作品一覧

  • フンボルト 自然の諸相 ──熱帯自然の絵画的記述
    3.0
    1巻1,320円 (税込)
    フンボルトの中南米探検行は6年の準備をかけ1799年に始まり、5年の歳月を費やした。彼は、地形や気象、地磁気などを機器測定した科学者であると同時に、ゲーテとの交遊からうかがえるように自然を深く愛好する人でもあった。「長い乾季のあと……草原の情景は一変する」「爽やかな雨を告げるのは、遠くの雷鳴である」「大地の表面が水でうるおされるや否や、かぐわしく匂う草原は多種多様なスゲ科植物、円錐花序モロコシ類、多種多様な禾本科植物で覆われる」。自然の全貌を絵画のように描きだしたこの科学的エッセイは、新しい旅行文学としても人気を博した掌編である。図版多数収録。本邦初訳。
  • ゲーテ形態学論集・動物篇
    -
    1巻1,320円 (税込)
    生きて発展する刻印されたフォルム! それは動物の骨格に潜在的にそなわっている「比較の第三者」としての原型を意味するゲーテの革新的な生物学思想の言葉である。植物において「すべては葉である」としたゲーテ形態学は、さらに対象を動物にも広げていく。動物形態の多様性は骨学的原型から発するもの、またそれぞれの動物の骨格部分は同一の基本器官のメタモルフォーゼ(変態)と洞察した。それら哺乳類についての論考のほかに、チョウのメタモルフォーゼやヒトの観相学をも含むオリジナル編集になる新訳決定版論考集成。図版多数。哲学しはじめ20世紀後半の現代科学に贈られた、ゲーテの大いなる遺産。『植物篇』の姉妹篇。
  • ゲーテ スイス紀行
    -
    1巻1,485円 (税込)
    ゲーテにとって旅とは、またスイスとは何だったのか。あのイタリア旅行に先立つこと12年、26歳のゲーテは『若きヴェルテルの悩み』の恋愛体験から逃れるように、スイスに向かう。「力強いライン河の烈しく泡立つ瀑布、万年雪をいただく峰々の王冠の輝き……その中に作用する創造力が脈々と魂の中にめざめてくる」と、偉大な理念を感知し科学的自然把握に決定的な指針を得る。アルプスの多種多様な自然は、研究対象の無限の宝庫であった。作品としてはまとめられなかったこのスイス体験を一書に成した本邦初の編訳書。訳者注解では、形態学・地質学などのゲーテ自然科学へと連なる体験的背景があざやかにひもとかれる。
  • ゲーテ地質学論集・気象篇
    -
    1巻1,485円 (税込)
    変幻きわまりない雲の形態はどう解釈できるのか。まさに雲をつかむようなとまどいの末、ゲーテはハワードの雲の分類に手がかりを見つける。バロメータと温度計の時代に、経験の収集と分析を超え、詩人科学者は全体把握と理念的な綜合をめざした。上昇を促す熱と下降を促す重力に、空の現象の多くが関係づけられないか。ゲーテは言う「自然の書物がどれほど多くを私に教えてくれるか…、私の静かな歓喜はとても言いあらわされない」。歓喜は紀行文に詩に照り映えた。本邦初訳論文を多数収録。編者博捜で初めて成ったゲーテの人文学的自然科学論集。
  • ゲーテ地質学論集・鉱物篇
    4.0
    1巻1,485円 (税込)
    岩山をよじ登り、洞窟奥へもぐり込む詩人ゲーテ。鉱物への早くからの関心は、ワイマール公国イルメナウ鉱山再開の職務によって本格化し、やがて地質学へ、そして「地球の生成と形成」すなわち「無機物の形態学」へと進展する。散在する論考や断章をていねいにまとめた文庫オリジナル論集。本邦初訳論文をも多数収録した的確な編集翻訳は、現在望みうる世界最高水準。姉妹篇『気象篇』続刊。
  • ゲーテ形態学論集・植物篇
    4.0
    1巻1,485円 (税込)
    イタリア旅行で南欧の植物の多様性に目を見はったゲーテは、仔細に観察し、それらを統べるものへと想像をめぐらせた。メンデルの法則が世に知られる100年以上も前に圧倒的洞察力で、植物のメタモルフォーゼを確信している。「すべては葉である」「花は葉の変形したもの」「地面の下で湿潤だけを吸収する葉を根と呼ぶ」「すぐに拡張する葉は葉柄ないし茎である」。文豪にして偉大な自然科学者の樹立した形態学は、分析と還元を旨とする現代の先端研究者たちに思いがけぬ指針を残していた。「形態学」の真髄とその周辺をていねいに掬い上げた文庫版新訳オリジナル。本書姉妹篇に『動物篇』がある。
  • 色彩論
    4.1
    1巻1,485円 (税込)
    文豪ゲーテは多くの貌をもつ。その文業とともに、終生情熱を傾けたのが、植物学・動物学・地質学・解剖学・気象学などに及ぶ広汎な自然研究であった。とりわけ形態学と色彩論はその白眉と言うべく、シュタイナーらの再評価を経て、現代的関心もきわめて高い。分析と還元を旨とする近代科学の方法に対して、綜合と全体化を目指すゲーテの理念の背景には、汎知学─ヘルメス学の伝統が控えている。『色彩論』の精髄たる「教示編」に加え、「科学方法論」を併載し、ゲーテ自然思想へのチチェローネとなす。

ユーザーレビュー

  • 色彩論

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    ネタバレ

     Goetheの赤  -2009.03.09記

    以下はゲーテ「色彩論」における<赤色>談義だ。
    「青や黄を濃くしてゆくと、必ずそれとは別の現象が一緒に生じてくる。色彩というものは、最高に明るい状態でも暗い翳りをもつものである。したがって色彩が濃くなれば、ますます暗くなってゆくのは当然である。しかしながら、色彩が暗くなるにつれて、同時に色彩はある輝きを帯びてゆく。
    この輝きをわれわれは「赤みを帯びた」という言葉であらわしている。この輝きがだんだん強まってゆき、高昇の最高段階に達すると、圧倒的な力を示す。強烈な光を見た場合には、網膜に真紅を感じる漸消現象が生じる。プリズム黄赤色は-朱色-は、黄色

    0
    2022年10月20日
  • 色彩論

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    ネタバレ

    岩波文庫の「色彩論 色彩学の歴史」を解読してからのレビューであります。

    ダンテの「神曲」のように詩韻に秘密があるのではないかと、行ごとに番号を付けながら解読して行きました。

    また色彩論なので赤ならば赤、青なら青、黄色なら黄色、緑なら緑、白なら白、黒なら黒、灰色なら灰色、紫色なら紫色と色分けしながら、また、明るいもの、暗いものなども区別しながら解読しました。

    その後、日本に正藍冷染(しょうあいひやぞめ)というものがあることを知りました。

    なるほど、ゲーテの言う灰色を明るくしたり暗くしたり、緑が青になったりということと一致している。

    また、ダンテの「新曲」の中でニュートンがプリズムに固執

    0
    2021年07月09日
  • 色彩論

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    ネタバレ

    ゲーテに色彩論があることを知りませんでした。
    ルドルフ シュタイナーが、色彩の本質・色彩の秘密を書いていることも知りませんでした。

    自分の好きな絵画について、本書を元に考察してみたいと思います。
    理論は、現実を説明するための道具なのだから。
    うまく現実と、自分の感想とが説明できれば、自分の道具になると思っています。

    0
    2011年08月04日
  • ゲーテ地質学論集・鉱物篇

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    とにかく花崗岩推しなゲーテさんでした。
    自然科学者ゲーテなんだけど、たまに文学者の面も顔を覗かせ。たまに?いや頻繁に…?
    よく出てくるフレッツ(地平層)は有益な鉱石の出る鉱脈と解釈してもいいのかな。
    もうだめにほんじんだからフレッツ光しか出てこないと思いつつ読みました。
    あとひきがえる石が出てきてちょっと嬉しい。魚の歯の化石です。
    カールスバートの鉱物コレクション紹介のあたりでは、画像…画像くれえええ!って呻いたり。
    まぁカラー写真で入れたら文庫でも4k近く行きそうですね。
    目に一番快い非常に美しい光沢の玉髄や縞瑪瑙…格別に美しい銀星石…写真で見たかった。
    フィレンツェの廃墟大理石はパエジナで

    0
    2023年12月29日
  • 色彩論

    Posted by ブクログ

    1810年に出した著書。教示篇(色彩に関する己の基礎理論)・論争篇(ニュートンの色彩論を批判)・歴史篇(古代ギリシアから18世紀後半までの色彩論の歴史)の三部構成だが,本書では教示篇のみ収録。

    自然の観察に基づく思弁を主としており,今でいう心理学的な姿勢と言えるだろう。色彩科学の祖として,ゲーテの名がニュートンと共に挙げられるもの納得である。

    0
    2021年05月06日

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