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かつて500年に亘り、栄華を極めたオスマン帝国。
東洋と西洋、イスラムとキリスト教という文明と宗教の交差が生み出した
大首都・イスタンブルで、当時、人々はなにを食べ、どんな暮らしをしていたのか?
1500坪の台所で260余名のコックが、年に600万円予算で贅を尽くしたトプカプ宮殿の献立。
食事が足りないと鍋を投げて暴動を起こした、屈強たるイエニチェリ軍団の食い意地。
施しこそ敬虔な信仰の証、と貧者への給食すら豊かだったこの帝国を、
当時の料理書や、市場で売られた食材物価表までたどって、細やかに検証。
オスマン帝国の興亡を「食」で大胆に考察する。
目次
巻ノ一 古都は食をはぐくむ
巻ノ二 遊牧の遺産
巻ノ三 ケバブのみがトルコ料理にあらず
巻ノ四 イスタンブルの市場めぐり
巻ノ五 君府料理尽し
巻ノ六 貧者の給食
巻ノ七 トプカプ宮殿の台所
巻ノ八 スルタンの食卓
巻ノ九 祝祭の饗宴
巻ノ十 「土」風から「洋」風へ
学術文庫版あとがき
今でも、トルコ語で「大鍋を覆す」といえば反乱を起こすことを指すが、事態がそこまでいかなくとも、俸給支払いの日のスープをイェニチェリたちが飲むのを拒むとなれば、帝都の騒擾につながりかねず、下手をすれば当面の政権の担当者たる大宰相の首が文字通り飛んでしまう。トプカプ宮殿の中庭でのイェニチェリへのスープの振舞いは、(略)、一大国事でもあった――― 巻ノ八 スルタンの食卓より
本書の原本は、1995年、NTT出版より刊行されました。
Posted by ブクログ 2022年11月28日
鈴木董氏の著作は今年2冊目で、前回も思ったが、僕は彼の文章がとても好きだ。美しい言葉選びに、知性あふれる論の展開。そして細かなエピソードが面白い。今回も多くの学びと新たな気付きを頂いた。
フランス料理、中華料理と並び、世界三大料理に数えられるトルコ料理。日本では今ひとつ馴染みがないが、紐解いてみれば...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年07月20日
今まで3つの帝国の首都であった歴史を持つイスタンブールは、アジアとヨーロッパの狭間にある上、シルクロードや地中海など各種交通の主要地点でもあった。だからこそ各地から食品が集まり、その文化が隆盛していった。その過程を歴史とともに振り返り、我々日本人にも馴染み深いケバブやヨーグルトなど料理ごとにも詳しく...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年03月31日
ヨーロッパとアジアの接点でもあり、キリスト教世界とイスラム教世界の交点でもある「君府(くんぷ)(イスタンブル、コンスタンティノポリス、ビザンティオン)」のトプカプ宮殿給食施設の会計簿等を中心に、紀元15世紀(日本では応仁の乱の頃)のスルタンやイェニチェリ(君主直属の奴隷軍人の歩兵)の食事などを紹介...続きを読む
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