Posted by ブクログ
2021年02月02日
どの短編も男と男の恋愛が素地になっている。「あづなひ」という言葉がでる『花のもとにて』がよかった。見つめ返してくる一枚の絵のような、または他人の夢に忍び込んでしまったような、静かで甘美な作品群。
「ボーイズラブ」という言葉があるが、『日本書紀』の昔から、男と男の恋愛の空想に耽けることがある。しかし...続きを読むこの短編集はどれも閨房を覗き見するようなやましさはなく、神話中の神々の戯れのごとく抽象的でノーブル。さらに恋愛の始まりが黄泉の国への入口でもある物語が目立った。エロスとタナトス。