あらすじ
〈大きな悲しみが、私を守ってくれる〉
『ショウコの微笑』<a href= https://www.akishobo.com/book/detail.html?id=949" >『わたしに無害なひと』</a>の気鋭のベストセラー作家、初の長編小説
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夫の不倫で結婚生活に終止符を打ち、ソウルでの暮らしを清算した私は、九歳の夏休みに祖母と楽しい日々を過ごした思い出の地ヒリョンに向かう。
絶縁状態にあった祖母と二十二年ぶりに思いがけなく再会を果たすと、それまで知ることのなかった家族の歴史が明らかになる……。
家父長制に翻弄されながらも植民地支配や戦争という動乱の時代を生き抜いた曾祖母や祖母、そして母、私へとつながる、温かく強靱な女性たちの百年の物語。
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日が昇る前に大切なあの人に伝えておきたいことがあった。
明るくなったら、言えなくなりそうだから……。
2021年〈書店員が選ぶ“今年の小説”〉、第29回大山文学賞受賞。
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【目次】
■明るい夜
■あとがき
■日本の読者の皆さんへ
■訳者あとがき
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「ものがたりを読む」ことの楽しさや喜びをお届けする新シリーズ〈ものがたりはやさし〉第1弾。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
日本の統治下にあった時代、そして朝鮮戦争を生きて命を繋いできた女四代の物語。
弱い立場に置かれた女性たちの苦しみが直に伝わってくるようで、私も苦しかった。何度も憤り、悲しみ、時には目を潤ませながらの読書となった。
被差別民や男尊女卑のさまざまなエピソードを読むと、日本のそれととても似ていると思った。差別や偏見をなくすように努力し続けていくことが大事であり、こうやって小説の中で語られることには大きな意味がある。
怒りの矛先を間違い、虐げられている人同士でぶつかり合うことはよくあることなのかもしれない。自分のことを諦めたつもりでも、溜め続けた負の感情は死ぬまで重い荷物となって離れないのだろう。いつかはそれをおろさなければ望むところには行けないし、周りの人々を傷つけることにもなるのだなと思った。
もう修復不可能なのではないかと思ったけれど、主人公をきっかけにして少しずつ氷解していくのを祈るようにして見守った。生きていれば回復もできるという希望が見えてホッとした。
大事な思い出を抱えて人は出会いと別れを繰り返している、でも心の底では温かい気持ちで繋がっていると信じられる、時を超えて生き続ける思いがある、そんな物語だった。
特にミョンスクおばあちゃんのエピソードが切なかった。
Posted by ブクログ
すごい物語を読んだ。とっても良かった。読み終わるのが惜しいくらい。韓国小説でオススメは?と聞かれたら、是非オススメしたい1冊になりました。個人的にミョンスクおばあさんのエピソードが好きでした。
Posted by ブクログ
自分と瓜二つの曽祖母。
9歳から会っていなかった祖母に
曽祖母の話を聞くと
それは、今では考えられない過酷な人生だった。
女性が虐げられてきた時代に
曽祖母や祖母たちがどのようにして生きてきたのか。
そして、その時代を生きてきた上で呪いのように蓋をしてしまった心を私は覗く事ができた。
こんな扱いがあって良いのか。
女性というだけで、差別民というだけで、同じ人であるのにも関わらず、物理的にそして精神的に傷つける人たちがいる。
『この世には心からの謝罪をしてもらえなかった者たちの国があるはずだ』
私はその国を知っている気がする。
きっとその国を知っている人たちはたくさんいるはず。
久しぶりに涙が出た本だった。
Posted by ブクログ
冒頭から引き込まれて夢中で読んだ。
被差別民として生まれた曽祖母、戦争に翻弄された祖母、家父長制から逃れられない母。離婚を経て都会を離れ、祖母が暮らす町に移り住み、自らの傷と向き合う娘。
女性たちの100年の物語。
辛い現実のなかでも手を取り合うことができる相手がいることが何よりの救い。
Posted by ブクログ
"――ヨンオクは、朝鮮人が日本人よりも卑しいと思う?
祖母が首を横に振ると、本物の卑しさはそんなふうに人間を卑しいと語る、まさにその口にあるのだとおじさんは言った。"(p.122)
"誰もいない家で学校に行く準備をしていた九歳の私にも、鉄棒にぶら下がって涙を堪えていた中学生の私にも、自分の体を虐めたい衝動と闘っていた十九歳の私にも、自分を粗末に扱う配偶者を容認していた私と、そんな自分を許せなくて自らを攻撃したがっていた私にも近づいて耳を傾ける。私だよ。ちゃんと聞いてるよ。ずっとしたかった話を聞かせて。"(p.379)
Posted by ブクログ
歴史の流れを感じさせる壮大な話だった。韓国にも身分制度があったとは、どこの国でも人は同じようなことを考えるのだな。朝鮮戦争の当時のことをもっと知りたいと思った。男尊女卑の文化は、かなり根深そう。また母と娘は難しいことも描かれていた。これも万国共通
Posted by ブクログ
大きな物語だった。
苛烈な生涯に翻弄されながらも生きて、生きて、生き抜いた女性たちの物語。
どの世代の彼女の物語にも「私は絶対に、なにものにも侵されない」という強い意志があり、静かな筆致ながらとてもパワフルだった。
日本占領下の韓国のパートなど、読んでいて辛い部分もあるのだけど日本人こそ読むべきではないだろうかと思う。そこで生き抜いた人たちが存在していたこと。
高祖母、曽祖母、祖母、母、そして私と、いろんな代名詞が出てきてそれが複雑に入り組むときがあるのでたまに今の話は誰?となるのだけどそのうち慣れる。
Posted by ブクログ
夫の不倫で結婚生活を終わりにした私は、祖母の住んでいるセリョンに引っ越しをした。祖母とは長いこと交信をしていなかったが…。セリョンの天文台が職員を募集しているのを見つけて応募した。採用されると、住まいを探し、小さな車に荷物を積んで引っ越しをした。これからセリョンで生活が始まる。そして祖母のことや、曾祖母のことなどを聞く。曾祖母、祖母、母、そして私の四世代の話。女性にとって厳しかった時代を過ぎてきた祖母の話…。祖母の視点か、祖母を見ている人の視点か、誰の話をしているのか、時々戸惑ってしまうことがあった。
Posted by ブクログ
離婚をし、心に深い傷を負った私は、9歳の頃に祖母の家で十日ほど過ごした思い出の地ヒリョンに住む。
祖母と思いがけない再会をした私は、祖母と曾祖母の生きてきた時代を知ることになる。
日本の統治下を生きた曾祖母は、被差別民の白丁出身であり、その娘に生まれた祖母は朝鮮戦争時の避難民だった。
母は、曾祖母と祖母の歴史の被害者となった挙句、今も婚家から軽んじられている。
身分の違いや女に生まれたという理由だけで、ありとあらゆる差別と侮蔑を受けていた時代。
曾祖母や祖母、母、私へと繋がる百年の物語。
我慢すれば事は治ると母は言っていたことを思い出した。
今はそんな時代ではないけれど、それでも婚家とのつりあいだとか、どこの出身だとかは気にしていたような気がする。
母娘の問題も時代は変わらずあるものだと思った。
ただ祖母や曾祖母の生きてきた時代を聞くことがなかったのは今更ながら残念だった。