佐藤俊樹のレビュー一覧
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部屋のどこかに岩波文庫の「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」が「永遠の積読」として埋まっています。大塚久雄訳だったと思います。なんか社会学とか社会科学の本を開くようになって、ここは有名な「プロ倫」読んでおかなきゃダメでしょ、と思ったのでしょう、全然読む気になりませんでしたが…まあ、いつ読むかわからないけど、先に本書「社会学の新地平──ウェーバーからルーマンへ」読んでおいて良かったような気がします。ウェーバーとマルクスをくっつけようとして失敗した人として大塚久雄ボコボコだし。そう古典的名著として崇め奉るのではなく現在を読み解くツールとして「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」の
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Posted by ブクログ
ネタバレこれは面白かった。十分「新世紀版」と言えるだけの陳腐化していない内容に改められており、(著者いわく、簡単に改訂できたとのこと。世の中の言論状況が15年前とほとんど変わっていないことの裏返しである)増補もあってお買い得だと思う。
社会の様々な問題を一挙に解決する、希望を託す対象として「情報技術」の進化が語られ、その裏づけによって社会の進化を語る、これって単なるトートロジーではないのか?というのが本書の着眼点であり、実際には社会のありようが技術の進化を規定しているという関係であることを実証的に語っていく。
構造的に見極めることのできない「全体」をできる限り反省して選択していくという「苦々しい」作業 -
Posted by ブクログ
ネタバレIT革命、情報化社会という言葉に対する痛烈なカウンター。
産業資本主義の行き詰まりに、次の社会改革として華々しく語られているそれらの言葉。
しかしながら、その原理はポスト産業資本主義と、ハイパー産業資本主義のごちゃまぜであり、且つそのどちらも産業資本主義的文脈において有効性の無い話。
それを一蹴しておしまいではなく、その「情報化社会を夢見てしまう後期産業資本主義とはどのような社会なのか」にまで踏み込む。
外に向かうフロンティアに限界が見えて、内に向かわざるを得ないその精神。
答えの無い問題に答えを出さなければならない社会の中で、それを確信犯的に背負っていく現代人。 -
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ネタバレ――――――――――――――――――――――――――――――――――
■佐藤俊樹/不平等社会日本/中公新書1537/2000年/660円
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さよなら総中流。「とんでもない事件や事故がこれから起こりつづけるだろう
」です。「努力をする気になれない」社会へ、現代の日本は、かなり急激な転
換を!。第4章「総中流」の落日ー自壊するシステム。キモはここです。
1.日本社会システム全体への疑問 2.IT革命について考えていきつつ私
は読書すると申し上げおります。そんな本がコレ。帯には、「崩壊する平等神
話」!。私は「団塊の世代は葉民に -
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ネタバレ《序章「情報化」の時代》
【メディアの脱近代―「情報化社会」その1】
グーテンベルクの活版印刷術の発明以来、人類は視覚系メディアが圧倒的に優位の状態に入る。①中央集権的で②個人を基本的な単位とする社会、つまり近代社会がつくりだされたわけだ。p15
《第1章 「情報化社会」とは何か》
【情報化社会の実体】p50
「情報化社会」とは何か―その答えは、なぞめいているが、「何でもない」。もちろん、それは裏返せば「何ででもある」。一言でいえば、「情報化社会」とは空虚な記号(シニフィアンゼロ)=ゼロ記号なのだ!
【「情報化社会」の歩き方】p81
①身近で具体的な技術をあつかうこと
②社会的な文脈に目を -
Posted by ブクログ
96年に出版されたIT論/情報化社会論の書籍を、2010年に最新の話題を組み込みつつ出版される-この事実が何よりも本書の特徴を物語っている。それは著者が主張していた事がWindows95からスマートフォンの時代になろうとも、全くブレがなかったということだ。
本書の主張はこうだ。
「ITや技術が社会を変えると言うが、それは半世紀も前からずっと言われてきた言葉だ。
情報化社会という理想も近代社会から必然的に生まれてくる夢であり、幻想なのである」と。
これだけをとると、悲観的な主張に見えるかもしれない。しかし、著者が主張したいのは、技術を語る以前に僕らの社会に目を向けるべきだという警句である。