Posted by ブクログ
2017年06月14日
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『左近の桜』の続編。
濃密な香りが漂ってくるような十二の短編。
桜蔵の小学生の頃からの友人である久生(ひさお)が、長身で大柄な見た目とは裏腹に穏やかな性格なのがとても良い。彼女もいるようだけれど、弥(はるや)も久生のことを狙っているようで、この三人が今後どうなっていくのか見てみたい...続きを読む。
「最後に抱かせて、きみのからだを。鐘が鳴り終わるまえに。」
本作では『灰かぶり』がお気に入り。
桜蔵に無理矢理ドレスを着せて共に楽園を目指そうとするブロンドの髪に碧眼の美少年。桜蔵にとっては迷惑な話で、理不尽でしかないけれど…。
彼が処分されずに済んだみたいでよかったです。遠子さんはやっぱり侮れない人だなぁ。
最後の章『桜守』では、柾や桜蔵の母と関係の深い桜生(さくらお)のことについて少し触れられていて、桜蔵の祖母や柾は時々、桜蔵の姿に桜生を重ねて見ていたのかもしれないなぁ…なんて思いました。
最後の最後に思わぬ展開を見せた桜蔵と柾。
彼らのこれからの生活がどうなるのかとても気になります。
「左近」から離れて大学生となる桜蔵に穏やかな春が訪れるといいな。
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