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純なナポレオンの末裔が珍事を巻き起こす。
春のある日、銀行員隆盛の妹、巴絵に一通の手紙がシンガポールから届く。姿を現したのは、フランス人、ガストン・ボナパルト。ナポレオンの末裔と称する見事に馬面の青年は、臆病で無類のお人好し。一見ただのうすら“おバカ”だが、犬と子どもに寄せる関心は只事ではない。
変質者か? だが、すれっからしの売春婦をたちまち懐柔したり、ピストルの弾丸を相手の知らぬ間に抜き取るなど、はかりしれない能力も垣間見える。
そして行く先々でその生真面目さから珍事を巻き起こしていく。日本に来た目的は?その正体は?そんな“おバカ”な一方で、彼は出会った人々の心を不思議な温かさで満たしていく。
遠藤周作、得意の明朗軽快なタッチながら、内に「キリスト受難」の現代的再現を意図した心優しき野心作。
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Posted by ブクログ
再読だがすっかり忘れてる。昭和34年に朝日新聞連載とあるからリアルタイムでも読んでいるはず。軽快なノリの小説で当時の風俗を楽しめる。いや私などものすごく郷愁を感じてしまった。
『おバカさん』ことガストン・ボナパルトは『わたしが・棄てた・女』の主人公森田ミツの男性版。すなわち悲しいほどお人よしで純粋、バカみたいな不思議な人。
彼がフランスから日本にふらりと来て、しでかす椿事にまきこまれる隆盛と巴絵の兄妹はごく普通だから、その落差をまず楽しめばいい。
あまりにもドタバタ劇を繰り広げてしまうガストン、なんで日本に来たのだろう?それもこの物語のポイント、作者の意図のひとつ。
ガストンと絡まる殺し屋の名が「遠藤」作者と同名。わざと命名したのだろうか。この「遠藤」にしろ、「隆盛と巴絵の兄妹」にしろ読者にちかい。とても「ガストン」のようにおろかにはなれない。
しかし、この普通ということがいかに「悪」かということも露呈してしまう。
そしてやがて哀愁に満ちたラストで、自分はなんて不純なのだろうと思う。なんてことないのだけれど読後ズーンと響いてくるから。
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