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1820年、フローレンス・ナイチンゲールは、イタリアのフィレンツェで、両親の旅行中に生まれました。家庭はイギリスの裕福な階層で、貧しい人々、病気で苦しむ人々に接するうち、看護の仕事へ興味を抱きます。クリミア戦争が起こると、ナイチンゲールは国からの要請で、現地のイギリス軍の病院で働くことに。 活躍は本国でも報道されました。その後、看護学校を設立、同時に職業としての地位向上にも尽力しました。
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圧倒的事実の<生と死>――8月9日に、すでに壊された<私>。死と共存する<私>は、古希を目前にして遍路の旅に出る。<私>の半生とは、いったい何であったのか……。生の意味を問う表題作のほか、1945年7月、世界最初の核実験が行われた場所・ニューメキシコ州トリニティ。グランド・ゼロの地点に立ち《人間の原点》を見た著者の苦渋に満ちた想いを刻す「トリニティからトリニティへ」を併録。野間文芸賞受賞作品。 ◎林京子――私は立ちすくんだ。地平線まで見渡せる荒野には風もない。風にそよぐ草もない。虫の音もない静まった荒野は自然でありながら、これほど不自然に硬直した自然はなかった。荒野は、原子爆弾の閃光をあびた日以来、沈黙し、君臨していたガラガラ蛇の生さえ受けつけなかった。大地は病んでいたのである。<「著者から読者へ」より>
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平凡な家庭を持つ刑務官の平穏な日常と、死を目前にした死刑囚の非日常を対比させ、死刑執行日に到るまでの担当刑務官と死刑囚の心の動きを、緊迫感のある会話と硬質な文体で簡潔に綴る、芥川賞受賞作「夏の流れ」。稲妻に染まるイヌワシを幻想的に描いた「稲妻の鳥」。ほかに、「その日は船で」「雁風呂」「血と水の匂い」「夜は真夜中」「チャボと湖」など、初期の代表作7篇を収録。 ◎「丸山健二の文学性は、ジェームズ・ジョイスに通じる。本作品集に収録されている初期短編を改めて読みながら、私はそう思った。(中略)すぐれた芸術家は生涯を通して変貌を続けるが、若き日の作品群は作品を受容する側にとっての定点を提供する。ピカソのキュビズムは、初期の見事な絵画によって担保される。このような文脈において、本文庫に収められた初期の短編の数々は、弱冠23歳で芥川賞を受賞し、長年文壇と一線を画して孤高の道を歩んできた丸山健二の文学の全体像を理解する上で、重要な意味を持つのではないか。」<茂木健一郎「解説」より>
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消滅寸前の昔気質のヤクザたちが、ふとしたことから手に入れた漁船で捕鯨を始める。超武闘派の環境団体ほか、障害も多く……。著者、初めての痛快冒険文学長編――男たちは海にくりだす。船はその名も任侠丸! 海、鯨、そして仲間たち、そして戦いが始まる! 小料理屋の主人・麓浩司は、借金のため、ヤクザ・大場会の料理人になることに。その大場会の台所も、火の車。任侠道にこだわりすぎの親分が、ある日、決断したのは、「日本の食文化の伝統を守る」稼業に乗り出すことだった。美女、伝説のスナイパーほか、多彩な登場人物が奏でる、ハートウォーミング&ユーモア冒険活劇。
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「美の巡礼者」岡部伊都子の京を巡る随想集。いとはん育ちの著者は、婚約者を戦争に送った慚愧を胸に戦後を生き、暮しの細部に宿る美、哀歓を美しい言葉で綴った。土地の精霊との交感から生まれた清々しい初期随筆集! ――ふしぎなめざめにうながされて……、凍てつく土中から虫たちが這い出すように、女ひとり、戦後をつよく生きる想いを綴る「四季採譜」。大阪のこいさん育ちの著者が生涯の地・京に移り住み、暮らしの中から紡ぎ出す美しい言葉で古都の魅力を語り尽す「鳴滝日記」。古の道、ふるさとの道、露地の道を行き交う人の運命を哀切に描く「道」など4篇。豊かな感性と強靭な志の1冊。
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21世紀の始まりを告げる、戦慄のテロ文学!地元を追い出され東京でひとり暮らしする17歳の少年・鴇谷春生(とうやはるお)は、日夜インターネットを渉猟し、トキに関する情報を集めていた。種の保存のために管理されるトキを解放することが自分の使命だと信じるようになった彼は、スタンガンと催涙スプレーを購入し、佐渡島を訪れることを決意するのだった。中学時代の同級生・本木桜への春生の思いと、地元を追い出される原因となった罪、明かされていく「ニッポニア・ニッポン問題の最終解決」の全貌……すべての妄執に囚われたまま、運命の時は近づいていく。 著者は、渋谷を舞台としたプルトニウムをめぐる攻防を刺激的に描いた『インディヴィジュアル・プロジェクション』で注目を集めた「J文学」の旗手。第125回芥川賞候補作となった本書は、国の天然記念物「トキ」をテーマに、日本という「国家」の抱える矛盾をあぶりだした中編小説だ。 17歳の鴇谷(とうや)春生は、自らの名に「鴇(とき)」の文字があることからトキへのシンパシーを感じている引きこもり少年。日本産のトキの絶滅が決定的であるにもかかわらず、中国産のトキによる保護増殖計画に嬉々とする「欺瞞」に違和感を抱いていた春生は、故郷を追われたことをきっかけに「トキの解放」を夢想しはじめる。その選択肢は「飼育、解放、密殺」のいずれか。「ニッポニア・ニッポン問題の最終解決」という自らが描いたシナリオを手に、スタンガン、手錠、催涙スプレーで武装した春生は、やがて佐渡トキ保護センターを目指す…。 「俺を一人にしたことを、この国の連中すべてに後悔させてやる」と決意する春生は、拠るべき場所もなく孤独にさいなまれながら生きる現代人の「いらだち」を増幅させた人物。現実と虚構との境界が崩れてしまった若者だ。本書がきわめてスリリングなのは、その虚構への扉が読み手にも開かれている点だ。春生が情報収集するサイトは、ほとんどが現実に存在する。「虚構」の象徴とされるインターネットが、本書では読み手と春生をリアルにつなぐ重要な接点となっている。読み手をたえず挑発し、いつしか作品世界へと巻き込んでしまう快作だ。(中島正敏)
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日本橋本石町にある弥三郎店の住人は事情をかかえた人たちばかりだ。気になる相手ができたと思えば出戻りだったり、旦那が勤め先から帰ってこなかったり、あげくの果てには店立ての噂が持ち上がる! 日本橋本石町に弥三郎店と呼ばれる長屋があった。事情を抱えた住人ばかりが住んでいて――。 心温まる江戸人情を描いた連作集。 「時の鐘」 真面目一徹、そろそろ嫁をと周囲から勧められる鉄五郎。そんな鉄五郎に気になる相手が現れたのだが、若くして出戻ったおやすという莨屋の女だった。 「みそはぎ」 おすぎは、老いた母親の面倒をみている。ある日、勤め先の井筒屋に見慣れぬ男が来るようになった。 「青物茹でて、お魚焼いて」 おときの旦那は錺職人。次第に泊まり込みの日数が長くなり、しまいにはひと月にもなった。 「嫁が君」 おやすはずっと旦那が家にいるおひさのことが羨ましい。ある日、この旦那が寄せ場からきた人物だと噂になる。 「葺屋町の旦那」 おすがのかつての奉公先の倅が、弥三郎店にやってきた。どうやらこの倅、わけありのようで。 「店立て騒動」 弥三郎店が店立てに?! 住人は緊急事態にてんやわんやの大騒ぎ。どうにかこの事態をとめられないか。長屋の住人が一致団結して行ったことは。
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常に斬新な批評を展開する著者が“風景”と呼ぶ微妙な位相。村上春樹の小説を中心に「まさか」と「やれやれ」論、坂口安吾、田中角栄、北一輝に共通性を見る「新潟の三角形」、“ディスカバー・ジャパン”と国木田独歩、志賀重昂を対比する「武蔵野の消滅」ほか、三島由紀夫、深沢七郎、吉本ばなな、大島弓子等、時代をとりまく日本的文化現象に焦点をあてた独創の8篇。著者の批評の資質と方向を示す初期評論集。(講談社文庫)
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「風太郎忍法帖」の中で、現在入手不可能の、驚天動地・抱腹絶倒の忍法で読者を魅了すること請け合いの、傑作短編集。古来伝わる睡魔をもって襲う忍者に対抗すべくあみだされた半睡浮遊剣、仮睡自在剣、夢界生動剣。そこに生じた思いもよらない陥穽を描く「忍法甲州路」のほか、忍法陰陽変を用いて男根女陰を交換する「転の忍法帖」、筑摩一族の忍びの活躍を描く「忍者六道銭」など収録。
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安サラリーマン伊賀大馬が、トランクの中より探し出せし一巻の巻物、これぞ伊賀忍者の太祖、風忍斎が遺したる忍法相伝書である。大馬が早速、忍法「墨消し」を実験すれば、おお魔天の感応か、その鼻息を受け、あらゆる活字が消失するではないか! かくて、伊賀大馬は現代の忍者と化した。老残の硯学、松中半兵衛先生と肉体美女、鳥羽壺子嬢に支援されて忍法を発動すれば、「鳥の死声」は実力政治家をして「民衆から収奪する喜び」を天下に告白せしめ、「諸行無常」は男女の交りを索漠たる灰色の世界に墜し、セックス万能の時流を排す。辛辣にして軽妙、世人の意表を衝く珍騒動! まさに風太郎ワールド全開!
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二流商社の平社員・村中陽吉は、会社の将来に対して痛烈なレポートを書いたがために、単身ニューヨークへ飛ぶ破目になった。支店を開設しろ、というのである。英語もろくにできない村中はセントラル・パークで途方にくれた。英語の勉強でも、と思って大衆小説をひろげていると、思いがけず隣りにすわった白人女性が声をかけた。50がらみのその女性は「うちへいらっしゃい、本が沢山あるわ」と誘った。村中はその誘いに応じたのだが、縁は異なもの、そこから彼は大変な見つけものをする。快人物の一代を描く標題作のほか4篇を集めた、さわやかな作品集。
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はかなく取りとめない日常の中に現代の至福を描き出す長篇小説。家族を愛し人生を慈しむ――丘の上に住む作家一家。息子たちは高校生・大学生になり、嫁いだ娘も赤ん坊を背負ってしばしばやってくる。ある時から作家は机の前に視点を定め、外に向いては木、花、野鳥など身近な自然の日々の移ろいを、内では、家族に生起する悲喜交々の小事件を、揺るぎない観察眼と無限の愛情を以て、時の流れの中に描き留めた。名作『夕べの雲』『絵合せ』に続く充実期の作家が、大いなる実験精神で取り組んだ長篇。 ◎庭に来る鳥や、庭の樹木から書き起こされる章が多いが、人の心が自然現象のなかに融け、照らし出されているように感じられる。八章には、「四十雀が飛び立ったあと、水盤の水に映った空が揺れている。」という小景描写があった。水面が揺れているのではなく空が揺れている。こんなところを読むと、今、見ているような気がする。昭和の小説には、このような豊かさがあった。<小池昌代「解説」より>
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お香の人相をひと目みた易者の天運堂は、「あんたは“帝王の星を持った女”だ。しかし盗難の相がある」と言った。江戸は日本橋堀留の材木問屋の女主人で、鳶の頭と番頭を供に江戸へ戻る途上……。そのお香が、高崎城下のはずれで、旅の浪人・浅香八百太郎と道連れになった。一見茫洋としているが、江戸前の年増盛りで、娘時代には日本橋小町と謳われたほどの美人のお香が、ほれぼれするような男ぶり。お香の女心は、次第に八百太郎に傾いていった。さて、お香の胴巻と美しい身体を狙って出現した怪盗・稲妻小僧と旅人やくざ・杉次郎、そして悪旗本の頼光組。正義の味方・八百太郎の活躍は!?
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わたしは病気なのだ。『女』という病気なのだ。“男性”しか存在しなくなったはずの世界に発生した“女性”という怪異――。世界で二人目の“女性”おちば様は、最初の“女性”のばら様が世界中にまき散らした災いと幸福の種を拾い集め、いくつもの“性”と対峙していく。軋んでいるのは、破滅の予兆か、新しい社会の胎動か――。
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この子に、なにかしてあげたい。この子の、悲しむ顔は見たくない。いつもの朝、いつものタバコ屋の少女。僕は、その中学生の少女に、恋をした。講談社BOXが贈る“青春ライトノベル”の新旗手、颯爽たる最新長篇。少女に恋した二十代男子の、誰も読んだことのない青春奇譚。人気絵師TNSKによるフルカラーイラストレーションとともに、電子書籍版だけの特別短篇「金鵄とゴールデンバット」を収録!
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いつか僕たちが皆殺しにするすべての大人たちへ。いつか私たちを皆殺しにするすべての子供たちへ。――それは〈同盟〉を結んだ、ふたりの異邦人が遺した言葉。子供が嫌いな干支島さん。大人が怖い泡路くん。ひとりぼっちのふたりは、壊れてしまった時間の中で〈同盟〉を結ぶ。幻の〈香奈菱高校〉シリーズ最新作にして、最終章。悪魔のような〈青春〉が、幸せの洪水に沈んでいく。
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