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Posted by ブクログ
それぞれの登場人物の人生の背景がリッチに描かれていて、どの視点からの話にも感動して涙が出てきた。
親が子供と関わる中で、子供が同級生の仲間や大人と関わる中で、塾講師が受験生の小学生たちと関わる中で、人は人との関わりの中で成長していく過程が描かれている。
◎受験生であり妹の障害を自分のせいだと思い込んで生き方を変えたいと必死に努力する俊介。
◎自らは自己中心的な両親に頼まれ家族を支えるために中卒になったが、夢があると語る息子の夢は守りたいと自ら動き出す菜月。受験はお金がかかるからと反対する主張の強い義母へも初めて立ち向かっていく。
◎証券会社勤めで彼女もいて順風満帆だったが、目を背けていた弟の自殺未遂騒動があってから、自分ばかり応援されて両親に見過ごされてきた弟をサポートするため仕事も恋人も投げ捨てた加地。弟のような存在を作らないため、「子供達に武器を与えたいから」と塾講師となった。
小学生から毎日勉強漬けにして受験するのはどうなの?という意見もあると理解しているけど、何かに一生懸命になること、夢や目標を見つけて、そのために自分で決断・行動することは人生の糧になる。そして子供の意志や夢を否定せず、寄り添って応援してあげる、時に落ち込んだり壁にぶつかった時にはガイドしてあげるそんな大人の存在がどんなに重要か。
Posted by ブクログ
文庫でしか出ていない本とのことですが、ハードカバーでも出てたくさんの人に読んでほしい。私は田舎育ちの今も地方住まいで、中学受験とは縁もなく、私も子どもたちもみんな塾の経験がないので、塾の知識が全くありません。2章に出てくる学校の先生、この話の中だと余計なことを言う困った人だと思ってしまいますが、現実世界では私も都会の中学受験をする子どもたちに同じ印象を持っていたので、この先生の気持ちはよくわかります。実際、俊介のような自ら能動的に受験する子ばかりでもないのだろうと思うので、その子によって正解も違うのでしょう。塾の先生が加地先生みたいな人だらけというわけでもないでしょうし…
なので、この本を読んだからいきなり中学受験万歳!とはなりませんが、いい塾に出会えて、自らの目標を見つけて向かう力をつけることができれば、子どもの人生に大きな財産になるのだと感じました。
俊介だけでなく、お父さんお母さん、妹、友達、先生…
この本に出てくる、俊介と関わるほとんどの人が大切な人を支えたり、一緒に励まし合うために懸命に頑張っています。1章でも2章でも3章でも、全部で泣きました笑
わが子たちも今年受験生、毎日頑張って、もう金の角が生えているのかも。俊介のお母さんのように、親として支えつつ、一緒に並んで自分の人生もがんばりたいなと思いました。
Posted by ブクログ
中学受験に対するイメージがまるごと塗り替えられた一冊。もちろんこれは小説だけど、加地のような先生に10代前半のうちに、いや生涯のうち一度でも出会えたら、その人の人生や物の見方は大きく変わるだろうなと思う。子どもに武器を与えたい、というだけでなく、その武器を周囲の人のためにも使ってほしいというところまで考えられる大人は強い。
藤岡陽子さんの作品は、自分の役目を静かに果たしている、日々をきちんと懸命に生きている人を見逃さないところが特に好き。
俊介や加地だけではなく、みんなと同じようにピアニカを吹くために人の何倍も努力を必要とする妹や、自分の辛い思いは息子の盾になれたかも、と思う母親。塾のプリントのコピーを毎日毎日大量にとってくれる事務員に加地がきちんと感謝しているところ。
派手に活躍しなくても、静かに、その人その人の頑張りに確かなスポットライトを当てる。大好きな作家さん。
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