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Posted by ブクログ
災害、火災、飢饉に苦しむ地方の藩、商人と組んで私服を肥やす大老、既得権益を打ち破って藩政改革を目指す中老、一筋縄ではいかない大阪商人。時代ものには定番の役者と舞台が揃う物語に目新しさはないが、まさに今の時代だからこその悪に屈せず信念を貫いて権力に立ち向かう武士の清廉な姿が神々しくさえ思える。どっかの大統領には全く通じないだろう、彼の国には爪の垢を煎じて飲むなんて話も理解されまい。
命懸けで立て直しを計ろうとする扇野藩は架空のものだが、このシリーズは4作目、他にもいくつもの藩シリーズがあるようなので、人気があるということだろう。それだけ義で動く武士道というものに惹かれる人は少なくない。
勧善懲悪の物語は決着を見せてホッとしたところで物語は終わる。そしてページをめくって驚いた。作者の葉室麟氏は6年前に急逝されたという。彼が世の中を正していくわけではないが、そうした清廉な、義理と人情味のある武士道を描き続けることを期待していたファンは多いはず。このシリーズも続編はないのだろうが、著者の思いが込められた作品をまたかみしめたいとおもうばかり。
Posted by ブクログ
これはよかった!
扇野藩シリーズに外れなし!
破綻寸前の扇野藩。その藩政改革を命じられた檜弥八郎は、改革半ばで卑劣な家老たちの策に嵌められ切腹。
結果、娘の那美は、親戚の矢吹主馬のもとへ。
息子の慶之助は、世子のお気に入りだったことから、お咎めなし。
そして、世子の仲家が家督を継ぐときに側近として戻ってきます。
慶之助は家老たちに復讐を果たすことができるのか?
一方、藩政改革には失敗する可能性もあり、そのときの責任を取らせるために主馬を指名。
慶之助と主馬の関係が深い。
主馬は藩政改革はなすことができるのか?
商人対主馬の戦い。
家老たちの策略。
主馬と慶之助との関係はどうなる。
家老たちに復讐を果たすことができるのか?
といった展開です。
帯に記載されている台詞
「武家は利では動かぬ。義で動くものだ。」
しびれます。
主馬の生き方、その覚悟。さらに、慶之助のとった策。
武士の矜持、信念を感じます。
とってもお勧め!
Posted by ブクログ
凶作が続き破綻寸前となっている藩の藩政改革を巡る時代小説。架空の扇野藩を舞台にしたシリーズ4冊目。
藩の立て直しを命じられた中老檜弥八郎は、あらぬ疑いを賭けられて切腹してしまう。
その娘那美は、親戚の矢吹主馬のもとへ。主馬は、弥八郎から託された使命を果たそうとする。
彼の前に、自分こそが父の存念を果たすのだと、弥八郎の息子慶之助が立ちはだかる。
弥八郎が死の直前に思い浮かべた後継者「あの者」とは誰なのか、という謎とともに、藩政改革はどうなるのか、さらに御用商人も加わり、予断を許さぬ展開となる。
本書でも、著者の理想を託した「武家は利では動かぬ。義で動くものだ」という主人公の活躍に、時代小説の醍醐味を満喫する。
書中、主馬が「政を行うということは、いつでも腹を切る覚悟ができているということだ。そうでなければ何もできぬ」と、語る。
折から自民党総裁選が行われている現代に照らして、ここまでの覚悟を持った政治家は果たしてこの日本にいるだろうかと、愚考してしまう。
主馬の妻となった那美の言葉も、心に留めておきたい。
「ひとの真は、たとえいま目の前に見えなくともどこかにあって、そのひとを支えているのだと思います。たとえ、どのように違った道を歩んでもいつの間にか戻ってきてしまうのが、ひとの真ではないでしょうか。いつも自分の心の中のどこかにあるものを信じればよいのだと思います」
Posted by ブクログ
重く暗い話が最後まで続く。
藩の改革に強権を使って邁進する中老の父が、重臣たちの奸計に嵌って切腹させられる。恨みに思った息子が復讐を誓って藩に戻ってくる。父と息子は離反していたが、これには秘密があった。また、切腹に伴い妹が遠縁に預けられるが、預け先の主人も中老に薫陶を受けていたが、重臣たちの悪巧みで妹と結婚させられ、重臣たちの意を受け表向きの改革を求められるが反発する。改革をめぐって、藩御用達の商人達も参戦する。
幾つもの闘いと敵になったり味方になったり、最後は幕府に訴えられて絶対絶命のピンチ。改心した兄が最後のキーとなる。
複雑に絡み合い過ぎて、先が気になりあっという間に読み進めてしまう。ただ、悲劇的に結末を迎えるので、重い読み味。
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