梶山雄一のレビュー一覧
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歴史上のブッダは本当はどんな人でどんなことを考えていたのか、というのは、とても興味深い問いで、そういう本はたくさん出ている。そういうのがあれば、わりと読んでしまうのだが、何冊か読む中で大体のところが見えてきた。
で、次なる疑問は、「大乗仏教」はどのように生じたかということで、その辺りの私がまだよく...続きを読むPosted by ブクログ -
本書は大きく3部構成からなっています。1部は宮坂氏による空海および真言密教の解説。2部は宮坂氏と梅原氏の対談。そして第3部が梅原氏の論考です。対談が読みやすいというのもありますが、全体を通して、難しすぎず易しすぎずというレベルに書かれていて非常に好感が持てました。確かにいきなり本書から密教の勉強をは...続きを読むPosted by ブクログ
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鎌倉祖師たちの基となった天台教学を少しでも知りたくて読んだ。日本天台はほぼ智顗の直輸入らしく、知りたかった最澄の生涯についてはあまり触れられていない。ただ、やはり一向大乗戒壇設立については大きな功績として強調されていた。
智顗の教相判釈、法華経の構成や内容、華厳との違いが第一章で詳しく説明されて...続きを読むPosted by ブクログ -
大乗仏教の話なのだけれど、自分には宗教を求める人間の観点からその歴史を文献と今の自分を撚り合わせて辿るような本だと感じた。
前半部分で、キリスト教に出てくる話とジャータカの話の類似性についての研究の歴史がある。文献学と史学的な確かさから影響をしあったことはないようだが、検証の過程で人間が宗教...続きを読むPosted by ブクログ -
最高に面白かった
因果律であるところの「縁」を説く釈迦が
なぜ「無常」や「無我」などの因果を否定する
ようなことを話すのか………
その理解がとても深まった
後編でとても心に残るのは
ヤスパースが仏教学者に質問するシーン
オリエンタリズムがあるのは
むしろ西洋に憧れた東洋人にこそ
根強いのでは...続きを読むPosted by ブクログ -
日蓮について最初に読む本であるとは思わないが、独自な視点がいくつかあり、必読文献である。
紀野一義は日蓮の人物像と信仰の本質を突く。
紀野に比べて、全体的にオーソドックスな梅原猛だが、日蓮の歴史哲学について触れる部分は独自性がある。日蓮は陰がないという指摘も意義深い。
昭和44年の著作なので、事...続きを読むPosted by ブクログ -
北伝仏教で基礎学と言われる倶舎論を、初心者でも学べる数少ない書籍。入手の容易さや文庫故に安価であることも考慮に入れると、唯一の入門書と言っても過言ではないだろう。
最近では南方上座部の瞑想法の実践者も増えていることから、上座部のアビダンマの解説書はいくつか出版されている。しかし、大乗仏教の基礎と...続きを読むPosted by ブクログ -
非常に平易な文章で書かれており、読み易いです。とは言え、ジャーゴンを習得していない門外漢として読み始めたところ、やはり二、三度以上は再読しないと最低限の理解にすら及ばないかなあと感じました。少しずつ再読してみます。ゾロアスター教に幾つかの宗教のルーツがあり、仏教もその揺曳であった、というお話。成る程...続きを読むPosted by ブクログ
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中観思想とともに仏教思想の最高の理論的達成とされる「唯識」は、日本仏教の出発点であり、またヨーガの実践と深い関わりをもつが、その唯識思想の本質を浮き彫りにする。 -20101202Posted by ブクログ
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中国仏教哲学の頂点を示す天台教学、「法華経」をもとに天台智顗によって確立され、日本文化の母胎ともなった思想体系を読み解く。 -20101202Posted by ブクログ
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角川の仏教の思想シリーズ、ブッダの偉大なる知恵と慈悲の思想をギリシア哲学やキリスト教思想と対比しつつその現代的意義を探る。 -20101202Posted by ブクログ
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多数の経典を元に原始仏教から大乗仏教のおこりを概説。
前半のキリスト教などの対応の紹介などは余り関心は抱かなかったが、インドにおける他民族侵略の時代背景や修行に専念することが可能な聖者のみに救いの可能性がある小乗から、民衆へ救いの手を広げる大乗へとの繋がりは比較的わかりやすく読めた。
副題のさとりと...続きを読むPosted by ブクログ -
角川ソフィアが出た頃に買ったはずの本なので、1996年には買っていたと思う。
それから、半分ぐらいは読んだのだけれど以後読まずで今まで18年間放置されていた本。本棚の奥まったところに移動せず、常に手前にあったことから「読む気だけはあった」と思う。
今回初めて最初から最後まで軽く流す。
今ま...続きを読むPosted by ブクログ -
アビダルマを学ぶのに最適。
本書ではサルヴァースティ・ヴァーディン学派のアビダルマの思想をヴァスバンドゥのアビダルマ・コーシャをテキストにして説明している。
仏教における天地創造の定義が非常に味わい深い。「この世はサットヴァ・カルマンにより生まれる」のだという。つまり、仏教では宇宙を創生するエネル...続きを読むPosted by ブクログ -
仏教を学ぶものとしてこのシリーズは先ずおさえておくべき。
梅原イズムはいささか独特なものがあるが、本書は泰斗、宮坂宥勝との共著であり空海の歴史、思想を知るには好ましい。
「仏教の思想」シリーズ各巻に付けられたサブタイトルは絶妙であり、空海に関するこの巻は「生命の海」と名づけられた。Posted by ブクログ -
奈良からコータンに戻る途中、いまガンダーラに来ています。
興福寺の北円堂で、弥勒(マイトレーヤ)と無著(アサンガ)、世親(ヴァスバンドゥ)の兄弟にお会いし、ぜひ行ってみるといいといわれました。
ここで、もう少し唯識を学ぶ予定です。
ガンダーラ行きのバスの中で、
バスガイドのおねえさんとみんなで歌を...続きを読むPosted by ブクログ -
竜樹に端を発する大乗浄土思想が慧遠、羅什、曇鸞、道綽、善導と発展する過程が興味深い。一神教的仏教である浄土教は中国に於いても社会不安と法難が契機になって拡大した。易行、他力の思想は大乗の一つの極点でもある。Posted by ブクログ
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読み終えると、何となく唯識がわかった気になるのが、この本のすごいところです(笑)
実際に良書で、佛大のテキストに指定されています。
唯識3年、倶舍8年と言われるように、アビダルマに比べて、とっつき易いのは確かだと思いますが、理屈では理解できないのが、唯識をむずかしくする理由だと思います。
しか...続きを読むPosted by ブクログ