中公新書作品一覧

  • 中公新書60周年小冊子
    無料あり
    3.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【中公新書 創刊60周年記念】 1962年11月に創刊した中公新書は、おかげさまで2022年に60周年を迎えます。それを記念して、小冊子『中公新書の60年』を編集いたしました。 2700点以上を数える中公新書の海をゆく羅針盤として、識者の方々に政治、経済、日本史、世界史、思想・哲学、科学の各ジャンルのお勧め作品を挙げていただきました。 また人気シリーズになぞらえて「物語 中公新書の歴史」と題した読みものを収録しました。編集部員も知らなかった秘話を通して、当レーベルをより身近に感じていただければ幸いです。 《目次》 ●ここから始める中公新書   1 政治編 北岡伸一(東京大学名誉教授・国際協力機構〔JICA〕特別顧問)   2 経済編 坂井豊貴(慶應義塾大学教授)   3 日本史編 澤田瞳子(小説家)   4 世界史編 君塚直隆(関東学院大学教授)   5 思想・哲学編 若松英輔(批評家・随筆家)   6 科学編 渡邊十絲子(詩人)  ●物語 中公新書の歴史   創刊前夜  いよいよ創刊  停滞から再興へ  そしてこれから ●中公新書略年譜

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  • 企画の技法
    -
    今日の社会は、家事から宇宙計画にいたるまで、「企画」が要求されている。産業界でも、学会でも、いまほどあたらしい「企画」が切実にもとめられている時代はない。「企画」とはとりもなおさず、知的冒険ということであり、その冒険から未来が拓けてゆく。その能力を「企画力」とよぶのである。では企画の構造とはどういうものなのか。イメージ、勘とひらめきから主題の設定、企画の現場での与件の検討、調査、実験計画、企画をたてる段どりなど、個人レベルから集団レベルまで、その全容を解明する。

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  • プルーストからコレットへ いかにして風俗小説を読むか
    3.0
    世紀末から一九二〇年代、パリの文壇にあった二人の作家は、政治思想や倫理道徳の価値基準とは無縁の世界を生き、書き綴った。それが過ぎ去った時代の証言としてたえず読み返されるのはなぜか。小説だけがすくいとることのできる時代精神のありよう、すなわち「風俗」があざやかに映し出されているからである。本書は「風俗を反映しつつそれ自体が風俗的存在でもある文学」という観点から作品を読み、時代の中に位置づける試みである。
  • 水戸黄門の食卓 元禄の食事情
    3.0
    前の副将軍水戸光圀――日本人なら誰しらぬものもない史実と巷説に縁どられたこの人物の生きた時代は、泰平の世を謳歌する町人文化が華麗繚乱に絢を競ったときであった。なかでも食の世界は象徴的な展開をみせ、その奔流はあらゆる階層の人々を巻き込んでいく。光圀とても例外ではない。起伏に富んだ生涯のなかで、こよなく酒を愛し、味覚へのこだわりさえ感じさせる光圀の日々の暮らしは、近世食文化の黎明を如実に物語っている。

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  • 守護聖者 人になれなかった神々
    3.0
    キリスト教が伝播・普及してゆく過程で、ヨーロッパ各地の民間信仰は、守護聖者というものを新たに生み出していった。それらは今も、造形物として、また祭りとなって人々の心に深く根を下ろしている。本書は、膨大な数の聖者のうち、日本でも親しまれている、聖ヴァレンタイン、聖ニコラウス(サンタ・クロース)などから聖家族まで特徴的な聖者を取り上げて、ヨーロッパ文化の中に「聖者文化」を再発見しようとするものである。

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  • 競争社会アメリカ
    -
    あらゆる分野で“参加者”が競い合うなかで発展してきたアメリカ。その競争を象徴するのが、自由主義経済と反独占の守り神、反トラスト法である。この法律のもとに巨大企業は分割を命ぜられ、談合が糾弾される。貿易摩擦ではアメリカの強力な“武器”にもなる。本書は司法省対AT&T、IBMの熾烈な戦いにアメリカにおける反トラスト法の役割を探り、NTT分割論議等日本における競争秩序を考慮しつつ、日米社会の比較を試みる。

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  • 鳥居耀蔵
    5.0
    水野忠邦の権力を背に負って天保改革を苛烈に実行し、蛮社の獄によって渡辺崋山らを死に追いやった鳥居耀蔵は、目的のためには手段を選ばぬ執拗な隠謀家であった。儒者の司・林家出身の耀蔵にとって、洋学は夷狄の宗教・思想にほかならず、この侵入を防ぐためには詐術もスパイ工作も厭うべきものではなかった。前半生、「妖怪」と恐れられ、後半生、二十三年間の幽囚にも屈しなかった「悪党」の、残忍酷薄にして豪邁な生涯を活写する。

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  • 小劇場の風景 つか・野田・鴻上の劇世界
    3.7
    一九六〇年代に、新劇を否定するかたちで現れた小劇場運動があったか、その後、つかこうへいを嚆矢として奔出した新しい小劇場運動は、より多くの若い観衆に熱狂的に迎えられ、それらは社会現象としても大きな動きとなった。そして今や、そうした小劇場出身者が商業演劇や、映画、TVへと進出している。本書は、つかこうへい、野田秀樹、鴻上尚史の三人を中心に、七〇年代から八〇年代にかけての演劇とは何だったのかを探る。

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  • 植木枝盛 民権青年の自我表現
    3.0
    自由民権期の輝かしい理論家の一人で、板垣退助のブレーンとして活躍した植木枝盛は、歿後一〇〇年を超えるが、その短い波瀾の生涯を、同郷の中江兆民、馬場辰猪、小野梓とのかかわりをも交えて描く。とくに本書は、維新の混乱の中で失われたアイデンティティを求めた枝盛の苦闘と、伝統思想に依拠しつつ西洋の新しい民主主義思想を受け容れ、ラジカルな思想形成を行なった枝盛の心的過程と自我表現とに新たな光を照射する。

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  • 文人たちの句境
    -
    文人の俳句は面白い。なぜかといえば、発想が自在で、飛躍もあり、ものの核心を衝いているからである。彼らは佳句を作り、人と競おうという気負いはなく、肩肘はらず、しかし精神は集中させ、普段の息遣いで句作している。本書は、文人たちの秀句を任意にとりあげ、常住座臥、温故知新、哀傷・追懐、女人賛歌、存問のジャンルにわけて、悟達の境地に喜遊する、彼らの喜怒哀楽、おりおりの心の揺れをうけとめる、俳句悠遊である。

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  • サハリン棄民
    4.5
    戦前・戦中、炭坑資源開発のためサハリン(樺太)に渡った労働者の中には強制的・半強制的に募集・連行された韓国・朝鮮人が数万人いた。終戦とともに始まった引き揚げ事業はサハリンにも及んだが、その中に帝国臣民として徴用された朝鮮人は含まれていなかった。彼らはソ連統治下のサハリンに残されたのである。冷戦・南北朝鮮対立という国際環境、そして日本の戦後責任への無自覚に抗し、故郷訪問に至るまでの四十五年の足跡を克明に辿る。

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  • コミュニケーション技術 実用的文章の書き方
    4.5
    “英文ドキュメント作成法”で知られる実用英語の第一人者が、今度は学生、ビジネスマンのために、日本語のわかりやすい文章を苦しまないで、早くまとめるコツを具体的に解説する。ワンワード/ワンミーニング、ワンセンテンス/ワンアイディア、ワンパラグラフ/ワントピックのルールを紹介し、そのルールを駆使した例題文を通じて、論文、レポート、説明書、提案書、カタログなどの実用的な文章の上達法を明快・簡潔に解説する。
  • 時間と自己
    4.4
    時間という現象と、私が私自身であるということは、 厳密に一致する。自己や時間を「もの」ではなく「こと」として捉えることによって、西洋的独我論を一気に超えた著者は、時間と個我の同時的誕生をあざやかに跡づけ、さらに、ふつうは健全な均衡のもとに蔽われている時間の根源的諸様態を、狂気の中に見てとる。前夜祭的時間、あとの祭的時間、そして永遠の今に生きる祝祭的時間――「生の源泉としての大いなる死」がここに現前する。
  • 軍事革命(RMA) 〈情報〉が戦争を変える
    3.0
    ナポレオンによって大兵力の殲滅戦が開始されてから、戦争は火力による殺傷と破壊を意味するようになった。これ以降、工業化時代の戦争は、双方が国力全体を消耗しあう形態となったのである。情報技術や精密誘導技術が極限まで発達したため軍の運用や編成・組織が劇的に変化しつつある今、もはやクラウゼヴィッツの唱えた消耗戦は主流ではなくなりつつある。これからの戦争はどうなるのかをシミュレートする。
  • 日本語の素顔
    3.0
    幕末から明治初年にかけて日本では、西欧の言語の吸収に熱心で素顔の日本語を恥じ、外国ふうの化粧をした日本語が生まれた。さらに敗戦によって日本的なすべてのものに対する否定的な態度が一般的になり、近年は、書く文章だけでなく話しことばもまた激しく変りつつある。幼児にことばを教える母親の役割の重要性を痛感する著者が外国語と比較して、日本語の素顔の美しさや味わいを数々の具体例によって見なおす。
  • 日本語が見えると英語も見える 新英語教育論
    4.0
    日本人にとって英語はなぜ苦手なのか。アメリカ人は「日本人は先ず世界観を変えなければならない」と言う。これを著者は、英語で書くとき話すとき、日本人が「やまとことば」で情動的、感覚的に未整理のままで切り取っていた対象世界を、論理的に整理した「中間日本語」で切り取る訓練が必要であると言いかえる。本書は日本人の英語苦手意識の原点に探針をおろして克服の方策を示し、日本の英語教育にコペルニクス的転換を迫る。
  • 不平等社会日本 さよなら総中流
    3.9
    実績主義や自由競争の市場社会への転換が声高に叫ばれている。だがその「実績」は本当に本人の力によるものか。著者は社会調査の解析から専門職や管理職につく知識エリートの階層相続が戦前以上に強まっていることを指摘。この「階級社会」化こそが企業や学校の現場から責任感を失わせ無力感を生んだ現在の閉塞のゆえんとする。一億総中流の果てに日本が至った新たな階級社会の実態を明かし真の機会平等への途を示す。
  • 朝鮮半島の食と酒 儒教文化が育んだ民族の伝統
    3.0
    朝鮮半島に由来する飲食物は、日本の外来食文化の中でも、今や最も普及しているもののひとつである。それほど身近で、今や「日本の食べもの」になったともいえるものだからこそ、それらが、どのような文化的背景で生まれ育ってきたのかを概観する時に来たともいえるのではないか。本書は、風土や社会という条件の下で、どのような食材が、どう調理され、どんな食習慣に従って消費されてきたのかを、簡潔に紹介するものである。
  • 考えることの科学 推論の認知心理学への招待
    4.1
    日常生活での思考は推論の連続といえる。その多くは論理形式に従うより、文脈情報に応じた知識を使ったり、心の中のモデルを操作してなされる。現実世界はまた、不確定要素に満ちているので、可能性の高さを直観的に判断して行動を決めている。推論はさらに、その人の信念や感情、他者にも影響される。推論の認知心理学は、これら人間の知的能力の長所と短所とをみつめ直すことによって、それを改善するためのヒントを与えてくれる。
  • 日本海軍の終戦工作 アジア太平洋戦争の再検証
    4.0
    日米開戦をめぐって海軍は、陸軍との対立の中で苦渋の選択を迫られ、最終的には終戦工作をリードして日本を破壊の極みから救った・・という史観は正当といえるのか。自立した政治組織・権力である海軍は時局をいかに認識し、日米開戦をどう捉えていたのか。また海軍穏健派による東条内閣打倒工作と終戦工作の最終的狙いは何であったのか。「戦争責任」の視点から「高木惣吉史料」等、新史料を駆使して、昭和初期政治史を再検討する。
  • OLたちの〈レジスタンス〉 サラリーマンとOLのパワーゲーム
    3.7
    先進諸国の中で職場の女性の地位が日本ほど低い国はないと指摘されている。しかし、男性が女性一般職に対し奇妙に遠慮がちなのに対し、女性が男性をからかったり仕事の優先順位を勝手につけるなどして抵抗しうるのはなぜか。弱者の立場を逆手にとって男性の競争を傍観者として楽しむ戦略は伝統的性別役割の再生産につながるのではないか。ゴシップ、バレンタインデー等細部を通し武器としてのジェンダーとその落とし穴を考える。
  • アーサー王伝説紀行 神秘の城を求めて
    4.0
    円卓の騎士団の武勇伝。王妃と騎士の恋物語。異界との交流・・。恋と冒険、現実と神秘の織りなす華麗な伝説に秘められた遠い過去の記憶と未知の世界の魅惑に誘われて、著者はイギリスに向かう。史実と幻想の狭間に生まれ、さまざまな“霧”に包まれた英雄の実像を求めてイングランド、ウェイルズを巡り、物語に謳われた風景に接し人々と語る旅のなかから、今もイギリス人の心に生きつづけるアーサー王の世界が鮮やかに浮かび上がる。
  • 人間形成の日米比較 かくれたカリキュラム
    3.8
    多くの共通点をもち、互いに影響を与えながら、二つの国で「日本人」「アメリカ人」はどう形成されるのか。とりわけ摩擦の一因ともなっている“個と集団”への意識はなぜ異なるのか。子供観の検討、初等教育の比較から、著者は集団への同調行動の二つのモデルを見出す。両国で教育をうけ、カルチャーショックと逆カルチャーショックに交互に見舞われた熱い体験と、初等教育の現場での冷静な観察から生まれた、日米比較への新鮮な視点。
  • 武田信玄 伝説的英雄像からの脱却
    4.0
    「風林火山」を旗印とする百戦錬磨の闘将・知将として強調されるあまり、武田信玄は時代を超越した極めて特異で偉大な人物になっている。しかし信玄といえども時代の子であり、社会に規制されて生きるところが大きかった。その信玄を知るには、個人を特別視することなく、戦国という時代の特徴を認識しなければ、真の人間像には迫れない。従来の伝説的な英雄論の枠組みを取り払い、社会の中の戦国大名として生きた武田信玄像を描く。
  • 個人尊重の組織論 企業と人の新しい関係
    -
    日本の伝統的な組織とマネジメントに綻びが目立つようになった今日、企業とそこに生きる人々との間に新しい理念の構築が模索されている。全社的目標への貢献や緊密なチームワークを求める企業、組織の一員でありつつ多様な価値観やパーソナリティの尊重を欲する従業員との間に、いかなる組織と個人の統合の枠組みが可能なのか。既存の経営の問題点や社会的通念を踏まえながら、個人尊重を視点に据えて、組織の在り方を考える。
  • 理科系のための英文作法 文章をなめらかにつなぐ四つの法則
    4.0
    文法的に正しい英文でも、つながりが良くないと明快な文章にはならない。本書は、コンピュータで開発された文章解析技術と、言語学の新分野である「談話文法」が明らかにした文と文をつなぐ画期的法則を紹介する。この法則は、自分で書いた英文を客観的に眺め、自然な英文をつないでいくための道標となり、気のきいた言い回しよりもまず英文で主張を明確に表現しなければならない多くの人にとって、すぐに役立つ道具となるだろう。
  • 仏教とは何か ブッダ誕生から現代宗教まで
    3.2
    仏教を考える上で、もっとも根元的な難問は「仏教をどう生きるか」ということではないか。現代、日本人にとって、この問いに応えることが焦眉の急務になっている。その難問に対処するには、まずブッダの人生と仏教の歴史を等分の視野におさめる必要がある。ひとり日本においてのみ繁栄を誇り、しかし今や、その生命力を枯渇させつつ自滅の道を突き進んでいる大乗仏教――日本の仏教を、ブッダ誕生の原点に立ちもどって検証する。
  • 現代思想としての環境問題 脳と遺伝子の共生
    3.3
    環境問題はいまや世界的関心事であり、政治・経済・文化(倫理)・科学等の次元から論じられるが、〈自然対人間〉という二項対立を越える議論は数少ない。本書は「環境と人間は生物の進化の織りなすDNAメタ・ネットワークとして一体化する」という立場から、環境問題とは情報の肥大化した文化によって人間が危機に立っていることを意味するとして、コンピュータに希望を見る。生命をめぐる現代思想を軽快に駆け抜けて展開する論考。
  • 企業ドメインの戦略論 構想の大きな会社とは
    3.7
    これまで一貫して高成長を持続してきた日本企業をとりまく経営環境は、いま大きく変わりつつある。まず、どのような領域を自社の存在領域として構想するか、という戦略決定が改めて問われており、成長の方向性について主体的展望をもち、意識的に全社的な事業構成の定義と組み替えとを行なうことが不可欠となってきた。本書は「ドメイン」というキー・コンセプトによって、それが如何になされるかを、具体例を通して考察する。
  • ヒトラーの震え 毛沢東の摺り足 神経内科からみた20世紀
    4.0
    二〇世紀は戦争の世紀であり、一国の命運はしばしば独裁者の手に委ねられた。だが独裁者の多くが晩年「神経の病」に冒されて指導力を発揮できず、国民を絶望的状況へ導いたことはあまり知られていない。彼らを襲った疾患とはいかなるものだったのか。政治的指導者から作曲家、大リーガーまで、多彩な著名人を取り上げ、貴重な映像と信頼に足る文献をもとにその病状を診断する。神経内科の専門医がエピソード豊かに綴る二〇世紀史話。
  • 日本の外交 明治維新から現代まで
    4.3
    日本の外交思潮のパターンである「政府の現実主義」と「民間の理想主義」とは、日本が日露戦争の勝利によって二十世紀の国際外交の舞台に躍りだすまでにできあがっていたが、大陸への野心から太平洋戦争へ、そして敗戦から日米安保体制下の今日にいたるまで、百年の尺度で日本の近代外交の思潮をかえりみるとき、そこにどのような歴史の教訓を引きだすことができるだろうか。長期の展望にたって、今日の外交への指針を示そうとする。
  • 毒の話
    4.2
    人類誕生以来、人間は食物や薬を求める中で、数限りない毒と付き合ってきた。そして今日も、食性の変化、社会の変貌につれて、未知の新たな毒との出合いを続けている。本書は、暗殺教団の谷の大麻、ゾロアスター教の覚醒剤エフェドリン、ナポレオンを殺した砒素、ナゾの中毒事件を生んだタリウム、そして毒を消す毒テリアカなど、恐怖と忌避と悪の魅惑に彩られた一五の毒をエピソードとともに紹介し、その実態を科学的に解明する。
  • 中世都市鎌倉を歩く 源頼朝から上杉謙信まで
    3.5
    源頼朝に始まる鎌倉幕府が滅亡すると、鎌倉は急速に衰退しゴーストタウンとなったと考えられがちだが、実態は違っていた。京都室町に幕府が移った後も、鎌倉は東国を管轄する鎌倉府の所在地として十五世紀半ばまで繁栄を続けた。武家の首都として誕生し、幕府滅亡後はほとんど知られることのない都市鎌倉とはいかなるものだったのか。源氏、北条氏、足利氏、上杉氏の足跡を寺社や史跡に尋ねながら、謎に包まれた鎌倉の中世を歩く。
  • 「ケインズ革命」の群像 現代経済学の課題
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 一九三六年に刊行されたケインズの「雇用・利子および貨幣の一般理論」は、三〇年代の大不況に対処しえなかった経済学の危機に対して「有効需要の原理」「流動性選好説」 などを提唱して解決策を示す、革命的な書であった。しかし、その難解さゆえに様々な解釈が可能であり、読む側の国家観、歴史観ひいては倫理観が賛否を左右することになる。一冊の書物がひき起こした論争、社会科学における転向等を通して経済学の課題を問う。
  • 大久保利通 維新前夜の群像5
    4.3
    維新の志士には、夭折したものや暗殺されたもの、過剰な理想主義や正義感のため政府の主流から離れていった者が多い。大久保は一貫して政治の中心に位置し、破壊と建設と二つながらやった。旧体制破壊にさいしては、薩摩藩を挙げて運動の主体たらしめるべく、あらゆる手段を通じて藩中枢に接近し、それを掌握した。新体制確立にさいしては、漸進主義を押し通した。かれのこの政治家としての資質はいかに育てられたか。
  • 台湾出兵 大日本帝国の開幕劇
    4.0
    1874年5月、陸軍中将西郷従道指揮する日本軍3600名が台湾に上陸、先住民居住地を武力掃討した。この近代日本最初の海外派兵は、台湾に漂着した船の乗員が殺害された事件に対する懲罰と航海の保全にあると説明された。だが台湾を統治する清国との間には、一挙に緊張が高まる。それにしてもなぜ、事件後二年半も経って派兵が強行されたのか。なぜ清国はこの対応について過大に反発したのか。その歴史の根源的な謎に迫る。

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  • 道楽科学者列伝 近代西欧科学の原風景
    4.0
    恵まれた才能と富を活かし、「学問という最高の道楽」を楽しんで、卓越した業績を挙げたディレッタントたち。華麗な恋の遍歴のはてにニュートンの『プリンキピア』仏訳を完成したシャトレ侯爵夫人、領地の森をフィールドに『博物誌』を著したビュフォン伯爵、大銀行の長男に生まれながら動物学者の道を歩んだウォルター・ロスチャイルドらの姿に、学問が職業として確立する以前の、好奇心と遊び心が融合した近代科学の“原風景”を見る。

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  • 遊女の江戸 苦界から結婚へ
    4.0
    「遊女が結婚する」――江戸時代、男の享楽の道具として、一見、華やかで、その実、苛酷な運命を強いられ卑しめられる存在だった遊女たちにも結婚の話がなかったわけではない。浮世に流されることなく苦界の垢を清めようとしたもの、「人並み」の結婚生活を夢見たもの――その人生は様々だった。本書は、賢くも逞しく「遊女のその後」を生きた女や願いかなわず身を持ち崩した女、これに関わる男の話を、随筆から拾って紹介する。

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  • 野村商法物語
    -
    明治六年に、初代野村徳七が大阪の借家で開業した銭両替店は、日清・日露戦争による株式市場の活況で近代的な証券会社に変身し、さらに国内外の産業分野への進出を行ない、有数の財閥へと成長した。敗戦前後の困難も乗り越え、世界屈指の「ノムラ」へと発展していった秘密はどこにあるのか。本書は、その成功の鍵を、今や忘れ去られた感のある、江戸時代以来の商業倫理の遵守に求め、商家の暖簾を守り続けた人々の気骨を描くものである。

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  • 幕末武士の失業と再就職
    3.0
    騒動は、安政二年六月の夏にはじまった。田辺に居住する紀州藩横須賀組一統に対し、紀州家から支藩安藤家への支配替の通達が届けられた。横須賀組二十二家はこれを拒み、家康以来の徳川直臣の家柄である証拠書類をもって安藤策と執拗に通達撤回の運動を行なうが、決裂、整然と田辺を退散して浪人となる。しかし、六年余の浪々の後、一統は復帰運動を展開する。本書は、団結して復帰成功に至る横須賀組の動向と、幕末武士社会を描く。

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  • 天皇親政
    -
    維新の一大理念であるはずの天皇親政は、明治政府誕生後間もなくして形骸化した。事態を憂慮した天皇側近の元田永孚、佐々木高行らの侍補グループは、名実ともに実効ある親政とすべく、薩長藩閥政府に対峙する。本書は、明治天皇から「左右ニ陪シテ誠ニ進規ニ尽ス」の御沙汰を下賜された数少ない維新官僚・佐々木が残した膨大な日記を読み解き、その親政論の政治的意義を明らかにするとともに、当時の政府と宮廷の状況を描出する。

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  • 現代経済学の名著
    3.0
    ヴェブレン『企業の理論』、シュムペーター『経済発展の理論』、ロビンズ『経済学の本質と意義』、ケインズ『雇用・利子および貨幣の一般理論』、ハイエク『市場・知識・自由』、ヒックス『価値と資本』、ハロッド『動態経済学序説』、サイモン『経営行動』、サミュエルソン『経済学』、アロー『社会的選択と個人的評価』、ミュルダール『経済理論と低開発地域』、ベッカー『人的資本』、ガルブレイス『新しい産業国家』、フリードマン『選択の自由』、サロー『ゼロ・サム社会』ほか

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  • 経済制裁 日本はそれに耐えられるか
    4.0
    経済制裁とは、ある国の行った不当な行為に対し、経済の力をもって制裁を加え、その行為を阻止しようとする外交上の手段である。国際紛争解決の手段としての戦争行為が否定され、国家間の経済的相互依存関係が緊密化する今日、経済制裁のもつ意味は重要である。本書は、第一次大戦後の数々の事例を基に、経済制裁の様々な方法、効果を制限する要因、隠された目的などを分析し、経済大国日本が国際政治のうえで何ができるのか問う。

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  • 会社人間、社会に生きる
    4.0
    資生堂創業家に生をうけ、新入社員の時から現場を経験した著者は、社長に就任後、大胆な経営改革、情報開示等、時代を先取りする経営を推進し、また社員の意識改革に積極的に取り組んできた。企業の枠を超えた、意欲的な文化活動への関わりでも知られる。会社の中での個人の働きがい、生きがいを探求し、また社会の中での企業の役割と位置づけを追求する姿勢はどのように育まれたのか。思索と行動の跡とその背景を辿る。

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  • 円と日銀 セントラル・バンカーの回想
    -
    固定相場制の下での戦後復興から、貿易収支の黒字転換、ニクソン・ショック=変動相場制、円高時代へと劇的に変動した日本の経済政策。本書は、一貫して日本の金融政策の中枢にあった著者が、政策決定に至る様々な要因を回顧しながら、円の国際化の条件、為替相場制度論等を展開するとともに、通貨安定・信用秩序の番人であるべき中央銀行の役割を論じ、前川春雄、ボルカー等著名セントラル・バンカーの素顔を友情こめて伝える。

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  • ボーイスカウト 二〇世紀青少年運動の原型
    3.5
    英国軍人ベーデン-パウエル(B-P)は大英帝国の国力衰退を予感し、青少年運動「ボーイスカウト」を提起した。第一次世界大戦の予想を超えた惨状に、厭戦気分が蔓延し反戦運動が起きたため、B-Pはスカウトを国際的で平和的な野外活動団体へと路線転換したが、その方法論は彼の意に反して他国の為政者たちに利用されてしまう。大正時代に始まった日本の少年団運動にも大きな影響を与えた運動の軌跡を、B-Pの生涯とともに描く。

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  • ベースボールと日本野球 打ち勝つ思考、守り抜く精神
    -
    明治の初め日本に紹介されたベースボールは、瞬く間に全国を席捲するほどの人気を博した。だが、娯楽性あふれるショービジネスへの脱皮をみせたアメリカと異なり、学生スポーツとして独自の発展をとげた日本の野球は精神性の色濃い“純正野球道”へと昇華していった。本書は、日米の球史を丹念にたどる手法で両国の文化的差異の本質に迫る試みである。さらには、本場アメリカの風土に根づく誇り高きスポーツマンシップをも伝える。

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  • サイバースペースの著作権 知的財産は守れるのか
    3.5
    著作権は電子的コピー技術の高度化と普及により大きく変貌している。著作物はユーザーによって自由に切り貼りされ、インターネットによって全世界に配信されるようになった。著作物を扱う企業もユーザーもこの状況に困惑している。一方、G7諸国の掲げる情報産業政策は著作権の尊重を強調している。本書は、このような環境下にある著作権制度を、技術、法律、産業、芸術理念、国際関係の絡みのなかで考察したものである。

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  • キャンパスの生態誌 大学とは何だろう
    4.0
    はるか昔から現在に至るまで、大学というものは放っておけばいくらでも転落の道を辿る危険性をもっていた。どういう時に大学は愚者の楽園と化すのか、愚者の楽園を克服するためにどんな努力が払われ、ある試みが成功し、ある試みが失敗に終ったのはなぜなのか。さまざまな大学のキャンパスを訪れ、時空を超えて繰返し起る悲劇の主人公たちと対話を重ねながら、現代の大学のあり方を問う。

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  • 問題解決のための「社会技術」 分野を超えた知の協働
    3.2
    問題を解決するには、まず問題を把握しなければならない。だが現代社会において、問題の全体像はきわめて見えにくい。狂牛病やSARSをめぐる騒動、原発トラブルや医療ミスの隠蔽疑惑などを見ても、特定分野の専門家だけでは十全に対処できないことが明らかである。本書は、複雑化する社会問題を解決し、社会を円滑に運営する「社会技術」の概念を提唱。学問分野の枠を超えた、新たな取り組みを紹介する。
  • 地域再生の経済学 豊かさを問い直す
    3.8
    地方自治体は膨大な財政赤字を抱え、地方の都市は均一化して特色を失い、公共事業以外に雇用がない……。地域社会は生活の場としても労働の場としても魅力を失い荒廃している。本書ではその再生に成功したヨーロッパの事例を紹介しながら、中心的な産業や重視する公共サービスなどがそれぞれ異なる、めざすべき将来像を提示する。そして日本型の生活重視スタイルを財政・政策面からどのように構築するかを提言する。
  • 太平記 鎮魂と救済の史書
    4.0
    足利尊氏や新田義貞、楠木正成ら名だたる部将が活躍する『太平記』。しかしこの名高い戦記物がめざしたのは、英雄譚と言うよりも、南北朝動乱を生きた、名もなき人々への鎮魂と救済ではなかったか。怨霊の跋扈する、不条理にも見える物語世界が内包する『太平記』の精神とは。また、登場人物たちの体現する儒教的道義論や因果応報論が担ったものとは何なのか。単なる戦記物の枠を超えた『太平記』の世界への招待。
  • こころの作法 生への構え、死への構え
    4.0
    こころが定まらない――。こうした思いを抱きながら、わたしたちは日々を送っている。日本人のこころに衰えが兆しているのではないか。他者と共感する力。人間の背後に隠されている〈崇高さ〉あるいは〈凶悪さ〉への感受性。死に対する態度。定まらぬこころがこれらを不確かなものとしている。本書は、長年日本人のこころを見つめ思いを巡らせてきた著者による、揺るぎないこころを持つためのレッスンなのである。
  • 学習障害(LD) 理解とサポートのために
    3.8
    計算は速いのに文章題になると意味をつかめない。英会話は得意なのに簡単なつづりの間違いを繰り返す……。知的には遅れがないのに、特定の学習に困難を示す子どもたちがいる。学習障害(LD)といわれる範疇にあるか、それに近い子どもたちである。通常の学級で学習している彼らへの効果的な支援のためには、本人だけでなく親や教師ら周囲も対象とするサポート体制を築くことが必要だ。新しい教育への取り組みを模索する。
  • 聖書神話の解読 世界を知るための豊かな物語
    3.7
    かつて、科学技術も情報処理も未発達だったころ、人々はどのようにして、自分の周囲の事象を受けとめ、その仕組みを理解しようとしたのだろうか。そんな時、最も有効で普及可能だったのは、神話という物語を利用することだった。そこで語られるさまざまな事蹟は、自らと森羅万象とをつなぐ手がかりとなったのである。本書は、「本の中の本」とも呼ばれる聖書に描かれた事柄を、古代人が世界を映した神話として再読する試みである。
  • 子ども観の近代 『赤い鳥』と「童心」の理想
    4.5
    子どもを無垢な存在と見なすロマン主義的な子ども観は、日本では明治末に興り、大正中期の「赤い鳥」を中心にした「童話・童謡」運動で確立した。このイメージは、基本的には現在までも引き継がれているといえる。本書は、巌谷小波にはじまり、鈴木三重吉を経て多くの文壇作家たちが筆を染めた児童文学を素材として、近代特有の子どもに関する新しい「知」が、どのように生まれ、どのように普及していったかを辿る試みである。
  • 軍師・参謀 戦国時代の演出者たち
    2.7
    下剋上の世を生き抜く戦国大名の補佐役として、戦場の天候を占い、種々雑多なジンクスを統轄するなど、陰陽道をはじめさまざまな知識を駆使した軍師・参謀・・その実像はカリスマ性をもって語り継がれてきたため、いまだ謎につつまれている。戦国時代の名軍師とされる山本勘助、山中鹿介、真田幸村、竹中半兵衛、雪斎らの事績を洗い直し、果たした役割を明らかにするとともに、戦国武将にとって合戦とは何であったのかを解明。
  • 科挙 中国の試験地獄
    4.3
    かつて中国では、官吏登用のことを選挙といい、その試験科目による選挙を「科挙」と呼んだ。官吏登用を夢みて、全国各地から秀才たちが続々と大試験場に集まってきた。浪人を続けている老人も少なくない。なかには、七十余万字にもおよぶ四書五経の注釈を筆写したカンニング襦袢をひそかに着こんだ者もいる。完備しきった制度の裏の悲しみと喜びを描きながら、試験地獄を生み出す社会の本質を、科挙制度研究の権威が解き明かす。
  • イギリスのいい子日本のいい子 自己主張とがまんの教育学
    3.8
    優しい子に育ってほしいけれど、自分の意見を言えないようでは困る。自分の意志を持ってほしいけれど、わがままなのはだめ。子どもが育つとき、自己主張と自己抑制が共にできることが大切なのはわかっていても、そのバランスは難しい。両者を等しく重視するイギリスと、自己抑制を尊重しがちな日本を比較教育学を用いて比べながら、子どもたちはどうやってこれらを身につけていくのか、親はそのためにどうすべきかを探る。
  • 対象喪失 悲しむということ
    4.0
    肉親との死別・愛の喪失・転勤・浪人等々、日ごろ馴れ親しんだ対象を失ったとき、その悲しみをどう耐えるかは、人間にとって永遠の課題である。ところが現代社会はいつのまにか、悲しむことを精神生活から排除してしまい、モラトリアム人間の時代を迎えて「悲しみを知らない世代」が誕生し、いたずらに困惑し、絶望にうちひしがれている。本書は具体例によって悲哀の心理過程と悲哀の意味を説き自立することへの関係に及ぶ。
  • ゾウの時間 ネズミの時間 サイズの生物学
    4.0
    動物のサイズが違うと機敏さが違い、寿命が違い、総じて時間の流れる速さが違ってくる。行動圏も生息密度も、サイズと一定の関係がある。ところが一生の間に心臓が打つ総数や体重あたりの総エネルギー使用量は、サイズによらず同じなのである。本書はサイズからの発想によって動物のデザインを発見し、その動物のよって立つ論理を人間に理解可能なものにする新しい生物学入門書であり、かつ人類の将来に貴重なヒントを提供する。
  • センスある日本語表現のために 語感とは何か
    3.4
    「語感」ほど、誰もが確信を持ちながら、逆に普遍的な説明の困難な言葉も珍しい。感覚的な言語論を超えた語感の整理・分析は、いかに行なわれ得るのか。本書は、言語行動の三つの要素、つまり、表現主体である人間、表現対象である物事、そして表現手段であることばから語感を分類し、さらに、語彙体系の影響、言語的環境のバランス、語の用法や使用頻度などにも言及しながら、豊かな言語生活を楽しむヒントを提供するものである。
  • 韓国済州島 日韓をむすぶ東シナ海の要石
    3.0
    朝鮮半島本土から南へ90キロ沖の東シナ海にあり、古代は耽羅と称した済州島だったが、地理的位置から日韓中三国が密接に絡み合う元寇や倭寇の基地となり、李朝時代は政治犯の流刑地、植民地時代は日本への労働供給地として、島の自主性は奪われていた。解放後も本土との軋轢から、その歴史は平坦ではなかったが、恵まれた自然と温暖な気候を活かした園芸、観光産業によって、韓国一豊かな島に変貌した。離島ゆえの宿命をたどる。

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  • 美術館の誕生 美は誰のものか
    4.0
    近代化に必要な施設として、あるいは経済活動の象徴としてつくられた日本の美術館は、王侯貴族・富豪の私的コレクションから出発した欧米の美術館とどう違うのか。美術館の歴史的位置付けと社会的役割の変化を辿りつつ、革命によって美術品を市民の手に勝ち取ったフランス、建国当初から美術品を公共財としてきたアメリカなどを軸に、日本の美術館の特質を問う。民主主義の発生と公共の美術館という概念の誕生をめぐる野心的考察。

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  • ドイツ近代科学を支えた官僚 影の文部大臣アルトホーフ
    -
    十九世紀後半、プロイセンを中心に国家統一を果たしたドイツ帝国は、自然科学の成果を国力増強に活用すべく、膨大な国家予算を科学研究に投入した。しかしながら、文部省と大学の間には、教授人事、予算配分などをめぐって、絶えざる緊張関係が生まれた。本書は、当時文部官僚として、絶大な権力をふるった一ドイツ人の思想と行動を追いながら、現在でもなおきわめて切実な、国家と大学をめぐる問題の起源を探るものである。

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  • テレビCMの青春時代 ふたりの名演出家の短すぎた生涯
    5.0
    民間放送開局後10年を経た1960~70年代、テレビコマーシャルは、商品名連呼の時代を脱し、フィルムがひとつの「作品」として完成度を高めていった。なかでも日本天然色映画の杉山登志と電通映画社の松尾真吾とは、その短くも華やかな活躍によって、伝説的な演出家といわれている。本書は、長年企業の広告担当者として大ヒットCMにも携わった著者が、多才な人々が触発しあった熱い時代の息吹を伝えようとするものである。

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  • フリードリヒ大王 啓蒙君主のペンと剣
    4.3
    十八世紀なかばに、オーストリア、フランス、ロシアなどの大国を相手に七年戦争を戦い抜いた小国プロイセンの王フリードリヒ。彼は戦略の大家であると同時に、ヴォルテールを師として詩作に耽り、自らフルートを奏でる芸術家でもあった。しかし、彼にまつわる諸伝説の多くは、プロイセンがドイツ帝国となった十九世紀に成立したものであった。本書は、歪められた虚像の奥から、啓蒙君主の魅力的な人間性を引き出す試みである。

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  • 赤狩り時代の米国大学 遅すぎた名誉回復
    4.0
    一九九〇年、ミシガン大学の米国大学教授連合支部の機関誌に、赤狩りの犠牲者三名の名誉回復の記事が出た。これがきっかけで著者は、米国が今も後ろめたく感じているマッカーシーイズムの時代に、米国の教官、大学、そして団体が学問の自由にいかに対応したかを探り、米ソのデタントが成立し、共産主義に非寛容でなくなった時点まで跡づけている。同時に、民主主義の国=米国がもつ衆愚政治への危険性にも、目を向けさせてくれる。

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  • 麻酔と蘇生 高度医療時代の患者サーヴィス
    -
    十九世紀なかばに、アメリカ合衆国で初めてエーテル麻酔が行なわれるまで、手術室はまさに修羅場であった。しかし、それから一五〇年の間に、麻酔・蘇生学の領域は、単に痛みの軽減に留まらず、手術前から後への患者の全身的なケアまでを受け持つことになった。本書は、黎明期からの先人の苦心の跡を辿り、麻酔がかかる仕組みを探り、今後の手術室がより快適であるための方法と可能性を、大学病院の現場から報告するものである。

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  • フォークナー アメリカ文学、現代の神話
    -
    アメリカ深南部の伝統への根強い関わりと、近代性への熱い憧憬。二つの力の激しい葛藤から、『響きと怒り』『八月の光』『アブサロム、アブサロム!』など登場人物の語りが重層的に響き合う濃密な物語りが織り上げられた。サルトル、パヴェーゼ、マルケス、そして井上光晴、中上健次。二十世紀文学に深い影響を与え、新批評から新歴史主義に至る多様な批評に耐えて読み継がれるフォークナー文学の魅力を、社会的、歴史的背景の中に捉える。

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  • クレムリン秘密文書は語る 闇の日ソ関係史
    3.3
    一九九一年末のソ連邦解体後、新生ロシアは鉄の扉に覆われた秘密文書を積極的に公開した。日本関連の文書も明らかになり、秘められた真相公表が日ソ関係史の書き替えを迫っている。本書は、戦前の社会に衝撃を与えた女優・岡田嘉子の越境亡命事件、日本共産党と日本社会党のソ連資金疑惑、北方領土など日ソ交渉の舞台裏をソ連公文書を基に解明し、理想と幻想の国家・ソ連に憑かれた日本人の悲喜劇を描くノンフィクションである。

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  • 明末の文人 李卓吾 中国にとって思想とは何か
    4.0
    明末中国は既成の世界観が崩壊し、すべての価値観の再編が迫られる時代であった。五十歳を過ぎて「求道の巡礼」を志した李卓吾は、「知」と「言」の乖離する時代精神に抵抗して儒教の裏切者、異端と迫害され、ついに自刎した文人である。高踏的反俗性と草の根気質が合体した過激な言動は狂者を思わせたが、人間存在の意味を問う「性命の道」を貫いた後半生は中国哲学史の主流に連なり、そのラディカリズムは数百年を経て今日に蘇える。

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  • 母と子のマレーシア通信 娘のホームステイ体験から
    3.0
    マレーシアの首都クアラルンプールに在住する華人の家族と暮らし、現地のマレー系女子高校に通った娘と、心配しつつ遠くから見守った母親との交信の記録である。異国での体験や悩みを逐次手紙で送りつづけるように約束させられた娘と、それに応える母との間には、文章を通して互いの感情が論理化され、ともに成長していく様子が描き出される。と同時に、ホームステイ先の家族とのかかわり合いについて、貴重な示唆を与えてくれる。

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  • 文化の戦略 明日の文化交流に向けて
    3.0
    草の根交流から国家的プロジェクトまで、様々な分野で国際交流が広がっている。しかし明治以来続いてきた、「先進国」を上「途上国」を下と見る価値観に基づく「差別型交流」は跡を絶たない。文化はそれぞれの国に固有の価値観に根ざした体系であり、相対的なものである。無意識にまで染み透った西洋文化至上主義を脱却し、文化相対主義に基づく「誠実型交流」を進めるために今なにをなすべきか。世界文化への貢献を展望する、現場からの提言。

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  • 重光葵 上海事変から国連加盟まで
    3.5
    アメリカ戦艦ミズーリ号上で日本の降伏文書に調印した首席全権として有名な重光葵は、戦前・戦後を通じて、和平の調整役として東西を奔走しつづけた人であった。たとえば上海事変時の駐華公使、張鼓峰事件時の駐ソ大使、第二次世界大戦初期の駐英大使、太平洋戦争後期と戦後の日ソ交渉時、また国連加盟時の外相として外交の最前線にいて、国内外の懸案に常に真摯に対処した。その足跡を、残された膨大な手記、回想録を基に辿る。

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  • 原爆神話の五〇年 すれ違う日本とアメリカ
    5.0
    ワシントンのスミソニアン博物館で計画された「原爆展」をめぐって、アメリカでは原爆論争が再燃した。原爆が戦争終結を早め、多くの人命を救ったとする「神話」を考え直そうとする人々が、冷静な議論を提起したのである。結局「神話」の優位は揺るがなかったが、アメリカが持つ自己検証能力の健在ぶりは明らかになった。本書は、全米での幅広い声を取材し、戦後五〇年を経て、なお隔てある日米の歴史観の差の源を探るものである。

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  • ソフトウェアの法則 コンピュータの利用技術とは
    3.8
    コンピュータに関する話は一般の人には理解できないことが多い。ソフトウェア開発に携わるプログラマの苦労や悩みなどなおさらのことである。しかし、ソフトウェアのきまり(法則)と一般的な社会生活で出くわす出来事は非常に似ている。本書は、技術開発のプロが、「ソフトウェアとは何か」「コンピュータの利用技術」など、みずからの職場体験に、私生活のさまざまなエピソードをまじえて語る機知に富むテクニカルエッセイ。

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  • アメリカのジャポニズム
    -
    一八五一年の第一回ロンドン万博を契機に、十九世紀後半は、ヨーロッパで空前の日本ブームが沸き起こった。時を同じくしてアメリカでも同様の流行を見るが、その場合、際立っていたのは、日本趣味の及んだ範囲が、美術や文学といったハイ・カルチャーにとどまらず、服飾、造園、装飾品といった生活に密着した品々にも広がったことである。本書は多岐に亘る実例を示して、短いながらも広く深かった日本趣味流行の軌跡を辿るものである。

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  • 道元の和歌 春は花 夏ほととぎす
    5.0
    曹洞宗の開祖道元は、すぐれた歌人でもあった。良寛や川端康成が愛誦した「春は花夏ほととぎす秋は月冬雪さえてすずしかりけり」も道元の作である。新古今集の歌人・慈円を大叔父に持ち、後鳥羽宮内卿らと親交を結んだ道元にとって、歌を詠むことは自らの人生に欠かせない営為であった。いまに伝わる四九首を、その生涯や思想をたどりながら解説し、鑑賞する。一見平易な歌の中に込められた道元の深遠な思いが浮かび上がる。
  • 精神科医になる 患者を〈わかる〉ということ
    4.0
    精神科医は患者が病気であることを本当に証明できるのか。病気か〈甘え〉かをどこで見極めるのか。精神科医療において一人の患者にカウンセリングと薬を処方しての治療が同時に行なわれるのはなぜか。本書は精神科に勤務する著者が、臨床の現場で行き当たった疑問に一つ一つ立ち止まり、本当の「精神科医」になるために重ねた思索の結晶である。現代の精神科医療が抱える問題を掘り起こし、対人関係の原点を見つめる。
  • ある明治人の記録 改版 会津人柴五郎の遺書
    4.5
    明治維新に際し、朝敵の汚名を着せられた会津藩。降伏後、藩士は下北半島の辺地に移封され、寒さと飢えの生活を強いられた。明治三十三年の義和団事件で、その沈着な行動により世界の賞讃を得た柴五郎は、会津藩士の子であり、会津落城に自刃した祖母、母、姉妹を偲びながら、維新の裏面史ともいうべき苦難の少年時代の思い出を遺した。『城下の人』で知られる編著者が、その記録を整理編集し、人とその時代を概観する。
  • 無意識の構造 改版
    4.1
    私たちは何かの行為をしたあとで「われ知らずにしてしまった」ということがある。無意識の世界とは何なのか。ユング派の心理療法家として知られる著者は、種々の症例や夢の具体例を取り上げながらこの不思議な心の深層を解明する。また、無意識のなかで、男性・女性によって異性像がどうイメージされ、生活行動にどう現れるのか、心のエネルギーの退行がマザー・コンプレックスに根ざす例なども含めて鋭くメスを入れる。
  • 疾走する精神 「今、ここ」から始まる思想
    4.1
    IT技術一つとってみても、米国を震源とするグローバリズムは強大な力を持つ。66億以上に人間が暮らす広い地球といえども、やがてどこもかしこも同じようになってしまうのではないか懸念もされている。だが「米国もone of themにすぎない」と気付くならば、世界は今までとは違う、多様性の宝庫=深い森に見えてくる。いま何を大切なものとして生きるべきなのか。横断する知を生きる、脳科学者が見つめた現代と未来とは。
  • 虫たちの生き残り戦略
    3.0
    四億年の歴史をもつ昆虫類は、環境へ巧みに適応し、姿形や生活様式をさまざまに進化させてきた。一見不可解なふるまいにも、生き残りをかけた驚くべき知恵が隠されている。殺虫剤を強壮薬にするゴミムシダマシ、光の輪をつくって卵を守るイリオモテボタル、植物の種を蒔くクロヤマアリ、大雪を予知するオオカマキリなど、最新の知見を交えながら虫たちの行動の謎に迫る。昆虫の世界への興味をかきたてる二四話。
  • ぼちぼち結論
    4.0
    「理性」に振り回される現代世界を憂い、社会「常識」の怪しさを指摘し、虫捕りの時間がないことをぼやく…。養老孟司の時評シリーズもついに完結篇。ホリエモン・村上ファンド騒動、NHK受信料、データ捏造問題、中国の経済脅威、自民党総裁選、団塊世代の定年…。さらに、幸せについて、文明についても考える。
  • 東京裁判〈上〉
    3.8
    1~2巻770~792円 (税込)
    ニュールンベルク国際軍事裁判とともに歴史上前例のない戦争犯罪人を裁く極東国際軍事裁判は、戦争に敗れた日本人に何を問うたか。昭和二十一年五月三日の開廷以来二年半余、三百七十回に及ぶ公判で「平和、人道、戦争に対する罪」の名のもとに、満州事変から太平洋戦争に至る“侵略”の事実を問い、七人の絞首刑を含む二十五人全員に有罪を宣した東京裁判の全容を、厖大な公判速記録、公刊資料、関係諸国・内外関係者の取材から解明する。
  • 民俗学の熱き日々 柳田国男とその後継者たち
    3.5
    柳田国男は、歿後四〇年を過ぎても、いまだに日本の学問・思想界に絶大な影響力を保っている。しかし、彼が独力で開拓したと言っても過言ではない民俗学は、その後、独創的な継承者を得られず、彼一代の学問として燦然と輝いているのである。本書は、民俗学の黎明期にあった柳田の詩的な精神が、民俗学者ではなく、むしろ異分野の研究者、思想家、作家などに受け継がれていった経過を、丹念に追跡する試みである。
  • 大衆教育社会のゆくえ 学歴主義と平等神話の戦後史
    4.3
    高い学歴を求める風潮と、それを可能にした豊かさに支えられ、戦後日本の教育は飛躍的な拡大をとげた。一方で、受験競争や学歴信仰への批判も根強くあるが、成績による序列化を忌避し、それこそが教育をゆがめる元凶だとして嫌う心情は、他国においてはユニークであるとみなされている。本書は、このような日本の教育の捉え方が生まれた経緯を探り、欧米との比較もまじえ、教育が社会の形成にどのような影響を与えたかを分析する。
  • 吉田松陰 変転する人物像
    3.5
    長州藩の兵学師範をつとめ、松下村塾を主宰して維新の俊傑たちを育てた吉田松陰は、安政の大獄を断行する幕府から政道批判を咎められ死罪となった。その思想的影響は没後も衰えることはなく、三十年の短い生涯にかかわらず、公刊された評伝は膨大な数にのぼる。「革命家」「憂国忠君の士」「理想の教育者」など、時代の状況によって描かれ方が目まぐるしく変化したのはなぜか。維新に先駆けた思想家の人物像を再構築する試み。
  • 百人一句 俳句とは何か
    3.0
    『小倉百人一首』は、万葉時代から新古今時代まで五百年余に作られた和歌から精選された名歌集だが、そののち、古代から当代までを通覧してのアンソロジーは普及しなかった。そのことはわが国の詩歌の中心が短歌から連歌、俳諧へと移っていったことと無縁ではない。本書は『古事記』から現代俳句まで、旋頭歌の片歌や連歌・俳諧の発句を含めた五七五の名作を通時代的に選んで、日本人の美意識の本質と変遷を探ろうとするものである。
  • 日本のイメージ 韓国人の日本観
    4.0
    多くの日本人には韓国人が今なお日本を怨嗟の目で見つめているかのような思いがある。しかし解放後の韓国においては、隣国に対する愛よりは憎悪の表出の方が容易であったのは事実であるが、このことはもう一つの感情や態度の存在を否定するものではない。本書は韓国人の日本に対する否定的な眺めや肯定的な眺めが韓国人の心の中にどのように共存し、どのように変化しているのかを多様な引用とともに明らかにしようとするものである。
  • 精神鑑定の事件史 犯罪は何を語るか
    4.0
    異常な犯罪が起きるたびに話題になるのが精神鑑定。しかし、精神鑑定は期待されるように、出来事の真相を明らかにできるのだろうか。本書は、レーガン元米大統領暗殺未遂事件、多重人格者の連続殺人、哲学者の妻殺し等々、社会を揺るがせ、鑑定人を悩ませた有名な事件を取り上げる。貴重な資料や証言をもとに犯行と裁判の経過をふり返り、精神鑑定のむずかしさを浮き彫りにしながら、異常な事件を生んだ心の世界を探る試みである。
  • まともな人
    -
    今回は「あたりまえ」について考えてみよう。こういう話題ならできるだけ具体的なほうがいい――。養老孟司が世の中の動きを定点観測。小泉内閣発足も、9・11同時多発テロや北朝鮮問題も、地球温暖化論や「新しい歴史教科書」問題も、何か通じるものがある。二一世紀最初の三年間の出来事とそれらをめぐる人々の姿から、世界と世間の変質をズバリ見通し、現代にはびこる「ああすれば、こうなる」式の考え方に警鐘を鳴らす。
  • 台湾 四百年の歴史と展望
    4.2
    一六二四年、大航海時代のオランダ支配に始まり、今日までの四百年に近い台湾の歴史は、「外来政権」による抑圧と住民の抵抗の記録である。外来政権はオランダ(スペイン)、鄭氏政権、清国、日本そして国民党政権である。では近年の目覚ましい経済発展の要因はどこにあったか。また急速な民主化の進捗は、対中国との関係で台湾をどのように変貌させるだろうか。一九九三年の「シンガポール会談」も踏まえ、歴史を描き、将来を展望する。
  • こまった人
    -
    コンビニ、スーパー、パチンコ、ファミレス……。これらを見れば、日本中どこも同じに見える。だが虫捕りにいけば、その土地によって虫は異なる。虫も人も実にさまざま。日本は広い。明日を予想できない世界だから「ああすればこうなる」式の思考では具合が悪い。イラク派兵、靖国問題、安全神話の崩壊など、話題の出来事を養老孟司が定点観測。世界と世間の本質を読み解く、好評「養老哲学」第二弾。
  • 肉食の思想 ヨーロッパ精神の再発見
    -
    ヨーロッパ人は、いったいなぜ動物を屠畜して食う一方で、動物を愛護するのか……。本書は、ヨーロッパ思想の原型を、きびしい歴史的・地理的条件が生み出した特有の食生活のパターンに求め、そのパターンにもとづいて形成されてきた思想的伝統を明らかにし、それによって規制される彼らの日常生活や心理・行動を、日本とも比較しながら平易に説く。食生活という新しい視点の導入によってヨーロッパの歴史を見直す、西洋史学究の問題作。
  • 胎児の世界 人類の生命記憶
    3.8
    赤ん坊が、突然、何かに怯えて泣き出したり、何かを思い出したようににっこり笑ったりする。母の胎内で見残した夢の名残りを見ているのだという。私たちは、かつて胎児であった「十{と}月{つき}十{とお}日{か}」のあいだ羊水にどっぷり漬かり、子宮壁に響く母の血潮のざわめき、心臓の鼓動のなかで、劇的な変身をとげたが、この変身劇は、太古の海に誕生した生命の進化の悠久の流れを再演する。それは劫初いらいの生命記憶の再現といえるものであろう。
  • 沖縄の歴史と文化
    4.3
    沖縄は地理的に遠く、日本本土と趣きの異なる歴史と文化をもっているため、歴史を区切る概念も、文化を貫く美意識も、それらを表現する言語も、すべて本土的な尺度では計れない。本書は、単に日本列島の一島嶼群として捉えるのではなく、広く太平洋文化圏の中に位置づけ、日本人および日本文化のルーツの一つともいうべき沖縄の歴史と文化を、諸分野の研究成果を取り入れながら紹介する。沖縄の実相を識るための入門書である。
  • 児島惟謙(こじまこれかた) 大津事件と明治ナショナリズム
    4.0
    訪日したロシア皇太子を警護の日本人巡査が斬りつけ負傷させた事件に日本は朝野ともに震撼し、政府は「皇室に対する罪」を適用し犯人を極刑にしようとした。だが大審院長児島惟謙は毅然として反対し、司法権の独立を護った――これが大津事件と「護法の神」児島の伝説である。しかし、仔細に経緯を辿れば疑問は多い。児島にとって司法権独立とは何のためのものであったのか。明治国家形成期の時代精神の中で児島の全体像を検討する。

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  • 日米コメ交渉 市場開放の真相と再交渉への展望
    3.0
    一九九二年十二月にウルグアイ・ラウンド(多角的貿易交渉)がまとまったが、この交渉は、コメの市場開放という問題を抱えていたため、それまでのどの国際交渉よりも日本で注目を集めていた。部分開放という形で一応の決着をみたコメ交渉だが、そのプロセスは、当時もその後も殆ど明かされていない。アメリカは何を求め、日本はどう応じたのか。この経緯を、直接取材とアメリカ政府の内部文書から探り、再交渉への視座を提供する。

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