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明るい夜
〈大きな悲しみが、私を守ってくれる〉 『ショウコの微笑』<a href= https://www.akishobo.com/book/detail.html?id=949" >『わたしに無害なひと』</a>の気鋭のベストセラー作家、初の長編小説 ---------------------- 夫の不倫で結婚生活に終止符を打ち、ソウルでの暮らしを清算した私は、九歳の夏休みに祖母と楽しい日々を過ごした思い出の地ヒリョンに向かう。 絶縁状態にあった祖母と二十二年ぶりに思いがけなく再会を果たすと、それまで知ることのなかった家族の歴史が明らかになる……。 家父長制に翻弄されながらも植民地支配や戦争という動乱の時代を生き抜いた曾祖母や祖母、そして母、私へとつながる、温かく強靱な女性たちの百年の物語。 ---------------------- 日が昇る前に大切なあの人に伝えておきたいことがあった。 明るくなったら、言えなくなりそうだから……。 2021年〈書店員が選ぶ“今年の小説”〉、第29回大山文学賞受賞。 ---------------------- 【目次】 ■明るい夜 ■あとがき ■日本の読者の皆さんへ ■訳者あとがき ---------------------- 「ものがたりを読む」ことの楽しさや喜びをお届けする新シリーズ〈ものがたりはやさし〉第1弾。 -
アクティング・クラス
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【カラー/固定型】カラー・大画面での閲覧に最適化されたコンテンツです/倦怠期の夫婦、シングルマザーにヌードモデル。社会にうまく馴染めない10人は、人生の変化を求めて演技教室に通い始める。謎の男ジョン・スミスが指導する即興演技クラスに参加するうちに、現実と演技の境界は曖昧に。カラフルに彩られた不穏さが身に迫る新作 -
悪の華/禁断詩篇
本書は19世紀フランスの詩人シャルル・ボードレール(Charles Baudelaire, 1820 - 1867)の詩集です。彼の唯一の韻文詩集『悪の華』の第二版(1861年)からの抄訳に加え、『悪の華』初版(1857年)において、裁判所より削除を命じられたいわゆる「禁断詩篇」六篇、および死後出版の『悪の華』第三版(1868年)より一篇の詩を収めたものです。わかりやすい現代の日本語による訳詩とともに、理解を助ける画像を多く収録しており、ボードレール入門に最適な内容となっております。読者がボードレールに興味を持つきっかけとなれば幸いです。(訳者) -
あしながおじさん
「すてきなことがおこりました。あててみる?でもあたりっこない!」 100年以上にわたって世界中で読みつがれてきた名作が、詩人・谷川俊太郎氏の訳と 安野光雅氏の絵によって新たな感動とともに誕生しました。 孤児院でけなげに暮らすジュディは、ある日顔の知らない裕福な紳士の目に止まり、奨学金をもらって大学進学を果たします。 ジュディに課された条件は、かならず毎月おじさまへの手紙を書くこと――。 孤独だった少女が持ち前の明るさと想像力をもって、たくましく才能を開花させていく様子は、 時代をとわず読む人のこころを掴んで離しません。 読んだことのある方も、読んだ気になっていた!という方も。 ふてくされたり、調子に乗ったり、落ち込んだり、大喜びしたりと表情豊かなジュディの手紙を、 ぜひ受け取ってみてください。 ◎総ルビになっていますので、小学1年生から読むことができます。 ◎本シリーズの見どころであるカラーイラストを多数収録。 著者について 作:ジーン・ウェブスター (Jane Webster) 1876年、ニューヨーク州フリードニア生まれ。大学では英文学と経済学を学ぶ。在学中に社会事業に関心を持ち、孤児院などを訪問、文筆活動に入る。 父は出版社経営。母はマーク・トウェインの姪。 結婚して、翌年に女児を出産するがその直後、産褥熱により39歳の若さで他界する。 代表作は、『あしながおじさん』『続あしながおじさん』。 訳:谷川俊太郎(たにかわ しゅんたろう) 1931年東京生まれ。詩人。1952年第一詩集『二十億光年の孤独』を刊行。 1962年「月火水木金土日の歌」で第4回日本レコード大賞作詞賞、1975年『マザー・グースのうた』で日本翻訳文化賞、1982年『日々の地図』で第34回読売文学賞、1993年『世間知ラズ』で第1回萩原朔太郎賞、 2010年『トロムソコラージュ』で第1回鮎川信夫賞など、受賞・著書多数。詩作のほか、絵本、エッセイ、翻訳、脚本、 作詞など幅広く作品を発表、世界各国で翻訳されている。 最新刊は、ディック・ブルーナ装画による詩集『バウムクーヘン』。 絵:安野光雅(あんの みつまさ) 1926年、島根県津和野町に生まれる。BIB金のリンゴ賞(チェコスロバキア)、国際アンデルセン賞などを受賞。 1988年紫綬褒章、2008年菊池寛賞、他を受賞。2012年、文化功労者に選ばれる。 主な著作に『ふしぎなえ』「『旅の絵本』シリーズ(全8巻)」(福音館書店)、『本を読む』(山川出版社)、『小さな家のローラ』(小社刊)などがある。 2001年、津和野町に「安野光雅美術館」、2017年、京丹後市の和久傳の森に「森の中の家 安野光雅館」が開館。 -
明日は明日の日が昇るけど、今夜はどうしよう
★800冊からはじめた自費出版が異例のロングセラー! ★SEVENTEEN スングァンが愛読書として紹介。リアリティ番組『SEVENTEEN In The Soop』で友人やメンバーが精神的につらい思いをしているときに読ませてあげたいと語った本。 ★韓国の大手書店教保文庫レビュー10.0、YES24レビュー9.8の高評価! ★「はじめに 日本語版刊行に寄せて」は著者の直筆原文をダウンロードできバーコードつき。 あなたが眠りにつけず、しきりに寝返りを打つ夜、 どこかで同じ寂しさを抱えて眠れずにいる人がいます。 いつのときもそのことを忘れないでください。 *** 世界の悲しみの総量は一定だ。 みんな笑っているのに、自分だけがぶざまに泣いている一日。それは誰にでも来る。 *** 私の欠乏が、誰かにとっては恋愛のきっかけになる。 *** あなたが求める愛は、何気ない日常に毎日、違った姿で会いにくる。 *** ある日、気がついた。 人生は、赤い傷と、黄色い膿と、青い薬が混じり合った、邪悪ないたずらだと。 *** 私の行動はすべて正しかった。結末なんてどうでもよかった。この映画の主人公は、私。悲劇に終わる映画はあっても、途中で主人公が変わる映画なんてないのだから。 *** あなたの人生を書き下ろす作家も、ただひとりだけ。大きな悲しみがあなたのペンを奪っていっても、結末は変えられない。 *** あなたと私の人生という本に、しおりがたくさん挟まれたらいいな。やるせない気持ちで、すべての文章をなぞりたい。泣き笑いしながら、夜通し読みたい。 *** 忘れないで。 あなたには、6歳のときも、16歳のときも、26歳のときにも、世を渡りながらたまった垢を流してくれた人がいたことを。あなたの肌には、その愛が積み重なっていることを。 -
あなたについて知っていること
あなたは僕を知らない。僕だって、あなたを知らない。 エジプト、カイロ。親に決められた既定路線の人生を歩む新婚の医師ターレクは、 ある日魅力的な青年アリーと出会い、その平穏な未来は一変した。 保守的な地域での同性愛と不倫は疑惑と波紋を呼び、そして物語は思わぬ方向へと転がり始める・・・。 喪失と欠落、そして家族の愛を描く珠玉の文芸作品。 カナダのフランス語圏の作家のデビュー作にしてフランスで大ヒット。フェミナ賞とルノードー賞の最終候補となり、「高校生が選ぶフェミナ賞」やリブレール賞(フランス版本屋大賞と呼ばれている)ほか様々な賞を受賞した、話題の一作。 [著者プロフィール] エリック・シャクール 1983年カナダのケベック州モントリオール生まれ。エジプト人の両親を持つ。パリ・ドーフィンヌ大学を経てモントリオール大学で国際関係論の修士号を取得した。 金融業界で働く傍ら小説を執筆。第一作である本書は2023年カナダでの出版後フランスでも刊行されたちまち人気となり、同年度の「高校生が選ぶフェミナ賞」を受賞したほか、フェミナ賞とルノードー賞の最終候補に選ばれた。翌年にはリブレール賞、フランコフォニー五大陸賞などを受賞。 現在はモントリオール在住。 [訳者プロフィール] 加藤かおり(かとう・かおり) フランス語翻訳家。国際基督教大学教養学部社会科学科卒業。訳書にガエル・ファイユ『ちいさな国で』、エルヴェ・ル・テリエ『異常【アノマリー】』、ダヴィド・ディオップ『夜、すべての血は黒い』、ブリジット・ジロー『生き急ぐ』(以上早川書房)、アントニオ・カルモナ『サヨナラは言わない』(小学館)、セシル・トリリ『ちぐはぐなディナー』(講談社)ほか多数。 [原題] Ce que je sais de toi -
あの人たちが本を焼いた日 ジーン・リース短篇集
――わたしはどこにも属していないし、属すためのやりかたを買うお金もない。 カリブ海生まれのジーン・リースは、ヨーロッパでは居場所を見出せない、疎外された人であった。しかも女性である。 自身の波乱に富んだ人生を下敷きにした、モデル、老女、放浪者などの主人公たちは、困窮、飲酒、刑務所暮らし、戦争と数々の困難を生きる。 だが彼女らはけっして下を向かない。 慣習と怠惰と固定観念をあざ笑うように、したたかに生きる。 《いま新たな光を浴びる、反逆者リースの本邦初、珠玉の作品集》 -------------------------------------- 【目次】 ■あの人たちが本を焼いた日……The Day They Burned the Books ■あいつらにはジャズって呼ばせておけ……Let Them Call It Jazz ■心霊信奉者……A Spiritualist ■マヌカン……Mannequin ■フランスの刑務所にて……From a French Prison ■母であることを学ぶ……Learning to Be a Mother ■シディ……The Sidi ■飢え……Hunger ■金色荘にて……At the Villa d'Or ■ロータス……The Lotus ■ではまた九月に、ペトロネラ……Till September Petronella ■よそ者を探る……I Spy a Stranger ■堅固な家……A Soild House ■機械の外側で……Outside the Machine ■「ジーン・リース」へのピクニック……西崎憲 -------------------------------------- -
あの人ひとりが この世のすべてだった頃
ぼくが君を どんなに好きなのか 君は 知らなくてもいい 韓国で50万部を突破し、ベストセラーとなった『花を見るように君を見る』著者による、待望の傑作100編をまとめた詩集です。 BTS(防弾少年団)J-HOPEが読んだ詩『ぼくが君を』、 韓国ドラマ『ゆれながら咲く花』でイ・ジョンソクが読んだ詩『草花』、 同じく韓国ドラマ『ボーイフレンド』でパク・ボゴムが好きだと言っていた詩『憧れ』をはじめ、話題を呼んだ作品を多数収録。 世界的アーティストに愛され、人気作品で多数引用されるなど韓国で注目を集める詩人ナ・テジュが贈る、 不器用でいとおしい「あの頃」の記憶がぎゅっと詰まった一冊です。 -
アマリア
フィンランドの片田舎のとある広大な干拓地を4人兄弟の末娘として相続したアマリアは年下で身持ちの悪い作男のターヴィと結婚、一子をもうける。やがて夫は兵隊にとられ、戦死する。アマリアは再婚もせず女手一つで息子を成人させ、家庭を持たせると、首都ヘルシンキに向けて独り旅立つ。フィンランド版『女の一生』。原典フィンランド語。 -
雨に打たれて アンネマリー・シュヴァルツェンバッハ作品集
アンネマリー・シュヴァルツェンバッハ作品集 1930年代、ナチスに迎合する富豪の両親に反発し、同性の恋人と共に中近東を旅したスイス人作家がいた。 同じように世界に居場所を失い、中近東に流れ着いた人々がいた。 旅先で出会った人々を繊細な筆致で描いた、さすらう魂の吹き溜まりのような短編集。 シュヴァルツェンバッハは冷徹な観察者の眼差しと簡潔な文体で、オリエントの国々を彷徨う異邦人の荒涼とした自由、追放者の勲章としての孤独、そして過酷な運命を優美に描いてみせる。───山崎まどか 【目次】 約束の地 移民 輝かしきヨーロッパ 雨に打たれて 別れ ベニ・ザイナブ 帰郷を目前にして 耐えに耐え…… 伝道 三日連続の徹夜酒 悩みは五十歩百歩 ヴァンの婚約 告知 女ひとり 訳者解説 【著者】 アンネマリー・シュヴァルツェンバッハ 1908年スイスのチューリッヒ生まれ。作家、ジャーナリスト、写真家。大学では歴史学を専攻し、23歳で博士号を取得。レズビアンだったが、27歳のとき、同性愛者のフランス人外交官の男性と結婚。ナチから逃れるようにして中近東を旅し、帰国後創作活動に入るが、薬物依存症に陥る。1939年、ふたたび中近東への自動車旅行を試みるが、その途上、第二次世界大戦が勃発し、帰国。1942年不慮の自転車事故で34年の生涯を閉じる。 酒寄進一 ドイツ文学翻訳家、和光大学教授。主な訳書に、2012年第9回本屋大賞翻訳小説部門第1位のフォン・シーラッハ『犯罪』、2021年日本子どもの本研究会第5回作品賞特別賞受賞のコルドン「ベルリン三部作」、ヘッセ『デーミアン』、ブレヒト『アルトゥロ・ウイの興隆/コーカサスの白墨の輪』、ケストナー『終戦日記一九四五』、ノイハウス『母の日に死んだ』、コルドン『ベルリン1919 赤い水兵』、ザルテン『バンビ 森に生きる』などがある。 -
アメリカとアメリカ人 未来のためのエッセイ
じっとしておらず、満足せず、求め続ける国民。 人種間の差別の構図、大統領への矛盾する感情―― 『怒りの葡萄』から『チャーリーとの旅』を経て見出したのは、 祖国への愛着と痛烈な洞察。 〈アメリカとは何か〉を探求し、その行く末を見据える スタインベック最晩年のエッセイ。 〈目次より〉 私自身のアメリカ――はじめに 1 多様の統一 2 逆説と夢 3 人民の政府 4 人種は平等に作られた 5 アメリカ属 6 幸福の追求 7 アメリカ人と国土 8 アメリカ人と世界 9 アメリカ人と未来 あともどりしないために――おわりに アメリカ論のエッセンス――訳者あとがき -
アメリカの爵位権主張者
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 産業社会が開花する19世紀末のアメリカ社会の混乱を鋭く体現した奇想天外な物語。『金メッキ時代』の15年後の2カ月間を描く本書は、空想癖のある爵位権主張者と、平等主義に憧れる英国の子爵との奇妙な出会いを描く傑作。本邦初訳。 -
【電子復刻版】アメリカ文学と祝祭
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ※この商品は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 クリスマス、カーニバル、五月祭などの祝祭を、ホーソーン、ポー、ヘミングウェイなどの作家たちが、どのように展開し、深化させたのかを探っている。 待望の電子復刻版。 -
アメリカ文学における終末論的想像力 アメリカ例外主義の展開とその方向性
米文学史は植民地時代を含め、アメリカ例外主義と絡み合い、それに立ち向かってきた。アメリカ例外主義とは、米国は神に選ばれた自由と民主主義を標榜する大洋に挟まれた例外的な近代国家であり、世界の民主化を主導する義務がある、という考え方である。それはプロテスタントの教義によって強化され、国家の根幹をなし、黙示録的な終末を演じることで米国を帝国化してきた。マサチューセッツ植民地の形成から独立戦争、メキシコ戦争、そして南北戦争と世界の終末を思わせるレトリックで政治家や説教師、ジャーナリストらが差し迫った危機を語り、国民の団結を呼びかけてきた。20世紀以降も二つの大戦に、大恐慌、ベトナム戦争、そして9・11の攻撃、イラク戦争など大きな危機に遭遇する度に、民主主義の伝播、善悪の戦い、対テロの戦いなど、多くの言説が用いられ国民を方向づけていた。現代においてこの終末論的想像力は、第三次世界大戦という用語により世界に拡散され、プロバガンダとして大いに利用され、世界的パンデミックの不安と恐怖までもが後押しする形で、国民は将来の見通しを立てることができないような強迫的な寄る辺なさに苛まれることになってしまっている。トランプ政権において露わになることとなったアメリカ例外主義への反発からは、自国優先の政策に舵を切ることを望む人々も多く出てきている。そして、トランプの支持基盤であった極右集団QAnonは、トランプを世界の終末を阻止するためにやって来た救世主として扱っているのである。今を生きる我々が、この事態、現実を、乗り越える手立てを見出すことは容易ではない。本書は、米国が体験してきた不安や恐怖、それらを克服する過程を、作家たちがいかに描いてきたかを読み解き、そうした危機的状況やそれに乗じた終末論的プロパガンダ、それと絡み合うアメリカ例外主義の展開と分裂を視野に入れ、文学作品が、いかなる意義を生成してきたのかを読み取ろうと試みるものである。 目次 寄稿「アメリカ大統領と終末論的想像力」(巽孝之・慶應義塾NY 学院長) 「〈風景〉とマニフェスト・デスティニー」(成田雅彦・専修大学教授) 「わたしたちはどう生きるか―エマソンの『自己信頼』におけるヴァルネラビリティの倫理」(生田和也・長崎県立大学准教授) 「独身女性が書く家事手引書―キャサリン・ビーチャーのベストセラー改訂版」(秋好礼子・福岡大学准教授) 「反時代的考察者としてのヘンリー・アダムズ」(砂川典子・北海道教育大学准教授) 「絶滅という思想―十九世紀アメリカにおける環境終末論」(高橋勤・九州大学名誉教授) 「『大理石の牧神』における絵画と身体」(川下剛・京都産業大学講師) 「『ハックルベリー・フィンの冒険』とその批評的冒険にみる(非)ヘーゲル的精神の冒険」(吉津京平・北九州市立大学非常勤講師) 「『船乗りビリー・バッド』における黙示録的運命」(竹内勝徳・鹿児島大学教授) 「ポストアポカリプス的想像力とデモクラシーの「未来」」(渡邉克昭・名古屋外国語大学教授) 「彼らの夢は実現したのか——トウェインとフィッツジェラルドに見る夢の迷走」(江頭理江・福岡教育大学教授) 「『怒りの葡萄』の終末描写に見るスタインベックのアメリカ像」(前田譲治・北九州市立大学教授) 「「丘の上の町」は安住の地か」(綱智子・佐賀大学・久留米大学 非常勤講師) 「「終わり」のない旅―スティーヴン・キングのダーク・タワーの先に」(宮内妃奈・福岡女学院大学教授) -
アメリカ文学のカルトグラフィ――批評による認知地図の試み
★文学的想像力が描くアメリカ 「カルトグラフィ」とは地図作りのことであり、本書はアメリカ文学が生まれてきた現場を「地図的発想」で捉え直す試みである。 自己探求的なアメリカ文学の理念が重視してきた物語・国民意識・国家観と、それらを支えるロジックとは何か。 家庭、都市、漂流、歓待、南部、私秘性、国際移動、異界、親族、伝染病、動物化、商品といったキーワードを使って描き出される、観念の地図。 【第18回アメリカ学会清水博賞 受賞】 <目次> 序──アメリカニストの作図法 第一部 情緒的空間としてのアメリカ 第一章 領域化する家、内密の空間──生活世界の構図 第二章 雑踏の復権──生命圏としての路上 第三章 逃走という名の空間創成──情動変化の生態系 第二部 マッピングされるアメリカ 第四章 永遠の異郷──流浪する者たちのアメリカ 第五章 他者性の迷宮──南部という謎 第六章 親密圏をマッピングすること──私と公の攻防 第三部 アメリカの異次元空間 第七章 混成国家の鏡像──客土における黒人文学 第八章 回帰する場所──憑在者たちの複数空間 第九章 性的禁忌の版図──親族関係の想像力 第四部 アメリカ的自我と近代の時空間 第十章 疫病と近代社会──感染地図としての人間の絆 第十一章 動物の生息図──覆される人間主義 第十二章 物欲のカルトグラフィ──フェティッシュと自我の変遷 コーダ 流動するアメリカ空間 あとがき 引用文献目録 -
アメリカへようこそ
「幽霊語」を生み出す辞書編纂者の正義、儀式で絶命することが名誉な一家の恥さらしな叔父、社会に辟易しデジタルデータになる決意をした息子と母親の葛藤、幸せな日々を送る男の封印された終身刑の記憶、生物園の男と逢瀬を重ねる女、女王陛下と揶揄された少女の絶望と幸福の告白、空っぽの肉体をもつ新生児が生まれはじめた世界の恐るべき魂の争奪戦、合衆国から独立したテキサスの町「アメリカ」の群像悲喜劇、逆回転する世界に生まれた僕の四次元的物語―― 現代アメリカの暗部と矛盾、恐れと欲望、親密さと優しさ。 奇想天外な世界の住人たちのリアルな情動に息を呑む、驚異的作品集。 【目次】 売り言葉 儀 式 変 転 終身刑 楽園の凶日 女王陛下の告白 スポンサー 幸せな大家族 出 現 魂の争奪戦 ツアー アメリカへようこそ 逆回転 訳者あとがき -
アリス、アリスと呼べば
〈 人が人への信頼を失ったら、その先には何が残るっていうの? 〉 ◉洗練された文体と神秘的なスタイルで注目される韓国文学の新鋭による短編集。 ◉夢と現実が交差する迷路のような物語は、私たちの目を世界の本質へと向ける。 ◉共生の感覚を回復させる魅惑的な8つの物語。 --------- 「わからないかな?これが普通なんだという確信、もしくはこれが普通であるべきだと信じて疑わないこと、それこそが本当の「悪」なんだよ」 マイノリティへの憎悪やネットヘイトに満ちた世界を生きる今。 「人が人を助けねば」という現代社会に求められる声に耳をすました小説集。 洗練された文体で描く幻想的な物語をとおして、良かれと思った〝優しさ〟が往々にして他者を傷つける〝独善〟になってしまうような、現実世界の複雑さを見つめていく。 --------- 【目次】 ・あなたのいた風景の神と眠らぬ巨人 ・アリス、アリスと呼べば ・海辺の迷路 ・夜の潜泳 ・チャンモ ・人が人を助けねば ・夜は輝く一つの石 ・メゾと近似 ・あとがき ・訳者あとがき -
アリスはどこへ行った?
ブロードウェイミュージカル原作『ウィキッド』の著者が贈る、もうひとつの『不思議の国のアリス』。私たちがよく知るあの物語の裏では、いったい何が起きていたのか?生きることとは。大切な人を失うこととは。想像力とは。著者が物語に込めたのは、とても奇妙で、でも大切なメッセージ。 ある夏の日、アリスが消えた。どこへ行ったのかと、後を追いかける友人。妹がいなくなっても、無関心な姉。妻を亡くした悲しみから立ち直れず、娘がいなくなったことさえ知らない父親。1860年代オックスフォードを舞台に、それぞれにとっての長い長い一日が、いま幕を開ける――。 -
アリブランディを探して
ジョセフィン・アリブランディは,恋に,大学受験に大忙しの,オーストラリアの女子高生.お母さんは未婚でジョセフィンを産んでおり,おまけにアリブランディ家はイタリア系移民.ジョセフィンは,他人から貼られるレッテル全てから解放されたいと,切に願っています.そこへ,一度も会ったことのなかった父親が現れ……. -
ある葬儀屋の告白
アメリカで話題独占!「葬儀屋」ブログを書籍化した 異色のベストセラー、ついに日本上陸! 今を生きるすべての人に贈る再生の物語。 「死は生の正常な一部である」 「死を健全に理解すれば、そこには美が見出される」 ・生後すぐの赤ん坊 ・がんと闘病していた少女 ・大好きだった祖父 ・薬物中毒の男 ・アルコール依存症の男 ・ダウン症の中年女性 ・排除されていたレズビアン ・余命二日で自ら電話をかけてきた男 ...ありとあらゆる形の死に接した、葬儀屋の六代目。 苦しみながらも、大切な人を失った人々に寄り添い続けていくうちに、 彼は死に希望と美しさを見出す。 死は、弱さを受け入れる強さをくれる。 米タイム誌が「必読の書!」と太鼓判。 原書である 『Confessions of a Funeral Director:How the Business of Death Saved My Life』 はAmazon.comで4.6/5.0の高評価(6月6日時点で189人がレビュー)を得ている。 翻訳は『死ぬ瞬間』(エリザベス キューブラー・ロス)を訳した法政大学教授の鈴木晶氏。 タイム(ネット版) 「ある葬儀屋の告白」というブログは示唆に富み、幅広いテーマを扱い、時には不遜だ。筆者は死を扱うビジネスの深層に踏み込んでいる。読者は、死についてだけでなく、人生について学ぶことができる。 ワシントン・ポスト 著者は有名ブロガーとして知られる。彼は葬儀屋という地味で堅い職業を定義し直し、人生における究極の関心事についての会話を誘う。 -
ある天文学者の恋文
イタリア映画界の巨匠が新作を自ら小説化! 『ニュー・シネマ・パラダイス』『海の上のピアニスト』などで知られる、イタリア映画界屈指の名監督ジュゼッペ・トルナトーレ。この秋日本公開の映画『コレスポンデンス(原題)』(ジェレミー・アイアンズ、オルガ・キュリレンコ主演)を自ら小説化した美しく切ないミステリーです。 若く美しい大学生エイミーは、大学の天文学者エドと密かに愛を育んでいた。あまり会えない中、メールやスカイプで知的な会話から他愛ないおしゃべりを楽しむ日々。 そんなある日、授業を受けているエイミーのスマホに、エドからいつものようなメールが届く。そしてまさにそのとき、教鞭を執っていた教授からエドの訃報が知らされる。混乱するエイミー。しかしその後も、折に触れてエドから愛にあふれたメールや手紙が届く。エイミーは謎を解き明かすため、エドの暮らしていたエジンバラへと向かう……。 自身の映画の脚本も数多く手がけた巨匠による、温かくも悲しい恋の謎を軸に人間の喪失と再生を描く物語。 -
ある人質への手紙――戦時の記録2
『戦時の記録』3分冊の第2冊目にあたる本書は、1942年から1943年までのサン=テグジュペリをめぐる資料、証言を収める。苦渋の選択の結果であった合衆国亡命の日々に、連合軍の北アフリカ上陸の報に接し、歓びのうちに発表された「まずフランスなのだ」。サン=テグジュペリは、この公開状でおこなった呼びかけに忠実に、フランスの解放のため、一兵士としてみずからの生命をかけるべく戦列に復帰した。政治抗争の罠にとらえられながら、『戦う操縦士』、『ある人質への手紙』、そして『星の王子さま』のなかに、人間が生きるよすがとなる磁力線の存在を、言葉、階級、党派を超えて人間を結び合わせるものの存在を鮮やかに示して――。近年になってはじめて完全に公表された「アンドレ・ブルトンへの手紙」を新たに加え、〈戦時の記録〉全3冊は、ミュンヘン協定(1938)の直後にはじまり、第二次大戦勃発後のサン=テグジュペリの最後の日々をたどる。 -
「荒地」の構造と実像
T・S・エリオットの『荒地』を読み解く2つの仮説。新たな全体像と主題を示す! 「荒地」の主題は、「聖杯探求」や「漁夫王」を用いて、文明批評とされているが本当にそうだろうか。元のエピグラフから捉え直すと作者の絶望の叫びだと分かる。それは、人生を回想して「地獄!」と叫ぶ内容であるが「荒地」と相似になっている。詩の中で詩人は人生を回想している。それは自伝的描写が彼の年代順に並べられていることからわかる。 詩の構造は、ジョイスの「ユリシーズ」と共通性がある。一日という時間経過、ロンドンの描写、性的描写、言語・語彙・文体の多様性である。また、出版当時作者の周囲にいた人々は、詩が彼の投影であると見ていた。そもそも「荒地」が「文明批評」だとしたのはエドマンド・ウィルソンの批評であるが、本音では「エリオットの絶望の叫び」だと思っていた。これは、詩人自身が「荒地」は「個人的愚痴」と発言したこととも一致する。第一部~第四部までは、絶望的気分に満ちているが、第五部では苦悩に立ち向かう内容になっている。それは、エリオットの病気が影響したもので本人も「最高のもの」で「全体を正当化する唯一のもの」と言っている。 -
アンクル・トムのキャビン
トムはケンタキーの温厚な農場主に雇われていた忠実な黒人奴隷だったが、事業に失敗した主人によって、小間使いイライザの息子ハリーとともに奴隷商人に売り渡される。トムの苦難はここから始まる。トムは ニュー・オーリアンズの富豪セント・クレアの一人娘エヴァが河に落ちたのを救った縁で、同家に買い取られる。だが、比較的落ち着いた暮らしも、エヴァの死、つづく主人の急死によって一転する。トムは飲んだくれで残忍なミシシッピの農場主 レグリーに買い取られていく。その果てに待っていたものは……19世紀アメリカが生んだ代表的な社会小説であり、黒人奴隷のさまざまな姿を鮮烈に描いた秀作として呼び声たかい長編小説。 -
暗黒結晶 ディープ・ファゾム
新世紀最初の日食。世界中の人々が黒い太陽から放たれるフレアに見とれていたそのとき、巨大地震が太平洋全域を襲う。 中部太平洋で沈没船探査をしていたジャックのもとには米海軍からの救援要請が届いた。米大統領を乗せたエアフォース・ワンが太平洋上空で姿を消したのだ。軍に遺恨のあるジャックは渋りながらも捜索に乗り出す。 一方そのころ人類学者のカレンは与那国島沖に沈むという〈ドラゴン〉と呼ばれる遺跡へ向かっていた。そこで彼女が目にしたのは地震で隆起した古代都市だった! -
アンセム
米国議会図書館の調査で「聖書に次いでアメリカ人に最も影響を与えた本」とされた『肩をすくめるアトラス』の著者アイン・ランドによるディストピア短編小説。 集団・平等主義が極限まで推し進められた結果、「私(I)」という概念が排除され「われら(we)」に置き換わってしまった遠い未来。 主人公は自由を取り戻す闘いに立ち上がる。 【著者】 アイン・ランド 1905年-1982年。アメリカの作家、思想家。 「オブジェクティビズム(客観主義)」思想を創出し、小説やエッセイを通じて表現し、自らそれを実践し続けた。 サンクト・ペテルブルク生まれ。1926年アメリカに単身亡命。1936年『われら生きるもの』で小説家デビュー。1943年『水源』がベストセラーになり名声を確立。 1957年SFミステリー思想小説『肩をすくめるアトラス』は現在までに23カ国語に翻訳され、累計販売部数は880万に達する。 -
アンデルセンの童話
アンデルセンの童話は「人生で三度読め」といわれます。 美しい日本語にこだわり、戦後を生きる子どもの心身共に豊かな成長を願い、童話や児童文学の翻訳に務めた言語学者・矢崎源九郎の翻訳によるアンデルセンの童話を陶芸家・結城美栄子さんの、生命ある者の心のうちが伝わってくる作品とともに。 【目次】 わるい王さま はだかの王さま みにくいアヒルの子 りっぱなもの 空とぶトランク 人魚の姫 【著者】 ハンス・クリスチャン・アンデルセン デンマークのオーデンセに生まれる。父親の影響で本や芝居に関心を寄せるようになる。 14歳でコペンハーゲンに出る。30歳で出版した小説『即興詩人』が出世作となり、 各国に名声が広がる。32歳で「人魚姫」を含む第三童話集を刊行し、以降は近代童話の確立者として世界で認められた。 矢崎源九郎 1921 年、⼭梨県⽣まれ。東京帝国⼤学(現・東京大学)⽂学部⾔語学科卒業。東京教育⼤学(現・筑波⼤学)教授。⾔語学者、北欧⽂学者。言語学関係の著者を多く残す。そのかたわら、美しい日本語を大切に、戦後を生き抜く子どもの心身共に豊かな成長を願い、童話や児童文学の翻訳に務める。アンデルセンのほか、グリム童話、『フランダースの⽝』、『⼈形の家』、『ピノッキオ』など多数の作品を紹介。1967 年逝去。 結城美栄子 1943 年、東京都⽣まれ。⼥優・陶芸家。外交官の⽗と画家の母の元に⽣まれる。1968 から 69 年に、フルブライト奨学⾦受給者としてニューヨークのステラ・アドラー演劇学校に学び、俳優座養成所 13 期を経て劇団「雲」に⼊り、⼥優の道を歩む。1984 年からは陶芸家としての活動が活発になる。作品は東京国⽴近代美術館、岐⾩現代陶芸美術館にも収蔵。常設展示として、パークハイアット東京、グランドハイアットソウル、パークハイアットシカゴ、GARANCE(パリ)、のるすくショールームなどがある。 -
アントニー 5幕散文ドラマ
アレクサンドル・デュマの最も一般的な略歴は以下である。 1802年フランスのヴィレール・コトレ生まれ。 19世紀フランスを代表する作家の一人。幼少よりラテン語、古典文学を学び、17歳で『ハムレット』を観て劇作家を目指す。20歳でパリに出た後、『アンリ三世とその宮廷』、『クリスティーヌ』の大成功によって劇作家としての地位を得る。その後も数多くの劇作を発表し続けるが、フランス・ロマン派の影響を受け、徐々に歴史小説に移行する。1844年、「ル・シエークル」誌に連載された『三銃士』が爆発的な人気を得た他、『王妃の首飾り』、『黒いチューリップ』などの大作を世に送り出す一方で、革命に積極的に参加するなど当時のフランス国内に多くの影響を与えた。晩年はフランス、ベルギー、ドイツ、オーストリアなどを転々としながら創作活動を続け、1870年、ピュイの別荘にて死去。 主な作品は、『三銃士』、『二十年後』、『モンテ・クリスト伯』、『王妃マルゴ』、『王妃の首飾り』、『黒いチューリップ』など多数。 もちろん、フランス文学史がロマン主義を避けて通ることができないかぎり、デュマに触れないわけにはいかないが、ヴィクトル・ユゴー、アルフレッド・ド・ミュッセ、アルフレッド・ド・ウ゛ィニーなどと比較すると、デュマは明らかに挿話的な扱いしか受けないのが普通である。しかし、2002年11月、ついにアレクサンドル・デュマの亡骸が国葬としてパリのパンテオンに移され、国民作家の列に加わったのだ。 一般に日本でのフランス・ロマン主義の研究は手薄だが、なかでもアレクサンドル・デュマについての研究は皆無に等しい。デュマと言えば『三銃士』や『モンテ・クリスト伯』といった大衆娯楽作品の印象が強く、また数知れない代作者を使ったという理由で悪名も高い。また、その作品の全体について正確な総数すらわからないほどのいわば濫作者であったからよけいに始末が悪いのかもしれない。いったいどれだけ作品を出版したのだろうか。 カルマン・レヴィー出版社が1902年に出したアレクサンドル・デュマ作品総カタログによる作品分類は以下の如くであった。1)歴史小説および歴史研究128作品218冊。2)個人伝41作品、64冊。3)回想録、閑談9作品、11冊。4)少年少女物語5作品、6冊。5)旅行記18作品、35冊。6)戯曲66作品25冊。以上合計271作品、359冊(若干数の作品は重複の可能性がある)。シャルル・グリネルの『アレクサンドル・デュマとその作品』ではカルマン・レヴィー版全集で298作品142巻という数字を出している。Webサイトで検索すると688作品がリストされていて、270作品とか289作品とかをはるかに超えた多作家であることは間違いがない。ジャンルも小説、伝記、回想録、おとぎ話、旅行記そして戯曲と多彩である。 ≪Elle me resistait, je l’ai assassinee!....≫ 「俺を拒んだ、だから殺したのだ!」 有名なこの幕切れの台詞と共に、愛人アデルを殺した暗い目付きの主人公アントニーは、1831年以後しばらくの間フランスの若い世代を席巻した。1831年5月3日ポルト・サン・マルタン座で初演された『アントニー』は、当時の上演事情から見ると異例としか言いようのないほどの連続上演記録を作った。「このドラマはパリで連続131回上演された。内訳はポルト・サン・マルタン座で100回、オデオン座で30回、イタリアン座で1回である。そればかりか、またフランス中で巡回公演され、その年1831年は非難ごうごうであったが、1833年から1837年までは大成功を収めた。 今日のわれわれから見るといささか大時代なこの姦通劇が、どのように着想され、どうしてこのような熱狂的な反響をもたらしたのであろうか。 -
アンナ・カレーニナ
モスクワのオブロンスキー公爵家では、夫のステパンの不倫を知って、妻のドリーがいっしょに暮らせないと言い出す。ステパンはペテルプルグにいる妹のアンナに助けを求める。同じころ、ステパンの親友で田舎暮らしのレーヴィンが、ドリーの妹キティーに求婚しようとモスクワにやってくる。しかし、キティーには意中の人、ウロンスキー伯という美貌の青年士官があった。そのウロンスキーは母を迎えに出た駅で、ペテルブルグからやってきたアンナ夫人と出会う。アンナの到来で、オブロンスキー夫妻の仲はまるくおさまる。ペテルブルグに帰る前日の舞踏会でアンナはふたたびウロンスキーに会い、二人は楽しげに踊る…これがアンナの破滅への序章だった。文豪トルストイが心血を注いで完成させた名作。 -
アンリ三世とその宮廷
一般に日本でのフランス・ロマン主義の研究は手薄だが、なかでもアレクサンドル・デュマについての研究は皆無に等しい。デュマと言えば『三銃士』や『モンテ・クリスト伯』といった大衆娯楽作品の印象が強く、また数知れない代作者を使ったという理由で悪名も高い。また、その作品の全体について正確な総数すらわからないほどのいわば濫作者であったからよけいに始末が悪いのかもしれない。いったいどれだけ作品を出版したのだろうか。 カルマン・レヴィー出版社が1920年に出したアレクサンドル・デュマ作品総カタログによる作品分類は以下の如くであった。 (1)歴史小説および歴史研究128作品218冊 (2)小説、短編、個人伝 41作品、64冊 (3)回想録、閑談九作品、11冊 (4)少年少女物語五作品、6冊 (5)旅行記十八作品、35冊 (6)戯曲66作品25冊。以上合計271作品、359冊 アレクサンドル・デュマ協会のウェブサイトでは325作品がリストされている。また、個人のデュマ愛好家が作っているサイトによれば、すべての作品を取り混ぜて688作品としている。 「誰もが皆デュマの話は聞いたことがあるし、彼の作品の何冊かは読んだことはあるが、彼の才能の大きさを意識している人はごく少ない。『アンリ三世』から一夜明けた日の彼の栄光はたくさんの妬み屋のしつこい中傷をひき起した。彼らの言を信じれば、デュマは先人を剽窃し、代作者たちに自分の作品を書かせた無知無学の人間ということになるだろう」(フェルナンド・バッサン) 「『アンリ3世とその宮廷』を研究した人間はデュマの公式が一挙に分かる。彼はまことに多様な戯曲を書く。ところが本質的なものは最初の戯曲『アンリ三世』にある。つまり、民衆的な登場人物、地方色、変化、アクション、情念があるのだ。」(イポリット・パリゴー)この戯曲は、デュマ最初の本格的な五幕散文ドラマであり、スタンダールの理想の実現でもあり、ヴィクトル・ユゴーの『エルナニ』に先立つこと1年、ロマン主義演劇の最初の勝利を獲得した記念碑的作品でもある。 時は1578年7月20日のことである。フランス国王アンリ3世の母、フィレンツェから亡き国王アンリ2世に嫁いだカトリーヌ・ド・メディシスと占星術師ルッジェリは、アンリ3世の寵臣サン=メグランがギーズ公爵の夫人に恋い焦がれていることを利用して、サン=メグランとギーズ公爵の両方から気弱な国王への影響力をそごうと画策する。カトリックとユグノーの殺し合いの宗教戦争の只中で、後にアンリ4世になるナヴァール王アンリを加えて3アンリの戦いと言われる時代である。ルッジェリは眠り薬で眠らせたギーズ公爵夫人とサン=メグランを引きあわせて二人が両思いであることを悟らせる。 新教徒に対抗するカトリック同盟の盟主に自らなって、次期国王の座も狙おうとするアンリ・ド・ギーズのカトリック同盟に盟主の任命という性急な要求に、ブロワの三部会まで待てと諭すアンリ三世。事態は切迫していると反論するギーズ公。甲冑で登場したギーズ公が弾丸が飛んで来ても正面で受けてみせようと豪語するのを、サン=メグランが吹き矢筒でボンボンを命中させる。怒りに燃える両者の間で決闘が決まる。 怒りに任せたギーズ公爵は鉄の籠手で青癒ができるほど夫人の腕を締め上げ、無理強いにサン=メグラン伯爵をギーズの館におびき出す偽手紙を口述させる。 一方、宮廷ではカトリック同盟の盟主の任命決議に入り、「余の権威において余自身を盟主と宣言する」と自ら盟主になることを宣言したアンリ3世。ギーズ公爵はカトリーヌ・ド・メディシスに何事か訴えようとするが、アンリは早く署名せよとダメ押しをする。第1の企みは失敗に終った、埋合せはつけてやる、憤怒のなかで署名するギーズ公の前で会議の閉会が告げられる。 半信半疑でギーズ公爵夫人の元に忍んできたサン=メグラン伯爵は来ないようにと祈る夫人の声を手がかりに部屋までたどり着く。危機一髪で部屋から逃げ出したサン=メグランは待ち伏せした手のものに暗殺される。公爵が最後の台詞を吐く。「よし!さあ、家来の始末はつけた、今度は主人の番だ!」 劇場が興奮のるつぼであった。臨席していたオルレアン公爵は名前も知らない自分の使用人が詩人として聖別されるのをきいたのである。こうしてアレクサンドル・デュマはフランス演劇史にみずからの名前を深く刻んだのである。 -
アーサー王宮廷のコネティカット・ヤンキー
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 中世のアーサー王時代にタイムスリップした近代人ハンクの奇想天外な物語! 人間の悲喜劇を描くトウェインの頂点をなす作品。喧嘩相手の一撃で気絶した19世紀のコネチカット・ヤンキーが意識を取り戻してみると、そこは騎士道精神に貫かれた6世紀のイギリスであった。6世紀の住人として生きることになった主人公ハンク・モーガンは、近代科学の知識を駆使したことからアーサー王の目に止まり、王直属の高官となって、6世紀のイギリス社会で多くの改革や教育に手を染める。そして、騎士道社会の習慣にならい、みずからも諸国遍歴の旅へ出て、数々の冒険を体験していく。……最後は虐殺を伴う大戦争という方向を取り、コネチカット・ヤンキーは、魔術師によって13世紀間も続く深い眠りに陥ってしまうという巧みな文学手法によって、ふたたび19世紀に出現する。そしてベッドのなかで狂おしいうわ言を口走って息絶える……。 -
アーシュラ・K・ルグィン 新たなる帰還
想像力の持つ可能性と希望を信じ、異文化の共存の可能性を模索し、限界に挑戦し続けたルグィンの螺旋をのぼる旅をたどる アーシュラ・K・ルグィンは、時の流れによる変化を恐れない作家であった。変化を受け容れ、常に新しい地平を目指すことを選んだ。旅することは終始一貫して彼女の作品のテーマであり続けたが、その旅には終わりというものはなかった。帰還は新たな旅の始まりでしかない。そして、その旅は、作品の中のはるかな未来の世界や、遠い宇宙の惑星、そして竜が空に翼をはばたかせる異世界を移動するものであると同時に、現実の世界における歴史の流れを映し出すものでもあった。 本書の目的は、SFとファンタジーの新たな道を切り開き、その可能性を模索し続けた、ルグィンという作家の旅をたどることにある。SFやファンタジーというジャンルの問題、同時代のアメリカ社会と文学の潮流、そして文学とジェンダーとの関わりが、各章をつなぐ大きな主題となるだろう。数々の賞を受賞し、SFとファンタジーを名実共に代表する作家としていまなお大きな影響力を持つルグィンの道のりはどのようなものであったのだろうか。自らの限界に挑戦し続け、芸術とは「つねに限界のそのさきを探し求めることであり、境界線を見定めてはじめて、完全で、確固とした美しいものを生み出すことができる」のだと公言する作家が、長い旅路の果てに見せてくれるのはどのようなものなのだろうか。 (序章より)
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