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五感集
ナオミの匂いは痙攣を繰り返す度に、スミレの花のように、ゆっくりと透明になり、消えていく。そして次の波に呼応するように再び現れる。まだ最期ではない。もっと自分を鎮めてくれ。そう囁くようにナオミの匂いが、客の脳裏で薄まり、消え、現れる。(本文より) 太平洋戦争末期、神戸の山奥にある娼館で、ナオミという幽閉されていた女が忽然と姿を消した。果たして彼女は本当に殺されたのか、それとも……。あらゆる感覚を刺激する異色の長篇ミステリ。 ●浅暮三文(あさぐれ・みつふみ) 小説家。第8回日本ファンタジーノベル大賞最終候補を経て、1998年第8回メフィスト賞『ダブ(エ)ストン街道』でデビュウ。2003年第56回日本推理作家協会賞を『石の中の蜘蛛』で受賞。他作品に『実験小説ぬ』『ぽんこつ喜劇』、エッセイ『おつまミステリー』など多数。著作はイタリア、韓国で翻訳され、中学校教科書に採用された。日本文芸家協会、日本推理作家協会会員。 -
互換性の王子
「お前にしかできないことなんて、ない」――兄・実行 「あきらめたら、俺という存在はどうなるんだ」――弟・成功 順風満帆な御曹司の前に突如現れ、入れ替わろうとした異母兄。 お前は俺から、仕事も恋も奪おうというのかーー。 『犯人に告ぐ』『望み』『検察側の罪人』の著者が描く、スリリングなサバイバルレース! 入れ替わった「王子」の戦いの行方はーー。 【あらすじ】 準大手飲料メーカー・シガビオの御曹司、志賀成功(なりとし)が何者かによって別荘に監禁された。 彼は取締役就任と、意中の女性・山科早恵里との交際を目前にしていた。 半年後、絶望の中で解放された成功が会社に行くと、社内の状況は一変し、かつての彼のポストには突如現れた異母兄・実行(さねゆき)が入れ替わっていた。 そして実行は早恵里にも近付こうとしている。 「奪われたものは、奪い返さなければ」 成功は、事件の真相と自らの復権をかけて奔走するがーー。 異母兄弟がビジネスと恋で火花を散らす、一気読み必至のエンターテインメント! 【著者プロフィール】 雫井脩介(しずくい・しゅうすけ) 1968年生まれ。愛知県出身。専修大学文学部卒業。2000年、第四回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作『栄光一途』で作家デビュー。2004年に『犯人に告ぐ』がベストセラーに。同年の「週刊文春ミステリーベスト10」で第1位となり、第七回大藪春彦賞も受賞した。『火の粉』『クローズド・ノート』『ビター・ブラッド』『検察側の罪人』『仮面同窓会』『望み』『引き抜き屋1 鹿子小穂の冒険』『引き抜き屋2 鹿子小穂の帰還』など映像化された作品多数。近著に『犯人に告ぐ2 闇の蜃気楼』『犯人に告ぐ3 紅の影』『霧をはらう』など。2023年、『クロコダイルティアーズ』で直木賞候補となった。 -
五感を研ぎ澄ませて
夢のような音楽を 「聴く」、好きな相手の匂いを 「嗅ぐ」、素晴らしい料理を 「味わう」、懐かしい思い出に 「触れる」、美しい人を 「見つめる」。 いつの時代も、どんな国でも、身体に刻まれる鮮やかな五感で、人は愛を知る。 由緒あるチェロに導かれた大学院生、留学先のフランスで恋に落ちる美大生、特殊な才能を武器に世をわたる料理人……。一見なんのつながりもない人々の運命が思わぬところで絡み合い、不思議なストーリーを形作っていく――。 心の機微を細やかに描く作家・永田ガラによる、情感溢れるファンタジックな物語。 -
五月最後の金曜日
東京に住む二人の男。京都のスマート珈琲店で落合う。京都に用があるわけではなく、相談事のために。二人はそぞろに京都の町を徘徊しながら、のんびりと様々な話をする。会話はほんの少し、二人の生活を映し出す。 五十三歳の作家と四十一歳のライター、東京に住む二人の男が京都のスマート珈琲店で落ち合うところから物語は始まります。特に京都に用があるわけでもなく、ほんの少しの相談事のために会い、しかし、二人はそぞろに京都の町を徘徊しながら、のんびりと様々な話をします。作家は歩いている京の町の近くに実家のある校閲の女性の話をして、新婚のライターは偶々入った古書店の店主が、かつて取材した相手だったという話をします。二人の会話はほんの少し、二人の生活を映し出し、すっかり京都を堪能した二人は一緒に東京に帰るのです。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『珈琲が呼ぶ』(光文社)、『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)などがある。 -
5月の幻影
あなたの愛するペットはどのような思いで最期を迎えたのでしょうか? 様々な死の場面を経験してきた現役外科医が、その培った死生観を基にペットの死を語った。 松本孝雄は消化器外科医である。松本家の愛犬ナサは悪性リンパ腫を患い、抗癌剤治療を行ったが亡くなった。松本は鼠径部のリンパ節腫脹に気付いた。精査の結果、ナサと同じ悪性リンパ腫と診断され、抗癌剤治療を開始した。松本はその治療の過程で、ナサの思いを知ることとなる。 ペットは我々に何も語らずに最期を迎える。しかし、共に過ごした家族には、何らの感情を抱き、何かを伝えようとし、そしてその瞬間を迎えるのであろう。 それはどのような思いか? この本はヒントを与えてくれる。 -
ごきげんいかが、ワトスン博士
1889年夏。アイリーン・アドラーと親友のペネロピーは、パリで意識を失った男性を助ける。偶然にも、彼はペネロピーが家庭教師をしていたときの知人クウェンティンだった。医師の診察により、昏倒したのは毒物が原因だと判明するが、彼は詳細を語らない。だが、アイリーンの家で療養中に狙撃されたことで事情を打ち明ける。かつて戦場で助けられた軍医に迫る危機を知らせるため、危険を承知で彼を捜しているというのだ。軍医の名はワトスン――。アイリーンたちはアフガニスタンに端を発する事件をめぐり、名探偵ホームズとまたもや相まみえる! -
ご近所美術館
国道沿いのビル群の間にひっそりと建つペンシル・ビル。その二階に“美術館”はあります。のんびり寛げるラウンジは憩いの場として親しまれ、老館長が淹れるコーヒーを目当てに訪れるお客もちらほら。しかし、この度館長が引退することに……。後任としてきたのは、稀に見る美貌を持つ川原董子さん。そんな彼女に、常連の海老野くんは一目惚れしてしまいます。董子さんを振り向かせたい一心で、彼女の妹あかねさんの助けを借りつつ、来館者が持ちこむ謎を解決していく海老野くん。果たして、彼の恋の行方は? 恋する青年が美術館専属の探偵となって奮闘する、ほんわか連作ミステリ。/解説=大矢博子 -
極悪
不正輸出で莫大な巨利を貪る財界の黒幕たちを相手に悪徳探偵が牙を剥く! 私立探偵・石津研次……調査で掴んだ情報は強請恐喝で応用し、金になるなら何にでも首を突っ込む、業界で“ハイエナ”と異名を取る悪党だ。彼のもとへ二十六歳のOLの行方を探してほしいという依頼があった。石津は女の恋人とされる明日香産業のエリート社員を追うが、何者かに襲撃される。失踪事件の裏には不正輸出に絡む意外なからくりが隠れていたのだ…。長篇官能バイオレンス第1弾。 ●広山義慶(ひろやま・よしのり) 1935年大阪生まれ。早稲田大学文学部仏文科卒業。児童文学、翻訳、TVドラマの脚本家を経て、1983年『夏回帰線』でデビュー。『女喰い』シリーズ(祥伝社)、『無法戦士・雷神』シリーズ(光文社)などハード・バイオレンスを中心に著書多数。 -
極辛版 キムチ大探検
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 キムチを通して知る韓国の生活と文化! ソウルのキムチは辛くない! 本場でさまざまなキムチを食べて回り、その作り方を詳しく習ってきた取材チームのキムチなんでも百科。ソウルの最新ガイドも満載! 極辛の「秘密」を求めて本場を食べ歩き! ソウル観光にも絶好の一冊。キムチを知れば韓国が見えてくる! ペチュキムチ、ポッサムキムチ、ムウトンチミ……。真っ赤な辛いものから、あっさりした汁ものまで、韓国のキムチはともかく多種多様。韓国パワーの源といわれるこの過激な漬物の正体は? 本場キムチの秘密を求めて現地取材した、初めての詳図鑑。ソウル市内のホテル、ショッピング、食べ歩きなどの最新情報も満載したカラー文庫。 -
「極」怖い話 遺託
彼岸への旅立ち――帰り道なきその船出に際し、心の旅支度が完全に出来て逝く者がどれほどあろうか。死を予期していても恐怖と未練を洗い流し、心の整理をつけることは難しい。ましてや突然の事故・災害で否応なく旅立った者たちの無念さは計り知れない。残していった者への情愛、そして恨み……此岸を離れてもきつく小指に巻き付いた執着の糸はどこまで行っても切れることはない。この糸が切れるまでは、死んでも死にきれない。けして浮かばれないのだ。無念の炎に抱かれた死者の魂はこの世に舞い戻り、生者に強烈なメッセージを送ってくる。恨みをはらそうとする恐怖の怪現象、愛するものへの吉作用の不思議現象。そして時には、彼らが果たせなかった何かがを遂行してほしいという「依頼」が届くこともある。これはそんな死者からの戦慄の頼み事である……。 数人の怪談ライターの下を渡り歩いた超曰くつきの怪談がついに加藤一の手で成仏する。衝撃戦慄の長編実話怪談『位牌の遺言』収録! -
「極」怖い話 謝肉災
冬の「超」怖い話を牽引する加藤一が挑む、もうひとつのソロワーク「極」怖い話。実話怪談の先駆者として、実話であること常に意識し見定めてきた著者が、厳しい目線で選び抜いた恐怖の数々を今回もたっぷりと収録した。いつどこで起きた怪異事件かはっきりしているもの、新聞沙汰になるような事件の裏で起きた怪異については実際に新聞記事で確認がとれたものなど、そのリアリティは折り紙つきで、まさに本物というべき凄みに満ちている。その他、家・土地絡みの話、動物に関する奇怪な話などおぞましさは絶品、怪談ジャンキーなら貪り読みたくなること間違いなし!怪と恐怖の祭りをぜひお楽しみあれ…。 -
「極」怖い話 地鎮災
一世一代の買い物―家。不動産の購入は多くの人にとって一生に一度あるかないかの一大イベントにして、最も高価な買い物だ。それにもかかわらず、試用期間も事前練習も許されず、少ない情報の中で決断せねばならない。住み始めてから何かあってももう遅く、再度売り払い、引っ越すのは並大抵なことではない。だが、この世には手を出してはいけない物件というのが確実に存在し、呼び寄せられるが如くそこに住んでしまった人たちがいる。俗に言う瑕疵物件だけでなく、遙か昔の歴史が絡む曰くつきの土地など様々なケースがあるが、そこでは信じ難き恐怖と不幸が実際に起きている。北海道の有名心霊スポット、円形マンションの真実に迫る驚愕の取材をはじめ、呪われた家と土地に纏わる実話を集めた渾身の書き下ろし怪談! -
「極」怖い話 甦怪(そかい)
恐怖体験とは、謂わば怪奇との不運な遭遇である。日常という道端に罠のごとく落ちているもの。それをうっかり拾ってしまったがために訪れる悲劇である。拾ったものはどうするか。捨てるほかあるまい。その捨て場こそが、実話怪談大会「超‐1」であった。二度と取りに来ぬつもりで捨て置かれた荷物―否、預け託された恐怖が毎年山のごとく著者の元に集まった。その幾つかは酔狂な実話怪談愛好家に傑作選として饗されたが、実は恐怖の真相が見えぬまま埋もれてしまった話がある。それらが今回、甦った。あの話の恐怖はそんなものじゃない―地の底から響く声に操られるように著者はそれらを引き摺り出した。さあ、貴方も取りに来てください。まだ生きていますから。真の恐怖はこれからです…。 -
「極」怖い話 面妖
アヤカシ、物の怪は実在するか、否か。その答えはいまだ証明されていないが、幽霊、心霊の類よりさらに疑われてきたことは否定しようのない事実である。また、「妖怪は怪談の墓場」とも言われる。怪異が妖怪の仕業だというレッテルが貼られた時点でその怪談は死ぬ…つまり、怪談の命である恐怖が消えてしまうということらしい。だが、本当にそうだろうか? 平安の世からその存在が囁かれている物の怪、アヤカシの類は時代の中で繰り返し誰かに目撃され、同じ恐怖を体験されてきたからこそ、現代まで語り継がれているのではあるまいか。単なる見間違えや勘違いではあり得ない強烈な存在感がそこにある……だからこそ胸底から恐怖が沸き起こるのだ。かつてマイクロマガジン社から出版された幻の傑作「妖弄記」に、今回書き下ろしで新たな目撃譚・体験談を収録して復刻。知る人ぞ知るアヤカシの名著がいま甦る! -
「極」怖い話 罠
負の念を抱えた霊というものがある。彼らは手ぐすねひいて待っている。あなたが“そこ”に踏み入れる瞬間を。そして隙あらば狙っている。無防備な足首を掴み、無間の底に引きずり込む僅かなチャンスを。“そこ”とはどこにあるのか?それは何も特別な場所ではない。あなたの日常―通勤通学路、学校や職場、楽しき我が家の中にスポットのように潜んでいる。目を閉じていま一度見つめてみるがいい。あなたには見えないか?死の野辺が。カタカタと嗤う髑髏の群れが。目に見えぬ地雷のごとく仕掛けられた霊たちの罠、カチリと頭の奥で音がした時はもう遅い。やつらの手の中に落ちている。そんな絶体絶命の罠から生還した人々の戦慄の恐怖譚。 -
極道刑事
成田空港の外相狙撃事件、そして地下鉄爆破事件! 捨て身の捜査で凶悪なテロ組織を追う! 地下鉄の国会議事堂前駅で丸ノ内線が大音響とともに爆発、駅構内は泣き叫ぶ死傷者で地獄と化した。数日前に成田空港で起きた外相狙撃事件とともに、警察関係者を狙った犯罪だった。テロリストによって同僚と妻子を殺された西来路刑事の捨て身の捜査を描く、バイオレンス・アクション小説の傑作シリーズ第1弾。 ●龍一京(りゅう・いっきょう) 1941年大分県生まれ。元兵庫県警察、司法警察官として主に公安を担当する。退職後、コンサルタント業等を経て、作家に転身。著者の実体験をふんだんに織り込んだ、リアルな刑事の実態を描く警察小説を得意とする。『偽装捜査』(光文社文庫)、『狂った正義』(廣済堂文庫)、『鬼刑事(デカ)謀殺痕』(祥伝社文庫)、『重犯』『虐讐』(徳間文庫)など著書多数。 -
「極道乱れ恋唄~仁義なき恋愛抗争~」護崎龍牙編
「極道乱れ恋唄~仁義なき恋愛抗争~」護崎龍牙編のゲームノベライズ シリーズ3 護崎の「女」になった千鶴。その後、しばらくして護崎は組長を始めとする組幹部たちの前で千鶴を紹介し、晴れて関係が認められるようになります。ところが、幸せを感じていたのも束の間、広目組に突然、家宅捜索が入ります。慌てる千鶴に「どうも警察と関西の暴力団が繋がっているらしい」と言う護崎。バタバタする日は続きます。 そんなある日、千鶴は広目組と対立する関西の暴力団の手の者によって病院から連れ去られてしまいます。 間一発、駆けつけた護崎らに助けられる千鶴。関東と関西の暴力団の抗争も未然に防がれ、落ち着きを取り戻す二人。 人望を集めていた護崎は先代に代わり、組長となることに。その襲名式が終わった直後、護崎は千鶴にプロポーズをし、千鶴は正式に「組長の妻」になることを決意するのでした。 -
極秘指令
台湾に生まれ、日本人と結婚し、那覇に住んでいた主人公莉莉。しかし、夫は生活費を渡さず、天邪鬼の習性を持ち、妻に対する精神的な虐待……。夫婦は一度離婚し、長男が不登校の問題で、再婚復縁したものの再び離婚した。問題は、強権者の誰かが家庭裁判所の権限を越え、トリックを掛け、養育費という債務名義を奪い取った。莉莉は裁判所に訴えるが、何故か公安警察に付きまとわれる。特定秘密保護法が成立した後、共謀罪もやがて強行採決される四面楚歌の状況に陥り、身の危険を感じた莉莉は、ミステリー小説の形で事の経緯を書き記し、そのデータを保存したUSBメモリを親しい刑事に託すことになる―― -
ごく普通の恋愛小説
ふと地元の銭湯に行ったことから始まる偶然の連鎖。あれよあれよと一つの恋愛物語へと転がっていきます。 翻訳家の橋本哲郎が、ふと地元の銭湯に子供の頃以来行っていないことに気がついて、行ってみることにしたことから始まる偶然の連鎖は、あれよあれよと一つの恋愛物語へと転がっていきます。そこで描かれるストーリー自体は、タイトル通り「ごく普通の」恋愛物語かもしれません。しかし、その急な坂道を転がり落ちるようなスピード感と、無駄のない構成の中で語られる過去のエピソードの説得力は、凡百のラブストーリーとひと括りにできるものではありません。世田谷の片隅で長い時間かけて用意されていた恋愛の種が実を結ぶ瞬間を捉えた小説です。 底本:『ジャックはここで飲んでいる』2016年、文藝春秋 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)、『窓の外を見てください』(講談社)などがある。 -
ごく短い小説の研究:近現代日本掌編文学論
「迅速尊重時代」の文学から20世紀をとらえる。 長編・短編を中心に語られてきた日本近現代文学史を、短編よりも短い小説、「掌編文学」から考察する。 1920年代半ばに流行した「コント」、新感覚派の試みとしての「掌篇小説」、プロレタリア文学の実践としての「壁小説」、国策文学としての「辻小説」、星新一を中心とした「ショートショート」……ほかにも、「原子小説」「四〇〇字小説」「けし粒小説」などの名ですがたかたちを変え、人々に親しまれてきた“ごく短い小説”掌編文学の百年を多角的に検証する。掌編文学を掲載するのに適したメディアであった新聞との関係も考察しつつ、太宰治、三島由紀夫、松本清張、村上春樹らの作品も具体的に論じる。 -
獄盛怪談
大餓鬼様は血縁の者に取り憑いて食べたい物を訴え、用意できないと酷く祟るという… 「エケチェンを食べたいよう!」 赤ちゃん? 何の赤ちゃん? 子猫? 子犬? まさか――。 ――「大餓鬼様」神沼三平太 より 二人の怪談シェフが厳選ガチ怖素材で腕を振るう! 極 上の最恐メニュー、胸焼け必死の怖い話! 巨漢作家二人が東西を奔走し、究極の恐怖体験談を聴き蒐めてじっくり調理した最恐ヘビー級怪談集! 監禁された廃墟の押し入れ、開いていた穴から差し出される食べ物で命拾いしたという幼女の不思議な体験…「赤いマニキュア」 母の知り合いの中年男が持ってくる奇妙な弁当のようなものを食べさせられた少女の記憶とは…「暗闇丼」 深夜ふらりと入った定食屋での厭な出来事は後の運命と大きな関係があって…「交換定食の夜」 子供の頃、あの田んぼで取れた米は食べてはダメだと教えられたその理由とは…「にえたにえた」 など、食に纏わる怖い話と土地や家に関わる怪異譚、全22話収録! -
極楽に至る忌門
四国の山奥にある小さな村。そこには奇妙な仏像があり、大切に祀られていた。帰省する友人・匠に付き添い、東京から村を訪れた隼人は、村人たちの冷たい空気に違和感を抱く。優しく出迎えてくれた匠の祖母の心づくしの料理が並ぶなごやかな夕食の最中、「仏を近づけた」という祖母の言葉を聞いた瞬間、匠は顔色を変える。その夜、匠は失踪し、隼人は立て続けに奇妙なことに巻き込まれていくが――。東京での就職を機に村を出て、親族の死をきっかけに戻ってきた女性が知った戦慄の真実。夏休みに祖父の家にやってきた少年が遭遇した恐るべき怪異。昭和、平成、令和と3つの時代の連作中篇を通して、最強の拝み屋・物部斉清ですら止められなかった、恐ろしい土地の因縁と意外な怪異の正体が浮き彫りになっていく……。ホラー文庫30周年記念、書き下ろし作品。 -
極卵
食の安全を問い糾す、衝撃ミステリー作品! 天使の卵か悪魔の卵か……。 吉祥寺にある有名自然食品店で売られている卵は、極上の味、『極卵(ごくらん)』と呼ばれて大人気の商品だった。しかし、この極卵を原因とする、食中毒事件が発生。時間がたつうちに幼児の感染者が次々に死亡していく。餌、衛生管理は完璧だったはずなのになぜ汚染されたのか。 疑惑を追い始めた元新聞記者の瀬島桐子。桐子の同級生だった野々市純子の長男も中毒患者のひとりに。純子はカリスママダムといわれブログ上では著名な存在だった。被害が拡大していくなか、過激なまでに業者を糾弾していくモンスター消費者の広告塔に祭り上げられる純子。話題性抜群と、事件を煽る新聞、テレビメディア各社。そして事件の裏には遺伝子組み換え食品を手がける大企業の影が……。 偽装食品、遺伝子組み換え食品など時代を揺るがす事件が多発する現在、食品の安全とは何かを鋭くえぐる社会派ミステリーの登場。「これは、私の最高傑作」著者仙川環が言い切る傑作ミステリー作品。 -
午後
台北、東京、マラケシュ、ウィーン、チューリヒ、パリ……。弁護士で作家の「私」は講演会や朗読会で世界各国を訪れ、さまざまな過去を抱える人々と出会う。16年前に弁護したかつての依頼人がマラケシュで語った、当時明かさなかった事故死の事情。イタリアの古い館に滞在中、怪我をした隣人の女性から聞いた衝撃的な身の上話。ベルリンで亡くなった知人の遺言執行者に指名されて知った、彼の唯一の遺産相続人との愛憎半ばする関係──。死や罪悪感に翻弄される純粋で奇妙な人々の物語と、ところどころに挿入された歴史上のエピソードによる全26章は、ページを閉じたあとに、深く鮮烈な余韻を残す。クライスト賞受賞、日本で本屋大賞「翻訳小説部門」第1位に輝いた『犯罪』の著者が贈る新たな傑作短編集! -
午後十一時のごちそう
仕事のストレスから逃げるように鎌倉旅行へ来た御木本小町。不運な手違いにより宿泊先を失ってしまう。代わりに紹介されたのは、柔和な支配人・神月と無愛想なシェフ・佐野、男二人が切り盛りするゲストハウス。 ――思い出の料理おつくりします。 そこでは“特別な夜食”が提供されるらしい。 「……元気が出るケーキが食べたい」 亡き母が作ってくれた“元気が出るケーキ”に思いを馳せる小町の姿に、神月と佐野は思い出のケーキの再現を試みる。 記憶を頼りに解き明かされるレシピ――そこに詰まっていた亡き母の思いとは。 ゲストたちの思い出の料理を通じて紡がれる、出会いと成長の物語を召し上がれ。 -
午後のチャイムが鳴るまでは
「きれいに騙された!」はやみねかおるさん驚嘆!(解説より) タイムリミットは65分。昼休みの“完全犯罪”は達成なるか!? 九十九ヶ丘高校の65分間の昼休み。 学校を脱け出して誰にもバレずにラーメンを食べに行こうとする二人の男子、消えたイラストレーターを捜す文芸部員たち。 閉ざされた教室では男子たちが栄冠を求めて秘密の「ゲーム」に熱狂していて……。 全力で青春を過ごす高校生たちの日常に巻き起こる「事件」の結末とは? 稀代の俊英が圧倒的な熱量で描いた青春連作ミステリー! [目次] 第1話 RUN! ラーメン RUN! 第2話 いつになったら入稿完了? 第3話 賭博師は恋に舞う 第4話 占いの館へおいで 第5話 過去からの挑戦 あとがき 解説 はやみねかおる 装画・扉絵/オオタガキ フミ -
ご試食はいかがですか? ~店頭販売は伊達じゃない~
『GKコーポレーション』で契約社員の試食販売員として働いている一色緑子。 試食販売員の仕事に魅力を見つけられないまま、店頭に立つ日々が続いた。 そんなある日、母親の目を盗み小さな女の子がパンをつまみ食をしてしまう。 しばらくすると、その女の子がお菓子売り場で目や耳、頬を赤くし、泣き始めてしまった。 緑子は、自分の出る幕ではないと思いその場を離れようとすると、一人の男性が女の子に駆け寄り、アレルギー反応じゃないかと指摘する。 試食販売員の緑子と羽田がスーパーなど仕事先で遭遇するさまざまな事件を解決していく!! 「第3回お仕事小説コン」優秀賞受賞作の 『白黒パレード~ようこそ、テーマパークの裏側へ~』の著者が描く、 試食販売員が奮闘するお仕事小説!
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