梶山雄一の作品一覧
「梶山雄一」の新着作品・人気作品や、最新のユーザーレビューをお届けします!
-
作者をフォローする
- フォローするとこの作者の新刊が配信された際に、お知らせします。
ユーザーレビュー
-
歴史上のブッダは本当はどんな人でどんなことを考えていたのか、というのは、とても興味深い問いで、そういう本はたくさん出ている。そういうのがあれば、わりと読んでしまうのだが、何冊か読む中で大体のところが見えてきた。
で、次なる疑問は、「大乗仏教」はどのように生じたかということで、その辺りの私がまだよく
...続きを読むわかってない領域で、ズバリのタイトルのこの本を読んでみた。
これはとても読みやすい本で、かつ知らないことがたくさんあって、眼から鱗がたくさん落ちた。
一時、仏典と聖書に登場するエピソードに類似するものがあり、それは仏教から聖書への影響があるのでないかという研究が 19世紀にあった。が、調べていくと偶然似ているだけのものもあるだけだったり、テキストとしての成立の時代を吟味すると、聖書より後に仏典に類似したエピソードが追加されたと考える方が良さそうな状況らしい。
で、キリスト教が仏教に影響したのかというより、むしろゾロアスター教が、仏教とキリスト教の両方に影響を与えたと考えた方が自然だと著者はいう。このあたりの論考は、すごく面白い。
で、そこから話しは、より具体的に大乗仏教の成立についての論考に入っていき、歴史的な状況、仏教内部での派閥争い、輪廻概念の変化、空の理論の発見などなどが説明されて、説得力がある。
こういう仏教関係の本は、仏典を細かく分析していくところから議論を進めるものが多く、素人的には大体途中でわからなくなっていくのだが、この本は、テキストも紹介しつつも、当時の時代背景を分析していく中で、大乗仏教が生まれた原因を分析していく感じで書かれている。
あと、仏教における終末論がとても面白かった。仏教の世界観というか宇宙観がわかって、面白くて、ある意味、キリスト教的なところもあると思いつつも、結局、みんな救われるところが面白いし、終末を待たずとも今救済が可能なところがすごいなと思った。
Posted by ブクログ
-
本書は大きく3部構成からなっています。1部は宮坂氏による空海および真言密教の解説。2部は宮坂氏と梅原氏の対談。そして第3部が梅原氏の論考です。対談が読みやすいというのもありますが、全体を通して、難しすぎず易しすぎずというレベルに書かれていて非常に好感が持てました。確かにいきなり本書から密教の勉強をは
...続きを読むじめようとすると厳しいかもしれませんが、例えば『密教』松永有慶、などを読んだ後であれば、十分読み進めます。レベルが低すぎることもなく、かなり難しい用語も適宜解説を加えながら述べられています。梅原氏の論考がある分、他の密教関係の本よりも独特な解釈があったり、西洋哲学との比較があったりと、興味深く読みました。タイトルに「生命の海」とあるように、真言密教を生命礼賛の教義として解説されています。
Posted by ブクログ
-
鎌倉祖師たちの基となった天台教学を少しでも知りたくて読んだ。日本天台はほぼ智顗の直輸入らしく、知りたかった最澄の生涯についてはあまり触れられていない。ただ、やはり一向大乗戒壇設立については大きな功績として強調されていた。
智顗の教相判釈、法華経の構成や内容、華厳との違いが第一章で詳しく説明されて
...続きを読むいて勉強になる。
一見すると脇道にそれていくように思える西洋哲学、キリスト教、生物学、物理学などの話も、結局は天台思想に繋がっていく。これも「多即一」を表している?と思いながら興味深く読んだ。
Posted by ブクログ
-
大乗仏教の話なのだけれど、自分には宗教を求める人間の観点からその歴史を文献と今の自分を撚り合わせて辿るような本だと感じた。
前半部分で、キリスト教に出てくる話とジャータカの話の類似性についての研究の歴史がある。文献学と史学的な確かさから影響をしあったことはないようだが、検証の過程で人間が宗教
...続きを読むを求めていくことを確かめていて、それは同時に読んでいる自分の中を確かめるようでいて学術的な表記以上のものがある。
ゾロアスター教(拝火教)との関連性に言及したり、初期仏教からの経典の解説もあり、これは浄土教以外の仏教諸宗派、修験道の方が読まれたらどんな印象なのだろうと思った。視点がたくさんあって面白い。
後半で「空」について、
”戦乱と略奪に明け暮れ、無常と苦をいやでも痛感させられている民衆にとって、空の思想は、奥深いものでありながら、実はもっとも身近な、受け入れやすい思想であった。”
とある。ああ、これはそうかもしれないと思う。現代社会で生命の危機をある程度感じないで生きている今、この「無常」というのは生き死にのレベルで感じにくいのは確かた。ほんとうはそうじゃないんだけど、常に自分の隣に死があるという生活ではない。
空と輪廻のところは抜粋しようがないので、是非読んでもらいたい。ここにダイジェストを書くことがまた台無しにしてしまうことなのだ。
最後の[付論]仏教の終末論は、こんな感じの世界観があるのだというのを浄土教から読んでいる自分は初めて知った。こういう思想の土台があって輪廻というのを考えるとまた違った感覚で見ていくことができる。
どういう人におすすめかと言われてると、どういう人でもOK!全然仏教を知らない人でも面白く読める文化的知識的幅広さ。そして仏教関係の方でもそれぞれの視点から新しい気付きが得られるのではないかという感じがする本だ。真言宗の人とか読まれたらどんな感想かなとも思う。
学術的かと思わせて、自分の中で読んでいくことの広がりに驚く一冊。
Posted by ブクログ
-
最高に面白かった
因果律であるところの「縁」を説く釈迦が
なぜ「無常」や「無我」などの因果を否定する
ようなことを話すのか………
その理解がとても深まった
後編でとても心に残るのは
ヤスパースが仏教学者に質問するシーン
オリエンタリズムがあるのは
むしろ西洋に憧れた東洋人にこそ
根強いのでは
...続きを読むないかと思わされる
Posted by ブクログ
梶山雄一のレビューをもっと見る