これは面白かった。十分「新世紀版」と言えるだけの陳腐化していない内容に改められており、(著者いわく、簡単に改訂できたとのこと。世の中の言論状況が15年前とほとんど変わっていないことの裏返しである)増補もあってお買い得だと思う。
社会の様々な問題を一挙に解決する、希望を託す対象として「情報技術」の進化
...続きを読むが語られ、その裏づけによって社会の進化を語る、これって単なるトートロジーではないのか?というのが本書の着眼点であり、実際には社会のありようが技術の進化を規定しているという関係であることを実証的に語っていく。
構造的に見極めることのできない「全体」をできる限り反省して選択していくという「苦々しい」作業から逃れるための技術決定論が情報化社会論であるという指摘には、たとえば有事にリーダーの不甲斐なさを揶揄するだけの「民主主義」と、その現実逃避の姿で重なるものがあり、ドキリとさせられる。