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Posted by ブクログ
宮本昌孝氏『風魔』でちらりと描かれた佐竹・常陸仕置きに触発され、本作を手に取った。
本作は、佐竹義重・義宣二代の物語である。領国・常陸を守るという同じ信念を抱きながらも、異なる方向へ進んでいく親子の姿が対比的に描かれる。戦国の古い価値観に生きる父と、秀吉の治世のもとで体制の刷新を図ろうとする子。両者のすれ違いは、時代の転換そのものを象徴している。
父義重の視点では、内心では義宣の考えに理解を示しつつも、武士としては受け入れがたいという葛藤が丁寧に表現されている。その人間味は魅力でもあるが、一方で両者ともにどこか小物感が強い点が終始気になった。情けない息子と頑固で時に横暴な父の姿が折々に垣間見え、読者として苛立ちを覚える場面も少なくない。もう少し人物造形を単純化してもよかったのではないか、とも感じた。
義宣と妻・正洞院とのエピソードは印象深い。二十四歳にして自らを戒めた正室。反発し合いながらも心では通じ合っていた二人。そのなかで、夫の革新を前に変われぬ自らを恥じ、自害に至る展開には胸を打たれた。
…夫の足かせになるまいとする彼女の情愛は、皮肉にも義宣の目指す変革に対する、これ以上ない拒絶でしかなかった…
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