学術・語学 - 筑摩書房作品一覧
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-江戸時代の日本について、鎖国によって孤立し停滞した封建制社会であったと受け止める傾向がある。また、農民や町人は、厳しい身分制度でがんじがらめの支配を受けていたと信じられがちである。しかし村々に残る資料をみて歩くと、この時代の百姓たちは自ら所有する土地を耕しながら布や酒をつくって店をひらき、さらには寄合の協議で村の運営を動かすこともあったことなどが分かってくる。江戸時代はむしろ、元気な百姓が主役の、近代的な前期資本主義社会だったのだ。支配者史観を覆し、庶民の視点から江戸時代の歴史を読みなおす。
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5.0グローバル時代の現在、多くの会社で英語での実務が必須となっている。学生時代の辞書を引き引きの「読む」英語とは違う、「書く」「話す」「聞く」英語は、はたしてどのように勉強したらよいのか。著者は国際ビジネスの第一線で活躍したのちビジネス英語のプロになった異色の経歴の持ち主。その著者が自らの英語学習体験と国際交渉の経験をふまえて、ビジネス英語のエッセンスを解き明かす。「英語論理にもとづくコミュニケーションがうまくなれば英語も上達する」「英語は短文かつ単文であるべし」という持論を軸に、英語上達のコツを手ほどきする実践的入門書。
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4.0権謀術数ひしめく15世紀末のフィレンツェ。マキァヴェッリは軍事・外交を担当する共和国の官僚として活躍したが、イタリア戦争によってメディチ家が権力の座に戻ると職を追われる。しかしそのずば抜けた才能を評価する枢機卿ジューリオは、歴史理解を統治に生かすべく本書の執筆を依頼。マキァヴェッリはそれに応え、晩年のほぼ全てを費やして人びとの心の内面までをも再現した躍動感あふれる歴史絵巻を描き出した。上巻には古代ローマ時代からメディチ家が権力を掌握する15世紀までを収録。政治の現場に身を置き、場数を踏んだ者だけが読み取ることのできる、ほんとうの歴史がここにある。
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-日本の神々とは日本人にとってどのような存在だったのか。神々は日本の風土のなかでどのような役割を担っているのか。日本の神は、自然を畏敬し国土の安寧を願う出雲系と、天皇による国家支配を正当化する高千穂・日向系に分かれる。高千穂・日向・出雲で景観問題の解決に奔走した著者が神話の舞台を歩き、「古事記」「日本書紀」編纂の場である飛鳥の遺跡に身を置いて、神々の来歴にひそむ謎を解く。【目次】序章 女神はなぜ洞窟に隠れたか――高千穂神話の世界から/第I部 出雲の神々の世界へ/第一章 スサノオの国づくりと和歌の起源――出雲平野の「わが心すがすがし」/第二章 斐伊川水系大治水計画――昭和・平成のオロチ退治/第三章 天下経営の大神――出雲大社表参道神門通りの道づくり/第四章 水に臨む神々――城原川流域委員会/第五章 疫病神の活躍――鞆の浦まちづくり/第II部 風土に生きる神々/第六章 巨大ナマズと戦う神々――要石とプレートテクトニクス/第七章 「ふるさと見分け」の方法――姥ヶ懐・裂田溝の危機/第八章 白き山の姫神――在地神と外来神/第九章 座問答――古代の大合併と合意形成の知恵/第十章 神々誕生の海岸――宮崎海岸侵食対策事業/第III部 神話から歴史への旅/第十一章 飛鳥にて――『古事記』『日本書紀』編纂スタートの地/第十二章 神話と歴史をめぐる三つの疑問/第十三章 飛鳥浄御原宮――神話と歴史を編む/第十四章 前例としての日本神話/第十五章 古代からの伝言――危機の時代のリスクマネジメント
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3.2受験技術をみがけば、大学には受かる。でも「点が取れる」ことと「読める」ことは、実はまったく別。設問から眺め、問題文の型を見抜いて効率的に解答すれば点は上がるが、「読む力」「考える力」は培えない。しかし社会に出れば、「判断と根拠をきちんと展開した文章が書けない」「自分の意見が好き/きらいしか言えない」「そもそも文章が読めていない」現実に突き当たる。ではどうすれば「読む力」がつくのか? 読んでほんとうに理解したうえで自分の思考を紡いでいくにはどんな訓練をすればいいのか? 読み込む技術、考える力・書く力を鍛え、問題解決力をつけるための徹底講座。
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4.3ゲーデルが25歳で出版した「不完全性定理」(1931)は、当時の数学界の巨匠ヒルベルトが提唱した「形式主義によって超数学を展開しようという計画」に対して、原理的な限界を示す衝撃的な証明だった。それは数学のみならず哲学・思想界にも、「人間の知性のある限界が示された」と大きな波紋をもたらした。ゲーデルはいったい何を明らかにし、どのような新しい道を示したのか。この記念碑的業績にいたる数学の歴史的な歩みをたどりながら、難解といわれるその結果の意味をていねいに解りやすく解説する。『ゲーデル、エッシャー、バッハ』の訳者ならではの、ユーモアをまじえたゲーデルへの超入門書。
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5.0古来、西洋哲学は確固とした普遍的「実在」を求めてきた。本書は、そうした客観的・統一的な脱自己中心的世界としての「実在」ではなく、対立概念である「不在」こそが「真にあること」ではないかという問題に取組む。言語=理性を習得してしまった人間は、客観的・統一的な「実在」こそ普遍的であり、それを、多元的・自己中心的な「私の世界」よりも優位に置く図式に、なかなか抗うことができない。そして、自分が住んでいる世界の相貌を語りつくすことができない。それはなぜなのか。不在を生み出す時間、自己と他者というトリック等、数々の哲学のアポリアに迫る、渾身の書下ろし。
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-宮本武蔵の『五輪書』、柳生宗矩の『兵法家伝書』とならぶ三大兵法書の一つ『不動智神妙録』。書いたのは武士の家に生まれながらも得度し、大徳寺住持となった禅僧・沢庵宗彭。剣の修行は心の修行に他ならないという「剣禅一如」が初めて説かれた一書で、戦いのみならず万事に対処できる心と体の動きが解説されている。将軍家剣術指南・柳生宗矩に授けられたことから柳生新陰流の聖典となったが、小野派一刀流など他の流派でも広く読まれ、幕末の剣聖・山岡鉄舟も愛読した。併録した『太阿記』は凡人が凡人のまま剣の達人になる道筋を示したもの。『玲瓏集』はわれわれの視野がいかに分別心によって曇らされているかを説く。
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3.0フンボルトの中南米探検行は6年の準備をかけ1799年に始まり、5年の歳月を費やした。彼は、地形や気象、地磁気などを機器測定した科学者であると同時に、ゲーテとの交遊からうかがえるように自然を深く愛好する人でもあった。「長い乾季のあと……草原の情景は一変する」「爽やかな雨を告げるのは、遠くの雷鳴である」「大地の表面が水でうるおされるや否や、かぐわしく匂う草原は多種多様なスゲ科植物、円錐花序モロコシ類、多種多様な禾本科植物で覆われる」。自然の全貌を絵画のように描きだしたこの科学的エッセイは、新しい旅行文学としても人気を博した掌編である。図版多数収録。本邦初訳。
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-室町時代、足利将軍に仕え、将軍家のサロンにおいて、茶や華、香、室内装飾などを担当した同朋衆。目利きとして活躍した彼らは和歌、連歌、能楽など多くの芸能にも通じ、北山文化、応永・永享文化、東山文化の骨格を築いた。今に伝わる「日本らしさ」を生み出したアートディレクター的集団だったといえるだろう。彼らは能阿弥・芸阿弥・相阿弥など阿弥号を名乗っていたことから、仏教の宗派、時衆との関係が指摘されてきたが、時衆ではない同朋衆もいる。いったい彼らはどこから現れ、どのようにして文化の中心に立ったのか。同朋衆の実像に迫った類のない研究を文庫化。
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-侍の気構えと行動を規定してきた「武士道」。軍国主義につながったとして、マイナスのイメージも持たれる一方、日本人の美徳を支える倫理的礎として肯定的なイメージを持っている人も、これまた多い。歴史的にみれば武士道は、武家社会が発展した中世に自然発生し、『甲陽軍鑑』等の書物で明文化されていくが、戦闘なき徳川時代になって精神的な「徳義」へと転回した。やがて武家以外の庶民階級にも浸透して、一般の生活経済倫理にまで影響を及ぼすようになっていく。「武士道」の豊かなる実態の歴史を、実証主義史学の方法を用いつつ鮮やかに描き出し、その本質に迫る。
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4.2ブッダが唱えた原始仏教の言葉は、合理的でとってもクール。日常生活に役立つアドバイスがたくさん詰まっています。今日から実践して充実した毎日を生きよう。【目次】第1章 ブッダ―大人になる道/第2章 ブッダはなぜ出家したのか/第3章 ブッダ心理学、基礎の基礎―心とは何か?/第4章 世界に居場所を見つける―地球サイズの人間になろう
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3.6私たちの生き方は正しいのだろうか? ブッダが唱えた「九項目」を通じて、すべての人間が、自分の能力を活かしながら、幸せに生きることができる道を提案する。【目次】序章 ブッダの生きた幸福の境地/第1章 「生き方」はどうすればわかる?/第2章 正しい生き方をやってみる/第3章 慈しみの心を育てる/第4章 人生に意味はあるのか?
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3.0現象学の始祖エトムント・フッサールが、『ブリタニカ百科事典』の求めに応じ、「現象学」の項目のために執筆した、ドラマチックな推敲のあとが窺える四つの草稿の集成。変化しつづけたフッサールの思索が成熟した時点で書かれた本書は、まさに“現象学とは何か”その核心を語る。そのため、完成稿(第四草稿)は、始祖自身による最も完備した好適な入門書ともなっている。これら草稿は、ハイデガーとの共同作業を経て完成したが、とくに第二草稿には両者の一致と相違が如実に現れていて、20世紀を主導した両者の現象学的哲学の本質を考えるための重要なヒントもここにある。詳細な訳者解説を付す。
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-本書は底本としてJacob Burckhardt、Gesamtausgabe(Bd.1-14)、Deutsche Verlags-Anstalt、Stuttgart、Berlin und Leipzig 1929-1934(全集版)の第14巻『Vortraege』(講演集)を使用し、さらにJacob Burckhardt、Kulturgeschichtliche Vortraege、Alfred Kroener Verlag、Stuttgart 1959(クレーナー版)を参照した。本訳は全集版に収められている26篇の講演のうちから17篇を選び、これにクレーナー版の講演集の中からさらに一篇を加え、18篇として訳出したものである。
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-フィリップ・ル・アルディ(豪胆公)、ジャン・サン・プール(無怖公)、フィリップ・ル・ボン(善良公)、シャルル・ル・テメレール(突進公)。これら四人のヴァロワ朝ブルゴーニュ公こそ、中世末期、ヨーロッパ世界において広大な領土の獲得と燦然と輝く文化的達成を現出させた人々にほかならない。彼らの営為によってあらわれる公国の個性とは何か。ホイジンガの『中世の秋』に比肩すると言われる本書は、博捜と実証をもとに、大公たちの生涯と事績、そしてついに成し遂げられなかった夢を光彩陸離たる筆致で叙述する。ブルゴーニュ公国の歴史を包括的にまとめた書として今も揺るぎない地位を占める名著。
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4.0改憲・護憲の谷間で、憲法第九条の基本的な文献である議事録は、驚くべきことにこの七〇年間ほとんど紹介されてこなかった。「戦争の放棄」と「平和憲法」は、直接には関係がないし、それをつくったのは、マッカーサーでも幣原首相でもなかった。その単純でない経過を初めて解き明かす。また「憲法はGHQの押し付け」と言われるが実際はどうだったか。「日本は平和国家」といつから言われてきたのか。「敗戦」を「終戦」に、「占領軍」を「進駐軍」と言い換えたのは誰が何のためだったか…などについて、日本国憲法誕生の経過を再現し、今日に至る根本的重大問題を再検討する。
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4.3ベクトル解析は、電磁気学・流体力学などを学ぶ学生に必須の課程で、しばしば工学・物理系の応用数学とみなされがちである。しかし見方をかえて、基礎的な「1次元の線形代数学」から多次元への発展、「1変数の微積分」から多変数関数の微積分への発展、の段階の解析学と考えれば、大学教養課程の結節点ともみなしうる。それはより抽象度の高い、多様体へのゆるやかな第一歩である。本書では、そのような展開性のある位置づけのもとに、森一刀斎が「ベクトル解析のココロ」を開陳する。最終章に新たに、教育的側面を明らかにした「なぜベクトル解析なのか」を加えた。
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3.9成績の良い子は、認知能力の他に、自分をやる気にさせる力や忍耐強く物事に取り組む力や感情をコントロールする力などの、非認知能力を身につけている。さらに、自分をモニターするメタ認知能力にも長けている。実は、学力向上のコツは自分自身を客観的に認識する能力「メタ認知」にある。では、「メタ認知」はどのようにして鍛えられるのか? 勉強ができるようになるためのヒントがここに! 【目次】第一章 成績の良い子と悪い子、何が違うのか?/第二章 やる気も粘りも非認知能力しだい/第三章 自分の学習スタイルをモニターしているか?──メタ認知について/第四章 読書と学力は密接に結びついている── 読解力と認知能力について
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-黄河文明の辺境に位置し、江南文化とも遠く離れた長城地帯に近接する政治都市・北京。古代国家の首府でもあったこの地は、「中華世界」の拡大とともに、いかにして辺境の地から中心地へと飛躍してきたのか。古代から現代まで長きにわたるその歴史をダイナミックに描き出す。漢族と非漢族、農耕と遊牧という対立する要素が交流・融合する、坩堝としての都城が果たした役割にも注目。多民族国家中国の首都に選ばれ続けてきた波瀾万丈の歴史から、伝統中国の政治文化の本質に迫る。 【目次】はじめに/第一章 文明の辺境──燕国/1 のちに「北京」と呼ばれる地域空間/2 薊城──都市「北京」の起源/3 戦国の七雄としての燕/第二章 東北の重鎮──幽州/1 郡県と封建のゆらぎ/2 諸族融合の坩堝/3 中原諸王朝の前進基地/第三章 諸族争奪の舞台/1 早すぎた大燕皇帝の登場──安史の乱/2 燕雲十六州問題──胡・漢最大の係争地/3 政治的中心地への道──遼の「南京」/第四章 中都から大都へ/1 宋朝に格下げされた「燕山府」の混乱/2 金の海陵王と「中都」遷都──はじめての帝国首都/3 クビライの「大都」建設/第五章 華夷一統のために/1 漢族王朝の再興と北京遷都/2 北京定都と嘉靖帝の都城改造/3 近世東アジアの百万都市/第六章 拡大された中華帝国/1 明清交替/2 非漢人政権にして中国の正統王朝/3 タタール・シティとチャイニーズ・シティ/第七章 皇帝の住まなくなった紫禁城/1 紫禁城──外朝と内廷/2 拡大された中華世界の三つの中心/3 円明園炎上/終章 廃墟からの再生/1 北京最後の日/2 天安門での建国セレモニー/主要参考文献/あとがき/図版出典一覧/人名索引
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3.9日本古典文学中屈指の名文『方丈記』。著者鴨長明が見聞し体験した、大火、大風、遷都、飢饉、大地震などが迫真の描写で記録され、その天災、人災、有為転変から逃がれられない人間の苦悩、世の無常が語られる。やがて長明は俗界から離れ、方丈の庵での閑居生活に入りその生活を楽しむ。しかし、本当の心の安らぎは得ることができず、深く自己の内面を凝視し、人はいかに生きるべきかを省察する。本書は、この永遠の古典を、混迷する時代に生きる現代人ゆえに共鳴できる作品ととらえ、『方丈記』研究第一人者による新校訂原文とわかりやすい現代語訳、理解を深める評言によって構成した決定版。
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-著者は、世界の宗教史でただ一人あげよ、といわれたら法然をあげるという。なぜか。一言でいえば、「凡夫」のための宗教は、法然を持ってはじめて世に出現したからである。「凡夫」とは、「自己中心性」から逃れられない人間のことである。自己のためにはすべての欲望が総動員される。神仏を祈願するといっても、内容は、是が非でも自己の欲望を遂げようという脅迫であることも少なくない。「凡夫」に救いはあるのか。あるとすればいかなる教えなのか。この世の一切の営みを超えた宗教的価値の絶対性をはじめて明確に主張した法然の革命的意義を新たな視角から解き明かす。
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4.5法とは何か。それは単なる命令とどう異なり、道徳や慣行といかに関わるのか。なにゆえ法は、私たちを従わせる規範としての力をもつのだろうか。こうした難問をめぐって有力に唱えられてきた主権者命令説や自然法論はいずれも十分でない。法の特質は、人々の行動を方向づける一次ルールと、何がルールかについて定める二次ルールとの組み合わせとして理解されねばならないのだ。1961年に初版が刊行された本書は、このような革新的な視点を打ち出すことで法哲学のあらたな地平を切り拓き、分野を越えて巨大な影響を及ぼした。初版への批判に応えた「後記」をも含む改訂版を、平明な新訳でおくる。
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