小説・文芸 - 集英社文庫作品一覧

  • DEVIL'S DOOR
    3.0
    「マニピュレイテッド」と呼ばれる人型AIが自由に往来する近未来。自由都市サン・ハドクには、人とマニピュレイテッドと、そして悪魔が生きている。近年、悪魔が仕業の事件が多発し、一方で、人間によるマニピュレイテッド狩りが横行していた。マニピュレイテッドの射撃手・ユマは、聖書型の悪魔アグリとともに、悪魔祓いを生業としている。ある日、二人のもとにシオリという女性シンガーの護衛依頼が舞い込み……。人の心を理解し始めるAIと、人の魂を堕落せさようとする悪魔…二人の冒険が始まる!
  • 金の角持つ子どもたち
    4.6
    「サッカーをやめて、塾に通いたい」小6になる俊介は、突然、両親にそう打ち明ける。日本最難関と言われる中学を受験したいのだ、と。難聴の妹・美音の小学校入学を控え、家計も厳しい中、息子の夢を応援することを両親は決意。俊介の塾通いが始まる。だが、彼には誰にも言えない“秘密”があって……。人は挑むことで自分を変えることができる。未来を切り開こうと奮闘する人々を描く、感動の長編小説。
  • カモフラージュ
    3.7
    いつもより荷物の重い日が好きだ。 お昼の弁当に加えても、もう二つ、夜に彼と食べる用の弁当を作る。食べる場所は決まって“ホテル”で ──「ハンドメイド」。僕のお父さんは一人じゃない。お父さんの後ろには、真っ白な顔のお父さんたちが並んでいる ──「ジャム」。恋愛からホラーまで、松井玲奈が見つめる“人間模様”を描く、鮮烈なデビュー短編集が待望の文庫化。単行本収録作品6編に文庫書下ろしの「オレンジの片割れ」を加えた全7編を収録。
  • 会津 友の墓標(十津川警部シリーズ)
    -
    東京荒川河川敷で、車のトランクからK出版編集者・佐伯隆太の死体が発見された。被害者は、大学ヨット部の仲間だった十津川警部に、最後の手紙を送っていた。同じ大学の旧友・折戸修平に会うため、会津若松に行くと書かれていたのだが……。捜査を開始した十津川は、亀井刑事と会津若松へ向かう。友情か裏切りか、歴史と怨念が複雑に絡み合った殺人事件の真相とは!? 傑作長編トラベルミステリー。
  • 私が作家になった理由
    3.0
    小説家を志していたわけではない──。戦争疎開のいじめと敗戦を経験した少年時代。父を亡くし生活苦のなかの早稲田大学進学、在学中の結核発症。闘病後の就職難を経て、国立国会図書館に勤務し始めると、執筆の誘いが……。思えば、温かな家庭の原体験と折々の読書が、いつしか作家活動の基盤となったのかもしれない。短編の名手が、辛口ユーモアを交え自己を省みて綴る時代批評&自伝エッセイ。
  • 二度目の過去は君のいない未来
    3.0
    二十九歳の高校教師・兼祐は仕事がうまくいかず、七歳年下の妻・陽子との喧嘩も増えるばかり。結婚一年目の記念日に、二人は自殺寸前の生徒を助けようとして、電車に轢かれそうになり――気がつけば、大人の記憶を持ったまま、十年前の世界に戻っていた。兼祐は大学一年生、陽子は小学六年生。悩みながらも“二度目の過去”をやり直す二人が最後に選びとった“未来”とは。明日への道標となる物語。
  • たとえ君の手をはなしても
    3.5
    青山透、高校二年生。地味で陰気な彼には、匿名で犯罪捜査に協力する別の顔があった。2年前に起きた凄惨な立てこもり事件で、透の姉・光は命を奪われた。事件の裏側に、犯人をそそのかした黒幕の存在があると知った透は、黒幕の正体を探るため、危険な捜査協力をしているのだが――。小説投稿サイト「エブリスタ」の人気作品が、大幅改稿で書籍化。スリリングなサスペンスアクション!
  • 木もれ日を縫う
    4.3
    ファッション業界で働く紬の前に、長らく行方不明だった母親の文子が姿を現した。紬の部屋で暮らし始めた母は自身を「山姥になった」と言い、面影にもどこか違和感がある。困惑する紬は、同じく故郷を離れ東京で暮らす二人の姉に相談するが――。20代、30代、40代。それぞれの年代の三姉妹は、母との再会をきっかけに、自分自身を見つめ直すことになる。母と娘の絆を描く、心に染みるミステリー。
  • 星に願いを、そして手を。
    3.6
    中学三年の祐人は、いつも薫、理奈、春樹とプラネタリウムのある科学館で過ごしていた。宇宙に憧れる四人は似た夢を持ち、同じ高校に進む。だが、月日が経ち、祐人は逃げた。夢を諦めて町役場で働く彼は科学館を避け、幼馴染の三人をも避け続ける。ところが、館長の訃報を受けて三人に会うことに。そこで科学館の閉鎖を知り…。瑞々しい筆致で描かれる青春群像劇。第29回小説すばる新人賞受賞作。
  • ニューカルマ
    4.0
    人生や社会を豊かにすると喧伝するネットワークビジネス。ある日大学時代の友人から突然かかってきた電話で勧誘されたユウキ。今、彼の勤める会社ではリストラが始まり不安な気持ちが膨らんできていた。そんな状況の中、副業のつもりで入会し、順調に会員を増やしていき、次第にそのビジネスにのめり込んでいくものの、周囲からは冷ややかな目で見られるように。そして思ってもみない落とし穴に嵌まり──。
  • [会社を休みましょう]殺人事件
    3.3
    森川晶は、営業部の若きエリート社員。仕事を他人に任せず、何でも一人で抱え込み、残業と休日出勤をしながら、いつもパニック状態。ある日、彼を高く評価している猛烈部長が会社で殺される。死に至る断末魔の表情がコピーされ、社内にばらまかれていた。この全社騒然の異常犯罪で、森川が疑われるが……。会社人間たちの心理をリアルに描きながら、最後に号泣のどんでん返し! 感動のミステリー。
  • 水銀虫
    3.6
    17歳を目前に自殺した姉。明るく優しい性格で、直前までそんな素振りはなかったのに、なぜ…背後には、死神のような女生徒の姿があった(「はだれの日」)。孫を交通事故で亡くした祖母。断ち切れない愛情と悲しみが、孫の幼友だちをおぞましい事件に巻き込む(「虎落の日」)。惨劇の陰には、人の心を蝕む「水銀虫」の存在が。取りつかれ、罪を犯した人々の、悪夢のような一日を描いたホラー短編集。
  • はぐれ馬借
    -
    その若者、並外れた体躯であった。名は獅子若。比叡山領坂本で馬による陸運業・馬借をしている。世は混迷の室町期、貧者は自力で身を守らねばならぬ。己の腕力のみを信じて生きてきたが、権力者の逆鱗に触れる出来事により叡山領追放の身に。愛馬を連れ、失意のうちに彷徨うなか現れたのは「はぐれ馬借衆」を率いる美少女・佐保だった。彼女の誘いに行動を共にするが、一団を追う刺客の影が――。
  • 偏差値70からの甲子園 僕たちは野球も学業も頂点を目指す
    5.0
    僕たちは、野球だって、勉強だって負けたくない。松山東、済々黌、彦根東、時習館、青森、佐賀西…東京大学合格者を毎年輩出している公立の進学校かつ野球強豪校の6校。私立校が圧倒する高校野球界で設備は不足、生徒も私立のように集められないのが現状だ。そんな中で、強豪私立に挑み続けてきた知られざる指導法や練習法とは? 「文武両道」の秘密に迫る異色の野球ノンフィクション。
  • ひとり白虎 会津から長州へ
    4.5
    戊辰戦争に参戦した会津藩白虎隊士・飯沼貞吉。仲間達と自刃したが、唯ひとり蘇生する。江戸の謹慎所で、生き残りと謗りを受ける貞吉に、捕虜受け取り責任者楢崎頼三が、自分の故郷長州へ行こうと誘う。会津を失った貞吉は、敵だった長州へ楢崎と旅立つが……。異郷でもがき苦しみながらも、恩愛を知り、明治の日本人として誇り高く生きた実在の男の波乱の生涯。幕末維新に新しい光を当てる傑作歴史小説。
  • 岳飛伝 一 三霊の章
    4.0
    負けたのだ。「替天行道」と「盡忠報国」というふたつの志の激突だった。半年前の梁山泊戦。瀕死の状態の楊令に右腕を切り飛ばされた岳飛は、その敗戦から立ち直れずにいた。頭領を失った梁山泊は洪水のために全てが壊滅状態にあった。一方、金国では粘罕(ネメガ)が病死した後、軍を掌握したのは兀朮(ウジュ)。そして青蓮寺が力を失った南宋も混沌とした状態だった。十二世紀中国で、熱き血潮が滾る「岳飛伝」開幕! 大水滸伝・最終章、待望の文庫電子版全17巻刊行開始。
  • 怪談
    3.5
    大切な人の突然の死。魂だけでもいつも傍にいて欲しいと願う気持ちが、見えない何かを引き寄せるのかもしれない。二十年前、男友達が自死した。彼の想いを素直に受け入れられなかった若い自分。そして今、恋愛に失敗し、仕事にも行き詰まった私は、様々な思いを抱え彼が最後に泊まった岬のペンションを訪れる――(「岬へ」)。生と死のあわいに漂う不確かな存在を、妖しく描き出す幻想怪奇小説集。
  • 寮生 ――一九七一年、函館。――
    3.2
    1971年春、函館にある憧れの私立高校に入った僕は、親元を離れ寮生活を始める。街の景色、同級生、音楽、出会うもの全てが刺激的で、期待に胸を膨らませていたが、入学早々、「寮の恒例行事“入魂会”に関わったものは死ぬ」という噂を耳にした。するとそのわずか二日後、寮の二年生が謎の転落死を遂げる。事件と噂の真相を探るため、僕たち一年生は探偵団を結成して――。青春学園ミステリー。
  • 逆転(鶴見京介弁護士シリーズ)
    3.7
    石出は、殺人の罪を償って13年ぶりに出所。真面目に仕事を始めた矢先、石出の部屋で、祖母の介護担当だった女性が殺される。石出は容疑を否認するが、情況は不利。鶴見弁護士は、彼の無実を信じて調査を開始する。出所直後に山中温泉を訪ねている事実を知り、行動をたどると、意想外の過去の因縁が――。哀切をおびた山中節の世界から連続殺人を解き明かす鶴見弁護士の活躍!
  • へるん先生の汽車旅行 小泉八雲と不思議の国・日本
    -
    『怪談』で知られる小泉八雲こと、ラフカディオ・ハーン。親の愛を知らずに育ち、イギリスから単身、アメリカに渡った彼は、極貧生活の果て、原稿料を稼ぎにルポライターとして来日した。時は明治、鉄道の時代。横浜から始まり、日本各所で暮らし、やがて帰化――そんな彼を日本に惹きつけたものは何だったのか? 「へるん先生」と親しまれた男の軌跡を辿る中で見えてくる、“日本魂”を再発見!
  • 桜のような僕の恋人
    4.6
    美容師の美咲に恋をした晴人。彼女に認めてもらいたい一心で、一度は諦めたカメラマンの夢を再び目指すことに。そんな晴人に美咲も惹かれ、やがて二人は恋人同士になる。しかし、幸せな時間は長くは続かなかった。美咲は、人の何十倍もの早さで年老いる難病を発症してしまったのだった。老婆になっていく姿を晴人にだけは見せたくないと悩む美咲は……。桜のように儚く美しい恋の物語。
  • リケコイ。
    3.0
    恋愛経験ゼロ。冴えない理系大学院生の森は、ある日突然恋に落ちた。相手は、卒業研究をするためにきた、黒髪メガネの年下リケジョ・羽生さん。ところが、好みド直球な彼女にはある重大な秘密が! 妄想と現実に身悶えながら、あの手この手でアプローチを仕掛けるが、ひたすら空回り。それでも諦めきれない……。どこまでも不器用で、思わず応援したくなる、歯がゆさ満載の青春ストーリー!
  • 博物館のファントム 箕作博士の事件簿
    4.2
    自然史博物館で働くことになった女性新人分類学者・池之端環。植物標本の整理を命じられ、未整理の標本や資料が大量に詰め込まれた旧館「赤煉瓦」に足を踏み入れた環が出会ったのは、そこに棲みつくファントムこと変人博物学者の箕作類。「どんなものも絶対に捨ててはならない」が口癖の箕作と、片付け魔の環のでこぼこコンビが、博物館で起こるさまざまな事件の解決に動き出す!
  • 弾丸スタントヒーローズ
    3.0
    千鶴は冴えない大学二年生。ある日、父から「双子の嗣美が怪我をした」という突然の連絡が。駆けつけた先は、なんと映画の撮影現場だった。そこで美作という女性スタントマンに出会った千鶴は、成り行きでスタント・チームに所属することになる――。幼い頃の火事の記憶、母親との葛藤、姉妹の確執を乗りこえて成長していく、一人の女性の物語。共感と感動と癒しの青春×家族×お仕事小説!
  • 嗤う名医
    3.5
    脊柱管狭窄症で尿道に管を入れられ自宅で寝たきりの状態を強いられている男性は、嫁に浣腸を頼むのが憂鬱だ。あげくに嫁は看護婦や医師にわたしが痴呆だと嘘をついて嫌がらせをしている。きっと施設送りにしようと企んでいるに違いない。そんなことはさせないと叫ぶが――「寝たきりの殺意」。豊胸手術に失敗した運の悪い女を描いた「シリコン」他、現役医師による背筋が凍るミステリー全6篇。
  • 老いの戒め
    5.0
    自分の年齢は、自分が決める。他人様から老いを見つけられてはならない。年齢を言い訳にせず、努力を始めよう。年をとったら、相手を包み込む度量、心の大きさ美しさを意識したい。自分の生き方に責任をもって、潔く老いるのだ。他人に期待せず、自分に期待して生きたい――。日常のおしゃれ、言葉遣い、しぐさから、この世を去る時の思いまで、自分を戒め器量よしになる43の提案。珠玉のエッセイ。
  • 失踪(鶴見京介弁護士シリーズ)
    3.0
    鶴見弁護士の中学の恩師夏川が、札幌から上京した。城巡りが趣味の夏川は、雲海に浮かぶ城として有名な竹田城へ行く予定だという。数日後、神戸から竹田城へ向かった夏川が、忽然と消えたと連絡が入る。事故か事件か、恩師の安否を心配し鶴見は竹田城へ。やがて、教育熱心で生徒に慕われた男が抱えた暗い秘密を突き止めるが……。驚愕の真実を前に若き弁護士が下した決断とは?
  • オズの世界
    3.9
    配属先はローカル遊園地!? ディズニーランドで働く夢に破れ、二度と遊園地には行かないと心に決めた久瑠美。失意のうちにホテルへの入社を決めた彼女が命じられたのは、グループ傘下にあたる九州の遊園地での勤務だった。理想と現実のギャップに不満だらけの久瑠美、しかしそこでは更なる試練が待ち受けていた――。遊園地の知られざる裏側と不慣れな地で奮闘する新米社員を描くお仕事小説。
  • ギンカムロ
    3.9
    花火には、二つしかない。一瞬で消えるか、永遠に残るか。幼い頃、花火工場の爆発事故で両親を亡くした昇一は、高校を卒業後、一人東京で暮らしていた。ある日、祖父から電話があり、四年ぶりに帰郷する。そこには花火職人として修業中の風間絢がいた。十二年前に不幸な出来事が重なった。それぞれが様々な思いを抱え、苦しみ、悩み、葛藤していく。花火に託された思いとは――。希望と再生の物語。
  • 残り全部バケーション
    4.1
    当たり屋、強請りはお手のもの。あくどい仕事で生計を立てる岡田と溝口。ある日、岡田が先輩の溝口に足を洗いたいと打ち明けたところ、条件として“適当な携帯電話の相手と友達になること”を提示される。デタラメな番号で繋がった相手は離婚寸前の男。かくして岡田は解散間際の一家と共にドライブをすることに――。その出会いは偶然か、必然か。裏切りと友情で結ばれる裏稼業コンビの物語。
  • イノセントブルー 記憶の旅人
    3.4
    ペンションを経営する森川は、海岸で倒れていた美青年を助ける。才谷と名乗る彼は、「前世の記憶」を見せることができるのだという。彼の訪れをきっかけにするように、ペンションには心に悲しみを抱えた人々が集まってくる。彼らの前世の記憶と現世での縁が絡み合って起こる、息をつかせぬスリリングな展開は、やがて、やさしい癒しと明日への希望につながってゆく。静かな再生の物語。
  • 鎮魂(鶴見京介弁護士シリーズ)
    3.7
    森塚翔太は、包丁で隣人を刺殺し、現行犯逮捕された。だが、凶器は被害者が持ってきたと主張し、殺意を否認。担当弁護士の鶴見は、接見のたびに供述を二転三転する森塚に不審を抱く。さらに森塚のDVから逃げている女性の存在が明らかになり……。阪神淡路大震災から20年の時を経て明らかになる驚愕の真実! 償いとは何かを、犠牲者たちへの祈りを込めて描く、号泣ミステリー。
  • ジヴェルニーの食卓
    4.3
    ジヴェルニーに移り住み、青空の下で庭の風景を描き続けたクロード・モネ。その傍には義理の娘、ブランシュがいた。身を持ち崩したパトロン一家を引き取り、制作を続けた彼の目には何が映っていたのか。(「ジヴェルニーの食卓」)新しい美を求め、時代を切り拓いた芸術家の人生が色鮮やかに蘇る。マティス、ピカソ、ドガ、セザンヌら印象派たちの、葛藤と作品への真摯な姿を描いた四つの物語。
  • 旅屋おかえり
    4.2
    あなたの旅、代行します! 売れない崖っぷちアラサータレント“おかえり”こと丘えりか。スポンサーの名前を間違えて連呼したことが原因でテレビの旅番組を打ち切られた彼女が始めたのは、人の代わりに旅をする仕事だった――。満開の桜を求めて秋田県角館へ、依頼人の姪を探して愛媛県内子町へ。おかえりは行く先々で出会った人々を笑顔に変えていく。感涙必至の“旅”物語。
  • 野蛮な読書
    3.8
    【第28回講談社エッセイ賞受賞作】“本の海”めがけてざぶんと飛び込み、泳ぎだす。手にした一冊に始まり、次から次へと思いがけず繋がっていく本の世界。時間や場所を問わず、興味の趣くままに読み進めた全103冊、読書の真髄と快楽を余すことなく綴った一冊。食や暮らしの分野で人気の著者初の読書エッセイ。時を忘れて読む楽しさや幼い頃の記憶を呼び起こし、「読みたい」欲をかきたてる。
  • 真夏の異邦人 超常現象研究会のフィールドワーク
    3.4
    ひと目見た瞬間、強烈な電流が背中を駆け抜けた。僕は、奇妙な飛行物体から突如現れた少女に恋をしていた――。夏休み。大学の〈超常現象研究会〉に所属する星原俊平は、動物の不審死の噂を聞き、先輩3人と故郷の村を訪れた。ところが、調査開始早々に人間の手首が発見されて……。やがて、俊平は少女の“正体”と、村で起きた事件の真相に辿り着く。儚いひと夏の出来事を綴るSF青春ミステリー。
  • 白ゆき姫殺人事件
    3.3
    化粧品会社の美人社員が黒こげの遺体で発見された。ひょんなことから事件の糸口を掴んだ週刊誌のフリー記者、赤星は独自に調査を始める。人々への聞き込みの結果、浮かび上がってきたのは行方不明になった被害者の同僚。ネット上では憶測が飛び交い、週刊誌報道は過熱する一方。匿名という名の皮をかぶった悪意と集団心理。噂話の矛先は一体誰に刃を向けるのか。傑作長編ミステリー。
  • 贖罪(鶴見京介弁護士シリーズ)
    3.0
    大阪繊維問屋の後継津村誠は、5歳年上の綾子と東京へ駆け落ちして結婚。誠は、小説家を目指し、綾子が生活を支えた。だが夫婦に暗雲が立ち、妻が離婚をほのめかした後、自宅で殺害される。アリバイのない夫に容疑が……。鶴見弁護士は、夫の無実を信じて、調査を開始。前夫、ストーカーなど彼女を取り巻く男達と、警察内部の隠蔽に迫る! 本当に罪を犯したのは誰かを心に問う、長編ミステリー。
  • ハロワ!
    3.5
    さまざまな事情を抱えた求職者たちが訪れる、ハローワーク宮台。沢田信は、民間の人材紹介会社から転職したばかりの新米就職相談員だ。慣れない業務に励む信を「指名」してやってくるのは、一癖も二癖もある求職者ばかり。理想が高くて尊大な元銀行マンに、面接を怖がるアラサー女子……。信は彼らの信頼を勝ち取ることができるのか? 理想と現実の間で揺れる28歳男子の「お仕事探し」奮闘記。
  • 我が家の問題
    3.9
    夫は仕事ができないらしい。それを察知してしまっためぐみは、おいしい弁当を持たせて夫を励まそうと決意し――「ハズバンド」。新婚なのに、家に帰りたくなくなった。甲斐甲斐しく世話をしてくれる妻に感動していたはずが――「甘い生活?」。それぞれの家族に起こる、ささやかだけれど悩ましい「我が家の問題」。人間ドラマの名手が贈る、くすりと笑えて、ホロリと泣ける平成の家族小説。
  • 遠い迷宮 阿刀田高傑作短編集 ミステリー
    4.5
    1~7巻605~693円 (税込)
    良家の若妻・真樹子は、そろそろ1歳の娘と朝の時間を優雅に過ごしていた。そこへ、出産の時に病院で世話をしてくれた初江が、突然訪ねてくる。表面は人のいいおばさん風だが、何か薄気味悪い感じのする女。彼女が帰った午後、刑事がやって来て……「来訪者」より。人生、男女、心など、人間が生み出す数々の謎をモチーフに描く、鮮やかで洗練された珠玉のミステリー10編。
  • トナリの怪談
    3.5
    毎晩夢に出てくる、見知らぬ女性。夢の中で自分は彼女と幸せな恋人同士として暮らしていて――(「毎日見る夢」)。最愛の恋人の隣でほほ笑む女性の幽霊が繰り返すのは、「いつ死ぬの?」という言葉で――(「いつ死ぬの?」)。幼い頃から幽霊が見えるピン芸人が語る、日常のなかにある心霊体験の数々。今あなたの隣にいる方、足はあるし、しゃべるし……でも、幽霊かもしれませんよ?
  • 宅飲み探偵のかごんま交友録
    3.0
    1~2巻605~682円 (税込)
    大学三年生の僕こと小金井晴太は、ある春の日、憧れの先輩である清田小春に一世一代の告白をかます。玉砕覚悟の大博打は、拒否もされなければ承認もされないというなんとも中ぶらりんの結果に終わった。そして、これがあの偏屈マッチョと僕を巡りあわせるターニングポイントになってしまうわけだが……。面白さ“桜島”級の青春ミステリ。
  • 君だけに愛を
    -
    昭和の京都西陣。夏休み前夜、涼子は、北野天満宮の縁日で同級生と偶然出会った。花街で舞妓見習い中の静子で、今まで一度も話したことがない。お互い勉強が嫌いで意気投合。この夏休み、ジュリーこと沢田研二率いる大人気グループ「ザ・タイガース」メンバーの実家を探し当てよう──ささやかな計画を、涼子は静子に持ちかけた。少女たちが駆け抜けた“ひと夏の冒険”を情緒溢れる筆致で描く青春小説。
  • 人形たちの白昼夢
    4.1
    声が出なくなってしまった私は、見知らぬ相手からの招待状に誘われ、レストランを訪れる。給仕人にうながされ料理を口にすると、さまざまな情景が浮かんできて――。(「スヴニール」)荒廃した世界。空爆から身を潜め、不思議な「声」に導かれて目を開けると、自動機械人形(オート・ドール)が現れた。豪奢で美しい、暗殺用の人形に連れられて向かった先には――。(「リューズ」)『魚神』『男ともだち』の著者が贈る、リアルと幻想が溶けあうような12のショートストーリー。
  • 男尊女子
    3.9
    夫、旦那、パパ。結婚相手をどう呼ぶかが、女性の深層心理を炙り出す。(「主人」)学歴・年収・年齢・身長が男性より上だと、なぜ女性は負い目に感じるのか。(「高低」)男尊女卑が今なお続く理由は、女性の側にもあることを示す20章。「男尊女子」は、あなたの中にも存在する……?
  • アイドル 地下にうごめく星
    3.6
    初めて行ったアイドルのライブで、メンバーのひとりである楓に一目惚れした夏美は彼女をプロデュースすることを決める。グループの電撃解散後、夏美のアイドルユニットに入る楓、女装好きの男子でアイドルになりたい翼、訳あって天界から人の世界に来たと思っている瑞穂、容姿にコンプレックスがある愛梨……それぞれの内面を描く鮮烈さNo.1青春長編小説。
  • カイマナヒラの家
    3.8
    様々な人が共同生活を営むその家は、サーフィンに魅せられハワイイに通うぼくの滞在場所となった。夕日の浜でサムに聞いた「神様に着陸を禁じられた飛行機」の話、伝説の女性サーファー、レラ・サンの死。神話を秘めた島々ハワイイが見せてくれる、永遠に通じる一瞬と失わなければいけない時を描いた、美しい物語。この物語の登場人物はすべて架空であり作者の想像の産物であるが、家は実在した……。海と向き合う写真家・ 芝田満之撮影によるハワイイの光と波との幸福なコラボレーション。
  • おんぶにだっこ
    4.2
    二歳になっても「あんた、いつまで飲む気だね」と言われながらも乳離れしようとせず、ニシキヘビに興奮し家にあったマムシ酒のヘビにうっとり。星が欲しくてしょうがなかった四歳は、その後あの「たまちゃん」と小学一年生の時に運命的に出会う──。人一倍ナイーブで、なぜかいつも悩んでいた幼年期。「まる子」以前のピュアな気持ちを初めて書き綴った、さくらももこの原点となる自伝エッセイ。
  • ひとりずもう
    4.5
    男子ってホントにバカだよね、と言い合っていたあのころ。「生理が来ませんように」と祈っていた不安な毎日。女子高に入り、髪を伸ばし、やっとオシャレに目覚めたり。一目惚れした初恋では妄想がさく裂!? なんにもしないまま「青春」を送っていることに初めて気づいた17歳。やっと自分の将来について考え始め“さくらももこ”になるまでの甘酸っぱい日々を、笑いと涙で綴った自伝エッセイ。
  • バージンパンケーキ国分寺
    3.7
    女子高生のみほは、幼なじみの明日太郎が親友の久美とつきあいはじめてから、もやもやしてばかり。そんなとき、不思議なパンケーキ屋さんと出会う。くもりの日しか現れず、非処女のお客さんにだけドアベルが鳴るその店には、ポーカーフェイスな店主・まぶと、個性豊かなお客さんたちがいて──。恋と友情に悩むみほの見つけ出した答えと、お店の秘密が胸を甘く焦がす、特別なひと夏の物語。
  • 幕末維新傑作選 最後の武士道
    3.0
    現代の日本が忘れてしまった武士道の有りよう、永遠に語り継ぎたい日本男児の生きざまがここにある! 坂本龍馬、陸奥宗光、西郷隆盛ら、幕末を生きぬいた志士たちの肖像。土方歳三に見込まれた新選組の隊士、天覧のもと兜割りを成し遂げた日の本一の剣豪、西南戦争を闘う薩摩軍兵士ら、維新の動乱を駈けぬけた剣客たちの肖像を描き上げた逸品ばかりを収録。歴史小説の大家が自ら厳選した力作短篇集。
  • 約束の地で
    3.3
    捨てたはずの故郷に戻り、父が大金を持っているとの噂に踊らされた男。呆けて我がまま放題の母と猫の世話に煮詰まっていく女。売りつけられたスクーターに乗り、愛犬と骨を掘り出してばらまく少年。好きな女の先輩を安物の車に乗せて旅立ったプー太郎。夫のDVに苦しめられ、死んだチワワの骨を抱え岬に立つ女。北海道の風土に閉ざされた人間の闇をえぐる全5話。新境地を拓いた傑作揃いの短篇集。
  • ひらひら
    3.5
    常巳22歳、腕っぷしが弱く、要領も悪い、お人好しのチンピラヤクザ。器量は悪いが、心やさしい年上の女・順子と同棲しながら、シンナー密売とパチンコでしのぐ毎日。だが、伝説の博徒・腕斬り万治さんの出所を機に、本物の男になろうと心に決める。仁義にあつく、一本筋を通す仁侠道を歩むため、常巳の悪戦苦闘が始まった――。町の片隅で必死に生きる落ちこぼれ達の姿が切なく胸に染みる物語。
  • ランチタイム・ブルー
    3.8
    新米インテリア・コーディネーター知鶴は、29歳、恋人なし。先の見えないOL生活脱出をはかり、転職した業界で待ち受けていたのは、毒物混入、下着ドロボウ、そして殺人! どんな家にも秘密があり、小さな謎が巻き起こす事件がある……。仕事も恋も行き先不明。それでもがんばらずにはいられない、すべての女性に贈る新感覚ミステリー。
  • 眠りなき夜
    4.0
    【第4回吉川英治文学新人賞受賞作】弁護士・谷の同僚、戸部が失踪、つづいて彼と関わりのあった小山民子が殺された。メモを手がかりに、谷は山形県S市に飛んだ。早速、三人組に襲われる。黒幕とみられる大物政治家・室井などの名が浮かぶ。そして戸部の惨殺体発見…。民子との間に何があったのか? 室井との関連は? 友の死を追って、谷は深い闇を解明すべく、熱い怒りを雪の街に爆発させる。第一回日本冒険小説協会大賞受賞作。
  • 愛がいない部屋
    3.5
    誰もが憧れる高層マンション。そこに住む愛子は、幸せな結婚生活を送るはずだった。しかし、ある日「愛」は暴力に変わり――(表題作)。セックスレスの夫婦生活に疲れた、うらら。彼女はマッサージ店で働く15歳年下の青年に想いを寄せるようになる。だが、突然彼にホテルへ誘われて…(「指の楽園」)。切なくて苦しい恋に悩みながらも、前を向いて歩いていく女性の姿を描いた10のラブストーリー。
  • 明るい街へ
    -
    青春の、出口のない陰と一瞬のきらめき。創造の、はてしない蒼き荒野。ひたすらにひたむきだったあの頃。限りない不安と一筋の希望に怯えていたあの頃。ハードボイルドから時代小説、そして『三国志』。北方謙三の世界のすべての萌芽がここにある。遙かなる源流に遡行して、いま蘇える、純文学デビュー作を含む、秘められた初期作品集!
  • 蠍のいる森
    4.2
    美千代は人間嫌いの図書館司書。英国人の夫と離婚して帰国した女流翻訳家、真樹子と知り合って初めて心の交流を持った。二人が共有する静かな日常に、ある日、奔放な人生をおくる修平が入り込んできた。三者三様に大都会で生きる男女のそれぞれの愛が進行するが、修平が資産家の老未亡人の財産を狙ったことから急展開し、恐怖の結末を迎える。ラブ・サスペンス。
  • 午後の音楽
    3.8
    父や母、妹との距離感がつかめなかった少女時代。夫に別の女性がいたとわかったときの喪失感や娘に与えてしまった心の傷。胸の中にそっととどめておいた様々なことを、いつのまにか打ち明けてしまっていた。音楽をふたりで奏でるように、メールで言葉を紡ぎ合う。こんなにも共鳴し合える人に出会ったことの驚きと喜び。それなのに相手は義弟、妹の夫……。メールで綴られる新たな大人の恋愛長編。
  • 遠き落日 上
    4.2
    1~2巻605円 (税込)
    【吉川英治文学賞受賞作】1876年猪苗代湖の貧農の家に生まれた野口英世は、母シカから受けついだ天性の忍耐力で肉体的なハンデを乗り越え、医学への道をめざす。周囲の援助で21歳で上京。北里研究所を経て、横浜海港検疫所、ペスト防疫のための清国行き、同郷の山内ヨネ子への恋の破綻。やがてアメリカに渡っての研究生活。若き無名時代の苦闘の日々――。人間野口英世の生命力あふれる半生を赤裸に描く伝記小説。
  • アンダルシアは眠らない
    4.0
    「フラメンコ」とはある種の生き方を意味する言葉なのだ……。フラメンコ(本来は踊りではなく唄のことを指す)に魅せられ、自らも唄い手になってしまった画家が、南部スペイン・アンダルシアの魅力をあますところなく描く。ヒターノたちとの友情、音楽への愛。スペイン在住二十年の著者ならではの深い洞察がにじむ、絶妙な語り口の傑作エッセイ。
  • 蛇行する川のほとり
    3.7
    演劇祭の舞台装置を描くため、高校美術部の先輩、香澄の家での夏合宿に誘われた毬子。憧れの香澄と芳野からの申し出に有頂天になるが、それもつかの間だった。その家ではかつて不幸な事件があった。何か秘密を共有しているようなふたりに、毬子はだんだんと疑心暗鬼になっていく。そして忘れたはずの、あの夏の記憶がよみがえる。少女時代の残酷なほどのはかなさ、美しさを克明に描き出す。
  • スペインうやむや日記
    4.0
    スペイン在住四半世紀。フラメンコのカンテ(唄)に魅せられ、自らも唄い手となった画家が、アンダルシアのヒターノたちとの交流や、マドリードの夜の闇から見つめる本当のスペインの姿。真の国際人にして自由人たる、われらがホリコシ画伯が西洋コンプレックスの日本を笑い飛ばす、辛口の傑作エッセイ。「おフランス」ではない、正真正銘のヨーロッパを知るための必読の書。
  • ラヴレターの研究
    -
    島村抱月から松井須磨子へ、有島武郎から波多野秋子へ、高村光太郎から長沼智恵子へ、与謝野晶子から与謝野鉄幹へ、明治から大正・昭和にかけて変動の時代を生きてきた文豪才人たちが、その恋人に、夫に妻におくった愛の手紙19通。熱く深く、なまなましい心情にあふれる恋文をとりあげ、時代と恋との背景を読み解く。
  • 新篇 眠狂四郎京洛勝負帖
    4.3
    京の千本通り、羅城門跡の旅籠に逗留中の眠狂四郎に、町奉行から呼び出しがかかった。禁裏から高い身分の姫が失踪、どうやら、大阪商人が関係しているようだ。御所が金のために姫を売った!? ひそかに姫を取り戻すべく、狂四郎は動きはじめる――表題作をはじめ、中、短篇8作品を集める。さらに狂四郎の創作秘話を綴ったエッセイ3篇も収録する。
  • アンダースタディ
    3.7
    父が急死して21歳のOL、内海奈美の人生は大きく変わった。3歳の時に別れた母と双子の姉、美幸と暮らすことになって、姉の(代役)生活が始まった。身代わりデートをしたり、姉の愛人らしい大学生、安田から「連絡くれなきゃ死ぬ」って電話を受けたり、代役もなかなか大変なのだ。不穏なことは次々起きる。安田の自殺、叔父の心中事件、旧い友人の死。奇妙な糸に結ばれて意外な真相が暴かれる長編。
  • 夢みる妹たち
    5.0
    長女涼子。ひとりっ子の舞とともに別居生活を始めたばかり。舞を名門幼稚園に通わせるためで夫と離婚する訳じゃない。次女美雪。大学受験を控えて上京。独り住いの義兄の家に居候中。ただならぬ恋の予感を感じている。そして三女由香。オテンバな高校受験生。不思議な恋人ができたようだ。美しい三人の姉妹をめぐる恋模様が次々と波瀾を呼び奇妙な事件が巻き起こる。家族と愛とサスペンスの物語。
  • マイナス・ゼロ(広瀬正小説全集1)
    4.2
    1945年の東京。空襲のさなか、浜田少年は息絶えようとする隣人の「先生」から奇妙な頼まれごとをする。18年後の今日、ここに来てほしい、というのだ。そして約束の日、約束の場所で彼が目にした不思議な機械――それは「先生」が密かに開発したタイムマシンだった。時を超え「昭和」の東京を旅する浜田が見たものは? 失われた風景が鮮やかに甦る、早世の天才が遺したタイムトラベル小説の金字塔。
  • ネガティヴ
    3.7
    妻に不倫の恋をさせ、それを材料に、同時進行で作品を書こうともくろんだ流行作家。この「仕組まれた恋」を発端に、不気味な連続殺人がはじまった……。いつのまにか現実と物語との境界がうすれ、この世の裏側(ネガティヴ)の世界が現実にまぎれこんでくる――底知れない怖さを描く、異色のサスペンス長篇!
  • ホーム・スイートホーム
    3.5
    部長に昇進した父、専業主婦の母、しっかり者の娘二人と末っ子の一人息子。棚原家はどこにでもある平凡な一家だったが、ある日の早朝、長女の無残な姿の帰宅から、悲劇は始まる。誘拐、脅迫、殺人――「ウチには全く関係ナイ」はずの物騒な事件に次々と巻き込まれていく。平和な家庭をたちまち破滅させてしまう現代社会の落とし穴の恐ろしさを描く辛口ミステリー。家族の絆を問い直す意欲作!
  • 貴族探偵
    3.7
    信州の山荘で、鍵の掛かった密室状態の部屋から会社社長の遺体が発見された。自殺か、他殺か? 捜査に乗り出した警察の前に、突如あらわれた男がいた。その名も「貴族探偵」。警察上部への強力なコネと、執事やメイドら使用人を駆使して、数々の難事件を解決してゆく。斬新かつ精緻なトリックと強烈なキャラクターが融合した、かつてないディテクティブ・ミステリ、ここに誕生! 傑作5編を収録。
  • 麗しき白骨
    -
    【渡辺淳一文学賞創設記念電子化!】T大医学部整形外科・藤本教授の定年退官の時期が迫っていた。絶大な権力を持つそのポストに、次に座るのは誰か――。有力候補の一人である東都大の可知教授は、実績作りのために、骨移植研究グループを発足させた。異種骨移植が上手くいけば、学会の注目を集めること必定である。動物実験もそこそこに、人体実験が開始されたが……。
  • 美女
    3.9
    この里芋のような女に、俺の「浮気相手」が演じられるのだろうか? 妻の妹と関係を持った男は、妻の疑いをそらすために、馴染みの居酒屋の女将に一芝居打ってくれるように頼み込んだ。男の目の前ではじまった、妻とその妹、女将――3人の女の壮絶な「芝居」は、想像もしない幕切れへ……(表題作)。逆転に次ぐ逆転! 息を呑む超絶技巧で男と女の虚実を描く、8篇の傑作ミステリアス・ノベル。
  • 私小説
    -
    出家した作家・宇都木のまわりには、姉の死や裁判を受けている俳優からの電話、獄中の死刑囚からの手紙などの“事件”が相次ぐ。作家として尼僧として、誠実に対応しつつ、虚が実で実が虚の世界を書き続ける。現実の展開を小説の中に映し、自らの道をわき目もふらず独り歩きつづけた作家の、人生への愛と哲学に満ちた長編。瀬戸内寂聴が得度十年目に書いた、「亡き姉に」捧げる一冊。
  • 空き缶ユートピア
    -
    「老人による老人のための老人の有料老人ホーム」を目指し共同生活をはじめた八人の老人と老人候補。人情薄い時代の心あたたまるユートピア設立の話に、マスコミはとびついた。だが、これはマスコミ受けをねらった全くのお芝居。老人たちはもっと凄い事件を企んでいた……。ユーモアと風刺をきかせたドンデン返し。新しい共同体の夢を描いた意欲作。
  • 死が二人を分つまで
    -
    心臓が止まったはずなのに、専業主婦・由利江には、はっきり意識があった。なぜか生きているのだ。だが、その代償は重く、人間の生命エネルギーを奪わないと生きられない体になっていた。他人を殺さねば、自分が死ぬ。彼女は殺すことを選択してしまう。それを知ったサラリーマンの夫・広造は銃を手に彼女を追うが……。殺しながら逃げる主婦とその夫とのスリリングな関係を描く傑作ホラー長編。
  • サラリーマンよ 悪意を抱け
    3.4
    4人のサラリーマンが、宴会の席で上司の部長をにらみつけていた。彼らは、今夜「部長殺人計画」を実行に移そうとしていたのだ(『サラリーマン四銃士』)。窓際社員・西野は出社してすぐ、席に着いたまま心臓マヒで死んだ。まるで眠るかのように。それを見た係長は決定的なミスを、死んだ彼のせいにするが……。(『雨の朝、窓際に死す』)。など、全編サラリーマンを主人公にした異色傑作ミステリー短編集。
  • 吹毛剣 楊令伝読本
    3.4
    「替天行道」の志を受け継いだ楊令の闘いと、熱き漢たちの生き様を壮大なスケールで描いた、北方謙三の『楊令伝』。文庫版全十五巻完結を記念して、公式読本が文庫オリジナルで登場。地図や年表、厖大な登場人物たちを網羅した人物事典、著者のエッセイや対談、さらにはここでしか読めない担当編集者のウラ話など、『楊令伝』の世界をもっと楽しむためのコンテンツが満載。
  • オリンピア ナチスの森で
    4.2
    1936年8月、ナチス政権下のベルリンで第11回オリンピックが開催された。ヒトラーが開会を宣言し、ナチスがその威信を賭けて演出した。その大会を撮影し、記録映画の傑作『オリンピア』二部作を生み出した天才レニ・リーフェンシュタール。著者は彼女にインタビューを試みる…。運命の大会に参加した日本選手団をはじめとする多くのアスリートたちの人生をたどる長編ノンフィクションの傑作。
  • ナルキッソスの鏡
    4.0
    女装倒錯、その美貌とあいまった孤高のナルシズムに生きる作家志望の青年。そして、殺戮をくりかえしてまでも子供たちを守ろうとする過剰な家族愛に生きる異形の大女。高原の避暑地を舞台に、それぞれの人生が交錯するとき悲劇のドラマがはじまる――。愛と憎しみに囚われた人間の2つのストーリーがモザイク模様のように絡み、展開する衝撃のサイコ・サスペンス。
  • 寂聴巡礼
    -
    幼い昔、春は巡礼の鈴の音が運んでくるものだと思い込んでいた著者にとって、巡礼への旅立は長い間の憧れだった。出離後はじめた巡礼の旅。那智谷を望む青岸渡寺に始まり、岐阜谷汲の華厳寺で満願を迎える西国三十三ヵ所。命の炎を求めて歩く祈りと出会いの紀行。
  • 追憶 マリリン・モンロー
    -
    一九六二年八月、マリリン・モンローが死んだ。睡眠薬の大量摂取による「自殺」と報じられたが、多くの謎が残った。それからほぼ四十年、彼女と親交のあった人々の声が「今だからこそ言える事実」として初めて伝えられる。検死官トーマス野口、最初の夫、写真家、共演者など十三人の知己が語る愛すべきマリリン。人気女優の素顔に迫る渾身のノンフィクション。
  • ビジネス・ナンセンス事典
    3.9
    「あ」から「ん」まで、サラリーマンの身の回りに、当たり前に起こるできごとや、ことがらを、サラリーマン経験のある著者のセンスで解説した、いわばサラリーマンのための基礎知識的エッセイ。【阿諛追従】もあれば、【愛】もあり、【営業】もあれば、【左遷】もある。決してお気楽ではないサラリーマン。苦しいことや、悲しいこともあるだろうが、本書を読んで元気を出して、頑張ってみようじゃないか!
  • 水に似た感情
    3.9
    人気作家・モンクは友人のミュージシャンたちとテレビの取材でバリ島を訪れる。撮影はスタートするが、モンク自身の躁鬱と、スタッフの不手際や不協和音に悩むが、呪術師を取材し超常現象を体験した後、モンクも落ち着きスタッフもまとまる。帰国したモンクは親しい友人たちを誘い再びバリを訪れるのだが。リアルに迫りくる幻想体験を通じ、なぜか読むほどに心安らぐ小説。
  • 変!!
    4.3
    「私事、この度、無事死去つかまつり候。……」と生前に妙な「死亡案内」を出した落語家。通勤電車の中で、オナラをしたしないで「つかみ合い」のケンカをするサラリーマン。凄い剣幕でリングに乱入しマイクを奪うが、いきなり「こんばんは」と挨拶してしまうレスラー。奇想の天才が綴った世の中の「変」が大集合。抱腹絶倒間違いなしのエッセイ集。文庫化に際しひさうちみちおと松尾貴史の特別対談収録。
  • 酒気帯び車椅子
    4.0
    家族をこよなく愛する小泉は中堅の商社に勤める平凡なサラリーマン。彼は、土地売買の極秘巨大プロジェクトを立ち上げた。必死の思いで進めた仕事のメドがたったある日、計画を知るという謎の不動産屋から呼び出される。彼を待っていたのは暴力団だった。家族を狙うという脅しにも負けず敢然と立ち向かう小泉だったが……。容赦ない暴力とせつない愛が交差する中島らもの遺作バイオレンス小説。
  • 寂聴仏教塾
    4.0
    なぜ人を好きになればなるほど苦しくなるの? なぜ、生きていくことは、こんなに辛いことだらけなの? 「前世」や「運命」って存在するの? ――人生のさまざまな悩みや苦しみに寂聴さんがやさしく、分かりやすく答えてくれる「読む法話」決定版! お釈迦さまの教えから、「あの世」の話、霊魂の話、そしてお墓や戒名のことまで、あなたの知らなかった仏教のエッセンスが、ぎっしりと濃縮された一冊。
  • 寂聴源氏塾
    4.7
    『源氏物語』の本当の主人公はプレイボーイの光源氏ではありません。藤壷、葵の上、紫の上、夕顔、朧月夜、六条の御息所、浮舟などなど、恋に生き、愛に苦しむ女君たちの心情と迷いを、作者である紫式部は描きたかったのでした――『瀬戸内源氏』を訳しきった著者ならではの解釈に充ち満ちた「千年の名作」の最高のガイドブック。
  • わたしの蜻蛉日記
    4.0
    通い婚の時代も今も、恋する女の苦悩は変わらない――。私小説の元祖といわれる『蜻蛉日記』。作家・藤原道綱母は、美と才能に恵まれながら、嫉妬深さゆえに夫・兼家や自身を追い詰めてしまう。彼女の半生記を通して、千年前の女たちの愛と性を読み解く。兼家を光源氏、道綱母を六条御息所に重ね合わせるなど、『源氏物語』を完訳した著者ならではの解釈も。古典名作の新たな魅力と出会える一冊。
  • 百年の恋
    3.7
    さえないライター稼業の真一が射止めたのは、容姿端麗、頭脳明晰、3歳年上のスーパーエリート梨香子。出会って4ヶ月で結婚はしたけれど、それこそ百年の恋もさめるような悲惨な日々がはじまる。仕事はできるけど、家事はいっさいダメな妻。妙に几帳面で生活巧者の夫。かみあわないふたりの毎日は、梨香子の妊娠で、そのキテレツぶりに拍車がかかる。逆転カップルの結婚生活を描く傑作コメディ。
  • わが人生の時刻表 自選ユーモアエッセイ1
    -
    現代の戯作者・井上ひさしが30年以上にわたり書きついだエッセイの中から、とりわけユーモアに富む珠玉を取り出し一冊にまとめる。人生の転機になにをしでかしたか? 時代を映す鏡は本当は何処にあるのか? なにげなく使っている日本語の意味は? 文字通り抱腹絶倒体験の中から幾多な「世の中」が見えてくる。エッセイで綴る鬼才の半生。
  • 蝶のゆくえ
    3.9
    【第18回柴田錬三郎賞受賞作】10代で出産離婚し23歳で再婚した美加だが、新しい夫は息子にまったく無関心だった。彼女もそんな夫に同調し、いつしか虐待が始まる……。突然、夫の両親と同居することになった37歳主婦のいらだち。定年退職した直後の夫をオヤジ狩りでなぶり殺された58歳主婦の孤独。現代に生きる様々な年齢の普通の女たちを鋭く描いた傑作短編集。
  • 情状鑑定人
    3.0
    幼女誘拐の容疑で逮捕された井原信三に、情状酌量の余地があるかどうか――家裁の調査官・立花文代の依頼を受け、精神科医・祝田教授は、被告の過去を調べていく。井原は7年前、妻を殺し放火した容疑で起訴され、実刑判決を受けていたが、その背後に意外な事が……。“精神異常”の本質に迫る表題作の他、読み応えのある傑作ミステリー集。
  • さまよえる脳髄
    3.2
    精神科医・南川藍子の前にあらわれた三人の男たちは、それぞれが脳に「傷」を持っていた。試合中、突然マスコットガールに襲いかかり、殺人未遂で起訴されたプロ野球選手。制服姿の女性ばかりを次々に惨殺していく連続殺人犯。そして、事件捜査時の負傷がもとで、大脳に障害を負った刑事。やがて、藍子のもとに黒い影が迫り始める――。人間の脳にひそむ闇を大胆に抉り出す、傑作長編ミステリ。
  • 水中眼鏡(ゴーグル)の女
    3.6
    黒い水中眼鏡をかけた女が、精神科医の前にあらわれた。ある朝、突然目が開かなくなってしまったという。自宅で発生した火事によって夫を失ったことが原因かと思われたが――。治療が進むにつれ、驚愕の真実が浮かび上がっていく表題作ほか、難病の妻の介護人として雇われた女性が、歪んだ夫婦関係に巻き込まれていく「ペンテジレアの叫び」など。サイコサスペンスの傑作全三篇を収録。
  • 空白の研究
    3.5
    季子が夫の愛人を殺したことは、本人の自白からも、証拠品などからも間違いないらしい。だが、裁判までの過程で、供述に微妙なぶれがあるとして、精神鑑定の依頼を受けた祝田が、犯行時の一瞬の空白を探ってゆくと……。表題作他、心理分析を背景にして描く奇妙な味のミステリー集。
  • 月島物語
    4.0
    【第1回斎藤緑雨賞受賞作】東京は銀座から歩いてゆける町・月島。吉本隆明が生まれ、大泉黒石、きだみのる、大岡昇平らゆかりの町・月島。路地と長屋ともんじゃ焼きの町・月島。鍵もチャイムも全く不要な町・月島。狭い路地の奥に居を定めた著者が、この町の全体像を、日本近代化論でも文学論でもあり都市論でもあるという全く新しい形にまとめあげた上質のエッセイ。川田順造氏との対談収録。
  • 生きて候 上
    3.9
    倉橋長五郎政重は、徳川家御先手組にあって、無敵の大業“鬼落とし”で知られた槍の名手。家康の名参謀・本多正信の次子にして槍奉行・倉橋長右衛門の養子だが、故あって秀忠公の近習を斬り捨て徳川家を出奔。意地と野心を胸に秘め、慶長の役に身を投じる。前田利家の密命を帯び朝鮮半島に渡った政重だが、そこは人心を捨てねば生き延びられない修羅場であった。
  • 海神 孫太郎漂流記
    3.6
    江戸時代、なかば。仙台を出航した伊勢丸は突風に流される。渇きと飢えと闘いながらの百日間の漂流。その果てに、はるかな南国の島に漂着した。若き水夫・孫太郎の冒険が始まった。灼熱の太陽。奴隷の日々。殺戮と恋。力尽きて死んでいく仲間たち。望郷の念。島から島へと流転を続けながら成長していく孫太郎の青春。著者が新しい地平をめざした長編時代冒険小説。

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