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かくりよ調査委員会
人の世と隔絶された異界――“隔世”、それらを管理する国の特務機関『隔世調査委員会』に、不幸を呼び寄せる少女が雇われた。 -
幽世のおくりごと
現代日本で居場所を失い、自らの存在に終止符を打つ「化け仕舞い」を選択するあやかしや神達。彼らの恨みや未練を絶ち、次の生へと送り出す「世話人」が幽世で密かに活躍していた。 幽世に迷い込んだ拍子に記憶を失った少女・雪白は、偶然出逢った世話人の青年・カゲロウの厄介になることに。世話人の仕事を手伝いながら、あやかし達と心を通わせるうちに、彼女は少しずつ命の意味を知っていく。切なくも美しい、幽世葬送譚。 -
幽世の法廷
その罪を、死んでも隠し通せるか? 少女殺害の容疑者、自首した男、事故死した青年―― それぞれの「死」の先で再会した彼らが導かれたのは、「幽世の法廷」。 この世界では、心の声がすべて聞こえてしまう。 隠していた真実、守りたかった嘘、抱えていた罪。 魂が裸にされるとき、本当の正義が姿を現す。 真実は、死んでから明らかになる。 工場の資金繰りに苦しむ吉田は、公園で話しかけてきた少女を思わず突き飛ばし殺害してしまう。 現実から目をそらすようにバーに逃げ込むと、偶然居合わせた同業者の男から試作品の依頼を持ち掛けられる。 工場を救うため、わずかな希望にすがる吉田だが、殺人の罪を暴かれ、ついに逮捕されてしまう。 家族と従業員を思い無罪を主張し続ける中、真犯人を名乗る別の人物が出頭したという知らせが入り……。 -
幽世までの寄り道 介護施設・灯影庵の謎日誌
どんな姿になっても、もう一度あなたに逢いたい―― あの世へ行く前に叶えたい願いが、灯影庵でいくつもの奇跡を起こす! (あらすじ) 湘南海岸近くに立つ高齢者介護施設「灯影庵(ほかげあん)」。元は病院だったこの施設では、不可思議な出来事が起こる。 施設に現れる座敷童の正体とは? 誰がバスを運転しても、送迎対象ではない特定の家に毎回停車してしまうのはなぜか。 突如、施設の各所から見つかった現金に隠された秘話とは。 強い霊感を持つ介護士・嶺玉(れいぎょく)やよひは、灯影庵の人々に寄り添いながら、数々の謎を解き明かしていく。 5回泣ける! 切なくも温かな連作ミステリー。 (目次) 第一話 座敷童の面会訪問 第二話 常世の手前で、もう一度ありがとう 第三話 まだ、ここにいる 第四話 今日もどこかで札が鳴る 第五話 たどり着けなかった春の下で 【著者について】 亀野・仁(かめの・じん) 1973年、兵庫県西宮市生まれ。1991年に渡米し、大学進学。卒業後も米国に留まり、NYにて映画助監督やCM海外撮影コーディネーター/プロデューサーとして約10年間活動。帰国後は映像制作会社、大手広告代理店勤務を経て、広告映像制作会社を仲間と共同設立、同社取締役。第19回『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリを受賞し、『暗黒自治区』で2021年にデビュー。他の著書に『密漁海域 1991根室中間線』『地面師たちの戦争 帯広強奪戦線』(以上、宝島社文庫)、『ブリザード・フラワー』『下請スパイの焦燥』(ハルキ文庫)がある。 -
かくりよ領事館の料理番
父を失い天涯孤独になった咲良は、ひょんなことからあやかしの世界・かくりよに迷い込んでしまう。辿り着いたのは人とあやかしの世界の境を守る領事館。帰るには関守の黒狼様・昴の力が必要だが、彼は重度の人間嫌いらしく、咲良は正体を隠して領事館の厨房で働くことに! ガレット、ムニエル、ローストビーフ。咲良の真心こめた絶品洋食でのおもてなしは、頑なな妖たちの心を解きほぐし様々な問題を解決へと導く。そんな咲良の献身に、昴も徐々に心惹かれていき……。 美味しいワインと洋食で心も体も満たされる、和風溺愛ロマン開幕! ■□■□■□■□■□■□■□■□ 登場人物 上條咲良(かみじょう・さくら) かくりよに迷い込んだ人間。都会のレストラン勤務の経験を活かし、洋食とワインの知識で神々やあやかしたちをもてなす。 昴(すばる) 人とあやかしの世界の境を守る関守の黒狼。上條家が祀る大口真神社の神でもある。過去の因縁から人間嫌いと有名。 -
隠れかくり湯営業中
きっかけは大学受験の失敗だった。 そのときはじめて、医師を目指していたはずの自分の将来に迷いを抱いた誉(ほまれ)は、以来、昼夜逆転のアルバイト生活を送っていた。ある日のバイトの帰り道、幼馴染から預かったまま死なせてしまった兎が目の前を横切った。兎を追ってたどりついたのは、深夜だというのに煌々と明かりを灯す銭湯・かくり湯。番台には堂々とした体躯の馬頭の男が座り、三助は狐面を被った水干姿の少年・宵(よい)。そして集まる客は――死者の魂。実はここかくり湯は、亡者たちが死出の旅路に向かう前の一時を湯浴みして過ごす、この世ならざる銭湯だったのだ。そうとは気づかず迷い込み、不注意で壊してしまった宵の狐面の弁済としてかくり湯で雑用係として働くことになった誉は……。 2023年に「第三回ステキブンゲイ大賞」優秀賞を受賞し、丁寧な改稿を重ねた末にいよいよ発売を迎えた、心に沁みる和風ファンタジー!! -
隠れ町飛脚 三十日屋
「普通の飛脚屋では扱えない『曰くつき』の品であること」「お代はお客自身が決めること」そんな二つの条件に見合った品だけを届けてくれるというのだ。三十日屋を営むのは年増の女性・お静。とある過去を抱えているようで―― -
隠れ漫画家さんと飯スタントな魔人さん ~〆切前のニラ玉チャーハン~
表では普通の女子高生、裏では漫画家という生活を送っている紬。 ある日、自信の過去作やらボツ原稿などが眠る押し入れを開けるとそこには、紬が描いた漫画を真剣に読む魔人がいた。 そして、いつの間にか魔人は有能なアシスタントになって、掃除や料理もしてくれるように……!? 隠れ漫画家な女の子と世話焼き家政婦の魔人のほっこりまったり日常系コメディ! -
かぐや様は告らせたい ―天才たちの恋愛頭脳戦― 映画ノベライズ みらい文庫版
あの大ヒット映画『かぐや様』がスクリーンに帰ってきた!! 待望の実写映画続編にして、完結編をノベライズ! 平野紫耀(King & Prince)&橋本環奈出演の大人気映画ノベライズ! エリートが集う私立・秀知院学園。白熱の『第68期生徒会長選挙』を経て、ふたたび会長、副会長となった白銀御行と四宮かぐやは、互いに好き合っているにもかかわらず、「告白したほうが負け!」という思いにとらわれ素直になれない。生徒会室でくりひろげられてきた「いかにして相手に告白させるか」という恋愛バトルはヒートアップ! 学園の2大イベント「体育祭」と「文化祭」を舞台に、互いの尊厳をかけた恋愛頭脳戦がはじまる――!! -
カグヤ姫と千年の約束
「この千年間、あなたに再び巡り合うために生きていました」 幼いころ両親を亡くした弥白は、引き取られた叔父の家で虐げられて育った。 ある日身体の中に眠っていた弥白の前世・カグヤと入れ替わり、2人は協力して苦難を乗り越えようとする。 その後名家の主・氷雨が求婚に訪れ、前世の記憶を思い出すよう迫った。 彼は前世の宿敵であり恋人で、カグヤと再び巡り合うために千年の時を生きているという――。 一章 カグヤ姫の結婚 二章 結婚生活 幕間 千年の孤独 三章 帝都での買い物 四章 鬼の呼びかけ 幕間 氷雨と帝 五章 月からの使者 幕間 氷雨の決意 六章 目覚め 七章 カグヤの死 幕間 弥白の初恋 八章 最期の願い 九章 月の都 2016年『お前を、祝ってやろうか!?』で第5回講談社ラノベ文庫新人賞の佳作を受賞し、作家デビュー。2018年第1回小説家になろう×スターツ出版文庫大賞で『あやかし食堂の思い出料理帖』がほっこり人情部門を受賞。 著書に『狼様の運命の花嫁』『蛇神様の不都合な運命』(マイナビ出版)、『白龍神と月下後宮の生贄姫』(スターツ出版)、『鬼束くんと神様のケーキ』(アルファポリス)などがある。 -
神楽坂
【矢田津世子】女性視点から書かれており、まさに女流作家と呼ばれるにふさわしい。川端康成から女優になるように勧められたほどの美貌の持ち主。文章力を兼ね備えた女流作家として人気を集めた。坂口安吾の恋人とされる。「女心拾遺」若い頃から放蕩三昧だった70歳近い唐沢。そんな夫を諦めといたらなさと自分を責めてきた妻。しかし若い女中との関係を知ると複雑な嫉妬心がわき起こる。「神楽坂」第3回芥川賞候補。神楽坂に住む高利貸しの馬淵。本妻と妾、その周りの女達。人物たちの生き生きとした心情、思惑、哀しさを描いた作品。「く女抄録」寿女はせむしであった。刺繍の才能を見いだされ師匠のもとで修行するが、若くして死んでしまう。その遺作は傑作であった。不幸な女の人生を繊細に情感豊かに描いた作品。※読みやすくするため現代の言葉に近づけていますが、作品の性質上、そのままの表現を使用している場合があります。 -
神楽坂愛里の実験ノート
神楽坂愛里(かぐらざかあいり)は東央(とうおう)大学大学院に通うリケジョ。何よりも努力を尊び、ノーベル賞を目指し道を切り拓いてきた。ある日、同じ研究室の福豊颯太(ふくとよそうた)が実験に使うラットが集団死した。感染症の疑いに周りが騒然とする中、真相を突き止めようと、立入禁止の現場に潜り込む……! 踏みにじられた努力と、奪われた命に報いるため、科学を愛する愛里が推理する! -
神楽坂・悉皆屋ものがたり
鎌倉にある呉服屋の長女・紬は、どうしても着物に興味をもてず、店の経営に腐心する日々を送っていた。そんな様子を見かねた両親の強引な指示によって、彼女は神楽坂の路地裏に建つ悉皆屋で修業することになる。 仕立て直しや洗い張りなど、着物のメンテナンスを一手に引き受ける悉皆屋。飄々とした店主や軟派な大学生らと共にこの店で働くうち、紬はこれまで気づかなかった着物の魅力にはまっていく――。 瀟洒な街・神楽坂には、日本伝統の美が、よく似合う。 -
賭の季節
映画スター・上杉悠子邸の玄関先に倒れていた死体――それは、悠子にそっくりの女であった。熱狂的なファンの「自殺」として片づけられたこの事件に、木島刑事は疑問をもつ。「捜査の邪道かもしれないが……」彼は心に殺人事件を描いてみた。悠子には幼くして別れた双生児の姉・竹村久子がいた。死体は、この久子なのだろうか、あるいは悠子その人なのかもしれぬ。刑事は、付人の西条悌子とマネージャー・藤岡謙にあたった。捜査が、華やかな女優生活の裏にひそむ「影の女」の存在を知った時、事件は意外な終末を迎える。巧妙なトリックを用い、「女の賭」を描く本格推理。 -
翳った旋舞
東京の女子大学を卒業してR新聞社資料調査部に働く順子は、ある日外国要人の写真を係に取り違えて渡し、その日の夕刊の写真誤用は社内に大きな波紋を呼んだ。部長末広と次長の左遷。――責任を感じた順子は編集局長川北に辞表を提出するが、川北は意外にも彼女を銀座のクラブに誘う。二人の接触は、川北に恨みを抱く末広により、スキャンダルとして暴露された。社内に激化する醜い派閥争い。職場への夢を失った順子は、一夜川北から財界の怪物海野を紹介されるが…。人生の確かな手ごたえを求めてさまよう、一女性の心と行動を鮮やかに捉えた巨匠の長編現代ロマン。 -
花月の神話
“ねぇ、真実は誰が私たちに教えてくれるの?生きていくうえで、何が一番大切なのか、誰が私たちに教えてくれるの?”無垢すぎる魂は、現実の世界で哀しいほど傷つきやすく、でもそれでも、生きる術はあるはず。何処かにきっと。 (※本書は2004/3/1に株式会社 新風舎より発売された書籍を電子化したものです) -
影と踊る日
「おまえは出来は悪いが、うちの娘だ」 思いつめたら突き進む“跳ねっ返り”女性警察官の真情。 認知症の高齢女性を助けた青年が水死体で発見された。 鈴山澪は事件の背後に悪名高い刑事の存在を探り当てる。 不審な動きを見せる刑事は何を追っているのか? 特殊詐欺の闇を抉り出す渾身の警察小説! 心優しき青年はなぜ殺されなければならなかったのか? 新潟県警に勤務する鈴山澪は地元のテレビ番組で、特殊詐欺対策啓蒙コーナーを担当している。 共演者の麻子は、恋人を詐欺被害で亡くしていた。ある日、麻子は生放送で、未だに捕まらない 犯人への憎しみを口走って炎上する。 一方、澪の友人で、大雪の日に認知症の高齢女性を保護して表彰された青年がいなくなる。 その件に絡んで謹慎となった澪は行方を探し、富山の海岸で変わり果てた姿を目にする。 辿りついた防犯映像には地元暴力団との交際が噂される刑事の姿が……。 警察組織に背を向けて事件を追う澪は、いつしか、封印した自らの過去に踏み込んでいくことに――。 新潟を舞台にした新たなる警察小説 -
影ふかき人
心ならずも神宮球場のスーパースターの妻となった冴子は、新婚旅行の途次、新郎・信三とともに事故に遭ってしまう。そして、新婚初夜にも関わらず、冴子は建築家の城田と結ばれ、子を孕んでしまうのだった。それでも、意識の定まらない状態になった信三を愛せるようになった冴子だが、奇跡的に元に戻った信三の暴君振りに、今度は家を出てしまう。そこには、独身となった城田に想いをかける3人の女たち。だが、ついに冴子は城田と……。 -
影丸極道帖
天保13年9月、江戸を襲った台風の日、怪盗・影丸が脱獄した。江戸城内、大奥にまで侵入した剽盗だけに、奉行所の召喚状をすりかえて脱獄する、前代未聞の牢破りだった。同じ日、名与力・松並白亭の養女・小夜も何者かに誘拐された。そして、白亭と配下の同心・志賀三平は、この2つの怪事件を結ぶ謎に立ち向かう。不敵にも影丸は、「目指す相手は八丁堀!」と、かれらに挑戦してきたのだ。だが、目明し伝六、紋十郎ら悪党の名は浮かんでも、当の影丸は神出鬼没。しかも事件の背後には、将軍家継嗣をめぐる暗闘までも絡んでいる……。著者が秘材を傾けた本格派時代物推理の妙。<上下巻> -
炎精(かげろう)
謀略と欲望の渦巻く魔都「上海」が、人の運命を呑みこんでゆく 大東亜戦争前夜。魔都「上海」を、時の波にもまれながらさまよう三人の男女。国籍も親もわからない季乃、彼女の幼なじみで演劇の世界に夢を馳せる隼人、その妻、凛子。彼等の流れ着く先はどこなのか…。壮大なスケールで描かれる、戦慄の長編サスペンス。 ●山崎洋子(やまざき・ようこ) 1947年、京都府宮津市生まれ。コピーライター、児童読物作家、脚本家などを経て第32回江戸川乱歩賞を『花園の迷宮』で受賞し、作家デビュー。横浜を描く作家として名高い。現在は、小説だけでなく、ノンフィクション、戯曲なども手がける。2010年、NHK主催の地域放送文化賞を受賞。 -
蜻蛉日記
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 その美貌と、歌才で謳われた藤原道綱の母。受領の娘に生まれ、世を時めく藤原兼家の妻となり、当代の女性として稀にみる強烈なエゴと、豊かな感受性をもって成立した、現代になお新しい告白的自叙伝。従来の、契沖本に依拠し過ぎた研究に対し、それを批判的に摂取しつつも、新規点に立った、50年余の結実。川瀬一馬の校注・現代語訳でお贈りします。<上中下3巻 上巻> -
蜻蛉の夏
命を削り今を生きる「止観の道士」たち。 時に精神は現実を凌駕する―― 織田信長が天下統一へ向け着々と歩みを進めていた元亀元年(一五七〇年)、京の街でこれまで交わることのなかった「止観の道士」たちの運命が交錯する。 「水観」の円四郎、「炎観」の平助、「月観」の桂月。 現実と幻想の狭間で揺れる自己矛盾、その道士という生き方にあえぎながらも、厳しい修行の末に彼らが得た止観の力は、やがて到来した織田家との戦いに大きな影響を与えていく――。 歴史上一切語られることのなかった儚き者たち。 その生の輝きと熱情が、乱世の闇を鮮烈に切り裂く! 『ヒートアイランド』 『ワイルド・ソウル』 『室町無頼』に連なる 垣根ワールドのエンターテインメント最高到達点!! 「25年小説を書いてきて初めて、全てをエンタメに振り切った物語を書いた」(著者) -
かげろうのむこうで 翔の四季 夏
小学生の翔は、ふとしたことから 高宮さんと、その飼い犬トラウムと出会い、 週に2回の散歩を頼まれるようになる。 おばけの見える友達、仲がいい父と母、 同じマンションに住む芸能人とのやりとりのなかで 少年は、見えること、見えないことに思いをめぐらせる。 「じつは、たのみがあるんだ。もちろん、さっきのパンとは関係ないから、だめなら、だめだといってほしい。週に二回、朝、三十分、トラウムに散歩をさせてほしいんだ。もちろん、お礼はする。」 じつをいうと、ぼくはトラウムみたいな犬がうちにいたらいいと思っていたくらいだった。週に二回なら、いや、一日おきでも、やれると思った。朝なら、毎日だってできる。 「何時からですか?」 (本文より) -
火口湖
甲州に葡萄園と葡萄酒工場をもつ千倉家には、二人の美しい娘がいた。東京の直売所、千倉洋酒店を切り盛りしている姉の一枝と、近郷の雑貨屋に嫁いだ妹のしげ実である。一枝は薬剤師の西竜一と愛し合っていたが、勝気な彼女と消極的な西との間は、一向に進まない。詐欺事件の後始末に大阪へ出向いた一枝は、叔父の自動車販売会社に働く妻子持ちのセールスマン、染谷の行動的な性格に魅かれていく。一方、封建的な婚家を逃げ出したしげ実は、姉の店で暮らすうち西と知り合い……。 あかね色の夕映えに輝く葡萄園、そこに育った姉妹の人生行路を描き感動をよぶ長篇恋愛小説。 -
過去で君が待っている。
彼女の死から喪失感を抱えて生きる僕。死ぬ前に別れを切り出した彼女の行動が今も引っかかっていた。もし、あの時引き止めていたら未来は違った? そんな僕に18歳の失敗をもう一度やり直すチャンスが訪れて…。 -
過去でさえ過去になる
存在しないボールは、いつまでも到達しない いま37歳の人間にとって、ちょうど20年前の17歳は、はるかな過去だろう。しかしそれは同時に、もうそんなに経ってしまったのかと、唖然とするような事態でもあるはずだ。実家の建て直しの前に家族全員が集まることになり、久々に故郷の町に帰ってみると、実家よりいち早く街は大いに市街化し、通っていた高校の建物は跡形もなく消え去っていた。かつて野球部員として上がったマウンドも、今は記憶の中にしかない。そして再会した女性との2ショットも、どんどん遠ざかる過去になる。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
過去の黄色、現在のブルー
彼女がキャンディを口に含む時 キャンディを口に含んだ瞬間、つい、空を仰いでしまう。 ああ、自分もそうだった、とまでは行かなくても 子供だった頃を思い返せば、誰にでも納得の行く仕草ではないだろうか。 そんな少女は長じてステュワデスになった。男性との付き合いだってある。 その男性と自分をつなぎとめるものとして、 黄色いバンダナが効果的に使われている。 その黄色いバンダナの思い出は少しだけ過去のもので 現在の彼女には空のブルーが似つかわしい。 しかしそのブルーは黄色よりもっと過去のブルーでもあるのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
かごめかごめ
「ゴミ清掃員」として多数メディア出演しているマシンガンズ滝沢秀一。ゴミ清掃業を始めた際、「ゴミは個人情報の宝庫だ」という気付きから執筆された小説が本作である。2013年スマホ小説サイト「E☆エブリスタ」で閲覧数2万人を突破し、ホラーオカルトカテゴリーで最高位2位を記録した『鬼虐め』を改題、今回文庫化にあたり加筆修正した。 とある女性のストーカーを始めた主人公。しかし、いつの間にかその立場は「追う」側から「追われる」側へと逆転していく。それは真の恐怖への序章に過ぎない。童謡『かごめかごめ』の詩に隠された歴史が紐解かれていく――。 -
葛西善蔵『子をつれて』を読む(文芸漫談コレクション)
「今回は、小説にとってリアリティとはなにかという問題を避けて通れそうにはありません。」葛西善蔵『子をつれて』を読む。芥川賞作家と希代の仕掛人が捨て身でおくる“漫談スタイル”の超文学実践講座。本電子書籍は、文芸誌「すばる」2011年10月号に掲載された作品の電子版シングルカットです。 -
かさなりあう人へ
あの日、光がふたりを包み込む―― 愛を失くした女と、過去の傷が癒えぬ男。 いくつもの出会いを経てめぐりあったふたりに、 夕暮れの空の一瞬のきらめきが、奇跡を起こす。 「あなた」に贈る、愛の物語 会計前の商品を手にスーパーの外に出た野々宮志乃は、警備員に声をかけられ、駐輪場にいた男に思わず「あなた」と呼びかけた。 彼の機転で夫婦を装い難を逃れた一週間後、夕暮れに染まる橋の上でふたりは再会する。 夫を亡くした志乃と、妻と別れた箱根勇。ともに見た不思議な光に深い絆を感じるが、過去の癒えぬ傷はふたりを臆病にさせ……。 折り重なる出会いの神秘を描いた恋愛小説。 -
傘をもたない蟻たちは
かなわない――。天才肌の彼女に惹かれた美大生の葛藤。 書いた原稿がそのまま自分の夢で再現される不思議な現象にのめりこんでいく小説家の後悔。 幼なじみの秘密を知り、彼との接し方がわからなくなってしまった男子中学生の苦悩。 自分の心に正直でいたいだけなのに。 誰もが胸に抱える生きづらさを鮮烈に切り取った、著者初の短編集。 単行本未収録作品であるタイムリープSF「おれさまのいうとおり」を加えた全7編。 ※本書は二〇一五年六月に小社より刊行された単行本に、「小説野性時代」(二〇一六年八月号)に掲載された「おれさまのいうとおり」を加え、文庫化したものです。 -
カサンドラを探して
双子の姉妹の結婚式の翌日、カサンドラはひとり残されることと自分の結婚についての不安を親戚のウェストに打ち明けていた。式の参列客のトム・セヴェリンは、偶然話を立ち聞きしてしまう。 トムは成功した実業家だが、毎日が味気なく思え鬱屈していた。そこで、ともに放蕩生活を送った友人たちに会うためにここへやってきたのだが、美しいカサンドラにひと目惚れして、いきなり求婚する。戸惑った彼女は逃げ出し、ウェストは外見だけしか見ていない彼をたしなめる。 実はトムは、事業を強引に進めるなかで、レイヴネル家の領地の鉱業権を奪おうとしたことがあり、それ以来ウェストには警戒されていた。切れ者で裕福だが傲慢なトムは、カサンドラへの恋心によって変わるのか? 待望のレイヴネル一族の愛の物語。 -
風花の舞
能楽・葛城流の十二代家元の息子・瑞生(みずお)は後継争いの渦中にいた。京都で新作を舞うことが決まった瑞生は、後援者のすすめで鞍馬教の里で“魔王尊を地下王国シャンバラからお迎えするための祭り”に恩寵を授けられる少年の役となる。そのクマラの儀を経て、大祭で新作を奉納舞いすることが、家元の望みだった。だが、この鞍馬の風に吹かれた時から、瑞生を取り巻く運命は大きなうねりとなって葛城流を揺るがし始める……。 少年神〈サナート・クマラ〉に捧げられた能をめぐる、絢爛たる一大叙事詩。長篇耽美ミステリの傑作。 ●榊原史保美(さかきばら・しほみ) 東京都出身。立教女学院を経て中央大学文学部哲学科卒。1982年『小説JUNE』創刊号の最優秀投稿作に選ばれ、「螢ケ池」でデビュー。1985年、初の単行本、『龍神沼綺譚』を上梓。以降、民俗学、宗教学の素養を生かし、形而上学的テーマを昇華させた作品『鬼神の血脈』『荊の冠』等、多数発表。美意識に貫かれた作風により、「耽美小説の草分け的存在」と称されることも多い。1995年発表の『蛇神 ジュナ』より、ペンネームを「榊原姿保美」から現在のものに改めている。趣味は、陶芸、写真、近代建築・ギャラリー巡り。 -
火山と断層から見えた神社のはじまり
神道のはじまりより遥かに古い、大規模神社の真の起源を知りたい。元新聞記者の著者は鎮座地の〝大地の履歴〟に着目。たとえば光り輝き、役立つ道具ともなる鉱石の産出。たとえば湧き出る清水、温泉。そして巨岩。火山帯ゆえに表情豊かな列島に暮らした旧石器人・縄文人がそれらの神秘に出会って何を感じたか。聖地と二大構造線の関係は? 現地調査と考古学、神話を網羅した史料探求による綿密な考察は地歴ファン必読。「目からうろこだった」と読者から絶賛された『聖地の条件』を改題して文庫化。 ※本作品は2021年8月に小社より刊行された単行本『聖地の条件 神社のはじまりと日本列島10万年史』を文庫化に際し、加筆修正を行い改題したものです。 -
崋山と長英
幕末に開港論を主張した高野長英と、攘夷の非を鳴らした渡辺崋山が、ともに幕府の忌諱にふれ、鳥居耀蔵の奸計で囚われの身となり非命に死んだ、いわゆる蛮社の獄の経緯を描いた名作。一章「獄中記」は長英の投獄を、二章「檻送記」では崋山の白洲での戦いを、三章「蟄居記」は幽閉された故郷での自害まで。野間文芸奨励賞受賞作品。 -
火山列島
大学の医学部教授・仁王慶一郎は、主治医として、国光家に行くことが多かった。彼は、国光夫人・安芸子の、憂いに耐えた姿に、惹かれることがあった。ある日、仁王は、その秘密に、かかわりを持つ。主治医としての立場に、とどまることができなかった彼が、その秘密の糸をたどって行くうちに、戦争の前後に起こった、幾つかの悲しいできごとが甦ってきた。しかも、それらは、彼自身の家庭とも、関係があった。八丈島、熱海、九州・飫肥という3つの火山地帯を結ぶ、愛と憎しみの歴史を描きながら、現代に失われた心の問題を、執拗にさぐった、清冽な美しいロマン! -
菓子折りとバスケットシューズ。男の子のお母さんは、つい涙してしまう感動のストーリー。10分で読めて泣ける物語。
10分で読めるシリーズとは、読書をしたいが忙しくて時間がない人のために、10分で読める範囲の文量で「役立つ」「わかりやすい」「おもしろい」を基本コンセプトに多くの個性あふれる作家様に執筆いただいたものです。自己啓発、問題解決、気分転換、他の読書の箸休め、スキルアップ、ストレス解消、いろいろなシチュエーションでご利用いただけます。是非、お試しください。 まえがき 私が主人を亡くしたのは4年前。胃がんだった。 4人の子供に恵まれ、専業主婦をしながらごく普通に子育てと家事に勤しんでいた私には何が何やらわからないまま、主人を失ったような思いだった。 がんの発見が遅れ、年齢も若かったので進行が早くあっという間の出来事だった。地元で最も大きな総合病院を受診したときにはもう手遅れだったのだそうだ。 それでも、生活していかなくてはならない。残された自分と、子供達を食べさせていかなくてはならない。 主人の死を悼んで泣いている余裕など微塵も無かった。末っ子の次女が2歳だったのだ。父親の顔はおろか記憶すら無いという年齢だ。長男だってまだ9歳。主人の実家は遠い地方で自分の実家には要介護の私の母がいる。とてもじゃないが主人の実家も自分の実家も頼れない。幸い保険金がおりたので、就職さえ出来ればすぐに飢え死にするという心配はなかった。残された子供達が、片親だからやっぱりダメなんだ、と人様から言われないようにと精一杯気を使って育てたつもりだったのだ。 -
貸し傘あります
例えば東京とは、雨と水商売と、 貸し傘と、どうにかなる女と男。 『人生は野菜スープ』に収録された作品では、娼婦やストリッパーなど、社会からはみ出したような女性が描かれているが、本作ではホステスだ。 舞台は東京・銀座。水商売の女性と少なからず同じ時間、空間を共有するのは、例えばクラブで伴奏をするピアニスト。彼女たちにとって、心強い伴奏者であり、時に人生の伴走者である彼とは、店から借りる傘で身を寄せ合って雨をしのぐような関係の中で呼吸をしている。過去も未来もあるだろう、しかし今は関係ない。水商売から提供される相合傘の下で揺れているばかりだ。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
貸し込み(下)
人間とは、これほど救いがたいのか?奇妙な外国送金と香港の匿名口座――不正融資金はどこに消えた!? 本書に盛り込まれた感情のキーワードは「ひりひり」感ではないか。……金融のようなある意味、信用や裏切りが取引の要になっている世界では、ひりひりするような人間関係、状況ってたくさんあると思う。黒木さんの作品には、そんなわたしたちが知らないビジネスパーソンたちの感情が宿っている。……「経済」小説ではなく、経済「小説」と力説したい気持ちの由来、お分かりだろう。(松坂健 本書「解説」より) 【目次】 第7章 証人尋問、第8章 国会議員、第9章 外国送金伝票、第10章 爆弾炸裂、第11章 ジョーカー登場、第12章 パンドラの匣、第13章 判決、第14章 ポツダム宣言、第15章 プライベート・バンク、エピローグ 【著者】 黒木亮 1957年、北海道生まれ。早稲田大学法学部卒、カイロ・アメリカン大学大学院(中東研究科)修士。都市銀行、証券会社、総合商社に23年あまり勤務し、国際協調融資をめぐる攻防を描いた『トップ・レフト』で作家デビュー。主な作品に『巨大投資銀行』『メイク・バンカブル!』『地球行商人』など。早稲田大学時代は箱根駅伝に2度出場し、『冬の喝采』で自身の競技生活を描いた。1988年から英国ロンドン在住。
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