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Posted by ブクログ
ひたすら桃子さんの内面世界の描写が続く、脈略の無い物語だが、どんどん引き込まれてしまった。夫に先立たれた哀しみの果てに、聞こえてくる夫の声、見知らぬ人たちの声、たくさんの桃子さんの姿が通りすぎていく。
人の期待に応え続ける人生を辞めて自由に生きようとする桃子さん。夫に会いたいと呟く桃子さん。期待などしていないはずの娘からの電話の声に高揚する桃子さん。地球46億年の歴史と自身の人生を重ねる桃子さん。人に触れたくて来た病院の待合室で自己嫌悪になる桃子さん。どんなに足が痛んでも夫の墓まで歩き続ける桃子さん。全部の桃子さんが矛盾なくありのままの桃子さんなんだと思う。一人きりで生き続けていくということは、きっと全く尋常なことではないのだ。自分は将来、どんな内面世界で生きて行くのだろうか。
最後、自分の人恋しさを悟った桃子さんの流した涙には、思わずもらい泣きしそうになった。生きている限り、きっと何らかの希望はある。
Posted by ブクログ
久しぶりに感想を書かねばと思えた本
星五つをつけたい本と出会いたい、星五つをつける本の感想しか書きたくないと思っていたので、この本との奇跡的な出会いに感謝
桃子さんの心の叫びに度々涙した。
人生の或る意味とか、地球史46億年ノートからも考察される生命の存在する意味(意味なんてないのだけど)そんな事を老いた女性の東北弁から自答させられる、哲学の小説だった。
この東北弁がまたイイ。脳内に繰り広げられるありとあらゆる思考、自問自答、普段こうして考えているだろう取り留めのない事が、そう、ジャズのように東北弁で脳内を駆け巡る。それはもう、もはやお洒落で、はたまたリアルで。こうして桃子さんなりの解答に辿り着く過程が素晴らしい。
孤独の確かさというか、ひとりになって直面する孤独というものへの準備というか心構えもさせてもらった。
最終的に老婆がたどり着いた解答は、かけがえのない真実で、真理で、心に染み渡って、度々涙が溢れてしまった。
老いと死を受け入れる準備をしている桃子さんの所に孫が訪ねてくるシーンも本当に素晴らしい。人生ってそういうもの。私もああやって老いていくのだろうな、と想像すると、また涙が止まらなくなってしまったのです。
一人の女性の一生を、雄弁な東北弁で芯まで表現されていて、嘘のないリアルな人の内面の愚かさ、美しさ、雄大さ、そういう深いものに触れさせてもらった、素晴らしかったです。
Posted by ブクログ
タイトルは宮沢賢治の詩、「永訣の朝」の一節でひとりで死んでいくという意味だそうだ。その裏にはひとりで生きていくと言う意味が隠れている。
子供達が巣立ち、連れ合いには先立たれ、気がつけばひとりぽっんと残される。
年をとると誰もがかかえる孤独、病気そして死への恐怖。不安との裏腹にひとりで生きていくという覚悟。
誰もが年を取ればこの状況に陥るであろう揺れ動く気持ちを東北弁で語っている。
最初は東北弁を理解することに注意がいってしまい戸惑ったが、読み進めると主人公の気持ちがじわじわと伝わってきてグッと心を掴まれる。
この本はまさに自分の母の姿だし、のちの私の姿である。
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