歴史・時代小説作品一覧

  • のぼうの城 上
    4.1
    2012年11月2日(金)公開の映画化原作!2009年本屋大賞2位、 第139回(2008年上半期)直木賞ノミネートの戦国エンターテインメント大作! 戦国末期、天下統一を目前に控えた豊臣秀吉の命を受け、石田三成は総大将として2万の天下群を率い、小田原の支城・忍城(おしじょう)を包囲する。 忍城の軍勢はわずか500人、そして城代・成田長親は、領民たちに木偶の坊から取った「のぼう様」などと呼ばれても泰然としている御仁。 従来の武将とはおよそ異なるが、なぜか領民の人心を掌握していた。 新しい英傑像を提示した、大ベストセラーの戦国エンターテインメント小説! 映画は、狂言界の至宝・野村萬斎による9年ぶりの主演で、2012年11月2日(金)公開。 ヒロイン・甲斐姫を榮倉奈々が演じる。

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  • のぼうの城 オリジナル脚本完全版
    3.0
    「のぼうの城」作者・和田竜執筆の脚本!  戦国期、天下統一を目前に控えた豊臣秀吉。関東の雄・北条家に約五十万にも及ぶ大軍を投じた豊臣方に抗して最後まで屈しなかった唯一の支城があった。現・埼玉県行田市に本拠を構える武州・忍城。周囲を何重もの湖で取り囲まれた「浮き城」の異名をとった難攻不落の城である。  豊臣方二万の大軍を指揮した石田三成の水攻めにも屈せず、約数百の兵で抗戦した城代・成田長親とはどんな人物なのか。家臣はおろか所領の百姓達にも「のぼう様」などと囃されてなお泰然としていた男が決断した理由とは?  大ベストセラーとなった小説の執筆以前にすでに書かれていた瞠目の脚本。

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  • 長兵衛天眼帳
    3.8
    日本橋の村田屋は創業百二十周年の老舗眼鏡屋。そのあるじの長兵衛は、すぐれた知恵と家宝の天眼鏡で謎を見通すと評判だった。 ある日、目明かしの新蔵が長兵衛に助けを求めてくる。住吉町の裏店で起こった人殺しの本当の下手人を挙げるのに長兵衛の力を借りたいという。 浜町の目明かし・巳之吉が、殺人が起こった長屋の者たちの手を検分して、手が汚れていたというだけでそこに住まう十七の娘おさちに縄を掛けたという。 ろくな調べもせずに罪なき娘を引き立てたことに怒りを覚えた長兵衛は、広い人脈と持ち前の人柄を発揮して事件を解決に導く。 長兵衛の評判がますます高まる中、今度は木場の檜問屋・福島屋矢三郎の遺言状の真贋鑑定を依頼される。 息子の豊太郎に遺されたものの他に、矢三郎の弟・新次郎の許にも遺言状があるのだという。 長兵衛は天眼鏡で真贋を明かすが、福島屋を自分のものにしたい新次郎の企みによって、事態は思わぬ方向へ動き……!?
  • イザナギ・イザナミ 倭の国から日本へ 1
    -
    『古事記』や『日本書紀』は、何を伝えようとしているのか。記紀の世界を暦年で綴る物語。紀元前82~62年。春秋戦国時代、祖国を滅ぼされた倭人達は、朝鮮半島南部にたどり着いた。その一部は、日本列島各地に倭人の国を築く。倭人の宗主国を自任する「高天原」。瀬戸内海を囲む「葦原中国」。イザナギとイザナミの運命は……。古代史の謎にせまる歴史小説、『倭の国から日本へ』第1巻。
  • 忘れえぬ 風烈廻り与力・青柳剣一郎 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    -
    大切な人を奪われた恨みと悲しみ。 残された者たちは―― 剣一郎は新たな犠牲を食い止められるか?  遣り手だが傲岸不遜。出世のために人に取り入るのがうまい狡猾な男。 旗本の坪井貞道はとかく悪い噂が多かった。 今も小間物屋の美しい内儀に言い寄り、何か画策しているようだ。青柳剣一郎はそんな坪井の動きに不審を抱き、身辺を探り始める。ところが老中から横槍が入る。 坪井とは一体何者なのか? そんな折、剣一郎は15年前のある夫婦殺しの話を耳にし……。
  • 茶屋占い師がらん堂
    3.3
    最福神社門前の茶屋「たまや」を切り盛りする母を手伝いながら、明るく元気に暮らしていた娘・すず。母娘で営む茶屋は、丁寧に作られた甘味と季節の蕎麦がうまいと客の評判も上々だ。ところが一年前の春、隅田川沿いの桜を見物に行って以来、すずはどんな医者も原因がわからぬ不調に苦しむようになった。最後の望みをかけ評判の医者の元へ向かう道すがら、具合が悪くなったすずは、宇之助と名乗る謎の占い師に助けられて……。口福を満たす甘味や蕎麦とぴたりと当たる占いが明日への幸せを呼ぶ、時代小説の新シリーズ開幕!
  • 源頼朝(1) 平治の乱の巻
    4.0
    平氏一門の横暴に抗して立った源氏最後の反乱は失敗に終わる。この平治の乱に初陣した13歳の頼朝は、落ち武者となって吹雪の近江路をさまよう。父義朝は非業の死、兄の義平も捕らわれて斬られた。頼朝も捕まり京へ送られる。源氏一統の血を残らず絶やし、後顧の憂いを除かんとする平清盛の断は、むろん斬首……。
  • 入り婿侍商い帖(一)
    3.7
    旗本家次男の角次郎は米屋の主人に見込まれて婿に入った。婿に入ると聞いていた話と大違い、店は借金だらけで妻は自分と口をきかない。角次郎は店を立て直すべく奮闘するが……。妻と心を通わせ商家を再興する物語。
  • 若さま用心棒 葵鯉之介 冬の七夕
    4.0
    水戸家の若さま・徳川専十郎は、光圀公の再来とまで言われる才覚の持ち主で、しかも十一代将軍・家斉の実子。だが、それゆえにお世継ぎ騒動に巻き込まれ、いっそ家なぞ捨ててやるとばかりに無断で出奔、もと水戸藩士の石動勘右衛門が経営する料理屋『志之井』へと転がり込む。しかしてこの専十郎、敬愛する兄・敬三郎に対する遠慮はあったものの、とかく窮屈な武家社会に飽いていたのも事実。気ままな町家暮らしに胸躍る、まこと風変わりな若さまであった。英明でありながらも世間知らずの専十郎は、葵鯉之介と名を変え、志之井の用心棒となるのだが……。痛快娯楽シリーズ、ここに始まる!
  • 草原の風(上中下合本)
    5.0
    高祖・劉邦の子孫でありながら、鮮明な未来を描くことの出来ぬまま、田を耕す日々を送っていた劉秀。しかし、王莽の圧政に耐えかねて、兄と共に挙兵する。天下に乱立する英傑と鮮やかな戦いを重ね、劉秀はとうとう天子として立つが……。合本で名作一気読み!
  • 小さい予言者
    4.7
    歴史時代作家クラブ賞受賞作『鳳凰の船』、第二作『楡の墓』に続く、明治から昭和に至る北海道開拓期を背景に描いた短編集。「時代小説ザ・ベスト2021」に選出された傑作「ウタ・ヌプリ」、樺太航路の玄関口が静かに見守る親子の情愛「稚内港北防波堤」、炭鉱の光と影を浮き彫りにし、ささやかな希望をこめた表題作など全五編。三部作、ついに完結!
  • 重耳 全3冊合本版
    4.0
    流浪の末、晋を再建し、後に中国・春秋随一の名君と謳われた、重耳(ちょうじ)の生涯を描いた歴史小説。芸術選奨文部大臣賞受賞作が、全3冊セットで登場!
  • 潜入 味見方同心(一) 恋のぬるぬる膳
    4.2
    大人気シリーズ「味見方同心」が帰ってきた! 同心の兄・波之進の後を継いで味見方となった弟・月浦魚之進は南町奉行から密命を受ける。将軍暗殺計画の気配があり、毒見役の鬼役とは別に、城内に忍び寄る悪事を阻止してほしいというのだ。気弱な魚之進にそんな大役が務まるのか? 兄の後家・お静への思いが募るなか、魚之進は美味で怪しい江戸の食べ物を追う! 【南町奉行所・味見方とは?】 江戸市中の食べ物の動向を探る特別役職。水戸藩が南町奉行所に働きかけてつくらせた。同心の月浦魚之進のみが味見方を拝命する過酷な一人役。横行する悪質な抜け荷の現状把握がもともとの目的だったが、捜索の間に様々な食にまつわる事件が発生する。初代味見方の月浦波之進は何者かにより暗殺、それを弟の魚之進が引き継いだ。兄弟の努力と活躍によって悪事は暴かれ、魚之進は兄・波之進の仇を討った。 本巻『潜入!味見方同心(一) 恋のぬるぬる膳』までの顛末は、「隠密 味見方同心」全9巻をお読みください。面白さと美味しさが倍増します!!
  • 項羽と劉邦(上)
    4.3
    紀元前3世紀末、秦の始皇帝は中国史上初の統一帝国を創出し戦国時代に終止符をうった。しかし彼の死後、秦の統制力は弱まり、陳勝・呉広の一揆がおこると、天下は再び大乱の時代に入る。――これは、沛のごろつき上がりの劉邦が、楚の猛将・項羽と天下を争って、百敗しつつもついに楚を破り漢帝国を樹立するまでをとおし、天下を制する“人望”とは何かをきわめつくした物語である。
  • 剣士の薬膳 世嗣暗殺
    NEW
    -
    父のお役御免によって御家人の身分を失い、剣の道のかたわら、医師・柴垣青山のもとで医術を目指すことを決意した清河涼介。 涼安と名を変えた彼が修業のため始めた養生食は評判を呼び、旗本や大店に請われて薬膳を振る舞うまでになっていた。 そんな涼安が依頼されたのは、西国の大名・猪狩宗盛の御膳。不調を訴える宗盛の身体の質を見立て、涼安が供した薬膳によって宗盛は復調。涼安は役目を果たしたかと思われた。 だが、涼安は屋敷の奥に不穏な動きがあることを知る。世嗣の鶴丸が急に寝込むようになり、それには家老が雇ったもう一人の薬膳師が関わっているらしいのだ。 幼い命を脅かすのは邪な薬膳なのか?気鋭が贈る書下ろし長編。
  • 小説 琉球処分(上)
    3.8
    清国と薩摩藩に両属していた琉球――日本が明治の世となったため、薩摩藩の圧制から逃れられる希望を抱いていた。ところが、明治政府の大久保利通卿が断行した台湾出兵など数々の施策は、琉球を完全に清から切り離し日本に組み入れるための布石であった。琉球と日本との不可思議な交渉が始まったのである。
  • 用心棒血戦記
    3.0
    武者修行の旅の途中、隠密葵十三郎(あおいじゅうざぶろう)は暗殺されかけていた岩田藩の跡継ぎ松太郎を救った。その腕を見込まれて用心棒に雇われることになった十三郎は、お家騒動の渦中に巻き込まれていく。謀反を起こした家臣らが、城代家老の片岡を人質にして、国許へ帰る松太郎一行を皆殺しにしようと罠をしかけてきた――。田宮流居合の太刀捌きが夜の闇にきらめく、圧巻の剣戟時代小説。
  • 一刀斎夢録 上
    4.0
    「飲むほどに酔うほどに、かつて奪った命の記憶が甦る」――最強と謳われ怖れられた、新選組三番隊長・斎藤一(さいとう・はじめ)。明治を隔て大正の世まで生き延びた“一刀斎”が近衛師団の若き中尉に夜ごと語る、過ぎにし幕末の動乱、新選組の辿った運命、そして剣の奥義。慟哭の結末に向け香りたつ生死の哲学が深い感動を呼ぶ。『壬生義士伝(みぶぎしでん)』『輪違屋糸里(わちがいやいとさと)』に続く、浅田版「新選組」3部作完結篇!
  • 黄砂の籠城(上)
    4.1
    今こそ読むべき、日本の快挙。圧倒的歴史エンタテインメント元防衛大臣 石破茂推薦!―1900年春、砂塵舞う北京では外国人排斥を叫ぶ武装集団・義和団が勢力を増していた。暴徒化して教会を焼き討ち、外国公使館区域を包囲する義和団。足並み揃わぬ列強11ヵ国を先導したのは、新任の駐在武官・柴五郎率いる日本だった。日本人の叡智と勇気を初めて世界が認めた、壮絶な闘いが今よみがえる。
  • ベトナムの桜
    3.0
    御朱印船貿易の時代、アジアの国々を往来した多くの日本人たち。彼らにとって、海は未知の世界への入口であり、一攫千金の夢をかなえる場所だった――寛永十(1633)年、「鎖国令」が発せられるまでは。 瀬戸内海に浮かぶ小さな島に生まれ育った、高取大介・次介兄弟。父親が遺した借金のために傾きはじめた家の経済を立て直そうと、兄・大介は茶屋船(朱印船)に乗り込む決意をするが、出港地・堺湊への船中、激しい船酔いに襲われ、替わりに弟・次介が広南国(ベトナム)へ向かうことになった。異国への旅に心踊らせる次介。面目を失い長崎に出奔した大介はある時、日本人の渡航・帰国を禁じる鎖国令が発せられることを知り、波濤の先の弟の許へ旅立つ。離ればなれになる程に強くなる兄弟の絆。兄弟に想いをよせる美しい姉妹。さまざまな過去を負う海の男たち......煌めく海洋を舞台にくりひろげられる人間ドラマ!
  • すずめのお師匠 身代わり与力捕物帖
    NEW
    -
    草加冬吾は、手習い所・雀堂の師匠として子らに読み書きを教えている。ある日、深川で料理茶屋の手代が殺された。冬吾の兄で与力の紀一郎はさっそく科人を追うが、冬吾も町暮らしの身軽さを活かし聞き込みを手伝うことに。一方、彼は兄との関係に複雑な思いを抱えていた。二人は双子であり、それゆえ弟の冬吾は世間から隠されるようにして生きてきたのだ――。わだかまりに向き合いながら互いに助け合う、江戸の家族の物語。
  • 若さま同心 徳川竜之助 : 1 消えた十手〈新装版〉
    4.0
    御三卿・田安徳川家の十一男に生まれついた徳川竜之助。跡目争いに興味がなく、天稟の才を持つその剣の腕を磨きながら市井の人々の暮らしに触れたいとの強い思いを持つ竜之助は、南町奉行・小栗忠順の力添えで定町回り同心見習いとして、身分を隠しつつ江戸の街で働くことになる。若さま育ちゆえの常識知らずで度々周囲を困惑させながらも、竜之助は持ち前の聡明さで江戸の街で起こる様々な事件を颯爽と解決していく。剣戟あり、人情あり、ユーモアもたっぷりの長編時代小説シリーズ第一弾。
  • 雅や京ノ介 女帝の密偵
    3.0
    深川の町外れ、〈鬼灯長屋〉に、奇妙な看板がかかった。〈雅(みやび)や──よろず、みやびごと伝授〉。立花、茶の湯、書道、蹴鞠、和歌、源氏物語などを教えるというのだが、およそ裏長屋にはふさわしからぬ習い事。この私塾を開いた浪人者・京ノ介は、女帝陛下の密命を帯びていた。京ノ介に襲いかかる朝廷転覆の策謀の裏には、意外な黒幕が──! 注目の新シリーズ、開幕!
  • 山霧 毛利元就の妻 上
    4.5
    上下巻累計100万部超えのベストセラー長編歴史小説! 小領主から名将へ駆け上がる元就を支えた妻――。 16世紀初めの戦国時代。土豪たちがひしめく中国山地の小領主だった毛利元就のもとに、<鬼>といわれる吉川国経の娘が輿入れした。権謀術数うずまく乱世にあって、ふたりは支え合いながら否応なく戦国の夫婦として生きていく。やがて元就は頭角をあらわしはじめるが……。NHK大河ドラマの原作となった長編歴史小説の傑作。
  • この世をば(上)
    4.0
    直木賞作家・永井路子氏の作品が遂に電子化! 時の権力者、関白・藤原兼家の三男坊の藤原道長は、機転が利きカリスマ的な存在感を放つ長兄の道隆や野心家である次兄の道兼に比し、平凡でおっとり、出世も遅々としていたが、姉である詮子の助力を得ながらも、左大臣の娘・倫子と結婚する。以来、徐々にではあるものの、道長にも運が向いてきて、姉・詮子、妻・倫子などの支援を受けながら出世街道を上りつめていく……。表面的な華やかさに誤解されがちな人間・藤原道長の素顔を見事に浮かび上がらせた名作。  目   次 男  と  は 首 よ り も 今 宵 来 る 人 深 泥 が 淵 風  の  精 影     絵 あ し の う ら 離  洛  帖 花と地獄の季節 後 宮 明 暗 腥 風 の 荒 野 「一声ノ山鳥」 大正14年東京生まれ。東京女子大学国文科卒業後小学館に入社し、『女学生の友』『マドモアゼル』の編集者を務める。 小学館時代から歴史小説を執筆し始め、昭和39年『炎環』で直木賞を受賞。その他にも吉川英治文学賞を受賞した『雲と風と』等多くの素晴らしい作品を世に送り出している。 男性的目線になりがちな歴史人物や歴史事件を解きほぐし、その陰になりがちな女性にも焦点をあて、歴史上の人物、出来事を鮮やかに浮かび上がらせる作風は、歴史小説に新風を巻き込んだものと評価されている。 また、直木賞受賞作品である『炎環』、『北条政子』などは、NHK大河ドラマ『草燃ゆる』(1979年)の原作として、また『山霧 毛利元就の妻』『元就、そして女たち』などは、同じくNHK大河ドラマ『毛利元就』(1997年)の原作としても知られている。
  • 結 妹背山婦女庭訓 波模様
    4.2
    史上初の直木賞&高校生直木賞をW受賞した『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』から2年。直木賞受賞第一作にして、『渦』の待望の続編がついに刊行。 江戸時代も半ばを過ぎた道頓堀には芝居小屋がひしめき合っていた。 近頃は歌舞伎芝居に押され、往時の勢いはないものの、「道頓堀には、お人形さんがいてこそ、や」 人形浄瑠璃に魅せられ、人形浄瑠璃のために生きた人々の喜怒哀楽と浮き沈み、せわしなくも愛しい人間模様をいきいきと描く群像時代小説。
  • 日雇い浪人生活録(一) 金の価値
    3.8
    九代将軍家重の治世。親の代からの浪人・諫山左馬介は、馴染みの棟梁の紹介で割のいい仕事にありついた。雇い主は、江戸屈指の両替屋・分銅屋仁左衛門。夜逃げした貸し方の店の片付けという楽な仕事を真面目にこなす左馬介を仁左衛門は高く評価するが、空店から不審な帳面を見つけて以降ふたりの周りは騒がしくなる。一方、若き田沼意次は亡き大御所・吉宗からの遺言に頭を悩ませていた。「幕政の中心を米から金にすべて移行せよ」。しかし、既存の制度を壊して造りなおす大改革は、武家からも札差からも猛反発必至。江戸の「金」に正面から挑む新シリーズ、堂々の第一弾!(解説/細谷正充)
  • かわたれどき
    3.8
    ベストセラー「まんまこと」シリーズ第7弾! 町名主のお気楽跡取り息子・麻之助が、幼なじみの色男・清十郎と堅物の同心・吉五郎とともに、さまざまな謎と揉め事の解決に挑みます。 「きみならずして」「まちがい探し」「麻之助が捕まった」「はたらきもの」「娘四人」「かわたれどき」の6篇を収録。 清十郎に子が生まれ、縁戚のおこ乃の縁談がまとまるなど、麻之助の周りで祝い事が続くものの、自分自身には揉め事ばかり。 特に親しい料理屋の娘・お雪には何かと振り回される日々だ。 ある時、野分けと呼ばれる大嵐が起こり、お雪が洪水に流される。 間一髪助かるが、何やら一大事が……!? 解説は「まんまこと」シリーズの装画を手掛けるイラストレーターの南伸坊さんです。 ※この電子書籍は2019年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 筒井順慶の悩める六月
    -
    日向守、なんで上様を討ってもうたんや──日本史上屈指のクーデター・本能寺の変。日向守(明智光秀)と上様(織田信長)、双方に縁続きの筒井順慶は、恩と義、そしてお家の存続と政治力学の板挟みとなって苦悩する。「日和見順慶」との風評被害を受ける筒井順慶の真の人間像と、武将間の駆け引きをリアルにコミカルに描き切る、これぞ「読まなきゃ損」の歴史的傑作。
  • 終わらざる夏 上
    4.1
    1945年、夏。すでに沖縄は陥落し、本土決戦用の大規模な動員計画に、国民は疲弊していた。東京の出版社に勤める翻訳書編集者・片岡直哉は、45歳の兵役年限直前に赤紙を受け取る。何も分からぬまま、同じく召集された医師の菊池、歴戦の軍曹・鬼熊と、片岡は北の地へと向かった。――終戦直後の“知られざる戦い”を舞台に「戦争」の理不尽を描く歴史的大作、待望の文庫化。第64回毎日出版文化賞受賞作。
  • 覇王の贄
    4.0
    「一対一での勝負で此奴を殺せる者を連れて来い」。覇王・織田信長が拾った、最強の剣客。誰にも負けない。殺すまでやめない。その男を、殺せという。秀吉、長秀、勝家、利家、嘉隆、そして光秀。命を受けた信長麾下の名将たちが、次々と刺客を差し向けるが……。圧倒的な強さを持ち、馴れ合うことを拒絶する、血に飢えた化け物。信長が惚れ込んだこの男・新免無二斎に、死角はないように見えた――。ド迫力の格闘時代小説!
  • 成り上がり弐吉札差帖
    3.0
    武家社会の中で江戸の裏長屋暮らしだった少年・弐吉は、直参の侍の狼藉がもとで両親を亡くし、札差・笠倉屋で小僧奉公をすることに。逃げ場のない俊吉は、家族を奪った武家への強い恨みを心の底に持ちつつも日々夢中で働いていた。弐吉の一生懸命な働きぶりと持ち前の優しさが伝わり、周囲には少しずつ味方が増えていく。また、札差の仕事を通じて、傲慢で威張ってばかりいるようにしか見えなかった直参御家人のお金事情やそれぞれの家の問題点が見えてくる。「これは、おもしろい」弐吉は、この稼業に一生をかけようと決めた。 その矢先、笠倉屋からの貸金がある札旦那が、辻斬りの嫌疑をかけられて御家断絶の危機に。そうなると貸金は一文の回収もできなくなる。主人から「冤罪を晴らせ」と命じられた弐吉は札旦那の身辺を探り始め……。著者渾身の新シリーズ始動!
  • 幕末銃姫伝 京の風会津の花
    4.0
    戊辰戦争末期、自ら銃を取り大砲を指揮して戦った女性がいた――激動の幕末を生き抜き、自らの手で未来を切り拓いた山本八重の前半生を描く歴史長篇。

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  • 帰蝶さまがヤバい 1
    4.0
    天文十七年(1548年)、世の中は群雄割拠でみなが天下統一を狙っている。もちろん美濃もそうだ。そんな折、「結婚するわ」と国主・斎藤道三の娘の帰蝶は稲葉山城で父に向かって言い放った。「なぜおまえが決めるのだ」「どうして決めてはいけないのですか?」押し問答の末、帰蝶は結婚相手が尾張の織田三郎信長だと告げる。「いやいや、ご冗談でしょう」侍女の皐月が思わず口を挟む。「でもする」とすかさず返す帰蝶。帰蝶と信長は本当に結ばれるのか──時代を先取りする夫婦魂。新機軸・恋愛歴史小説!
  • 裏火盗裁き帳
    続巻入荷
    -
    影の火付盗賊改方ともいうべき「裏火盗」の頭を引き受けてもらいたい── 介錯人の長谷川平蔵はそう言って、微禄の旗本・結城蔵人を救った。それは蔵人が、上司を斬った罪で切腹する寸前のことであった。 火付盗賊改方長官の平蔵は、幕政改革を推し進めるには、武士道に篤い彼の協力が是非とも必要と判断したのである。 かくして結成された「裏火盗」は、火盗改の差配の及ばぬ幕閣や寺社方を密かに探索、処断する組織となり、長となった蔵人は、すぐさま世を乱す悪の退治に乗り出す。 駆使するのは鞍馬古流の秘太刀。その豪剣を引っ提げ、悪徳商人と結託する幕府要人の影を追う! だがそこには、老中の政をも揺るがす驚くべき陰謀が隠されていたのだった──!!
  • 伝説の隠密 しあわせ長屋人情帖
    -
    深川の一角にある、みすぼらしい貧乏長屋の『しあわせ長屋』。 その管理人である差配は、れっきとした武家である御神本右京がつとめている。なんとも奇妙な話だが、長屋の住人たちはみな、この右京という風変わりな差配に、親しみを抱いていた。 さてこの右京、普段のおだやかな言動とは裏腹に、壮絶な過去をもっている。なんと、幕府お抱えの隠密として裏工作や諜報活動、ときには暗殺などもおこない、裏世界では『死神』と呼ばれるほどの男であった。 血なまぐさい生活に嫌気がさし、引退後、いわくつきの長屋の差配となった右京だったが、その力を、今度は市井の庶民のために使うこととなる…。 泣けて笑える人情活劇、新シリーズ!
  • 霜月記
    3.9
    『高瀬庄左衛門御留書』『黛家の兄弟』に続く、「神山藩シリーズ」最新作。 名判官だった祖父・失踪した父・重責に戸惑う息子――町奉行を家職とする三代それぞれの葛藤を描く。 18歳の草壁総次郎は、何の前触れもなく致仕して失踪した父・藤右衛門に代わり、町奉行となる。名判官と謳われた祖父・左太夫は、毎日暇を持て余す隠居後の屈託を抱えつつ、若さにあふれた総次郎を眩しく思って過ごしている。ある日、遊里・柳町で殺人が起こる。総次郎は遺体のそばに、父のものと似た根付が落ちているのを見つけ、また、遺体の傷跡の太刀筋が草壁家が代々通う道場の流派のものではないかと疑いを持つ。 さまざまな曲折を経て、総次郎と左太夫はともにこの殺人を負うことになるが、果たして事件の真相と藤右衛門失踪の理由とは。 ~「神山藩シリーズ」とは~ 架空の藩「神山藩」を舞台とした砂原浩太朗の時代小説シリーズ。それぞれ主人公も年代も違うので続き物ではないが、統一された世界観で物語が紡がれる。
  • 謀将 北条早雲(上)
    -
    最愛の姉・千冬が嫁いだ駿河の守護大名・今川義忠が急死した。幼い世継ぎを抱えた姉の窮地を救うべく、伊勢新九郎、のちの北条早雲は、一路駿河へと下る。お家乗っ取りを画策する重臣・小鹿範満との対決の行方は!?
  • 深川澪通り木戸番小屋シリーズ 全6冊合本版
    -
    川沿いの澪通りの木戸番夫婦は、人に言えない苦労の末に、深川に流れて来たと噂されている。思い通りにならない暮らしに苦しむ人々は、この2人を訪れて知恵を借り、生きる力を取りもどしてゆく。傷つきながらも、まっとうに生きようとつとめる市井の人びとを、こまやかに暖かく描く、泉鏡花賞受賞、吉川英治文学賞受賞の名作。 『深川澪通り木戸番小屋』『深川澪通り燈ともし頃』『新地橋 深川澪通り木戸番小屋』『夜の明けるまで 深川澪通り木戸番小屋』『澪つくし 深川澪通り木戸番小屋』『たからもの 深川澪通り木戸番小屋』深川澪通り木戸番小屋シリーズ全6作合本
  • 血涙(上) 新楊家将(ようかしょう)
    4.5
    宋建国の英雄・楊業の死から2年。息子たちに再起の秋が訪れる。宋国と、北に位置する遼国は、燕雲十六州の支配をめぐって対立。かの地を手中に収めたい宋の帝は、楊業の息子で楊家の長・六郎に楊家軍再興を命ずる。かつて味方の裏切りに遭い、命を落とした父への思いを胸に秘め、立ち上がる楊家の男たち。六郎は、父が魂を込めて打った「吹毛剣」を佩き、戦場へ向かう。対するのは強権の女王・蕭太后率いる遼国の名将・石幻果。天稟の才を持つこの男は蕭太后の娘婿で、「吸葉剣」という名剣を佩いていた。その石幻果が父とも慕うのが、「白き狼」と怖れられる遼国一の猛将・耶律休哥。楊業を斃した男である。戦場で見えた六郎と石幻果。剣を交えた瞬間、天を呪いたくなるような悲劇が幕を開ける。軍閥・楊一族を描いて第38回吉川英治文学賞に輝いた『楊家将』の続編でありながら新展開。『水滸伝』『楊令伝』に登場する宝刀「吹毛剣」の前史がここにある。

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  • 信長王記1 新たなる乱世
    -
    桶狭間の合戦――松平元康(家康)は信長の行動を事前に知って、今川義元を襲う信長の攻撃を防ぐ。逆に危機に陥った信長を、領民に扮した木下秀吉が救い出した。生き延びた信長は秀吉の献策で美濃の斎藤家から兵を借り、若き竹中半兵衛と出会うことになった…。

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  • 兵諫
    4.0
    著者代表作にして大ベストセラー『蒼穹の昴』シリーズ第6部。1936年、蒋介石を張学良が拉致した西安事件の胸熱くする真相とは。
  • 江戸家老塩谷隼人一 人質は八十万石
    4.0
    内証苦しい尼崎藩の江戸家老・塩谷隼人。藩邸を取り仕切る一方、国許の農政に腐心する日々。その頃、加島屋正誠ら大坂の両替商たちは公儀から米切手買い持ちのための御用金調達を命じられていた。隼人は旧知の正誠に藩への融資を頼むべく大坂へ向かい堂島の米会所で面会にこぎつけるが、突如として三人の賊が乱入。正誠が連れ去られてしまった。老練の知恵と剣技で立ち向かう隼人だが……。
  • 斬馬衆お止め記上 御盾 〈新装版〉
    -
    老中土井利勝はまだ安泰とはいえない徳川将軍家を盤石にすべく、外様大名の勢力を削ぎつつあった。次に狙うは関ヶ原の恨み残る信州松代真田家。取り潰しに追い込もうと策謀する。真田家では、老齢の信之から藩政を任された信政が老中の動きを察知し、斬馬衆、仁旗伊織(にきいおり)へ命を下す。「公儀隠密へ備えよ」。老中、伊賀組、戦陣坊主らの権謀術数蠢くなか、刃渡り七尺の伊織の大太刀が閃く!
  • カーリー <1.黄金の尖塔の国とあひると小公女>
    3.6
    第二次世界大戦前夜、故郷ロンドンを離れ、英国統治下のインドへと渡った14歳のシャーロット。駐在英国人の子女が通うオルガ女学院の寄宿舎で出会ったのは、神秘的な美少女・カーリーガードと個性豊かな仲間たちだった。時代に翻弄されながらも懸命に生きる少女たちの姿を描き、熱狂的なファンを生んだシリーズ第一作。
  • 御鑓拝借 酔いどれ小籐次(一)決定版
    4.1
    傑作時代小説シリーズの決定版! 身の丈五尺一寸、風采の上がらない五十男。しかし実は来島水軍流の凄まじい遣い手――。赤目小籐次、たった一人の闘いが幕を開ける!
  • 江戸暦(上)
    -
    <北天を翔けるシリーズ>待望の第二作。 漫勉と生きていてはいけない。やることはいくらでもあるはずだ。 愛する祖父母の死を乗り越え、故郷を離れ江戸へ挑戦の旅に出た若者、佐藤満。 蘭医のもとで修行するアイヌ吉良丑之助、長屋に住む元女太夫幾代らとともに 江戸の町で逞しく生きていく姿を、 当時の風俗を徹底的に調べ上げ迫力のある言葉で書き上げた伊藤英俊充実の第二作。
  • 騎虎の将 太田道灌 上
    3.3
    関東公方家はもはや滅亡し、坂東の差配は関東管領たる上杉一門が担っていた。 その一翼、扇谷上杉家の家宰が太田家だ。 太田家の跡取り・資長(後の道灌)は、関東の支配権を巡り勢力を二分する大戦乱のさなかで、 合戦の戦略にも在地経営にも突出した才覚を現していく。 道灌は、いかに戦い、いかに生き延びたか。 坂東を席巻した出来星武将の波瀾の生涯を描き尽くす戦国歴史大河小説! 【上巻目次】 第一章 万人恐怖 第二章 将軍のいない国 第三章 曙光 第四章 江ノ島合戦 第五章 関東管領謀殺 第六章 分倍河原の戦い 第七章 関東二分 第八章 江戸城築城
  • 艶お庭番 尾張の蜜謀
    5.0
    徳川吉宗治世の江戸、市中では火事が頻発していた。しかもそれは、ほとんどが火付によるものと思われた。そんな折、町火消の梅次は炎の中に裸で飛び込み、逃げ遅れた幼女を助けだした謎の女と出会う。女は幕府の御庭番・凜。吉宗の密命を受け、火付の首謀者を探っていたのだ。凜は梅次とともに火事の現場にいた怪しい浪人を尾け、ついに尾張藩邸に繋がりがあることをつかむ。事件の背景にいるのは吉宗の政道に批判的な尾張藩主・徳川宗春。敵に迫る凜と梅次だが、その矢先、宗春配下の隠密集団・土居下衆によって、彼らはとらわれの身に……。はたして吉宗は、宗春の陰謀を暴くことができるのか。書下ろし長編時代エンターテインメント。
  • 光圀伝 角川文庫合本版
    3.0
    なぜ「あの男」を自らの手で殺めることになったのか。老齢の光圀は、水戸・西山荘の書斎で、誰にも語ることのなかったその経緯を書き綴ることを決意する。父・頼房に想像を絶する「試練」を与えられた幼少期。血気盛んな「傾奇者」として暴れ回る中で、宮本武蔵と邂逅する青年期。やがて学問、詩歌の魅力に取り憑かれ、水戸藩主となった若き「虎」は「大日本史」編纂という空前絶後の大事業に乗り出す――。生き切る、とはこういうことだ。誰も見たこともない「水戸黄門」伝、開幕。第3回山田風太郎賞受賞。【解説:筒井康隆】 ※本書は、角川文庫版『光圀伝』上下巻を一冊にまとめた合本版です。 ※本書には電子特典「冲方3作品お試し版」が収録されています。『はなとゆめ』『オイレンシュピーゲル 壱』、コミック版『光圀伝(一)』の三作品の冒頭部分がお読み頂けます。
  • 殿さま忍者 秘伝を継ぐ者
    3.0
    大川橋にたたずむ妙な侍……彼こそ、佐和島藩・桐山家の跡取りである桐山源之丞。市井に下った正真正銘の若殿様である。 この源之丞、とにかく縁談がまとまらぬ。このままでは安心して隠居できぬと考えた父の桐山重久は、息子を町にくだらせ、よき女子を連れてくるように、と厳命する。 そんななか、居候先の娘・お比美が正体不明の敵に狙われ、源之丞は、謎の姫や忍び同士の争いに巻きこまれていく。いかにも物騒な話ではあるが、この源之丞、とてつもなく強い。それもそのはず、幼きころ、開かずの間に隠された霧隠才蔵の巻物を盗み見て、秘伝の術を身につけていたのであった! 期待の新シリーズ開幕!
  • 舫鬼九郎
    4.0
    吉原近くの親父橋のたもとで見つかった女の死体は首を切り落とされ、背中の皮が剥ぎ取られていた。事件をさぐる幡随院長兵衛の前に現れる恐るべき男たち。天竺徳兵衛、柳生十兵衛、そして十兵衛と互角の勝負を演じる若き美剣士・舫鬼九郎。謎が謎を呼ぶ展開と壮絶な剣技描写で読者を魅了する、極め付きの長篇時代活劇がここに開幕!
  • 裏・町奉行闇仕置 黒州裁き
    -
    南町奉行を兄に持つ鎮目藤三郎は、部屋住みの三男坊。しかるべき家に婿の口を見つけるべく奔走することもせず、勝手気ままな暮らしを送る藤三郎は、兄からうつけ者の烙印を押されていた。ところがある日、親友の片貝孫四郎が辻斬りに惨殺され、許婚だったその妹の多希も凌辱の果てに自害するという事件が起こった。悲嘆に暮れる藤三郎だが、十字剣の使い手・時蔵とともに、親友を斬った下手人を討ち果たし、仇討ちを成し遂げる。己の出世に腐心し民を顧みない兄に愛想をつかした藤三郎は、表の法では裁けない悪を闇に葬る「裏」町奉行となることを決意。ついに、許婚を手にかけた老中の息子たちを追いつめた……。必殺の剣に、藤三郎の怒りが宿る!
  • どうした、家康
    値引きあり
    4.0
    人質から天下人へ。徳川家康のドラマチック人生! 幼少で母と生き別れ、少年時代は人質として各地を転々とした徳川家康。戦国の世を勝ち抜き、天下人として幕府を開くまでに、何度も訪れる人生の節目で、都度難しい選択を迫られた。織田家に囚われてから大坂の陣まで、歴史時代小説の精鋭十三人が趣向を凝らす、歴史改変もありの短編集。〈文庫オリジナル〉 織田家の人質となっていた少年時代 桶狭間の戦い 三河一向一揆 三方ヶ原の戦い 本能寺の変後の伊賀越え 小牧長久手の戦い 関東移封 関ヶ原の戦い 大坂夏の陣 など。 徳川家康の節目となった事績や事件をテーマに、ついに天下を手中に収めるまでの分かれ道を彼がどう切り抜けたか、史実に忠実な作品だけではなく、「あのときこうなっていたら」という歴史改変ものも含むバラエティー豊かなラインナップで、超短編を集めました。
  • 耳袋秘帖 妖談かみそり尼
    3.7
    お江戸は高田馬場の竹林に棲む、若くて美人で評判の月照尼(げっしょうに)の元には、人生相談に訪れる者がひきもきらない。その庵(いおり)の近くで、女好きの若旦那が死体で発見された。衣服には一筋の剃刀の跡。若旦那は、尼に会いに行くと言い残して家を出たという。やがて尼の周囲では殺人が相次ぐ。なぜか死体には、みな剃刀の跡が──。はたして尼の正体とは。根岸肥前守が、江戸の怪異を解き明かす、新「耳袋秘帖」シリーズ第二巻。
  • 耳袋秘帖 妖談さかさ仏
    3.6
    処刑される寸前、脱走に成功した仏像専門の盗人・庄右衛門(しょうえもん)は、ある寺で仏像をさかさにして拝む不思議な光景を目のあたりにする。同じころ深川では、売り出し中の美人芸者が姿を消す事件が起き、あろうことか木にさかさに吊られた女の遺体が発見された──。川を上る巨大魚の謎、柳の霊が人に憑くなど、南町奉行・根岸肥前守(ねぎしひぜんのかみ)のもとに報告される、不可解な事件の裏には一体なにが? 大人気怪奇シリーズ第四巻!
  • 裏用心棒譚一 茜の茶碗
    -
    武士としての矜持と理不尽な主命への反骨。その狭間で揺れ動く男の闘いを描いた、痛快娯楽時代小説!。 当て身一発で追っ手を黙らす。小宮山一之臣は、盗賊からの信頼が篤い凄腕の見張り役だ。しかし彼は実は相馬中村藩士。城から盗まれた茜の茶碗を捜索するという密命を帯びていたのだ。将軍から下賜された品だけに露見すれば藩は取り潰される。小宮山は浪人になりすまし任務を遂行するが――。非情な武士の階級社会とは対照的に、小宮山一之臣を支える盗賊たちの信義。そして彼を慕う、美しい女掏摸お梗。その結束が最後に田沼主殿頭をさえ唸らせる。
  • あやかし長屋 嫁は猫又
    4.0
    たまは猫又。尻尾の先が二つに分かれたネコの妖怪である。岡っ引きの平次のところに押しかけ、妖怪に取りつかれて廃屋となった両国橋近くの長屋にいっしょに住んでいる。だから近所づきあいは、雪女のお雪などの妖怪とばかり。平次は人間にはモテないが妖怪ウケはいいので、それで満足している。そんな折、町奉行の榊原が平次のもとを訪ねてくる。最近江戸で、人間の盗賊と妖怪が手を組んでいるので、平次も妖怪といっしょに賊を取り締まってほしいという要請だった。見返りは長屋を正式に貸し与えることと、役所として二人を夫婦と認めることだった。破格の条件にたまは飛びつき、平次は押し倒される形で賊退治へ……。
  • 突きの鬼一
    3.5
    殿さま出奔!頼みは秘剣“滝止”と博打!?  尾張徳川家の北隣、美濃北山三万石のあるじ百目鬼一郎太の楽しみは月に一度の賭場通いだ。九歳のみぎり、江戸下屋敷の中間部屋で博打を見聞して以来二十年、負けたことがない。どういう天の配剤か、賽の目が事前に脳裏に浮かぶのだ。もっとも、一郎太には別の目論見もあった。密かに城下に遊べば、民百姓の本音が聞けるからだ。北山藩は特産の寒天が藩の財政を底上げして、実収十万石。だが、年貢は依然として六公四民で、藩は百姓の犠牲の上に胡坐をかいていた。そこで一郎太が百年の計として打ち出した年貢半減令だったが、これが大きな災厄をもたらすことになる。ある晩、秘密の抜け穴を通り、城下外れの賭場に現れた一郎太は数十人の暗殺隊に襲撃される。頭格は大垣半象、北山三羽烏といわれた二天一流の遣い手で、国家老・黒岩監物の配下だ。突きの鬼一と異名をとる一郎太は二十人以上を斬り捨てて虎口を脱するが、襲撃者の中に年貢半減令に賛同する城代家老・伊吹勘助の倅・進兵衛がいたことに愕然とする。忸怩たる思いの一郎太は藩主の座を降りることを即刻決意、実母・桜香院が偏愛する重二郎に後事を託して江戸に向かう。だが、事はこれでは収まらなかった。
  • 天下御免の無敵剣 菊と葵の太刀
    4.0
    ものごころついたときは、京の尼寺に預けられていた六條頼母。位ある公家の血を引いている、と噂は立っていたが、羽織の背に菊の紋所が鮮やかに染まっているのを見た者は、帝の落し胤ではないかと、平伏した。そんな頼母が二十歳となった折、従四位下の官位を有するが故に、帝からある下命がもたらされる。将軍家への恭順を示すため江戸に下向し、橋渡し役として徳川へお仕えせよ、と申し渡されたのだった。小石川伝通院の寺侍となった頼母だが、畏れ多くもその身は帝の名代。寺社ばかりか大名家の屋敷にも“御出入り勝手”の証を得る。拝領した銘刀・粟田口吉光で不義を斬る頼母──。朝廷と幕府の名をもって天下を治めたいと渇望する美剣士の闘いがいま、幕を開ける!
  • 長門守の陰謀
    3.3
    長門守・酒井忠重が、藩主の世子を廃し、自分の子を後継に据えようとした「長門守事件」を題材とした表題作。小藩の武士の世界をその妻の視点からユーモラスに描いた「夢ぞ見し」。街場に暮らす庶民を丁寧な筆致で描いた「春の雪」「夕べの光」「遠い少女」。初期の藤沢作品を堪能できる5つの短篇集。
  • 夜の戦士(上) 川中島の巻
    3.8
    甲賀忍者、丸子笹之助は〈信玄暗殺〉の密命を帯びて甲斐に赴く。途中、常陸の鹿島に剣名の高い塚原卜伝を訪ね、その推挙を得て武田家に仕えることに成功する。だが、笹之助は信玄の侍女、久仁に熱い血潮をたぎらせ、密命と恋の板ばさみに陥る。上杉謙信との川中島大会戦前夜、笹之助に課せられた任務を知りつつ、それを許す信玄。その包容力と偉大さに感動した笹之助の背後に強力な甲賀忍者の群れが忍び寄った。
  • 高橋景保一件 幕府天文方書物奉行
    -
    カラフト海峡と北方領土の真実の姿を、一命をかけて追求し、クック船長ら世界の探検家が未だなしえなかった人類未到の世界全図を作った幕府天文方書物奉行の壮絶な生涯。

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  • 双調平家物語1 序の巻 飛鳥の巻
    3.5
    1~16巻921~1,152円 (税込)
    これは、「栄華」という幻想に憑かれた男達の物語である。話は、平清盛から始まらず、その栄華の原型を作った藤原氏、更には、本朝が範とした中国の叛臣伝から始まる。秦の趙高、漢の王莽、粱の朱い、唐の安禄山。彼等は真実、叛臣なのか。そして、万世一系の我が朝に、果たして真実、叛臣はあるのか。

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  • 信長影絵(上)
    -
    すべては、母に疎まれたことからはじまった 渇いた心が信長を天下統一へと駆り立てた。「下天は夢か」から四半世紀を経て、より深い人間解釈によって描かれる津本文学の集大成。
  • 紫式部と清少納言 二大女房大決戦
    4.3
    紫式部は執筆に追われていた。「源氏物語」を餌に、帝の関心を愛娘・彰子へと向けさせたい藤原道長から、続きを催促されているのだ。創作の手がかりが欲しい紫式部は、素性を隠し、荒れ屋で暮らす清少納言の元を訪れる。そこで、皇后定子の霊鬼が宮中を徘徊しているという噂を、うっかり口にしてしまい…。小競り合いばかりの二人が、霊鬼探しでまさかの共同戦線。平安文学好きには夢、超展開の二大女房大決戦! サイテーのライバルがサイコーのバディになる!?
  • 風のかたみ
    3.9
    上意討ちにあった、豊後安見藩一門衆筆頭の佐野了禅。女医師・伊都子は、ある密命を帯び、佐野家の女人たちが暮らす白鷺屋敷に送り込まれるが、そこでは不審な死を遂げる者が相次ぎ……。女の執念に切なさがこみ上げる長編時代小説。解説・冲方丁。
  • 善意の寺
    -
    南町奉行所定町廻り同心、早瀬菊之丞。相撲取りのような巨体に歌舞伎の悪役のような面倒はおよそ同心には見えぬ。だが実は、上方で観相の大家・水野南北に師事した観相の名人。観相のみならず、骨相で相手の関節を外したり急所を一撃する技も持っており、相棒の岡っ引、「はげ寅」こと薬研の寅蔵とともに探索に当たっている。ある日、寅蔵は道端で加藤主水と名乗る浪人に一発十文で殴ってくれと迫られた。相模国三崎藩のお家騒動で国を追われ、困窮の末に殴られ屋となったのだ。数日後、寅蔵は加藤が湯島・東観寺の寺男となったと知る。住職の妙斎が同郷の誼で三崎藩の浪人を救済していると評判の寺だ。だが寅蔵に誘われ、寺を訪れた菊之丞は、寺に悪意が膨らんでいるという……。黙って座ればぴたりと当たる、江戸のシャーロック・ホームズ菊之丞の活躍を描く、好評書下し事件帳シリーズ第三弾!
  • はだれ雪 上
    3.8
    諦めず、迷わず、信じた道を一筋に―― 謎の刃傷事件を起こした浅野内匠頭。 彼が密かに残した”最期の言葉”とは。 言葉を聞いた勘解由の、秘めたる想いの行方は。 直木賞作家が描く、かつてない「忠臣蔵」! 元禄十四年(1701)十一月。 若くして扇野藩の馬廻り役・中川三郎兵衛の後家となった紗英【さえ】は、江戸からやってくる永井勘解由【ながいかげゆ】という人物の接待役兼監視役を命じられた。  勘解由は旗本であり、幕府の目付役だったが、将軍・徳川綱吉の怒りにふれて扇野藩にお預けの身になったという。 この年、江戸城内で、播州赤穂の大名・浅野内匠頭が、高家筆頭、吉良上野介を斬りつける刃傷事件が起きていた。浅野内匠頭は理由を問われぬまま即日切腹。だが勘解由は、老中に切腹の見合わせを進言し、また切腹の直前、襖越しにひそかに浅野内匠頭の"最後の言葉"を聞いたという。この行いが将軍、徳川綱吉の知るところとなり、機嫌を損じたのだった。 雪が舞い散る中、屋敷に到着した勘解由を迎え入れた紗英は、役目を全うしようとするが――。 身分を隠し、勘解由の元を訪れる赤穂浪士。 勘解由のやさしさに惹かれてゆく紗英。 扇野藩に、静かに嵐が忍び寄る。 これまでにない視点から「忠臣蔵」の世界を描き、新たな感動を呼び起こす歴史時代長編! ≪熱き信念が胸を打つ、扇野藩シリーズ≫ ※本書は、2015年12月に小社より刊行された単行本を上下に分冊の上、文庫化したものです。
  • 幕末動乱の男たち(上)
    -
    幕末動乱の時代、勤王か佐幕か、攘夷か開国か、それぞれの立場は異なっても、激変する世相の中であくまでも己が志に忠実であろうとした維新期の人物群像を活写。その苛烈な生き様を、著者は極限まで潤色を排した筆致で鮮やかに描き上げる。上巻では有馬新七、平野国臣、清河八郎、長野主膳、武市半平太、小栗上野介の6人を、下巻では吉田松陰、山岡鉄舟、大久保利通のほか、田中新兵衛、岡田以造、河上彦斎の3人の刺客を取り上げる。綿密な実証に基づく海音寺潮五郎の「史伝」文学は、司馬遼太郎を始め多くの後進作家に大きな影響を与えた。
  • 故郷忘じがたく候
    3.6
    十六世紀末、朝鮮の役で薩摩軍により日本へ拉致された数十人の朝鮮の民があった。以来四百年、やみがたい望郷の念を抱きながら異国薩摩の地に生き続けた子孫たちの痛哭の詩「故郷忘じがたく候」。他、明治初年に少数で奥州に遠征した官軍の悲惨な結末を描く「斬殺」、細川ガラシャの薄幸の生涯「胡桃に酒」を収録。
  • 耳袋秘帖 妖談しにん橋
    3.5
    深川で、西国雄藩の藩士と石川島から戻ったばかりの無宿人が相次いで不審な死を遂げた。二人とも、満月前後の夜に「四人橋(よにんばし)」を四人で渡り、自分の影だけが消えたと言い残していた。そして、そのことがあった一両日中の死だった…。四人で渡ると死人が出る“死人橋”の噂は、江戸の町に一気に広まった。なぜ影が消えるのか? 裏にうごめく悪の正体を、赤鬼奉行・根岸肥前守(ねぎしひぜんのかみ)が解き明かす! 新「耳袋秘帖」シリーズ第三巻。
  • 傘張り剣人情控 辻打ち
    5.0
    生来のんきな傘張り浪人・寒川十蔵。ある夜、謎の娘に辻打ちにあったことから思わぬ事態に巻き込まれていく。親友の忘れ形見を守るため、かつて吉田の三羽烏と称されていたほどの剣の腕を思い出し、長屋の仲間に見守られながら、ついに剣の立ち合いに挑む!!

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  • 早雲の軍配者(上)
    4.2
    世は戦国、領民たちから「韮山さま」と慕われている伊勢宗瑞こと、北条早雲。彼に見出された少年・風間小太郎は、伊勢家の未来を担う軍配者となるべく、足利学校に送り込まれた。そこでは兵法・占術・医術・観天望気――戦国大名のブレーンに必要な学問に励む傍ら、生涯のライバルたちにも巡り会う!新時代の戦国青春エンターテインメント。

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  • 幸村を討て
    4.3
    真田家と両軍の思惑が交錯する大坂の陣――男たちの陰影が鮮やかに浮かび上がるミステリアスな戦国万華鏡。 誰も知らない真田幸村 神秘のベールに包まれた武将の謎を、いま最も旬な作家が斬る! 亡き昌幸とその次男幸村――何年にもわたる真田父子の企みを読めず、翻弄される諸将。徳川家康、織田有楽斎、南条元忠、後藤又兵衛、伊達政宗、毛利勝永、ついには昌幸の長男信之までもが、口々に叫んだ。「幸村を討て!」と……。戦国最後の戦いを通じて描く、親子、兄弟、そして「家」をめぐる、切なくも手に汗握る物語。
  • 阿修羅
    3.6
    奈良興福寺の阿修羅像。その少年のような姿かたちの仏像に面影を刻まれた男がいた。藤原氏の一族に生まれながら、光明皇后、藤原仲麻呂らの専制を憎み、打倒藤原氏に起ち上がった橘奈良麻呂。みずからの出生の秘密に苦悩し、謀叛を企てた罪で非命の最期をとげた奈良麻呂の生涯を描く壮大な古代ロマン。1300年の時空を超えて、阿修羅の物語がいま甦える。
  • 桜田門外ノ変(上)
    4.0
    安政七年(1860)三月三日、雪にけむる江戸城桜田門外に轟いた一発の銃声と激しい斬りあいが、幕末の日本に大きな転機をもたらした。安政の大獄、無勅許の開国等で独断専行する井伊大老を暗殺したこの事件を機に、水戸藩におこって幕政改革をめざした尊王攘夷思想は、倒幕運動へと変わっていく。襲撃現場の指揮者・関鉄之介を主人公に、桜田事変の全貌を描ききった歴史小説の大作。
  • 蒲生氏郷 武田信玄 今川義元
    -
    「今があながち太平の世でも無い。それでも女房には化粧をさせたり、親父殿も晩酌の一杯ぐらいは楽んでいられて、ソーレ敵軍が押寄せて来たぞ、酷い目にあわぬ中に早く逃げろ、なぞということは無いが、永禄、元亀、天正の頃は、とても今の者が想像出来るような生優しい世では無かった――」脱線、蘊蓄、戯言あり。知の巨人が興の向くまま、平易な語り口で史料を読みとく「戦国放談」。後の司馬遼太郎へと連なる傑作評伝。
  • 関ヶ原疾風伝 一 若き大老の決意!
    -
    慶長5年。宇喜多秀家は、遠路到着したばかりの家康本陣を狙うべく夜襲を敢行する。合戦の主導権を奪った西軍は、慎重派の石田三成、向背が定かでない毛利勢らをまとめつつ、宇喜多秀家が、徳川の野望を砕き、豊臣政権を、秀頼を守るために奮戦する!

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  • わたしのお殿さま
    -
    紀伊の霊峰を仰ぐ地で、刀鍛冶の家系に生まれた美禰は、後継者となるべく鋒みね国くにの名を与えられ、男を装うよう育てられた。だが、流刑の殿様との出会いが彼女の運命を大きく動かす。新シリーズ開幕。
  • 山本周五郎 作品集 一
    続巻入荷
    4.5
    時代小説の名手、山本周五郎が描いた人情話の傑作集。貧しさや虐げられた者たちが愛、悲しみ、怒り、慈しみ、恨み、嫉妬、義理などさまざまな感情を抱え、必死で生きていく姿に思わず胸が熱くなる。人生の喜怒哀楽を知り尽くした作家が描く庶民の生活。第一巻は「あだこ」「晩秋」「おたふく」の三本を収録※読みやすくするため現代の言葉に近づけていますが、作品の性質上、そのままの表現を使用している場合があります。
  • うちの旦那が甘ちゃんで 1
    3.6
    はっきり言って月也は「ぼんくら」である。月也とは、北町奉行で風烈廻方同心を拝命している、沙耶の旦那のことだ。のほほんとした性格から、盗人を取り逃がすことが多く、付き人である小者たちは愛想を尽かして次々に辞めていった。小者は捕り物の補助や身の回りの世話をする重要な存在で、小者がいなければ同心は能力の半分も発揮できない。次の小物をどうやって手当てすればいいのか。沙耶が思いついたのは、なんと自分だった!
  • 史記 武帝紀(一)
    完結
    4.0
    匈奴の侵攻に脅かされた前漢の時代。武帝劉徹の寵愛を受ける衛子夫の弟・衛青は、大長公主(先帝の姉)の嫉妬により、屋敷に拉致され、拷問を受けていた。脱出の機会を窺っていた衛青は、仲間の助けを得て、巧みな作戦で八十人の兵をかわし、その場を切り抜けるのだった。後日、屋敷からの脱出を帝に認められた衛青は、軍人として生きる道を与えられる。奴僕として生きてきた男に訪れた千載一遇の機会。匈奴との熾烈な戦いを宿命づけられた男は、時代に新たな風を起こす。北方版『史記』、待望の文庫化。(解説・鶴間和幸)
  • 関ヶ原連判状 上巻
    3.8
    豊臣秀吉亡き後、再び風雲急を告げる乱世。徳川家康に従うか、それとも石田三成につくか。東西両軍どちらに味方するかで、それぞれの思惑が錯綜するなか、第三の道を模索する英傑がいた。その名は、細川幽斎。足利幕府最後の将軍の異母兄にして、当代唯一の「古今伝授」の伝承者である彼は、加賀前田家、そして朝廷をも巻き込んだ一大諜報戦を仕掛けた。関ヶ原合戦の知られざる真相をあばく大作。
  • 吟味方与力人情控 花の嵐
    4.5
    北町吟味方与力・鼓晋作は江戸町会所の使途不明金を探索していた。会所の取締役・逢坂屋孫四郎を横領の疑いで詮議立てする直前に、店の書役・藤吉が姿をくらました。その住家には血塗れの両親と妻の惨殺死体が残され、まだ乳飲み児の姿が消えていた…。

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  • たそがれ清兵衛
    3.8
    下城の太鼓が鳴ると、いそいそと家路を急ぐ、人呼んで「たそがれ清兵衛」。領内を二分する抗争をよそに、病弱な妻とひっそり暮らしてはきたものの、お家の一大事とあっては、秘めた剣が黙っちゃいない。表題作のほか、「ごますり甚内」「ど忘れ万六」「だんまり弥助」「日和見与次郎」等、その風体性格ゆえに、ふだんは侮られがちな侍たちの意外な活躍を描く、痛快で情味あふれる異色連作全八編。
  • 夢のまた夢 若武者の誕生
    3.0
    戦乱で親を失った少年・神照庚丸は、養い親の僧侶・浄林の縁で大坂城に上がり、豊臣秀頼の奥小姓となった。 折から迫る徳川家康の圧力。秀頼に取り立てられ若武者となった彼は、関ヶ原の戦いを生き延びた島左近を軍師に迎え、戦場へ向かうことに……。 「大坂の陣」での庚丸の命運は? そして、彼は一体、何者なのか? 『星界の紋章』シリーズなど、壮大なスペース・オペラで人気の、SF界の鬼才が描く歴史時代エンタテインメント!
  • 高積見廻り同心御用控【合冊版/全3巻】
    -
    南町奉行所の高積(たかづみ)見廻り同心・滝村与兵衛、通称“滝与の旦那”。 普段は、荷の積み降ろしに違反や乱雑な振る舞いがないか、人出が多いところで荷を広げ、通行の邪魔をしていないか取り締まるのがお役目だが、お店や町屋の様子に詳しいことから年番方与力に見込まれ、市中を騒がす事件の探索を命じられるようになるが……。 名手が描く人情時代小説、全3巻を収録した合冊版。
  • 軍師の門 上
    4.1
    豊臣秀吉の頭脳として、「二兵衛」と並び称される二人の名軍師がいた。野心家の心と世捨て人の心を併せ持つ竹中半兵衛、己の志を貫きまっすぐに生きようとする黒田官兵衛。混迷の現代に共感を呼ぶ長編歴史小説。
  • 兵、北の関ヶ原に消ゆ 前田慶次郎と山上道牛
    4.0
    戦国時代に異彩を放つ二人の男がいた。一人は、北条、上杉と戦い、織田信長、豊臣秀吉に仕えた猛将の山上道牛。そして一人は天下の傾き者・前田慶次郎。相反する二人はどのように邂逅したのか──1556年秋、山上城城主の山上氏秀は、関東を席巻する北条軍に城を包囲されていた。近隣諸侯に援軍を求めるも、北条を怖れて二の足を踏む事態に、氏秀は徹底抗戦を余儀なくされる。武勇で鳴らす氏秀の活躍も空しく、城は陥落寸前。重臣たちの説得により降伏を選択した氏秀は、北条氏康により領地追放となる。城を失った城主……己にできることは北条と戦うのみ。出家し、山上道牛となった男は、北条に敵対する佐野家を頼り、新たな戦場を求めるが──。
  • 八丁堀の狐
    -
    静かにただ独りで悪に食らいつく北町奉行所与力・狐崎十蔵。江戸の悪党たちは恐れを込め「八丁堀の狐」と呼ぶ―。本所、小石川、八丁堀で町奉行所同心が続けざまに斬殺された。面子を潰され下手人の捕縛に躍起になる町方同心たちをよそに、十蔵は本所鐘楼下の博奕打ち、般若の五郎蔵一家を執拗に追う。十蔵の狙いは「稲妻」。江戸八百八町の町人をむしばむ禁制の麻薬だった。売人を泳がせ、五郎蔵一家の背後に八百石小普請組の旗本が潜んでいることを突き止めた十蔵。だが、そこで用心棒を務めるのは同心殺しの人斬り浪人だった。襲いくる神速の殺人剣。待ち受ける巧妙な罠。絶体絶命に陥った八丁堀の狐だが…。気鋭が贈る迫力の書下ろし。
  • 悪道
    3.5
    時は元禄。将軍綱吉が柳沢邸に御成り中、天下の大乱を招きかねない変事が勃発。吉保は秘密を知るもののみなごろしを暗殺集団猿蓑衆に命ずる。伊賀忍者の末裔の流英次郎は天才女医のおそでを護り、おくのほそ道を血に染め、逃亡の旅へ。強大な敵の喉元に迫るは不屈の一寸の虫たち。一方、江戸城奥深くでは、生きる屍のような「影」が「このまま飼い殺しにされてたまるか」と、その時を待っていた……。人の業を問う、傑作時代小説。
  • 市塵(上)
    4.0
    貧しい浪人生活から儒者、歴史家としてようやく甲府藩に召し抱えられた新井白石は、綱吉の死後、六代将軍家宣となった藩主とともに天下の経営にのり出していく。和漢の学に精通し、幕政改革の理想に燃えたが、守旧派の抵抗は執拗だった。政治家としても抜群の力量を発揮した白石の生涯を描く長編感動作。
  • 新装版 柳生非情剣
    4.5
    剣に生きる一族として、将軍家指南役となった柳生。連也斎、友矩、宗冬、十兵衛、新次郎、五郎右衛門。尋常でない修行による技、将軍家と関わることによって起こる惨憺たる一族の相克、死を見据えてなお剣の道に生きざるを得ない激烈な生きざまを、乾いた筆で描き切る。作者が生前に世に問うた唯一の短編集。
  • 合本 輪違屋糸里【文春e-Books】
    5.0
    130万部を超えるベストセラー『壬生義士伝』から四年。芹沢鴨暗殺の 真実に迫った、浅田版新選組第二弾の登場! 六つで花街・島原の輪違屋に売られた糸里は美しい芸妓に成長した。日に日に対立の溝が深まる近藤派と芹沢派。両派の和解に自分を利用しようとする土方歳三に翻弄される糸里は、いつしか新選組の運命に寄り添っていく……。連載終了後、多摩に住んでいた著者の曾祖父が天然理心流を習っていたことも判明。骨の髄まで新選組にどっぷりとつかった最高傑作の合本!
  • 新装版 一絃の琴
    4.0
    直木賞受賞作。土佐藩の上士の娘・苗は、祖母・袖の嗜みであった一絃琴を5歳の時に初めて聴き、その深い音色に魅せられた。運命の師有伯と死別した後、結婚生活で一度は封印したものの、夫の理解を得て市橋塾を始め、隆盛を極めた。その弟子となった蘭子は苗との確執の果て、一絃琴の伝統を昭和に伝える(講談社文庫)。
  • 天保艶犯科帖
    -
    老中の水野忠邦は天保の改革で贅沢を禁じた。しかし、それは人々の心を疲弊させ、景気は悪くなる一方であった。大店呉服屋の時次郎は景気の先行きを案じ、大奥御用達の座を得るため南町奉行の鳥居耀蔵に近づくが、その煮えきらない態度に業を煮やし、自ら今の御用達である扇屋をつぶすことを画策する。ねらわれた扇屋は用心棒を雇うことにし、南町の定町廻り同心・倉田彦三郎の通う道場の師範代である坂木結衣がその任に納まる。その夜、賊が押し入り、ひとり娘の美奈がさらわれた。結衣と彦三郎はあとを追うが、一味は大きな屋敷に逃げこむ。しかしそこで、彦三郎は意外な人物に出くわして……。殺伐とした世に、ひとすじの光明をさす痛快娯楽時代小説!
  • 夢草紙人情おかんヶ茶屋
    3.3
    四十路半ばとは思えぬ嫋やかな美しさを備える女将・お蝠が営む『おかんヶ茶屋』に出てくる惣菜は、ごく普通の家庭料理だが、豊潤で心を和ませるあたたかい味だ。人は癒やしを求めこの茶屋に集まってくる。そんな中、欽哉が人足寄場から戻ってくることに。みんなに温かく迎えられ、歓迎会ではお蝠の惣菜を口にし、うめぇ、うめぇと涙をこぼす。欽哉は火消し人として精を上げることを決めるも、食事もせずに引きこもってしまった。欽哉の想いとは?
  • 小説 紫式部
    3.0
    2024年大河ドラマは紫式部! 名作『源氏物語』の作者が直木賞作家の手によって等身大の女性として鮮やかに蘇る。 時は平安時代――。藤原家に生まれた香子は、一人の女性として悩みながら、物書きの才能を開花させていく。 彼女はいかにして「紫式部」となったのか。そして『源氏物語』の執筆の陰にある彼女自身の物語とは……。 時の権力者道長との関わりなど、小説ならではの展開の中に実像を追う。 作中に登場する人物たちが織りなす和歌にも注目! 「紫式部は歴史に残る大作『源氏物語』の作者である。わが国物書きの最高峰の先達と考えていた。 いつかは始祖紫式部の生まれ育ち、生き方について書きたい、と思うようになっていたのである」(「あとがき」より) 解説に、中山義秀文学賞や新田次郎文学賞などで注目の作家・奥山景布子氏が特別寄稿!
  • 新装版 落日の宴 勘定奉行川路聖謨(上)
    4.4
    江戸幕府に交易と北辺の国境画定を迫るロシア使節のプチャーチンに一歩も譲らず、国境画定にあたっても誠実な粘り強さで主張を貫いて欧米列強の植民地支配から日本を守り抜いた川路聖謨。軽輩の身ながら勘定奉行に登りつめて国の行く末を占う折衝を任された川路に、幕吏の高い見識と豊かな人間味が光る。

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