でニキビ面で、あげく酷いワキガの男だったが、「にょろり」の力によって生活は激変する。 話術のみならず容姿や体臭まで生まれ変わった彼は超モテ男に変身。 あらゆる年齢層の女性達(時に男性)を片っ端から口説き落としていく。 それは夢見ていた自分の姿だった。 ひたすら淫蕩生活にふける日々。 そんなある日、省吾の理想を具現化したような絶世の美女と出会い、恋人として付き合い始めるのだが・・・。 ※本作品は2008年に、ぶんか社より電子出版されていたものを加筆訂正し再発売。 表紙絵・寺澤晋吾 -
七日目の蝉
ミレニアムを迎えるすこし前の年、19歳の「きみ」と21歳になる「ぼく」は出会った。ふたりが恥じらいながら近づき、互いを求めあい、抱きしめあった時間は幸福そのものだった。永遠につづくように思えた。 しかし、突然きみは自殺してしまう――分厚い手紙を残して。そこに語られた衝撃的な体験と苦悩、知る由もなかった深い闇。物語はきみの死で終わらず、ぼくの日常は続いていく。 「きみ」の残してくれた甘く切ない思い出と救えなかった後悔、抱えるには重すぎる事実と向き合う「ぼく」。のどかな田舎の少女が闇から光を求めてきたはずの都会。そこは人のつながりさえもかき消してしまうような喧噪にあふれ、少女は心をすり減らしていった。 冒頭での蝉の童話と少女の姿が二重露光写真のように重なりあう、美しくも儚い恋愛小説。 ※本作品は2008年に、ぶんか社より電子出版されていたものを加筆訂正し再発売。 表紙絵・寺澤晋吾 -
放課後カイダン倶楽部
セーラー服姿の幽霊が出ると噂のある高校に赴任した岡村は、宿直の夜、校舎内に響く不審な足音を聞く。彼は噂の幽霊かと思い、その正体を確かめようとする。しかし、その足音の正体は、浜口と言う名の男子生徒が繰り返し校舎の階段を駆け上がる音だった。深夜の学校での奇妙な行動の理由を問い詰める岡村に、浜口は目標のタイムを出すためだと言うだけで納得できる答えは口にしなかった。だが、浜口の言動になぜか惹かれるものを感じた岡村は、階段を駆け上がる浜口に付き合うようになる。まるで部活の顧問でもするかのように。やがて岡村に心を開いた浜口は、なぜ階段を駆け上がるようになったのか、ようやくその理由を口にする……。 第4回「マイナビeBooks作品コンテスト」学園部門・優秀賞受賞! ■著者コメント■ 読みやすい短編小説です。タイトルにカイダンがつき、作中に幽霊も登場しますが、怖い話ではなく、さわやかな読後感です。 -
九十九耕一短編集
ぼくは畑のすみの小さな野菜売り場で出会った。「トゲなしサボテン 三百円」、そう書かれた紙とともに売られていたきみと。それから一緒に暮らしはじめて二ヶ月。相変わらず無口で名前さえ教えてくれないけれど、ぼくはなんとなく、きみの気持ちがわかるようになった。だけど突然、別れがやってきて……。 ――表題作『トゲなしサボテン』ほか、『さん・ちょっと・クッキー』『大臣のユウウツ』の3本を収録。 ■著者プロフィール■ 1970年10月10日生まれ。1994年『トゲなしサボテン』で「アンデルセンのメルヘン大賞」入賞。1995年『夜風のウィンディア』で同賞大賞受賞。以降、童話作家として活動。2000年に作品集『トゲなしサボテン』を愛育社より出版。WEBサイト「ストーリーゲート」に多数執筆。「つくも堂まめ本舗」として、豆本の制作やワークショップも行っている。 -
蟲籠のブルース
あたしはセックスでできてるお人形なんかじゃない あたしは水晶(みあき)。16歳のAV女優。嫌われ者の芋虫が、日本のゴダールと豪語する哀しいペテン師・大沢監督の手で、美しい蝶になり世間に羽ばたき出した。だけど恋人・達也は言う。裸のおまえには中途な恋愛感情しか湧かない、レンアイカ……の先の『ンジョウ』が見えないと。最後の『ンジョウ』を手に入れるためにあたしは……。「電子版あとがき」を収録。 ●末永直海(すえなが・なおみ) 1962年福岡県北九州市に生まれる。漫画家小林よしのりの秘書、ホステス、旅回り演歌歌手など数多くの職歴を経て、1996年デビュー作となる「薔薇の鬼ごっこ」で第三回蓮如賞優秀賞を受賞。2002年「百円シンガー極楽天使」が文化庁の主催する海外輸出小説、昭和~平成の優れた日本文学27作品に選出され、アメリカ、イギリス、ロシアで翻訳刊行される。 -
占いの館
主人公の高瀬俊は、歌がうまいこと以外何のとりえもない男子高校生。世の中は顔だと思い、自分は何の努力もせずイケメン男子にひがんでばかりいた。しかし、ある日、ひょんなことから自分がイケメンに見える世界での生活が始まる。学校に行くと、下駄箱いっぱいのラブレターが入っていたり、歩いただけで黄色い歓声が響き、お昼にはお弁当やお菓子の差し入れがくるという人気ぶり。最後に俊が選ぶ自分が生きたい世界は、イケメンに見える世界なのか?それとも……? ■著者コメント■ さえない男子高校生高瀬俊が、ひょんなことから自分がイケメンに見える世界へ行き、生活することになる。イケメンになれば、バラ色の人生が送れるのか?モテない男子諸君に是非読んで欲しい1冊。 -
紫の咲く頃
夏休みに祖父の家に遊びに来ていた紅(コウ)はアオという少年と出会い、毎日のように遊んでいた。しかし、ある日アオが死んでしまい、紅の日常は一変する。自分の所為で死んでしまったと、その日を境に生きる気力を失くした紅はただ過ぎる毎日を過ごしていた。そんな時、転校生として「宮野蒼」というアオと同じ名前の人物がやってくる。別人だと分かっていても、ざわざわと心が揺れるのを止められなかった。しかし、一度話してみれば蒼は本当に”いい奴”で、転校してすぐクラスの皆とも打ち解け、紅自身も穏やかな気持ちで過ごすことが出来た。完璧な人物像、隙が無い蒼だからこそ日に日に増していく違和感。果たして蒼とアオの関係は、紅は後悔の日々から抜け出すことは出来るのか。 ■著者コメント■ 何気ない日常に潜む少し不思議な友情物語。コウとアオの友情は、紅と蒼を通してどういう結末を迎えるのか。 -
笑う20世紀(緑)
さびれた温泉地を盛り上げようと老人たちが考え出したのは…? 笑えるショートショート集 「自分の見たい夢を見ることができるなんて、それこそ『夢』みたいな話じゃないか」 おれの唯一の楽しみである日曜の午睡を邪魔した訪問者は、魚のような眼をした男だった。 男は答えた。 「その『夢』を現実にしたのが、我が社の開発した『ドリーム・マシーン』なのです。一本のカセットには、一つの物語が特殊な電磁気によって記録されています。これを機械にセットして、この『ドリーム・バンド』を頭にはめて眠ればいいのです」 (「夢みる瞳」より) NHK-FM青春アドベンチャーでラジオドラマ化され、絶大な人気を誇った伝説のショートショート集、待望の新作が登場! すべて単行本未収録作品で構成された電子オリジナル。巻末には、著者自身による「自筆解説」が収録されている。 ・夢みる瞳 ・LA温泉郷繁昌記 ・北海道株式会社 ・農業後継問題 ・ガト王の靴の ・書評 ●藤井青銅(ふじい・せいどう) 「第一回星新一ショートショートコンテスト」に入選。以降、放送作家兼作家になり、「夜のドラマハウス」「オールナイトニッポン・スペシャル」をはじめ、書いたラジオドラマは数百本にのぼる。元祖「ヴァーチャルアイドル・芳賀ゆい」を伊集院光と共に創ったり、腹話術師いっこく堂の脚本・演出を担当して衝撃的なデビューもプロデュース。日本の国語辞書にはじめて「東洋一」の項目を載せた男、でもある。 -
笑う20世紀(紫)
死の間際、父が言い残したかったのは「ニャンコスター」だった…? 笑えるショートショート集 「な、なんだい。みんな、どうしたんだ?」 譲次は、自分を見つめる母の目が真っ赤に腫れているのに気付いた。あきらかに、それは泣きはらしたあとだった。 「!……ひ、ひょっとして……」 父はゆっくりとうなずいた。 「譲次、おめでとう」 そして、手に持った赤い紙を譲次に示した。 「召集令状だ。《一週間後の午前十時、両国国技館前に参着すべし》とある。相撲取りになって、お国のために尽くしてこい」 (「報国」より) NHK-FM青春アドベンチャーでラジオドラマ化され、絶大な人気を誇った伝説のショートショート集、待望の新作が登場! すべて単行本未収録作品で構成された電子オリジナル。巻末には、著者自身による「自筆解説」が収録されている。 ・無駄のない人生 ・おいしい水 ・大合併 ・美しき夢の家族 ・報国 ●藤井青銅(ふじい・せいどう) 「第一回星新一ショートショートコンテスト」に入選。以降、放送作家兼作家になり、「夜のドラマハウス」「オールナイトニッポン・スペシャル」をはじめ、書いたラジオドラマは数百本にのぼる。元祖「ヴァーチャルアイドル・芳賀ゆい」を伊集院光と共に創ったり、腹話術師いっこく堂の脚本・演出を担当して衝撃的なデビューもプロデュース。日本の国語辞書にはじめて「東洋一」の項目を載せた男、でもある。 -
笑う20世紀(ピンク)
テレビ業界には不思議なルールが存在する…? 笑えるショートショート集 「さぁさ、奥さん。これはお得だよ」 ターミナル駅の出口そば。粗末な台を前にして、髪をぴっちり七三に分けた男が、通行人を相手に大声をあげている。 「とにかく落ちる。よく落ちる。落ちすぎちゃって、ドーモスイマセン!」 『こらーっ。許可を得て商売しているのか! 著作権法違反の疑いがある!』 「やばい。GAGRACの調査員か」 男は舌打ちし、素早く台の上を片付け始める。客たちは右に左にわさわさと揺れる。 ……過去五十年にさかのぼり、すべてのギャグに著作権が認められた。その使用にあたっては著作権料の支払いと、著作権者の表示が必要になるのだ。 (「ギャグ著作権」より) NHK-FM青春アドベンチャーでラジオドラマ化され、絶大な人気を誇った伝説のショートショート集、待望の新作が登場! すべて単行本未収録作品で構成された電子オリジナル。巻末には、著者自身による「自筆解説」が収録されている。 ・ギャグ著作権 ・ビックリスペシャル ・人材の豊富な放送局 ・バラエティ・ショウ ・素人の時代 ●藤井青銅(ふじい・せいどう) 「第一回星新一ショートショートコンテスト」に入選。以降、放送作家兼作家になり、「夜のドラマハウス」「オールナイトニッポン・スペシャル」をはじめ、書いたラジオドラマは数百本にのぼる。元祖「ヴァーチャルアイドル・芳賀ゆい」を伊集院光と共に創ったり、腹話術師いっこく堂の脚本・演出を担当して衝撃的なデビューもプロデュース。日本の国語辞書にはじめて「東洋一」の項目を載せた男、でもある。 -
ゴッド・ポーカー
■あらすじ 暴力組織を常備し、警察や政治にもコネを持つ宗教の仮面を被った犯罪組織により、主人公も拉致され重傷を負わされる。入院する母や三男、狙われている妹を守るため、主人公は絶縁していた天才ハッカーの次男と手を組み、犯罪組織に挑んでいく。被害者の会を作り、戦いを実況中継することでネットの注目を集めながら、記者や弁護士も味方につけ、ネット、法、マスコミの三領域で攻撃をしかける。同時に、主人公は自分だけが知らなかった家族の真実を知ることになる。戦いが優勢になりかけるが、被害者の会のサーバが乗っ取られ、ファンが守る妹のブログも誹謗中傷で機能が停止する。ネットからの目が途切れた瞬間に、敵の人海戦術により我が家が襲撃され、全焼させられてしまう。全てを失った四人の兄弟だが、長男の戦術、次男のハッキング、長女のネットでの人気、三男の武道を使い、復讐の最終決戦へと臨む。決戦では、全ての作戦がばれており窮地に追い込まれるも、その裏切りを読んでいた主人公が、最後に全てをひっくり返して勝つ。著者の犯罪被害者の経験も使い、宗教、家族、犯罪を通して、社会問題と人生について書いた、社会小説です。 ■著者プロフィール 慶應義塾大学卒業、UCLA留学後、大手IT企業にて勤務。学生時代に取得したTOEIC満点、ロサンゼルスの小学校での数学教師ボランティア、ビジネス現場における実践経験を基に、独自の英語習得法や学習法をブログ「一歩世界へ」やYouTubeにて無料配信中。 -
星の流れに 風のなかに 宇宙の掌に
■あらすじ 西新宿にある高層マンションから、一人の女性が飛び降りた。それは9月の終わり、涼しく空きらしい風が吹く頃だった。女性は後頭部から落下したため、即死ではあったが顔は原型を止めていた。それだけに、お通夜で集まった、女性の友人たちは皆、化粧をしてあげることにしたのだ。「綺麗な顔のままで、良かったね」薄く頬紅を塗った女性は、まるで生きているようにも見えた。安らかに眠る彼女と、棺に添えられた白いバラの花。享年26歳。友人たちは、泣き崩れた。女性が飛び降りる15分ほど前。彼女はマンションの管理人と会っていた。ひどく酔っているように見えた女性に「大丈夫ですか?」と声をかけた管理人が、生前最後にあった人物となった。それから遡ること2時間前。彼女は、自分のノートにこう記している。「未来がない。未来が感じられない。自分を完全に否定され、すっかり自信を失くしてしまった。ひたすら苦しい。息をするのも苦しい。消えてしまいたい。眠っていない。泣いてばかりいる。出口が見えない。未来がない。未来なんていらない。」 ■著者コメント 会社の内部告発をして逮捕された主人公と、自殺願望のある少女との恋愛を描いたものです。最近、ストーカーだとか、女性を傷つけ逮捕される事件が多く、その後の人生はどうなるのか、更生はあるのか、そんなことを問いかけたいと思っております。 ■著者プロフィール 東京都生まれ。歌手・中島みゆきの世界に引き込まれ、高校時代に家出して、自転車で日本を一周。北海道の牧場で野生の馬に乗り、将来はジョッキーになる予定だった。東京の雑誌社などでライターをする傍らで、東京ディズニーランドでカメラマンを務める。JTBなどで観光創出事業にも従事。外国人旅行客を日本に誘致するインバウンド事業にも興味があり、添乗員をしていたことも。小説を書くために仕事を失い、家庭を失い、あらゆるものを失い、世捨て人となり、海外を放浪。放送局のディレクターなども務める一方、旅行サイトの「京都の観光なら『ガイドブックス』や「たびねす」で、観光ライターとしても活躍中。舟橋聖一顕彰青年文学賞などを受賞し、文芸雑誌の「小説新潮」やスポーツ新聞などにも小説を掲載された経験もあり。 -
まつよい
■あらすじ 作詞家として活躍している一柳忠(ひとつやばぎ あつし)という主人公の現在と過去の思い出を通して、薫子という女性の青春が書かれたお話。忠が中学の同窓会幹事として電話をしているシーンから物語は始まる。1人だけの仕事部屋で世捨て人のような忠は、電話をしながら中学3年生の受験直前の時期のことを思いだす。次々に思いだされる高校受験直前の3ヶ月の思い出。その主役は薫子という魅力的な女の子だ。同窓会で高齢になって恩師たちに電話をしながら、交差するように思い出も蘇る。大学生になり、社会人になり、徐々に現代とリンクし出すと、忠はもう終わったといわれるようになった理由も明らかになる。まつよいは十五夜の前夜の月のこと。人はいつ未熟から脱するのか? 一つの答えに主人公たちは到達する。 ■著者プロフィール 1965年東京都文京区生まれ。中学1年でゴルフコースデビューと初デートを経験し、ゴルフと恋愛のために生きると決意する。競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れた青春を過ごし、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店、市場調査会社、団体職員などをしながら、2000年よりキャプテンc-noのペンネームでゴルフエッセイストとしてデビュー。『Golf Planet』はゴルフエッセイとして複数の日本一の記録を保持している。2013年、『化粧咲き』が第1回マイナビ電子書籍コンテストで入選し、小説家としてもデビュー。他に『ヒーローたちにララバイを』の著書がある。 -
さらば友よ
私立探偵の須藤は自分の事務所で依頼人に自殺されてしまい、それが一連の連続自殺事件と関連があると考え、インターネット上で人格データとしてのみ存在している元相棒に相談に行く。やがて捜査をするうちに自殺した依頼人について不審な点を見つけ、現実世界に戻るが、そこで自身の体を操られる事態に至る。そして、危機を脱した須藤は再び元相棒の下を訪れる。 ■著者コメント サイバーパンク風のハードボイルド探偵もので、主人公と元相棒との友情とその齟齬の結末を描いており、軽く読める。本好きな人間にはにやりとできるディティールがいくつかあります。 ■著者プロフィール 1990年、北関東とも時には南東北とも言われる栃木県にて生まれる。哲学を学びつつ、如何にして社会にもぐりこんで金銭を得るかを模索する。亀を二匹飼っており、ペンネームの「たあとおる」は「タートル」をもじってつけた。酒と寿司が好物であり、たまに魚を買ってきて卸したりする。またよくウイスキーを好み、ほぼ毎日飲酒浸りの日々。好きな作家は、レイモンド・チャンドラー、ヘルマン・ヘッセ、司馬遼太郎など。 -
心臓の鼓動がしない彼女
同窓会の帰り道、祠で見つけた少女は心臓の鼓動がしていなかった。心臓が動いていないのに生きている少女を見つけた須藤眞人は、迷うことなく彼女を家族に迎え入れた。しかし、世間に心臓が動いていない人間などいない。この秘密は、なにがなんでも知られてはならない――。 ■著者コメント 心臓の鼓動がしない人間、という非日常的なことを中心にしました。SFやファンタジーではなく、ごく普通の世界で、心臓の鼓動がしないなんていう信じられない人間がいたら面白いと思いました。 ■著者プロフィール 一九九四年三月生まれ。大阪生まれの鳥取育ち。関西学院大学教育学部所属の三回生。転勤族であったため、関西に十年以上住んでいるにもかかわらず標準語が抜けない。高校、大学と放送関係の部活に所属し、朗読や脚本づくりに精を出す。個人制作で企業の商品CMやオープンキャンパスの映像も手掛けることもあり、現在は小学校の教員採用試験を受けるべく勉学に励んでいる。 -
かちかちやま外伝 うさぎの罪
うさぎはなぜ、たぬきを殺したのか?そして、うさぎには罪はあるのだろうか?誰もが一度は読んだことのある「かちかちやま」。その後日談を軽妙なタッチで描いた本作。うさぎの動機を探るうちに見えてくる、「真実」。動物たちが「正しさ」という唯一の尺度でうさぎの罪を真剣に議論していく。そこには、裁くということの根源的な危うさと意味が描かれている。 ■著者コメント 「かちかちやま」のうさぎには罪があったのか?動物裁判というユニークな切り口で、その罪を検証していく。新米のハリネズミ弁護士と共に、うさぎの罪を探り、弁護していく中で、改めて罪とは何か、正しさとは何か? 考え直すことのできる作品。 -
あなたが創る最強の「わたし」の物語
この作品は、読者参加型の本です。作品中の「わたし」のなかに読者の固有名詞を入れて読んでください。「わたし」の人生の生き方が激変し、最強のわたしの物語が始まります。悩みやストレスは、解消されます。愛と勇気がもたらされるこの本は、「わたし」の真実の味方になります。 ■著者コメント 本作品は著者が長年勤務した金融機関を退職後に書き上げた教養書です。仏教書をはじめ多数の宗教書、思想書を読み解き、著者が辿り着いた「解」を小説の手法を使って、読者参加型の啓蒙書に仕立て上げました。現代人の心の迷いと疲弊を取り除く特効薬にもなる手法が紹介されています。 ■著者プロフィール 京都生れ東京育ちの団塊の世代。長年、損害保険業界に身を置き、リタイア後に小説・脚本などの文筆活動に入る。特に仏教の研究・実践については現役時代を通じてのライフワークとして研鑽を続けている。
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