七島で次々と草木が枯れているらしい。
島の主・田中平蔵の依頼で植物研究家・相川優真とその大家にして助手・美堂棟未人はその原因を探るためこの島を訪れた。
が、着いたその夜に依頼主が何者かに殺害されてしまう。
調査どころではなくなってしまったが、相川はそのまま調査を続行。
彼らは島の謎と殺人犯を同時に捜
...続きを読むし始めるが・・・。
講談社Birthという、29歳以下の若い才能を発掘する、というレーベルらしいです。
それの創刊第一弾、第一回最終選考通過作品です。
そのまんま、荒削り、な印象。
視点の変更がわかりにくく、言い回しもあれ?と思うところがあり、とても読み進め難かったのです。
孤島の連続殺人モノなのにしっかりした探偵役がおらず、登場人物の危機感のなさにイライラしてしまったり。
かと思えば、変わった館に御大的ともいえる、ある意味バカミスなトリックがあったり。
島の調査のほうは順調にすすみ、植物学の薀蓄は興味深く読めました。
が、どうも居心地が悪くて微妙だなぁ。。。と思っていたら殺人事件解明直後のこの主人公のセリフ
「今はそんなことをしてる場合じゃないんだ!」
ああ、そうでした。相川にとって殺人事件は二の次で、この作品自体がそういうことだったのですね。
たびたび出てきた、島の地震と阪神大震災の記憶とのオーバーラップが腑に落ち、ここから一気にカタストロフへ。
結局いまもってどっちつかずな読後感なのですが。
殊能さん、麻耶さんあたりからアクを抜いて、高校生の頃に書いた作品、といわれたら納得かな?
というアンチな香りだけが残りました。