小説・文芸 - 幻冬舎作品一覧

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  • ホームドアから離れてください
    3.3
    親友のコウキがマンションのベランダから飛び降りた。そして、僕は学校に行くのをやめた。引きこもっていたある日、新聞記事で「空色ポスト」の存在を知る。新宿御苑にひっそり置かれている、手紙ではなく写真を運ぶポストだ。外の世界へ踏み出した僕は、写真を通じて親友の意外な真実を知り──。人との距離感に迷いながら懸命に生きる、友情の物語。
  • 特別な人生を、私にだけ下さい。
    4.0
    ユカ、33歳、専業主婦。一人で過ごす夜に耐え切れず、ツイッターに裏アカウントを作る。毎晩違う香水の匂いをまとって帰る夫への不満は、ナンパ師アカウント「圭太」とのやりとりで紛らわす。表で「普通の人」でいるために、裏で息抜きを必要とする人々。特別で在りたい欲望と誰かとつながりたい寂しさに溺れながらも、前に進む力を摑む物語。
  • ろくでなしとひとでなし
    3.0
    コロナ禍、収益が萎む出版界で左遷の憂き目に遭う編集者の佐伯華。実家の食堂もやはり売上が落ち、酒浸りの父に金を無心されて、絶望感に苛まれていた。そんなとき親友に紹介されたのがマッチングアプリだ。狙うのは年商数百億円の財閥の御曹司。会えない日常を逆手にとり、華は美容に励み、両親を偽装までして、〝上級国民〟入りを目指すが……。
  • どうしても生きてる
    4.0
    死んでしまいたいと思うとき、そこに明確な理由はない。心は答え合わせなどできない。(「健やかな論理」)尊敬する上司のSM動画が流出した。本当の痛みの在り処が写されているような気がした。(「そんなの痛いに決まってる」)生まれたときに引かされる籤は、どんな枝にも結べない。(「籤」)等鬱屈を抱え生きぬく人々の姿を活写した、心が疼く全六編。
  • 山女日記
    4.2
    こんなはずでなかった結婚。捨て去れない華やいだ過去。拭いきれない姉への劣等感。夫から切り出された別離。いつの間にか心が離れた恋人。……真面目に、正直に、懸命に生きてきた。なのに、なぜ? 誰にも言えない思いを抱え、山を登る彼女たちは、やがて自分なりの小さな光を見いだしていく。新しい景色が背中を押してくれる、感動の連作長篇。
  • 山田錦の身代金
    4.0
    一本百万円の日本酒を造る烏丸酒造に、脅迫状が届く。金を払わなければ、田んぼに毒を撒くというのだ。だが、世界一の評価をもつ田んぼに対して、要求は僅か五百万。犯人の狙いは何なのか。さらに捜査の過程で、酒蔵の杜氏が不審な死を遂げていたことが判明する。そんななか届いた新たな脅迫状。そこには、新聞広告に“あること”を載せろとあり……。
  • 誰そ彼の殺人
    3.3
    仙台、杜乃宮大学・法医学教室。解剖技官の梨木楓は、上司で准教授の今宮貴継とともに警察から届く死体を日夜、解剖する。彼らが直面するのは、沼の中の顔面破壊・手足切断の死体、温泉での不審死体、ひき逃げされ放置された女子高生など悲惨な人間の最期だ。事故か、殺人か。二人は細胞の一つ一つまで検分し、犯人さえ気づかぬ証拠にたどり着く。
  • 隣人の愛を知れ
    4.0
    【あらすじ】 『試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。』から7年ぶりの2作目。 期待していなかった日常を変えた、出会いと別れの物語。 人生でいちばん好きな人となら、幸せになれますか? 不倫と仕事に一生懸命なパラリーガル、初恋の相手の同棲を続けるスタイリスト、夫の朝帰りに悩む結婚3年目の妻……。誰かを大切に想うほど淋しさが募る日常は、予想外の“事件”をきっかけに一変する。 自分で選んだはずの関係に、どこで決着をつけるのか? 素直になる勇気を得て、新しい人生を踏み出す6人の軌跡を描いた恋愛小説。
  • 日本全国津々うりゃうりゃ 仕事逃亡編
    4.1
    仕事を放り出して、今すぐどこかに行きたいじゃないか!根っからの怠け者だが、無類の旅好き。人間、旅行以上に大事な仕事があるだろうか。鬼編集者テレメンテイコ女史とともに流氷ウォーク、粘菌探し、ママチャリ旅に手漕ぎボート、果ては迷路マンションまで。どこでも行くが、どこでも脱線。読むほどに、怠け者が加速する脱力珍旅エッセイ。
  • いつかの岸辺に跳ねていく
    4.5
    俺の幼馴染・徹子は変わり者だ。道ばたで突然見知らぬ人に抱きついたり、俺が交通事故で入院した時、事故とは全く関係ないのに、なぜか枕元で泣いて謝ったり。合格間違いなしの志望校に落ちても、ケロッとしている。徹子は何かを隠してる。俺は彼女の秘密を探ろうとするが……。互いを思いやる二人の物語が重なった時、温かな真実が明らかになる。
  • 作家の人たち
    4.0
    文学賞のパーティーで、大手出版社四社の編集者が暗い顔で集っている。皆、ある中堅作家につきまとわれて困っているのだ(「押し売り作家」)。苦節十年、やっと小説の新人賞を受賞しデビューした川獺雲助は会社を辞めて作家に専念することにした。しばらくは順調だったが……(「夢の印税生活」)。ほか、出版稼業の悲喜交々を描く連作小説。
  • いのちの停車場
    4.3
    東京の救命救急センターで働いていた、六十二歳の医師・咲和子は、故郷の金沢に戻り「まほろば診療所」で訪問診療医になる。命を送る現場は戸惑う事ばかりだが、老老介護、四肢麻痺のIT社長、小児癌の少女......様々な涙や喜びを通して在宅医療を学んでいく。一方、家庭では、脳卒中後疼痛に苦しむ父親から積極的安楽死を強く望まれ......。
  • ドS刑事 井の中の蛙大海を知らず殺人事件
    -
    ドSすぎる女刑事マヤに一服盛られ、〝ハネムーンの下見〟のため豪華客船に〝拉致〟された代官山。しかしその船には「マモー」と名乗る人物による時限爆弾が仕掛けられていた。さらに乗船していた大物女優の死体が発見。果たしてマヤは時間内に事件を解決できるのか。そして爆発物処理班・春日太陽との恋の三角関係の行方は?人気シリーズ第六弾!
  • 向こうの果て
    3.7
    同棲相手を殺害した容疑で逮捕された池松律子。将来を期待される若手検事・津田口が取調べに当たるが、罪は認めるも動機については語らない。調べを進めると、彼女を知る男達の証言によりいくつもの顔が浮かび上がる。娼婦のような女、残酷な女、噓つきな女、太陽のような女......。真実の顔はどれなのか。津田口自身もまた、彼女に翻弄され始め――。
  • プリズム
    3.8
    ある資産家の家に家庭教師として通う聡子。彼女の前に屋敷の離れに住む青年が現れる。ときに荒々しく怒鳴りつけ、ときに馴れ馴れしくキスを迫り、ときに紳士的に振る舞う態度に困惑しながらも、聡子は彼に惹かれていく。しかしある時、彼は衝撃の告白をする。「僕は、実際には存在しない男なんです」。感涙必至の、かつてない長編恋愛サスペンス。
  • ののぺディア 心の記憶
    5.0
    惜しまれつつも2020年末に解散したダンス&ボーカルグループE-girls。パフォーマーとして9年の歳月を全力疾走した山口乃々華が、1年10ヵ月(2019年3月~2020年12月)にわたり綴った初エッセイ。多感な日々から湧きあがった想い、発見、希望を「あ~わ」のキーワードに落とし込み、自身の気持ちと真摯に向き合って文字にした“心の事典"。「自分の心と素直に向き合っていくことが何より大切なのだと、書くことを通して、何度も痛感し、乗り越えることができました(あとがきより)――飾らず真っすぐに気持ちを表現した本著は、読者にステイポジティブなパワーを届けてくれる一冊。GINGER公式WEBサイトでの連載と、E-girlsでの日々を綴った書下ろし、撮り下ろしのビジュアルを収録。
  • 満洲難民 北朝鮮・三八度線に阻まれた命
    5.0
    一九四五年八月、ソ連軍の侵攻から逃れるため、満洲から多くの日本人が北朝鮮に避難した。飢え、寒さ、伝染病。本土終戦の日から始まった地獄の難民生活で、人々は次々と命を落とす。国はなぜ彼らを棄てたのか。世界史の中でも稀に見る悲惨な難民だった彼らの存在は、なぜ黙殺されたのか?「戦後史の闇」に光を当てた本格ノンフィクション。
  • 寄生リピート
    3.0
    中学二年生の白石颯太は、スナックを営む母と二人暮らし。嫌な目にあった時、いつも右 手が疼いていた。ある晩、馴染みの客を家に連れ込む母を目撃して、強烈な嫉妬を覚える。 数日後、その客が溺死体で見つかった。さらに、死んだと聞かされていた父の生存が発覚 するが、実父は颯太を化け物でも見るように拒絶して……。戦慄のホラーミステリー。
  • 明日なき暴走
    3.5
    じつはディレクター長谷見のヤラセだったTV人気企画「明日なき暴走」内の若者たちの 無軌道な行動。それを知らぬ若いネクラ美容師が若者たちと交錯し殺人鬼に変貌、凶行を 重ねる。長谷見は視聴率アップを狙い暴走の末、職務停止に。だが彼は警察の裏をかき殺人 鬼にコンタクト、なお映像に収めたい……。大どんでん返しに読者は戦慄し言葉を失う! (『ディレクターズ・カット』改題)
  • インジョーカー 組織犯罪対策課 八神瑛子
    4.0
    躊躇なく被疑者を殴り、同僚を飼いならし、ヤクザと手を結ぶ――その美貌からは想像できない手法で犯人を挙げ続けてきた八神が外国人技能実習生の犯罪に直面。企業から使い捨ての扱いを受けるベトナム人らが暴力団の金を奪ったのだ。だが八神は刑事の道に迷い、監察から厳しいマークを受けてもいた。刑事生命の危機を越え、事件の闇を暴けるのか?
  • 捌き屋 行って来い
    4.5
    大阪での仕事を完遂して僅か二週間、企業交渉人・鶴谷康のもとへ盟友の白岩が新たな捌きを持ち込んだ。依頼人は鶴谷が駆け出しの頃世話になった人物。万博工事の一方的な契約解除を取り消してほしいという。白岩はそのトラブルの原因が鶴谷の捌いた先の案件にあると言い、鶴谷も自身への遺恨と察する。はたして二人が炙りだした驚愕の真相とは?
  • 捌き屋 伸るか反るか
    4.0
    東和地所の専務から企業交渉人・鶴谷康に持 ち込まれた相談は、関西の大京電鉄が社運を 賭ける夢 ゆめしま 洲開発事業を巡るトラブル処理。万 博会場に決まり、カジノ誘致も噂される夢洲 は、鶴谷の盟友、極道の白岩光義に言わせれ ば「税金の墓場が大阪の金庫に化けよる」宝の 山。仕事を請けた鶴谷もいつしか血で血を洗 う利権争いの渦中に巻き込まれていた……。
  • ぼくときみの半径にだけ届く魔法
    4.0
    売れないカメラマンの仁はある日、窓辺に立 つ美しい少女・陽を偶然撮影する。難病で家 から出られない陽は、日々部屋の中で風景写 真を眺めていた。「外の写真を撮ってきて頂 けませんか?」という陽の依頼を受け、仁は 様々な景色を届けることに。写真を通して少 しずつ距離を縮めるふたり。しかしある出来 事がきっかけで、陽が失踪してしまい……。
  • ワルツを踊ろう
    3.5
    容疑者は村人全員! ? 20年ぶりに帰郷した了衛を迎えたのは、閉鎖的な村人たちの好奇の目だった。 愛するワルツの名曲〈美しく青きドナウ〉を通じ、荒廃した村を立て直そうとするが……。 雄大な調べがもたらすのは、天啓か、厄災か⁉ 著者史上最狂・最悪のどんでん返しミステリ! 「まっさらで読めば、滝川野菜のところで おりょ?と騙されます。 あーラッキーだなー自分。最高に楽しんじゃいました。」 新井見枝香(三省堂書店) ●あらすじ 金も仕事も住処も失った“元エリート”溝端了衛が帰った故郷は、7世帯9人の限界集落に成り果てていた。 携帯の電波は圏外。住民は曲者ぞろい。地域に溶け込もうと奮闘する了衛の身辺で、不審な出来事が起こりはじめ……。
  • サイレント・ブレス 看取りのカルテ
    4.2
    誰もが避けては通れない、 愛する人の、 そして自分の「最期」について静かな答えをくれる、 各紙誌で絶賛された現役医師のデビュー作。 2018年6月21日のNHK「ラジオ深夜便」にて紹介され、話題沸騰中! 「生とは何か。死とは何か。答えの出ない問いへの灯りのような一冊」(書評家・吉田伸子さん) 「本書を読んで何よりも私は、救われた、と感じた」(書評家・藤田香織さん) 大学病院の総合診療科から、「むさし訪問クリニック」への“左遷”を命じられた37歳の水戸倫子。そこは、在宅で「最期」を迎える患者専門の訪問診療クリニックだった。命を助けるために医師になった倫子は、そこで様々な患者と出会い、治らない、死を待つだけの患者と向き合うことの無力感に苛まれる。けれども、いくつもの死と、その死に秘められた切なすぎる“謎”を通して、人生の最期の日々を穏やかに送れるよう手助けすることも、大切な医療ではないかと気づいていく。そして、脳梗塞の後遺症で、もう意志の疎通がはかれない父の最期について考え、苦しみ、逡巡しながらも、大きな決断を下す。その「時」を、倫子と母親は、どう迎えるのか?
  • 男の粋な生き方
    3.8
    仕事に行きづまった時、自分に嫌気がさした時、過酷な決断を迫られた時……そんな折節に男はどう振る舞うべきなのか。文壇と政界の第一線を走り続けてきた著者が、自らの体験を赤裸々に語りながら綴る人生の公理、普遍のダンディズム。仕事、女、金、酒、別れ、挫折と再起、生と死などなど、豊かで味わい深い人生を切り開くための全二十八章!
  • 生を踏んで恐れず 高橋是清の生涯
    4.4
    転職二十回。十四歳で留学したアメリカでは奴隷に売られ、日本では相場師から首相までを経験した高橋是清。昭和初期の金融恐慌を鎮めるなど蔵相七回をつとめた不世出の政治家は、後に二・二六事件に倒れる。労苦と挫折を糧に卓越した人間観と金融政策で日本の危機を何度も乗りきった男は何を優先し、どう決断したか。渾身の力作評伝。
  • 廉恥 警視庁強行犯係・樋口顕
    3.7
    警視庁強行犯係・樋口顕のもとに殺人事件の一報が入る。被害者は、キャバクラ嬢の南田麻里。彼女は、警察にストーカー被害の相談をしていた。ストーカーによる犯行だとしたら、警察の責任は免れない。被疑者の身柄確保に奔走する中、樋口の娘・照美にある事件の疑惑が……。警察組織と家庭の間で揺れ動く刑事の奮闘をリアルに描く、傑作警察小説。
  • 大事なことほど小声でささやく
    4.3
    身長2メートル超のマッチョなオカマ・ゴンママ。昼はジムで体を鍛え、夜はジム仲間が通うスナックを営む。名物は悩みに合わせた特別なカクテル。励ましの言葉を添えることも忘れない。いつもは明るいゴンママだが、突如独りで生きる不安に襲われる。その時、ゴンママを救ったのは、過去に人を励ました際の自分の言葉だった。笑って泣ける人情小説。
  • ヒートアップ
    4.2
    七尾究一郎は、おとり捜査も許されている厚生労働省所属の優秀な麻薬取締官。製薬会社が兵士用に開発した特殊薬物“ヒート”が闇市場に流出し、それが原因で起こった抗争の捜査を進めていた。だがある日、殺人事件に使われた鉄パイプから、七尾の指紋が検出される......。誰が七尾を嵌めたのか!? 誰も犯人を見抜けない、興奮必至の麻取(マトリ)ミステリ!
  • まぐだら屋のマリア
    4.0
    東京・神楽坂の老舗料亭「吟遊」で修業をしていた紫紋は、料亭で起こった偽装事件を機にすべてを失った。料理人としての夢、大切な仲間。そして、後輩・悠太の自殺。逃げ出した紫紋は、人生の終わりの地を求めて彷徨い、尽果というバス停に降り立った……。過去に傷がある優しい人々、心が喜ぶ料理に癒され、紫紋はどん底から生き直す勇気を得る。
  • 虹の岬の喫茶店
    4.3
    小さな岬の先端にある喫茶店。そこでは美味しいコーヒーとともに、お客さんの人生に寄り添う音楽を選曲してくれる。その店に引き寄せられるように集まる、心に傷を抱えた人々――彼らの人生は、その店との出逢いと女主人の言葉で、大きく変化し始める。疲れた心にやさしさが染み入り、温かな感動で満たされる。癒しの傑作感涙小説。
  • 魔女は甦る
    3.6
    元薬物研究員が勤務地の近くで肉と骨の姿で発見された。埼玉県警の槇畑は捜査を開始。だが会社は二ヶ月前に閉鎖され、社員も行方が知れない。同時に嬰児誘拐と、繁華街での日本刀による無差別殺人が起こった。真面目な研究員は何故、無惨な姿に成り果てたのか。それぞれの事件は?がりを見せながら、恐怖と驚愕のラストへなだれ込んでいく……。
  • リカ
    3.8
    妻子を愛する42歳の平凡な会社員、本間は、出来心で始めた「出会い系」で「リカ」と名乗る女性と知り合う。しかし彼女は、恐るべき“怪物”だった。長い黒髪を振り乱し、常軌を逸した手段でストーキングをするリカ。その狂気に追いつめられた本間は、意を決し怪物と対決する。単行本未発表の衝撃のエピローグがついた完全版。
  • 廃用身
    4.0
    廃用身とは、脳梗塞などの麻痺で動かず回復しない手足をいう。神戸で老人医療にあたる医師漆原は、心身の不自由な患者の画期的療法を思いつく。それは廃用身の切断だった。患者の同意の下、次々に実践する漆原を、やがてマスコミがかぎつけ悪魔の医師として告発していく――。『破裂』の久坂部羊の、これ以上ない 衝撃的かつ鮮烈な小説デビュー作。
  • 草原の椅子(上)
    -
    1~2巻742~784円 (税込)
    2013年2月映画化作品。遠間憲太郎は長年連れ添った妻とも離婚し、五十歳になりさらに満たされぬ人生への思いを募らせていた。富樫重蔵は大不況に悪戦苦闘する経営者だが、愛人に灯油を浴びせられるという事件を発端に、それを助けた憲太郎と親友の契りを結ぶ。真摯に生きてきたつもりのふたりだが……。人間の使命とは? 答えを求めるふたりが始めた鮮やかな大冒険。
  • 姫と剣士1
    3.0
    幕末、名高い道場主の息子でありながら次男 であるが故にその才を隠し生きてきた伊織。 だが兄は行方知れずとなり、討幕派の門人を 匿っているとの疑いを受けた父は、剣を取れ ない体にされてしまう。道場は閉鎖、さらに 唯一の安らぎとして心を寄せる琴乃の父は、 佐幕派の急先鋒を担う旗本で……。一心に腕 を磨く剣士の愛と献身を描く傑作時代小説。
  • 小梅のとっちめ灸
    -
    面倒見がよく腕のいい小梅と、ぐうたらだが憎めない母・お寅の灸据所「薬師庵」は、心身に 気懸りのある人で大賑わい。ある日、小梅の親しい料理屋が不当な取り締まりに遭った。どうにも納得できずにその背景を探ると、江戸に蠢く悪党どもの思惑が見えてきて......。灸を据えるべき真の敵は誰なのか? 怒りの艾に火が点る、新シリーズ始動!
  • 家康(一) 信長との同盟
    3.8
    桶狭間の敗戦を機に、松平元康(後の家康)は葛藤の末、信長と同盟を結ぶ。先見性と経済力を武器にのし上がる天才を目の当たりにし、単なる領地争いの時代が終わったことを身をもって知る元康。三河一国を領し、欣求浄土の理想を掲げ、平安の世を目指す。信長でも秀吉でもなく、なぜ家康が戦国最後の覇者となれたのか。かつてない大河歴史小説。
  • 昭和の凶悪殺人事件
    4.0
    金属バットで両親を撲殺、女性8人を強姦して殺害、妻をチェーンソーでバラバラに切断、教え子をソープに沈めたのち殺害......。高度経済成長やバブル景気に浮かれた昭和後期に起きた、25の凄惨な事件。著者が長年蒐集してきた警察の内部資料を基に、犯行と捜査の内幕を詳らかにする。華やかな時代の陰ではおぞましい鬼畜が跋扈していた――。
  • 新・剣客春秋 吠える剣狼
    -
    神田豊島町にある千坂道場は道場主・彦四郎の飾らぬ人柄と熱心な指導、女剣士だった妻・里美の子供たちへの稽古が評判で人気を博していた。折も折、稽古帰りの門弟が何者かに斬られる事件が続発、そのあおりで門弟が激減してしまう。悩める彦四郎が始めた執念の探索で炙りだされた下手人、呆れるばかりの犯行理由とは? 人気シリーズ、再始動!
  • 信長、天を堕とす
    4.0
    己は強いのか。桶狭間で今川義元の首を取った。姉川で浅井・朝倉両軍を打ち破った。それでも信長は自分を信じ切れずにいた。長篠で武田勝頼に圧勝してもだ。敵将を妬み、麾下の兵を真に信頼することもない――。天下布武目前、重臣の謀反によって没した不世出の猛将は一体何者だったのか? 戦国史を新たな光で照らす傑作時代エンターテインメント。
  • 信長、天が誅する
    4.0
    重用されつつも信長の限界を悟った明智光秀。信長とは逆に人の道を歩もうとした武田勝頼。織田家滅亡を我が子に託したお市。望むままに生きることを信長から学んだ今川義元の家臣。長島一向一揆で信長に迫った大坂本願寺の僧侶――魔王打倒を誓った五人はそれ故に人生を狂わせていく。対峙したからこそ見えた、織田信長の真の姿がここにある!
  • 錨を上げよ <一> 出航篇
    3.5
    1~4巻721円 (税込)
    著者初の自伝的小説! 『永遠の0』『海賊とよばれた男』を凌ぐ 怪物的傑作、とうとう文庫化! 一生に一作しか書けない小説。『錨を上げよ』には私のすべてが詰まっている。 ――百田尚樹 ●あらすじ 戦争が終わってちょうど十年目、空襲の跡が残る大阪の下町に生まれた作田又三。 不良仲間と喧嘩ばかりしていたある日、単車に乗って当てのない旅に出る。 しかし信州の山奥の村で暴漢に襲われて遭難、拾われたトラックで東京へ。 チンピラに誘われて組事務所を手伝うことになるのだが――。 激動の昭和を駆け抜ける、著者初の自伝的ピカレスクロマン。
  • 離婚しそうな私が結婚を続けている29の理由
    4.4
    生涯のパートナーを求めて七転八倒しオタク 格闘家と友情結婚。これで落ち着くかと思い きや、母の変死、父の自殺、弟の失踪、借金 騒動、子宮摘出と波乱だらけ。でも「オナラ のできない家は滅びる!」と叫ぶ変人だけど タフで優しい夫のおかげで毒親の呪いから脱 出。楽しく生きられるようになった著者によ る不謹慎だけど大爆笑の人生賛歌エッセイ。
  • 貘の耳たぶ
    3.9
    自ら産んだ子を「取り替え」た、繭子。発覚 に怯えながらも、息子・航太への愛情が深ま る。一方、郁絵は「取り替えられた」子と知 らず、息子・璃空を愛情深く育ててきた。そ れぞれの子が四歳を過ぎた頃、「取り違え」 が発覚。元に戻すことを拒む郁絵、沈黙を続 ける繭子、そして一心に「母」を慕う幼子た ち。切なすぎる「事件」の、慟哭の結末は……。
  • 大人になれない
    3.3
    学校から帰宅し、母親に捨てられたと知った小学生の純矢。母の親戚・歌子の家に預けられ たがそこはデブ女、無職の中年、 67 歳の引きこもりや毒親の老婆など、純矢が「生きてる価値 ない」と思う大人の吹き溜まりだった。捨て子の自分も同類だと不貞腐れていたある日、 「歌子が双子の姉を殺した」と聞き探り始めるが。大人になれない大人たちの感動ミステリ。
  • ぼくんちの宗教戦争!
    3.3
    「ぼくだけはしっかりしていなければ」。父の事故をきっかけに、両親は別々の神さまを信 じはじめ、家族には〝当たり前〟がなくなった。信じられるのは、一足先に大人になってしま った親友の龍之介だけ。妹のミッコを守ることでなんとか心のバランスを取るけれど、ま すます家族は壊れていく。ぼくは自分の〝武器〟を見つけ、立ち向かうことにしたが――。
  • ビデオショップ・カリフォルニア
    3.0
    二十歳のフリーター桃田竜がバイトするレンタルビデオ店は、映画マニアの天国。映画に は興味薄の竜も、悩殺ボディの同僚ができて桃色な日々。だが、東大進学した元カノがA V女優になって現れたり、店の乗っ取りの危機に遭ったり、さらには仲間の裏切りや失踪 まで、まさか尽くし! 情熱と衝動が止まらない、世紀末を駆け抜ける僕らの青春物語。
  • オレオレの巣窟
    3.5
    オレオレ詐欺で裕福な生活を送る平田は、奨学金の返済に苦しむ真奈美と出会い、惹かれ合う。堅気の世界へ戻ろうとする平田だが、一度入った裏社会は沼のように彼を飲み込み放さない。イケメン結婚詐欺師・竹崎と不細工な出逢い系のサクラ・貴美子も加わり、現代社会に蔓延る詐欺師達の騙し合いの饗宴、ここに開幕。出し抜くのは誰だ?
  • おひとりさま作家、いよいよ猫を飼う。
    3.9
    本が売れず極貧一人暮らし。「いつか腐乱死体で発見される」と怯えていたら起死回生のヒットが訪れた! 生活は激変、なぜか猫まで飼うことに。“女ふたり”暮らしは意外と幸福で――。高級フードで食費が嵩んでも、ブランドバッグを寝床にされても無問題。潔癖症だけどウンチョのお世話も喜んで! 女同士、ドロドロならぬメロメロ招福エッセイ。
  • スマイルアンドゴー!
    4.3
    引きこもりの高三女子・詩織、ミュージシャンの夢破れた三十男・リュー、ヤクザまがいのおっさん・サトケン。震災の爪痕も生々しい気仙沼で、即席のアイドルグループが結成された。それぞれに喪失感を抱えながら、立ち直りたい、変わりたい、笑いたい、その思いでがむしゃらに活動する。しかし、サトケンには時間がなかった……。感涙長篇。 (『気仙沼ミラクルガール』改題)
  • 遠山金四郎が消える
    3.5
    老中水野忠邦の改革に楯突いたとして、南町奉行を罷免された矢部定謙に、桑名送りの沙汰が下った。北町奉行遠山金四郎は、今生の別れをと、厳しい監視を掻い潜り矢部に会う決意をする。一方、下谷の常磐津の師匠宅に賊が押し入った。三両が奪われ、師匠の間夫が殺されたという。探索を指示する金四郎だが、事件の裏に水野の手下の気配がして――。
  • 悪党町奴夢散際
    4.0
    慶安三年、町人の悪党集団「町奴」の頭領・幡随院長兵衛が何者かに殺された。対立する旗本の悪党集団「旗本奴」の頭領・水野十郎の仕業ではないかと疑う町奴側は報復を画策。お菊という女をめぐって両者の関係はさらにこじれ、楊枝屋の女侠客お吟、凄腕女剣士の佐々木累らを巻き込んで、全面抗争へと発展していく。一気読み必至の痛快時代小説!
  • 愛よりもなほ
    3.7
    見合いの席で一目惚れ、没落華族の元に嫁いだ、豪商の娘・菊乃。しかしそこは地獄だった。妾の存在、隠し子、財産横領、やっと授かった我が子の流産――。菊乃は、欲と快楽を貪る旧弊な家の中で、自立することを決意すると、高慢な女中頭に暇を出し、傾いた財政を立て直す。激動の明治に鮮やかに華開く女の一生。
  • 告白の余白
    3.4
    高知で農家を手伝う北嶋英二の双子の兄が自殺した。「農地を祇園京福堂の清水京子に譲る」と書かれた遺書を持ち英二は京子を訪ねるが、彼を兄と間違い“失踪した恋人”との再会を喜ぶ姿に真実を伝えられない。ところが翌日、京子と職人の密会が発覚。京子は兄を愛していたのかそれとも――。ここは腹黒の街。美しき京女の正体を“よそさん”は暴けるか。
  • 激しき雪 最後の国士・野村秋介
    4.5
    平成5(1993)年10月20日、朝日新聞社役員応接室で野村秋介は2丁拳銃の銃弾3発で心臓を貫き自決した。何故か? 人生を決定した特攻隊員との8歳の出会いから、偉大な父の影響、青春時代、幅広い交遊、口先でなく肉体で行動する思想、河野一郎大臣邸焼き打ちほか数々の事件の真相まで、最も近しい作家が書き尽くした民族派巨星の劇的人生!
  • ある女の証明
    4.0
    主婦の小浜芳美は、新宿でかつての同級生、一柳貴和子に再会する。中学生時代、憧れの男子を奪われた芳美だったが、今は不幸そうな彼女を前に自分の勝利を噛み締めずにはいられない。しかし――。二十年後、ふと盗み見た夫の携帯に貴和子の写真が……。「全部私にちょうだいよ」。あの頃、そう言った女の顔が蘇り、芳美は恐怖と怒りに震える。
  • 午前四時の殺意
    3.0
    身体を求めてくる義父を殺したい女子中学生。所持金2千円、ネカフェ暮らしに絶望する30代男性。社会への愚痴を吐く老人……。砂漠のような毎日を送る全く接点のない5人が、ある瞬間から細い糸で繋がっていく。始まりは女子中学生のネット上の呟きだった。たった一歩踏み出しただけで生活に変化が現れ、遂には5人の人生が劇的に好転していく。
  • 特攻の真実 なぜ、誰も止められなかったのか
    4.0
    昭和一九年一〇月にフィリピンで始まった特攻は、その後の沖縄戦で戦いの中心となり、やがて全軍特攻へ。四五〇〇人を超える若者が命を落とした。特攻はなぜ、どのような経緯で終戦まで一年近くも続いたのか。軍中枢の思惑やメディアが果たした役割など、特攻拡大の背景を機密資料と証言をもとに検証。話題の「NHKスペシャル」に大幅加筆。
  • 片想い探偵 追掛日菜子
    3.8
    追掛日菜子は舞台俳優・力士・総理大臣などを好きになっては、相手の情報を調べ上げ追っかけるストーキング体質。しかしなぜか好きになった相手は、殺人容疑をかけられたり脅迫されたりと、毎回事件に巻き込まれてしまう。今こそ、日菜子の本領発揮! 次々と事件解決の糸口を見つけ出すが――。前代未聞、法律ギリギリアウト(?)の女子高生探偵、降臨。
  • あっぱれ日本旅!世界一、スピリチュアルな国をめぐる
    3.8
    まさか、日本がこんなディープな国だとは! 65ヵ国を旅するてるこ、脱OLして日本旅へ。高野山では美坊主とプチ修行。北海道ではアイヌのシャーマンとまんぷく儀式。沖縄では80歳のオバアホステスに驚愕、聖地で癒され、最強ユタのお告げに目からウロコ……。離島めぐりで個性派民宿に泊まり、島人のもてなしで心をフルチャージ! 無双の爆笑紀行。
  • 旅作家が本気で選ぶ!週末島旅
    3.3
    世界中を旅する作家・小林希が日本の島旅にハマった!?訪ずれた60島以上から厳選・紹介。シャーマン女将がいる不思議体験続出の宿がある加計呂麻島。砂漠で“月面トレッキング”体験ができる伊豆大島。日本地図から消されていた毒ガスとうさぎの島・大久野島。日本一ワイルドな温泉がある式根島……。海外旅行以上の奇想天外な体験が、島ならできる!
  • 保育士・ミクの夢解き日誌 おやすみなさいは事件のはじまり
    -
    園児に囲まれ充実した生活を送る保育士ミクには一つだけ悩みがあった。それは、町でこれから起こる事件を夢に見るということ。まだ起こっていない事件の発生を防ぐべく、人知れず幼馴染の虎太郎と奮闘するのだが…。かわいいけれど、ちょっと抜けている大人未満の二人が大奔走!ほっこりすること間違いなしの、ドタバタラブコメミステリー。
  • 風かおる
    3.4
    鍼灸医・菜摘は「妻敵討ち」の旅から戻った養父・佐十郎と十年ぶりの再会を果たす。しかし、死病に侵された佐十郎にかつての優しい面影はなく、帰藩は妻敵討ちを唆した者との果し合いのためだという。討たれると知りながら治療を施すことに葛藤を覚えた菜摘は果し合いの相手を探るが、やがて哀しい真実に突き当たり――。哀歓溢れる傑作時代小説。
  • キズナ
    -
    EXILE結成前、お客さんがゼロで踊ったこともあった。お金がなくて牛皿1つを分けて食べたこともあった。メンバーの脱退によるグループ存続の危機もあった。自分たちの不甲斐なさへの怒りをパワーに変え、全力でやり抜いてきた。初期メンバー3人にしか語れない、友情、葛藤、努力、挫折。次世代へと受け継がれる絆の秘密が明かされる。
  • 熊金家のひとり娘
    3.8
    北の小さな島で、代々娘一人を産み継ぐ祈祷の家系に育った熊金一子は、神と畏れられる祖母と「血」から逃れるため島を出る。やがて大人になり、男の子の母親になることを願う一子が産んだのは――やはり女だった。明生と名付け息子のように育て愛そうとするが、ある日明生が失踪。一子は「バチが当たった」と怯えていた。母娘の愛を問うミステリ。
  • シェアハウスかざみどり
    4.0
    好条件、好待遇の期間限定シェアハウスキャンペーンで集まった、年齢性別バラバラの男女4人。管理人を含めた共同生活の中、彼らの仲は徐々に深まっていくが、風見鶏がなくなったことがきっかけで、住人達は疑心暗鬼になっていく。彼らが集まったのは偶然? それとも――。明かされる真実に心が驚きと優しさで満たされる、爽快な余韻が残る傑作。
  • アルテーミスの采配
    3.7
    出版社で働く派遣社員の倉本渚は、ある日AV女優連続不審死事件の容疑者が遺したルポ「アルテーミス采配」を手にする。原稿は“僕は犯人ではない。本当の黒幕は”という告白の途中で終わっていた。好奇心のあまり調査を始める渚だったが、やがて原稿に張り巡らされた罠に気付く――。一頁目から無数の罠が読者を襲う、怒濤の一気読みミステリ。
  • アルテイシアの夜の女子会
    3.8
    「愛液が出なければローションを使えばいいのに」「朝からフェラしてランチで口から陰毛が現れた!」とヤリたい放題だった20代。「男なら黙ってトイレットペーパーを食え!」「ヤリチンほどセックス下手」と男に活を入れていた30代。子宮全摘をしてセックスがどう変わるのか克明にレポートした40代。10年に及ぶエロ遍歴を綴った爆笑コラム集。
  • 烏合
    -
    昭和51年、神戸で起きた≪神侠会≫若頭の射殺事件を皮切りに、神侠会から離脱した者たちが≪一神会≫なる組織をつくり分裂した。多くの死傷者を出す抗争劇が幕を開け、一神会若頭の美山勝治は、その火種を消すべく命を懸けるが……。血で血を洗う抗争の渦はもう誰にも止められないのか? 非道を極めた男たちの壮絶な権力闘争を描く、極道小説。
  • 猿島六人殺し 多田文治郎推理帖
    3.5
    浪人者の多田文治郎は江ノ島・鎌倉見物のあと足を伸ばした米ヶ浜で、浦賀奉行所与力を務める学友の宮本甚五左衛門に出会い、対岸の猿島で起きた殺しの検分に同道してほしいと頼まれる。甚五左衛門が「面妖な事件」と評したことに興味をそそられ、承諾した文治郎。酸鼻を極める現場で彼が見たものとはいったい……? 驚天動地の時代ミステリ!
  • 世界の半分を怒らせる
    3.5
    「風立ちぬは宮さんのエロスの暴走」「エヴァンゲリオンは庵野のダダ漏れ私小説」「新聞も週刊誌もテレビも全て時間のムダ」など、巨匠・押井守が言いたい放題、吠えて吠えて、吠えまくる。でも“世界の半分の人間を怒らせる”覚悟で放ったその言葉の中には、実は世の中の“真実らしきもの”が秘められているようで……。危険度100%の爆弾エッセイ!
  • 夜また夜の深い夜
    3.7
    友達に本当の名前を言っちゃだめ。マイコにそう厳命する母は整形を繰り返す秘密主義者。母娘はアジアやヨーロッパの都市を転々とし、四年前からナポリのスラムに住む。国籍もIDもなく、父の名前も自分のルーツもわからないマイコは、難民キャンプ育ちの七海さん宛に、初めて本名を明かして手紙を書き始めた。疾走感溢れる現代サバイバル小説。
  • プラージュ
    3.8
    仕事も恋愛も上手くいかない冴えないサラリーマンの貴生。気晴らしに出掛けた店で、勧められるままに覚醒剤を使用し、逮捕される。仕事も友達も住む場所も一瞬にして失った貴生が見つけたのは、「家賃5万円、掃除交代制、仕切りはカーテンのみ、ただし美味しい食事付き」のシェアハウスだった。だが、住人達はなんだか訳ありばかりのようで……。
  • パリの国連で夢を食う。
    4.4
    チャンスを掴んだのは31歳の時。2年前に応募した国連から突然書類審査に合格との知らせが舞い込んだ。2000倍の倍率を勝ち抜き、いざパリへ。世界一のお役所のガチガチな官僚機構とカオスな組織運営にビックリしながら、世界中から集まる野性味あふれる愉快な同僚達と、個性的な生き方をする友人らに囲まれて過ごした5年半の痛快パリ滞在記。
  • 天才シェフの絶対温度 「HAJIME」米田肇の物語
    3.8
    開店から1年5ヶ月の史上最速で、ミシュラン三つ星を獲得したシェフがいる。大卒で企業に勤めた後、料理学校に通い、26歳で仏料理店の門を叩いた遅まきのスタート。しかし塩1粒、0.1度にこだわる圧倒的情熱で、修業時代から現在に至るまで不可能の壁を打ち破ってきた。心を揺さぶる世界最高峰の料理に挑み続けるシェフ・米田肇のドキュメント。
  • ふたり狂い
    3.6
    「自分のことが書かれてる」小説の主人公と同姓同名の男が妄想に囚われ、作家を刺した。それに端を発し起こるデパ地下総菜売場異物混入騒ぎ、企業中傷ネット祭り、郊外マンション連続殺人。事件の陰には意外な“ふたり”の存在が。クレーマー、ストーカー、ヒステリー。私は違うと信じる人を震撼させる、一瞬で狂気に転じた人々の「あるある」ミステリ。
  • あの女
    3.5
    タワーマンションの最上階に暮らす売れっ子作家・珠美は人生の絶頂。一方、売れない作家桜子は安マンションで珠美を妬む日々。あの女さえいなければ――。ところが、珠美がマンションから転落。女たちの運命が逆転した……が、それは悲劇の始まりに過ぎなかった。次々現れる怪しい女、女、また女。女がいるところに平和なし。真梨ミステリの真骨頂!
  • 白蝶花
    4.0
    福岡のお屋敷に奉公に出た千恵子。そこで出会った美しい令嬢の和江は、愛に飢えた寂しい日々を送っていた。孤独の中、友情とも恋とも違う感情で惹かれ合うが、第二次大戦下、戦況は刻々と悪化。女たちの運命はたやすく戦火に揺り動かされ……。人生を選ぶことも叶わず、時代と男に翻弄されてもなお咲き続ける昭和の女性たちの、誇り高き愛の物語。
  • 離婚して、インド
    -
    「そろそろ離婚しよっか」。七年一緒に暮らした旦那から切り出された突然の別れ。青天の霹靂、心の中ぐっちゃんぐっちゃんのまま、バックパックを担いで旅に出た。向かった先は混沌の国インド。アーユルベーダの真髄に触れ、イタリア男と夜の海を泳ぎ、本場のヨガに悪戦苦闘。辿り着いたガンジス川の源流で何を悟る? 共感必至の女一人旅エッセイ。
  • いろは匂へど
    3.6
    京都・二条で小さな和食器店を営む紫(ゆかり)。好きなものに囲まれ静かに暮らす紫の毎日が、20歳近く年上の草木染め職人・光山(こうざん)の出現でがらりと変わる。無邪気で大胆なくせに、強引なことを“してくれない”彼に、紫は心を持て余し、らしくない自分に困り果てる。それでも想いは募る一方。ところが、光山には驚くべき過去が――。ほろ苦く、時々甘い、恋の物語。
  • 完璧な母親
    3.3
    流産を重ね授かった最愛の息子が池で溺死。絶望の淵で母親の知可子は、息子を産み直すことを思いつく。同じ誕生日に産んだ妹に兄の名を付け、毎年ケーキに兄の歳の数の蝋燭を立て祝う妻の狂気に夫は怯えるが、知可子は歪な“完璧な母親”を目指し続ける。そんな中「あなたの子供は幸せでしょうか」と書かれた手紙が――。母の愛こそ最大のミステリ。
  • 我が闘争
    4.1
    九州の田舎から東大進学を機に上京し、23歳で起業。以来、世間の注目を浴び続けた時代の寵児は、やがて「生意気な拝金主義者」というレッテルを貼られ、挙げ句の果てに、突然の逮捕で奈落の底へ――。返り血を浴びても世間の常識に立ち向かい、“敵”が巨大権力であっても、納得できなければ迷わず闘い続けてきた著者の孤独と渇望の半生。
  • 偽りのシスター
    3.5
    麻薬密売の容疑者を射殺してしまった刑事の楠見和也。しかし上長の指示で、後輩の野口に罪を被せることに。 同居する兄にも真実を言えず、和也は良心の呵責に苛まれる。そこへ腹違いの妹と名乗る女・麻美が現れた。 三人の歪な共同生活に戸惑う和也だったが、そんな中、野口が自殺、現場では何故か麻美の目撃証言が――。 “妹”の狙いは一体何なのか?
  • リケイ文芸同盟
    3.7
    数値化できないものが、大の苦手な超理系人間の桐生蒼太。 そんな彼が、なぜか文芸編集部に異動になって。企画会議、〆切り、売上目標、刊行予定……。 全てが曖昧な世界に苛立ちを隠せない蒼太は、クレーマー作家、熱意大好き上司らを相手に、ベストセラー小説を出すことができるのか。 新人編集者の汗と涙と活字まみれの日常を描いたお仕事小説。
  • ショットバー
    5.0
    六本木の路上で身元不明の女の絞殺死体が発見された。 事件直前、近くのバーで偶然被害者と居合わせた商社勤務の亜希は、唯一の目撃者として捜査1課にマークされてしまう。 外事警察も捜査に乗り出し、被害者は中国人女性・静蕾と判明。しかし彼女には腹上死事件の重要参考人という別の顔があった……。 女の人生と国家権力が交錯する傑作警察小説。
  • ラストレシピ 麒麟の舌の記憶
    4.4
    第二次大戦中に天才料理人・直太朗が完成させた究極の料理を蘇らせてほしいと依頼された、絶対味覚=麒麟の舌を持つ佐々木充。彼はそれを“再現”する過程で、そのレシピが恐ろしい陰謀を孕んでいたことに気づく。直太朗が料理に人生を懸ける裏で、歴史をも揺るがすある計画が動いていたのだ。美食に導かれ70年越しの謎に迫る、感動の傑作ミステリー!
  • 闘いいまだ終わらず 現代浪華遊侠伝・川口和秀
    4.5
    ヤクザの抗争でホステスが死亡。暴走した一組員の犯行だったが警察は暴対法成立前夜の当時、世論喚起すべく親分の刑事責任を問いアリバイのある川口和秀を逮捕、共謀共同正犯に仕立てた。最初は子分の罪を負う覚悟だった川口も警察の陰謀と冤罪計画を知り無実を訴える。以来、22年間の獄中生活を経てなお再審請求する川口の国家との闘い――。 (『冤罪キャッツアイ事件』改題)
  • 日本全国津々うりゃうりゃ
    4.2
    諸君! 明日のことは旅行してから考えよう。日光東照宮では《眠り猫》よりも幻の《クラゲ》探しに精を出し、しまなみ海道では大潮の日に山のように盛りあがる海を求め船に乗る。名古屋で歴史ある珍妙スポットを続々と発見したかと思えば、なんと自宅の庭一周の旅まで!どこに行っても寄り道と余談ばかり。これぞ旅の醍醐味! 爆笑の日本めぐり。
  • あの日、僕は旅に出た
    4.4
    「インドにでも行ってみたら」。親しくもない同僚の一言で、僕はインドへと旅立った。騙され、裏切られ、日記までも盗まれて。それなりに真面目に生きてきた僕の常識は、一瞬にして崩壊する。だが、この最低最悪の経験こそが、30年に及ぶ旅の始まりだった……。いい加減な決断の連続で、世界中を放浪し、旅の出版社まで立ち上げた著者の怒濤の人生。
  • その青の、その先の、
    3.8
    17歳のまひるは、親友4人で騒ぐ放課後や落語家を目指す彼氏・亮司とのデートが何よりも楽しい高校生活を送っていた。将来の夢はぼんやりしていて、大人になるのはもっと先だと思っていたが、亮司に起こった事故をきっかけにまひるの周囲は一変する。大好きな人のため、憧れに近づくため、道を切り拓いていく若者たちの成長を爽やかに綴った物語。
  • ひぐらしふる 有馬千夏の不可思議なある夏の日
    4.0
    公衆の面前で突如として姿を消した親子連れ。山のてっぺんでUFOに連れ去られた幼馴染。実家に帰省した有馬千夏の身の回りで起こった不可思議な事件は、はたして怪現象なのか、故意の犯罪なのか。そして、彼女の前にたびたび現れる“自分そっくりの幻”の正体とは。予測不能、二重三重のどんでん返しが待ち受ける、ひと夏の青春ミステリー。
  • 偽りの森
    3.2
    京都下鴨。老舗料亭「賀茂の家」の四姉妹には美しく悲しい秘密があった。不倫でしか男を愛せない長女、夫の性欲を憎む次女、姉を軽蔑する三女、父親の違う四女……。騙し合い、嫉み合い、薄氷の上で均衡を保つ四人の女。しかし――「お義兄さんやから、寝たんやで」。その一言が偽りの家族を破壊する。嘘をついているのは妹か、罠を仕掛けたのは姉なのか。
  • 心配しないで、モンスター
    3.0
    丘の上の馬鹿(フール・オン・ザ・ヒル)みたいに超然と老いたいのに、じたばたするばかりの金森カナエ(59)。舟唄ばりの不倫にどっぷりな桑原カオル(32)。ピンク・レディーのコスプレにはまった落合光弘(26)……。さえない、うまくやれない自分だけど、背中を押すテーマソングがある。軽妙なシニカルさと温かい視線が描き出す、9人の物語。
  • 冤罪捜査官 新米刑事・青田菜緒の憂鬱な捜査
    3.3
    正義感が人一倍強い青田菜緒は、幼い頃からの夢を叶え警察官に。だが、配属先は被疑者の常套句「俺はやってない!」を信じるのがモットーの冤罪係。誤認逮捕、強要された自白、不十分な証拠……。刑事課長に嫌みを言われつつ、身内の粗探しに勤しむ菜緒。彼女は警察の不祥事を未然に解決できるのか? 新米刑事の憂鬱な日常を綴った連作ミステリー。
  • 特命
    3.5
    日本での主要国サミットを四日後に控え、最大の緊張状態にある成田空港で、密入国者が謎の言葉を残して怪死。真相究明を命じられた警察庁の若きエリート官僚・伊賀は、事件の背後に蠢く陰謀と罠に追い詰められていく……。本当の裏切り者は誰か。そして真実はどこにあるのか!? 日本と中東を舞台に繰り広げられる傑作エンターテインメント。
  • おもかげ橋
    3.7
    剣は一流だが道場には閑古鳥の鳴く弥市。武士の身分を捨て商家に婿入りした喜平次。十六年前に故郷を追われ、江戸で暮らす二人の元に、初恋の女・萩乃が逃れてくる。だが、彼女の変わらぬ美しさの裏には危うい事情があった。一方、国許では化け物と恐れられた男が返り咲き、藩を二分する政争が起き――。再会は宿命か策略か? 儘ならぬ人生を描く傑作時代小説。
  • 我ニ救国ノ策アリ
    4.0
    幕末の激動期、黒船襲来で異国の脅威に晒された日本の危機に、海軍編制を訴え、砲術塾を開き、国防に全てを捧げた男・佐久間象山。幕府や藩の重鎮に真っ向から対立し、奇人と謗られても信念を貫き通し、誰も考えなかったアイデアで国を守ろうとするが……。勝海舟、吉田松陰をも傾倒させた孤高の天才の、知られざる生き様を描いた傑作歴史小説!
  • 獺祭り 白狐騒動始末記
    3.0
    出奔した道楽者の兄が拵えた大借金。その取り立てに現れた男を見て、骨董店『萬屋』の一人娘・お伊馬はたじろいだ。単なる商家の次男坊というが、白狐の化身と見紛う優男。本当に人間なのか、と疑いたくなるほど異様な雰囲気をまとっている。なぜ兄はこんな男から金を借りたのか? 真相を追うお伊馬はやがて途方もない事件に巻き込まれる――。痛快無比の人情譚!

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