待ちに待った続編。
三体艦隊が地球を侵略するために自惑星を出発したあとから始まる。
主人公は前回のナノマテリアル科学者汪淼(ワンミャオ)から社会学者の羅輯(ルオジー)に代わる。
迫り来る危機に対応できる唯一の作戦「面壁作戦」が打ち立てられ、その作戦の実行者として4名の「面壁者」が選ばれる。
それぞれ
...続きを読むの面壁者が立てた作戦はどのようなものなのか。
果たしてその作戦で本当に三体艦隊と渡り合えるのか。
そして面壁者を事前に打ち破るべく忍び寄るテロ組織からの「破壁者」たち。
彼らは面壁者を止め、三体側に与することができるのか。
一方で地球全体が緊迫した空気の中、一切やる気にならず面壁者になった特権でやりたい放題のルオジー。
前作とは異なり、エリートでもなんでもない、普通の学者の彼は、果たしてなんなのか。
そもそもなぜ面壁者などに選ばれてしまったのか。
前作とはまた違った緊張感の中、話は着々と進んでいく。
上巻ということで、話の決着もまだぜんぜんついていないのだけれども、
・異星からの攻撃を受けるまでに400年時間がある
・時間はあるものの、異星からの妨害により、今後基礎物理学を発展させることができない
・地球人のすべての表だっての行動は、すべて監視されている
という制約を設定に盛り込むと、SF的な部分が俄然地に足の着いたリアリティを持ち出すのだなあと感心した。
400年猶予があるということは、少なくともいま生きている世代の人たちには何の影響もない。
「私たちが死んだ後の話なんてどうでもいい」という意見が出てくるのは当然。為政者達はそういう意見を受け止めた上で、未来を救わなくてはならない。
そんな社会的シミュレーションも含んでいて大変に興味深い。
また、物理学の発展が阻まれるということで、未来のソリューションも、既知の今の科学の延長で対策する必要がある。
なので様々な解決策も、突飛な感じがしない。我々が容易に想像でき、「おお、それならいけるのでは!」と思わせてくれる。
ワンミャオにだいぶイライラさせられたが、前作からの面白さは変わらず。
どう着地するのか、下巻に期待。