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タオルケットをもう一度
不思議な島に閉じ込められた男の子・もーちゃすと、コンチェル、ラザニア、ぱりぱりうめの3人の女の子。4人で力を合わせ、島から脱出するものの、奇妙なロボットに襲われ、再び島へ連れ戻されてしまいました。再びロボットから逃げ出した4人のうち、もーちゃすは大きな冷蔵庫へ隠れます。彼が深い眠りから目を覚ますと……そこはロボットが支配する200万年後の世界でした――。カリスマ的人気フリーゲーム『タオルケットをもう一度』を、原作:水野輝和(「タオルケットをもう一度」シリーズほか)×執筆:ひびき遊(小説『ガールズ&パンツァー』ほか)×挿画:碧風羽(漫画誌『Fellows!』表紙ほか)の最強パーティで小説化! 何億年経っても「逢いたい気持ち」は変わらない――宇宙の始まりと終わりをさ迷うもーちゃすの旅が、今、始まります。 -
泣いちゃいそうだよ《高校生編》
わたし、小川凛。この春から湾岸高校での生活がスタートしました! これまでとは違う新しい環境、個性的な同級生や先輩たち。そんな中で自分の居場所を見つけるのはけっこう大変だけど、大好きな広瀬崇と一緒なら、きっと乗り越えていける! 活字力全開(フルパワー)の人気シリーズ。小川凛、高校1年生になりました! 胸キュン度120%! 青い鳥文庫の大人気シリーズ、待望の高校生編! -
お坊さんがくれた 拭いても拭いても涙がこぼれるお話
この世界は苦しみに満ちています。夢をかなえるためには何度も挫折しなければなりません。それどころか、挫折を繰り返した末に敗北することもあります。それでも、この本に登場する主人公たちは、家族や愛する人との絆によって、もう一度立ち上がり、一歩ずつ前に向かいます。この「挫折再生型」の物語こそが、この苦しみに満ちた世界で「生きる力」になるものです。――そう語る現役の住職自身が『PHP』誌で大好評連載中の読み切り短編小説から、感涙必至の15編を選りすぐって一冊にまとめました。老若男女すべての方に読んでいただくため、簡潔でわかりやすい表現を用いて綴られた珠玉の物語。思う存分、涙してください。 -
応化クロニクルシリーズ 全5冊合本版
ごく近い将来の日本。金融システムの崩壊と経済恐慌と財政破綻があった。打ちのめされた貧しい階層、社会的弱者、出稼ぎ外国人、市場競争の敗北者の群が路上に放り出された。海の向こうでも悪夢が現実のものとなる。 中国の中央政権が倒されて、各軍管区が覇を競い、二自治区が独立を宣言。またほぼ同時期に、ロシアではサハリン油田の冨を背景に極東シベリア共和国が誕生し、一気に大動乱の時代が到来した。戦禍に苦しむ大陸の民が、日本を平和で裕福な社会と見なして海を越え始めた。国軍は領海に入った難民の船をつぎつぎと撃沈した。それでも大量の難民が砲火をかいくぐって沿岸に漂着した。食糧暴動が頻発して治安の悪化は極限に達した。 応化二年二月十一日未明、<救国>をかかげる佐官グループが第一空挺団と第三十二普通科連隊を率いて首都を制圧。それに呼応して、全国の基地で佐官が率いる部隊が将官の拘束を試みた。小戦闘、処刑、新しい司令官の擁立があった。同日正午、首都の反乱軍はTV放送とインターネットを通じて<救国臨時政府樹立>を宣言。同軍は政府軍と反乱軍に二分した。内戦勃発の春にすべての公立学校は休校となった。そして、両親を亡くした兄妹たちは、手段を選ばず生きていくことを選択した――。 内戦下における家族愛、絆、人種問題、戦争と平和、経済と宗教、それぞれが孕む矛盾――。混沌の中を生き抜いていく少年少女の、裸者からの一大成長譚。今は亡き作家がゆるやかに破滅へと向かう世界と日本を予言した衝撃の大問題作が合本版になって登場。 *本書は『裸者と裸者』上下、『愚者と愚者』上下、『覇者と覇者 歓喜、慙愧、紙吹雪』の5冊を合わせた合本版です。 -
カムイの剣 1巻+2巻 合本版
海賊の黄金時代、彼らの覇者として7つの海を暴れまくったキャプテン・キッド。彼が生涯をかけて世界各国に残した莫大な秘宝の謎は、今もって解明されていない――。時は幕末、西洋文明の嵐が日本を襲おうとする時、下北半島にアイヌ人の血を引く赤ん坊が流れ着いた。だが、この子の身につけていた剣こそがキャプテン・キッドの秘宝の謎を解く鍵であり、彼を波乱の渦の中へ落し込むのだ…。幕末・維新の時代の子、忍者・次郎の半生を壮大なスケールで描くエンターテインメントの最高傑作。 ※本書は「カムイの剣」シリーズ全5巻のうち、1巻と2巻を合本にしたものです。 -
本日は遺言日和
人間いつかは…のために、遺言の書き方教えます! 小さなプランニング会社・弥生プランニングに務める新米社員の川内美月は「遺言ツアー」なる旅行企画を思いつきで提案する。ダメ元と思いきやすんなり実現の運びとなるが、神奈川・湯河原温泉の旅館「荻野屋」で始まった二泊三日のセミナーは個性派ぞろいの参加者たちに振り回されどおし。やがて、それぞれの人生へふれていくことで、美月は遺言を書くことの本当の意味に気づかされていくが、思いもかけぬトラブルが待ち構えて……笑いと涙のハートウォーミングな「終活」ストーリー。「遺言」と聞いて、「いずれ…」「関係ない…」「先のこと…」と考えてるあなた、必読です! 大ヒット『限界集落株式会社』著者が贈るハートフルストーリー! 「2泊3日遺言ツアー」改題。(解説/青木千恵) -
YA! アンソロジー 秘密
いつも廊下ですれ違う名前を知らないあの子にだって、教室で明るく振る舞うあのクラスメイトにだって、秘密はあるのかもしれない--物語が交差する、YA!アンソロジー第3弾。区立四葉中学校を舞台に、「泣いちゃいそうだよ」シリーズの小林深雪と、講談社児童文学新人賞受賞作家たちが、秘密を抱えた少年少女を描きます。誰にも知られたくないと思う一方で、誰かに理解してほしいと願ってしまう秘密の正体とは? -
あなたに似た街
「地方」をめぐる20のささやかな物語。 ある県の、20の街を舞台とした心温まるショートストーリー集です。シャッター通りと化した商店街を元気付けようと、地元女子高生たちがガールズバンドを結成。これがネット動画で思わぬ話題になる(シャッター・ストリート・バンド)…、をはじめ、全国の地方でおきている「若者の流失」「デートする場所がない」「Uターン」「軽自動車が人気」「街おこし策」などを題材にした、しみじみと、ほのぼのと、そしてくすりとさせる短編集。物語は東京にだけあるのではなく、「地方」にもそれぞれの物語があります。それは、あなたの街の、そしてあなた自身の物語かもしれません。 -
ロング・ロング・ホリディ
でも、僕らは探していたんだ。見えない未来を。この場所で――。夢、進路に、恋……、真剣に向き合ったあの日々が、いまの僕を支えてくれているんだ。1981年、札幌。喫茶店<D>でアルバイトをしている大学生・幸平のもとに、東京で働いているはずの姉が「しばらく泊めて」と突然、現れた。幸平は理由を聞き出せないまま、姉との暮らしを始める。一方、<D>では、オーナーと店長が「金と女」のことで衝突してしまう。そんな二人を見て、幸平たちは“ある行動”に出る。それは一人の女性を守るためだったが、姉の心にも影響を与え……。「東京バンドワゴン」シリーズで人気の著者による喫茶店に集う若者たちの苦悩と成長を描いた長編小説。 -
オトナ女子
年を重ねても若々しくて可愛らしい大人の女性≠おばさん。 中原亜紀は、40歳独身の会社員。 しっかり者で、一見“デキる女”に見える亜紀だが、 恋愛となると、尽くしすぎる“都合のいい女”どまり。 そんな亜紀の親友で、同じく独身の大崎萌子と、 バツイチで3人の息子がいる坂田みどりのアラフォー女性3人が、ひとクセある男たちに翻弄されながらも幸せをつかむべく奮闘していく…… 恋でも仕事でも幸せになりたい女性たちを応援する 痛快でハッピーなヒューマンラブストーリー。 -
令夫人
着物の胸元に両手を入れ左右に大きく割る。「いや……しないで」抵抗することを諦めた言葉だけの拒絶が唇からかすかに洩れた。製菓会社の社長夫人・友香は、待ちぶせしていたかつての恋人・鹿島に強制的にホテルに連れ込まれる。たった一度だけの過ちのはずだった。が、貞淑な妻は、平穏な家庭を守ろうとすればするほど過酷な罠に堕ちてゆく。 -
うたかたの彼
波多野一人、通称・ヒトリ。誰もが彼に、ひとときの恋をする――。恋に不器用な大人の女性に贈る、甘くて苦い恋愛小説集。「デリバリーサンタクロース」/三十代前半・女性ライター。クリスマスを間近に控えたある日、編集者から渡されたいかがわしげなチラシ。URLにアクセスしてみると、ずらり並んだ若い男たちの中に、かつてのクラスメイト――波多野一人の名前があった。「漂泊シャネル」/二十代半ば・OL。お金もないのに靴を買ってしまった帰り道、犬猫でも拾うような気軽さで、シャネルを背負った男の子を拾った。「東京タイガーリリー」/女子中学生。渋谷ハチ公前。混雑と暑さにうんざりしていたあたしの前に、魔法みたいにそいつは現れた。「ウェンディ、ウェンズデイ」/三十代後半・専業主婦。水曜日。夫と子どもたちを送り出すと、ランチバッグにお弁当を詰めて、あの場所へ向かう。渋谷の路地裏に存在するネバーランドへ――。「ティンカーベルは100万回死ぬ」/義理の妹。「ずっとおまえがほしかった」。あたしの目を見てヒトリが言う。なんべんもくりかえしみた夢。もういいよ。もういやだ。こんなのもう、だれか鋏で断ち切って――。「屋根裏のピーターパン」/波多野一人。部屋の外に置かれていたとんでもなく物騒なブツを前におれは途方に暮れる。「まじかよ」――いまに限らずもうずっと、おれは途方に暮れているんだ。 「東京ネバーランド」改題。 -
流転の魔女
来日三年目、居酒屋で時給900円のバイトをしながら法律の勉強にはげむ中国人女子大生の林杏(りんきょう)は、ふとしたきっかけで、カード犯罪で逮捕された中国人の通訳を務めることになる。 4時間弱の労働で得た報酬は、15000円! 夕食にいつもより高いデザートをコンビニで買う。林は謝礼のお札をしげしげと眺め、一万円札の福沢諭吉に「万太郎」、5000円札の樋口一葉に「おせん」と名付ける。 コンビニで支払われた「おせん」はあっという間に海を渡り、人間の欲まみれの世界を裏側から見つめることになるが――。 貨幣は世の中を便利にする画期的な発明だけれど、それによって人生を狂わされたりもする。ユニークな構成と奇想天外な展開で好評を博した、傑作〈お金〉小説。 -
完全版 甲子園の詩 敗れざる君たちへ
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 1979年から2006年、夏の高校野球大会の全試合を、作詞家・阿久 悠が観戦し、一日一試合を、詩に詠む、「スポニチ」紙の名物連載27年分を、全収録し、試合のスコア表と各大会のトーナメント表をつけた完全版。球児たちの美しさとはかなさを讃えた感動の記録。底本付録の阿久悠の短編小説「ガラスの小びん」は電子書籍版では割愛しています。また、甲子園球場での試合の写真も電子書籍版には収録されていません。 -
スマッシュエース!
わずかな油断や予想外のアクシデントなど、さまざまな理由で人は挫折を経験する。そんなとき、誰しも「もうおしまいだ」と、心が折れそうになるだろう。けれど、どんなときにも必ず光明はある。希望を捨てなければ――。 この物語の主人公は、いずれは日本を代表するバドミントン選手になると将来を嘱望された少年。しかし彼は、ある事故によって、スポーツ選手として致命的なケガを負ってしまう。誰もが絶望する中、彼自身は諦めなかった。 少年は奇跡を追って、再び走り出す。もう一度、空高く翔ぶために。 -
エキナカには神様がいる
知っているだろうか? 一日に数十万の人が利用している、東京の某ターミナル駅には「神様がいる」という噂がある。その神様はいつも、優しい目で私たちを見守ってくれている。 理不尽な上司の元で激務をこなし、疲労困憊の会社員。金を無心してくる元彼につきまとわれて悩んでいる女性。一人ぼっちでエキナカを寂しげに徘徊する小学生。記憶を失って行き場のない老女……。そんな彼らを、「エキナカの神様」は決して見放さない。 -
不動産男子のワケあり物件
「不動産屋を見たら、まずは詐欺師だと疑え」 俺はそう断言できる。ウチの社長は平気で客を事故物件とか悪条件の部屋にぶち込もうとする。でも、本当に幸せになれる物件を宛てがうことが俺たちの仕事じゃないのか? お客さんが本当に満足できる物件がほかにもあったかもしれないのに、不動産屋の都合で部屋を押しつけるなんて……。 そんな想いを抱えるものの、自分も身元を偽って面接を受けた研修中の身。就職活動がうまく行かなかったとはいえ、本当にこんな不動産屋に就職して良いのだろうか? 物件探しにも役立つ、不動産業界の裏を描いた青春物語。 -
夫からもらうもの
大人になったら結婚して誰かの妻となり、幸せな人生を当たり前に送ると考えていた夏帆。しかし、大人になった夏帆は美人ではあったが、なかなか結婚の機会に恵まれず、気がつけば年齢も30歳を超えてしまっていた。夏帆自身も、このまま結婚しない人生もいいかもしれないと考え、一人で生きていけるようにとOLとして働き始めることにした。そんな生活を始めてから半年。仕事も楽しいと思い始めた矢先のこと。母親の行きつけの呉服屋の勧めで、夏帆はもう何度目にもなるお見合いをすることになる。そこで夏帆は、田中和夫と知り合った。和夫は夏帆の理想の相手とはかけ離れた人物だったが、彼の押しの強さ、そして結婚が決まった時の母親の喜びように流され、二人は夫婦となった。しかし田中家の妻となった夏帆を待っていたのは、同居の姑のいじめ、働かずにギャンブルをしてばかりの夫の世話だった。夏帆は自分の独身時代の貯金を切り崩しながらの生活をすることになっていく。離婚を考えながら生活を送っていた夏帆だったが、息子の誠太が生まれたことで気持ちを新たにし、和夫と共に幸せな家庭を築こうと、様々な努力を始める。夏帆は夫をなだめてどうにか自動車修理工場に就職させたり、理不尽なことで姑に辛い思いをさせられながらも、姑を立てることを心がけて生活を送る……。それらは夏帆にとって、間違いなく「夫からもらったもの」だったのだ。 -
山小町 -愛-
秋の穂高で偶然出会った古都の乙女と、山を愛する青年。ふたりの淡い恋心が、錦繍の京都・愛宕山、白銀の八ヶ岳、そして新緑と残雪の雨飾山で深い愛へと結実していく。2014年12月に刊行されるや否や「昭和の良き時代を思い出しました」「懐かしい恋愛風景、人間関係が描かれている」「一昔前のフランス映画のように余韻をのこし、続編が気になる」と賞賛された山岳紀行恋愛小説の続編が前作を上回るボリュームで待望の刊行! -
昔々、ある夏の日に
2つの約束は、真夏の空の下で果たされる。 17歳、盛夏。青春の真っ只中の時間に、ボビーと呼ばれる少年は2つの約束を果たすためオートバイに乗って西へ向かう。 1つはオートバイを売却するため。 もう1つはそこからの帰路、同級生の女の子に会うためだ。 2つの約束のために、2つのよくできた略地図が役に立ち、約束は首尾よく果たされる。 しかし、まぶしいほどの夏の光の中に1つの闇があったことをボビーは少女に話さない。 2人の頭上には、ホースから無限にあふれてくる水と真っ青な夏の空が広がっているばかりだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
右の頬に触れる指さき
その涙、その指 女性と男性は常に1対1の対等の関係にある。 しかしながらそれはAとB、CとDといった固定されたものでなく、AはBと親密、AはCとも親密、そのうえBとCもまた面談し、親しく交際するのだからそうすることがすなわち個人でありその人がまさにその人であることなのだ、と多くの片岡作品同様、この短篇もそう告げている。 その関係の交錯に不意に挿入される涙、カメラが捉えるか捉えないか微妙なその指、それを読むのが小説を読む、ということかもしれない。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
忘れてあげない
記憶の中にも、ジャンプ! 短篇集『ボビーをつかまえろ』に収録された作品。 同年齢の異性の誕生日に豪勢な花束を持って現れ、しかも2シーターでドライヴまで敢行する。 こんなことが17歳で可能か? というユートピア性とこんなことは17歳という年齢以外ではムリだろう、という奇妙な説得力が、作品世界を支配する。 そして極めつけのラストシーン。 さてこのあとはどうなるのか? と懸念したくなる「現実」は小説の知ったことではない。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
誰もがいま淋しい
夏から秋へ。その時、誰もが淋しい。 作者自身が「あとがき」に述べているようにこの作品はそれぞれ別々に書かれた6つの短編をひとつの流れにつなげ、その集合が全体を構成するように作られている。 ショートストーリーを6つつなげているのだからあるタイミングで登場人物はスイッチし、全体を通しての主人公のような人物は存在しない。 にもかかわらず確かに「1つ」を感じさせるのは5月から秋のはじまりに向かう季節の推移の自然さと各ショートストーリーの人物たちが宿している「愛」のようなものに対する独自の距離感とそこから派生する「淋しさ」があるからだろう。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
花一輪
不自然と呼ぶ理由は何もない いくつもの片岡作品がそうであるように女性1人に男性2人、というパターンの短篇である。 三角関係と言ってもいいが、しかし男性同士は友人であり嫉妬のない三角関係だ。 彼らはそれを楽しむ。世の常識への反抗でもないし、特別、欲望に溺れるわけでもなく。 とはいえ、一晩の酩酊くらいはあるだろう。 酔った姿がまた、美しき花一輪だ。 「鑑賞」しながら男たちはコーヒーを飲む。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
寝顔やさしく
一緒に眠るよりも良いこと 思えば、寝顔ほど無防備なものもまたとないのかもしれない。 東京駅にいて、眠たくてたまらない、となれば普通は一刻も早く勝手知ったるわが家へ急行するはずだが、それよりももっと別の場所で眠りたい、となればその場所の主との関係の親密さは明らかだ。 ぐっすりと眠ったあとには、贈りものが待っている。 他にはない、最上のおだやかさがそこには待っている。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
シャツのボタンが段ちがい
偶然は偶然であり、サインではない 27歳の男性。たっぷりの未来があるようでもあるしそれなりの過去の堆積もある年齢だ。 いくらでも眠ることのできる体力もある。 結婚は、してもいいし、しなくてもいい。 女性もいる。1人ではない。とっかえひっかえ、というのでもない。 ある時、連続してある現象に目を止めた。 シャツのボタンが段違い。それが連続して起きたことに意味を見出すことは可能だろうか? それは必要なことだろうか? 目の前に現れた、連続した、シャツのボタンの段違い。 ただ彼はぶっきらぼうにそれを指摘するだけだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
彼女が持つにふさわしい
合意に達した女性たちは、そろって彼を見送る 片岡作品に繰り返し現れるモチーフがある。 例えば、結婚を一度経験した後、自分は結婚という選択を取るべきではなかった、と確認する女性。 彼女らは例外なく、相手の男性に対する愛情を失うことなくキッパリと再び一人になってみせる。 この短篇もそのようなバリエーションの一つだが、そこにあと一つ、新しい要素が加わる。 一つは「性」の超越。もう一つは「交代」。 そんな理屈通りに行くもんか、と思う読者のとまどいをやすやすと超えて物語の人物たちは動く。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
心のままに
時は過ぎ去るに任せよ、いつでも自分自身であれ 家族がある。親と子がいる。 愛情で結びついてはいるが、縛ってはいない。 だからいつしか自然に解けるよりも自ら解き放つほうがいい、と考えてもおかしくはない。 親を、環境を選べない子供たちも、大人になっていく。 一人ひとりがもっと自由に生きることを始める時、新たな出会いがあり、新たな家族の再編があり、かつて家族が他人に代わったように今度は他人が家族になることもある。 サーフィンが、カヌーが、8ミリフィルムが、音楽が、それぞれ色彩豊かなラインを生み出しタペストリーが生み出されていく。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
彼を愛してなにを得たか
季節がひとめぐりしたから。理由はただそれだけ 徐々に関係がまずくなるとか、短くない断絶を経て決定的にダメになるとか、そういうことではなく、なに一つ問題ないように見える瞬間に終わることもある。 例えば、春、夏、秋、冬、そしてまた春と季節がちょうどひとめぐりした、という理由で。 言い出した側が強く、言われた側が惨めだ、というわけでは必ずしもない。 夜の日本海を眺めながら夜通しクーペを走らせる、その美しい、そして悲しい時間を経験して彼女はその連続のままに、一人だけの朝を迎える。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
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