山田錦の身代金

山田錦の身代金

小説・文芸
742円 (税込)

3pt

3.8

一本百万円の日本酒を造る烏丸酒造に、脅迫状が届く。金を払わなければ、田んぼに毒を撒くというのだ。だが、世界一の評価をもつ田んぼに対して、要求は僅か五百万。犯人の狙いは何なのか。さらに捜査の過程で、酒蔵の杜氏が不審な死を遂げていたことが判明する。そんななか届いた新たな脅迫状。そこには、新聞広告に“あること”を載せろとあり……。

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  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    幻冬舎
  • 掲載誌・レーベル
    :
    幻冬舎文庫
  • タイトル
    :
    山田錦の身代金
  • タイトルID
    :
    1019666
  • 電子版発売日
    :
    2021年10月07日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    2MB

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山田錦の身代金 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

     物語は烏丸酒造の「風の壱郷田」の田んぼの山田錦に、刺激臭のある青紫色の薬剤が撒かれたことから始まる。烏丸酒造は、一本100万円以上になる純米大吟醸を作っている。その100万円の価値が決まったのは、オークションである。パリオークションとニューヨークコレクションがあり、パリオークションで、最高値がついた。烏丸酒造は、1600年代初頭、大阪の陣の頃からの創業。400年の歴史を持つ酒造屋である。先祖伝来、一子相伝で口伝の玉麹の技法がある。通常は麹米を総破精麴であるが、吟醸は突き破精麴が使われる。玉麹は、米の中に麹ができるようだ。
     田んぼに毒が撒かれて稲が枯れ、脅迫状が届いた。身代金の要求は500万円。その要求は、全面広告を出すように言われる。その玉麹の製法を、QRコードでつけろと要求された。
     毒は除草剤のパラコートだった。ふーむ。パラコートは毒物及び劇物取締法における毒物と指定されている。毒という表現から始まっているが、最初から農薬というべきだね。まぁ。ここでは、有機認証もとっている山田錦ということで、農薬が撒かれれば、有機認証は取れない。
     物語の伏線として、遺伝子組み換えによるカンナビノイドを組み込んだ脱法ライスが登場する。脱法ライスの稲を畑で作っている人がいるというのだ。その稲は紫色のオシベをつけるディープパープルで籾裏が紫。そんな特徴があったらバレやすいと思うけど。それが、この農薬散布事件に関連する。
     杜氏がもろみタンクに転落して死亡する事件が発生する。もろみの温度管理のデータから、殺されてから放り込まれたと推定された。なぜ杜氏は殺されたのか。そのもろみ室は密室だった。どのように、殺し、もろみタンクに入れたのか?
     吟醸酒の作り方が丁寧に解説されるのが良い。一本100万円の大吟醸酒「天狼星」は「シャープで心地よい酸味と、和三盆のような上質な甘味。後味を引き締めるほのかな収斂感に加え、ごく微妙な炭酸ガスの刺激」という。山廃大吟醸、無濾過生原酒なのだろうか。
     まぁ。久しぶりに 日本酒の製造を思い出して楽しかった。

    0
    2023年06月02日

    Posted by ブクログ

    「山田錦」をご存知だろうか。イネの品種の1つで、酒造好適米(いわゆる酒米)の代表格である。兵庫県で大正年間に育種され、以来、多くの酒造家に好まれてきた。現在でも酒米の最大生産量を誇る名品種である。

    本書の主題はその「山田錦」。
    1本100万円という高級日本酒の醸造元である烏丸酒造に、脅迫状が届いた。日本酒の原材料となる「山田錦」を育てている田んぼに毒を蒔く、やめてほしければ500万用意しろという。実際、田んぼの一部に毒が蒔かれているのが発見され、酒造会社は大騒ぎとなる。
    由々しき事態。しかし、超高級日本酒を相手取ったにしては要求が低すぎないか・・・? 犯人の狙いは何なのか。
    警察も捜査に乗り出す中、杜氏が不審死を遂げていたことも明らかになる。当時は事故死として処理されていたが、本当に事故だったのか・・・?
    酒と食のジャーナリスト、居酒屋経営者、研究者だった過去を持つ異色の警部。個性の強い面々が集まり、時に酒を楽しみ、時に酒造りを学びながら、謎の解明に乗り出す。

    会話シーンなどのコミカルさに若干浮いていると感じる部分はあるが、肩ひじ張らずに楽しく読み進められる。
    何より散りばめられる酒や田んぼの豆知識が楽しい。著者は自身も日本酒のライターとしても活動し、全国の酒蔵300棟以上を回っているという。
    田んぼの有機認証、精米の度合い、麹の仕込み。さながら読む酒蔵見学である。

    酒造り以外でも実際の出来事を取り込んでいる構成がなかなかおもしろい。
    田んぼに身代金の要求というのは前代未聞だが、実は作中でも触れられている通り、高級ワイン「ロマネ・コンティ」のブドウ畑を舞台とした脅迫事件が2010年、フランスで実際に起きている。複数の木の根元に除草剤が蒔かれ、100万ユーロ払わなければ畑を全滅させるとしたものだ。偽造紙幣を囮にして犯人は逮捕されている。

    有名銘柄である「獺祭」の会長が実名で登場しているのも珍しいところだろう。
    作中では新聞広告が大きな役割を果たす。
    「獺祭」はコロナ禍関連でも骨太な新聞広告を出していたが、数年前にも「高く買わないでください」と題した転売への注意を訴える広告を出して注目されている。その際のエピソードなども織り込まれている。

    実在の人物といえば、もう1人、主役格のジャーナリスト、山田葉子。
    これは推測だが、著者の奥さんで巻末の参考文献の著者としても名前があげられている、酒食ジャーナリストの山本洋子さんがモデルではないだろうか。
    作中の葉子さんは大活躍である。特に終盤近くで、田んぼに害をなそうとするものを止めようとする必死の説得は、フィクションを超えて胸を打つ。酒と米を愛する人でなければこんなセリフは出てこないだろう。

    さて、事件の方はというと、こちらもなかなか良くできている。
    犯人の不思議な要求の背後にあるものは何か、そして犯人の正体は、というところだ。
    種明かしの前に、往年の本格ミステリばりに、「読者への挑戦」なんて言葉が出てくるのも楽しい。

    ・・・結局、私には最後まで犯人がわからなかったのだがw
    悔し紛れというわけでもないが、2つほど、これは少し現実を超えているのではないかと思った点を挙げておく。
    ・脱法ライス:遺伝子操作によって大麻の成分であるカンナビノイドを米に作らせたもの。理論的・将来的には可能かもしれないが、現実味はやや薄いのではないか。酵母でカンナビノイドの生合成には成功しているようだが、イネはもう一段ハードルが高そう。組換えに成功したとして、生育までが可能か、そしてそれをこっそり栽培するという危ない橋を渡る農家がそういるものかどうかがよくわからない。
    ・生分解プラスチック製ドローン:農業用ドローンは一部実用化されているようだが、生合成プラスチックのドローンはまだ試作段階ではないか。作中に出てくるレベルで使えるようになるには、まだ年月がかかるのではないかな。それと、生分解にはそれなりの時間がかかるはずで、しかも「跡形もなく」消えるにはまだ少し技術改革が必要ではないだろうか。
    とはいえ、フィクションも込みで楽しめる作品である。

    著者は、機械系部品メーカーに勤務し、化学系エンジニアとしての経験もあるそうで、おもしろい経歴の人である。
    次作を書かれるようなら楽しみに待ちたい。

    0
    2021年11月22日

    Posted by ブクログ

    日本酒に使う山田錦の田んぼに毒をまかれたくなければ身代金を払えという要求を軸に、醸造タンク内で見つかった杜氏の死の謎を、キャリアの警部やジャーナリスト、居酒屋なの女将とかが挑んでいくのだが、登場人物が多くて、火曜サスペンス劇場みたいな話だなと思った。

    0
    2024年12月15日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    面白かった。

    田んぼに身代金がかけられるなんて何と斬新な。

    獺祭の会長、桜井さんも実名ででてきてぐっとはいりこでしまった。

    ドローンでの犯行、ドライアイスなどの展開は読めてしまった。

    0
    2021年12月24日

山田錦の身代金 の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    幻冬舎
  • 掲載誌・レーベル
    :
    幻冬舎文庫
  • タイトル
    :
    山田錦の身代金
  • タイトルID
    :
    1019666
  • 電子版発売日
    :
    2021年10月07日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    2MB

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  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
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