学術・語学 - 講談社学術文庫作品一覧
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3.0明治中期、宮中近代化のために招聘され、新宮殿での憲法発布式典を見届けて帰国したお雇い外国人、モールの日本滞在記。威厳ある若き天皇への謁見、知性と品位を備えた皇后への賞讃、「宮中衣裳問題」での伊藤博文との衝突など、欧化を急ぐ立憲国家成立期の宮廷社会を知る必読文献。さらに関西、箱根、日光、磐梯山への旅など、各地の風物も豊かに描く。(講談社学術文庫)
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5.0西洋史の泰斗ジャック・ルゴフが「先駆的民俗学者」と呼んだティルベリのゲルウァシウスによる奇譚集。南フランス、イタリアを中心にイングランドやアラゴンなどの不思議話を129篇収録。幽霊、狼男、人魚、煉獄、妖精、魔術師……。奇蹟と魔術の間に立つ《驚異》は「人間と世界の在り方の反省へと、謙虚に誘う」神聖な現象だった。中世人の精神を知るために必読の第1級史料。(講談社学術文庫)
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4.0千葉雅也氏推薦! 「中島先生の荘子がなければ、僕の哲学も文学もなかった。ここからすべてが始まったのです。衝撃的なこの「変化の哲学」を、皆さんにもぜひお読みいただきたい。」 中国・日本はもちろん、これまであまり言及されてこなかった欧米圏での研究をも渉猟。「無為自然」や「万物斉同」といった概念に替え、自己および世界の変容を説く「物化」思想をその核心として取り出し、ドゥルーズら現代の西洋哲学と突き合わせることで、言語、道、他者、自由にかかわる荘子の思索を新たな相貌のもとに甦らせる。世界の哲学に通暁する著者がダイナミックに描く、新時代の標準たる驚くべき読解の書! [本書の内容] プロローグ ■第1部 書物の旅路 『荘子』古今東西 第一章 『荘子』の系譜学 第二章 中国思想史における『荘子』読解――近代以前 第三章 近代中国哲学と『荘子』――胡適と馮友蘭 第四章 欧米における『荘子』読解 ■第2部 作品世界を読む 物化の核心をめぐって 第一章 『荘子』の言語思想――共鳴するオラリテ 第二章 道の聞き方――道は屎尿にあり 第三章 物化と斉同――世界そのものの変容 第四章 『荘子』と他者論――魚の楽しみの構造 第五章 鶏となって時を告げよ――束縛からの解放 エピローグ 参考文献ガイド 『荘子』篇名一覧 学術文庫版へのあとがき
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-公卿的天皇から軍服姿の天皇へ 近代天皇像の形成過程を追う 幕末から明治へ、時代は激しく動き世の中は一変する。その中で、俄にクローズ・アップされる天皇の存在。天皇は、維新後、夥(おびただ)しい回数の行幸と巡幸を繰り広げた。雲の上の見えない存在から見える天皇・見せる天皇へ。薄化粧をした女性的天皇からヒゲを蓄えた軍服姿の天皇へ。維新の前と後の全く対照的な天皇像を通して、明治とはどのような時代であったかを解明する。 孝明天皇は、攘夷の成功を祈願するために賀茂社と石清水八幡宮に行幸した以外は、御所の外に出たことのない、一般の人びとの前には、姿をあらわしたことのない<見えない>天皇だった。いっぽう明治天皇は、巡幸や行幸などで、積極的に民衆と接したように<見える>天皇だった。父と子で、なぜこれほどまでに違ったのか。それは幕末と明治とでは、求められる天皇像が、大きく異なったからである。――<本書「はじめに」より>
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3.3いつの時代も私たちを惹きつけてやまない神話。 文学や絵画はもちろんのこと、現代でもアニメやゲームのキャラクターとして神話のモチーフは取り入れられています。神話の知識がなければ興味は半減してしまうでしょう。 神話が人を楽しませ、ときには人を感動させるのは人間世界の真実の断面を私たちの目の前に投げ出して見せてくれるからです。神話は人間そのもののあり方、本質に迫ろうとします。そして倫理や法などの根本理念を考えさせます。 西洋古典学の第一人者が世界の神話の成り立ちや共通点を、ギリシア神話を中心にやさしく紹介する、神話を味わうために最適の一冊。(原本:『入門・世界の神話』講談社、1965年) 目 次 はじめに 第1章 神話のさまざま 1 大蛇退治――アポロンと素戔嗚尊 2 花物語――ヒヤシンスとすいせん 3 星座――天に上ったくまの母子 4 七夕祭り 5 湖畔に立つポプラとかしの木 第2章 神話の成り立ち 1 裁く神から踊る神まで 2 『死と少女』 3 金色のひつじの皮衣 4 オデュッセウスと百合若 5 史謡の世界――トロイの木馬 第3章 世界の神話 1 永遠の生を求めて 2 ノアの大洪水 3 ピラミッドの秘密 4 美しく奥深い北欧の神話 5 さるのつくった岩橋 第4章 世界のはじめ――ギリシア神話(1) 1 世界のはじめ(天地開闢) 2 神々の誕生 3 人類のはじめ 4 黄金時代 第5章 オリュンポスの神々――ギリシア神話(2) 1 オリンピックの由来 2 銀の弓と竪琴との神――アポロン 3 処女神宮のいわれ――アテーナとポセイドン 4 海のあわから生まれた女神――アフロディテ(ヴィーナス) 5 酒と芝居の神――ディオニュソス 6 商人とどろぼうの親方――ヘルメス神 7 月の女神アルテミス 第6章 海と地下の神々 1 ほら貝ふきのトリトオン 2 六粒のざくろの実 第7章 英雄時代 1 ヘラクレスの一生 2 迷宮と牛人退治 3 スフィンクスのなぞ 4 白鳥の皇子 5 さかはぎの駒 第8章 日本の神話 1 よみがえり 2 日の御子 3 海幸彦と山幸彦 4 因幡の白うさぎ 5 金色の鵄 第9章 伝説と史実 1 トロイア遠征の伝説 2 帰還の物語 3 説話の世界 4 神話の永遠性 5 神話と現代 索引
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3.5日本書紀の時代から、この国の基盤には大陸から摂取した文明の影響がありました。営々と築き上げられてきた日本の漢学文化は、中国古典の碩学、吉川幸次郎(1904-80年)の目にどのように映じていたのでしょうか。 ふとしたことで手にした本居宣長『うひの山ぶみ』によって、宣長の「信徒」となったと告白する著者は、江戸時代に日本の漢学の全盛を見ます。伊藤仁斎や荻生徂徠を生んだ元禄・享保期の儒学と、戴震や段玉裁、王念孫ら清朝の儒学に共通性を見出して、それを「近世の覚醒」と名付け、日本における覚醒が実は100年近くも大陸に先んじていたことを指摘します。 江戸時代に頂点を極めた漢学が、明治になって文化そのものが根本から変容していくことを万葉集の偏重に象徴的に見る第1部「古典について」、古代から江戸末期にいたる日本の漢学受容という類のない通史をコンパクトに描いた第2部「受容の歴史」、そして著者が愛してやまない儒者たちを素描した第3部「江戸の学者たち」。日本思想の基層をなす漢学という視座から、この国の学問的伝統を再発見する極上の教養書です! 【目次】 1 古典について 古典について――あるいは明治について 一 明治の記憶/二 明治への距離/三 明治の得失/四 万葉と古今/五 詩における理知/六 学術の文章/七 美と真の共存/八 注釈の学/九 辞典の学/一〇 日本書紀/一一 書紀学の変遷/一二 東洋史学/一三 太平 2 受容の歴史 受容の歴史――日本漢学小史 一 日本における外国文明の受容/二 そのインドその他との対比/三 文学および文学教育における受容/四 学問一般における受容/五 外国文明受容の心情/六 外国文明受容の歴史/七 受容の歴史のはじめ/八 空海その他/九 菅原道真/一〇 受容の中だるみ/一一 中国新文明の受容/一二 五山の禅僧/一三 江戸時代における受容の教育/一四 江戸時代における外国書の輸入と覆刻/一五 家康の政策/一六 藤原惺窩/一七 林羅山/一八 朱舜水その他/一九 伊藤仁斎 その一/二○ 伊藤仁斎 その二/二一 荻生徂徠 その一/二二 荻生徂徠 その二/二三 荻生徂徠 その三/二四 荻生徂徠その四/二五 江戸末期における受容/二六 むすびと希望 3 江戸の学者たち 仁斎と徂徠――論語古義と論語徴 伊藤仁斎 古義堂文庫 仁斎と小説 古義堂 二つの伊藤仁斎論――スパアとツアトロフスキ 伊藤東涯 安積澹泊 本居宣長――世界的日本人 一冊の本――本居宣長『うひ山ふみ』 学問のかたち 中京の二学者――河村秀根と岡田挺之と 息軒先生遺文続編の序 解 説(小島 毅)
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-時代劇でおなじみの名奉行や悪代官の意外な実像から、驚くほど便利な江戸の暮らしまで、研究者ならではの視点で江戸の風もあざやかに切り取った短編集。 桜吹雪で知られる「遠山の金さん」の父は、とある試験を転機に異例の大出世を遂げた名官吏だった!? 「おれがわるかつた」、「ゆるせゆるせ」とざっくばらんに詫びる「暴れん坊将軍」吉宗の肉声に、文字通り女房を「借金のカタ」に差し出してしまった旗本、年利一二〇〇%の超高金利金融「烏金」利用者の実態に、宛名に記された「殿」と「様」の格付けをめぐるひと悶着……。 読めばもっと江戸が好きになる。第一人者の篋底から取り出された珠玉の掌編の数々! (原本:『大江戸世相夜話』中公新書、2003年) 【本書の内容】 はしがき 遠山金四郎の入墨 遠山金四郎の入墨/遠山金四郎父子/江戸の受験参考書/名奉行の「条件」/官職名の由来/銭形平次と目明/親の歳を間違える金四郎 お代官様――悪の代名詞 将軍吉宗の肉声/遊芸を許す田沼意次/お代官様――悪の代名詞/秘薬「熊胆」の値段/「謙譲の美徳」の裏側 二十二時間・二十三日間・三年間/白いカラスは吉兆か/殿と様はどちらが偉いか 大御所の犯罪 大御所の犯罪/無 尽/談合体質の根深さ/拾った金は誰のものか/象をめぐる暗闘/国民の生命の重み/女房を借金のカタに置いても 女髪結い繁盛記 便利すぎて困る/女髪結い繁盛記/江戸の贈答事情/江戸の高利貸し/証文の怖さ または、江戸の女性はしたたか/地獄の沙汰も金次第 放蕩息子の矯正 読み書き算盤/放蕩息子の矯正/「うろたえる」老人たち/天明七年のポスター/上流女性をどう呼ぶか 初出一覧 あとがき 学術文庫版あとがき
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4.7江戸時代に吉益東洞(一七〇二-一七七三)が礎をつくり、華岡青洲(一七六〇-一八三五)が西洋医学と融合させ、独自の進化を遂げた日本漢方医学。同じ病でも人次第で治療が変わる「同病異治」の哲学とは何か? 高齢化社会で多病を抱える患者への対応、200種を超える生薬を組み合わせ、がん治療の補助療法としての期待も高まる今、病との付き合い方を変える、東洋思想医学の可能性を考察する。漢方では関節リウマチであっても一人一人、また昨日と今日ではその性質が違うと考える。こうした極めて東洋的な考え方は、これからの医療を考える上で重要であろう。西洋の文化が直線的で四角定規であるのに対し東洋の文化は曲線であり、円である。わが国が担うべきは、単に薬という物質的なものだけでなく、文化的・精神的な考え方もひっくるめた、真の東西医学の融合ではないだろうか――「まえがき」より(本書は2013年、講談社選書メチエより『漢方医学』の題名で刊行されました。)
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5.0痛快で、やがて悲しい――。ジャンヌ・ダルクの生涯を一言であらわすならば、このようになるでしょうか。時は15世紀、英仏100年戦争の末期。フランスを二分する未曾有の国難のなか、パリを追われた失意の国王シャルル7世のもとに彗星のごとくあらわれたのが、ジャンヌ・ダルクです。甲冑を身にまとい馬上の人となった彼女は破竹の勢いで敵方を打ち破り、またたくまにシャルル7世をランスでの戴冠に導きます。しかし華々しい栄光もつかの間、ジャンヌはイギリス軍に引き渡され、異端者として生きたまま火あぶりにされてしまうのです。「声」に導かれるまま生まれ育った村を旅立ったのが16歳、火刑台に立たされたときには19歳でした。本書は、100年戦争の政治的背景から、中世におけるお告げや聖女の系譜など、彼女が生きた当時の世界を浮かび上がらせることで、ジャンヌ・ダルクの全体像をあざやかに、しかも親しみやすい筆致で描きだします。名もない羊飼いの娘だったジャンヌを突き動かした「声」、ついにはシャルル七世をも動かし、フランスを熱狂させたものとは、いったい何だったのでしょうか。カトリックの聖人は数多くいますが、異端者として火刑にまでなりながら、500年後に聖女として認定されたのは彼女だけです。「普通の女の子」が国を救い、国家意識を創ることを可能にしたヨーロッパ中世とは、そして彼女を「守護聖女」として今なお現役で生かしているフランス人の心性とはいったいどのようなものなのでしょうか。異端にして聖女、華やかで苛烈なジャンヌ・ダルクの世界に、あなたも飛び込んでみませんか?(原本:講談社現代新書、一九九七年)【本書の内容】プロローグ序 章 ジャンヌ・ダルクとはだれか第1章 ジャンヌ・ダルクの先駆者たち――カリスマと聖女第2章 神の「声」を聞いた少女第3章 中世の政治と宗教――少女戦士はいかにして誕生したか第4章 戦場の乙女第5章 ジャンヌの最期/エピローグ/あとがき/学術文庫版あとがき/おもな参考文献
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-「雲から雨が降る」という、一見あたりまえの自然現象の仕組みと奥深さを探究した、気象学の入門書。 なぜ雨は、滝のようにつながって落ちてこないのか。雨粒はどんな形をしているのか。小雨の雨粒と、大粒の雨粒は、どのくらい大きさが違うのか。雲粒と雨粒の境目はどこにあるのか。なぜ、雨が降りやすい雲と、降りにくい雲があるのか。水蒸気が凝結するための「雲粒の種」とは。自己増殖し、自己組織化して雨を降らせる、生物のような積乱雲の生涯とは――。 傘とレインコートで日常的な雨対策をし、冬にも豪雪に見舞われる日本列島の降雨事情は、地球上でも特異なものだという。その地形的特質から、近年多発する集中豪雨のメカニズムとエルニーニョ現象、温暖化のカギを握る雲の種類、さらに、「人類の夢」である人工降雨や気象の人工調節の可能性まで、雲・雨・雪の研究に尽くした第一人者が、平易に解説する。北海道大学名誉教授・藤吉康志氏が巻末解説を執筆。〔原本:『雨の科学――雲をつかむ話』2005年5月、成山堂書店刊〕〈目次〉1 地球に降る雨のミクロな特徴第1章 雨粒の形と大きさ第2章 雨の強さと雨粒の大きさ分布第3章 雨が降る雲、降らない雲第4章 多くの雨は雪が融けたもの第5章 雨の降り方は人間活動によって変わる2 雲の組織化第6章 積乱雲の生涯第7章 生物のような積乱雲第8章 集中する豪雨第9章 人工衛星から観る雲の群第10章 地形の働きによる降雨の強化と集中3 雨の気候学第11章 気候域と雨量第12章 亜熱帯域の降雨第13章 雨のテレコネクション第14章 雨の経年変化第15章 水惑星の水問題解説 藤吉康志索引
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4.0ポピュリズム、ポストトゥルース、グローバリズムに直面する今こそ読む――"アメリカのデモクラシー"その根源への探究デモクラシーこそは歴史の未来である――誕生間もないアメリカ社会に トクヴィルが見いだしたものは何か。歴史的名著『アメリカのデモクラシー』では何が論じられたのか。「平等化」をキーワードにその思想の今日性を浮き彫りにする、鮮烈な思考。あらゆる権威が後退し混沌の縁に生きる私たちは、いまこそトクヴィルに出会い直さなければならない!いま日本の思想界をリードする著者が、第29回(2007年) サントリー学芸賞(思想・歴史部門)を受賞し、現在に至る地位を築いた好著の文庫化。文庫化にあたり、現在の政治・思想状況をふまえた「補章」を増補。トクヴィルの「今日的意義」は増すばかりである。ある意味で、「トクヴィル的」とでも呼ぶべき状況がますます強まっている―(「補章」より)【本書の主な内容】第一章 青年トクヴィル、アメリカに旅立つ第二章 平等と不平等の理論第三章 トクヴィルの見たアメリカ第四章 「デモクラシー」の自己変革能結び トクヴィルの今日的意義補章 二十一世紀においてトクヴィルを読むために
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4.5「職業としての学問」、「職業としての政治」の邦題で読み継がれてきたマックス・ウェーバーの二つの講演が、いま読むにふさわしい日本語で甦る。ドイツ語の原語Berufには、生計を立てることとしての「職業」という意味だけでなく、神からの「召命」や「天職」という意味も含まれる。「学問」も「政治」も単なる「職業」ではない、とはどういうことか? 今ますます切実さを増す問いに答える新たなスタンダード!
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3.5アーネスト・サトウの名は、幕末明治の日本に訪れたイギリスの外交官として知られている。しかしサトウが、日本の「近代登山の幕開け」に大きく寄与したことを知る人は案外少ない。本書は、サトウの登山家としての著作を抜粋・編集。富士山、日本アルプス、日光と尾瀬、吉野と熊野。描かれる明治の登山道は、現在はすでに廃れて使われなくなっていたり、逆に今もそのままの景色が読み取れるなど、興味をそそる。詳細な地図も掲載。
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5.0体格、体力、手先の器用さなどの「自然」に基づく不平等ではなく、地位、身分の区別、貧富の差といった「人為」によって作り出された不平等は、人間を惨めで不幸にする。そんな不平等の起源と根拠を問い、不幸を回避するための道筋を示す。格差社会が深刻化している今、ますます重要性を帯びるルソーの主著を、原文を感じさせる日本語で新訳! 断片のみが残された作品『戦争法原理』の復元されたテクストを本邦初訳で併録した。
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4.0悪魔と処女の子マーリンは、キリスト教の力で悪魔由来の邪悪さが消え、不思議な予言力を持つ。サクソン人の襲撃を受けるブリテンを守る王族三代コンスタン→ユテル→アーサーを導き、最終的にアーサー王の戴冠を成功させる。本書の物語の特徴は、なんといっても聖杯伝説とアーサー王伝説のマリアージュです。また本書では異なるふたつの結末が収録されています。本邦初訳の中世ロマンが読みやすい訳と解説付きで登場! (講談社学術文庫)
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-◇◆◇「愛とは何か」を解るために、「暴力とは何か」を考える。◇◆◇ ◇◆◇さまざまな概念を対にして展開する、縦横無尽な思考の一大パノラマ!◇◆◇ 本質と時間/愛と暴力/ここと私/正義と詩人…… ある概念と別の概念を対にしてみると、思いもよらない連関が生まれ、ありふれた言葉から豊かな哲学の問題が立ち上がってくる! 現代哲学の重要論点のみならず、文学、芸術、宗教、科学、政治を自由闊達に横断。一人ですべての項目を書き切った事典にして、どこから読んでも愉しめる上質の哲学エッセイ。 【本書より】 哲学事典を引く人が、「存在」とか「記憶」とかの意味をまったく知らない、などということは考えにくい。求められているのは日常では一見自明な言葉に哲学者が見出す亀裂であり、それを通して見えてくる思いがけない意味連関ではなかろうか? 概念間の連関が重要なのだ。ゆえに、哲学事典は一貫した視点で、一人が全項目を書くべきなのだ。 これは、すべてを網羅するという事ではない。多くの知識を蓄える事が問題ではない。問題は、越境的な精神の自由を確保する事なのである。本書では、諸概念の連関を強調するため、事項を単独で説明するのではなく、一対の概念に対して説明をした。読者は、関連する事項説明をたどることによって、梁と梁が大きなドームをなすイスラム建築のように、あるいはたがいに連関して図形を構成する夜の星空のように広がる、概念の天蓋が見渡せよう。 【本書の内容】 愛と暴力 アキレスと亀 一者の実在性/真理と悲劇 イロニーとユーモア 運と偶然 可能性と反実在論 共同感覚と感覚質 言語と意味/ Sinn(意)とBedeutung(指示)/実在論と反実在論 検証主義とプラグマティズム ここと私/意識と想像的なもの/想像的な私と象徴的な私 自然とユートピア/美と判断力 自由と問題 正義と詩人 全体論と解釈/現象学と志向性/心的な用語(mental term)と命題的態度 疎外論と物象化論 存在と存在論/数と算術/性質と類似性/実体と普遍論争 知識と信念 超範疇と超越論的 美のイデアと芸術 文化相対主義と普遍的正義論 弁証法と(再)定義/観念論とヘーゲルの弁証法―意図と欲望 保守主義と左翼 法と革命 本質と時間/時間様相―過去現在未来/期待と希望 メタ言語と主体性 ヨブの苦しみと罪の名 歴史と伝統/ヘーゲルの歴史観/反時代的 索引 *本書の原本は、2006年に講談社現代新書より刊行されました。(増補あり)
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-「子は怪力乱神を語らず」。孔子に代表される儒教の合理的精神のもと、早くに歴史の中に取り込まれ、断片的にしか伝わることがなかった中国神話。『山海経』や『楚辞』、甲骨資料などわずかに残された痕跡から、一つ目、一本足で猿面の山神を主人公に、古代中国史の泰斗が神話世界を大胆に復元する! 最古の地誌であり、儒学の厳しい検閲の網を逃れて現代にまで生き残った、さまざまな怪物が登場する『山海経』。そこには一本足で、声は雷のごとく、黄帝が生け捕りにして皮をはいで鼓をつくり、その骨をばちに打ち鳴らすと五百里四方にとどろいたという山の怪物が登場する。また別の個所では楽園の番人を殺して不死の木の実を盗んだ罪によって、足にかせをはめられ、両手と髪を縛ってある山の木に逆さ吊りにされた怪物も現れる。このいずれもが「き」という音で呼ばれる、本書の主人公である。 司馬遷が『史記』で歴史のはじめにおいた黄帝と、その強敵である蚩尤はともに風雨、とりわけ風を呪術的に自在に操る力を持っていた。風の神は同時にふいごを使う鍛冶神にも通じ、そして「き」もまた、鍛冶と深いかかわりがあったという。 多くは猿面で一つ目、一本足で表象されるこの山神を出発点に、柳田國男や折口信夫の民俗学的手法や日本神話、時にはバビロニアのマルドゥク伝説からもヒントを得ながら、古代のはるか遠い祖先神をめぐるひとつの物語として中国の神話を大胆に復元し、さらにその後、儒教化によって神話が歴史へ、呪術が宗教へと変容するまでを描く。神話世界を冒険するかのようなスリリングな魅力に満ちた一冊。 (原本:『中国の神話――神々の誕生』筑摩書房、1971年) 第一章 異形の神像 第二章 瞽師の伝承――中国の語部 第三章 風の神の発見 第四章 鍛冶師と山の神 第五章 文化的英雄の誕生――三皇五帝 第六章 神話の世界の消失 第七章 乱――エピローグ あとがき 解説 蜂屋邦夫
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-漢詩は、平安時代から現代まで、多くの日本人の心をとらえてきた。その歴史・地理的な背景や、日本の漢詩受容を押さえて、丁寧に作品を読み解き、漢詩の豊かな抒情の世界に遊ぶ。奔放自在な「詩仙」李白、謹厳実直な「詩聖」杜甫、閑寂の自然詩人・王維など、珠玉の名作を読む醍醐味を味わいつつ、自由闊達に読むことをも可能にする最良の入門書。 [本書の内容] 序章 漢詩をどう読むか I 李白と酒 II 月の光 III 登楼・重陽 IV 杜甫の律詩 V 蘇州詩話 VI 閑寂・江南の春 VII 旅愁・シルクロード VIII 唐詩と日本人
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4.5永仁の徳政令――日本史上、飛びぬけて有名なこの法の本質を「「もとへもどる」という現象」と喝破し、躍動する13世紀の社会を深く鮮やかに描き出した不朽の名著、待望の文庫化! 日本人は「所有すること」をどのように捉えていたのか。サブスクリプション制やフリマアプリの登場によって、所有の概念がかつてないほど揺らいでいる今こそ読みたい、中世人の法と慣習を解き明かす一冊。(原本:岩波新書、1983年) 「今国家の債務を消すために、その他一切の債権債務を破棄する、つまり天下一同の徳政を実行すれば、日本経済は収拾のつかない混乱におちいるかもしれないし、意外にも大したことなくすぎてしまうかもしれない。いずれにせよ、少なくとも現時点ではそれが「夢のような話」にすぎないことはいうまでもない。 だが、中世社会ではそれは夢ではなかった。永仁徳政令B‐3条のように、あるいは室町幕府の徳政令がもっぱらそれを主張していたように、債権債務破棄の徳政令を発布するという現実的な道があったからである」(第一〇章「新しい中世法の誕生」より)。 日本の歴史のなかでも、単行法としてずば抜けて有名な法「永仁の徳政令」。永仁五(1297)年に出されたこの法は、21世紀の日本のみならず、制定された13世紀当時から有名な法であった。現在からは想像もつかないが、法の実在さえ法廷でまじめに争われた時代にあって、ある法の存在を同時代の人々が短時日のうちに共有したということ自体が、極めて異例のことであった。実際に、永仁の徳政令の立法からわずか二週間後には、この法に基づいた訴訟が起こされて、土地が返却されている。その後も、この法に基づいて多くの土地が売り主のもとに戻ることになった。 新幹線もSNSもない時代に、なぜこのようなことが可能だったのか。そしてなぜ徳政令は、現在もなお異色の有名法であり続けているのか。そもそも幕府自身は当初そう言っていなかったにもかかわらず、この法はなぜ「徳政」と呼ばれたのか。 永仁の徳政令にまつわる数々の謎を解き明かし、売買や贈与から浮かび上がる所有に対する意識や、「天下の大法」と呼ばれる社会規範の存在、幻の政治改革「弘安徳政」、さらにその背後にある合理主義的な政治的思潮の登場に至るまで、この不思議な法を軸に中世社会の本質に迫る。著者のエッセンスがふんだんに盛り込まれた日本中世社会史の金字塔! 【主な内容】 一 無名の法、有名の法 二 徳政令の出現 三 なぜ徳政なのか 四 天下の大法 五 贈与と譲与 六 消された法令 七 前代未聞の御徳政 八 人の煩い、国の利 九 徳政の思想 一〇 新しい中世法の誕生 あとがき 解 説(小瀬玄士)
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-「まことに、〈われ〉は、〈なんじ〉と出会うことによってはじめて、真の〈われ〉になるのである。わたしが〈われ〉となるにしたがって、わたしは相手を〈なんじ〉と呼びかけることができるようになるのである」。 「すべての真実なる生とは、まさに出会いである」。 オーストリア生まれのユダヤ人哲学者マルティン・ブーバー(1878-1965年)は、ウィーン大学で哲学や美術史を学んだのち、神秘主義的なユダヤ教の一派であるハシディズムに傾倒しつつ、ユダヤ人のパレスチナ復帰を目指すシオニズム運動に参加する。1916年にはドイツ語圏ユダヤ人の指導的機関誌となる『ユダヤ人』を創刊してその編集にあたり、またフランツ・ローゼンツヴァイク(1886-1929年)とともにヘブライ語聖書(旧約聖書)のドイツ語訳を行う。その後フランクフルト大学で教鞭をとるも、1938年にドイツを脱してイスラエルに移住。以後はヘブライ大学に勤め、エルサレムで人生を終えている。 第一次世界大戦に志願兵として参加し、塹壕のなかで着想を得て執筆されたローゼンツヴァイクの『救済の星』(1921年)の刊行後ほどなく、本書は敗戦の爪痕も未だ深いドイツで1923年に刊行された。 ブーバーの主著でもあるこの本は、「ひとは世界にたいして二つのことなった態度をとる。それにもとづいて世界は二つとなる」という一文で始まる。二つの世界のうち、一つは〈われ〉‐〈なんじ〉の世界であり、もう一つが〈われ〉‐〈それ〉の世界である。世界は、単に人間の経験の対象となるときには〈われ〉‐〈それ〉という根源語に属し、これに反して関係の世界は、もうひとつの根源語、〈われ〉‐〈なんじ〉によって作り出されるという。 「対話の思想家」と称されるブーバーは、さらに「はじめに関係あり」と語る。「私」ではなく「あなた」でもなく、〈われ〉と〈なんじ〉、そして〈われ〉と〈それ〉の出会いから始まる世界とは、どのようなものなのか。そしてそれは私たちの生に何をもたらし、どのように変えていくのか。ユダヤ思想のエッセンスに満ちた普遍的名著が、いま〈あなた〉に語りかける! (原本:『孤独と愛――我と汝の問題』創文社、一九五八年) 【目 次】 第一篇 根源語 第二篇 人間の世界 第三篇 永遠の〈なんじ〉 資料 あとがき〔一九六二年〕(佐藤貴史訳) 訳者解説 学術文庫版解説(佐藤貴史)
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4.5人びとを救いのない業報の束縛から解放する、恩寵と救済の宗教――大乗仏教は、どのような思想的変転の中から出現したのだろうか。「さとり」と「廻向(えこう)」という大乗仏教のキーワードを軸に、その独自の論理を解明していく。 「マーヤー夫人の処女懐胎」と「マリアの受胎告知」など、ブッダとイエスをめぐる説話に驚くべき類似がいくつも見られるのはなぜだろうか。本書はまず、仏教とユダヤ教、キリスト教など、西アジアの諸宗教の影響関係を聖典文献学から探る。なかでも、ペルシアに栄えたゾロアスター教がメシア信仰や阿弥陀仏信仰、さらに大乗仏教の成立に与えた影響に着目する。 また、自分の積んだ善業の結果を「さとり」という超世間的なものに転換したり、自己の功徳を他人に振り向けたりする「転換の思想」すなわち「廻向」は、「業も果も本質的には空(くう)である」という「空の思想」に支えられている、という。そして、この阿弥陀仏信仰と「空の思想」を両輪として、大乗仏教は育まれたのである。 原始仏教と他宗教を比較する広い視野から、難解な思想を平易に説き明かす。巻末解説を、チベット学の今枝由郎氏が執筆。 『「さとり」と「廻向」――大乗仏教の成立』(講談社現代新書1983年刊、人文書院1997年刊)を改題して文庫化。
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3.7地名には歴史的・文化的に貴重な価値が含まれています。日本の地名はバリエーションも多く、その起源についてもさまざまなものがあります。 地名の成り立ちや命名の仕方について研究する地名学は、柳田國男も取り組んでいた。もともとは地理学との関係が深いが、歴史学、民俗学、言語学などのアプローチが必要でもある。 いくつか具体的にみてみましょう。 大和語(ツル=水流=津留など)・アイヌ語(ホロ=大=美幌など)・朝鮮語(フル=火・村=布留など)・マライ語(アゴ=真珠の首飾り=英虞など)などを起源とするケース、もともとの地名が方言によって違っているケース(タロウ=太郎・田老=巨大または小平地など)、時代の流行によっているケース(開墾が盛んだった時代は、「田代」「新開」「新田」など)がなどです。 また、地名は発生した後に、その伝播のしかたにも特徴があります。もともとの地名が伝わっていくときに、扇状に伝わるということがあります(親不知付近では混在している「しとる」「してる」が、南では扇状にその範囲が広がる)。また、「空洞」と呼ばれる「地名のない部分」が発生したりします(たとえば中国・四国地方では、山の呼び名に「岳」を使用しないことが多い)。 地名を研究することで、隠された歴史の痕跡を読み取ることが可能なのです。 「文化化石」としての地名を研究する学問として、「地名学」を提唱した著者が、その集大成として刊行されたのが、本書です。 また、本書巻末には約1000項目の「日本地名小辞典」が付いております。 身近な地名の謎に迫るためにも好著ですし、歴史学・民俗学の補助としても役に立つ一冊です。 【原本】 『日本の地名 付・日本地名小辞典』(角川新書 1964年刊) 【目次】 はじめに 第一章 地名学とはどんな学問か 第二章 どうして研究したらよいか 第三章 むずしい地名の意味をどうして解くか 1 富士山のフジの意味 2 「名古屋」の意味 3 「船越」の意味 第四章 地名にはどんなタイプがあるか 1 語根型 2 民族型 3 時代型 第五章 地名はどんな形で分布するか 1 波紋形の分布 2 相似関係の分布 3 現状に境界線が集まる現象 4 「空洞」といわれる「地名のない部分」の現象 5 伝播する地名 6 双子地名 第六章 地名の発生年代は決められるか 第七章 地名の正しい書き方 第八章 郷土の地名の調べ方 第九章 地名研究の参考書 おわりに 付録 日本地名小辞典
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4.018世紀のスウェーデンが生んだ稀代の科学者にして神秘思想家、エマヌエル・スウェーデンボルグ(1688-1772年)。この異才の存在こそが、カントに『視霊者の夢』(1766年)を書かせ、またバルザックをして『セラフィタ』(1834年)の執筆にむかわしめました。日本では、禅学の大家である鈴木大拙(1870-1966年)が紹介したことで知られています。 スウェーデンボルグは84年の生涯のうち、その半分を科学者として過ごします。11歳でウプサラ大学に入学したあと、イギリスやフランスに遊学して天文学や機械工学を学び、先駆的な航空機を含め多彩な発明品の設計図を残します。その後、スウェーデン国王カルル12世の知遇を得たことをきっかけに、王立鉱山局の監督官として59歳まで働くことになります。監督官として勤めるかたわら、地質学をはじめ数学、宇宙学、解剖学など多岐にわたる分野で精力的に執筆活動を続け、科学者として当時のヨーロッパに名を馳せますが、50代のときに大きな転機が訪れます。それが相次ぐ神秘体験でした。 スウェーデンボルグを科学者から神秘主義神学者へと変貌させた、神秘体験とは一体どのようなものだったのでしょうか。それはこの天才にとってどのような意味をもっていたのでしょうか。そして、彼が見た死後の世界とはどのようなものだったのでしょうか。科学から神秘世界へ、大きな飛躍があるように見え、ともすれば矛盾に満ちたものになりそうなその生涯は、実のところ極めて合理的な精神に貫かれていたのです。 2005年にユネスコの世界記憶遺産に認定された膨大な手稿も含め、スウェーデンボルグが遺した思考の軌跡を辿っていくと、そこにはこの思想家が持ち続けたたぐいまれな合理的思考の輝きと、ニュートンやカントをはじめとする当時の科学者や哲学者が、人間や魂、宇宙など世界の真理に迫るべく探求を重ねていた18世紀の時代精神が浮かび上がってきます。 日本ではいまだ知る人ぞ知る存在でありながら、ゲーテ、シェリング、ドストエフスキー、コナン・ドイル、エドガー・アラン・ポー、ボルヘスなど、綺羅星のごとき思想家や作家たちに影響を与え続けた巨人の生涯と思想の全貌を本書は活き活きと簡潔に描き出しています。ヨーロッパ思想の奥深さを知る、絶好の入門書です!
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3.0■世界の真理は、単純明快! てこの原理からE=mc2、量子力学まで全部わかる!■ 中学校理科から量子力学まで物理学全体を見渡し、歴史のエピソードや文学作品を引きながら「基本の基本」をわかりやすく伝授。さらに、人間の思考は自然の論理をどこまで捉えられるのか、という根源的問いにまで誘う。宇宙物理学の先端で研究に取り組み、科学とは何かを深く問い続けてきた名手が放つ、画期的入門テキストにして深遠なメッセージ。 「文系のための物理学入門」の決定版! □単純、簡明、統一、原理主義□ 物理学者は、多様で複雑に見える自然だが、真理は意外に単純明快であり、論理を忠実にたどっていけば必ず真理に到達できると信じている。アインシュタインが述べたように、「神は老獪だが、意地悪ではない」のである。そのための自然を解剖していく手法は、本書に書いたような原理・法則・原則に則っている。どのような建築物もレンガ一つひとつの積み重ねから成り立っているように、壮大な物理学の成果も、最も基本的な原理の上に構築されているのである。―本書より (本書は2011年にPHPサイエンス・ワールド新書より刊行された『物理学の原理と法則』を大幅に改稿・加筆し文庫化したものです)
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4.2ワーグナーの楽劇『ニーベルングの指環』は、多くの音楽ファンの心を烈しく揺さぶる一大傑作である。また『ニーベルンゲンの歌』は古代ゲルマンの英雄伝説を素に、13世紀初頭に成立した一大叙事詩である。両者に共通する「ニーベルング(ゲン)」は地下に住む妖精の名前である。そしてこの侏儒がとてつもない財宝を所有していた。この財宝をめぐってさまざまな闘争が繰り広げられ、壮大な物語へと発展していくのである。この物語の主人公ジークフリートのルーツはどこにあるのか。古代ゲルマンの「竜退治」「財宝獲得」の英雄伝説や北欧の伝承『歌謡エッダ』『サガ』などの系譜を辿り、また、主人公の人間像と楽劇の魅力を徹底的に読み解き、ドイツ文化の特質とその精神の核心に鋭く迫る。 〔文庫書き下ろし〕 第1章 ニーベルンゲン伝説の生成 第2章 北欧への伝承 第3章 ドイツ中世英雄叙事詩『ニーベルンゲンの歌』 第4章 新しいタイプの伝承 第5章 ドイツ・ロマン派による伝承 第6章 19世紀における戯曲作品 第7章 ワーグナーの楽劇『ニーベルングの指環』4部作 第8章 20世紀のジークフリート伝説 結び ジークフリート伝説の系譜
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4.3マムルーク朝のバイバルスとともに、イスラーム史上の英雄と称されるアイユーブ朝のサラディン。アラブと十字軍の50年以上にわたる覇権争いに終止符を打ち、十字軍から聖地エルサレムを奪回した「イスラーム世界の英雄」として知られる彼は、同時代のアラビア語史料や伝説に「アラブ騎士道の達人」「慈悲深い高潔な人物」と謳われ、ヨーロッパでも智者、果敢な騎士、寛大な性格の人物と評されました。アラブ側は異教徒と勇敢に戦った英雄として、ヨーロッパ側はアラブ騎士道の体現者として、サラディンを描きつづけています。そのような伝説に彩られた人物の実像とはどのようなものだったのでしょうか。本書は、サラディンが、どのような政治・経済・社会状況にあって、どのように考え、どのように行動したかを明らかにします。さらに、伝説と事実を峻別したうえで、架空の伝説も人々の願望の表れとしてとりあげ、「人間としてのサラディン像」をあざやかに描き出す、「英雄」の実像に迫った本格的伝記です。 〔原本/1996年、講談社選書メチエ〕 【本書の内容】 プロローグ――サラディンの生きた時代 第一章 修行時代 1 誕生 2 カリフ権力の衰退と十字軍の侵攻 3 少年サラディン 4 ヌール・アッディーンとの出会い 5 エジプト遠征 第二章 エジプトの若きスルタン 1 アイユーブ朝の創設 2 バイナル・カスラインの戦い 3 サラディンの補佐役たち 4 イエメン征服の謎 5 シリアへの進出 6 新体制の確立 第三章 カイロからエルサレムへ 1 エジプト経済の繁栄 2 聖戦(ジハード)へ向けて 3 エルサレム奪回 4 アッカーをめぐる攻防 5 サラディンの死 エピローグ――サラディン以後
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3.3かつて500年に亘り、栄華を極めたオスマン帝国。 東洋と西洋、イスラムとキリスト教という文明と宗教の交差が生み出した 大首都・イスタンブルで、当時、人々はなにを食べ、どんな暮らしをしていたのか? 1500坪の台所で260余名のコックが、年に600万円予算で贅を尽くしたトプカプ宮殿の献立。 食事が足りないと鍋を投げて暴動を起こした、屈強たるイエニチェリ軍団の食い意地。 施しこそ敬虔な信仰の証、と貧者への給食すら豊かだったこの帝国を、 当時の料理書や、市場で売られた食材物価表までたどって、細やかに検証。 オスマン帝国の興亡を「食」で大胆に考察する。 目次 巻ノ一 古都は食をはぐくむ 巻ノ二 遊牧の遺産 巻ノ三 ケバブのみがトルコ料理にあらず 巻ノ四 イスタンブルの市場めぐり 巻ノ五 君府料理尽し 巻ノ六 貧者の給食 巻ノ七 トプカプ宮殿の台所 巻ノ八 スルタンの食卓 巻ノ九 祝祭の饗宴 巻ノ十 「土」風から「洋」風へ 学術文庫版あとがき 今でも、トルコ語で「大鍋を覆す」といえば反乱を起こすことを指すが、事態がそこまでいかなくとも、俸給支払いの日のスープをイェニチェリたちが飲むのを拒むとなれば、帝都の騒擾につながりかねず、下手をすれば当面の政権の担当者たる大宰相の首が文字通り飛んでしまう。トプカプ宮殿の中庭でのイェニチェリへのスープの振舞いは、(略)、一大国事でもあった――― 巻ノ八 スルタンの食卓より 本書の原本は、1995年、NTT出版より刊行されました。
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-花の都フィレンツェの驚異的絶頂の世紀を描く 万能の文化人アルベルティとともに、ヨーロッパを照らした「人文主義」の光源を探る 輝かしき15世紀(クアトロ・チェント)。繁栄をきわめるメディチ家と有力家族たちが、パトロンとなって花開く芸術。贅美溢れるモノの帝国にして、聖なる雅都となったフィレンツェ。社交と祝祭、聖と俗、科学と魔術、中世と近代が渾然一体となった都市を動かしていた思想とコードとはなにか。ダ・ヴィンチをして劣等感に臍を噛ませた万能人アルベルティを通して描く新ルネサンス像。〈解説・山崎正和〉 聖ベルナルディーノの言葉「イタリアは世界でもっとも知性的な祖国、トスカーナはイタリアでもっとも知性的な地方、そしてフィレンツェはトスカーナのもっとも知性的な都市である」は、わたしの確信を代弁している。昨今では、フランスやドイツやイギリスのルネサンスを、イタリアとひとまとめにして連続的に論ずる流儀がはやりのようだけれど、あんな北方の、田舎臭い文化活動、青白く屈折した意識の覚醒を「ルネサンス」と呼んで、個人と家族と都市がスクラムを組んで絢爛たる文化を開花させたイタリアと一緒にしてほしくないものだ。――<「あとがき」より>
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4.3世界に孤立して国運を誤るなかれ──日露戦争後の祖国日本の動きを憂え、遠くアメリカからエール大学教授・朝河貫一が訴えかける。歴史学者としての明解な分析に立って、祖国への熱い思いが格調高く述べられ、読む者の心に迫る。彼の忠告も空しく、軍国主義への道をつき進んだ日本は、戦争、敗戦へと不幸な歴史を辿った。日米の迫間(はざま)で、日本への批判と進言を続けた朝河。彼の予見の確かさと祖国愛には、今もなお学ぶべきものが多い。 目次 ●前篇 日本に関する世情の変遷 日本に対する世評の変化 満州における日本に対する世の疑惑の由来 反動説──感情的反対者──利害的反対者 東洋における世界の要求 一八九九年以前 一八九九年以後 日露戦争以後 ●後篇 日本国運の危機 ・第1章 戦後の日本国民多数の態度に危険の分子あることを論ず 国権説は機に後れたり 国勢は劇変して国民の態度はこれに副わず 国民の危険なる態度、国運の危機 ・第2章 日本と米国との関係に危険の分子少なからざることを論ず 米国人の日本に関する感情の変遷 日本人の米国に関する思想の浅薄 日、清、米の重大なる関係 米国と新外交、清国の信頼 米国人民の東洋に関する輿論 米国為政者の東洋に関する思想 ローズヴェルト氏、タフト氏 結論 日本国民の愛国心
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5.0江戸時代の大坂と言えば「天下の台所」、つまりは町人の都というイメージが強いだろう。司馬遼太郎は、幕府直轄の武士はわずか二百人と述べている。しかし、江戸時代のはじめからおわりまで、一貫して大坂は「武士の町」だったのだ! 大坂に武士はほんとうは何人いたのか? 武士たちはどうやって大坂の生活を楽しんでいたのか? 大坂城はどんな構造だったのか? 奉行所では何が行われていたのか? 大塩平八郎はなぜ決起したのか? なぜ「大坂は町人の町」という言説が生まれたのか? 「武鑑」や、大坂町奉行所の絵図面、代官たちの日記、幕府にのこされた数々の文書など、数多くの史料を駆使して、大坂という町で、いかに武士が生き、歴史を動かしていたのかに光をあてる快心作。
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4.8北条氏はなぜ将軍にならなかったのか。なぜ鎌倉武士たちはあれほどに抗争を繰り返したのか。執権政治、得宗専制を成立せしめた論理と政治構造とは。承久の乱を制し、執権への権力集中を成し遂げた義時と、蒙古侵略による危機の中、得宗による独裁体制を築いた時宗。この二人を軸にして、これまでになく明快に鎌倉幕府の政治史を見通す画期的論考!【本書より】・鎌倉北条氏は、そもそもどのような家であったのか。・「得宗」とは、いったいどういう意味なのか。・これは事実自体がほとんど知られていないが、鎌倉将軍には実は四人目の源氏将軍が存在した。第七代将軍源惟康がその人である。鎌倉幕府が空前の強敵蒙古帝国と対峙したこの時期、なぜ鎌倉幕府は源氏の将軍を戴いていたのであろうか。―これらの問題を追究するためには、どのような方法が有効なのであろうか。まず、鎌倉幕府の通史や北条氏歴代の伝記を書くつもりはない。なぜならば、この本は北条氏という「一族の物語」ではなく、「一族の物語」の底を流れる「基調低音」を書くことが目的だと思うからである。表面的に幕府や北条氏の歴史をなぞっても、我々が求める答には辿り着けないはずである。そこで私は鎌倉北条氏歴代のなかからキー・マンとして二人の「執権」を選んだ。承久の乱で仲恭天皇を廃位し後鳥羽・土御門・順徳の三上皇を配流(流刑)した「究極の朝敵」、第二代執権北条義時と、蒙古帝国の侵略を撃退した「救国の英雄」第八代執権、北条時宗である。世間一般の評価に極端な隔りのあるこの高祖父(ひいひいおじいさん)と玄孫(ひいひいまご)の人生に注目することにより、答に迫りたいと考える。この試みが成功し、見事、解答に至れるかどうかは、わからない。「とりあえず付き合ってやるか?」と思った読者と共に旅に出るとしよう。【本書の内容】はじめに―素朴な疑問 第一章 北条氏という家 二章 江間小四郎義時の軌跡―伝説が意味するもの 第三章 相模太郎時宗の自画像―内戦が意味するもの 第四章 辺境の独裁者―四人目の源氏将軍が意味するもの 第五章 カリスマ去って後 おわりに―胎蔵せしもの
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4.0※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 私とはなにか、私たちはどこからきてどこへ行くのか――。この根源的な問いにたいし、分析と還元を旗印とする科学、とりわけ「生命科学」は、有効に答えてきただろうか。「生命誌」は、科学によって得られる知識を大切にしながら、生き物すべての歴史と関係を知り、生命の歴史物語を読み取る作業である。博物学や進化論、DNA、ゲノム、クローン技術など、人類の「生命への関心」を歴史的に整理し、科学を文化としてとらえる。(講談社学術文庫)
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-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 明治の大ベストセラー。明治期の地理学者による、日本を地理学的に解説した初期の書籍であり、詩情豊かな文章でこの国の風土を讃えるものです。科学的・実証的な論述でありながら、日本文学の古典を豊富に引用し、明治画壇きっての名手である樋畑雪湖・海老名明四の挿画とあいまって、日本の自然の美しさを述べた古典的名著です。日本人の景観意識に重要な変革を与えた記念碑的作品です。(講談社学術文庫)
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