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Posted by ブクログ
「昭和の女子」である私には、本書に書かれている内容、酒井さんの思いにすごく共感できた。ただ、これが書かれてから5、6年経った今はまた状況が変わっているのではないかと思われる部分もある。
細かい観察、分析が酒井さんの感性によりされていて、そこが素晴らしいところだと思いつつ、直前に読んだヤマザキマリさんの本と比べてみると、「日本の女性」っぽさが露わになっていて、日本という枠からもはみ出ていく女性が増えていけばいいなぁと思える。日本も変化しているとはいえ、酒井さんが危惧しているような後戻りがないともいえず、日本の変化など待っていられず、日本を飛び出した方が、限りある自分の人生を十全に生きられるかもと思う。
Posted by ブクログ
男女平等が叫ばれるようになって久しい現代でも、男尊女卑的な思想は世間のそこここに転がっている。そのルーツを辿ったとき、男尊女卑的な思想を持っているのは、必ずしも昔ながらの価値観を引きずる男性だけとは限らない。中には、男が上で女が下、という価値観を自ら選び、実践している女性もいる。彼女たちは煙草や酒を嗜むかのように、いわば嗜好品の一つとして男尊女卑的な思想を生活に取り入れている、ように見える。そういう女性のことを、筆者は「男尊女子」と呼ぶ。
前から気になるタイトルの本だなあと思ってはいたものの、この「男尊女子」なる存在を完全否定したり糾弾したりするような内容であるなら、それはそれで多様性を踏みにじることになってけしからん、というのは建前で、本心は、私自身が中学生のあるときに「よし私は将来専業主婦になるそして家で家族の帰りを待ち夕刻には鯖を焼いたり味噌汁を作るなどして生きる」と決めて以来その一点に向けて猪突猛進してきて今まさにその生き方をしているというまさに「男尊女子」であるので、金払って本買って生き方否定されちゃたまんないわ〜って感じで目を逸らしてきた。そんなときに読書好きの親友と再会し、全然そんな内容じゃないよ〜おもしろかったよ〜と軽やかに言われたので、ようしと覚悟を決め読んでみることにした。
全体を通じて、「男尊女子」を肯定するでも否定するでもなくただその生態を自らの実体験を元に明らかにしていくという寸法で、親友の言う通り、終始ニュートラルな語り口だったのでホッとした。さらに筆者自身が、自分も働いているし社会的にも経済的にも自律しているけれど、それでもなお男尊女卑的な思想を完全に捨て去ることができていない、と表明している点に好感を持った。自分の中の「隙」みたいなものを認めることって難しいからなあ。どんなに強い信念があっても、他人との関わりに揺さぶられてふと整合性が取れなくなる瞬間があったりして、そういうときに意固地になるんじゃなく、ああ自分の中にもそういう要素があったんだなあと俯瞰できる冷静さを私も持ちたいと思った。
社会学者の岸政彦さんが、丸山里美『女性ホームレスとして生きる』に寄せた解説でこんなことを言っていた。
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社会学は何をしているのか。質的調査は何をしているのか。私はそれを、ひとことで乱暴に言えば、「一概に言えなくしている」ということだと思う。(p.311)
そしてさらに、もうひとつの目的がある。(中略)社会学の、質的調査のもうひとつの目的とは、「理由を書くこと」である。たくましいでもかわいそうでもなくただ、人びとの行為には、そして人生には「理由がある」のだ。(p.319-320)
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男女平等を強く叫ぶ人びとに彼らなりの、好みの女性のタイプを聞かれて「一歩二歩、後ろを下がって歩く女性がいいですね」と答えたラグビーの五郎丸選手のように昔ながらの価値観の中で生きる人びとにも彼らなりの、それぞれの人生があって、理由がある。もちろん、性別が原因因で差別されたり不等な扱いを受けたりしている人を救済するための動きは可能な限り早く進むべきだという前提で、しかし個人が根底にどういう価値観を持って生きるかまで他人が介入することはちょっと、私はしたくないなあと思ったりもした。あっちこっちに旅をしていろんな人と出会って会話をして、というのがなかなかできない時代だから、ともすればどんどん視野が狭くなっていってしまう。人と話すときはそのときどきの会話の内容だけではなく、その人がどういう人生を歩んできたか、どうして今その意見を持つに至ったかまで思いを巡らせる余裕と冷静さを、せめてなくさないようにしたいなあと思う。
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