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Posted by ブクログ 2023年05月26日
読み終えるのに3週間ほどかかってしまいました。大江健三郎の文体が、漫然と流し読みするのを許してくれません。
その分、文章と取っ組み合いをするように読むのですが、能動的鑑賞を強いる芸術と向き合うときと同様、理解したとたん、もともと自分を構成する一部であったかのように、自分自身の芯に溶け込む感覚がありま...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年09月03日
作者の人生遍歴に、“架空のギー兄さん”(モデルはちゃんとある)を登場させ話を導かせるという、私小説であって私小説でないトンデモ作品。
私小説にオリジナルを加えるのは彼がよく使う手法だが、これは過去の長編の中でも断トツの完成度では。
当然他作をしっかり読み込んだ読者でなければ、門前払いな面もあり、万...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年02月20日
大江健三郎は難解のように思われていて、じっさい簡単に読み解けるというわけではないのだが、言うほど難しくもないと思う。ただ、何通りもの読みかたができたり、いくつもの意味が込められたりしていて、たんに読むだけならまだしも、そのすべてに自分なりの解釈を与えてゆくという作業を加えると、やはり読むのにものすご...続きを読む
Posted by ブクログ 2014年05月08日
「万延元年のフットボール」に並ぶ、大江健三郎の代表作。自身を下敷きにしたとおぼしきKちゃんとギー兄さんを中心に展開される話に、繰り返されるダンテ、イェーツの引用とズレを伴う構成の繰り返しが波紋のような奥行きを与えている。傍点、太字、囲い文字、難読漢字、英文、伊文から旧かなに至るまで、視覚的にも効果...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年02月25日
大江健三郎が自身の小説家への精神的成長過程を虚構を織り混ぜて書き上げた長編小説である。四国の山間の村、メンターとしてギー兄さんを措定し、彼のイエーツの詩やダンテ『神曲』愛読の影響を受け、語学や文学を学び入試対策の教えも受ける。地元の名士ギー兄さんの相続した山村で展開する「美しい村」や「根拠地」のコミ...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年02月16日
柳田国男が現在の成城に居を構えたことがあると知って、ぎくりとした。Kちゃんがやろうとしたことがまさに民俗学であったからだ。共同体で語られる物語/歴史としての神話をまとめる者。
ギー兄さんは作者自身をも含むさまざまな人物像の集合だと著者が言っててなるほどなと思った。長兄の投影でもあるし、自分の理想像...続きを読む
Posted by ブクログ 2013年08月16日
年代はめちゃめちゃに読み進めている状態なのだけれど、「木から下りん人・隠遁者ギー」と、『燃え上がる…』の括弧付き「ギー兄さん」は知っていても、ギー兄さんとは誰か、というところがすっぱぬけていたので、やっと少し穴が埋まったような気がする、と同時に、ようやく最近読んだばかりの『ドン・キホーテ』前編によっ...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年04月27日
評価が非常に難しい本(笑) 巨大な物語であり、作者なりの大きい構成(目次)などを見てもそれはワクワクするのだが、登場人物たちにいちいちイライラさせられるのである笑 基本的にはギー兄さんの物語(を僕のいじらしい視線によって眺め通す)ということになるのだが、ギー兄さんも魅力的とは言えないし、あと大江らし...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年11月10日
大江健三郎ならではダンテの神曲を頼りに自作の捉え直しを含んだ「自伝」的小説。
個人的には発表順に氏の著作を読んで来たので、面白く読んだ。ただ、この前に読んだのが「M/T〜」と「同時代ゲーム」の再読だったので、物語としてのダイナミズムは少し欠けるかと思った。
「懐かしい年」というのは、文字通りのイメ...続きを読む
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