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想いをつなぐハイウェイ 幸せジャンクション2
出会いの数だけ、道がひらける。 退職金代わりに手に入れたキャンピングカーで、東へ西へ、人助け。 小さな優しさが奇跡を起こす、人情ロードノベル! 勤務先の運送会社が倒産し、 退職金代わりにキャンピングカーを手に入れた主人公・浜浦遼二。 困っている老婦人に手を差し伸べたことをきっかけに、 介護福祉士の多智花夕夏とともに「ちょっとした手助けの旅」に出ることに。 今回の旅のミッションは、名古屋から東京へのアロワナ運送。 そしてその帰り道に、老婦人を兵庫まで送り届けるというものだった。 ところが、新しい依頼が舞い込んだことによって 旅は思いがけないほうへ進んでいく。 道中、たくさんの出会いがあるなかで 浜浦と多智花の異色コンビは、また新たな人生の分岐点を迎えるのだった―― 「心があたたかくなる」「爽快感が心地いい」と大好評の 『幸せジャンクション』の名コンビが、今度はいったいどんな旅に出るのか。 ぜひ、お楽しみください。 ▼目次 第1章 いざ東へ 第2章 再会そして新たな出会い 第3章 それぞれの終着点 あとがき -
人生劇場 青春篇
先が思いやられるような人間になれ―。これが父の教育方針だった。悪ガキとして名を馳せた中学時代を経て、青成瓢吉は早稲田大学に進学、学園紛争の口火を切る。やがてお袖との同棲生活にはまり大学を中退するが、彼の脳裏には芸妓になった幼なじみのおりんの姿が…。大志ある親友たち、味のある教師、任侠道を貫く渡世人など、脇役陣も多士済済。今、不朽の人生ドラマが幕を開ける。 (※本書は2000/3/1に発売し、2022/4/13に電子化をいたしました) -
石の下の記録
本作は戦後間もない頃に起こった「光クラブ」事件がモデル。この事件を題材にして、著者は戦後の虚無感というものをまざまざと描写していく。ひとつに縛られていた戦時中の価値観が崩壊し、目標が見えなくなった戦後という時代。そしてその時代に生きる若者たちの姿は、さまざまな価値観に溢れている今の時代にも案外通じるものがあり、ぐいぐいと物語に引き込まれてしまった。 (※本書は1995/5/1に発売し、2022/3/10に電子化をいたしました) -
5月の幻影
あなたの愛するペットはどのような思いで最期を迎えたのでしょうか? 様々な死の場面を経験してきた現役外科医が、その培った死生観を基にペットの死を語った。 松本孝雄は消化器外科医である。松本家の愛犬ナサは悪性リンパ腫を患い、抗癌剤治療を行ったが亡くなった。松本は鼠径部のリンパ節腫脹に気付いた。精査の結果、ナサと同じ悪性リンパ腫と診断され、抗癌剤治療を開始した。松本はその治療の過程で、ナサの思いを知ることとなる。 ペットは我々に何も語らずに最期を迎える。しかし、共に過ごした家族には、何らの感情を抱き、何かを伝えようとし、そしてその瞬間を迎えるのであろう。 それはどのような思いか? この本はヒントを与えてくれる。 -
ヘヴンリー・ヘヴン Heavenly heaven
恋人と別れてから妊娠に気づいた董子は、その子をどうするかも定まらないまま、四十にして片思い中の従兄の恋を見守るが……「なまけものの恋」 ほか9編。 いい大人と呼ばれる年齢になっても、なかなか恋はうまくならない女性たちの姿を、あたたかく描く短編集。 -
ブランケットタイム
OLの智子は、かつての同僚で、今はフリーターの亮とつきあっている。背が高く、おだやかで、智子にはどこまでもやさしい亮だが、自分に自信を持つことが できないまま職を転々としていた。智子もまた、彼を力づけることのできない自分がもどかしくて……やさしさゆえに傷つけあう、もろくて純粋な二人を、繊細 な筆致で描き出す恋愛小説。 -
こごえた背中の、とける夜
前触れなく降りだした夏の雨の中、俺は蛍(けい)と出会った――。おとこ、と呼ぶにはまだ幼さの残る20歳の神谷蛍は、時計屋を営む42歳の早川野月(のづき)の生活にするりと入り込んできた。突然始まった、幸福な二人暮らし……だが俺は、蛍のことを何も知らなかった。『きみの背中で、僕は溺れる』の沢木まひろが描く、痛いほど切ない恋。 -
恋より或いは美しいもの
4年間行方不明だった親友の足は、動かなくなっていた――。高校時代にいつも一緒だった翔・健司・萌子の時間は、1本の電話をきっかけに再び動き出す。美しく才気あふれた翔のやりきれない現実に戸惑う健司とその恋人・萌子。さらに翔には親子ほど歳の離れた「妻」がいて――。25歳の男女は挫折と迷いを経てどんな明日を見出すのか。 -
レオーネが荒野を駆ける時
バハ1000レースに賭ける男たちの夢と熱い魂! 四輪駆動車の生産に力を入れてきたスバル本社は、その性能を全世界にアピールするため、カリフォルニア半島を縦断する過酷なレース「バハ1000」への出場を決定した。レオーネ4WDに荒地走破性能を備えたスーパー・レオーネを開発し、オフロードレースに出場したいというテスト・ドライバー、尾島龍一郎の長年の夢がかなうことになったのだ! 長篇レース小説。 ●高斎 正(こうさい・ただし) 1938年、群馬県生まれ。作家、自動車評論家。日本SF作家クラブ第3代事務局長を務め、名誉会員に。『ホンダがレースに復帰する時』『ミレミリアが復活する時』(いずれも徳間書店)、『パリ~ウィーン1902』(インターメディア出版)など、自動車レース小説を多く書く一方、ノンフィクションとして、ミドシップの歴史を追った『レーシングカー・技術の実験室』(講談社)や『モータースポーツ・ミセラニー』(朝日ソノラマ)などの著作もある。 -
ニッサンがルマンを制覇する時
1周13.46キロ、ミドシップ5000ccが轟然と吠える! 10年余の沈黙を破って、ニッサンが「ルマン」に挑戦する。24時間を走りきる苛酷な耐久ロードレースにのぞむのは、人間尊重の新兵器を装備したミドシップ5000ccの大排気量車、ニッサンR384。このクルマを駆るワークス・ドライバーは、公募に応じて厳しいテストとトレーニングに耐えた6人の男たちだ。轟然と吠えるエンジンの響きに満たされた1周13.46キロのコースをR384が唸り、跳び、走る……! 長篇レース小説。 ●高斎 正(こうさい・ただし) 1938年、群馬県生まれ。作家、自動車評論家。日本SF作家クラブ第3代事務局長を務め、名誉会員に。『ホンダがレースに復帰する時』『ミレミリアが復活する時』(いずれも徳間書店)、『パリ~ウィーン1902』(インターメディア出版)など、自動車レース小説を多く書く一方、ノンフィクションとして、ミドシップの歴史を追った『レーシングカー・技術の実験室』(講談社)や『モータースポーツ・ミセラニー』(朝日ソノラマ)などの著作もある。 -
ロータリーがインディーに吼える時
轟音! インディー500マイルに賭けた男たちの死闘 マツダ・ロータリー車が米国最大のレース「インディー500マイル」に出場が決まった瞬間から、技術者たちの不可能を可能にする戦いが始まった。世界の名車が一堂に会する5月のインディアナポリス……。轟音と共にスタート、マシーンに魅せられた男たちの強烈なドラマが開始された! 長篇レース小説。 ●高斎 正(こうさい・ただし) 1938年、群馬県生まれ。作家、自動車評論家。日本SF作家クラブ第3代事務局長を務め、名誉会員に。『ホンダがレースに復帰する時』『ミレミリアが復活する時』(いずれも徳間書店)、『パリ~ウィーン1902』(インターメディア出版)など、自動車レース小説を多く書く一方、ノンフィクションとして、ミドシップの歴史を追った『レーシングカー・技術の実験室』(講談社)や『モータースポーツ・ミセラニー』(朝日ソノラマ)などの著作もある。 -
メディカルトイレ
禁煙に揺れるジャンクフード会社に逆スモークハラスメントの風が吹き荒れた。加熱式と電子タバコ派は屋内喫煙所にとどまり、昔ながらの紙巻きタバコ愛煙派は屋外に追いやられた。そんな中、メディカルトイレのレッドランプが灯る。メーカーは早期発見と謳っていたが、それは糖尿病に限ってのことであり、小便からの癌検知はもう手遅れを意味する。 最新医療トイレとセックス、癌とワイン、スイーツと禁煙、懲りない男女とメディカルトイレが織りなす、甘く生臭い人間模様の短編集 ※本作は八坂堂蓮の個人誌作品の電子書籍版となります。【128ページ】 -
亡猫と蝸牛犬
転校生の白井静海は見目うるわしく、昼食の時間だけワイルドに豹変する。そこには意外な理由と怪事の爪痕があった。彼女を取りまく男女が数奇な運命をたどり、あどけないバケモノが物語をつむぐ。 性器のない浮気者、死臭に取り憑かれた刑事、ネット民の孤独死、オタク探偵の霊結び、殺し屋と死神の使い、シルバーバックに魅入られた男、飼い猫に食われたバーチャルアイドル、彼らが残したコードを解くのはどす黒い笑い。絡まるショートショートが織りなすダークノベル。ねばつく犬が夢枕に立ち寄ったら気をつけろ ※本作は八坂堂蓮の個人誌作品の電子書籍版となります。【171ページ】 -
エフェメラル 王と春の妖精
新宿のガード下にはいろんなものが転がっている。中身を抜かれた財布や女、血まみれのヤクザ、どこぞの王子が投げた時計のダイヤ、ギターを爪弾く青年は悲哀を歌った。 「ある晩、飛び立つ恋わずらい。なごり花咲く、あなたは来ない」 駆け込み寺の番人は足かせのない死を憂う。 「一番街で若い命が飛び降りた。ホストに嵌まってツケが溜まり、雑居ビルの屋上でヒールを脱いだ。通行人が巻き添えを食い、取りはぐれたホストは死屍に舌打ちくれたとさ」 往来を見下ろす巨大モニターは幼児誘拐のニュースを告げ、巷では「臓器売買」が囁かれた。歓楽街の王とガード下のキング、黒人マフィアと地回りのヤクザ、おもわくと思いやりが絡んで生んだクリスマスの奇跡 ※本作は八坂堂蓮の個人誌作品の電子書籍版となります。【131ページ】 -
父が残したメッセージ 7日間の人生レッスン
大人になってから、どこまで変わることができるか 医者を30年もやってくれば、初対面である程度どういうタイプの人かわかるものだ。しかし、目の前にいる男性は、いままでに出会ったことのないタイプの人だった。「人は思い出を大切にしますよね。思い出ってなんでしょう。過去の経験? あるいは楽しかったことでしょうか。いや、それだけでは思い出にはならないのです」答えをなかなか言わない。自分で発見しろと言いたいのだろう……。 オヤジが亡くなり、ある日突然、知らない人から電話があった。それから始まる7日間。7つの場所へと新しい自分に出会う旅に導かれていった。魂を揺さぶる父と子の感動物語。 ●米山公啓(よねやま・きみひろ) 医学博士・脳神経内科医。聖マリアンナ医科大学内科助教授を退職後、東京・あきる野市の米山医院で診療を続けながら、脳の活性化、認知症予防、老人医療などをテーマに著作・講演活動を行っている。著作は300冊以上に及ぶ。趣味は独学のピアノ演奏、油絵やイラストを描くことで、イラストは自身のエッセイとともに雑誌などにも掲載されている。 -
アヤカシ特区の還送師 その術師、世間知らずにつき
現し世に生きるあらゆるものは命の核、實珠(みたま)を持っている。 それを喰らい生者に成り代わる怪異「浮き人」。 国家機関の特殊人外管理局に所属する還送師は、アヤカシと契約し、これらに対処する専門職である。 この春、管理局の地方分室に18歳の余部基惟(よのべもとい)は配属されることになった。 基惟は水神に拾われ育てられた青年で、その神の實珠を身の内に持つがために、管理局により長らく監視・軟禁されていた。 先輩となる葵宵(きしょう)と相棒の愛らしい妖狐・伽羅に案内されやってきたのは、久々埜知(くくのち)様という神が護り、アヤカシも数多く住まう可見依(かみより)町。 基惟は個性豊かな分室の先輩やアヤカシたちとの関わりを通じて、新たな経験や感情を知っていく。 だが彼の身を狙う危険な勢力が現れ、町を巻き込む大事件に発展して……!? -
ナンパお持ち帰りするための口説き方
ナンパお持ち帰りするための口説き方 本編の紹介文です。 はじめまして元祖ナンパ師のJony と申します。 ナンパ歴は約20年近くになります。はじめに生まれた時から自閉症を患い、人と話すこともままならない状態で、幼少期から学 生時代を過ごしてきました。 なので、普通に会話する事も出来ないのだから、友達も彼女も出来るはずはない。いわゆる、コミュ症っていうやつですか!? 当然のことながら出会いがない人生を歩んできたわけです。俺と同じような方も何人もおられるかもしれない。 そういった方々に向けて、書きました。その状況を乗り越えるために女性との出会いを求めて修行したのが大学時代であった。 その大学時代に行った修行と大学からその後10年間かけて楽しみながらコミュ症を克服してきました。 その中で、お姉さん達をGETしてきたナンパの方法について体験談を交えて書きました。 ただ、これナンパかよ!!と思う方もいらっしゃると思います。このナンパが出来ると後々有利になることが増えます。 例えば、ナンパは断られることが前提なので、断れても動じない忍耐力がつき、営業の交渉などにもいかせます。 さらに、自分がやりたい目標がありそれに向けて諦めない心と継続力が身に付くのです。 よかったら、手に取っていただき、最後まで読んでいただければ幸いです。 ※この本の内容について法律に違反する内容を含んでいる箇所はございません。 推定ページ数:147P 推定文字数:64,457文字 ※本作はJonyの個人誌作品の電子書籍版となります。 -
いちまい酒場
累計25万部『珈琲屋の人々』シリーズ著者が描く、 酒場“人情”小説。 串揚げか味噌おでん、漬物、酒。 千円「いちまいセット」と、人々の物語に。 あなたの心が温まる。 ひとときの安らぎを求めて、酒場『いっぱい』に、 今宵も客がふらりとやってくる。 西武新宿駅に近い裏通り。酒場『いっぱい』には、店主室井諒三自慢の「いちまいセット」――千円でビールか焼酎、串揚げ四本か味噌おでん、漬物の小鉢がつく――と、ひとときの安らぎを求めて今夜もふらりと客がやってくる。 しみじみ心温まる人間ドラマに定評のある著者が描く酒場人情小説。 〈文庫オリジナル〉 -
魔法使いゴーホーム
長期休暇を家でゆっくり過ごそうと、主人公はマーケットで食料を購入した。家に帰り、早速カンヅメを開けると、「ポン」という音とともに、魔法使いが出現した。魔法使いは、ひとつだけ望みを叶えてやるというお決まりの言葉をはくが、カンヅメの中身で部屋を汚された主人公は怒り心頭。意地でも魔法使いの言うことを聞こうとしない。そして、しつこい魔法使いから逃げ出した。追う魔法使い。実は、魔法使いにも望みを叶えてやらねばならない深刻な理由があった。逃走は世界を駆け巡り、意外な人物が登場し、そして、もっと意外な結末を迎える……。作中にさまざまな仕掛けを施したスラップスティック実験小説。 ●浅暮三文(あさぐれ・みつふみ) 小説家。第8回日本ファンタジーノベル大賞最終候補を経て、1998年第8回メフィスト賞『ダブ(エ)ストン街道』でデビュウ。2003年第56回日本推理作家協会賞を『石の中の蜘蛛』で受賞。他作品に『実験小説ぬ』『ぽんこつ喜劇』、エッセイ『おつまミステリー』など多数。著作はイタリア、韓国で翻訳され、中学校教科書に採用された。日本文芸家協会、日本推理作家協会会員。 -
似非エルサレム記
エルサレムは土煙を上げながら移動を続けた。それはまるで巨大な船が大地に波を立てて進むようであった。陸をさまよう巨大な氷山にも思えた。丘の上の人々は、かつて旧市街があった穴から、少しずつ遠ざかるその姿を眺め、誰も言葉を発することができなかった。(本文より) 聖地が動いた。1匹の犬とともに。そして人間たちと「土」との長い長い物語が始まる……。癒しに満ちた大人のための寓話。 ●浅暮三文(あさぐれ・みつふみ) 小説家。第8回日本ファンタジーノベル大賞最終候補を経て、1998年第8回メフィスト賞『ダブ(エ)ストン街道』でデビュウ。2003年第56回日本推理作家協会賞を『石の中の蜘蛛』で受賞。他作品に『実験小説ぬ』『ぽんこつ喜劇』、エッセイ『おつまミステリー』など多数。著作はイタリア、韓国で翻訳され、中学校教科書に採用された。日本文芸家協会、日本推理作家協会会員。 -
広告放浪記
1981年、大阪。弱小広告代理店の新人営業社員アサグレは、今日もサボって喫茶店。大学を卒業し、一人前の大人のつもりでいたが古い慣習を残す大阪の広告屋の世界で、その自尊心は木っ端みじんにうち砕かれた。かっこわるくてせつなくて、夢や希望に溢れない、自伝的サラリーマン物語。 ●浅暮三文(あさぐれ・みつふみ) 小説家。第8回日本ファンタジーノベル大賞最終候補を経て、1998年第8回メフィスト賞『ダブ(エ)ストン街道』でデビュウ。2003年第56回日本推理作家協会賞を『石の中の蜘蛛』で受賞。他作品に『実験小説ぬ』『ぽんこつ喜劇』、エッセイ『おつまミステリー』など多数。著作はイタリア、韓国で翻訳され、中学校教科書に採用された。日本文芸家協会、日本推理作家協会会員。 -
異人類白書
置いていたはずのものが見つからないのも、電話が混線して遠い声が聞こえるのも、塗りたてのペンキに手形がついているのも……すべては「異人類」のせいだった! とぼけた博士とお茶目な助手が、まだ見ぬ異人類を求めて奔走する。連作ユーモア短篇小説集。 ●浅暮三文(あさぐれ・みつふみ) 小説家。第8回日本ファンタジーノベル大賞最終候補を経て、1998年第8回メフィスト賞『ダブ(エ)ストン街道』でデビュウ。2003年第56回日本推理作家協会賞を『石の中の蜘蛛』で受賞。他作品に『実験小説ぬ』『ぽんこつ喜劇』、エッセイ『おつまミステリー』など多数。著作はイタリア、韓国で翻訳され、中学校教科書に採用された。日本文芸家協会、日本推理作家協会会員。 -
12の星の物語
子供たちは広場に集まっていつも星間ロケットをつくっている。その最新式のロケットが今日、完成したらしい。「乗る順番を決めようとしただけじゃないか」アルマジロの次郎吉は口先をとがらせている。その言葉にアキラはいっそう腹を立てて、空中でハサミをかちかちと鳴らした。「決め方が問題なんだよ」「だから、じゃんけんで……」「こいつう!」争いの原因がだいたいわかった。つまりアキラは蟹だからハサミしか出せない。じゃんけんなんかしたら負けるに決まっている。(「蟹座じゃんけん」より) 十二種の星座をテーマにした摩訶不思議なストーリー。短篇小説集。 第一話 山羊座通信 第二話 水瓶座日記 第三話 魚座システム 第四話 牡羊座新聞 第五話 牡牛座特急 第六話 双子座ファンクラブ 第七話 蟹座じゃんけん 第八話 獅子座レース 第九話 乙女座伝言板 第十話 天秤座からくり 第十一話 蠍座カレンダー 第十二話 射手座大戦争 ●薄井ゆうじ(うすい・ゆうじ) 1949年茨城県生まれ。イラストレーター、デザイン編集会社経営を経て作家へ。1988年『残像少年』で第51回小説現代新人賞を受賞。1991年に初の長篇『天使猫のいる部屋』を発表。1994年『樹の上の草魚』で第15回吉川栄治文学新人賞を受賞。映画化・舞台化・ドラマ化された作品も多い。 -
十二支の童話
検札係は、兎だった。彼は長い耳を車掌用の帽子から二本突き出して、乗客たちの切符を丁寧に検札して回っている。「乗車券を……」私のところへやって来て、兎は深々と頭を下げた。(「〈卯〉兎エキスプレス」より) 干支に選ばれた十二種の動物をテーマにした摩訶不思議なストーリー。短篇小説集。 〈子〉鼠たちの時間 〈丑〉木登り牛 〈寅〉竹林の虎 〈卯〉兎エキスプレス 〈辰〉トルネードお龍 〈巳〉ヘンビニの三人 〈午〉馬の失踪 〈未〉羊たちの午睡 〈申〉猿の学生 〈酉〉音速ニワトリ 〈戌〉正式犬の優雅な生活 〈亥〉最後のレース ●薄井ゆうじ(うすい・ゆうじ) 1949年茨城県生まれ。イラストレーター、デザイン編集会社経営を経て作家へ。1988年『残像少年』で第51回小説現代新人賞を受賞。1991年に初の長篇『天使猫のいる部屋』を発表。1994年『樹の上の草魚』で第15回吉川栄治文学新人賞を受賞。映画化・舞台化・ドラマ化された作品も多い。 -
爺爺ライダー
放火され閉鎖した老人ホーム。そこを飛び出した怒れる老人たちのマシンが街道を走っていく。エンジン付き車椅子、ユンボ、トラクター、バイク、マイクロバスとブルドーザー。老人たちの心は、火より熱く燃えている。老人たちは安全など眼中にない。危険だから生きられる。無謀だから希望がある。ここにいる老人たちは、行儀正しく生きてきたあげく、あえて不良の道を選んだのだ。だが、先導する皆川光一朗は気づいていた。何かがおかしい。なんだかみんなの影が薄いように感じる……。 ●薄井ゆうじ(うすい・ゆうじ) 1949年茨城県生まれ。イラストレーター、デザイン編集会社経営を経て作家へ。1988年『残像少年』で第51回小説現代新人賞を受賞。1991年に初の長篇『天使猫のいる部屋』を発表。1994年『樹の上の草魚』で第15回吉川栄治文学新人賞を受賞。映画化・舞台化・ドラマ化された作品も多い。 -
水の年輪
彼はいきなり小さなカメラを出した。そしてトラックの助手席にいた少女に声をかけて道路に降ろすと、二人ならんで、僕にシャッターを切れと言った。そのあと少女と僕、彼と僕との写真も撮った。「嵐のなかで日本人と出会うなんて、滅多にないからな。もし俺たちが竜巻に巻き上げられたら、このフィルムを誰かが現像して、最後の写真だとCNNが放送するかもしれない、すごいな、どうだ」怯えているのか楽しんでいるのかわからない。(「チャタヌーガ・チューチューの樽」より) 世界各地を気ままに旅する小説家ジュンジが見た風景、出会った人々、交わした想い……。ハートフルな連作短篇集。 *カイザースラウテルンの眼 *ジャルダンピュブリックの魚 *イエローナイフの雲 *チャタヌーガ・チューチューの樽 *グレート・バリア・リーフの壜 *デンパサールの鶏 *オルガン・パイプ・カクタスの虫 *サン・セバスティアンの霧 *ヘッド・ハンティング・ファミリーの森 *ウェディング・ケーキ・マウンテンの怪 *クライマーズ・シェアの雫 ●薄井ゆうじ(うすい・ゆうじ) 1949年茨城県生まれ。イラストレーター、デザイン編集会社経営を経て作家へ。1988年『残像少年』で第51回小説現代新人賞を受賞。1991年に初の長篇『天使猫のいる部屋』を発表。1994年『樹の上の草魚』で第15回吉川栄治文学新人賞を受賞。映画化・舞台化・ドラマ化された作品も多い。 -
ドードー鳥の飼育
ついに僕は、ドードー鳥の飼育係に選ばれるという幸運に恵まれた。ドードー鳥は十七世紀に乱獲のため絶滅している。絶滅した鳥を飼育するのは名誉でもあるけれど、とても難しいことらしい。僕は二十四時間態勢で動物園に泊まり込み、がらんとしているドードー舎の監視を始めた。だが鳥が見えなければ、ただの空き地の管理者みたいじゃないか。いつかは見えるようになる、同僚のナオミが言った言葉を信じる以外になかった……。 摩訶不思議で不条理でハートフルな9つの物語を収録した短篇小説集。 *ドードー鳥の飼育 *東京フラミンゴ *箱女システム *A級ハムサンド *穴 *ぽ・先生 *無人駅長 *時間喰い(タイムイーター) *眠れない街 ●薄井ゆうじ(うすい・ゆうじ) 1949年茨城県生まれ。イラストレーター、デザイン編集会社経営を経て作家へ。1988年『残像少年』で第51回小説現代新人賞を受賞。1991年に初の長篇『天使猫のいる部屋』を発表。1994年『樹の上の草魚』で第15回吉川栄治文学新人賞を受賞。映画化・舞台化・ドラマ化された作品も多い。 -
寒がりな虹
僕は異母兄妹である京子と同居している。性的な関係はないが愛し合っているから、同時に妻だとも言える。その彼女が突然、家出をした。冷蔵庫の中に「さよなら」という手紙を残して。出ていった理由もわからず困惑した僕は、京子を追う手がかりを得るため、十六年も会っていない父親を捜すことにした……。 次々に明らかになる二人の出生の秘密。社会規範から外れた兄と妹の恋愛は果たして成就するのか。 ●薄井ゆうじ(うすい・ゆうじ) 1949年茨城県生まれ。イラストレーター、デザイン編集会社経営を経て作家へ。1988年『残像少年』で第51回小説現代新人賞を受賞。1991年に初の長篇『天使猫のいる部屋』を発表。1994年『樹の上の草魚』で第15回吉川栄治文学新人賞を受賞。映画化・舞台化・ドラマ化された作品も多い。 -
神々のパラドックス
僕はいままで、科学は絶対だと思っていたんです。一足す一は二であり、水は水素と酸素でできている。そういうことは絶対に動かしがたい事実で疑う余地のないものだと思っていました。そういう確たる世界が心地よかったんです。でもいま、それらを一つずつ疑ってかかることからはじめようかと思っています。(「神々のパラドックス」より) 科学に携わる人々の信じる神話とは。ハートフルな物語7本を収録した短篇小説集。 *深い森から来た手紙 *水色の羽衣 *星の棲む沼 *月へ行く道 *錆びついた昆虫 *氷のなかの竜宮 *神々のパラドックス ●薄井ゆうじ(うすい・ゆうじ) 1949年茨城県生まれ。イラストレーター、デザイン編集会社経営を経て作家へ。1988年『残像少年』で第51回小説現代新人賞を受賞。1991年に初の長篇『天使猫のいる部屋』を発表。1994年『樹の上の草魚』で第15回吉川栄治文学新人賞を受賞。映画化・舞台化・ドラマ化された作品も多い。 -
北陸幻夢譚 異界の恋人たち
あそこへ行けば、彼女に会える。ふと、そんな気がして私はその火のほうへ歩み寄るように、一歩海へ近づいた。足元を波が洗っている。かまわずに、そのままゆっくりと海のなかへ入って行った。黒の革靴が塩水に浸っていく。海上の火は暖かく、さらに大きくなり、私を誘惑するように、ちらちらと燃えている。そのとき私は、この恋路海岸にまつわる伝説を思いだした。それは、悲恋の物語だった。(「遠い火」より) 富山・石川・福井、北陸地方の民話・伝承をベースにして新しく生まれ変わった現代民話、三十篇を収録。 ●薄井ゆうじ(うすい・ゆうじ) 1949年茨城県生まれ。イラストレーター、デザイン編集会社経営を経て作家へ。1988年『残像少年』で第51回小説現代新人賞を受賞。1991年に初の長篇『天使猫のいる部屋』を発表。1994年『樹の上の草魚』で第15回吉川栄治文学新人賞を受賞。映画化・舞台化・ドラマ化された作品も多い。 -
緋の墓標(5) 黄金鷲(ロマノフ)の残照
皇女アナスタシアの生き血を求めるのは、死んだはずの妖憎だった 一九一九年六月。ロシア革命の真っただ中、一機の偵察複葉機がウラルの北方めざして飛び立った。任務はニコライ二世皇帝一家の消息とその救出。惨殺されたはずの皇帝とその家族は、本当に生きているのか。だが救出隊を待ち受けていたのは、妖憎ラスプーチンの操る死骸人軍団だった。ロシアの凍土が生み出した伝説の吸血鬼の助けを得て、決死の攻撃の幕が切って落とされた。 新感覚の吸血鬼ハードボイルドアクション、「緋の墓標」シリーズ第5弾。●田中文雄(たなか・ふみお)1941年東京生まれ。早稲田大学卒業後、東宝入社。70年代を中心にプロデューサーとして映画製作に携わる。1974年に『夏の旅人』で早川書房SF三大コンテスト佳作入選。1975年に『さすらい』で幻影城新人賞佳作入選。1986年東宝を退社して作家専業となり、ミステリー、ホラー、SFバイオレンスなどに健筆をふるう。草薙圭一郎名義では時代小説、架空戦記も発表している。 -
緋の墓標(4) ダーク・シャングリラ
巨大な氷盤に載って北極海に浮かぶ観測基地……そこで起きた不可解な事故とは 北極海の観測基地では氷海調査に出て行方不明となった三村孝の捜索にあたるが、シベリア少数民族ネネツ人の遺体があがる。彼は三十五年前、ノバヤゼムリャ島の水爆実験後に行方不明となったネネツ人画家・タキ・マカオその人であったのだ。そしてタキは今、血を吸う恐るべき魔物として、長い眠りから覚めようとしていた。 新感覚の吸血鬼ハードボイルドアクション、「緋の墓標」シリーズ第4弾。●田中文雄(たなか・ふみお)1941年東京生まれ。早稲田大学卒業後、東宝入社。70年代を中心にプロデューサーとして映画製作に携わる。1974年に『夏の旅人』で早川書房SF三大コンテスト佳作入選。1975年に『さすらい』で幻影城新人賞佳作入選。1986年東宝を退社して作家専業となり、ミステリー、ホラー、SFバイオレンスなどに健筆をふるう。草薙圭一郎名義では時代小説、架空戦記も発表している。 -
緋の墓標(3) 美しきローズマリー
音楽の都ウイーンに舞う、心優しき吸血鬼(ウブリル)たち 音楽の都ウイーン。市立コンセルヴァトリウムの留学生・関根弓子は、ある晩、赤池と名乗る初老の紳士の訪問を受けた。「旅先で倒れた友人のために、ぜひヴァイオリンを弾いてやって欲しい」懇われるままにホテルへ赴いた弓子は、そこでハンスという名の青年と出会う。しかし彼こそは、十八年前に失踪した天才的ヴァイオリニスト、ハンス・マイリンクその人であったのだ。 新感覚の吸血鬼ハードボイルドアクション、「緋の墓標」シリーズ第3弾。●田中文雄(たなか・ふみお)1941年東京生まれ。早稲田大学卒業後、東宝入社。70年代を中心にプロデューサーとして映画製作に携わる。1974年に『夏の旅人』で早川書房SF三大コンテスト佳作入選。1975年に『さすらい』で幻影城新人賞佳作入選。1986年東宝を退社して作家専業となり、ミステリー、ホラー、SFバイオレンスなどに健筆をふるう。草薙圭一郎名義では時代小説、架空戦記も発表している。 -
緋の墓標(2) ハードボイルド・バンパイア
仲間を裏切った吸血鬼……そういう掟破りは彼らの社会では許されない 不帰伸介(ふきしんすけ)が目覚めた時、妻の麗子は隣のベッドで死んでいた。木の杭に胸を貫かれ、灰と化したのだ。犯人は自分たちを斃す方法を……自分たちの正体を確実に知っていたのだ。愛する者を失った不帰は“組織”には連絡せず、復讐に立った。そして、限られた一晩の闇に賭けた。 新感覚の吸血鬼ハードボイルドアクション、「緋の墓標」シリーズ第2弾。●田中文雄(たなか・ふみお)1941年東京生まれ。早稲田大学卒業後、東宝入社。70年代を中心にプロデューサーとして映画製作に携わる。1974年に『夏の旅人』で早川書房SF三大コンテスト佳作入選。1975年に『さすらい』で幻影城新人賞佳作入選。1986年東宝を退社して作家専業となり、ミステリー、ホラー、SFバイオレンスなどに健筆をふるう。草薙圭一郎名義では時代小説、架空戦記も発表している。 -
緋の墓標(1)
朝日を浴びてより人間に近くあろうとする哀しきバンパイアの運命 男は吸血鬼であった。だが男は、吸血鬼であるよりも“人間”に近い存在でありたいと願い、ガソリンスタンドの夜勤を終えると、少しずつ朝日を浴びるのを日課としていた。男の名は執行克彦(しぎょうかつひこ)といった。だがある夜の強盗事件が、男の運命を変えてしまう。そして、吸血鬼たちが闇の町・星宮市に展開する。 新感覚の吸血鬼ハードボイルドアクション、「緋の墓標」シリーズ第1弾。●田中文雄(たなか・ふみお)1941年東京生まれ。早稲田大学卒業後、東宝入社。70年代を中心にプロデューサーとして映画製作に携わる。1974年に『夏の旅人』で早川書房SF三大コンテスト佳作入選。1975年に『さすらい』で幻影城新人賞佳作入選。1986年東宝を退社して作家専業となり、ミステリー、ホラー、SFバイオレンスなどに健筆をふるう。草薙圭一郎名義では時代小説、架空戦記も発表している。 -
「日本の警察」昭和編
東京は壊れつつある。見慣れぬ街に変わりつつある――。 1945年。B29による空襲の翌朝、防空壕の中で女性の遺体が発見される。首には刃物による切り傷が。無数の遺体と目の前のたったひとつの遺体。 これは戦争ではない。個人に対する犯罪だ――。 捜査を進める京橋署刑事の高峰は署長から思わぬ言葉を聞かされる。「あれは、空襲の被害者だ」。殺人事件のもみ消し――そしてまた殺人が起きる。 高峰は、中学からの同級生で特高に籍をを置く海老沢とともに、終戦をまたいで「戦時下の殺人」の犯人を追い詰めていく。 警察小説の旗手が満を持して描く、壮大な警察大河シリーズ、ここに開幕。 -
海馬の助走
盆用品を買ってくれそうな親戚は少ない上に、父親の件を尋ねられたら上手く答える自信がない。父親がいなくなってから十日が過ぎたが、具体的にいつ帰るとは言えず、ましてや磯十の家内との事を既に耳にしているかも知れないのだ。毎日、自転車を貸してくれる茂平伯父も、その妻のサダ伯母も、綜一が「貸してけらいん」と声を掛けると、以前のように「おー、綜一、アイスば仕入れたら、二、三本、置いで行げや」などとからかう事もなくなり、無言で頷くだけになった。(「海馬の助走」より) 漁港で逞しく生きる青年の成長を描いた2篇を収録。表題作は第24回野間文芸新人賞を受賞、「掌の小石」は第121回芥川龍之介賞の候補作に選ばれた。 *海馬の助走 *掌の小石 ●若合春侑(わかい・すう) 宮城県塩竈市生まれ。東北学院大学経済学部経済学科を卒業。1998年、「腦病院へまゐります。」で第86回文學界新人賞を受賞する。同年、同作が第119回芥川龍之介賞の候補作に選ばれる。同年、「カタカナ三十九字の遺書」が第120回芥川龍之介賞の候補作に選ばれる。1999年、「掌の小石」が第121回芥川龍之介賞の候補作に選ばれる。同年、『腦病院へまゐります。』が第21回野間文芸新人賞の候補作に選ばれる。2002年、『海馬の助走』で第24回野間文芸新人賞を受賞する。2005年、國學院大學文学部神道学科を卒業。 -
腦病院へまゐります。
「おまへさま、まうやめませう、私達。私は、南品川のゼエムス坂病院へまゐります。苦しいのは、まう澤山だ。」御免ね、堪忍して頂戴ね。出会った最初が悪いのだから、もう出会いはなかった事にしておこうと決めて何度も堅く決めたのに、どうしてこうして今でも縁が続いているのか、苦しいばかりの縁なのに、なんで切れてしまわなかったのか……。 愛する男から虐げられつづける女にとって、魂の救済とは何だったのか。第86回文學界新人賞を受賞し、第119回芥川龍之介賞最終候補に選ばれた表題作と、第120回芥川龍之介賞最終候補となった「カタカナ三十九字の遺書」の中篇2作品を収録。 *腦病院へまゐります。 *カタカナ三十九字の遺書 ●若合春侑(わかい・すう) 宮城県塩竈市生まれ。東北学院大学経済学部経済学科を卒業。1998年、「腦病院へまゐります。」で第86回文學界新人賞を受賞する。同年、同作が第119回芥川龍之介賞の候補作に選ばれる。同年、「カタカナ三十九字の遺書」が第120回芥川龍之介賞の候補作に選ばれる。1999年、「掌の小石」が第121回芥川龍之介賞の候補作に選ばれる。同年、『腦病院へまゐります。』が第21回野間文芸新人賞の候補作に選ばれる。2002年、『海馬の助走』で第24回野間文芸新人賞を受賞する。2005年、國學院大學文学部神道学科を卒業。 -
水曜の朝、午前3時
玉置が飲んでいた酒だ。彼はここで誰を相手にこの酒を飲んだのだろうか。玉置に対して抱いていた疑念が、今はもう固まりつつあった。ぼくが持っている写真を見せてしまえば、一挙に解決するだろう。玉置はこの女性と一緒だったのでしょう。そう訊けば済むことだ。それをバーテンダーに尋ねるのはまだ早い。ぼくは迷っていたし、心の備えも充分ではなかった。(「恋に墜ちたら」より) 恋愛小説、音楽カルチャーをテーマにした小説など、多彩な筆致で綴られた短篇小説集。電子オリジナル作品。 *ブルースカイ *恋に墜ちたら *水曜の朝、午前3時 *テイク・イット・イージー *コンパス *センチメンタル・バーボン ●斎藤純(さいとう・じゅん) 小説家。1957年、盛岡市生まれ。FM岩手在職中の1988年『テニス、そして殺人者のタンゴ』でデビュー。1994年『ル・ジタン』で第47回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。2005年『銀輪の覇者』(早川ミステリ文庫)が「このミステリーがすごい!」のベスト5に選出される。岩手町立石神の丘美術館芸術監督、岩手県立図書館運営協議委員などをつとめている。 -
イーストリバーを渡った女
店の名はライオンといい、表通りに面した雑居ビルを裏にまわりこんだ一階奥にある。陽があたらず、人通りもない。ジャズ喫茶以外には借り手のない場所だ。ライオンという店名の由来は、百獣の王のそれではなく、ブルーノート・レーベルの創始者だったアルフレッド・ライオンからきている。二十年も前から営業しているこの店のオーナーが先年亡くなったとき、私は勤めを辞め、この店の権利を買った。(「ベース・オン・ザ・ヒル」より) ジャズ通が集う老舗店「ライオン」で心を交わす人々、人間模様を描いた短篇小説集。電子オリジナル作品。 *ベース・オン・ザ・ヒル *甘いサキソフォン *イーストリバーを渡った女 *五つのコイン *カウンターの客 *帰ってきた男 ●斎藤純(さいとう・じゅん) 小説家。1957年、盛岡市生まれ。FM岩手在職中の1988年『テニス、そして殺人者のタンゴ』でデビュー。1994年『ル・ジタン』で第47回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。2005年『銀輪の覇者』(早川ミステリ文庫)が「このミステリーがすごい!」のベスト5に選出される。岩手町立石神の丘美術館芸術監督、岩手県立図書館運営協議委員などをつとめている。 -
ブルースの聞こえる夜
その場から離れかけたとき、ドライバーの体がグラッと揺らいだ。征司は素早く運転席側に駆けよった。間に合わなかった。ドライバーは肩からドサリと路面に落ちた。同時に金属音が響いた。征司はドライバーといっしょに転がり落ちたものを見て、立ちすくんだ。拳銃だった。スマートな形のオートマチックだ。水銀灯を反射して、ブルーフィニッシュの鉄の肌がぬめっと輝いている。(「ブルースの聞こえる夜」より) オートバイを軸に、ハードボイルドな作風の物語を集めた短篇小説集。電子オリジナル作品。 *ブルースの聞こえる夜 *甘い引金 *ミッドナイト・ライダー *傷ついた魂 *鏡と塩とオートバイと *あの日の海 ●斎藤純(さいとう・じゅん) 小説家。1957年、盛岡市生まれ。FM岩手在職中の1988年『テニス、そして殺人者のタンゴ』でデビュー。1994年『ル・ジタン』で第47回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。2005年『銀輪の覇者』(早川ミステリ文庫)が「このミステリーがすごい!」のベスト5に選出される。岩手町立石神の丘美術館芸術監督、岩手県立図書館運営協議委員などをつとめている。 -
名前のないお面
とある夏の夜のこと。歳の離れた兄妹は二人で縁日を巡る。小さな妹は縁日にいるというお化けを探していた。そして、とうとう本物のお化けと出逢ってしまい……心に傷を負う優しき兄と純粋な妹を救うは、今は亡き祖父との絆。 〈NovelJam2021Online参加作品〉 -
駄菓子屋
しかしそれは明らかに、インテリアのために配置されたようなそんな気配であった。どうです、ますますいいでしょう。レトロ調でこの駄菓子はオシャレでしょう。そうあの鉢植えをぼんやりと眺めているマスターがさも言いたげなように、駄菓子は店先でわずか数品ばかりが、店主の、そして大人たちの、懐古願望を満たすためのもののように、客受けを狙う見世物として晒されていた。(「駄菓子屋」より) 文芸誌に掲載された作品、デビュー前に同人誌へ寄稿した作品、さらには完全書き下ろしの新作「銀閣寺」まで。単行本未収録の短篇小説を集めた電子オリジナル作品集。 *駄菓子屋 *木曜日の最後の授業 *新しき自分 *人形の家 *失っていく男 *闇より深い夜の河 *子供たちの夏 *空、見上げる者たちへ *竹野にて *銀閣寺 ●竹野雅人(たけの・まさと) 1966年生まれ。東京都出身。法政大学経営学部卒業。大学在学中の1986年に「正方形の食卓」で第5回海燕新人文学賞を受賞してデビュー。1994年、『私の自叙伝前篇』で第16回野間文芸新人賞受賞。 -
バタアシ行進曲
棟という棟の中に、人々がうごめいているはずであるのに、団地の夜は恐ろしいほど、静寂に満ち溢れていた。上下左右を全く同じように、人々が生活をしている〈家〉が並んでいる。そして〈家〉の一つ一つは他人の生活のための〈家〉に囲まれ、人々はその自分の箱の中でひっそりと息をひそめて、生活しているのだろう。(「バタアシ行進曲」より) 活気を失った巨大団地群で暮らす人々の変異を描いた表題作と「似てない生活」、中篇2本を収録した電子オリジナル作品集。 *バタアシ行進曲 *似てない生活 ●竹野雅人(たけの・まさと) 1966年生まれ。東京都出身。法政大学経営学部卒業。大学在学中の1986年に「正方形の食卓」で第5回海燕新人文学賞を受賞してデビュー。1994年、『私の自叙伝前篇』で第16回野間文芸新人賞受賞。 -
血の轍
彼はちょっと頭を下げて自転車に乗った。帰りは下り坂なのでペダルは軽かったが、どこか気が重かった。昔から人と集まって何かをするのが嫌いで、学生の頃もサークルだのボランティアだのとは距離を置いていた。自分と同じような境遇のもの同士が集うというのも哀れそうでいい気持ちがしなかった。(本文より) 交通事故で妻子を亡くした男が、カウンセラーの導きで多くの家族の事情を覗き見る。単行本未収録となっていた中篇小説。巻末に電子版あとがきを収録。電子オリジナル作品。 ●村上政彦(むらかみ・まさひこ) 作家。1987年『純愛』で福武書店(現・ベネッセ)主催の「海燕」新人文学賞を受賞。以後『ドライヴしない?』『ナイスボール』『青空』『量子のベルカント』『分界線』で5回の芥川賞候補に。また『ナイスボール』は相米慎二監督により『あ、春』として映画化、ベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞。アジアの物語作家を自任している。近著に『台湾聖母』(コールサック社)。日本文藝家協会常務理事。日本ペンクラブ会員。文化庁国語分科会委員。「脱原発社会をめざす文学者の会」事務局長。 -
蜜蜂の軍隊
元新聞記者の大沢保は『ディープ』というフリーペーパーを発行していた。それは街の目立つ場所に張り出される壁新聞で、大手マスコミとは性格の違うメディアだと自負していた。ある日、コンビニで売られていたサンドイッチに一本の縫針が刺し込まれていた、という事件を記事にする。初めは何の反応もなかったが、一般紙の地方版が似たような事件を報じ、やがてTVやネットでも話題になり、次々と模倣犯が現れる。そして『ディープ』に実行犯からの犯行声明が届くようになったあたりから、騒ぎは保がコントロールできないほど大きなものに膨れ上がっていく……。 情報に煽られる大衆、集団心理の暴走を描く。単行本未収録となっていた中篇小説。巻末に電子版あとがきを収録。電子オリジナル作品。 ●村上政彦(むらかみ・まさひこ) 作家。1987年『純愛』で福武書店(現・ベネッセ)主催の「海燕」新人文学賞を受賞。以後『ドライヴしない?』『ナイスボール』『青空』『量子のベルカント』『分界線』で5回の芥川賞候補に。また『ナイスボール』は相米慎二監督により『あ、春』として映画化、ベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞。アジアの物語作家を自任している。近著に『台湾聖母』(コールサック社)。日本文藝家協会常務理事。日本ペンクラブ会員。文化庁国語分科会委員。「脱原発社会をめざす文学者の会」事務局長。 -
ニュースキャスターはこのように語った
取引先の担当者の趣味に合わせて接待をするのはカイシャインの重要な職務の一つです。優秀なカイシャインである須賀室長は、ゴルフを覚えたときのようにコオロギ合わせを覚えて、カイシャが社宅として借りているマンションの一隅で、大きな顎と強い脚を持ったコオロギ合わせの勇士――山東省のコオロギの飼育をするようになりました。(「彼とコオロギの年代記」より) 私自身のリアリティとは何か、世界と自己との関わりとは何か。カイシャインの、シュフの、ガクセイの、イイコたちの、皮。その皮に優雅な爪を立て、ひん剥いた、痛みと快楽の作品集。 *千億の夜 千億の朝 *アイ・アム・ア・グッド・フィッシュ *僕の顔が地球になる *イン・ザ・ネット *黄金地帯戦場ツアー *世界は愛に満ちている *高度資本主義のためのポルカ *彼とコオロギの年代記 *好きにならずにはいられない *彼女についての二、三の事柄 *日本人の皮を剥ぐ *永久ジオラマの夢 ●村上政彦(むらかみ・まさひこ) 作家。1987年『純愛』で福武書店(現・ベネッセ)主催の「海燕」新人文学賞を受賞。以後『ドライヴしない?』『ナイスボール』『青空』『量子のベルカント』『分界線』で5回の芥川賞候補に。また『ナイスボール』は相米慎二監督により『あ、春』として映画化、ベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞。アジアの物語作家を自任している。近著に『台湾聖母』(コールサック社)。日本文藝家協会常務理事。日本ペンクラブ会員。文化庁国語分科会委員。「脱原発社会をめざす文学者の会」事務局長。 -
ZOO(ズー)
信じられなかった。生まれてはじめて目撃する、親の夫婦喧嘩のライブだった。祖父が生きていたとき、ふたりは言い争いさえぼくと小夜子のいるところではしなかった。そのときのぼくの心理は、どうなっちゃったんだろうという重い不安と、うちの親も夫婦喧嘩するんだというわくわくする発見の驚きがいりまじった複雑なものだった。(本文より) 祖父の死をきっかけに家族の不協和音が高まっていき、主人公は「動物園のライオンがしゃべる」のを聞く。頭が変になったのではないかと深刻に悩むが……。長篇青春小説。 ●村上政彦(むらかみ・まさひこ) 作家。1987年『純愛』で福武書店(現・ベネッセ)主催の「海燕」新人文学賞を受賞。以後『ドライヴしない?』『ナイスボール』『青空』『量子のベルカント』『分界線』で5回の芥川賞候補に。また『ナイスボール』は相米慎二監督により『あ、春』として映画化、ベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞。アジアの物語作家を自任している。近著に『台湾聖母』(コールサック社)。日本文藝家協会常務理事。日本ペンクラブ会員。文化庁国語分科会委員。「脱原発社会をめざす文学者の会」事務局長。 -
ドライヴしない?
この経験は、やがて涼子をじわじわ戦慄させた。彼女は自分が友達としての優香を好きなのは認めたが、予備校生の出現がもたらしたパニックは、その、「友達としての」に誤解があることを暗示していた。涼子は優香との関係を回顧してみた。そして自分の中で、「優香のようになりたい」が、いつの間にか、「優香といっしょにいたい」になり、やがて、「優香を誰にも渡したくない」に変わっていたことを知った。(本文より) 1990年下半期・芥川賞候補作となった表題作と、第6回海燕新人文学賞受賞作「純愛」を収録した作品集。 *ドライヴしない? *純愛 ●村上政彦(むらかみ・まさひこ) 作家。1987年『純愛』で福武書店(現・ベネッセ)主催の「海燕」新人文学賞を受賞。以後『ドライヴしない?』『ナイスボール』『青空』『量子のベルカント』『分界線』で5回の芥川賞候補に。また『ナイスボール』は相米慎二監督により『あ、春』として映画化、ベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞。アジアの物語作家を自任している。近著に『台湾聖母』(コールサック社)。日本文藝家協会常務理事。日本ペンクラブ会員。文化庁国語分科会委員。「脱原発社会をめざす文学者の会」事務局長。 -
辛口のカクテルを
ぼくが言ったことのほとんどは、酒の肴に小説や詩を読むという文学少女、亜矢子の受け売りだ。「ふうん」彼女は頷き、それから言った。「意味のあることは、もう書き尽くされてしまったんでしょうね。今の作家はたいへんだわ」そうか。なんてこった。これが答えかもしれない。答えは風に舞っていると言ったのは誰だ。もしそうならば彼女は風だ。(「水曜日の詩人たち」より) 著者の原点ともいうべき青春ハードボイルド短篇小説集。 *見えない標的 *辛口のカクテルを *水曜日の詩人たち *詩人たちの喧噪 *乾杯を小さな声で *月時計の夜 ●斎藤純(さいとう・じゅん) 小説家。1957年、盛岡市生まれ。FM岩手在職中の1988年『テニス、そして殺人者のタンゴ』でデビュー。1994年『ル・ジタン』で第47回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。2005年『銀輪の覇者』(早川ミステリ文庫)が「このミステリーがすごい!」のベスト5に選出される。岩手町立石神の丘美術館芸術監督、岩手県立図書館運営協議委員などをつとめている。 -
青空
眼の前には雄大な青空があった。自分だけがぽつんとそこにいる……。だが、生きていくことは、とてもしんどい、けれど刺激的なエンターテインメントだ、と思いたい。家族の崩壊を前提にドラスティックに生きる高校生を描いて1991年下半期の芥川賞候補となった表題作と、孤児として育ちながら“家族”を演じる劇団員の青年を描いた「サクラダ一族(ファミリア)」の中篇2本を収録。 *青空 *サクラダ一族(ファミリア) ●村上政彦(むらかみ・まさひこ) 作家。1987年『純愛』で福武書店(現・ベネッセ)主催の「海燕」新人文学賞を受賞。以後『ドライヴしない?』『ナイスボール』『青空』『量子のベルカント』『分界線』で5回の芥川賞候補に。また『ナイスボール』は相米慎二監督により『あ、春』として映画化、ベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞。アジアの物語作家を自任している。近著に『台湾聖母』(コールサック社)。日本文藝家協会常務理事。日本ペンクラブ会員。文化庁国語分科会委員。「脱原発社会をめざす文学者の会」事務局長。 -
魔王
私は過去に出現したすべての偉大な聖者の根源である、と彼は言った。私は時を待っていた。そしてようやく機が熟した。私はみずからの本体を顕して人類を救済する。こうして世界大治療教は創立された。遂に教祖は世に出たのだ。(本文より) 「宗教」という怪物を、食べてみせよう。犬になった女と20人の父親から生まれ、みずから「世界大治療教」の教祖となって、宇宙支配の悪魔的野望に挑んだ男の、聖と汚辱の生涯とは。長篇小説。 ●村上政彦(むらかみ・まさひこ) 作家。1987年『純愛』で福武書店(現・ベネッセ)主催の「海燕」新人文学賞を受賞。以後『ドライヴしない?』『ナイスボール』『青空』『量子のベルカント』『分界線』で5回の芥川賞候補に。また『ナイスボール』は相米慎二監督により『あ、春』として映画化、ベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞。アジアの物語作家を自任している。近著に『台湾聖母』(コールサック社)。日本文藝家協会常務理事。日本ペンクラブ会員。文化庁国語分科会委員。「脱原発社会をめざす文学者の会」事務局長。 -
アラブの電話
人の評判にまつわる仕事を生業にする、日本人ではない放浪生活を送る人々というのがいったい何者なのか、夏子にはまったくぴんとこなかった。旅に同行したことを軽率だったかなとほんの少し悔やんだ。けれど彼女の中では事態をおもしろがっている気持ちも動いていた。(「アラブの電話」より) 選挙を策謀し、巨大企業を告発する“噂”。トレーラーに乗って放浪しながらその噂を流すことを仕事としている「エーテル」と呼ばれる無国籍たち。非合法のプロ集団が非公式の情報網を使って暗躍するピカレスク・ロマンの表題作と、青春小説「パラダイス」の中篇2本を収録。 *アラブの電話 *パラダイス ●村上政彦(むらかみ・まさひこ) 作家。1987年『純愛』で福武書店(現・ベネッセ)主催の「海燕」新人文学賞を受賞。以後『ドライヴしない?』『ナイスボール』『青空』『量子のベルカント』『分界線』で5回の芥川賞候補に。また『ナイスボール』は相米慎二監督により『あ、春』として映画化、ベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞。アジアの物語作家を自任している。近著に『台湾聖母』(コールサック社)。日本文藝家協会常務理事。日本ペンクラブ会員。文化庁国語分科会委員。「脱原発社会をめざす文学者の会」事務局長。 -
ナイスボール
少年時代、紘が投げたボールを追いかけたまま、父親は川に飛び込み、そのまま姿を消した。てっきり流されて死んだものと思っていたが、二十三回忌を無事済ませた紘の前に突然、その父親が現れた。いないからこそ確かな存在であった父の出現が、紘の意識と生活を揺さぶり始める……。 表題作は1991年上半期の芥川賞候補となり、1998年には『あ、春』というタイトルで映画化(監督:相米慎二、主演:佐藤浩市、山崎努、配給:松竹)された。 *ナイスボール *南へ、海へ ●村上政彦(むらかみ・まさひこ) 作家。1987年『純愛』で福武書店(現・ベネッセ)主催の「海燕」新人文学賞を受賞。以後『ドライヴしない?』『ナイスボール』『青空』『量子のベルカント』『分界線』で5回の芥川賞候補に。また『ナイスボール』は相米慎二監督により『あ、春』として映画化、ベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞。アジアの物語作家を自任している。近著に『台湾聖母』(コールサック社)。日本文藝家協会常務理事。日本ペンクラブ会員。文化庁国語分科会委員。「脱原発社会をめざす文学者の会」事務局長。 -
王様の耳
僕も、これから一体どうすればいいのだろう。そもそも自分のお話なんて、これっぽっちだって存在していなかったのではないか、とそれさえ疑問に思えてくる。この白紙の解答用紙を眺めていて、改めてそう思った。詰まらない凡庸なお話の双六は、「上がり」なんてものも存在していないのかも知れない。(「王様の耳」より) 無気力で就職活動に積極的になれない大学生が主人公の表題作の他、偽名を使ってしか恋愛できない若者の懊悩を描いた「大きくまわって、三回転半」を併録。中篇小説集。 *大きくまわって、三回転半 *王様の耳 ●竹野雅人(たけの・まさと) 1966年生まれ。東京都出身。法政大学経営学部卒業。大学在学中の1986年に「正方形の食卓」で第5回海燕新人文学賞を受賞してデビュー。1994年、『私の自叙伝前篇』で第16回野間文芸新人賞受賞。 -
山田さん日記
「史上初! あなたの日常を物語と化す、画期的なロールプレイングゲーム。ゲームの終わりがないネバーエンディングのストーリー展開ゲームついに登場!!」そんな不思議な宣伝文が踊るテレビゲーム『山田さん日記』を衝動買いした。たいして期待もせずに遊び始めた“ぼく”だったが、やがて現実とゲームの境界が曖昧になり、現実と虚構が混線して……。 第5回海燕新人文学賞「正方形の食卓」を併録した中篇小説集。 *山田さん日記 *純愛映画 *正方形の食卓 ●竹野雅人(たけの・まさと) 1966年生まれ。東京都出身。法政大学経営学部卒業。大学在学中の1986年に「正方形の食卓」で第5回海燕新人文学賞を受賞してデビュー。1994年、『私の自叙伝前篇』で第16回野間文芸新人賞受賞。 -
雪うさぎ
茶道家元羽生流の跡取り息子・羽生雪彦は類まれなる美少年だった。彼はすでに大学受験の時、家庭教師と妖しい世界に耽溺するほどの少年ではあったが、感情的な執着を知らぬ孤独な魂の持ち主でもあった。だが、夏の終わりの避暑地でのこと、少年・青矢(セイジ)との宿命的な邂逅から、彼をめぐる人々の歯車が微妙なきしみを見せ始めた……。 華やかな上流社会を舞台に、家元跡目相続の骨肉の争いに巻き込まれた雪彦の出生の秘密とは? 夏から冬を駆けぬけた少年たちのきらめく青春を抒情豊かに描写する長篇耽美小説。 ●榊原史保美(さかきばら・しほみ) 東京都出身。立教女学院を経て中央大学文学部哲学科卒。1982年『小説JUNE』創刊号の最優秀投稿作に選ばれ、「螢ケ池」でデビュー。1985年、初の単行本、『龍神沼綺譚』を上梓。以降、民俗学、宗教学の素養を生かし、形而上学的テーマを昇華させた作品『鬼神の血脈』『荊の冠』等、多数発表。美意識に貫かれた作風により、「耽美小説の草分け的存在」と称されることも多い。1995年発表の『蛇神 ジュナ』より、ペンネームを「榊原姿保美」から現在のものに改めている。趣味は、陶芸、写真、近代建築・ギャラリー巡り。 -
聖三角形(セントトライアングル)
写真は本当の姿を写し出しているのだ。普段は世間のしがらみと、自分かわいさから何とか笑顔を作っているものの、レンズを前にすると、その欺瞞は一瞬のうちにはぎとられてしまう。心の内にあふれている困惑や呪詛や悲哀や不安はもちろん、それを押し隠そうとする見栄までもがくっきりと写し出されて、フィルムの上の雪矢の顔はかすかに歪むのだ。(「聖三角形」より) 短篇4本を収録した本格耽美小説作品集。 *聖三角形(セントトライアングル) *鬼笛 *逢魔ヶ時(デジャブ) *花の階 ●榊原史保美(さかきばら・しほみ) 東京都出身。立教女学院を経て中央大学文学部哲学科卒。1982年『小説JUNE』創刊号の最優秀投稿作に選ばれ、「螢ケ池」でデビュー。1985年、初の単行本、『龍神沼綺譚』を上梓。以降、民俗学、宗教学の素養を生かし、形而上学的テーマを昇華させた作品『鬼神の血脈』『荊の冠』等、多数発表。美意識に貫かれた作風により、「耽美小説の草分け的存在」と称されることも多い。1995年発表の『蛇神 ジュナ』より、ペンネームを「榊原姿保美」から現在のものに改めている。趣味は、陶芸、写真、近代建築・ギャラリー巡り。 -
黄昏のバイヨン
言葉をなくして、ただ、みことを見上げていた珠紀の額に、静かに柔らかい髪のかかった自分の額を押し当てた後、みことは細い顎を引くようにしてゆっくりと顔を離した。戸惑いに揺れて彼を追った珠紀の眼差しを、みことは黄昏の色が映った瞳で受け止めた。(「黄昏のバイヨン」より) 中篇2本を収録した本格耽美小説作品集。 *黄昏のバイヨン *鏡戀 ●榊原史保美(さかきばら・しほみ) 東京都出身。立教女学院を経て中央大学文学部哲学科卒。1982年『小説JUNE』創刊号の最優秀投稿作に選ばれ、「螢ケ池」でデビュー。1985年、初の単行本、『龍神沼綺譚』を上梓。以降、民俗学、宗教学の素養を生かし、形而上学的テーマを昇華させた作品『鬼神の血脈』『荊の冠』等、多数発表。美意識に貫かれた作風により、「耽美小説の草分け的存在」と称されることも多い。1995年発表の『蛇神 ジュナ』より、ペンネームを「榊原姿保美」から現在のものに改めている。趣味は、陶芸、写真、近代建築・ギャラリー巡り。 -
胡蝶の夢
両親の離婚騒ぎが落ち着くまで叔父の元に預けられることになった十七歳の少年・二条貢。だが、写真家をしているというその叔父・五十嵐綾人は、松浪征志郎という実業家の屋敷に住んでいるという。芸術家のパトロンを自称する征志郎と綾人の関係を訝りながらもその屋敷で過ごすことになった貢。使用人の案内で広大な敷地内を散策していると、黒く尖った屋根を持つ時計塔が目についた。その時計塔では過去におぞましい事件が起きたというが……。 愛憎渦巻く本格耽美サスペンス。 ●榊原史保美(さかきばら・しほみ) 東京都出身。立教女学院を経て中央大学文学部哲学科卒。1982年『小説JUNE』創刊号の最優秀投稿作に選ばれ、「螢ケ池」でデビュー。1985年、初の単行本、『龍神沼綺譚』を上梓。以降、民俗学、宗教学の素養を生かし、形而上学的テーマを昇華させた作品『鬼神の血脈』『荊の冠』等、多数発表。美意識に貫かれた作風により、「耽美小説の草分け的存在」と称されることも多い。1995年発表の『蛇神 ジュナ』より、ペンネームを「榊原姿保美」から現在のものに改めている。趣味は、陶芸、写真、近代建築・ギャラリー巡り。 -
月蝕の祝祭
永遠の若さと命とを約束する“月の水”は、だが、一族以外の者にとっては、それがそのまま死を招く水となる、と叔母は晶に言ったのだ。母に言わせれば、叔母の話す事などは一から十まで絵空事ということになるのだが、母と幾つも違わないはずの叔母の若さを見ると、晶にはますますそうは思えなくなる。(「月の水盤」より) 人間の深層に隠された心理が織りなす魔性のサスペンスを描く。本格耽美小説作品集。 *月の水盤 *宿命の女 *双貌の月 *黄金残照 *蒼い薔薇 ●榊原史保美(さかきばら・しほみ) 東京都出身。立教女学院を経て中央大学文学部哲学科卒。1982年『小説JUNE』創刊号の最優秀投稿作に選ばれ、「螢ケ池」でデビュー。1985年、初の単行本、『龍神沼綺譚』を上梓。以降、民俗学、宗教学の素養を生かし、形而上学的テーマを昇華させた作品『鬼神の血脈』『荊の冠』等、多数発表。美意識に貫かれた作風により、「耽美小説の草分け的存在」と称されることも多い。1995年発表の『蛇神 ジュナ』より、ペンネームを「榊原姿保美」から現在のものに改めている。趣味は、陶芸、写真、近代建築・ギャラリー巡り。 -
月の振り子
あの月が何に見える? 僕には振り子みたいに見えるよ。絶えず動いているのに、それでいていつも同じ弧を描いている振り子に……。もともと僕らは誰でもない者なんだ。あの月光の奥に溶け込むその時まで、これからずっと、行き来し続けるのだろう……。(「月の振り子」より) 表題作の他3篇を収録した本格耽美小説作品集。 *聖母たちの囁き *夢鏡 *十三日のバレンタイン *月の振り子 ●榊原史保美(さかきばら・しほみ) 東京都出身。立教女学院を経て中央大学文学部哲学科卒。1982年『小説JUNE』創刊号の最優秀投稿作に選ばれ、「螢ケ池」でデビュー。1985年、初の単行本、『龍神沼綺譚』を上梓。以降、民俗学、宗教学の素養を生かし、形而上学的テーマを昇華させた作品『鬼神の血脈』『荊の冠』等、多数発表。美意識に貫かれた作風により、「耽美小説の草分け的存在」と称されることも多い。1995年発表の『蛇神 ジュナ』より、ペンネームを「榊原姿保美」から現在のものに改めている。趣味は、陶芸、写真、近代建築・ギャラリー巡り。 -
双貌のマリア
毎日この像の前に額づく二人の女も、片方は自らの生活を厳しく律して修道女としての人生を貫いてきたことに矜持と意地をもち、もう一人は、女手ひとつで娘を育てた人生に誇りを感じながら、雇い主の妻が亡くなったこの祭壇で、その彼と娘との結婚を母として願い続けていたのだろう。「二つの貌か……」胸の中に重い嘆息とともにつぶやいた享平の目に、その時、大理石のマリア像の上に広がるうっすらとした染みが飛び込んできた。(「双貌のマリア」より) 表題作の他2篇収録の作品集。 *真紅の貴婦人 *死んでしまった弟 *双貌のマリア ●榊原史保美(さかきばら・しほみ) 東京都出身。立教女学院を経て中央大学文学部哲学科卒。1982年『小説JUNE』創刊号の最優秀投稿作に選ばれ、「螢ケ池」でデビュー。1985年、初の単行本、『龍神沼綺譚』を上梓。以降、民俗学、宗教学の素養を生かし、形而上学的テーマを昇華させた作品『鬼神の血脈』『荊の冠』等、多数発表。美意識に貫かれた作風により、「耽美小説の草分け的存在」と称されることも多い。1995年発表の『蛇神 ジュナ』より、ペンネームを「榊原姿保美」から現在のものに改めている。趣味は、陶芸、写真、近代建築・ギャラリー巡り。
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