小説 - 講談社作品一覧

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  • 語り屋カタリの推理講戯
    3.6
    「君に謎の解き方を教えよう」少女ノゾムが、難病の治療法を見つけるために参加したデスゲーム。条件はひとつ、謎を解いて生き残ること。奇妙な青年カタリは、彼女に"Who"Where"How"などにまつわる、事件を推理するためのレクチャーを始める……!広大な半球密室、水に満たされた立方体、ひしめく監視カメラ、燃え上がる死体。生き残るには、ここで考えるしかない――。
  • 葛藤
    3.0
    愛して、恨んで、それが人。 生まれたばかりの我が子を誘拐され、失意を拭えぬまま夫婦だけの生活を続けてきた三好紗英は、16年後ある女子高生と出会う。少女は誘拐された自分の娘なのではないか? しかし、たとえ我が子だったとしても、今さら名乗り出ては少女を混乱させ心に傷を負わせてしまうかもしれない。 少女の幸せと、喪失を抱え生きてきた自分の希望を天秤にかけ、紗英がとった行動は……。
  • 闊歩する漱石
    3.5
    夏目漱石の『坊っちゃん』は、あだ名づくしで書かれた反・近代小説。『三四郎』は、都市小説のさきがけ。そして『吾輩は猫である』は、価値の逆転、浪費と型やぶりによる言葉のカーニバルーー。漱石の初期3作をモダニズム文学としてとらえ、鑑賞し、分析し、絶賛する。東西の古典を縦横無尽に引いて、斬新明快に語る、最も自由な画期的な漱石論。漱石の楽しさを語ろう!
  • 勝つ極意 生きる極意
    -
    絶対不敗の勇者はいかにしてつくられたか? 趣味尽きない歴史人物エッセイ。人生ここ一番の勝負で勝った男たち――絶対不敗の人間は、いかにしてつくられたか……。宮本武蔵、大石内蔵助、徳川吉宗、山岡鉄舟など、史上稀なる剣客、名将、大器量人の、厳しい自己鍛練。剣の奥義が処世の指針となる道理と、「勇」に尽きる必勝法。剣の実践者の著者にして初めて可能な、合理的で躍動感にみちた語り口の、興趣つきない歴史エッセイ集。
  • 勝つために何をすべきか 新日鉄釜石の「やる気」ラグビー
    -
    常勝集団・新日鉄釜石の、勝利を生み出す知略と統率。ラグビーでは、人間を中心に考えるということが大事である。選手の自発的な気持ち、ゲームや練習に自分から進んで立ち向かう「やる気」が、重要なのである。もっとも人間くさく、男くさいスポーツであるラグビーで、勝ち続けてきた組織の、哲学と実践の記録。
  • 花伝書(風姿花伝)
    4.1
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 わが国の古典中、もっとも異色である作品で、申楽者・観阿弥が、その実力を養い発揮する方法を、人間の本性を会得した立場で考究した、稀有の体系的芸術論である。その洞察は、また人間論としても、現代に生きている。校注は、世阿弥研究の第一人者・川瀬一馬博士。平易な現代語訳の決定版。
  • 家電の神様
    3.7
    街の電器屋さんvs.大手家電量販店の戦い!大手家電メーカーで働く轟雷太は長引くデフレの影響で入社三年目にして突如リストラされてしまう。転職活動を諦めた彼は実家の母が経営する店を継ぐ決意をする。そこは昔ながらの地域密着型の「街の電器屋さん」。だがそこも近所の大手家電量販店に客を奪われ、経営は風前の灯火だった!<文庫書き下ろし>
  • 叶うならば殺してほしい ハイイロノツバサ
    3.9
    1巻2,717円 (税込)
    深夜、吉祥寺で発生した住宅火災。死者3名、重傷者1名。死者のうち1名は片手錠をかけられた女性だった。唯一の生存者でその家に住む17歳の少年・仁科徹は当初完全黙秘。  現場の様子から警察は、男4人による女子高生集団監禁事件と判断し、捜査を開始する。  ほどなく死者3名の身元は判明し、2週間にわたって被害女性に加えられた凄惨な虐待も明らかになるが、瀕死の重傷者は身元不明のまま。  警視庁捜査一課管理官の箱﨑ひかりは、突然供述をはじめた仁科がかけがえのない何かを守るために虚偽を述べていると感じ、被疑者、被害者それぞれの背景を調べ始める。 元警察官僚・古野まほろが描く、胸を穿つ警察ミステリ。
  • 金沢発特急「北陸」殺人連鎖
    -
    走行中に2つの殺人……最もあやしい人物は、列車の起点と終点にいた! ――寝台特急「北陸」の車内で男が毒殺され、同じ車中で、女がナイフで胸を刺され殺された。それぞれの犯行時刻に、第1の事件の容疑者は起点の金沢に、第2の事件の容疑者は終点の東京にいた。ニヒルな調査員、おなじみの鏑木(かぶらぎ)一行が、女を抱きながら事件を見事解決する、ハードボイルドなトラベル・ミステリー。
  • 悲しいだけ 欣求浄土
    4.7
    緊張した透明度の高い硬質な文体。鋭角的に切り抉られた精神の軌跡。人間の底深い生の根源を鋭く問い続ける藤枝静男の名篇「欣求浄土」「一家団欒」を含む『欣求浄土』、藤枝文学の極北と称賛された感動の名作、野間文芸賞受賞の『悲しいだけ』を併録。
  • 愛しき哉
    5.0
    恋に破れた長女、姉の許婚者にひそかな想いを寄せる次女、陰影の濃い男性にプロポーズされた三女、そろって青春の岐路に立った可愛い三人娘に、父親はとまどう。不憫な思いをさせたくない親心とは裏はらに、嫉妬、背信に苦しむ母を知らない娘たち。それを優しく抱く父の心を、あますところなく描いた傑作長編。
  • 哀しき父 椎の若葉
    4.0
    「生活の破産、人間の破産、そこから僕の芸術生活が始まる」と記した葛西善蔵は、大正末期から昭和初年へかけての純文学の象徴であった。文学の為にはすべてを犠牲にする特異無類の生活態度で、哀愁と飄逸を漂わせた凄絶苛烈な作品を描いた。処女作「哀しき父」、出世作「子をつれて」、絶筆「忌明」のほか「馬糞石」「蠢く者」「湖畔手記」など代表作15篇。
  • 哀しみの女
    -
    1巻550円 (税込)
    エゴン・シーレの作品「哀しみの女」という作品が、わたしの心を捉えて離さない。わたしは、五つ年下のイラストレーター、章司と同棲している。ずっと昔、板倉さんという雑誌記者に銀座のクラブを紹介してもらい、上京して出会ったのが章司だった。章司は板倉さんの伝手で挿画を描かせてもらい、他社からも声が掛かるようになった。が、章司の心がわたしから離れていく。シーレのモデルで愛人だったヴァリーの人生と重なるように。
  • 哀しみの北廃止線
    4.0
    幸福駅の災厄に十津川が名推理!! 奇妙な頼みを果たして訪ねた依頼人の部屋には、血が飛び散りかつての仲間十津川警部がいた! ――幸福駅の切符がもたらす災厄を、十津川警部が推理。探偵事務所を開いた元警官に舞い込んだ奇妙な依頼は、廃線となった北海道・幸福駅の切符を買い、駅に絵馬を掛けることだった。約束を果たし訪ねた依頼人の部屋には血痕が飛び散り、かつての仲間・十津川警部たちが居た。4つの難事件に十津川が挑む、傑作短編集。
  • カナスピカ
    3.6
    少女は“地上に落ちてきた星”に恋をした――。そのとき中学生の加奈は空を見上げていた。はるか上空から落下した球体は目の前でみるみる少年に姿を変えた。異星人の地球観測衛星、それって!? 少年をかくまった加奈は、当然のごとくあやしい連中に追われる身に! ライトノベル界の雄が描くピュアな青春小説! (講談社文庫)
  • 彼方の水音
    -
    真昼のしらじらとした明るさの中にこそ闇を見つめる孤高な眼。平穏な日常の中にこそ死の気配を嗅ぎとる存在の痛み。狂暴な破壊への意志を内に秘め生きる女の虚無……。鋭利な感覚で人間存在の毒と、清冽な〈彼方〉への憧れを描き、特異な文学空間を創り上げた著者の処女作品集。「相似形」「囚われ」「渺芒」など5篇を収録。
  • カナダ金貨の謎
    3.9
    殺害現場から消えた一枚のメイプルリーフ金貨が臨床犯罪学者・火村英生を真相に導く。 倒叙形式の表題作「カナダ金貨の謎」ほか、火村とアリスの出会いを描いた「あるトリックの蹉跌」、 思考実験【トロッコ問題】を下敷きにした「トロッコの行方」など趣向を凝らした五編を収録。 〈国名シリーズ〉第10弾。
  • カナリアが囁く街 警察庁が震撼した七日間
    -
    バブル経済が崩壊し国内が混乱すると予言した、極秘のレポートが作成された。それを受け取った内閣情報調査室は、治安強化を求める世論の喚起を目的に、ある組織を使って、各地でテロ事件を頻発させる。それを阻止するため、一人の捜査官が首相官邸に呼ばれ、動き始めた……。危機迫る、情報サスペンス小説。警視庁が震撼した7日間。首相の特命で、極秘捜査官が凶悪テロに挑む!
  • 花の下にて春死なむ 香菜里屋シリーズ1〈新装版〉
    3.9
    1~4巻715~792円 (税込)
    人生に必要なのは、 とびっきりの料理とビール、 それから、ひとつまみの謎。 三軒茶屋の路地裏にたたずむ、ビアバー「香菜里屋」。 この店には今夜も、大切な思いを胸に秘めた人々が訪れる――。 優しく、ほろ苦い。 短編の名手が紡ぐ、連作ミステリー。 不朽の名シリーズ第1弾! 第52回日本推理作家協会賞 短編および連作短編集部門受賞作 解説 瀧井朝世 春先のまだ寒い夜。ひとり息を引き取った、俳人・片岡草魚。 俳句仲間でフリーライターの飯島七緒は、孤独な老人の秘密を解き明かすべく、 彼の故郷を訪れ――(表題作)。 バー「香菜里屋」のマスター工藤が、客が持ち込む謎を解く連作短編ミステリー。
  • 香菜里屋シリーズ全4冊合本版
    -
    ビアバー《香菜里屋》に来た客から持ちかけられた謎に、マスター・工藤哲也が探偵役として挑む連作短編。『花の下にて春死なむ』『桜宵』『螢坂』『香菜里屋を知っていますか』の4作品を収録した合本版。
  • 蟹の町
    -
    処女作「雪洞にて」は、山岳カメラマンが朝の光で樹氷を撮ろうと雪の斜面に掘った穴に潜む短い時間の心理と回想を、瑞々しく綴った秀作。「蟹の町」は、詩性にあふれた筆致が不思議な町を浮かび上がらせる快作。他の2篇も、暖かい人々の情景を描かせれば日本一と注目を集める作家の、みごとな出発点となる小説だ。詩的感性あふれる鮮烈なデビュー作。内海文学の原点がここにある!
  • 鐘

    3.6
    諸行無常の理(ことわり)を表わすという鐘の音。浅見家代々の菩提寺、聖林寺の梵鐘から血が滴るという怪事件があってまもなく、顔にその鐘の模様痕をつけた男の変死体が隅田川に浮かんだ。四国高松、越中高岡と、被害者の美しい妹とともに鐘の謎を追いかける浅見光彦の旅が始まる。(講談社文庫)
  • 金を払うから素手で殴らせてくれないか?
    3.9
    1巻1,562円 (税込)
    「おい鈴木、米原正和を捜しに行くぞ」とその米原正和が言った──。失踪した米原正和の行方を、当の米原とともに追う鈴木。会社を休んで、米原の自宅、立ち寄り先を米原をともに捜す。果たして、米原は見つかるのか?
  • 加納大尉夫人
    -
    大阪で指折りのメリヤス問屋の末娘に生まれた安代は、卒直な明るさを持つ娘であった。安代が女学校を卒業した年に、戦争が始まった。ある日、母に見せられた1枚の写真、それが海軍中尉・加納敬作であった。敬作のりりしさにあこがれた安代は、彼の妻になった。少女時代の延長のような稚なさの安代が、帝国軍人の妻らしくなりたいと努力し、緊張するほど、無邪気な失敗がくり返された。そんな妻を、敬作はいとしく思った。戦いは次第に苛烈さを加え、敬作の出征中に、安代は男の子を生んだ。そして半年の後に、敬作の戦死が伝えられた……。ほかに「猫」「山」「二人の女」を収録。
  • かの子撩乱その後
    3.0
    またとない理解者一平を夫に得、才能豊かな太郎を子として産み、恒松安夫や新田亀三を崇拝者として同居させながら、かの子はいつでも孤独感にさいなまれていた。人並外れた激情の作家を支え、大輪の花と咲かせた家族と恋人たちを鮮やかに描く、伝記的小説とエッセイ集。不滅の名作『かの子撩乱』の姉妹編。
  • 彼女たちのいる風景
    3.8
    1巻1,881円 (税込)
    私たち、38歳。全てが順風満帆にすすんでいる、はずだった。 出産によって「マミートラック」に追いやられてしまった凛。 シングルマザーとして、発達障害の子供を抱え貧困から抜け出せずにいる響子。 週刊誌のサブデスクまで上り詰めがらも、不妊治療がうまくいかない美華。 月一回のランチ会で愚痴をこぼすことでストレスを解消していた私たち。 いつの間にか「本当の悩み」は避けるようになっていた―。 相手を見下すことでしか自分の人生を肯定できない「私」は心が汚れているのだろうか。 「女」、「妻」、「母」。 役割を背負わされ、反発しながらも生き抜く、三者三様の戦い。
  • 彼女の夫たち(上)
    -
    書道家として、はなやかに生きる長女・和美、人妻の座に安住して11年、夫婦間の沈滞に悩む次女・伸子、愛し合って結ばれた夫に浮気をされて呆然とする三女・節子、独身のOLで、中年の愛人との不安定な愛に揺れる四女・竜子。美しい4人姉妹が、それぞれの宿命と愛憎とに翻弄されてゆく姿を、みずみずしく描く、長篇ロマン。<上下巻>
  • 彼女の部屋
    3.2
    ささやかなハプニング、仄(ほの)かな心のざわめき。何度か顔を合わせた程度の女友達から強引に部屋に誘われた恭子。しょうがなく訪れた彼女のマンションで見たものは……。表題作ほか「ハローウィーン」「アメリカを連れて」など6作品を収録。何気ない日常を淡々と描きながら、気にも留めずにやり過ごしている“心のざわめき”を繊細に浮かび上がらせる掌編集。(講談社文庫)
  • 彼女の夕暮れの街
    -
    由美子は旅行代理店に勤めるOL。美しく賢い29歳。何かもの足りなさは感じていて、誘いもいろいろあるのだけれど、何となく気がすすまない。ある日、ふと寄った酒場で、柳川という顎の長い編集者に出会って……。一女性の心の移りかわりと戸惑いーー男性との出会い、恋心を抱き、育てていく過程を、見事に描いた連作短編集。表題作を含め14作収録。一歩ずつ恋を育てて大人になっていく、彼女の恋の行方は……。
  • 彼女はたぶん魔法を使う
    3.0
    刑事をやめて、ルポライターと探偵業をこなす柚木草平。ある雨の日に、彼のもとに不思議な事件が持ち込まれた。謎の糸をたぐり寄せるたびに、出逢うのはいろんなタイプの美女、美女、美女。殺人事件の謎ときから、掃除、洗濯、料理をこなし、おまけに『いい女』にも強い柚木がさり気なく活躍する人気シリーズ。
  • 河馬に噛まれる
    4.0
    ウガンダで河馬に噛まれたことから、「河馬の勇士」と呼ばれる元革命党派の若者。彼と作家である「僕」との交流をたどることで、暴力にみちた時代を描く。若者に希望はあるのか。浅間山荘銃撃戦とリンチ殺人という、戦後日本の精神史に深い傷を残した悲痛で惨たらしい事件を、文学の仕事として受けとめた連作集。
  • 屍の園 桜井京介episode0
    3.2
    全寮制の男子校・聖マカーリィ学院に通う饗庭怜は、三月のある日、学院の鐘楼から墜落した。墜落の後遺症で記憶が曖昧な怜は、自分が鐘楼に行った理由、墜落した経緯を探ろうとする。彼の周りで次々と起こる異変。誰もが疑わしい中、怜のまえに現れたのは、あまりにも美しい少年だった。事件の真相を鮮やかに解き明かす桜井京介、少年の日の物語!
  • 鞄の中身
    4.3
    自分の死体を鞄に詰めて持ち歩く男の話。びっしりついた茄子の実を、悉く穴に埋めてしまう女の話。得体の知れぬものを体の中に住みつかせた哀しく無気味な登場人物たち。その日常にひそむ不安・倦怠・死……「百メートルの樹木」「三人の警官」ほか初刊7篇を含め純度を高めて再編成する『鞄の中身』短篇19。読売文学賞受賞。
  • 花氷
    2.0
    不動産ブローカーの粕谷は、元愛人の登代子と銀行員坂本の仲に目をつけ詭計で支店長黒川を脅迫する。粕谷が狙う一攫千金の野望は国有地の払下げである。資金のメドのついた彼は、臆面もなく政界実力派の代議士に接近……。腐敗する政界裏面と、飽くことのない欲望に奔走する男の黒い構図を描く異色作。
  • 黴 爛
    3.7
    明治四四年、夏目漱石の推挙で「東京朝日新聞」に連載し、自身の結婚生活や師・尾崎紅葉との関係等を徹底した現実主義で描き、自然主義文学を確立、同時に第一級の私小説としても傑作と謳われる「黴」。翌々年発表の「爛」では、元遊女の愛と運命を純粋客観の目で辿り、文名を確立する。川端康成に「日本の小説は源氏にはじまって西鶴に飛び、西鶴から秋声に飛ぶ」と言わしめた秋声の、真骨頂二篇。
  • 甲比丹
    4.0
    三方を海に囲まれた、外国人特別居留地・長崎出島。商館長(カピタン)ヘンミーのもとにおくられた遊女照葉(てりは)は蘭学者の娘。オランダ語を解するがゆえに、幕府と薩摩藩との暗闘に翻弄されるのだった。 都会の恋人たちを描いて定評のある著者が、父の勧めにより壮大なスケールで挑んだ唯一の大河時代小説。惜しまれる未完の大作で絶筆!
  • カフェ・オリエンタル
    3.0
    南国の大都会・シンガポールで、日夜繰り広げられる、男と女の危険なゲーム。じっとりと湿気を含んだ、けだるい大気にからめとられるようにして、過ぎていく退廃の日々のなかで、禁断の店「カフェ・オリエンタル」へ安樹子(あきこ)を向かわせたものは、何だったのか? そして、そこで安樹子は、ゲームの結末を見たのだろうか?
  • 歌舞伎剣法
    -
    15歳の美少年・山三郎は、蒲生氏郷に召し抱えられたが……という表題作はじめ、五味康祐、柴田錬三郎とともに、剣豪小説を支えてきた著者による傑作8編。
  • 歌舞伎町の終活屋 伝説のホストが人生をお見送り
    -
    1巻1,881円 (税込)
    歌舞伎町にある「エスペシア」。そのドアを叩くのはホスト目当ての客ではなく、「心残りのない最期」を願う人々だ。夜の街で伝説となった水無月優斗と先輩である真嶋翔のコンビが依頼人に届けるのは、サプライズに満ちたお見送り! 一話 不謹慎な終活屋 二話 父と息子のペアリング 三話 あくまでも魔法的 四話 シュレディンガーのブラックボックス 五話 幽霊は消えない 六話 チャラい終活屋
  • カプチーノ・コースト
    3.5
    1巻1,562円 (税込)
    しんどいときほど、周りに頼れない。 早柚(さゆ)は、会社を休職中の26歳。 ふとしたことから、地元の海岸のゴミ拾いを始めた。 自分を見つめ直す、ひと月の物語。
  • 壁の鹿
    3.7
    壁に飾られた鹿の声が聞こえたとき、孤独な魂に革命が起こる。女子校の寄宿舎に暮らす少女結婚詐欺師二股の恋愛に悩む女性剥製職人彼ら、彼女らの心の解放を!あの孤高のミュージシャン「黒木渚」 初の小説刊行!
  • 壁を破る 【小田実全集】 世界のなかの体験と思想
    -
    本書は1962年から64年にかけて著者が、日本と世界とが積極的に結びつき、その上で日本独自の立場を築き上げようと志して書いた国際関係論だ。かつてのフルブライト留学生たちを訪ね歩くことで、自分にとって、また私たちにとって、アメリカとは何か、日本とは何かを考えた。作者は、日本が「アメリカのつくったもう一つの日本」であることを欲しない。日本は、かつて自分たちが侵略したアジア・アフリカを避けて通ることは出来ないことを、初めての韓国訪問の中で考えた。
  • 神在月のこども
    4.0
    自然も人も神様も きっと昔は繋がっていたんだ。 2021年秋、アニメーション映画公開! ☆☆☆ 母を亡くした少女・カンナのもとに訪れた、神の使いを名乗るうさぎ。 曰く母は韋駄天という神様だったそうだ。 日本全国の“馳走”を集めて届けるという使命を受けて、 カンナは走って出雲を目指すことに。 追いすがる鬼の子孫・夜叉とともに、森、街、山、海と神々の美しい座所をめぐる。 縁が日本を一つにつなぐ、原風景の物語。
  • 神々の岩壁
    -
    南は、ハーケンを打つ右手に、異常を感じた。手ごたえが甘い。垂直300メートルに屹立する衝立岩にとりついて3日目、最後の一滴の水もつきていた。バランスを失って、危うく墜落しそうになる。もはや彼の心には、岩に対する憎しみだけがあった。登攀不可能といわれる衝立岩は、神々の手に守られて、人間を拒んでいるかに思える。それでも、南は危険な垂直の前進をやめようとしない! 少年の日、登山家を夢見ていらい、ヒマラヤを志して精進を続けた、天才的クライマーが、魔の谷川岳、衝立岩に挑む姿をえがいた実録小説「神々の岩壁」はじめ山岳小説4篇。
  • 神々の午睡(上)
    4.5
    1~2巻550円 (税込)
    はまったら抜けられない? 清水&宗教の世界! “開祖たち”は、詐欺師、怒りっぽい族長、世間知らずのおぼっちゃまだった? 小説より奇なる事実よりさらに奇なるもの“宗教”をテーマに、パスティーシュの天才が築きあげた大スペクタクル。世界に誇る3大宗教(アルカマ教、サライ教、ジブ教)はいかにして生まれたか。開祖が現われ、教典が編まれ、正統と異端が生まれる。嵌まったら抜けられない清水ワールド。(講談社文庫)
  • 神々のプロムナード
    3.0
    もうおまえとは暮らせなくなった――日曜日の夕方、テレビも点けたままの状態で姿を消した松岡邦夫。妻の深雪に相談された友人の村上史郎は、邦夫を捜し始めた。すると続発する不可解な失踪劇との関連性がちらつく。その陰にはある新興宗教組織の存在が……。世界を混沌の淵へとみちびくミステリー大作。(講談社文庫)
  • 神様ドライブ
    4.1
    1巻1,562円 (税込)
    就職活動がうまくいかない休学中の大学生・みつるは、亡き父親そっくりの男・紡に声をかけられ、全国の神社を巡る旅に出る。途中で出逢った看護師ほのかも加わり、旅はいよいよ賑やかに。旅を続けるうち、紡が神社を巡るとした驚くべき理由を聞かされる。神社は全国に8万以上あり、コンビニより多い。全国の神社は何のために、どんな神を祀っているのか? お参りの仕方から鳥居の由来まで、神社のことが好きになります。
  • 神様 2011
    4.0
    1巻1,045円 (税込)
    くまにさそわれて散歩に出る。「あのこと」以来、初めて――。 1993年に書かれたデビュー作「神様」が、2011年の福島原発事故を受け、新たに生まれ変わった――。「群像」発表時より注目を集める話題の書! 2011年。わたしはあらためて、「神様2011」を書きました。原子力利用にともなう危険を警告する、という大上段にかまえた姿勢で書いたのでは、まったくありません。それよりもむしろ、日常は続いてゆく、けれどその日常は何かのことで大きく変化してしまう可能性をもつものだ、という大きな驚きの気持ちをこめて書きました。――<「あとがき」より>
  • 神様の贈り物
    4.1
    無表情で無反応。全てに無関心な殺し屋チャンスは、バスジャック事件に遭遇し一躍ヒーローになった。だが、恩人に頭を撃ち抜かれ、死の淵から奇跡的に甦った彼の目に映る世界は、劇的に変化していた。「水は美味しく花は美しい」。脳の障害を取り除かれ「心」を手に入れたチャンスは自分の過去と対峙していく。
  • 神様の思惑
    4.0
    「僕を殺してくれる?」 あのとき、そう願った少年。 二十年ぶりの邂逅によって、謎は解き明かされる。 隠された愛が涙を誘うミステリ集! 美しい伏線、感涙のミステリ。 『神様の思惑』は、令和になって奇跡的に発掘されたタイムカプセル ――解説(ミステリ評論家・大森滋樹)より 技巧ミステリの名手による、深い家族愛をめぐる五つの物語。 遊園地で休憩中の若い父親は、清掃員の男性に頼まれ、迷子の親捜しをする。 そこで、清掃員がかつて近所の公園で寝泊まりしていた「カミさん」だったことに気づく。 彼は少年時代、「カミさん」に自分を『殺してくれ』と頼んだことを思い出す(表題作「神様の思惑」)。 隠された愛が涙を誘うミステリ短編集(『家族パズル』改題)。
  • 神様のスイッチ
    3.0
    この街に降り積もる小さな偶然を、僕たちは奇跡と呼ぶんだ。ドラマ化『今からあなたを脅迫します』の新鋭が描く、一晩の奇跡の物語。同棲相手との未来に迷うフリーター、街を警らする女性警察官、恋に悩む大学生小説家に、駆け出しやくざや、八方美人の会社員。父娘の隔絶から麻薬強奪事件まで、この街は事件で満ちている!すれ違う彼らが起こす些細な波紋と、生じる驚きのドミノ倒し。気がつかないだけで、誰もが物語の主人公だ。
  • 神様の短剣
    -
    1巻1,463円 (税込)
    納屋で生まれた少年に「おめでとう」と声をかけたのは、翼の生えた少女だった。一人目の天使は、ドーム型都市ミルバの中央、セントラルタワーで数々のコードに繋がれ生きていた。「閉じている門を開けてくれれば――僕は君を殺さない」夜中、少年は毛布を抜け出した。右手に剣、左手に西洋人形を持ち、天使が眠るフロアを目指す――。第一章から極限を迎えた物語は、読み進むにつれさらに加速する!
  • カミさんと私
    -
    結婚して25年の雄三夫婦。カミさんは男8人女3人の11人兄弟姉妹の7番目で、実家にいるときは7番さんと呼ばれていた。銀行員をしながら作家をしていた著者の、ユーモアあふれるサラリーマンもの・夫婦ものの物語。
  • 神なるオオカミ 上
    4.3
    1~2巻1,705円 (税込)
    文化大革命時代、北京の知識青年・陳陣(チェンジェン)は内モンゴルのオロン草原に下放され、現地の古老・ビリグのもとで羊飼いをはじめた。天の教えを守り、草原とともに生きる遊牧民の暮らしに魅せられていく陳陣。やがて、かれの興味は、遊牧民の最大の敵でありながら、かれらの崇拝の対象であるオオカミへと向かう。オオカミにのめりこんでゆく陳陣は、自らの手でオオカミの子を捕らえ、飼うことを夢見るのだが……。
  • 紙の碑に泪を 上小野田警部の退屈な事件
    3.0
    多方面で活躍する才人・西木遵が東京・八王子で殺害された。そのとき犯人は、遠く離れた渋谷のホールでクラシックのコンサートを聴いていた……!? 一方、捜査にあたる上小野田警部はアメリカ南部を舞台とした奇怪なミステリーを読みながら、とある場所で犯人の到着を待っている。 警部はテッパンのアリバイを崩せるのか!? 鬼才・倉阪がまたしても仕掛けた、驚天動地のトリック! (講談社ノベルス)
  • 神の一球
    -
    高校入学直前、野球嫌いの繭村剣の前に「野球の神様」と称する老人が現れる。老人は誰にも打てない「神の一球」を繭村に授け、この球で天才スラッガー・佐野慶司を3年間抑え込めと命令する。仕方なく野球部に入った繭村だが、そこにいたのは、一癖も二癖もある部員ばかりで、デコボコもいいところ……。
  • 神の島のこどもたち
    4.5
    奇跡のように美しい南の島 そこには、もうひとつの戦争があった―― 空をゆく特攻機の下、激しい空襲にさらされ、 戦争の最前線となった沖永良部島。 それでもわたしたちは生きる、この小さな島で。 青い空を沖縄に向かって飛ぶ特攻機、天国のように美しい海には死んだ兵隊さんが浮かぶ。第二次大戦末期、小さな島沖永良部に暮らすマチジョーとカミは、大切な家族を失い、食料にも不自由する日々を過ごしていた。それでも唄い、恋をし、ひたむきに働き、生き抜く。南の島に刻まれた知られざる戦争の物語。
  • 紙の城
    3.5
    新聞、本当になくなってもいいですか? 躍進著しいIT企業インアクティブによる、東洋新聞買収宣告。マスコミの寵児となった会長の驫木は、世論を味方に、役員会を切り崩しにかかる。“ウェブファースト“を掲げ、新聞の価値を根底から揺ぶる彼らが、本当に買おうとしているものは何か? 社会部デスク安芸と部下たちの、記者魂を賭けた死闘が始まる。 『傍流の記者』で直木賞候補となった著者だから描けた、メディアの裏側の熱き攻防! 情報化社会? 何を言ってやがんだ。本当の情報は クリックすれば出てくるもんじゃないんだ。 本城の作品には、「情報」というものの深みを教えられる。 本作は「新聞社は生き残れるか」を人間ドラマに広げた秀作だ。                       ――佐高 信 「朝日新聞」「産経新聞」「日経ビジネスオンライン」「サンデー毎日」「週刊朝日」「アサヒ芸能」「J-novel」ほか新聞25紙で紹介された話題沸騰の話題作!!
  • 神の時空 鎌倉の地龍
    3.4
    1~9巻660~792円 (税込)
    由比ヶ浜で、意識不明の重体で発見された女子高生・辻曲摩季の姿が病院から消失。直後の地震で、鶴岡八幡宮の鳥居が倒壊し、さらに、源氏ゆかりの地・修善寺でも異変が発生。尋常ならざる者の影を感じた摩季の兄姉と友人の陽一は、鎌倉の殺戮史を調べはじめる。果たして、事件と怨霊の関係は? 新シリーズ開幕!
  • 紙の眼
    -
    通り魔事件にざわめく街に増殖する、眼が描かれた貼り紙――主人公の「彼」は、ある朝、勤務先の入り口脇に眼が描かれた貼り紙を見つける。その奇妙な紙は、しだいに街中に増殖していく。一方で、「彼」は日常生活を盗撮された写真を誰かから送りつけられるようになる。連続して起こる通り魔事件と、「彼」を苦しめる盗撮写真や貼り紙に描かれた眼とは関係が?――都市生活者の不安を捉えた表題作ほか、書下ろし短編5編を収録。
  • 髪の環
    -
    切られた髪、竹の花、熟れすぎた果実。絶妙の小道具たちが、男女の陰影深い感情の震えに、鮮かな輪郭を与え、そのとき、みずみずしい生命感をたたえた日常の中に、ふと非日常と幽冥の露頭が現出する。異空間へ踏み出そうとする情念の快い緊張、不安、期待……。強い美意識に貫かれた、珠玉の9短篇。毎日出版文化賞受賞。
  • 神村企画 The Making of the Next Kamimura
    2.0
    30歳目前の売れない俳優に、突然大役の話が持ちかけられた! それは日常でベストセラー作家“本多レオ”を演じるというもの。戸惑いながらも成功してみんなを見返したいという思いから、その得体の知れない話を引き受けてしまう。ゴーストライターの書く小説は次々と大ヒットとなり、本多レオは一躍有名に! 富と名声を得たが、気がつけば本当の自分の人生はどこにもなくなっていた。次第にエスカレートするプロジェクトはノーベル賞を前にあらぬ方向へ……。
  • 神宿る手
    4.0
    伝説のピアニスト、バローは生きていたのか?四十余年ぶりの新録音がCD化され、話題を呼んだ。奇跡の楽壇復帰を仕掛けたのは、スイス在住の島村夕子であった。しかし、ベストセラーを続けるCDに疑惑の影が。美に憑かれた女のゆくところ、謎また謎。最終章に衝撃的ラストが待ちかまえる音楽ミステリーの一大傑作。
  • ニーベルンクの城
    -
    大ピアニストから聖なる槍を預かった島村夕子。この「ロンギヌスの槍」はかつて、ヒトラーの手にも渡ったことがあり、権力者たちが愛してやまない代物なのだ。これを取り返し、ナチスの復興を企てる人物が動き出した……。槍が夕子の手元にあることを突き止め、恐ろしい刺客を放ったのだ! 長編音楽ミステリー。
  • 花面祭 MASQUERADE
    3.0
    昭和22年、みずから作り出した花にとり憑かれ、密室で変死した鬼才、塘松(とうしょう)流先代家元・芦田挿花。その生まれ変わりを信じる次期家元・藍草が刺され、第2、第3の殺人が……。40年の時をつなぎ塘松流を襲った惨劇の謎は、挿花が日記に遺した輪廻転生の花=「しきの花」にあるのか? 奇想天外なトリックに挑む本格ミステリ。花が人を殺す!?
  • 仮面と衣装
    -
    港湾の小都市・南浦市のパチンコ屋の娘・戸田松子が堕胎し、そして縊死した。日日新聞の支局付記者・番匠谷人志は、松子の死を疑い、調べてゆくうち、ヤクザの大里組と葦原組との争いの中に巻きこまれていった。何かを画策している大里組の小湊正美、しばしば番匠谷の危難を求う傷病軍人・城励太郎、妖艶な芸者・つた代、女給・ミリー。サスペンス溢れるスリラー長編。
  • 仮面の改革派・渡辺喜美
    値引きあり
    3.0
    1巻632円 (税込)
    政策秘書が間近で見た、渡辺喜美の迷走と、みんなの党分裂の一部始終。「政策の党」はなぜ、かくも無残に崩壊したのか?
  • 仮面の君に告ぐ
    4.0
    目を覚ませば、身体は別人。 しかも“私”は一年前に殺されていた?! 犯人への復讐に燃える恋人を前に、果たして何ができるのか。 ――映画化された「ルパンの娘」シリーズが話題の横関大、読後に胸がざわつくミステリー! 涌井和沙は、目を覚ますと病院のベッドにいた。 戸惑っているうちに、「モリさん、目覚めたんですね」と看護師から声がかかる。 沸き起こる違和感に鏡をのぞいた和沙は驚愕する。映っていたのは赤の他人だったのだ。 身体だけが別人になってしまったことにパニックになるなか、 追い打ちをかけるように新たな事実が判明する。 涌井和沙は一年前、何者かに殺害されたというのだ!  衝撃のラストに思わず震える再読必至のミステリー!
  • 仮面の火祭り
    値引きあり
    -
    アル中気味の私立探偵・布施稔・47歳。生まれたばかりの子供ほ実の子ではなくすりかえられた、妻の浮気相手を捜してほしいと、ある日、妙な依頼人が現われた。調査を進めるうちに、人間関係は意外な方向へ展開し、やがて殺人事件が起こる……。はぐれ者の探偵が見た人生の一断面を、ミステリー・タッチで描く長編ロマン。私立探偵が暴いた意外な事実とは?
  • 鴨川ランナー
    4.0
    日本という異国に住まいながら、日本人と外国人の間をさまよう人々を巧みな心理描写と独特の文体で描いた短篇2本。 「鴨川ランナー」第二回京都文学賞受賞作。選考委員の満場一致で選出された。日本から京都に仕事に来た西洋人の日常や周囲の扱い方に対する違和感を、「君」という二人称を用いた独特の文章で内省的に描く。 「異音」・・・福井の英会話教室を突如やめる羽目になった外国人の主人公は同僚の紹介で結婚式の神父役のバイトを始める。
  • 茅原家の兄妹
    3.6
    1巻1,672円 (税込)
    交流が途絶えていた旧友の茅原恭仁から突然の招待を受け、私は資産家だった茅原家が山間の別荘地に所有している広大な屋敷を訪ねる。そこでは恭仁が妹の睦美と暮らしていたが、かつて快活で高慢ですらあった睦美は、屋敷に出るという幽霊に怯え、別人のように生気を失っていた。恭仁が私を呼んだ目的とは何か? そして恭仁が夜な夜な屋敷で行っているという「研究」とは何なのか? 物語の様相が一変するラストまで一気読み必至!
  • 空打ちブルース
    3.4
    1巻1,155円 (税込)
    「四流高校生」と自嘲する16歳の少年ケージュンは、自分にはしょせん明るい未来も夢もない、と自分の運命を淡々と受け入れているのだが……。シンジさんは、たばこを重ねて二個持ち、スッとレジを通した。<たばこ・410円> おれはびっくりした。シンジさんはペットボトルも二本同時にレジを通した。二本なのに一本分。一本は打っていないことになる。第51回 講談社児童文学新人賞受賞作品
  • からくり人形は五度笑う
    3.0
    人形の村で次々起こる怪事件を巡る本格推理――人形の村・沙華姿。そこで27年前、婚礼の夜に新妻が殺された。雪に囲まれた死体の側には、凶器も足跡もなかった。数ヵ月以内に新郎も殺され、双子の弟も焼死として処理された。同じ頃、この村で行方不明になった父を探して訪れた、作家・依井直之。昔の事件の謎を探るうちに、彼にも魔の手が迫る! 新本格推理。人形村の秘密とは何か? 謎の探偵・一尺屋遙が怪事件に挑む!
  • 「カラスの親指」シリーズ 合本版
    -
    人生に敗れ、詐欺を生業として生きる中年二人組。ある日、彼らの生活に一人の少女が舞い込む。やがて同居人は増え、5人と1匹に。「他人同士」の奇妙な生活が始まったが、残酷な過去は彼らを離さない。各々の人生を懸け、彼らが企てた大計画とは? 息もつかせぬ驚愕の逆転劇、そして感動の結末。道尾秀介の真骨頂がここに! 最初の直木賞ノミネート作品、第62回日本推理作家協会賞受賞作品。(『カラスの親指』) 「久々に、派手なペテン仕掛けるぞ」 詐欺師から足を洗い、実演販売士として生きる道を選んだ武沢竹夫に、訳ありの中学生・キョウからとんでもない依頼が。 母親が残酷な詐欺被害にあったのを境に、厳しい現実を生きることになったキョウ。 武沢は彼女を救うため、かつての仲間を再集結、大仕掛けを計画する。(『カエルの小指』) 累計70万部突破の「カラスの親指」シリーズ 合本版 『カラスの親指 by rule of CROW's thumb』『カエルの小指 a murder of crows』
  • 体の中を風が吹く
    -
    章子は、ぐうたらな夫と別れ、2人の子供をかかえて働く、婦人記者である。わが子の成長を楽しみに生きる章子にも、女としての心のひもじさに耐えきれぬ夜もあった。彼女には、年下の恋人・省吾がいた。誠実な彼は結婚を迫るが、章子は自分の境遇を負い目として応じられない。愛しあい、逢瀬を重ねながら、章子の心は、かたくなに閉されてしまう。そして、上役の世話で、省吾に若い笹子との縁談が起こるのだが……。年上の女の情熱と哀しみを主題に、定年を迎えた隣りの山崎家、そこに同居する共稼ぎの安川夫妻など、善意をもって生きる人々の生活の哀歓を描く、長編傑作。
  • からっぽ男の休暇
    4.0
    忘却の旅に出て知る忘却する快楽!! 休暇中のからっぽ男のように南の島で読んでください。あるいは暑い日に!! 南の島の木陰で紡ぎだす曖昧な童話――陽光に照らされた風が動きはじめて、椰子の森がささやいて揺れる。終わりのない休暇を南の島ですごす僕。美しいティパワンやクリッサナたちとのひととき、忙しかったころには思い出しもしなかった童話を話したくて仕方がない。でも、ちょっと変!! そんな曖昧でこんがらがってしまった不思議な15のお話。
  • 空手道ビジネスマンクラス練馬支部
    4.3
    サラリーマンの夢とは何か? 新格闘技ノベル! ヤクザに土下座させられ、男は練馬の空手道場へ通い強い男に変身したのだが……。男なら誰しも強くなりたいと思う! ――新宿で飲んだ帰りに、ヤクザにからまれて、土下座させられたサラリーマンが、一念発起して、練馬の空手道場に通い始めた。「強くなりたい。ケンカに勝ちたい」の一心で、男の腕前は、めきめき上達した。不倫のホテル帰りに、再び同じヤクザにからまれた男は、若いOLの手前、りきんだのだが……。異色格闘技長編ロマン!
  • カラマーゾフの妹
    3.6
    カラマーゾフ事件から十三年後。モスクワで内務省未解決事件課の特別捜査官として活躍するカラマーゾフ家の次男、イワンが、事件以来はじめて帰郷した。兄ドミートリーの無罪を証明し、事件の真相を確かめたい――再捜査を開始するイワンの前に新たな事件が起こる。十三年前の真犯人は誰なのか。新たな事件は誰が、何のために起こしているのか、そして、謎解きの向こうに見えてくるものとは。息詰まる展開、そして驚愕の結末!
  • 仮往生伝試文
    3.8
    寺の厠でとつぜん無常を悟りそのまま出奔した僧、初めての賭博で稼いだ金で遁世を果たした宮仕えの俗人―平安の極楽往生譚を生きた古人の日常から、中山競馬場へ、人間の営みは時空の切れ目なくつながっていく。生と死、虚と実、古(いにしえ)と現代(いま)。古典世界と現在の日常が、類い稀な文学言語の相を自在に往来し、日本文学の可動域を、限りなく押しひろげた文学史上の傑作。読売文学賞受賞。
  • 狩りの時刻
    -
    悪夢か? 現実か? 「侍従」と称する中年男に、毎夜、誘(いざな)われて、平凡なOL・小金井依理子がさまよいこんだ、不可思議な性の世界……。そこで、謎の美女・徳乃本夫人に、女同志の愛を教えられた依理子は、突然姿を消してしまった夫人のあとを追って、徳乃本もと侯爵の宏大な邸に忍びこんだ。逞しい青年を愛撫する侯爵、犬を相手に孤独なセックスを楽しむ料理女、奇怪な蝋人形館に閉じこめられた少年……。悪魔の館に棲む人々を垣間みた依理子を最後に待ちうけていたものは、残酷な初夜の儀式だった……。女性の欲望を利用して巧妙に仕組まれた犯罪の罠を描く長編小説。
  • カリフォルニア
    -
    23歳の鮮烈な感性が描く麻薬の青春、熱風と麻薬の終わりなき<夏>を彷徨するストレンジャーの青春。群像新人長編賞受賞の意欲作ーーセントラル・バレーの中央にある、砂漠のオアシス・フレズノ。はてしない青空と灼けつく熱風の街に、重い過去をひきずって終りなき<夏>を彷徨するストレンジャーたち。雪国から来た留学生くずれの日本人青年と混血の白人娘の、愛と麻薬の日々が、カリフォルニア・エイジの終末を告げる……。23歳の鮮烈な感性がきらめく、群像新人長編小説賞受賞作。
  • 軽井沢マジック
    3.8
    一流イタリアブランドのスーツは、バーゲンで。超高級時計は、香港製のニセモノ。高級外車は、友人ディーラーからの借り物。あり得ないほどの美貌に恵まれながらも、完璧にはずしまくる課長代理・水乃サトルとその部下・美並由加里は、出張先の軽井沢で奇妙な殺人事件に遭遇、容疑者にされてしまう。変人・サトルの卓越した推理力は、この難事件を解決することができるのか!? 長編本格ミステリ(講談社文庫)。
  • 軽いめまい
    3.8
    きっと夏実はあなたにも似ている。マンション住まい、専業主婦、母……。時々「軽いめまい」を感じます。繊細で強靭な長編小説 ――郊外の住宅地にある、築7年の中古マンションで、夏実は、夫と小3と幼稚園児2人の息子と暮らしている。専業主婦の暮らしに、何といって不満もなく、不自由があるわけでもない。けれど、蛇口から流れる水を眺めているときなどに覚える、放心に似ためまい。生活という日常を瑞々しく、シニカルに描いた、傑作長編小説。
  • カルマ真仙教事件(上)
    4.0
    1~3巻704~726円 (税込)
    平成最悪のテロ事件を描く、注目の全三巻。警視庁公安部OBの鷹田正一郎は絶句した。カルマ真仙教元信者の死刑囚が、秘かに五億円もの金を残していたらしい。その大金は、とある貸金庫に眠っているという。死刑囚とは誰なのか。それは教団の隠し財産なのか。二十年の時を経て、鷹田は孤独な捜査を開始する。
  • カルマ真仙教事件 全3冊合本版
    -
    1巻1,925円 (税込)
    警視庁公安部OBの鷹田は絶句した。かつて世を震撼させた「カルマ真仙教」元信者の死刑囚から、秘かに五億円もの金を預かっている男がいたのだ。死刑囚について口を閉ざすその男の余命は三ヵ月。その死刑囚とは誰なのか。その金は教団の隠し財産なのか――二十年の時を経て、あの時が蘇る。すべての蛮行に終止符を打ったはずなのに。元警視庁警視の公安マン・濱嘉之が、自らの捜査経験をもとに記した怒涛の警察小説!
  • カレイドスコープ島 《あかずの扉》研究会竹取島へ
    3.8
    連続殺人の万華鏡(カレイドスコープ)惨劇の光源を暴け! 八丈島沖にひっそりと隣り合う月島と竹取島。古くからの因習に呪縛され、月島の一族に支配され続けている双(ふた)つの島を、《あかずの扉》研究会の6人が訪れた時、血も凍る連続殺人の万華鏡が回転を始めた。一族に伝わる秘宝が島の後継者を次々と殺戮(さつりく)する怪! 本格推理の気鋭が放つ孤島ミステリーの奇跡的傑作! (講談社文庫)
  • 華麗なる誘拐
    4.1
    新宿超高層ビル街の喫茶店で若いカップルが殺された。シュガーポットに入れられた毒物による無差別殺人の始まりだった。事件の3日前、蒼き獅子たち(ブルーライオンズ)と名乗る男から首相公邸にかかってきた怪電話が現実のものとなったのだ。「日本国民1億2000万人を誘拐した。5000億円を支払え」大胆な着想の本格長編推理。(講談社文庫)
  • 枯草の根/炎に絵を
    -
    1巻1,540円 (税込)
    乱歩賞受賞作と初期の傑作長編推理――乱歩賞受賞の処女長編でありながら、中国人名探偵・陶展文の活躍を、清新かつ簡潔で乾いた文体、独得のユーモア、優しく成熟した人間認識で描き、大人(たいじん)の風格を漂わせる『枯草の根』。余命いくばくもない異母兄の依頼で始めた父親の汚名晴らしに、産業スパイやドンデン返しを織りまぜて、完全犯罪を明らかにする、爽やかな『炎に絵を』。人間と人間の織りなす綾で読者を魅了する長編傑作推理2編。
  • 彼の故郷
    5.0
    幼年の頃、青年の頃の忘れがたい光景……それは「故郷」という地獄である。「浩」と呼ぶ少年の成長の過程を、夢と現実の巧みな交錯の中に描き、硬質な抒情の世界を創る半自伝的短編連作集。「いわゆる生い立ちの時期に自然と注意が集まって行った。で、特に意識させられたことは、自分の奇妙な姿勢であった。幼年期から青年期の始めにかけての記憶と現在との間には遠い距離がある。私は、普通に眺めれば広い視界の、ごく限られた一劃に望遠鏡のピントを合わせ、陽炎のかなたを見ようとして呼吸を整えるといった具合だった。」(後記より)
  • 彼のこと
    3.0
    夫はなぜ消えたのか? これは愛だったのだろうか? 真実の愛とは? 結婚2年、行方を消した彼の貌を妻、愛人、行きずりの女子高生が語る――あれは、愛だったのだろうか……。結婚2年で、夫はなぜ姿を消したのか……。183センチの長身でハンサム、優しくて記憶力にすぐれた彼。20年来常連のスナックのおでんが好きで、仕事も家庭も順調だった彼の、真実の貌(かお)はどこにあるのか……。妻、愛人、ゆきずりの女子高生たちが語る、消えた彼の矛盾に満ちたさまざまな姿。
  • 彼の初恋
    -
    少年のころ、憎悪の対象であった父親は、いま、好々爺をきめこんでいる。勝手に人生を引退させるものか……。父親を超えていくための息子の格闘を描いた「親父の年頃」、友人の恋愛問題に絡んで奇妙な友情と人間関係をみせる表題作など、青春の苦渋と爽快さを清新な感覚で描いた作品集。他に「光る丘」「野性」「雷魚」を収録。
  • 枯れゆく孤島の殺意
    2.8
    孤島にある館の主の依頼によって、草木の枯れる原因を調査しに来た相川と美堂棟。調査を始める二人だが、依頼者の館の主と執事が密室の中で何者かに殺されてしまう。相川と美堂棟は島の調査とともに連続殺人犯を捜し始めていく。原因もわからないまま、枯れゆく草木はどんどん増えていく。そんな中、また新たな犠牲者が。枯れゆく孤島と館でおきる連続殺人――二つの大きな謎が交錯する本格ミステリー。
  • カレンダーの余白 現代日本のエッセイ
    -
    四季おりおりの自然、自己とその周囲、今と昔、生の哀しみ、日常生活の襞。生粋の都会人の冷徹な目と繊細な詩人の感性横溢する、簡潔化されたエッセイの世界。「鴉」「天気予報」「桃の節句」「夜涼身辺」「歯のこと」「小唄」「酒について」「水のあと」ほか、短篇の名手・永井龍男が、多彩な題材で軽妙に描いた、82篇の名文。
  • かわいい結婚
    3.6
    「かわいい結婚」…「結婚ってなんなんだ?」という疑問から生まれた作品。結婚して仕事をやめ、専業主婦になった29歳のひかり。しかし、家事能力はゼロ。当然、部屋は散らかり放題。もちろん食事も作れない。夫とは仲良しだけど、こんなに家事が延々と続くなんて……。 騙された!わたし騙された!騙されてた! 結婚生活のリアルをコミカル&ブラックに描く。ほか「悪夢じゃなかった?」「お嬢さんたち気をつけて」二篇収録。
  • 可愛い世の中
    3.7
    芳香剤のメーカーで働く地味な会社員、豆子は、自身の結婚式を機に、金銭感覚が人生と共に変化していくことの面白さを発見する。決して「モテ」を追求することなく、社会人としての魅力をアップしていきたい。退職して、「香りのビジネス」を友人と起こそうと画策する。香水に、セクシーではなく、経済力という魅力を! 仕事と経済、カップルでいること……をみずみずしい筆で紡ぐ、新感覚小説!
  • 乾いた湖
    -
    大学生の卓也は左翼運動崩れ、女子大生を相手に怪しげな闇斡旋をしている。一方、財閥の御曹司・道彦は、怠惰な生活を送っている。汚職の責任を取らされる自殺した父を持つ葉子は、世の中を見返すために、女優として成功するも、道彦が運転する自動車で事故死してしまう……。卓也が相手をする女たち、ゲイ・バーのジャニー、クラブのマダム・文枝など、多彩な人物が登場する、長篇風俗小説。
  • 河(上) 【小田実全集】
    -
    1~3巻1,980円 (税込)
    日清・日露戦争、大逆事件、富国強兵へと邁進する激動の20世紀初頭の日本で少年主人公・重夫は朝鮮人の父と日本人の母のもとに生まれる。関東大震災で生き別れた父の後を追って母とともに神戸、上海、広州へと移り住む。アジアの独立をもとめてたたかう中国、朝鮮、インドシナの人々、そして彼らを助ける日本人、米国人、アイルランド人など、東アジアの近現代史という「河」に鳴り響く、人間の涙と血と愛がいっぱい詰った未完成交響楽物語。小田文学が到達した六千枚のライフワーク。
  • 渇く
    4.5
    本当の幸せとは好きな人と一緒にいられること。満たされない愛の渇きを癒す感動の長編、生と死の喜びを描く傑作――妻に離婚を求められた傷心の晋也は、悠久のインドに魅せられている女、萌(もえ)とめぐり合った。愛の不安定を考えつめた萌は、しかしインドへ逃れ、残された晋也は、不治の病気を宣告される。急ぎ帰国した萌は、死に向う晋也を、癒しと祈りの聖なる大地、インドへ連れて行く……。生と死の喜びを暖かく描く、感動の長編。
  • 川っぺりムコリッタ
    4.2
    川べりに建つハイツムコリッタ。家族も生き甲斐もなく、ひとりで生きたいと思っていたはずの「僕」は、図々しくて、おせっかいで、ダメ人間で、落ちこぼれで、繊細で、あたたかくて、人間らしい、このアパートの住人たちに囲まれ、少しずつ「ささやかなシアワセ」に気づいていく――。 大ヒット映画「彼らが本気で編むときは、」「かもめ食堂」の監督が贈る、新しい「つながり」の物語。 荻上直子監督最新作・映画『川っぺりムコリッタ』、2021年全国公開予定。
  • 川波抄・春の歌
    -
    隅田川を心のふるさととした明治・大正の東京の情趣が、若い日の「私」の歳月と交錯し、失われた時間に寄せる、想いの光と影を清婉に織りなす「川波抄」、さまざまな歴史を包みこんだ女の、不気味な明るさを湛えた晩年の性を描く「春の歌」など、円地文学の多様な才華と幽玄な到達点を鮮かに示す、傑作全9編を精選。

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