Posted by ブクログ
2020年04月23日
「歴史」小説ではなく歴史「小説」として屈指の出来。美濃一国を奪い取るマムシこと斎藤道三を描いたピカレスク小説の傑作の前編。
大河ドラマ「麒麟がくる」をきっかけに約20年ぶりに再読。司馬遼太郎の作品の中でも人気の高い方だろう。昔読んだ時はのちの斎藤道三、松波庄九郎があまりにハイスペックでスーパーマン...続きを読む的存在、現実味がなく感情移入できなかった。今回あらためて読んで評価は一変した。
歴史として読むのではなく司馬遼太郎という作家が歴史を題材に創作した人物と割り切ればこれほど痛快、魅力的な人物はいない。
鮮やかな手並み手並みで還俗した法蓮坊は松波庄九郎と名乗り、京の豪商油屋の奈良屋を乗っ取り、やがて美濃一国を国盗りの拠点と定め動き出す。
上巻は美濃国主土岐頼芸の腹心として美濃一国を奪うところまで。下巻、その後織田信長編の上下巻の4巻構成。