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Posted by ブクログ
8冊目です。
ついこのまえまで格差社会という言葉がメディアなどでよく取り上げられていました(今もそうかもしれませんが・・)。
それと同時に使われたのが「勝ち組と負け組」という言葉でした。負け組というのは一日数百円で暮らしている人たちなど社会的に負けと思われている人であり勝ち組とは一日で何百万もの金を稼ぐ「ヒルズ族」の方々などを指す言葉としてその年の流行語となるほど世間を賑わせました。
でこのときにいわゆる勝ち組という方々がよく言っていたのが「自己責任」という言葉でした。つまり、「負け組になり下がったのは本人の努力の
問題であって努力しなかった人が悪いのだ。だから自己責任の結果起こった問題なのだ」と。
ですがなぜこの自己責任という言葉で片付けられるのでしょうか。それはすべての人たちがすべて平等な状況で生まれてきているということが前提になっているからです。この点を詳しく説明しましょう。現在の資本主義社会では市場、競争がすべてです。とするならばもし負け組の人たちが競争で負けたということなら確かに自己責任ということで正しいでしょう、なぜならただ単に負け組の人たちが競争に負けただけだからです。たとえば100m走で考えるとわかりやすいでしょう。この場合みんながヨーイドンで一斉スタートして1,2・・位という順位がつきます。このとき誰も最下位の人を可哀想だからこの人を一位にしようとは誰もいいません。それはかけっこが最初にゴールした人から順位をつけるというルールだからです。このルールを
市場とすれば負け組の人たちはただ単に競争に負けただけであってその限りでは自己責任です。その点では完全に勝ち組人たちの言うことは正しいです。が果たして本当に勝ち組の人たちは正しいのでしょうか。もしこの競争が最初から勝負の決まっているレースならば同じことが言えるでしょうか、
つまりもし100m走で人によってゴール近くにいる人やスタート地点から遥か後方にいる人が同時にスタートするようなレースが公平なレースだ
といえるでしょうか。もしそうならこの自己責任という反論は当てはまりません。なぜなら公平なルールという前提が覆されるからです。
ではもし現代で各々の公平、不公平となる基準は何なのでしょうか。それが「階層」というものです。
普段意識することのない階層という概念ですが平たく言えば職業、文化的側面によって決まるグループ分けのことです。これが実は世代間で
連続しやすい(たとえば親が医者なら子供も医者になりやすいとか)ということを示したのが本書「不平等社会日本」です。上の例のように
階層というのはいわば遺伝するようなもので実は生まれた環境によって強く規定されるというのを示したのが本書の面白いところです。
この基となった統計データがSSM調査というものなのですがこのデータの分析の仕方が大変勉強になりむしろこういった統計データの
分析法について多くのページ数が割かれていて統計のべんきょうにもなります。たとえばかつてのSSM調査によれば確かに中流といわれる
人たちが増えているように見えるのですがある年代だけ取り出してみると実はそうでもなくむしろ階層間格差が広がっているように
みえるなどデータの見方を変えるだけで結果ががらりと変わるのは面白いところです。このほかにもいろいろと社会学の勉強になるようなことが
数多く含まれていてそちらの勉強にもなり興味深い内容となっています。
Posted by ブクログ
日本は本当に総中流社会? 日本は本当に機会均等社会? そのような常識とされている疑問に対して、統計データの分析を通じて、真っ向から反論する意欲作。最近流行の「下流社会」よりも、この本の方が、より実証的で説得力を伴う。これまでの人生で漠然と感じていた『階級の再生産』というものが、空恐ろしいほどにこの書では証明されている。これこそ現代日本の現実であり、目を背けたい現実でもある。各々のデータの分析は良く分からないまま読み飛ばし、分かるとことだけ読んでいても楽しめる学術書だろう。自分が偉大なる権力者であれば、発禁にしたくなるくらい痛いところを突いている一冊である。
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