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筑豊の廃坑の村。離職者更生の手段として、自分の経験と技術を教えこんだ元スリの耳に、昔の仲間、いまは東京のデパート保安係が囁いた――もっと安全で割りのいい稼ぎがあるじゃないか。かくて結成された窃盗団。大胆巧妙な手口とチームワークを見せる面々とベテラン刑事との虚々実々の駆引き、そして意外な結末。雑草の逞しさで生きる万引き集団の活躍を温かく軽妙に描いた、会心の悪漢小説(ピカレスク・ロマン)。
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Posted by ブクログ
集団ドロボー業はじめました、 こんな感じの作品ですね。 割のいい仕事がこれ、といっている時点で なにやら胡散臭さ満載ですが。 何より面白いのは 悪人ながら、きちんと栄光、墜落 そして完全陥落まで書かれていること。 特に一発逆転劇のところは目を見張ることでしょう。 ただし、結末は、予想通りなのだ。 ...続きを読む ある意味悪い奴らだけれども 一番人間の欲に正直に生き、 散っていった気がします。
「あんな暮らしは人間の暮らしじゃない。ネズミだってもっとましに生きている」 「あたりまえだ」 「しかし、おれが彼らを更生させるにはたった一つの方法しかなかった。度胸があって手先の器用そうなのを選び、それでまずケッパーの買い方から教えた」 スリの専門用語で、ズボンの尻ポケットをケッパー、同じく横ポケ...続きを読むットをテッポーという。上着の内ポケットが内パーで、外ポケットなら外パーである。そしてスり取ることを買うと称し、初心者は平場(交通機関以外の雑踏する場所)でこの技術をおぼえ、やがて練達して箱師となる。 勝次自身は箱師として知られ、仲間うちの評判だけではなく、かつては警視庁スリ係の刑事たちの間でもその技術を高く評価されていた。 「うまくいったのか」 銀三は話の先をうながした。 「うまくいきすぎた」 勝次は憮然と答えた。 (本文p28-29)
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結城昌治
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