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日露戦争直後から太平洋戦争終結までの40年間、満州に駐屯し、日本の対中国政策の尖兵的役割を演じた関東軍。陸軍中央の統制に背いて独走し、軍事的衝突を策した彼らの行動は、日本の運命に重大な影響を及ぼした。張作霖爆殺事件や満州事変、ノモンハン事件等の歴史的大事件を中心に、膨大な史料に基づいて、関東軍の歴史と独走の実態を描き出す。(講談社学術文庫)
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Posted by ブクログ
2015.10記・ 関東軍の歴史。 本来は北方防備(対ロシア戦)のための一地方軍が、日露戦争で得た権益維持・経営のため身の丈に合わない背伸びを強いられ、それが関東軍の前身となったこと。現地民衆の信頼を得られない、と軍政に徹底的に反対したのは伊藤博文(軍と外務省との勢力争いで徹底的に後者の肩を持った...続きを読む)。 そして関東軍暴走の契機とも言える張作霖爆殺事件。当時、野党の民政党が自ら現地に乗り込んで調査するなど、国民全体が関東軍を疑っていたこと。それでも続くノモンハンでの独走と大敗。対ソ戦準備で集中的に戦力を集められ、栄華を極めた関東軍も、太平洋戦争では何ら役割がないまま兵力がどんどん南方に引き抜かれ、最期のソ連の対日参戦に当たってはほぼ戦わずして壊滅。 ソ連が攻めてきた時、日本軍は居留民を守らずに真っ先に逃げた、と戦後さんざん叩かれた。地域によっては大いに誤解ありで、楯となって日本人の避難を助けた部隊もいた一方で(例えば内蒙古)、そうでない部隊がいたのも事実なようだ。あるひとつの経験談だけで全体を語ることはできない。 最新歴史学研究の成果から見るとやや古い見解なども含んでいるようだが(出版は1960年代)、この領域における基本書としての地位は揺らいでいない。日本型エリート組織のある種の特徴を完璧なまでに体現している関東軍、組織で働く人にとってはいろいろ思うところも多いであろう・・・。
なんかもっとこう、関東軍のディープな世界観に浸れるか、関東軍ってなんだろうという問いにズバッと答えてくれる本だと思って買ったが、満州事変の本ですと言われても納得してしまうくらい、タイトル詐欺だった。 関東軍の由来について序盤で説明されているが、雑。カレーの作り方説明するのに「白ごはんを炊き、ルーをか...続きを読むけたら完成です」って言われるくらい大事なところが抜けている感がすごい。 文章自体も筆者の想像じゃないのかそれはと思わせられるところがチラホラ。一応、日露戦争直後にうまれて、1928年に二十歳なので、日本が坂道ごろげ落ちるのにつきあいながら大人になったということになろうか、ところどころ個人の体験も交えて話しているところは面白いが、文庫とは言え、このタイトルでこの内容は少し貧弱。 解説によると、作者は戦中にいろんな資料を保管していて、敗戦に際してその資料を燃やされないように隠してあったらしい。どれも今となっては一級資料なんだとか。
日露戦争後に満州に駐屯し、太平洋戦争の終結まで日本の運命を揺さぶった関東軍の歴史をたどった本です。 著者は、「関東軍は終始一貫ロシア(ソ連)を仮想敵とする“北向きの軍隊”であり、それがこの軍隊の基本的性格を形成した」と規定しています。そして、ソ連に対するそなえを固めることが関東軍の究極目的であり、...続きを読む満州事変をはじめとする関東軍の「独走」とみられる行動は、この目的のためのものであったという観点から、関東軍の行動が解明されています。こうした観点から関東軍の行動を見てゆくにあたっては、ノモンハン事件がひとつの焦点になりうると思われるのですが、1965年に刊行された本書では史料の制約が多く、他の本で補う必要がありそうです。 また本書の「解説」を担当している戸部良一は、「満州には租借地の関東州や満鉄(南満州鉄道)の付属地を中心として、大量の日本人居留民が住んでいたこと」を指摘し、関東軍のもうひとつの性格として、「このフロンティアに住まう日本人居留民と、彼らの生活を支える日本の権益とを保護するという任務も併せ持っていたという観念が、関東軍の使命感や任務意識を一層強めた」ことをあげています。このことは、関東軍の「理想」と「現実」の乖離に目を向けようとする立場にあっても、留意しておくべき点であると考えます。
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