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Posted by ブクログ
とある訳ありシェアハウスとそこに暮らす住人たちの人生やり直しの物語です。
メインの主人公はサラリーマン『だった』貴生。たった一回の酔い潰れた末の覚せい剤使用で逮捕され、仕事も友人も失くした上に、留置所から釈放された一週間後に火事で家からも焼け出される。保護司を通じて紹介された不動産屋の仲介で入居することになった住まいは、一見カフェのような佇まいの建物。一階部分はそのままカフェ兼居酒屋、二階部分が住居のシェアハウスとなっている『プラージュ』だった。バス・トイレ・洗面所などは共用、共用部分の掃除は当番制、希望者にはオーナーによって食事が提供され、住居の各部屋にはドアがない。そんな風変わりなシェアハウスに住む住人達は誰もがそれぞれ『訳あり』だった。
初めて読む作者の方のお話でした。
冒頭部分から中盤くらいまではゆっくりと状況の把握と地固めをしていくようなじっくりとした展開、中盤にとあることから「あれ?」と思うようになり、これはもしかして、と気付く辺りから物語は急速に動き出して最終盤に向けては怒涛の疾駆。読み終わって一気に駆け抜けた後の放心状態のような気分を味わいました。面白かったです。
オムニバス形式なのかとも思いましたが、少し雰囲気が違うようにも感じました。三人称かつ一元視点で各章で語り手がどんどん変わっていくことによって、住人のそれぞれが抱く過去や想いがダイレクトに描かれ、住人たちの解像度がどんどん上がっていきます。そして、彼らのことを知る度に、どんどん彼ら一人一人が魅力的に見えてきて、彼らそのものに惹かれていく。ラストに向かっては怒涛の一言でした。
罪状、前科、執行猶予や、釈放…社会のルールに則って生きている上ではあまり意識しないそれらは、もしかしたら今歩いている地面の表裏で、ある時突然反転してしまう世界があるのかもしれないと、この物語を読んで感じました。そして、反転した世界は、反転する前の世界と明らかに変わってしまう。世間の人々からの目も、人間関係も、社会関係も、全て。誰しもある日突然陥るかもしれないその状況に、こんな場所があったらいい。そう思わせてくれる『プラージュ』のあたたかさが、とても心に沁みました。
そして、主要人物とは別に時折登場する人物たちもまた魅力的です。器の大きな人間は格好いい、そんなことを感じさせてくれる一冊でもありました。人は過ちを犯す生き物だ、と言ったのは誰だったか…その過ちを認め、見つめ、やり直したいと心から思う人を受け止めることのできる格好いい大人に、私もなりたいものです。
大人になっても人は人間として成長することができる、そんなことを感じさせる、人と人との繋がりを愛しく思うことのできる一冊でした。
Posted by ブクログ
最後まで読んで、とても良かった。温かい気持ちになった。
最初は、主人公の男性が前科持ちになるまでの過程に、何とも間抜けだなと感じたり、人のせいばかりにする心の声にうんざりした。ただ、主人公の貴生の犯罪歴だから、温かい目で見ることができたのだろうとも思った。その設定はよかった。
読み進めると、いくつかの仕掛けがあり、何がどう絡んでいくのか楽しみになった。
犯罪を犯した人を断罪することはかんたんだが、その人にもその人の人生があり、事情があり、また、本当に更生したい思いをどう萎ませないで支えられるかは社会の課題なのだろうと思った。
とは言え、犯罪の内容にもよるなぁ…
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小説・文芸
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