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〈大きな悲しみが、私を守ってくれる〉
『ショウコの微笑』<a href= https://www.akishobo.com/book/detail.html?id=949" >『わたしに無害なひと』</a>の気鋭のベストセラー作家、初の長編小説
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夫の不倫で結婚生活に終止符を打ち、ソウルでの暮らしを清算した私は、九歳の夏休みに祖母と楽しい日々を過ごした思い出の地ヒリョンに向かう。
絶縁状態にあった祖母と二十二年ぶりに思いがけなく再会を果たすと、それまで知ることのなかった家族の歴史が明らかになる……。
家父長制に翻弄されながらも植民地支配や戦争という動乱の時代を生き抜いた曾祖母や祖母、そして母、私へとつながる、温かく強靱な女性たちの百年の物語。
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日が昇る前に大切なあの人に伝えておきたいことがあった。
明るくなったら、言えなくなりそうだから……。
2021年〈書店員が選ぶ“今年の小説”〉、第29回大山文学賞受賞。
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【目次】
■明るい夜
■あとがき
■日本の読者の皆さんへ
■訳者あとがき
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「ものがたりを読む」ことの楽しさや喜びをお届けする新シリーズ〈ものがたりはやさし〉第1弾。
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Posted by ブクログ
9歳の時に初めてヒリョンの祖母の家に行ったジヨン。初めて出会った祖母が自分を受け入れてくれていると感じたジヨンはすぐになつく。そして再びヒリョンに向かったのは夫の浮気で離婚を決めソウルを離れた31歳の時だった。ヒリョンに引っ越して2か月経った時に、母が訪ねてきた。母は祖母と疎遠だった。母親の人生を見ていて納得できなかったジヨンは「キム君(元夫)はやさしい」という母の助言にも素直に頷けない。
白丁という身分だった曾祖母ジョンソンと良家の夫パク・ヒスは、駆け落ち同然に家を飛び出した事から近所の人に噂される。娘ヨンオクはその事を母親に話さず、ある日結婚相手を連れてくる。ジョンソンは「あの男はお前の父さんに似ている」からと反対するが最後には
娘が結婚して正常な家族を持つという事実に満足しようと気持ちを切り換えた
ところが結婚相手ナムソンは北に家族がおり、ヨンオクは娘ミソンを育てる代わりに夫の戸籍に入れることを余儀なくされる。ミソンもまたいびつな家庭環境から抜けるために結婚に逃げる。ところが、三兄弟の嫡孫と結婚したため、旧盆や旧正月にも実家に帰れない。『82年生まれ、キム・ジヨン』 で描かれる、あの忙しい嫁の立場である。不自由な環境から抜け出すためミソンは娘ジヨンに期待をかけるが、その期待がジヨンには重く、彼女もまた逃げるように結婚する。しかし
自分が特権を享受しているとわかっていたから、私は黙らなければならなかった。娘の声に耳を傾けてくれない両親のもとで育ちながら感じた寂しさについて。私に関心のない配偶者と暮らす寂しさについて。口をつぐんだまま仕事に通い、上辺だけとはいえ続いている結婚生活を回していきながら、理解されたい、愛されたいという感情に目を向けないようにしなきゃならなかった。私は幸せな人間なのだから。すべてを手に入れた人間なのだから。
という我慢にも限界が来て、やはり結婚は破綻する。
よしながふみの『愛すべき娘たち』で、美貌を鼻にかける学友を見てきた母親が、自分の娘はああいう性格にさせまいと、わざと容貌をけなして言い続けたという話が出てくる。しかし娘は戒めと取らず、娘には「可愛い」と言い続けて育てる。成長するにつれ、親の欠点を見抜いた子供が、いざ親となった時に自分だけはそうなるまいとする。うまくいけば順繰りにいい母娘関係が築けていくはずなのに、そうはならない。本編でも、母のバックグラウンドを知らない娘が母の育て方に反発し、家というより母から逃れたくて結婚を選ぶ。経験上失敗の予感を感じた母の反対も押し切っての結婚であったため、予想通り破綻しても、更に母娘関係はいびつになる。本来配偶者や家父長制を善しとする韓国社会に告げるべき不満不平が、「同じ女性なのにどうしてわかってくれないのか」と最も近い母・娘に向かう。出口のない迷路である。
母娘の愛情が満たされていればどうなっていたか。その答えとして彼女の一族と対比的に描かれるのが、駆け落ちしてきたジョンソンの唯一の友となる女性セビおばさんの娘・ヒジャだ。セビおばさんの一生も幸福続きだったわけではないが、娘ヒジャは祖母のやりたかった事を全て叶え、結婚ではなく学究の道を選ぶ。彼女の生き方は、女達の迷路の出口の一つである。
表紙絵は佇む二人の女性。裏表紙は走り出す女性を見守る女性。表紙は母娘女性同士の共闘。裏表紙は自由を求めて走る娘を見守る母と見える。走り出す女性の先と、二人の女性が見上げる空は明るい。迷路から出た女性が見る空は、こんな色をしているのかもしれない。
Posted by ブクログ
自分と瓜二つの曽祖母。
9歳から会っていなかった祖母に
曽祖母の話を聞くと
それは、今では考えられない過酷な人生だった。
女性が虐げられてきた時代に
曽祖母や祖母たちがどのようにして生きてきたのか。
そして、その時代を生きてきた上で呪いのように蓋をしてしまった心を私は覗く事ができた。
こんな扱いがあって良いのか。
女性というだけで、差別民というだけで、同じ人であるのにも関わらず、物理的にそして精神的に傷つける人たちがいる。
『この世には心からの謝罪をしてもらえなかった者たちの国があるはずだ』
私はその国を知っている気がする。
きっとその国を知っている人たちはたくさんいるはず。
久しぶりに涙が出た本だった。
Posted by ブクログ
離婚をし、心に深い傷を負った私は、9歳の頃に祖母の家で十日ほど過ごした思い出の地ヒリョンに住む。
祖母と思いがけない再会をした私は、祖母と曾祖母の生きてきた時代を知ることになる。
日本の統治下を生きた曾祖母は、被差別民の白丁出身であり、その娘に生まれた祖母は朝鮮戦争時の避難民だった。
母は、曾祖母と祖母の歴史の被害者となった挙句、今も婚家から軽んじられている。
身分の違いや女に生まれたという理由だけで、ありとあらゆる差別と侮蔑を受けていた時代。
曾祖母や祖母、母、私へと繋がる百年の物語。
我慢すれば事は治ると母は言っていたことを思い出した。
今はそんな時代ではないけれど、それでも婚家とのつりあいだとか、どこの出身だとかは気にしていたような気がする。
母娘の問題も時代は変わらずあるものだと思った。
ただ祖母や曾祖母の生きてきた時代を聞くことがなかったのは今更ながら残念だった。
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