歴史・時代小説作品一覧

  • 新装版 江 姫たちの戦国 上
    4.0
    [2011年NHK大河ドラマ原作]幼い頃に戦乱で父母を亡くし、幾度もの結婚を余儀なくされながら、将軍正室にまでなった浅井三姉妹の三女・江。信長を伯父、秀吉を義兄、家康を義父とした江は、戦国を代表するスーパーセレブであった。戦国から江戸への移り変わりを、常に時代の中心点で直に目撃した、江の波瀾の生涯を、田渕久美子が書き下ろす。

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  • 魔食 味見方同心(一) 豪快クジラの活きづくり
    3.3
    魚之進のもとに嫁いできたおのぶは、より積極的に事件の解明に関わるようになった。そして早速、二人で小網町を歩いていると、「クジラの活きづくり」の話を聞きつける。あまりに豪快で突拍子もない料理の仕方に、魚之進は味見方としてほっておけなくなる。奉行の筒井に報告すると死人も出ているという。相談の上、クジラ肉を商う「海獣屋」という店のことを魚之進が調べてみることに……。大人気「味見方同心」、待望の新シリーズ開始!
  • 姉川忠義 北近江合戦心得〈一〉
    3.9
    第六天魔王・信長の首、頂戴つかまつる!  元亀元年(一五七〇)六月二十八日(新暦七月三十日)、浅井・朝倉勢と織田・徳川勢が激突した姉川の合戦が、弓の名人・与一郎の初陣だった。父・遠藤喜右衛門が壮絶な戦死をしてから三年、家督を継いだ与一郎と、郎党の大男・武原弁造は、主君・浅井長政率いる四百の兵とともに巨大な山城・小谷城の小丸に籠っていた。まさに風前の灯だった。長政には、信長の妹で正室の於市との間に、五歳の長女・茶々以下三人の女子があり、於市ら四人を織田方に投降させるという。だが、十歳の万福丸と乳飲み子の万寿丸は、信長とは血の繋がりがない。信長は決して男児を許すまい。万福丸を連れて落ち延びよ。主命とはいえ、浅井家が果てようという時に、自分一人生き残るなど、与一郎には、及びもつかない。だが、死にゆく主人から嫡男を託されて、古風も美意識も矜持も吹き飛んだ。浅井家再興がなるまで守り抜く。与五郎と改名させた万福丸を弟に仕立てて、小谷城脱出を決行する与一郎。供は、元山賊の頭目・武原弁造ただ一人。天正元年(一五七三)旧暦八月二十八日未明、三人は敦賀を目指して出立した。
  • 田沼と蔦重(新潮文庫)
    3.0
    次々とヒット作を生み出し出版界の寵児となった蔦重こと蔦屋重三郎。老中の田沼意次を庶民の理解者と評価する重三郎は文化人たちと築いたネットワークを駆使し、田沼のため情報収集に奔走することに。一方、獄死と偽り田沼邸に匿われていた平賀源内は、幕府財政再建を図るべく夷地の富に目を付けた意次の意を受け北に向かう。型破りで「べらぼう」な男たちを描く書下ろし長編歴史小説。(解説・木村行伸)
  • きよのお江戸料理日記
    3.8
    逢坂の油問屋の子として生まれた「きよ」は、とある事情から屋敷の奥でひっそりと暮らしていた。そんなある日、弟の清五郎が問題を起こし、逢坂にいられなくなってしまう。両親は清五郎を江戸にやることにしたが、きよも弟の世話係として共に行くことに。ふたりが向かう先は、父の知人が営む料理屋『千川』。そこで清五郎は配膳係として、きよは下働きとして働くことになったのだが、ひょんなことからきよが作った料理が店で出されることになり……。「居酒屋ぼったくり」著者の新境地、ここに開幕!
  • 華舞剣客と新米同心
    完結
    -
    神田で手習所を営む佳純は、娘を助けた縁で呉服屋の越前屋に用心棒を頼まれる。佳純は腕に覚えがあった。父の道場で剣術を磨き、いっぱしの女剣士となっていたのだ。 一方巷では鬼蜘蛛という盗賊が、世間を騒がせていた。金品の強奪だけでなく、おなごは手籠めにされるという。 美しい妻と娘たちを持つ越前屋は、見ず知らずの浪人者を家に入れるのを躊躇していたところに、ようやく佳純を得たのだった。佳純は越前屋に入り、大胆不敵な色右衛門率いる鬼蜘蛛を迎え撃つ。 その一方で、町方同心の真之介は佳純を見守り、陰で支えようとする。火付盗賊改方の多岐川もまた、佳純の腕前を知り……。 痛快無比の時代エンタテインメント!
  • 無敵浪人 徳川京四郎  天下御免の妖刀殺法
    -
    根津権現の門前町に住まう謎の素浪人・徳川京四郎。 龍と牡丹をあしらった片身替わりの小袖を着こなす、まさに惚れ惚れするような若武者である。 しかもこの男、世間で噂されているとおり、徳川家のご落胤……現将軍・徳川吉宗の甥っ子にあたり、大名、旗本の誘いを蹴って市井暮らしを選んだ、まっこと変わり者の若さまなのである。 そんな京四郎、なんの因果か、女読売屋の松子と手を組み、町場のさまざまな騒動や事件に首を突っこんでいく。 吉宗から拝領したいわくつきの妖刀村正をぶんまわし、最強の剣法『秘剣雷落とし』が許せぬ悪を裁く! 痛快娯楽の最高潮、無敵の新シリーズ開幕!
  • 土下座奉行
    3.0
    土下座は屈辱にあらず、悪を斬る正義の剣だ! 廻り方同心・小野寺重吾は、ただならぬものを見てしまった。 昼下がりの北町奉行所で土下座をする、牧野駿河守成綱の姿だった。 土下座相手は三十代半ばの侍で、身なりからしてどこぞの用人あたりであろう。 歳といい、武士としての格といい、奉行よりうんと下のはず。 しかし、重吾は、 (……なんと、きれいな土下座であろうか) 風で桜の舞い散る中、奉行の姿に見惚れていた。 まるで茶道の名人か、あるいは剣の達人のする謝罪ではないか、と――。 小悪を剣で斬る同心、大悪を土下座で斬る奉行の二人組が、江戸城内の派閥争いがからむ難事件「かんのん盗事件」「竹五郎河童事件」に挑む! そして、いま土下座の奥義が明かされる!! 小野寺重吾……北町奉行所の廻り方同心。あだ名は「しゅうとめ重吾」。 牧野駿河守成綱……北町奉行。江戸城内で「どげざ駿河」と呼ばれる。 八重……重吾の妹。「黙っていれば小町」と囁かれるほどの美形。 遠山左衛門尉景元……南町奉行。人呼んで「いれずみ金四郎」。 財前孝三郎……南町奉行所の廻り方同心。周りは「花がら孝三郎」と呼ぶ。 夜目鴉の菊……関八州を股にかけた大盗賊。
  • 大江戸かあるて 桜の約束
    4.0
    上野国(現在の群馬県)の農村に生まれた貧しい小作農の子ども駿は、物心つく前に父を流行病で亡くし、母ひとり子ひとりで暮らしていた。だが、天明3年(1783)浅間山の大噴火によって母を亡くし、天涯孤独となった。彼は同い年の親友・涼とともに文武の修業に励んでいた。ある日、病で死の淵に立つ涼の母親を助けるために、医者を訪ねる。しかし、金のない者は診察すらしてもらえない。そんな不条理に憤った彼は、弱き者を守るために、江戸一番の医者を目指す――。情けは人の為ならず! 青春時代長編シリーズ、第一弾。
  • 公家さま同心 飛鳥業平 決定版【1】
    -
    雪降り積もる天保九年正月、定町廻り同心の和籐田三次郎は殺しの現場で、奇妙な男と出会う。 真っ白な狩衣に真紅の袴、立て烏帽子をかぶり、あたかも平安絵巻から抜けだしたような装いである。 言葉をかわした瞬間、鋭い洞察と観察力で、三次郎の妻の出産を見抜いたその男は、従三位権中納言、飛鳥業平──水戸家に逗留するやんごとなき京のお公家さまであった。 三次郎のとまどいと困惑をよそに、探索仕事に興味をおぼえた業平は、八丁堀同心よろしく難事件の探索に乗りだすのだが……。 武家や世間の常識にとらわれぬ江戸時代の名探偵が、隠された謎を解き明かしていく。 大人気となった時代シリーズの新装決定版!
  • 歩き巫女 尾張の陰謀
    -
    徳川吉宗の治世、江戸に類希なる美貌の巫女が現れた。戦国の世に武田信玄の下でくノ一を束ねた巫女頭の末裔、望月千代であった。 千代はまずある神社を色じかけで乗っ取り、そこを拠点に千里眼や雨乞いなどで霊力をしめす。 それが評判となり、江戸の民たちは千代に熱狂。だが千代の目的は、民衆を煽動し、吉宗のご政道を批判することであった。 事態を重く見た吉宗は、側近の加納久通を通じて寺社役の高畠辰之伸に密命を下す。だが、千代の背後には吉宗の政敵、尾張の宗春が黒幕として控えており……。 暗雲ただよう政争のゆくえはいかに。 疾風怒濤の時代エンタテインメント!
  • 凜と咲け―家康の愛した女たち―(新潮文庫)
    5.0
    女子(おなご)の賢さを、上様に見せてあげましょうぞ――。意外にしたたかで大胆だった知られざる側近女性たち。正室築山御前の〈最後の恋〉、出奔した側室お万ノ方、老いても家康に大切にされた西郡(にしごおり)ノ局、秀頼の妻千姫に誠実に向き合ったお夏ノ方、下層の出自ながら懸命に仕えた茶阿ノ方、女性として最高位に昇りつめた阿茶ノ局。徳川の礎を担いながら自分らしく生きた六人の魅力を描き出す傑作短編集。(解説・大矢博子)
  • 隠蜜姫 愛華
    -
    高杉藩五万石の勘定方である辰之介は、姫君の愛華から信頼されていた。それは剣術の稽古でも手加減しない愚直な男だからだ。 そんな辰之介が気づいたのは藩内の不正。同じ勘定方の上役に作事方、そして藩内一の実力者、国家老の権田がかかわる悪事だった。 横領の証を探る辰之介は、ある日権田の屋敷に呼ばれ、そこで色じかけにあう。懐柔しようとしているのだ。それを頑なに拒むと、許婚の美菜までもが捕らえられてしまう。 誰が味方で誰が敵なのか?辰之介は意を決し、愛華に裏帳簿を探し出す協力を乞う。すると愛華は、なぜか黒装束に身を包んで現れ……。 姫君の貞操は守られるのか。痛快無比の時代エンタテインメント!
  • 乱愛指南 姫割り役・美女絵巻
    -
    姫割り役──それは、男を識らぬ生娘に対し、優しく性の手解きをしてやる者のことである。 川越領の外れに隠棲する浪人・御崎源三郎も、村人たちの願いで姫割り役を務めていた。ところが、源三郎が閨業を指南したお光が、江戸で行方知れずとなった。 探しに出た源三郎は、彼女が〈地獄屋敷〉に連れ去られたことを知る。屋敷の賭場へ乗り込んだ源三郎は、そこで大身旗本家の恐るべき陰謀と闘うことになった! さらに、乱暴されかかった男装の武家娘を救ったことから、源三郎自身も隠していた重大な過去と対峙することになるのだが……!! 運命の出逢いへ至る〈前日譚〉を書下ろし──番外篇「牝泣き」を新たに収録した大人気“乱愛シリーズ”の極上長編!!
  • 乱愛一刀流 艶殺 三万両伝奇
    -
    自分の道場で寝ていた大門一郎太の顔の上に、天井を破って何かが落ちてきた。それは男装の娘盗賊、天狗小僧千吉ことお千の臀であった。 そこへ斬りこんで来たのは、覆面の侍たち。一郎太は道場を捨て、お千を連れて逃げ出す羽目になる。 実は、お千が大名屋敷から盗み出した女雛には、三万両の秘密が隠されていた。それは、慶安年間に倒幕を画策した由井正雪の隠し金なのである。 次から次へと迫りくる女やくざ、女忍、刀腰女らの妖艶な刺客と戦い、巨砲で哭かせてしまう一郎太。 徳川御三家をも揺るがす大金の在り処は?そして争奪戦の黒幕の正体とは?  本篇の<前日譚>ならぬ<当日譚>を書下ろし──番外篇「女体道場」を新たに収録した大人気“乱愛シリーズ” の傑作長編!
  • 芽吹長屋仕合せ帖 日照雨(新潮文庫)
    4.5
    三十代のおえんは独り長屋で暮ら しながら〈縁結び〉の仕事をして いる。評判はよいがいささか難し い話も舞い込んで……。息子を一 人で育てる女の縁をとりもつ「結 び観音」。腕のいい魚売りがなぜ か縁談に尻ごみする訳とは(「鯛 の祝い」)。他、「神かけて」「夕 明かり」「余寒」表題作の全六編。 人の営みの陰影を〈ご縁の糸〉が 浮かび上がらせ、照る日曇る日の 心の機微をしみじみ描く時代小説。 (解説・大矢博子)
  • 髪追い 古道具屋 皆塵堂
    3.8
    遊び人の茂として、ふらふらしていた茂蔵も、巳之助の弟分におさまり、小間物屋・大黒屋で真面目に働いている。その茂蔵が花見の後、酔った勢いで祠の戸を開けて、紐で固く結ばれていた箱を開けてしまう。箱の中にあったのは女の長い髪。するすると伸びて、茂蔵の足に触れたとたん、大音響が響き渡った。逃げるように立ち去った茂蔵は、翌朝、帳場の観音像が真っ二つに割れているのを見つける。観音像が身代わりになってくれたのか。幽霊が見える太一郎によると、「封じ込めている」ものを茂蔵が開けてしまったらしい。祠の場所には昔、三十年前に焼け落ちた履物問屋備前屋の寮があった。今の主の徳五郎によると、先代はかなり悪辣で、借金漬けにして潰した下田屋から寮を強奪したらしい。下田屋の亭主は行方知れず、一人娘も病で失ったお此という不幸なおかみさんが失意の末に自害して、長い髪を残したというのだ。茂蔵が開けてしまったのは、備前屋が封印したお此の髪だった。この世に怨みを残すお此を太一郎や茂蔵は救えるのか? 人気シリーズ第九弾!
  • 読んで旅する鎌倉時代
    3.9
    蛭が島:若き源頼朝が流された伊豆の地。当時の支配者は北条氏。 真珠院:頼朝との悲恋の末に八重が命を落とした地。 伊豆山神社:頼朝と北条政子が結ばれた地。 石橋山:頼朝が源氏復興ののろしを上げるも、大庭景親、伊東祐親らの平家軍に大敗した地。 黄瀬川:奥州から駆けつけた義経が頼朝と再会した地。 願成就院:北条時政が頼朝の奥州平泉討伐戦勝祈願のため建立した。 銭洗弁財天:頼朝への宇賀福神の夢のお告げを元に、宇賀福神を祀り神仏の供養を行なったのが創建の由来。 三島大社:頼朝が源氏復興を祈願して旗揚げをした神社。 梶原山公園:頼朝の信任厚かったが、その死後に滅ぼされた梶原景時終焉の地。 鶴岡八幡宮:鎌倉幕府とともにあった彼の地のランドマーク。 伊豆修善寺:頼朝の嫡男・頼家が暗殺された地。 など、鎌倉殿(鎌倉幕府)をめぐる13の地を舞台に、歴史時代小説の手練れ13人が切れ味鋭い筆をふるう。 13の掌編を自宅でじっくり味わうも良し、地図と写真を手がかりに今に残る歴史の現場を訪ねるも良し。
  • 三四郎拝領剣 藩主暗殺を阻止せよ
    -
    時は天保三年の秋。行きつけの船宿で遊んでいた八瀬三四郎は、嵐山流茶人の宗匠・岩倉渡月斎から呼びだしを受け、そこで、幕張章介という隠密廻りと知りあう。 三四郎や渡月斎の素性を怪しむ章介をよそに、三四郎はこの生真面目な同心に、なんとも言えぬ好感を抱いたのであった。 じつはこの三四郎、渡月斎とともに光格上皇の密命を受けて江戸に潜入してきた、いわば朝廷の密偵……だが、公家の復権などどこへやら、いまやすっかりと江戸文化に溶けこみ、武家と公家が手を取りあう平和な世を願うようになっていた……。 戦乱を企てる悪党を前に、帝より拝領した必殺剣が閃く!待望の新シリーズ開幕!
  • はしからはしまで―みとや・お瑛仕入帖―(新潮文庫)
    4.4
    看板娘のお瑛と兄の長太郎が営む三十八文店の「みとや」。のんきで憎めない兄が仕入れる品々は、毎度ちょいとした騒動を巻きおこす。その日も長太郎は、仕入れの荷も解かずに、笑顔で出掛けていったのだが……。残された板紅や水晶に込められた優しい思いとは。かけがえのない思い出と喪失を胸に、それでもお瑛は生きていく。兄と始めた、小さいけれど大切なこの店で。シリーズ第三弾の六編。(解説・大矢博子)
  • ぶぶ漬屋 稲茶にございます
    3.3
    夫が賄を受けたという、いわれのない咎で西国の藩を追われ、親子三人で江戸に出てきて十四年、夫が亡くなってから十三年。その間、真沙女は息子・夢之丞の仕官だけを頼みに、地道に生きてきた。しかし元奉公人のお久米と偶然にも再会し、一緒にお袋の味のお惣菜とお茶漬けの店をはじめることに。母親の変わり様に出入師の夢之丞はとまどいながらも、生き生きとしている母の姿を見て、陰ながら店を助けるが……。“母子燕”が自ら幸せを切り拓く、待望の新シリーズ、ここに誕生。
  • 殿、恐れながらブラックでござる
    3.0
    武将の通信簿とも言える『名将言行録』で「脳筋で無学」と評される尼崎藩主・青山幸利(よしとし)。ワケアリ牢人・戸ノ内兵庫が、時代遅れでブラック気質な幸利をできる藩主にプロデュース! 譜代大名・藩と江戸幕府の危機に対処していく凄腕コンサル物語。 四代将軍・家綱の世。戸ノ内兵庫は御三家水戸筋の訳ありな出自のため、幼い頃に命を狙われ、祖父母を目の前で斬殺されたトラウマから、刀を抜かない・人を斬らない主義だ。江戸のさる寺に居候中の兵庫は、藩士が居つかない尼崎藩のため、江戸での人材確保と尼崎での人材育成に関わることになる。 「恐れながら申し上げます」と言いつつも、恐れ知らずの兵庫の助言で、幸利も藩士たちも徐々に変わっていく。 そんななか、由井正雪の遺志を継ぐ一派が、江戸幕府転覆を狙って大坂城乗っ取りを計画。兵庫はその仲間と疑われ、厩番に身分を落とす。落雷により大坂城天守閣が炎上した日、大坂城に駆けつけた幸利は、一派に命を狙われる……。
  • 浮かれ鳶の事件帖
    -
    剣が冴え気ままな兄と、知恵者で冷静沈着な弟。 一途で真っ直ぐな兄弟捕物帖! すこぶる男前で気ままな町場暮らし。「浮かれ鳶」と綽名される本多控次郎は貧乏旗本の次男坊である。 弟七五三之介が奉行所与力に婿入りし、事件探索に手を貸すことに。真面目すぎる弟を相棒に、小石川養生所を襲う連続不審死の真相を探る。 やがて、謎の密売人が控次郎の家族にまで牙を剥く。 曲がった事を許さない控次郎の正義の剣が、世に蔓延る悪を討つ!
  • ひらめき小五郎 江戸城の女狐
    -
    公儀学問所の教授をつとめる伊能小五郎は、幼少のころに儒教の書物を暗記し、幕府の筆記試験を特等で合格した稀代の天才。ゆくゆくは朱子学を背負ってたつ逸材と期待されたものの、早々と儒学を放りだすや、蘭学にのめりこむ始末。当然、学問所でも眉をひそめられる存在であるが、当の本人はいっこうに気にしない。そんな小五郎のもとを、今日も今日とて、吟味方与力・深津剛次郎が訪れる。ふたりは幼馴染みの腐れ縁で、難事件が起きるや、剛次郎はすぐさま、小五郎の力を借りにくるのだ。渋ってみせる小五郎も、謎への興味は抑えがたく、こうして事件探索へと乗りだしていくのだが…。天才学者の捕物帖、堂々のシリーズ開幕!
  • 深川 花街たつみ屋のお料理番
    4.0
    深川の花街、大黒で行き倒れていた醜女。妓楼たつみ屋に住む絵師の歌に拾われた彼女は、「猿」と名付けられ、見世の料理番になる。元々厨房を任されていた男に、髪結、化粧師、門番、遣手婆……この大黒にかかわる人々は皆、何かしらの事情を抱えている。もちろん、歌も。そんな花街も、猿がやってきたことをきっかけに、少しずつ、しかし確かに変化していく――
  • 御徒の女
    3.0
    貧乏も天災もなんのその! 幕末を生きる痛快女一代記 「人の一生は幸不幸がもつれ合ってできている」――下谷の下級武士の娘・長沼栄津は、隣家の長男・水嶋穣太郎に思いを寄せるが、良い噂を聞かない國木田義三のもとへ嫁いた。大地震や流行り病に襲われるも、武家の誇り胸に歩む栄津だが…… 〈着物始末暦〉シリーズの著者が、波乱の時代を生きる女の人生を描き切った、人情あふれる傑作時代小説。 解説/青木千恵
  • 万葉恋づくし(新潮文庫)
    3.8
    万葉歌人は、じつは恋愛下手でした――。若い大伴家持から恋歌を贈られた年上女性の、理性と情熱の揺らぎを描く「年下の男」。夫に愛想を尽かした妻が出した結論「しゑやさらさら」。恋の歌が苦手な女の前に現れた庭を愛する男との、不意の出来事が胸を焦がす「恋の奴」。その他、下級役人の滑稽な同棲「紅はかくこそ」など全七編。歌人たちのおおらかで不器用な恋の一瞬を、みずみずしく描く傑作。(解説・上野誠)
  • 戦国業師列伝
    3.0
    剣豪、茶聖から大泥棒まで 神業で時代を変えた男たち 業師といわれるほどの人は、その道において、特異な感覚といってもよい能力をそなえている。人柄はおおむね明るい。一見暗く見えていても、本質は陽気だ。そうでなければ、人からほめたたえられるほどの才能を発揮できない。――(まえがきより) 新陰流の流祖で柳生石州斎にその神髄を相伝した上泉伊勢守信綱。無類の武辺者でありながら奇矯なかぶき者として知られた前田慶次。信長・秀吉と真っ向から対峙した茶聖・千利休。そのほか築城・藤堂高虎、水墨画・長谷川等伯、大泥棒・石川五右衛門ら、戦国の世、神の〈業〉で時代を変えた十人のカリスマの生き様を歴史小説の泰斗が描く傑作列伝。 〈目次〉 【剣豪】上泉伊勢守信綱 【かぶき者】前田慶次 【茶聖】千利休 【築城名人】藤堂高虎 【絵師】長谷川等伯 【水軍大将】久鬼嘉隆 【外交僧】安国寺恵瓊 【鉄砲衆】雑賀孫一 【大泥棒】石川五右衛門 【山師頭領】大久保長安 解説/末國善己
  • 問答無用 〈新装版〉
    5.0
    御徒衆の佐久間音次郎は、妻と子を惨殺され、下手人と思われる同僚を襲撃した。見事敵討ちを果たしたはずが、その同僚は無実だった。獄に繋がれた音次郎は死罪が執り行われるその日、囚獄・石出帯刀のもとへ引き立てられ、驚くべきことを申し渡された。「これより一度死んでしまったと思い、この帯刀に仕えよ」。下された密命とは、極悪非道の輩(やから)の成敗だった。音次郎の修羅の日々が始まった。
  • 乱愛剣法 魔忍者軍団を斬れ!
    -
    「若君、藤丸様の護衛役を命ずる!」──白馬藩九万九九九九石の納戸頭・南条家の部屋住みであった大輔は、国家老から大役に抜擢された。側室・お嘉世の方と手を組み、御家乗っ取りを企む奥用人・仙波頼母が、藤丸を亡き者にするため、魔忍者軍団〈斗狩衆〉を雇ったからだった。剣は強いが女嫌い、堅物で単純直情の大輔は、斗狩衆の女忍に襲われるが、巨根絶倫であることが幸いして危機を逃れる。しかし、守るべき藤丸君には、将軍家に御目見得もできない、ある重大な“秘密”があった。そしてついに、剣難女難に立ち向かう大輔と江戸へ向かう藤丸に、斗狩衆の頭領・幻夜斎が襲いかかる!果たして正義の剣は、邪法に勝てるのか──!?書下ろし番外篇「妄龍の夜」を収録した痛快時代傑作!!
  • 廻船料理なには屋 帆を上げて
    4.0
    江戸の八丁堀に開店した料理屋「なには屋」は、大坂の廻船問屋「浪花屋(なにわや)」の出見世。次男の次平と娘のおさや、料理人の新吉が切り盛りしている。しかし、江戸っ子に上方の味付けは受け入れられず、客足は鈍かった。そこで、常連になった南町奉行所の同心たちや知り合いの商人(あきんど)の助けで、新しい献立を創ったり、呼び込みをして、徐々に客を増やしていく。だが、上方嫌いの近所の奴らが……。書下し時代小説。
  • 鬼神の如く―黒田叛臣伝―(新潮文庫)
    4.1
    「わが主君に謀反の疑いあり」。筑前黒田藩家老・栗山大膳は、自藩が幕府の大名家取り潰しの標的となったことを悟りながら、あえて主君の黒田忠之を幕府に訴え出た。九州の覇権を求める細川家、海外出兵を目指す将軍家光、そして忠之――。様々な思惑のもと、藩主に疎まれながらも鬼となり幕府と戦う大膳を狙い刺客が押し寄せる。本当の忠義とは何かを描く著者会心の歴史小説。司馬遼太郎賞受賞。(解説・島内景二)
  • 柳生三代の鬼謀
    4.0
    大和(やまと)国の土豪柳生宗厳は、廻国修行中の上泉伊勢守に負かされ、己の未熟を悟る。伊勢守に弟子入りした宗厳は、師より無刀取りの会得を託され、艱難辛苦の末に奥義書四巻を受け継いだ。柳生新陰流の祖、石舟斎こと宗厳。徳川将軍家兵法指南役となり、天下に新陰流の名を轟かせた二代目宗矩。廻国修行で己の剣を磨き流派の深化に努めた三代目十兵衛三厳。偉大なる剣客の実像に迫る長篇歴史小説。
  • 怪盗若殿 颯爽剣
    -
    懸命に生きている人々の営みを助けるため、強欲に走る悪を懲らしめる、という正義の盗賊が江戸に現れた。その名も「お歌舞伎夜兵衛」──。だが、その正体たるや、千二百石の直参旗本の三男坊・若月左馬介であり、気楽な身分を利用して、悪政の証となる文や宝刀を盗み出すため、颯爽とした男ぶりで闇を駆け巡っていたのである。ところがある日、連続して起こる座頭殺しに直面し、左馬介もこの不可解な事件に巻き込まれてゆく。惨事の裏に幕政をも脅かす謎の組織の存在を知った左馬介は、お歌舞伎夜兵衛へと変貌。この世にあってはならぬ者を追い詰めるため、秘剣・夜桜を体得し、驚くべき姿を敵前に曝け出すのだった!果たして政事の安寧を守ることはできるのか!?
  • 六条御息所 源氏がたり 上
    3.5
    林真理子、衝撃の『源氏物語』新解釈!  帝の子として生を受けた主人公、光は、生まれたときから“みたこともない美しい若君”と呼ばれ、宮中の女性たちの脂粉に囲まれて成長する。幼くして母と死に別れた後、臣籍に降下され源氏の性を与えられた光。やがて左大臣の娘、葵の上と結婚するが、その頃から様々な身分の、様々なタイプの女性たちとの関係に明け暮れる。そしてついには、母に生き写しといわれる、父=帝の妻、藤壺とも関係を持つに至った光。その藤壺が産んだ子は・・・幼い頃の光に、うりふたつであった。  平安時代中期の京都を舞台に描かれた、紫式部による、世界最古にして最高の恋愛大長編小説を、恋愛小説の神様=林真理子が再構築し、現代的アレンジを加えることによって誕生した“小説版源氏物語”の前編。原書での第一帖「桐壺」から第十三帖「明石」までを中心に構成。  これまで、日本文学史上の数多の文豪が手がけてきた“源氏物語の訳”ではなく、大胆な章立ての変更。さらには、本来登場人物のひとりにすぎなかった六条御息所の“ひとり語り”という革新的手法を用いることによって、世界的古典文学の名作が、現代人にとってリアルに楽しめる、光源氏を巡る性愛の一大活劇となった!
  • 盡忠報国 岳飛伝・大水滸読本
    4.2
    執筆開始より17年の時を経て完結した北方大水滸伝、全51巻。『替天行道』、『吹毛剣』に続く、本シリーズの読本としては3冊目。今回はWeb限定で公開されていた登場人物たちと北方謙三が邂逅する掌編「やつら」や、小説すばる連載時に毎回書き連ねられたオリジナルの漢詩、著名人たちとの熱い対談や、恒例の編集者からの手紙、いのうえさきこによる漫画「圧縮大水滸伝」も収録。内容充実のオリジナル文庫。
  • 巨眼の男 西郷隆盛 1
    -
    黒船の来航以来、世情は混迷を深めるばかり。薩摩はいち早く財政を再建し、雄藩としての地歩を固めていた。幕政改革の舵取りを期待された英明の藩主・島津斉彬に見出され、西郷吉之助(隆盛)は下級武士ながら国事に奔走。だが、斉彬が急逝し、守旧化する藩論。そして吹き荒れる安政の大嶽の嵐。西郷は奄美大島での隠棲を強いられていた。維新最大の功労者、波瀾の半生を描く大河歴史小説第1巻。
  • 野分の朝 江戸職人綴
    5.0
    奉公してから十五年、ようやく自分の店を持つことになった料理人の伴次。店を持ったら女手が必要になる。そろそろ女房を持ってもいいのでは──その時、伴次に苦い思いが湧いた。七年前、一緒になるという約束を破り、他の男と所帯を持ったおつな。だが男に騙され、女郎屋に売られたあげく体をこわして死んだのだ……。己の腕を頼りに懸命に生きる職人の姿を描いた傑作時代小説集。(文庫オリジナル)
  • 水戸黄門 天下の副編集長
    3.7
    『国史』が成らねば水戸藩は天下の笑いもの。一向に進まない編纂作業に業を煮やした前水戸藩主・徳川光圀公(実在)は、書物問屋の隠居に身をやつし、遅筆揃いの不届き執筆者どものもとへ原稿催促の旅に出た。お供は水戸彰考館の覚さん(実在)、介さん(実在)をはじめ、鬼机(デスク)のお吟など名編修者たち。まずは下田を訪れた御老公一行は、なにやら不可解な陰謀にぶち当たる! 痛快時代エンターテインメント。
  • チャンミーグヮー
    3.8
    明治初期、首里士族である喜屋武家の三男として生まれた朝徳。体の小さな彼は、従兄の本部朝基と相撲をしても負けてばかりだったが、父の教える手に惹かれて鍛錬を重ねる。激変する時代のなか、東京での勉学生活の後に沖縄へ戻った朝徳は更に手の修業を積み、やがてその伝道に力を注いでゆく――。平和は武によって保たれる。琉球が生んだ伝説の唐手家の生き様を描き出す武道小説。
  • 恋形見
    4.0
    十一歳のおけいは泣きながら走っていた。日本橋通旅籠(はたご)町の太物問屋・巴屋の長女だが、母は美しい次女のみを溺愛。おけいには理不尽に辛くあたって、打擲したのだ。そのとき隣家の小間物問屋の放蕩息子・仙太郎が通りかかり、おけいを慰め、螺鈿(らでん)細工の櫛(くし)をくれた。その日から仙太郎のため巴屋を江戸一番の店にすると決意。度胸と才覚のみを武器に大店に育てた女の一代記。(解説・麻木久仁子)
  • 鬼はもとより
    4.2
    どの藩の経済も傾いてきた宝暦八年、奥脇抄一郎は江戸で表向きは万年青(おもと)売りの浪人、実は藩札の万(よろず)指南である。戦のないこの時代、最大の敵は貧しさ。飢饉になると人が死ぬ。各藩の問題解決に手を貸し、経験を積み重ねるうちに、藩札で藩経済そのものを立て直す仕法を模索し始めた。その矢先、ある最貧小藩から依頼が舞い込む。三年で赤貧の藩再生は可能か? 家老と共に命を懸けて闘う奥脇がみたものは……。
  • 千の命
    4.0
    江戸時代多くの命を救った男を描く傑作小説。  元禄十三年、二百石取りの彦根藩士の家に生まれた玄悦は母に厳しくされ、自分が実の子ではないと感じていた。下働きの八重が突然いなくなり、やがてその後呼ばれて八重を訪ねていくと、八重はおなかの子が出てこられずに苦しんでいた。八重が生みの親とわかった玄悦だったが、八重は亡くなってしまう。医者を志したが許されず、玄悦は独力で鍼や按摩の技術を習得し京都に出る。  そして同じ長屋の女性が八重と同じくお産で苦しんでいるのを見て、自らの技術で女性の命を救った。玄悦の技術は評判となり、自ら回生術と名付けた。また夜鷹など行き場のない女性が滞在するための家を借りた。一方、亡くなった胎児を時に傷つけ引きずり出すことを批判され、子供は苛められた。  ある日、商家の妾が難産でひどい扱いをされているのに激怒した玄悦は、その女性・お糸を引き取った。玄悦は、お糸にこれまでの女たちにはない感情を抱くようになる…。  上手くいかない三人の子供との関わりや妻のお信やお糸とのことに悩みながらも、多くの命を救った。山脇東洋を始めとする一流の医者たちからも、その技術を認められるようになった男の熱き生涯を描いた傑作小説。
  • 眠狂四郎無頼控(一)(新潮文庫)
    4.2
    徳川二百年の泰平が文化・文政の爛熟を生んで、人情、風俗ともに頽廃した江戸を舞台に、異端の剣客眠狂四郎を登場させ、縦横無尽の活躍を描く。ころび伴天連が大目付の娘を犯して生ませた混血特有の風貌で女をひきつけ、しかも平然と犯し、異常の剣“円月殺法”をふるって容赦なく人を斬る。昭和31年「週刊新潮」の創刊とともに登場するや大反響をまき起した著者の代表作である。
  • 高瀬川女船歌九 似非遍路(えせへんろ)
    3.5
    わけあって武士を捨て、高瀬川界隈で評判の居酒屋「尾張屋」の主となった宗因は、かつての朋輩を訪ねて淀に出かけた。その帰途見かけた田圃を耕す初老の男が、四国遍路に出かけたはずの塩問屋播磨屋(はりまや)の主であることに気づき問いただすことに。播磨屋が語り始めた予想外のいきさつは……。高瀬川に集う市井の人々の哀歓と人生の機微を描いて深い感動を呼ぶ珠玉の連作集。【解説】大矢博子
  • 櫛挽道守
    4.4
    【中央公論文芸賞・柴田錬三郎賞・親鸞賞受賞作!】幕末の木曽山中。神業と呼ばれるほどの腕を持つ父に憧れ、櫛挽職人を目指す登瀬。しかし女は嫁して子をなし、家を守ることが当たり前の時代、世間は珍妙なものを見るように登瀬の一家と接していた。才がありながら早世した弟、その哀しみを抱えながら、周囲の目に振り回される母親、閉鎖的な土地や家から逃れたい妹、愚直すぎる父親。家族とは、幸せとは……。文学賞3冠の傑作!
  • 織江緋之介見参 一 悲恋の太刀 〈新装版〉
    4.5
    天下の御免色里、江戸は吉原にふらりと現れた若侍。遊女を人質に騒ぎ立てる男を手もなく斬り捨てた。名は名は織江緋之介(おりえひのすけ)。剣の腕は別格。遊女屋いづやの主・総兵衛(そうべえ)の計らいで仮寓するが、何者かの襲撃を再々受ける。緋之介の隠された過去、総兵衛の驚くべき秘密。背後では巨大な陰謀が渦巻いていた。愛する者のため、迫り来る強烈な刺客たちに刀をふるう。吉原の命運が緋之介の双肩にかかる!
  • 大江戸恐龍伝 一
    4.0
    龍に導かれた平賀源内の時空を超えた冒険譚。  物語の発端は、明和八年(1771)。平賀源内がゑれきてるを世に送り出す5年前のことである。時に源内44歳。高松藩を脱藩し自由の身となっていた源内は、大嵐のなか、肥後で巨大な龍骨化石に遭遇。その存在を暴こうと野心に燃える。  同じ頃、遠州沖で一隻の船が遭難した。船頭たちは、漂流してやっとたどりついた島で、見たこともない巨大な爬虫類に襲われてしまう――。  その後、大坂で円山応挙とともに龍の掌を見に行った源内は、それを祭る寺の法主から、その昔、龍の掌を龍宮から持ち帰ったという男の話を聴くことになる。  京で若き日の鬼平・長谷川平蔵や上田秋成にで会い、この頃から、源内は龍に導かれるように、不思議な事件に巻き込まれていくのであった。  構想から完結まで20年の超大作。全六巻の一、二を同時刊行。
  • 重耳(上)
    4.2
    黄土高原の小国曲沃(きょくよく)の君主は、器宇壮大で、野心的な称(しょう)であった。周王室が弱体化し、東方に斉が、南方に楚が力を伸ばし、天下の経営が変化する中で、したたかな称は本国翼(よく)を滅ぼして、晋を統一したが……。広漠たる大地にくり広げられる激しい戦闘、消長する幾多の国々。躍動感溢れる長編歴史小説全3巻。
  • 「仕掛人・梅安」のキーワード(小学館文庫)
    -
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 たかがミーハーとあなどるなかれ! 無類の梅安びいきである筆者が、池波文学のヒーロー「藤枝梅安」の足音をてがかりに、切絵図と名所図会で潜入する大江戸の旅。梅安が最初に見た江戸は?、どこに住んだか?、仕掛料はいくら?…梅安のすべてがわかる「追っかけ辞典」。百万都市江戸のざわめきと、梅安・彦次郎の心意気がよみがえる。
  • 天上の花の雨(小学館文庫)
    -
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 鎖国状態のヤパン(日本)において、二十数年もの間キリスト教布教に務めたイエズス会の名宣教師フェレイラが、転んだ。そして彼は、こともあろうに隠れキリシタンを摘発する目明しになる。転宗ははたして本物か!? 神を棄てた者の心に平穏はあるのか? 人が生きるために神は必要なのか?  たがいに殺し合い、奪い合う現代の世に、神の救済と信仰のあり方を問う感動の問題作。
  • 平家物語(上)
    -
    平清盛を中心とする平家一門の興亡に焦点を当て、源平の勇壮な合戦譚の中に盛者必衰の理を語る軍記物語。音楽性豊かな名文は、琵琶法師の語りのテキストとされ、後の謡曲や文学、芸能に大きな影響を与えた。
  • 天平の甍
    4.0
    天平の昔、荒れ狂う大海を越えて唐に留学した若い僧たちがあった。故国の便りもなく、無事な生還も期しがたい彼ら――在唐二十年、放浪の果て、高僧鑒真を伴って普照はただひとり故国の土を踏んだ……。鑒真来朝という日本古代史上の大きな事実をもとに、極限に挑み、木の葉のように翻弄される僧たちの運命を、永遠の相の下に鮮明なイメージとして定着させた画期的な歴史小説。
  • 敦煌
    4.1
    官吏任用試験に失敗した趙行徳は、開封の町で、全裸の西夏の女が売りに出されているのを救ってやった。その時彼女は趙に一枚の小さな布切れを与えたが、そこに記された異様な形の文字は彼の運命を変えることになる……。西夏との戦いによって敦煌が滅びる時に洞窟に隠された四万巻の経典が、二十世紀になってはじめて陽の目を見たという史実をもとに描く壮大な歴史ロマン。
  • 長英逃亡(上)
    4.2
    シーボルトの弟子として当代一の蘭学者と謳われた高野長英は、幕府の鎖国政策を批判して終身禁固の身となる。小伝馬町の牢屋に囚われて五年、前途に希望を見いだせない長英は、牢名主の立場を利用し、牢外の下男を使って獄舎に放火させ脱獄をはかる。江戸市中に潜伏した長英は、弟子の許などを転々として脱出の機会をうかがうが、幕府は威信をかけた凄まじい追跡をはじめる。

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  • 冬の鷹
    4.3
    わずかな手掛りをもとに、苦心惨憺、殆んど独力で訳出した「解体新書」だが、訳者前野良沢の名は記されなかった。出版に尽力した実務肌の相棒杉田玄白が世間の名声を博するのとは対照的に、彼は終始地道な訳業に専心、孤高の晩年を貫いて巷に窮死する。わが国近代医学の礎を築いた画期的偉業、「解体新書」成立の過程を克明に再現し、両者の劇的相剋を浮彫りにする感動の歴史長編。

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  • 町奉行日記
    4.5
    着任から解任まで一度も奉行所に出仕せずに、奇抜な方法で藩の汚職政治を摘発してゆく町奉行の活躍ぶりを描いた痛快作『町奉行日記』。藩中での失敗事をなんでも〈わたくし〉のせいにして、自己の人間的成長をはかる『わたくしです物語』。娘婿の過誤をわが身に負ってあの世に逝く父親の愛情を捉えた短篇小説の絶品『寒橋』。ほかに『金五十両』『落ち梅記』『法師川八景』など全10篇を収録。

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  • 雪舞い―橋廻り同心・平七郎控
    4.5
    雲母(きらず)橋―叶わぬ恋と一度はあきらめた男と再会した女。千鳥橋―我が娘の幸せを、陰から見守る男が零す一筋の涙。思案橋―いがみあう兄弟が掴んだ家族の絆…。江戸府内を預かる北町奉行所の橋廻り同心・立花平七郎の人情裁きが冴えわたる!好評第三弾。

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  • あとのない仮名
    3.3
    江戸で五指に入る植木職でありながら、妻とのささいな感情の行き違いがもとで、職を捨て、妻子も捨てて遊蕩にふける男の寒々とした内面を虚無的な筆致で描いて、周五郎文学に特異な位置を占める最晩年の傑作「あとのない仮名」、夫婦の変らぬ愛情を、枯死するまで色を変えない竹柏に託した武家ものの好編「竹柏記」ほか、「主計は忙しい」「桑の木物語」「しづやしづ」など、全八編を収める。

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  • 松風の門
    4.0
    幼い頃、剣術の仕合で誤って幼君の右眼を失明させてしまった俊英な家臣がたどる、峻烈な生き様を見事に描いた“武道もの”の典型「松風の門」、しがない行商暮しではあるけれども、心底から愛する女房のために、富裕な実家への帰参を拒絶する男の心意気をしみじみと描く“下町もの”の傑作「釣忍」、ほかに「鼓くらべ」「ぼろと釵」「砦山の十七日」「醜聞」など全13編を収録する。
  • 深川安楽亭
    4.0
    抜け荷(密貿易)の拠点、深川安楽亭にたむろする命知らずの無頼な若者たちが、恋人の身請金を盗み出して袋叩きにされたお店者に示す命がけの無償の善意を、不気味な雰囲気をたたえた文章のうちに描いた表題作。完成されたものとしては著者最後の作品となった「枡落し」。ほかに「内蔵允留守」「おかよ」「水の下の石」「百足ちがい」「あすなろう」「十八条乙」など全12編を収録する。
  • 闇の狩人(上)
    4.2
    江戸の盗賊の小頭雲津の弥平次は、山奥の湯治場で記憶喪失の若い浪人谷川弥太郎を刺客から救う。束の間の出会いと別れ。時は過ぎ、いつしか弥太郎は香具師の元締に剣の腕を見込まれ、仕掛人として夜の江戸の街に暗躍していた。彼の身を案じつつ、その失われた過去を追って、自らも盗賊の跡目争いに巻き込まれながら弥平次の活躍が始まる。彼の探った怪し気な武家屋敷とは……。
  • 密通 新装版
    -
    若き日、嫂と犯した密通の古傷が、俳人・画人として名を成した今も自分を苦しめる。驕慢な心は、ついに妻を験そうとするが・・・。表題作「密通」のほか、男女の揺れる想いや江戸の人情を細やかに描いた珠玉8作品。
  • 武士の流儀(一)
    4.0
    1~12巻740~880円 (税込)
    元与力が剣と人情で活躍する新シリーズ誕生! 元は風烈廻りの与力で、理由あって隠居生活に入った清兵衛。若い侍が斬られる現場に出くわし、遺された友の手助けに乗り出すが……。
  • 大江戸釣客伝 上
    3.7
    どうせ叶わぬ夢なら、いっそ、 江戸時代の川や海で、 魚を釣ってみたい――「あとがき」より 文学賞3冠に輝く、圧倒的な物語。 時は元禄年間、五代将軍徳川綱吉の治世。江戸湾の沖合二町ほどのところに船を停め、釣りをする二人―― 俳人の宝井其角と絵師の多賀朝湖――は、土左衛門を釣り上げてしまう。屍体は竿をしっかりと摑んで眼を見開き、唇からは歯を覗かせ、笑っていたのであった。 一方、旗本の津軽采女は閑職が故に釣り三昧の日々。義父・吉良上野介の世話で、将軍の側小姓にとりたてられることとなった。  目次 序の巻 幻談 巻の一 沙魚 巻の二 技師 巻の三 安宅丸 巻の四 鯛 巻の五 水怪 巻の六 釣心 巻の七 密漁者 巻の八 側小姓 巻の九 無竿 巻の十 釣り船禁止令
  • 徳川家康の大坂城包囲網 関ケ原合戦から大坂の陣までの十五年
    -
    関ヶ原合戦ののちに豊臣家や豊臣系大名を封じ込めるために、家康が築いた城郭群には、名古屋城や姫路城など日本を代表する名城も多い。それらの城を訪ね歩き、関ヶ原から大坂の陣までの家康の長考と、包囲網の実態を探る画期的な歴史紀行。
  • 本意に非ず
    4.0
    明智光秀、松永久秀、伊達政宗、長谷川平蔵、勝海舟――。理想や志と裏腹な決意をせねばならなかった男たちを描く傑作歴史小説集。 ※この電子書籍は2019年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 千両の首 斬! 江戸の用心棒
    -
    父の仇である老中・本田信親を討ち取り、悲願を果たした月島真十郎。彼は俗世との縁を断つべきか悩みながらも江戸を離れるが、その首には懸賞金がかけられてしまった! 平穏な暮らしだけを求める真十郎に追手の剣が迫る、シリーズ第2弾!
  • 将軍の子
    4.3
    名君・保科正之の来歴を、爽やかに描きだす。 生まれた直後に養子に出された徳川秀忠の庶子、保科正之。 不遇にも見える生い立ちの陰には、彼を思いやる多くの人々がいた。 養母となった武田信玄の娘、見性院。 人徳の高さを買われ、養父となった高遠藩主、保科正光。 そして陰に日向に力になってきた老中、土井利勝。 江戸城の外で育った「将軍の子」は、 いかにして稀代の名君と呼ばれるに至ったのか。 今もっとも注目される歴史時代小説の新鋭が、その半生を辿る。 ※この電子書籍は2019年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 富子すきすき
    4.0
    赤穂浪士の討ち入りで夫の吉良上野介を失った妻の苦悩「富子すきすき」、古着屋で売られていた奇抜な帯を手にした娘たちの選択「藤太の帯」、兄と慕っていた幼なじみへの恋が成就しなかった娘の行く先「堀留の家」など短編6編を収録。
  • ひとめぼれ
    3.7
    累計130万部突破、大人気「まんまこと」シリーズの第6弾。 札差の娘と揉めて上方へ追いやられた男。その思わぬ反撃とは(「わかれみち」)。盛り場で喧伝された約束が、同心一家に再び波紋を呼び起こす(「昔の約束あり」)。麻之助の亡き妻に似た女にもたらされた三つの縁談の相手とは(「言祝ぎ」)。火事現場で双子を救った麻之助は、新たな騒動に巻き込まれる(「黒煙」)。行方不明の男を探すため、麻之助は東海道へと旅立とうとする。そして新たな出会いが?(「心の底」)。沽券が盗まれた料理屋から、一葉が消えてしまったのは何故か(「ひとめぼれ」)。 いつの世も思い通りにならない、人の生死と色事。泣きたいときほど泣けない、「まんまこと」ワールド、慟哭の第六弾。 解説・紗久楽さわ〈「まんまこと」を自由に漫画で描けた幸福〉 ※この電子書籍は2017年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 大坂城の十字架 最後の義将 明石掃部
    3.0
    真田が最後に頼みにした男! 大坂牢人五人衆の一人、キリシタン武将の知られざる闘いを描く力作長編。真田信繁が最後に頼り、徳川家康をおびやかした男が目指したものとは――。天下分け目の関ヶ原では宇喜多秀家の右腕として戦い、大坂の陣ではキリシタン部隊を率いて縦横無尽の活躍をした武将・明石掃部。八丈島に流された秀家への思い、宇喜多家を裏切った坂崎出羽守との因縁、そして千姫……。大坂の陣後、姿を消した謎多き男の熱き生涯を、時代小説で人気の著者がドラマチックに描いた長編歴史小説。
  • 西郷と大久保と久光
    3.0
    大河ドラマ「西郷どん」をより楽しみ、西郷隆盛を知るには必携の書が待望の復刊。明治維新の原動力となった島津藩で、内外に信望の厚かった西郷隆盛、西郷を疎んじる島津久光、竹馬の友からのちに袂をわかつ大久保利通。3人の個性と人間像を浮き彫りにした史伝的小説。
  • 鬼平犯科帳[決定版](一)
    4.2
    江戸の盗賊たちに「鬼の平蔵」と恐れられている、「鬼平」こと火付盗賊改方(ひつけとうぞくあらためかた)長官・長谷川平蔵。 火付盗賊改方とは、江戸の特別警察。その長官を務める旗本の平蔵は、いまでこそ人あたりもよく、笑顔を絶やさないが、若い頃は「本所の銕」と呼ばれ、無頼の者からも恐れられた男だった。「悪を知らぬものが悪を取りしまれるか」と言い、人情の機微に通じた鬼平が悪を退治する時代小説の金字塔だ。 中村吉右衛門が鬼平を演じたテレビ版をはじめ、映画、舞台、マンガと様々な形で愛されてきたが、2017年1月からはアニメ「鬼平 ONIHEI」も放送され、大きな話題になった。 2017年は池波正太郎の「鬼平」誕生50周年にあたる。これを記念して人気絶大のロングセラー「鬼平犯科帳シリーズ」全24巻を、ふりがなを増やした決定版で順次刊行。 第一巻収録作品は「唖の十蔵」「本所・桜屋敷」「血頭の丹兵衛」「浅草・御厩河岸」「老盗の夢」「暗剣白梅香」「座頭と猿」「むかしの女」の8篇。 伝説の粋人・ジャズ評論家で晩年は大の鬼平ファンでもあった植草甚一(1908~1979)の解説も収録。
  • 人斬り剣奥儀
    -
    薩摩の激烈な気風の中で示現流に入門し、朝に三千回、夕に八千回の立木打ちの修練を繰り返した篠原十内の壮絶な死に様。柳生連也・宗冬の将軍家光御前仕合の勝負を分けた「身の位」。人斬り半次郎と恐れられた時代の桐野利秋の剣技……。生と死の狭間でしか生きられない男たちが、戦いの中で辿り着いた境地とは。剣の天才たちによる究極の技を、凄みに満ちた筆致で描く、十篇の傑作剣豪小説集。

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  • 海賊同心、参る!
    3.0
    紀州海賊の末裔である坂船静馬は、大坂・仙台と江戸をつなぐ品川沖を管理する船手組に配された。しかし徳川吉宗の考案で行われた水泳訓練中、旗本が不審な死を遂げ、その責任を問われる。汚名をそそぐため、坂船は盟友の田沼意行と事の真相を追うが……。
  • 書物奉行、江戸を奔る! 新井白石の秘文書
    3.0
    若き旗本の篠山辰之丞は、徳川幕府が所蔵している、膨大な書物の管理や補修をする書物奉行。しかしそれは表向きの役目。辰之丞は書物で得た知識と剣の腕を買われて、田沼意次の密偵として、意次を追い落とさんと陰謀をめぐらせる者たちに立ち向かう。
  • 黒田官兵衛 秀吉も一目おいた天下人の器
    3.7
    官兵衛が荒木村重のいる有岡城に入ったまま出てこない、と聞いた信長は、裏切られたと思い、直ちに「官兵衛の子、松寿丸を殺せ」と秀吉に命令した。しかし官兵衛を信じる秀吉は竹中半兵衛と謀り、秘密裡に松寿丸をかくまうのだった―。秀吉の信任厚く、天下統一に向かって縦横無尽の活躍をした黒田官兵衛。敵将からもその人徳を称えられた名軍師の生涯を描く。
  • 萬犬虚に吠える 角栄裁判と教科書問題の誤謬を糺す
    -
    田中氏有罪の思い込みの下に被告側の反対尋問も認めない角栄裁判。「侵略」から「進出」へという事実無根の言い換えを大新聞がこぞって報じた教科書問題。正に「一犬虚ニ吠ユレバ万犬実ヲ伝フ」(一匹の犬が理由なく吠えると、周りの犬も吠え出し、本当に何か事件が起きたかの事態になる)という中国の諺を体現する司法とマスコミに、現代の国手がメスをいれる。貴重なる時代の証言。
  • 夏草の賦(上)
    4.0
    英雄豪傑が各地に輩出し、互いに覇をきそいあった戦国の世、四国土佐の片田舎に野望に燃えた若者がいた。その名は長曽我部元親。わずか一郡の領主でしかなかった彼が、武力調略ないまぜて土佐一国を制するや、近隣諸国へなだれ込んだ。四国を征服し、あわよくば京へ……。が、そこでは織田信長が隆盛の時を迎えんとしていた。
  • 酔って候
    4.0
    幕末の混迷期、なすすべを知らない三百諸侯のなかで、自らの才質をたのみ、また世間の期待を集めた賢侯たちがいた。土佐の山内容堂、薩摩の島津久光、伊予宇和島の伊達宗城、肥前の鍋島閑叟。「藩主なるがゆえに歴史の風当りをもっともはげしく受け、それを受けることによって痛烈な喜劇を演じさせられた」(「あとがき」より)彼らを題材に、著者ならではの視点で幕末を探る短篇連作。
  • 九鬼嘉隆
    3.0
    「そのほう、地獄が見てきたのは一度や二度ではあるまい」。初対面ではあったが、信長の鋭い眼力は人目で嘉隆の本性を見抜いた。「三度ばかり」。嘉隆は軽く会釈してその場を退いた……。織田信長に気に入られ、世界初の鉄甲船を造って毛利水軍を撃破した九鬼嘉隆。その後、秀吉に仕え、関ヶ原の戦に敗れ最期を遂げる。水軍を率いて天下に恐れられた武将に新たな光をあてた歴史長編。

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  • 源義経
    -
    兄頼朝の怒りを買い、逆賊となった義経。落ち延びた奥州平泉において、悲劇の最期を遂げたかに見えたが……。実は頼朝の密命により、二組の義経主従が結成されたのだった。神出鬼没の活躍をみせるふたりの義経。追いつめられたのは、果たして本物か影武者か?ミステリアスな雰囲気を漂わせながらストーリーは展開していく。悲劇の英雄伝説を新しい解釈でよみがえらせた、長編歴史小説。

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  • 渡り秘剣 清史郎  めおと傘
    -
    謀りごとや騙しあいの世界に嫌気がさし、武家を捨てた御堂清史郎。凄腕のもと隠密が選んだ職業は、なんと侍でも町人でもない──武家奉公人の中間であった。ただただ平凡な日々を願い、安心できる永久就職先を求める清史郎であったが、隠密として培った探索の才と、持ち前の正義感がわざわいし、行く先々の家から暇を出される始末……。ある日、清史郎は、旗本中尾家に中間として雇われる。武家の鑑と評判の名家であったが、その内実には、醜い欲と野望が渦巻いていた。清史郎に惚れる遊郭一の美女・三吉や、隠密時代のもと上司・小笠原藤三郎の助けを借り、渡り中間清史郎が隠れた悪を裁く!
  • 遠謀 奏者番陰記録
    4.0
    書き下ろし時代小説の雄・上田秀人、文春文庫初登場! 由井正雪の乱の真相に迫る、スリリングな快作。 三代将軍、家光の治世下。水野備後守元綱は父が陪臣に降格されたものの、その処置に引け目を感じた家光に厚遇され奏者番となった。 そんな折、牢人となっていた林右近は水野家に召し抱えられ、足軽並みの低い身分だったがその働きぶりを上司に認められ、奏者番の重要な補佐役、下調べを行う留役に取り立てられる。 水野備後守は、奏者番として失態を犯すが松平伊豆守信綱に助けられ、以後、伊豆守に服従するようになった。 時代は移り、家光が死去。四代将軍家綱の治世となった折も折、由井正雪の乱が起こる。 備後守は、由井正雪の弟子でありながら、その謀叛の計画を密告したことで旗本に取り立てられた者たちの初お目見えの奏者番を担当することになった。ところがそのうちの一人、奥村八右衛門は謁見の場にも病気を理由に現れなかった。不審に思った備後守は、右近に奥村の身辺調査を命じる。だが、彼の仲間も兄弟も、久しく八右衛門の姿を見ていないという……。 由井正雪の遺書、そこに記されていた紀州大納言頼宣の名、そして姿を見せぬ奥村八右衛門。由井正雪の乱の裏には、“知恵伊豆”松平信綱の驚くべき遠謀があったのだった。
  • 関所破り定次郎目籠のお練り 八州廻り桑山十兵衛
    4.0
    相州と上州、それぞれの関所破りの意外な始末。 上州玉村で道案内が殺され、道案内を殺した定次郎は子分を連れてそのまま姿を消した。 同じころ、保土ヶ谷の道案内角太郎を殺した河童の六こと六蔵を追って、 八州廻りの桑山十兵衛は河童の六の出身、相州の松田まで足を延ばす道すがら、 鐘撞き講で金を集める破れ坊主を懲らしめる。 だが、肝心の保土ヶ谷の一件は、わからずじまいとなり江戸へと戻ってきた。 すると、日光例幣使街道の上州玉村宿のそばにある竹田村で、 朝早くに川向こうの穂波村から、鉄砲の玉が飛んできたという訴えが。 玉村では、侠客の定次郎一味が、玉村の道案内を殺し、大戸の関所を破ったとの知らせが。 玉村の道案内の後任を決める必要もあり、十兵衛はそのまま上州へと向かう。 十兵衛は、鉄砲をきっかけに、定次郎一味の足跡を見つけられると考えるのだが……。 破れかぶれになり、関所破りで、せめて名を上げようとする侠客たち。 そして、姿を消した河童の六はいずこへ流れたのか。 人の欲を見つめて関八州を経巡る十兵衛が、侠客の最後にみせる粋なはからい。 そして、二つの殺しは、意外な展開に……。 十兵衛は、首尾よく彼らを捕えることができるのか。 ご存じ、人気時代小説・八州廻り桑山十兵衛シリーズ待望の第9巻。
  • 佐助を討て 真田残党秘録
    3.0
    真田十勇士の裏ヴァージョン 最強の忍者、猿飛佐助。かつて彼に追い詰められた家康は悪夢にうなされ、無謀な討伐を部下に命ずる……手に汗握る新感覚忍者活劇!
  • 五五五文字の巡礼 魏志倭人伝トーク 地理篇
    4.0
    『魏志倭人伝』を構成する漢字をひとつひとつ徹底的に解読・分解すると、今まで誰も気がつかなかった秘密が立ち上がる。たとえば(至)と(到)の使い分けから、途中経過地と目的地の違いを知ることができる。魏の使節団の倭人国への航海と陸行の足跡を、全く新しい手法で辿った仰天の異色歴史小説。<文庫書下ろし> (講談社文庫)
  • 銀閣建立
    3.7
    室町末期、応仁の乱で疲弊した京。5年ぶりに都へ呼び戻された番匠・橘三郎右衛門は、公方御大工の父から、足利義政が隠居所として東山に山荘をつくることを聞かされる。同業者たちとの駆け引きや、口うるさい上様の注文をしのぎつつ、棟梁として技の限りを注いだ、三郎右衛門の最上級の建物を造る闘いが始まった。(講談社文庫)
  • 大江戸釣客伝(上)
    3.9
    時は元禄。旗本、津軽采女は小普請組という閑職がゆえ、釣り三昧の日々を送っている。やがて、義父・吉良上野介の計らいで「生類憐れみの令」を発布した、将軍綱吉に仕えることになるが・・・。同じ頃、絵師朝湖と俳人基角は江戸湾で土左衛門を釣り上げた。果たしてその正体は? 釣りの泥沼から覗く元禄時代。(講談社文庫)
  • 幕末新選組 新装版
    4.2
    なあに、明治維新なんてえものはね、つまり薩長たち雄藩と徳川との争いさ。いまのような文明開化の世が来たのも、そいつは時勢というやつでね。つまりは日本国民がえらいのだよ──いたずら好きの腕白小僧が、父の意に反しひたすら剣術の稽古にあけ暮れて十年。折しも幕末の動乱期、永倉新八は剣道の快感に没入した青春の血汐をそのまま新選組に投じた。女には弱いが、剣をとっては近藤勇以上と噂された新八の、維新後におよぶ生涯を、さわやかに描ききった長篇。
  • 仇討群像
    4.2
    仇討(あだうち)といっても、理由はさまざま。この短篇集のキーワードは「色欲」と「仇討」。殿のご寵愛ただならない美男の小姓が仲間に殺された、殺人をおかし仇討におびえながらも女色にふける若者、同僚の妻への横恋慕など、それぞれの内情があり、仇討のために狂わされる人生がある。人間の本性をしたたかに描き出す傑作短篇集。それにしても、色子と呼ばれる若者を抱かせる陰間茶屋、尼姿の娼婦がいる比丘尼(びくに)宿と、江戸時代の性風俗の豊富さは驚きです。
  • うどは春の香り 新・一膳めし屋丸九(一)
    続巻入荷
    3.0
    お高が作太郎と暮らし始めて二年、芸熱心な芸者がさらう三味線の音が響く日本橋芸者の町・檜物町に、一膳めし屋丸九は店を移した。先代・九蔵の味を再現しようと、作太郎は新しい店の二階で宴会の営業を始めることを提案する。九蔵の料理帖には、しいたけと芝えびの真薯、春の雪、ふわふわ玉子など、手間はかかるがとっておきの献立が残されていたのである。奮闘するおかみ・お高、手伝いのお栄やお近、ついてきてくれた常連客、そして花街ならではの新しい顔ぶれも加わって、一膳めし屋丸九の、新しい物語が始まります!
  • くら姫 出直し神社たね銭貸し
    続巻入荷
    4.0
    下谷にある〈出直し神社〉には、人生を仕切り直したいと願う人々が訪れる。縁起の良い〈たね銭〉を授かりに来るのだ。神社を守るのは、うしろ戸の婆と呼ばれる老女。その手伝いをすることになった十六歳の娘おけいは、器量はよくないが気の利く働き者だ。ある日、神社にお妙と名乗る美女が現れる。蔵茶屋の商売繁盛を望む彼女が授かったのは大枚金八両。さらにうしろ戸の婆は、お妙に相談役としておけいを連れていくように言い、おけいには「蔵に閉じ込められたものをすべて解き放ってくるように」と耳打ちして──。読み応え抜群の時代小説。(解説・吉田伸子)
  • 姉上、ご成敗ねがいます : 1
    NEW
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    隠密の存在は知られていても、隠密が成す「疑似家族」はよもや知られていまい。その構成は幼少の頃より一撃必殺の技を学んだ小夜に、底知れぬ手練れの美麗な夫、潜入の達人の義弟、抜群の記憶力を備えた嫡男の面々。表向きは勘定吟味役の酒井家、しかしてその実体は老中が選び抜いた人員による、なんら血縁関係のない「暗殺一家」である。嫁いだばかりの妻の小夜は即席の家族に戸惑いながらも「仕事」となればきっちり殺る。時は文政、江戸の闇に潜む卑劣な悪党を始末人一家が力合わせてご成敗! 痛快無比の新シリーズ爆誕!!
  • ほのか魔界帖 淫望始末ノ事
    5.0
    蔵前の大店に盗賊が入り、一家皆殺しのうえ火を点けた。隣で絵双紙屋を営んでいた新吉の家も燃えて二親は焼け死んだが、新吉は命からがら逃げ出し事なきを得る。 頼る先もなく町をさまよい、死をも覚悟した新吉だが、神田の町外れのお堂で妖しい美女と出会ったことから、彼の運命は激変。虚弱だった新吉は仄香と名乗る美女から不思議な気を授り、別人のように生まれ変わったのだ。 破落戸に絡まれていた小間物屋の娘を助けたことから、彼女の店で仕事を得た新吉。次々と舞い込む幸運だが、八丁堀同心の瓜生千之助に蔵前の火付け盗賊の仲間ではないかと疑われ……。 妖しの美女が無垢だった若者を翻弄する、書下ろし新シリーズ!
  • ふうらい同心 日暮半睡
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    妻の病をきっかけに隠居を決めた、南町奉行所定町廻り同心の日暮慶一郎。だが、養子を迎えて家督を譲ったものの、ふたり寄り添う日々は短く、呆気なく妻の千代は亡くなってしまう。 養子の新之助との暮らしに気詰まりを覚えた慶一郎は、岡っ引きの亀次郎が営む船宿「大黒屋」に居候し、一日のうち半分眠っているようなのんびりした毎日を送ろうという思いから、名を「日暮半睡」と改めた。 今は勝手気ままに飄々と暮らす半睡だが、もとは新陰流の免許皆伝、難事件をいくつも解決してきた南町一の腕利き同心。そんな半睡と真面目一方の新之助、型破りの親子同心がさまざまな事件の裏に潜む悲哀を裁く。 気鋭が贈る書下ろし人情捕物時代小説。
  • 江戸は浅草
    3.5
    雷門で掏摸に遇い路頭に迷っていた真一郎は、貧乏長屋の大家・久兵衛に用心棒兼遣い走りとして拾われる。向かいは真夜中に面を打つ謎の美女・多香、隣は女のヒモで洒落者の笛師・大介。長屋で気ままに暮らす住人たちが、町の騒動に立ち向かう。江戸っ子の粋と人情、そして色恋も鮮やかな新シリーズが開幕!「六軒長屋」「猫殺し」「夏の獲物」「錠前破り」の傑作四話収録。
  • 密殺処刑人 影山彦十郎始末帳
    -
    船橋の外れでひたすら剣を修行する若侍……影山彦十郎のもとへ、八州廻りの大野兵庫が訪れる。若くして直心影流の達人となったが、道場内のいざこざで勘当された彦十郎を、公儀の裏仕事へと誘うためであった。 依頼内容はやくざと内通している裏切り者の役人を、事故に見せかけつつ始末するというもの。思わぬ荒事に緊張しつつも、彦十郎は木刀による絶技で、裏切り者を見事仕留める。 密命を果たした彦十郎は、望みどおり江戸に舞い戻ってくるが、それは同時に、表沙汰にはできぬ役所の制約を飛び越えた悪党退治……裏の処刑人の世界に飛びこむことを意味していた。 数奇な運命を、おのれの豪剣で切り開く若侍の活躍!新シリーズ開幕!
  • この世の花
    3.3
    徳川譜代の名門で七千石の旗本の妾の娘・花。母・ふきは商人の娘ながら父・真島兼続に惚れられて娶られ、母子ともに兼続から愛されていた。だが、それを正妻、そして他の妻は妬み嫉み、事あるごとに虐げる。兼続の長男・一成やその親友・青山信義や保坂勇里は花の健気な姿に目を掛けているのだが、それがまた他の娘たちには気にくわない。そんな中、ふきが病に倒れ――。激動の時代に、苦難を乗り越え健気に輝く、一人の少女の物語。

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